【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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ナマイキ少女(Side ジン)

 

 ――――

 

 廃墟のフィールドに、爆発と破壊が巻き起こる。

 それはターミナス・ハーキュリーの圧倒的火力によるものだ。

 様々な火気による攻撃、そしてそれから防戦どころか、ただただ必死に逃げ回る、フウタのレギンレイズ。

 ……最も、向こうはアマチュアの彼に対し、いくらか手加減をしていた。

 だからあえてどうにか避けられるよう、命中精度を加減して攻撃していたのだが、その分無駄に攻撃量が激しかった。

 

 

 

「あはは……派手にやってくれちゃって、もう」

 

 遠く上空を飛行しているのは、マリアのガンプラ。ガンダムバエル・クリムゾンだった。

 そのコックピットで、マリアは半分呆れながら、その惨状を眺めていた。

 

「すごいです、ね。これがプロの、戦いかな」

 

 ちなみにコックピットにはミユも一緒に、乗っていた。

 何しろ戦いもここまで激しくなった。とてもでないが、こちらが巻き込まれそうで、近づくことは出来ない。

 

 

 だからこうして、距離を離している、わけなのだが。

 

「でも……どんな感じ、なのかな? 爆発や炎が強くて、よく見えないよ」

 

 遠く離れたせいで、ミユにはよく、状況が分からなかった。

 しかし、マリアはと言うと……

 

「よく見れば、少し動いているのが分かるわよ。

 ……ほら、そこで色々ぶっ放して見えるのが、ta‐zuさんのターミナス・ハーキュリー。そして少し離れているところで、爆発から必死に逃げているのが、ミユちゃんの彼氏ね」

 

 彼女の言葉に、ミユはもう一度、よく見る。

 

「あっ、フウタのレギンレイズ! あんなに逃げているなんて……見ていて、可愛そうだな」

 

 これには思わず、同情してしまうミユ。

 

「ま、あれくらいやらないと、二人を呼んだ甲斐ないものね! ちなみにあれでも、ずいぶん手加減しているのよ?

 ちなみに……」

 

 今度は、別の場所にあるスタジアムを、マリアは指差す。

 激しい炎のせいで目立たないが、そこでは二機のガンプラが、ビームサーベルで戦っていた。

 

「あっちがレーミちゃんのストライクと、ジンのF91よ。

 あっちはビームサーベルでの、近接戦ね。ふむふむ……ジンは意外と、健闘しているのかしらね いや、遊ばれている、かもだわ」

 

 マリアは何やら、苦笑いをしている感じだ。

 

「あの子、若干性格が悪いところもあるから。どっちかって言うと、ジンの方が心配かも

 はぁ……一見大人しい子だけど、口を開けば、ね」

 

 しかし、それでもフウタとジンは、二人なりに努力していた。

 マリアにも、もちろん分かっていた。

 

「…二人とも、頑張っているんだね」

 

「そゆこと! ミユちゃん! 

 四人の戦いは、もうしばらくここで見ましょうね。

 ……あっ! そうそう!」

 

 

 するとマリアは何やら調子が変わったような、感じを見せる。

 

「うん?」

 

「実はミユちゃんに、前から聞きたいことが、あったんだよね? 今いいかしら?」

 

 この問にミユは戸惑うも、せっかくの頼みだ。

 

「私に……答えられることなら」

 

 ドキドキするミユと、この答えにぱあっと顔を輝かせる、マリア。

 

「そう来なくっちゃ。なら聞いちゃうわね。

 ……ねぇ、フウタくんとは、どんな風に恋人になったの?」

 

「……ふぇっ!」

 

 これには変な声を出して、顔を赤くするミユ。

 

「あははっ! 女の子どうしじゃない? 恥ずかしがること、ないわよ。

 ねぇねぇ! 私どうしても、気になるの!」

 

「ううっ……そこまで言うなら、すこしだけ」

 

