【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
大会前にて その1(Side フウタ&ジン)☆
「……おはよう! フウタ!」
フウタが玄関先に出るとミユが出迎えてくれた。
「おはようミユ。タッグバトル大会はようやく今日だね」
彼女はにこりと微笑んでこたえる。
そう、ついにこの日……大会での決着をつける時が来たのだ。
「まあね。今日のために今までずっと頑張ったわけだし、やるからには優勝さ!
僕はもちろんジンだってきっと、そう思っているはずだし」
話しながらフウタはジンの事を思い出す。
元々のきっかけは彼だ。
ジンの想い人であるマリアとつき合うために彼女とその兄ハクノ、二人との勝負を大会で行うと約束していた。
「ここまで長かったね、本当に。
でも二人ならきっと大丈夫だよ。だから自信を持っていいんだから。
……だから、そろそろジョウさんの店に行こうよ。きっとジンさんだって待っているはずだから」
フウタは彼女に勿論と言った。
「たしかに待たせたりしたら悪いもんな。
じゃ――行こうか!」
そして二人は共に、GBNにログインするためにヒグレ模型店へと向かうことにした。
――――
家を出たジンは、街の通りを一人歩いていた。
――いよいよ今日な訳だが、ははは……いざとなったら実感が沸かないものだな――
ついそんな風に思いながら道を歩く彼。
ジンもまた大会が始まると言うことで、色々考えていた。
――俺なりには頑張ったけれど、大丈夫かな。
きっと、マリアだって期待してくれているんだ――
もちろんマリアの事だって考えていた。彼女と一緒になるために、ジンは勝つしかない。
――マリアは今頃、どうしているだろうな? 彼女もハクノと一緒に大会に出るはずだ。もうGBNにログインしたのか――
こう思いを巡らせていたジン。
すると、その彼の後ろから……。
「おはよう! ここでジンに会えるなんてね……嬉しいわ!」
声とともに繋がれた手。
隣を見るとそこには、すぐ傍でにこやかに微笑むマリアの姿が。
「俺も会えて嬉しいよ、マリア」
ジンもまた嬉しそうに表情が緩む。
「けど、本当に驚きだ。まさか現実で会えるなんて思わなかったしそれに、兄さんはどうしたんだ?」
「お兄ちゃんねぇ。お兄ちゃんなら私より先にGBNにログインしたわ。
多分大会前のウォーミングアップってことで、ミッションなりバトルなりやっているんじゃないかしら?」
そう言うとマリアは、ジンにぴったりとくっつく。
「だから少しの間、私たちは一緒にいられるって訳なの
そうだ! ジンだって今からGBNに行くんでしょ?」
「まぁな。フウタだって今頃はログインしているだろうし、待たせたら悪いだろ」
「ふーん、フウタ君もいるってことは、ミユちゃんも一緒かしらね。
……そうだ!」
まるで良いことを思いついたとばかりに、マリアは両手を合わせて笑う。
「フウタ君たちもいるって事は、良い事を考えたわ!
――とにかく、まずは私たちもログインして合流しましょう、ジン!」
「ああ!」
ジンもまた、それに笑顔で頷いて答えた。
――――
GBNへとログインしたフウタとジン。
「……あっ、ジン」
「よう! フウタ」
ログインした瞬間、二人はロビーですぐに鉢合わせた。
「てっきり僕が先かと思ったけれど、まさか先にいたなんて。
僕とミユはついさっきログインした所だけど、ジンさんは?」
「俺もついさっきさ。本当に偶然って奴だな、ハハハ!」
ジンはおかしそうに笑い声をあげる。
それにフウタの隣にはやはりミユの姿もある。
「こんにちは、ジンさん。今日は二人とも頑張り所ですね。……それに」
ミユは目の前にいるジンの、その隣にいる相手に目を向ける。
「ハロー! フウタくんにミユちゃん!」
明るい表情で手を振るのは赤い髪の美人さん、マリアであった。
「マリアさんも一緒なんですね。
……でも、マリアさんは」
途端に複雑な顔を見せるミユ。
何しろマリアは、今回の大会では二人の最大の敵になる。それと一緒にいるなんて。
「アハハハ! それはそれ、これはこれよ!
