【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
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レギンレイズと、ストライクガンダム。二機の距離は近く、さらにケーブルで動きも、制限してある。
いくらアマチュアのフウタでも、この距離で何発か放てば、攻撃が当たるはずだ。
一撃でも本体に当てさえすれば、二人の勝ちだ。
〈決めるぜ!〉
レギンレイズはライフルの引き金を、引こうとした。
だがその時!
〈!!〉
いきなり真下から、回転してこちらに飛来する何かに、フウタは気づいた。
それは――巨大な大斧。
とっさにフウタは、機体を操作して斧を避ける。が、間に合わない。
レギンレイズの左手は、握っていたライフルもろともに、バッサリと切断される。
ついでに、ストライクガンダムの動きを封じていた、ケーブルまでも。
〈やった!〉
〈ははは、これは危なかったかな、レーミ〉
斧をぶん投げたのは、下にいたターミナス・ハーキュリー。
そのパイロットであるta‐zuは、レーミに声をかけた。
〈ちょっと……危なかった。ありがと〉
〈いいってことさ。……おっと!〉
途端、今度はターミナスに、F91がビームサーベルで斬りかかって来る。
「はっ! いきなり斧を投げたことには驚いたが、丸腰の今なら!」
ジンは威勢よく、叫んだ。
ビームサーベルでの斬撃には、ターミナスはただ避けるばかり。
「ははは! 武器をなくしたのが仇になったな! 今度はそっちがピンチじゃないか」
F91は連続で攻め続け、ついに相手を追い詰めた。
「……もらった! 今度こそ」
ジンは決着をつけようとする。……しかし!
――!――
一瞬、何か危険感じ取ったジン。
とっさにターミナス・ハーキュリーから飛び退いた。と、同時に。
中から、巨大な大斧が宙から落下する。それはさっきターミナスが投げたものだ。
落ちたのは丁度、さっきまでF91がいた場所。いつの間にか誘導され、もしあのまま止めを刺そうとしたなら……。
――今頃あれで、真っ二つか。ゾッとするな――
〈上手く読んだな、ジン。これで、こっちが止めを刺せると、思ったんだがな。
……だが!〉
ta‐zuの言葉が終わらない、次の瞬間、更に!
「ちっ!」
すぐ真後ろに敵の反応。またジンは、機体を操作し今度は左に飛び退く。
今度の攻撃は、後ろに迫っていたストライクガンダムの斬撃だった。
ビームサーベルによる一閃。続けざまによる攻撃でも、どうにか対応出来た。
〈へぇ、ずいぶん……ましになったね〉
レーミはそう、呟いた。
彼女のストライクと、ta‐zuのハーキュリー。
互いにビームサーベルと大斧、それぞれの近接装備を握り、横に並ぶ。
〈ごめん、ジンさん。こっちも失敗しちゃって〉
ジンのF91の横にも、片腕を失ったフウタのガンプラが並ぶ。
残りの片腕にはパイルを握り、構えていた。
「いいさ。それより……」
問題は、残り時間だ。
残ったのは、もう一分もない。
「多分、残ったチャンスは、次で最後だ。これで決めないと」
画面上のフウタは、頷く。
〈うん。でもどうにか、慣れて来てそれに、上達もした気がする。
……今度こそ〉
俺は、そんなフウタの自信に応えるように、ビームサーベルを構えた。
「ああ! 少々危険な賭けだが、一気に決めるぜ!」
ジンと、フウタ。二人は示し合わせるように頷くと、そのまま――相手に立ち向かっていく!。
〈ほう! 正面から来るとはいい度胸だ! なら俺たちもそれに答えよう!〉
ta‐zuはそう言い、ターミナスの装備であるマシンガンを連射する!
〈その攻撃、大体なら慣れた!〉
フウタのレギンレイズは、銃弾を避けながら、迫って行く。無論、完全には無理であり、あちこち破損しながらだが、それもものともしない。
そしてジンのF91も、ビームシールドを展開して突き進む。
〈はぁ……横が、ガラ空き〉
するとストライクガンダムが横から、ビームサーベルを振りかぶり迫る。
「させるかっ!」
対してF91もビームサーベルで、防ぎいなした。
自分の剣撃の勢いをそらされ、驚くレーミ。
〈そんな器用な真似が……出来るようになったの!? 短い間で〉
「そうさ! おかげさまで、な!」
ジンと、そしてフウタの狙う相手、それは――
〈まさか俺を狙って来るとは、な。ふっ!〉
狙うはta‐zuのターミナス・ハーキュリー。
機体は迫る二機に向かい、大斧を持ち待ち構える。
「さぁ! ――これで勝負、つけさせてもらうぜ!」
〈そうさ、行かせてもらうよ!〉
レギンレイズと、ガンダムF91、二機は同時にターミナスへと襲いかかる。
〈ta‐zuさん!〉
援護しようにも、一瞬間に合わない。レーミはそう叫ぶ。
〈平気さ! これぐらいなぞ!〉
だが彼は、動じない。
余裕を持って待ち構え、そして……。
〈くはっ!〉
ターミナスはまず、一瞬早く迫っていたレギンレイズの攻撃を、斧の刃先で受け止め、すぐに吹き飛ばす。