 フウタとジンが戦う一方、こっちはこっちで、ガールズトークに華を咲かす、マリアとミユであった。

 

 

 

 ――――

 

 激しい炎と煙に、包まれる廃墟の町並み。

 現在進行系で今なお破壊が続くのをよそに、その一角のスタジアムでは。

 

〈……ふふふ〉

 

「くっ、このっ!」

 

 レーミのエールストライクガンダムと、そしてジンのガンダムF91は、互いにビームサーベルで近接戦を繰り広げていた。

 

 

 一見した所では、攻勢に出ているのはジン。レーミはただ防戦一方、に、見えるが。

 

 ――全然、攻撃が当たらないなんて。いや、それどころか――

 

 F91はビームサーベルを振るい、攻撃を繰り出す。

 が、それは全然本体に当たらない。

 しかも向こうは、ビームサーベルやシールドで防ぐこともなく、ただ機体のステップと動きだけで、上手く避けていた。

 もちろん、全然余裕な動きで。

 

〈やっぱり、大したこと……ないね。……目をつぶってたって、避けられるよ〉

 

「こなくそっ! このこのこの!」

 

 必死になるジン。であったが、尚更それは一撃一撃の精度を下げることになった。

 

〈……駄目、駄目ね。こんな無茶苦茶やったって〉

 

「ちっ!」

 

 と、今度はF91頭部のバルカンで、攻撃を仕掛ける。

 

 ――かすり傷でも本体につければ、こっちの勝ちだ、なら!――

 

 たしかにバルカンなら攻撃速度も、とっさの攻撃にも有効だ。

 近接戦で向こうは多分、集中しているはず、だったら――。そう考えていたが。

 

〈甘いわ〉

 

 バルカンが火を噴こうとした瞬間、ストライクガンダムは急にビームサーベルを頭めがけて振るった!

 サーベルの刃先はセンサーの真上の、バルカンの発射孔を一閃し、潰した。

 

〈私が……考えていないと、思った? でもこれくらいは、頭は回るのですね〉

 

「これも、駄目かよ」

 

〈でもまたされると……厄介。だから、潰させてもらったわ。これでバルカンは、もう撃てない。

 そして――〉

 

 

 

 突然、レーミのストライクが、再度斬りかかった。

 

「うわっ!」

 

 今度は胴体という急所を狙った攻撃、とっさにF91を飛び退かせて、これを避けた。

 

〈……何とか避けられはしたのね。当たってたら、上半身と下半身は……別れていたのに〉

 

 レーミは残念そうに、呟いた。

 でも同時に、少しだけ喜んでいたようだった。

 

〈でも……まぁ、筋としては悪くないよ。……褒めてあげる〉

 

「本当に、生意気な……女の子だ」

 

 しかし、レーミにはそれが許されるだけの、実力があった。

 悔しいが、それは本当だ。

 

〈褒め言葉と……受け取る。

 ――さて、と、ここからは私の番。もっと、もっと、頑張ってね〉

 

 

 

 今度はレーミが、攻撃を繰り出す。

 ビームサーベルによる、鋭い斬撃の数々。

 それはさっきの、ジンよりもずっと、精度の高い攻撃だ。

 

「なっ! ……ひいっ、はぁ。…………って、うわっぁぁ! ぶっ!」

 

 それを必死に避けるばかりの、ジン。

 悲鳴と奇声と、息が上がりながら必死で、ガンプラを操縦する。

 これにはレーミも、クスクスと可笑しそうだ。

 

〈ほらほら……必死になっちゃって!〉

 

 彼女のストライクガンダムは、確実にジンのF91を追い詰める。

 優れた剣捌きで、ガンダムF91の角や肩、の先を切断し、装甲にもいくつも切り傷をつけて行く。

 

 ――この、なめやがって!――

 

〈私が本気なら、これで十三回……ジンさんは倒されているの。

 ふふ……これでマリアさんに勝とうだなんて、百億年早い、です〉

 

