【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
――――
フウタとジンが対決するのは、ロッキー、それに彼と同じ元悪質ダイバーのディック。彼もまた、あれから足を洗ったらしい。
バトルフィールドは大きな湖がある、湖畔地帯。
「だああっ!」
フウタのレギンレイズは手にしたパイルを、目の前のハイゴックの頭めがけて振り下ろす。
〈何の!〉
対してハイゴックはクローで、攻撃を防ぐ。
〈最初に戦ってから……どれくらい経ったっけな、えっと、二か月くらい、だったろうか〉
目の前のハイゴックに乗るのはロッキー、彼は久しぶりの二人との闘いに、興味津々な様子だ、
「多分、それぐらいだね」
ハイゴックは強烈な力をクローに込め、レギンレイズを弾き飛ばし、続けてミサイルを射出する
だがとっさにフウタも、パイルからライフルに持ち替え、迫るミサイルを撃ち落とした。
〈へぇ? ……悪くない〉
「そりゃそうさ! これくらい、今の僕ならね」
と、今度はライフルの銃口を、ロッキーのハイゴックに向ける。
この距離なら、と――。フウタがそう考えた、瞬間。
「おっと!」
いきなり後ろから、別のクローが伸び、掴みかかる。
〈くっ、ディックの奇襲も失敗か〉
〈すまないロッキー、しくじった!〉
後ろに迫っていたのは、ロッキーの相棒、ディックのハイゴックだ。背後からの挟撃を仕掛けたようだが、フウタのレギンレイズはその間から避け、攻撃を回避した。
「へへん、どんなもんだい。そして――固まってると、危ないよ。
ねぇ、ジン!」
〈おうとも!〉
ジンのF91は上空から、ばっと登場した。そしてそれと同時にヴェスバーを展開し、まとまったハイゴック二機に狙いを定め、放つ!
〈くっ! これは……しまった!〉
ロッキー、それにディックは回避運動を取るが。
〈ディック!!〉
ジンの攻撃は以前よりも鋭さを増していた。
手前にいたディックのハイゴックは、まんま胴体を貫かれ、爆散した。
〈これで一体撃破だ! 残るはロッキー、ただ一人だぜ〉
〈まさかディックがああも簡単に。それに俺も……〉
ロッキーのハイゴックは回避出来たものの、右腕部が先ほどの攻撃で大破していた。
ここから一気に畳みかける。
フウタはロッキーのガンプラに、肉薄する。
「次は僕の番! 倒させてもらうよ、ロッキーさん」
回避し、一瞬怯んだハイゴックに、彼のレギンレイズはライフルによる連射攻撃を与えた。
だが簡単にはいかない。相手は大破しほとんど使えない右腕を盾替わりに急接近をかける。
「何だって!!」
〈ダメージを与えたからって、油断するなよな〉
迫るハイゴックは次の瞬間、無事な方の左腕で突きをかました!
「……くうっ!」
突きはレギンレイズの右腰を抉り、その膝をつかせる。
フウタは再びライフルを向けようとするも、ハイゴックはぶんと腕を強く振り、機体もろとも湖の中に吹き飛ばす。
〈フウタの奴!〉
〈おっと、隙あり!〉
ジンも応戦に入ろうとするが、ハイゴックは左手のクローを開き、内蔵されたビーム砲を放つ。
ビームの弾をいくつも受け、ジンのF91もまた湖に墜落した。
――――
――ううっ、やっぱりロッキーさんもなかなかだな。と言うか前より腕上げてない?――
湖にドボンと落ち、フウタは頭を抱えた。が、そうしてもいられない。
「うげっ! マジかよ」
見るとあちこちから水だって入って来る。これは早く、陸に上がらないと。
それにジンのガンプラも、同じく湖に叩き落されていた。
〈しまったな、よりにもよって水中とは。……おそらく、ロッキーも〉
彼の嫌な予感は、すぐに当たった。
突如向こうから高速で迫る物体、そして――
〈ぐわーっ!〉
物体はジンのF91に激しく体当たりを仕掛けた。その正体は、ロッキーのハイゴックだ。
今の一撃はかなり効いたらしく、F91は全身の関節からスパークを散らし、動けなくなる。
〈しまった……今ので全身がやられた。これじゃもうこっちは……〉
〈くくく! 水中ならこっちの独壇場、覚悟するんだな!〉
強烈な体当たりを食らわせたハイゴックは、急旋回し、今度はレギンレイズの方へと。
〈もうジンは戦闘不能。次はフウタ、お前の番だぜ!〉
再び体当たりを仕掛けるつもりらしい、ハイゴック。水陸両用機なだけあり、そのスピードは凄まじい。おまけにあの装甲の強度、あれで体当たりを食らわされたらジンの二の舞だ。
……しかし。
――確かに、この状況はこっちに不利すぎる。けど、向こうから体当たりをしに近づくなら―?
レギンレイズはパイルに持ち帰ると、迫るハイゴックに向けて構える。
――こっちだって一撃を与えるチャンスでもあるんだ。もちろん、たぶんこれが唯一の――
これで相手を倒さなければ、逆に自分が体当たりでやられるかもしれない。
この一撃で、勝負は決まる。
次第に迫る二機の距離。パイルを握り、レギンスはハイゴック目掛けて――!
――――
バトルが終わり、フウタとジン、それにミユとロッキーは高層ビルの屋上で過ごしている。ちなみにロッキーと一緒だったディックは、用事があると言うことで、先に分かれた。
ビルの柵にもたれ、フウタは自販機で買ったコーラをちびちび飲んでいた。
「いやー! いい勝負だったぜ。まさか最後は相打ちとはな」
そんなフウタに、ロッキーは近づいて話しかける。
あのバトル。最後はレギンレイズのパイルがハイゴックの動力部を貫いたが、同時にハイゴックの体当たりのダメージも受けた。それによりフウタのガンプラも操作不能となり、結局相打ち……と、言うわけだ。
「でも惜しかったな。あの時だってあと少しで、僕の勝ちだったのに」
「それは俺の言う言葉さ。実力は互角、だったんだからよ」
と、ロッキーは我ながら妙なことを言ったような、そんな表情をした。
「俺と互角、か。本当にお前たちは、それなりに進歩したんだな。まぁ、それで上級ダイバー相手に戦えるかどうかは、怪しいけどな」
「もう、そんな事ないよ! ジンさんも、そして――フウタも、とっても強くなったんだから」
すると横にはミユまでも現れて、そう話す。
「ミユちゃんは、とてもフウタの事を信じているんだな、さすが彼の彼女さんだ」
「それはもちろん! だって誰よりも、大好きな相手だもん!」
フウタは勿論だが、やはりミユもミユで、彼に対する想いは強いのだ。
「そう言ってくれて、僕も嬉しいよ! やっぱりミユがいてくれるだけで、僕は……」
「……」
しかし、ジンは渋い表情で、その様子を見ていた。
何やら複雑な考え事をしている感じで、やがて意を決したように彼は、フウタの元へと近づく。
いつもと少し違う、ジン。フウタはそれに気づく。
「あれ? ジンも僕に、何か話でもあるの?
……なんていうか、目が怖いよ」
そんなふわふわした感じのフウタに、ジンはいつもより真剣な眼差しを向ける。そして――
「なぁフウタ、少しお前に話したいことがある。……二人だけでな」