【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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[コラボ回]兄妹の戦い、そして、三回戦へと(Side マリア&フウタ)

 ―――― 

 

 次は三回戦に入るフウタとジン。

 けれど、その前に……。

 

 

 第二回戦の最終バトル。

 戦うのはジン達の倒す目標となる、マリアとハクノの兄妹。

 対する相手は。

 

〈さて、この場でリベンジさせてもらうよ、二人とも〉

 

 マリアのガンダムバエル・クリムゾンと、ハクノのアヘッドブロッケンの前に立ち塞がるのは、一機のウィンダムとそして――カインのガンプラ、V2シュヴァルツドライだ。

 

〈ハハッ! 性懲りもなく立ち塞がるか、カイン!〉

 

 アヘッドブロッケンに乗るハクノは、心底面白そうにして笑う。

 そんな兄の様子をマリアは。

 

 ――兄さんってば楽しそうね。バトルになると生き生きするって言うか――

  

 実際そんな兄の様子はこれまで見て来たのか、若干慣れているような感じで、微笑ましく眺めている。

 最も……そんな暇は、次の瞬間に消し飛ぶことになるのだが。

 

 

 

〈それでは早速、行かせて貰おうか!〉

 

 バトルは始まっている。ハクノのシュヴァルツドライは大型バックパックのバーニアを全開にして加速する。

 シュヴァルツドライの狙いは、因縁の相手であるハクノのアヘッド。けれど一方でマリアに対しても。

 

「くうっ、これはまた手厳しいわねっ!」

 

 スタジアムの上空を旋回し、ビームライフルで彼女のバエルを狙い撃つウィンダム。

 

 ――ダイバーの腕前もいいわね。さすがフォース『ブラックホース』のナンバー2――

 

 カイン率いるフォース『ブラックホース』、マリアが戦っているのはそのリーダーであるカインに次ぐ、フォースの実力者である。

 ビームライフルによる射撃とともに、ミサイルを放つウィンダム。マリアは地上で攻撃を回避していた。

 

 ――先手を打たれたのが不味かったわね。私が飛ぶ暇は与えないって訳――

 

 地の利を得たウィンダム、対等に戦えば恐らくマリアの方強い。だからこそ、この有利な状況を維持したまま倒すつもりだろう。

 

 ――私はこんな感じだけど、兄さんはどうかしらね――

 

 

 

 マリアはちらとハクノの様子も確認する。

 

〈はんっ! 成程悪くない!〉

 

 アヘッドブロッケンに次々と繰り出される、シュヴァルツドライの双剣による斬撃。

 次から次へと迫る攻撃にハクノは精一杯。ではあるものの、楽しそうな笑みを浮かべている。 

 

〈どうかな、今度こそ君に勝ってみせるとも〉

 

 気合いの入ったカイン。

 これまでに二人は何度も戦いもした、言うなればライバルとも呼べる関係だ。

 激烈な剣戟を繰り出す二機。しかし、戦局において有利なのはカインのシュヴァルツドライだ。

 

〈……それにしても、この状態でも楽しそうにするのだな、相変わらずハクノは〉

 

 呆れているのか、関心しているのか分からないようなカインの様子。けれど一目置いている事だけは確かだ。

 

〈当たり前だぜ。ガンプラバトルは楽しんだもの勝ちさ。そして追い込まれた時には……猶更にな!〉

  

〈くっ!〉  

 

 瞬間、会話中で出来たほんの僅かな隙を、ハクノは見逃さなかった。

 その時腕に装備された蛇腹剣をぶんと振るい、二機の間に斬撃の軌跡を生み出した。

 これにはカインも離れるしかなかった。彼のシュヴァルツドライは地を足で蹴り飛び退く。

 

〈私としたことが、しまったな〉

 

〈これであいこ、と言ったところかな。……どうだ!〉

  

 再び状況は互角となった。アヘッドブロッケンとシュヴァルツドライは互いににらみ合い、そして――

 

〈今度は俺の方から仕掛けさせてもらうぜ!〉

 

 今度はハクノが攻勢へと出る。そしてそれを迎え撃つカイン。

 

