【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
フウタの決心(Side フウタ)☆
「おはよう、母さん!」
休日の、早めの朝。二階から元気な声で降りてくる、フウタ。
リビングには彼の母親がいて、そんな彼に気づくと、にこやかに微笑みを返した。
「あら、おはようフウタ。何だかとても機嫌良さそうね」
「まーね! だって今日は、ミユとのデートだから!」
見るとフウタはすでに着替えも済ませて、出かける準備を整えていた。
そんな姿を見て、つい嬉しくなる、母。
「……フウタとミユちゃん、昔から幼馴染として仲良しですものね。お母さんも小さい頃から見て来たから、ミユちゃんがどんなに良い子か、よく分かるわよ。
二人の関係、とてもいい感じだし、母親としても安心だわ」
「それって、どう言う意味だよ。
……とにかく、僕は行ってくるね。帰りは分からないから、鍵は持って行っておくよ」
――――
母親に挨拶を済ませ、自宅を出たフウタはそのまま、すぐ隣のミユの暮らす家へと。
インターホンを鳴らして、少し待つと中から聞こえる足音。そしてドアノブを回す音が聞こえたと思うと……。
「おはよう! 今日は絶好の外出日和だね、フウタ」
玄関から姿を見せたミユも、私服姿でフウタを出迎えた。
「やぁ! ミユの方も準備、出来たみたいだね」
「うん。だってフウタとこうして出かけるの、久しぶりだから。でも……」
彼女はやや心配そうな、表情を見せる。
「そろそろマリアさんとの約束が近いのに、大丈夫? もちろん私との時間を作ってくれるの、とっても嬉しいよ。だけど、ちょっと心配で」
「平気平気! たまには息抜きだって必要だしそれに、十分に強くなった感じだから、ちょっとはね。
――あと、前にも話しただろ? どんな時だってミユとの時間は、僕にとって一番大切だから」
こう話すフウタの表情。それはとても、輝いていた。
――――
カザマ・フウタとアラン・ミユは、昔からとても仲が良い幼馴染。
互いに物心ついた時から、家は隣同士のご近所。家族ぐるみの付き合いで、二人もよく互いの家を行き来したり、一緒に過ごしたりして、遊んだり……。それがフウタ達の、日常だった。
ずっと小さい頃から、そして小学校、中学校に入ってからも、その仲は変わらなかった。
自分たちの家族と同じくらい、いやあるいはそれより絆が深い二人。
何しろフウタは……。
――僕には、こうしてミユが傍にいてくれるのがどんなに幸せかって、いつも思っているから――
自分自身、あまり取柄のない人間だって言うのは、フウタは分かっていた。
人付き合いも、成績も運動能力も、大体普通。 もちろん人よりやや明るい、意外に運動は出来る方、そして――周囲では珍しい模型趣味を持っているなど、まったくの普通……と言うわけではない。それでも際立った特別さはない、まぁ普通と少年と言えた。
けれど、フウタには健気で優しくて、いつも想ってくれている幼馴染がいる。
決して自分は特別ではないけれど、それでも周りの同級生や普通にはない、特別で大切な存在が傍にいてくれた。
それこそがフウタにとって、どれだけ幸せで特別なことであるか……小さい頃からずっとその思いが、心の底にあった。
自分にだけ見せてくれる優しさや、笑顔、そして彼女の想い……。
彼女のすべてが、フウタにはかけがえのないものだった。
だから自分は、それ以上に彼女に、お返しがしたかった。幼馴染としての仲、そして友情。……だけど。
そして何より、それ以上に、もっと、もっと、彼女を大切にしたかった。ミユの事が誰よりも、好きだった。
だから――――今から一年前、高校に入ってからしばらくして、ミユに告白した。
もちろんミユもフウタの事が、同じくらい大好きだった。だから告白はすぐに実り、それからの二人は恋人として、今まで過ごして来た。
互いに両想いの、幼馴染カップル。それぞれ互いの事が大好きで、一緒にいるだけでも幸せだった。
――しかし。
――何の取柄もない僕だけど、それでもミユは好きでいてくれるんだ。……だからこそ、せめて僕も彼女が好きだと言う想いだけは、本気で証明したい。
我儘かもしれないけど、そうすれば僕も、少しでもミユにふさわしいパートナーに、なれると思うから――
それはフウタの、決心であった。