【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
フウタはジンに連れられて、人気のない通路に。
「それで、話したい事って何なのさ?」
いきなりここまで連れて来られて、訳が分からないと言った様子のフウタ。対して、ジンの表情は……やや険しいものだった。
「話は、さっきのロッキーとの闘いについてさ。あれは、一体何だったんだ?」
「何だったんだって、言われても」
「フウタの戦い方は、俺から見て雑にも程があった。あんなに不注意に、相手に近づいて攻撃を受けるなんて、俺だってやらないぞ」
「……ああ。あれはたまたま、そうなっただけさ。勢いでつい、ね。次からはちゃんと気を付けるから、怒らないでよ」
軽い調子でフウタは答える。
「じゃあもういいかな。ほら、屋上にはミユを待たせているしさ」
そしてそのまま屋上へと、戻ろうとする彼であったが……
「おい!」
フウタの肩をぐっと、ジンは掴む。
「いたた、強く掴んで……何だよ」
これには彼も不機嫌そうに、掴んできたジンをにらんだが、向こうもまた同じ様子だ。
「どう見ても――フウタはたるんでいる。ジョウさんとのトレーニングが終わってから、いや、その間も……だったか。
ミユちゃんと過ごしている時間ばかりで、本当に強くなる気はあるのか?」
「うるさいな。もちろん……あるに決まっている」
このフウタの態度に、さすがのジンも怒りを抑えられなかった。
「なら、もっとガンプラバトルに集中してくれよ! 前から思っていたが、フウタはいい加減なんだよ。
本当に、彼女がいるからって気楽でいいよな。何しろ素敵な子だもんな、ミユは。羨ましいよ、そうして彼女の好意があるだけでも、幸せなんだろうからさ。
……そんなんだから、俺と違って頑張る気も、どうせないんだろうよ」
「――っ!!」
途端フウタの態度が豹変し、激情に満ちた表情でジンの襟首を掴む。
「いきなり、何のつもりだ!」
「黙って聞いていれば勝手なことばかり! ミユがいるから僕に、頑張る気がないだって!?
僕が、どれだけ彼女の事を、想いに応えるために一生懸命やっているのか知らないくせに!」
ここまでになった彼の姿は、ジンにとっても初めて見るものだった。
「……そりゃ、ジンさん程にガンプラバトルのトレーニングは出来てないだろうさ。
けどミユの事――時間だって、僕は大切に大切にしないとなんだよ! 僕がジンさんとバトルを頑張っているのだって……」
「フウタが俺に協力しているのは、俺が持っているウィングガンダムゼロカスタムが欲しいって言う、自分の都合だろ。
……ミユちゃんとは関係ない。言い訳のつもりか」
「それは……っ!」
これにフウタは、言い淀む。
それに今のこの空気感、ジンもまたこれ以上、何か言うことは出来ないでいた。
互いに無言で、しばらくにらみ合う。
そして――。
「――もういい」
ふいにフウタは一言言って、ジンから顔をそらす。
「僕はもう、これ以上ジンの顔は見たくない。
じゃあ、ミユも待ってるから、合流したらもう……今日は帰る」
そう言い捨てた後、一方的にその場から去っていくフウタ。
彼の後ろ姿を眺めるジン。今は怒りよりも戸惑いの感情が、ずっと強かった。
――何か俺は、気に障ることでも言ってしまったのか。どうしてフウタは、あんなに――
いくら考えても分かるものではないが、それでも、自分の相棒だ。
さっきは怒りはしたが、相手は自分よりも子供。ジンは彼が、気がかりなのだ。
―――ー
一方、屋上のミユとロッキーは。
「ジンさんと一体、何を話しているのかな」
戻りが少し遅いので、ミユは心配していた。
「平気平気! どうせすぐに、戻ってくるさ!」
対してロッキーはそう気楽な様子だ。
「でもそんなに、フウタの事を気にかけているなんてな。ずいぶんと彼氏思いなことで」
「えへへ! だって、なんだか放っておけない感じがあるし、何より私が大好きな、相手だから」
これにはミユ、頬を掻きながら照れ笑い。
そしてふと、彼女はこんな話もする。
「それに、フウタだって私の事を、とっても想ってくれるのも分かるから。だから私も負けないくらいに、ね」
「ああ! 確かにあのネコミミ坊や……失礼! フウタのミユちゃんに対するベタ惚れ具合もなかなかだからな。
正直、ちょっと行き過ぎな部分もあると、思いもするが」
「……あはは、そう……だね」
するとミユは、ロッキーの言葉に何やら、思う所があるようは、そんな表情を見せた。
「おや? 何やら悩んでいるみたいに見えるが、、どうしたんだ?」
ロッキーに言われて、彼女は――
「もちろん、フウタに想ってもらえてとても嬉しいんだよ。
だけどあんなに私の事を思っているのは……ちょっと、ある理由もあったりするんだ」
「理由だって? そりゃあ一体、どんなのなんだい?」
「うん。実はフウタ、ある事で思い詰めている事があるんだ。
――それはね」
……と、ミユが何やら説明しようとしていた、その時だった。
「えっ?」
いきなり二人の真上に、覆いかぶさる巨大な影。見上げると丁度上空に巨大戦艦の姿があった。
黒色の船体と、二本足のような前部と翼、それにブリッジ……。さながらその姿は黒いペガサスのようだ。
「あれは、アークエンジェル。……いいや、その同型艦の『ドミニオン』か」
あの船は、機動戦士ガンダムSEEDに登場する宇宙戦艦――ドミニオンだ。
二人とも突然そんなものが頭上に現れ、驚いていた。するとさらに……。
上空のドミニオンから、次々とガンプラが出撃して、二人のいるビルを取り囲む。
翼のついたバックパックを背負い、白と青を基調とした二本角の、一見ガンダムのような機体。
それは同作品の続編であるSEED Distinyに登場する機体、ウィンダムである。
「しかし一体、何だ!? どう言うつもりなんだよ」
数は全部で六機、内五機がビルを取り囲んでいて、一機のみ……ミユとロッキーの前に立ちふさがる。
「あの……これは一体、どう言うつもりなんですか? いきなりこんな事をするなんて、失礼です」
目の前のウィンダムに、ミユは言った。
すると――通信で若い青年の声が返って来る。。
〈ほうほう! ずいぶんと度胸もあるじゃないか!
見た目もタイプだけど、そこも気に入った。やっぱり俺の目に狂いはなかったって、事か!〉
そして胸のコックピットハッチが開き、中から現れたのは……。
「やぁ、素敵なお嬢さん! ここで会えたのも――まさに運命だね」