 

 二人の戦いを横目で見ていたマリア。

 そんな彼女では……あったが、今は。

 

 ――残念だけど、ここからはたっぷりお返しさせてもらうわっ!――

 

 上空から射撃を繰り出し続けるウィンダム。これには彼女も追い込まれ気味ではあった。………しかしいつまでもそのまま、なんてわけがなかった。

 彼女はすでにそのピンチから脱し、今度は上空でウィンダムを追い詰めていた。

 大型のライフルを構え、そして強力なビームをお見舞いするのだ。

 避けるウィンダム。そのまま急旋回したかと思うと両翼のミサイルを一斉に放って攻撃する。

 

 ――やるじゃあないの、これは――

 

 ミサイルは計四発。まずはライフルで二発撃墜する、けれど残り二発はいまだ迫る。

 仕方ない。マリアは腕のシールドで受け止めた。

 

 二発分の威力はかなりのもの。衝撃で墜落しかけ、さらには煙で視線がふさがれる。

 そして視界が開けたその瞬間、見えたのはビームサーベルを手に迫る、ウィンダム本体の姿があった。

 まさかの奇襲。けれどマリアの表情にはその時、してやった言う笑みが見えた。

 

〈この時を、待っていたのよっ!〉

 

 瞬間、バエルクリムゾンは瞬時に一本のバエルソードを抜いた。ウィンダムはビームサーベルで斬りかかろうとしても、実際は攻撃が繰り出される寸前。

 しかもビームサーベルを振り上げる姿勢、胴体はがら空きだ。

 

 ――気を抜いてしまったわね、残念でしたっ!――

 

 たった一閃、それだけで十分だった。

 バエルソードの一撃は閃光のように早くウィンダムの胸部を切り裂いた。

 そしてバエルクリムゾンがウィンダムから離れた途端だった。機体は炎上し、次の瞬間には大爆発を巻き起こした。

 

 

 

 ウィンダムに勝利したマリア。

 

 ――ふふっ、これくらい楽勝よ! ……ちょっと苦戦したけど――

 

 マリアは確かに勝利した。けれど、ハクノとカインの決着はまだついていなかった。

 向こうでは白熱する剣戟が続く。

 

 ――あれじゃ割って入るのは難しいわね。兄さんに当たるかもしれないし――

 

 

 そう、彼女はもどかしささえ感じていた。けれど――勝負は間もなくつく事になった。

 剣戟を繰り出し、不意に距離を取り、互いに剣を構える。

 ……次の攻撃で決めるつもりだ。

 瞬時、急接近して剣の軌跡が交差する。

 互いに一撃、それを繰り出したアヘッドブロッケンとシュヴァルツドライは微動だにしなかった。

 

〈……ふっ、また私の……負けか〉

 

 カインがそう呟いた瞬間、彼のシュヴァルツドライは前のめりに倒れ、そして爆発した。

 

 

 

〈よしっ! 俺たちも二回戦突破だぜ!〉

 

 画面越しのハクノはぐっとガッツポーズを決める。

 兄のそんな様子につい笑ってしまうマリア。

 

「そうだね。今回はちょっと、手ごわかったけど」

 

〈全くだ。カインの奴、俺とほぼ互角なんだからな。その内いつ追い抜かれると考えると、ヒヤヒヤするぜ〉

 

 そう話すハクノだけれど、今度は改めてこんな事を続ける。

 

〈まぁ、勝てたからいい……か。あくまで俺の目的はジンの奴さ。

 今回できっちり、ねじ伏せてやる!〉

 

 相変わらずの兄。マリアは仕方ないと、そう思いつつも……。

 

 ――最も、二人との勝負は私も楽しみなんだけどね――

 

 

 

 ――――

 

 そして、ようやく第三回戦。

 

「……三回戦目、あっという間」

 

「だね、レーミちゃん! やっぱり二回戦目で負けたのは悔しいけど、こうして観戦するのも、やっぱり悪くないんじゃない?」

  

「かも……だね、マノモ。……はむはむ」

 