「フウタ! ……だが!」
まだ自分がいる。ジンのガンプラはビームサーベルをターミナスへと振り下ろすも。
〈ふん!〉
それは大斧の柄により、いとも容易く防がれた。
〈少しはましになったものの、やはり……まだまだか〉
そして柄で弾くやいなや、斧をぶんと振り回し……F91を一閃した。
「――!」
その強烈な一撃は、致命的だった。
機能はダウンし、機体はそのまま膝をつき、動かなくなった。
〈ふっ、もはや戦えない、か〉
ta‐zuは勝ち誇ったように、そう言った。
〈制限時間も、もう僅かだ。結局俺の……〉
――その時。
〈!〉
ta‐zuの乗るターミナス・ハーキュリー。その肩の一部に、あるものが掠った。
それは、ビームの刃先を展開したままの、ビームサーベルだ。
ビームサーベルはその肩に僅かな切り傷をつけ、地面に落下し、ビームの刃は消失した。
「……どうだ、さっきビームサーベルで斬りかかる前に、もう一本、上に投げておいたんだぜ。
さっきのta‐zuの真似、とっさに真似したんだが、上手く行ったな」
〈……ほう〉
〈さすが、ジン。こんな手を用意していたなんてさ〉
ta‐zuは感心し、またフウタも驚く。
「大変な戦いだったが……これで、俺の勝ちだ。
ほんの少しでも、傷はちゃんと、与えたんだからな!」
――――
「ふふふ! まさか、ジンとフウタくんが勝っちゃうなんて!」
戦いが終わり、ジンやta‐zuたち四人のもとに、上空で観戦していたマリアとミユも降りて来ていた。
「……一撃でも当てれば勝ちという、ハンデをもらっての勝負だけどな」
「それは、相手が相手だからしょうがないわ! とにかくお疲れ様、ジン」
また一方では。
「はー! 今回のバトル、大変だったよ。
こうしてプロと、戦うなんてさ。……ミユには、情けない所を見せるし」
「ううん、そんな事ないよ。いつだってフウタは、私にとって素敵なんだから」
勝ったとは言え、良いとこなしでへこむフウタと、そんな彼に優しい笑顔を投げかける、ミユ。
「そう……かな」
「もちろん! よしよし、フウタ!」
「……ああ! そう頭を撫でられると、ちょっと恥ずかしいよ」
ミユはフウタの頭を撫で、彼は照れ恥ずかしがっていた。
「……さて。改めてよくやったな、ジンに、それにフウタも」
今まで二人が戦っていた相手である、ta‐zuはそう言った。
「正直な所、アマチュアだと甘く見ていたが、思った以上の健闘ぶりだった。
こんな戦い、俺たちも初めてだったからな。楽しませてくれて、ありがとう」
これにジン、フウタも。
「こちらこそ。おかげでいい経験を、積ませてもらったぜ」
「凄いバトルだったよ。どこまで太刀打ち出来たかは自信はないけどでも、僕たちも頑張れた気がするんだ」
「……ふーん。ま、良かったんじゃない。アマチュアにしては、上出来」
そう言う割には若干、レーミは、不機嫌そうな感じだ。
「へぇ、レーミちゃんがそう言うとはな」
「勘違い……しないでくださいよ。実際は二人とも、まだまだ。
勝てたのはハンデをたっぷり、与えたから。これじゃ私はもちろん、マリアさんにだって全然……及ばないんだから」
「……うっ」
「レーミちゃんは手厳しいわね、あはは」
するとマリアは、ジンのもとへと歩み寄る。
「マリア、俺は」
ジンは彼女のことが、好きだった。そして彼女との仲を認めてもらい、結ばれることが彼の望み。
だからこそ強く……それはマリンも。
「もちろん、分かっているわ。ジンは確実に強くなっているって、ちゃんと、私は分かるもの。
だって、私もジンの事が……」
するとマリアはジンの頬に顔を近づけると――
「!!」
自分の頬に伝わる、柔らかい唇の感覚。
仮想空間であろうとも、いま、マリアに何をされたのか、よく分かった。
彼女がジンの頬にした、キス。
「えっ、うそでしょジン!」
「キスだなんて……素敵だな」
「ヒュウ! やるね!」
「……むっ」
これにはフウタ、ミユ、ta‐zuは驚き、レーミは不機嫌そうに頬を膨らませる。
」
しかし、そんな状況は気にしない、ジンとマリア。
「えっと……俺に、キス?」
キスが終わっても、どぎまぎしているジン。
そしてマリアはそんな彼に、素敵な微笑みを見せる。
「改めて、強くなったね、ジン。私……惚れ直しちゃった」
「俺は……」
とてもやさしい、彼女の一言。それにジンは。
「……みんなの、おかげさ。フウタとミユのサポートもそうだし、戦ってきた相手だった。
ta‐zuさんとレーミとの闘いだって、良い経験にもなった、感謝だよ」
「それは、良かった! ふふっ、この勝負を頼んだ甲斐があったな」
――たしかに俺たちは強く、なれたのかな――
それでも、着実に強くなっている、自分。
「ジンに、それにフウタくんも。二人ならきっと、私とお兄ちゃんにだって!
――だから、応援しているよ!」
マリアだって、きっと期待してくれている。
――だから俺は、その思いにきちんと、応えたい――
元からきちんと思ってはいた。……が、改めて、ジンはその気持ちを、固めるのであった。