 

 

 そしてついに、スタジアム端に追い詰められた、ジン。

 

 ――しまった。これじゃもう――

 

 まさに、絶対絶命と、言うべきか。

 

「あーあ、これで、終わりだね」

 

 ビームサーベルの切っ先を、突きつける。

 終わり……ただただ、目の前の少女に、弄ばれて――。

 

 ――このままで終わるなんて。何か方法が、あるはず――

 

 まだ手はないか、ジンが考えていると――。

 

 

 

 ――ん? そう言えば――

 

 今、改めて気づいたことがある。 

 それは……。

 

 ――俺のF91と、ストライクガンダム……。比べると、あっちの方が図体でかいな。

 いや――

 

 こっとが、小柄なのだ。

 

 ジンのガンプラである、ガンダムF91は、従来のMSよりも小型の機体だ。

 だから、他と比べるとこのように……と、言うわけだ。

 

 ――やっぱりこう見ると。本当に俺ってちっぽけな。……だけど、これを利用すれば。どの道他に手段が、思いつきやしないんだから!――

 

 

 

 ――――

 

 ジンの唯一出来る、手段。それは……。

 

「……マリアさんには悪いけど、飽きちゃった。……じゃあね」

 

 レーミのガンプラは、止めを刺そうと、ビームサーベルを振りかぶる。

 その時――

 

 

 F91は、一気にストライクガンダムの懐へと距離を詰める。

 

〈……くっ〉

 

 いきなりのことで、レーミは驚く。

 

「体格差を上手く活かせば!」

 

 隙が出来た所に、F91はビームサーベルで斬りつけようとする。

 

〈させない……っ!〉

 

 しかし、あと僅かと言うところで、レーミはギリギリで避ける。……が。

 

「何の!」

 

〈!!〉

 

 続けざまに何度も、ジンは斬撃を繰り出す。

 小柄である分、超至近距離で攻めれば、アマチュアと上級ダイバー、その有利さでいくらか穴埋めができればと、そう考えた。

 

 

 

 これにはレーミ、劣勢となり、勢いに押される。

 一撃でも当たれば、彼女の負けだ。だからこそ攻撃を受けないよう、本気で避ける。

 

〈いい加減に……してよね!〉

 

 と、レーミのストライクガンダムは、ビームサーベルで攻撃を受け止める。

 さらに――もう一本のビームサーベルを引き抜き、本気の反撃に出た。

 

「くはあっ!」

 

 回避は間に合わず、とっさに左腕のビームシールドを展開し、防ごうとするもそれさえ手遅れなほどに速く、そして鋭い一閃。。

 ストライクガンダムのビームサーベルは、シールドを展開しきれなかった左腕を直撃した。

 幸いその左腕が盾代わりとなり致命的なダメージは防げたものの、左腕は無残に大破し、使い物にならなくなってしまう。

 

〈うう……手加減だけで済ますつもりだったのに、本気を出させるなんて。

 ……思ったより、やるね。このままじゃ、まずいかも〉

 

 レーミは、そう呟く。と、同時に、彼女のストライクガンダムは上空に飛び立ち、F91に背を向ける。

 

 

「まてっ! 逃げるのか!?」

 

 まさかの行動に、ジンは言った。

 

〈このままチャンバラを続けるのも……退屈だもん。

 仕切り直し、だよ〉

 

「そんな勝手な!」

 

〈悪いけど……ジンさんには選択肢はない、です。

 残り時間は、あと少し。早くしないと……ですよ〉

 

 彼女はそう言い残し、ジンを置いてその場から、戦線離脱する。

 

 

 

 このバトルは、制限時間つきだ。

 時間内までにレーミ、もしくはta‐zuのガンプラにダメージを与えなければ……。

 

 ――結局、やるしかないってことか――

 

 レーミの言う通り、時間は残り少ない。

 それまでに、決着を。ジンは急いで、彼女を追跡する。

 

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