【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
宇宙空間を駆ける、二機の機体。
――へぇ、前よりも良い戦いをするじゃないかよ――
ハクノは『機動戦士ガンダムOO』の量産機アヘッドを改造した自分のガンプラ、アヘッド・ブロッケンを駆りながら、考えた。
彼が戦う相手――ガンプラは、アヘッドのGNビームライフルによる射撃を高機動で回避しながら迫り来る。
相手は……一機。それはV2ガンダムの改造機体。
機動戦士Vガンダムの主役機、Vガンダムの後継機であるV2ガンダムは従来のMSに比べれば小柄ではあるものの、最高と呼ばれる程の性能を誇り更に、桁違いの加速、機動性を誇るミノフスキードライヴを内蔵していた。
色合いはアヘッド・ブロッケンとほぼ同じ黒鉄色、外見も全体に刺々しく追加装甲が施され、更にバックアップは更に大型化……まるで蝶を思わせるような、小柄な本体とほぼ同等の物を備えている。
〈今度こそ、お前に勝ってみせるとも! ハクノ!〉
パイロットは長い金髪のキザな青年。彼はそう叫ぶと彼のガンダムの専用装備である双剣を振るう。
これにアヘッドは回避すると同時に、ウィンダムの左側に回り込み、右腕部に搭載された蛇腹剣で反撃だ。
まるで蛇のようにうねる剣先、だがそれが届くよりも先に、相手は懐に入り再び斬撃を加えた。
「……くっ」
とっさに後ろに飛びのくが、その一撃、いや二撃はアヘッド・ブロッケンの胸部装甲に深い斬撃痕を残した。
ハクノは悔し気に顔をしかめるも、次にはにやりと笑みを浮かべる。
「はは、は。やってくれるじゃないか、カイン!」
そう、ハクノが戦っていたのは、先ほどフウタとジンが出会っていたダイバー、カインであった。
〈前にやられてから、この日を待ってたのだよ。
この私のガンプラ……V2シュヴァルツドライで君を、打倒してあげるさ!〉
シュヴァルツドライ――それが、カインのガンプラの名であった。
「その心意気は褒めてやるぜ。……でもな」
ハクノのアヘッド・ブロッケンはその手に持つGNビームライフルの銃身など、パーツをパージさせる。それにより武器の全長は短くなり、ビームライフルからGNサブマシンガンへと変わる。
と、同時にマシンガンからビームを乱射するアヘッド。
ビームライフル時の一点集中の射撃でなく、複数の弾による連射、しかも二機の距離は互いに近距離。この状況なら――
〈くうっ〉
V2シュヴァルツドライはすぐに回避を試みるものの、内四発のマシンガンの弾が機体各部に当たる。
これに続け、アヘッドは再度剣撃を繰り出してかかる。が、向こうもまた剣の刃先で攻撃を防ぐ。
〈続けて斬りかかってくるとはな。だが、こっちには剣が二本ある!〉
そう、アヘッドの攻撃を防いだのは、双剣の片割れであった。つまりもう片方はがら空き、今度はシュヴァルツドライが空いた剣を振るいかかる。
剣の刃先はアヘッド・ブロッケンの胴体を貫こうと。
「おっと――少し甘かったな!」
予想通り。まさにそう言うかのようにハクノは笑みを浮かべた。
次の瞬間、剣が届くよりも早く、アヘッドはその脚部で鋭い蹴りを見舞った。
〈!!〉
「例えそうだとしても、こっちにだって二本、足があるんだぜ。……そして!」
蹴りを食らって、吹き飛ばされるシュヴァルツドライ。二機の距離は幾らか離れはしたが、アヘッドの蛇腹剣なら。
「これで、決まりだぜ」
うねる剣は伸び、そしてシュヴァルツドライのその胸を――深々と貫いた。
――――
「しかし、まぁ良い勝負だったぜ。後少し実力が違えば、多分負けていたのは俺だったろうさ」
ガンプラバトルの後、ハクノとカインの二人はロビーにてそんな会話をしていた。
「……ふっ。私もあれから腕を上げたとは思ったが、まだまだと言う所か」
「それでも俺のブロッケンに、あんな傷をつけた事は褒めてやるさ。
ははは、もちろん俺としては悔しいって言うのもありはするんだけどよ」
それでも満足の行く戦い、ハクノも、もちろんカインも、その気持は同じだった。
「また戦いたいものだな。三度目の正直、今度は私が勝つとも」
「くくく、さてな。悪いがその時には、また俺が勝たせてもらうさ」
二人共互いに、そんな感じだ。
すると……そんな中でカインはある事で話題を口にする。
「……そうだ。勝負で思い出したが、実はついさっきある二人にタッグバトルを申し込まれたんだ 最も、それは私が二人と一緒にいた、可愛い女の子と付き合いたいからなんだがな」
「ほう?」
ハクノはそれに、いくらかの興味を持った。
「また女の子目的、か。出来ればほどほどにした方がいいとは思うが……まぁいいか。
それで戦う空いてってのは、どんな奴なんだ?」
「相手は見たところ、ただのどこにでもいるエンジョイ勢というか、言わば普通の奴らさ。
姿は、そうだな。青い髪のネコミミ少年と、旅人風の格好をした灰色髪の青年の、二人組だよ」
「おい……それってまさか」
カインの話に、彼は反応した。そしてこう尋ねかえした。
「もしやその二人の名前と言うのは、フウタとそれに……ジン、なんじゃないか?」
「おお、よく知っているじゃないか! ハクノの知人でもあるのかな?」
苦々しげに、頷くハクノ。
「ちょっと因縁があってな。まさか、ここで名前を聞くとは。
俺もまた、二人と戦う予定なのさ。でも……」
彼は半分呆れた感じで、首を横へと降る。
「カインの言う通り、二人ともアマチュアのアマチュア。俺はもちろんカインさえ、足元にも及ばないだろうさ」
「ふむ」
一人うんうんと納得するようなカイン。そしてこう口を開く。
「となると、私の勝利は確定か。少し拍子抜けであるが、まあいい。ミユちゃんとのデートは決まったも同じなのだからな」
カインは余裕満々。
それは当然、戦う相手は自分より数段も格下だと、考えているからだ。
しかし果たして、本当にそうだろうか?
何しろハクノも、それにカインも、フウタとジンがあれからどれだけ成長したのか……まだ知らないのだから。