そりゃ大会では全力で戦うけれど、今はまだ始まるまで時間があるでしょ?」
「マリアの言う通りまだ時間は、あるよね。
……どう時間を潰そうか」
「確かにな。とりあえず大会の開催地があるディメンションに向かっても、良いとは思うんだけど。
場所は砂漠のど真ん中にある大きな街だっけ」
ジンの言葉にマリアは頷く。
「ええ、そうよ! 今から一緒にそこに向かおうかと思うんだけど、実は――もう一つ」
すると、彼女はある事を提案した。
……それは。
――――
GBN、大砂漠地帯のディメンション内に位置する都市。ここがタッグバトル大会の開催地、中央にはその舞台となる巨大なスタジアムだってある。
あの場所でこれから激しい戦いを繰り広げることになる。……が。
そんな街の一画にある小綺麗でオシャレなカフェにて。
「甘々だね、このケーキ! フウタも美味しい?」
「ここのデザートは僕も好きだよ! ケーキだってそれにココアも甘くて美味しいね、ミユ」
「ねー! ……ありがとうね、マリアさん。良お店を教えてくれて」
カフェのテーブルでフウタとミユはテーブルで向かい合わせで座り、ケーキとココアを舌鼓をうっていた。
「あはは。こうして喜んでくれて、良かったわ」
そしてその横のテーブルにはマリアとジンがいた。
同じくデザートを口にして、ちなみに二人が飲んでいるのはココアじゃなくてコーヒーとなる。
「ここのお店も、とても評判の良い所だって聞いたからね。
きっと気に入ってくれるって思ったわ。
ねっ、ジン!」
マリアは目の前のジンに声をかける。
「ああ! こうしてみんなと一緒に食事って言うのも、良いものさ」
彼もマリアといられて上機嫌な、そんな感じだった。
「……我ながら素晴らしい提案ね。
私とジン、それにフウタくんとミユちゃんのそれぞれ二人で。言うなればちょっとしたダブルデートって奴ね」
そう言って彼女は、フウタとミユにウィンクを投げかける。
「ダブルデート……か。こう言うのも新鮮だね。
ミユと二人っきりのも良いけど、四人なのもさ」
嬉しそうな顔のフウタ。しかしまた一方で。
「でも、大会の前にこうして良いのかな?
だってハクノだって今、ウォーミングアップしているんだろ。多分他の参加者だって……なのに」
これからもうすぐ大会が始まる。なのにこんな事をしていいか、やっぱり心配らしい。
けど、マリアはふふっと可笑しそうにする。
「平気よ。大体兄さんも含めてだけど、直前になってまでこんな事をしたって仕方ないわよ。
今までずっと特訓してたんでしょ? それに今更少しだけウォーミングアップなんかするよりは、こうして気分転換した方がいいわ!」
そう言いながら彼女はケーキをスプーンを一すくいして、ジンに向ける。
「……と言うことで、ジン、あーんして!」
「なっ!」
こんな時にいきなりそんな事をされて、どぎまぎする彼。
「せっかくジンとも一緒にいられたんだもん。ふふっ、食べさせ合いっことか恋人らしいじゃない」
「でも……ここで、こんな事をするなんてよ。恥ずかしいぜ」
ジンは顔を赤くして恥ずかしがる。
しかしマリアはさらにおかしそうに。
「ふふっ、そう言っちゃう? ならあの二人は?」
彼女が指さす先には、既にフウタとミユが食べさせ合っている姿があった。
「フウタ、あーん!」
ミユはスプーンでケーキをすくって、フウタに近づける。
そしてそれを心底幸せそうに口に入れるフウタ。
「うん! とっても美味しいさ!
前に現実世界でも似た事をやったし、こうして大好きなミユとなら。
じゃあ、今度は一緒にしよう。……ほら」
「ふふふ、もちろん私もだよ。嬉しいな、フウタとこうして……」
今度は互いにスプーンを握って、同時にそれぞれの口元に。
「――やっぱり美味しいよね」
「――だね。ミユからの一口、とりわけ格別だよ。やっぱり僕の世界一の幼馴染み、恋人だよ」
「……フウタってば」
横でラブラブな二人に、ジンは苦笑い。
「あはは、二人はとっくに気分転換って訳か」
「そう言う事。だから、私たちだってね」
こうなったら覚悟を決めるジン。
マリアもケーキをスプーンで一すくいして、彼のもとに。
相変わらず、いやさっきよりも顔を赤くして恥ずかしがり、ジンはドキドキしている。
それでも視線は真っすぐにマリアへと合わせ、口を開ける。――そして。
「くすっ、どうかしら」
「……」
マリアからの一口、ジンは黙ったまま味わって食べていた。
けれど、照れたまま彼は、その表情を緩めた。
「もちろん美味しいよ。何よりもさ」
この答えに、マリアはにこっと笑った。
「良かった! ジンがそう言ってくれると、私だってとても嬉しいんだから」
そう、彼女が言った時だった。
「あれっ?」
マリアはふと、別のテーブルに視線を向けた。そこにいたのは……。
「あそこにいるのって――もしかして」
いよいよ今回で最終章……。
ちなみに、次回からコラボと言うことで……他作者さんのキャラが初登場する予定です。