「あっ! レーミちゃんだけずるい! いつの間にポップコーンを買ってるなんて」 

 

「……ちょっとだけ。良かったら、マノモも食べる?」

 

「――ふふっ、これはまた可愛いお嬢さん達と一緒とは、嬉しいものだ。

 やはりここに来て正解だった。……なぁ、ミユちゃん」

 

 

 

「あ……はい。マノモさんに、レーミさん、それにカインさんまでここに来るなんて、私も驚きです」

 

 観客席でガンプラバトルの観戦をしていたミユ。さっきまではロッキーと一緒ではあったが、今はそれに加えて、マノモ、レーミ、さらにはカインまでこの場に来ていた。

 

「ははは、これはまた賑やかになったな!」

 

 これにロッキーも大笑い。

 カインもまたふふっと微笑む。

 

「私はミユちゃんを見かけたから、ついね。フウタがいない今なら、もしかしたら……なんて淡い期待もあったのも、理由ではあるが」

 

 ミユはちょっとだけ、むっとしたな表情。

 

「駄目ですよ、カインさん。私はフウタ一筋なんですから」

 

「……ちなみに私とマノモは、たまたま席が空いていたから来ただけ。

 ミユ……だっけ。貴方がフウタの――」

 

「彼女さんって訳ね! 道理で私になびかない訳だわ!」

 

 レーミ、マノモも、そんな風にミユに話す。

 

 ――本当にこんな事に、なっちゃうなんて――

 

 いきなり人気になって、ミユはしどろもどろ。

 

「あはは……ありがとうございますね」

 

「どういたしまして!

 ――さて、と。でもそろそろ三回戦も始まりそうよ」

 

 マノモの言葉通り、ようやく三回戦が始まると、そう言うことらしい。

 見ると確かに、スタジアムでは三回戦目の幕が切って落とされようとしていた。

 

 

 

 ――三回戦目、と言うことはまず最初は、フウタ達が戦うんだよね――

 

 トーナメントと言うこともあり、その一番手で戦うのは誰かミユは知っていた。

 そしてその戦いは、もう間もなく。

 

 ――ここまで来ると、相手だって強いはずだもん。……戦いはどうなるのかな――

 

 ほんの少しの心配もしながら、彼女は三回戦目もまた……見守ることになるのだった。

 

 

 

 ―――― 

 

「……と言うことで三回戦目か」

 

 スタジアムに立ち、フウタはジンに対して感慨げに呟く。

 

「まーな、フウタ」

 

「三回戦の相手さ……まさか、この二人だなんてね。これもまた偶然とでも言えばいいのかな」

 

 二人の前には、三回戦で戦う二人組の姿が、

 その――二人は。

  

「へぇ……まさか君たちが僕たちの相手をするんだ」

 

 一人は中性的な外見に銀髪ポニーテールの少年。

 

「タッグバトル、か。何かの縁と言うこともある、良い勝負を期待しているぜ」

  

 もう一人は、黒髪、赤目の少年。二人ともフウタとジンは見覚えがあった。

 

「これは、さっきのカフェ振りとも言うべきか。

 確か名前はクラルテと、それにラギだったな」

 

 改めて確認するようにそう言うジン。

 この言葉に黒髪の少年――ラギは頷く。

 

「ああ。このタッグバトル大会、クラルテに誘われて参加したんだ。

 ――けれど」

 

 途端に、はぁ……、とつまらなそうにため息をつく。

 

「ここまでの二回戦、正直大した奴なんていなくてさ、退屈していたんだ」

 

 すると銀髪の青年、クラルテもつい苦笑いを浮かべる。

 

「まぁまぁ。ラギはGBNを始めて日が浅いから。だからものの試しでこの大会に出場したけど……それでもここまで強いだなんて思わなかった僕が悪い。

 君にとって、この大会でも役不足……だったのかな」

 

 と、今度はクラルテ、フウタとジンにも視線を向ける。

 

「……君たちは、見た所アマチュアと言った感じだろ。

 改めて宜しく頼むよ。……僕も、あまり本気は出さないようにするからさ」

 

 

 

 ――むうっ、これはあまり面白くないな――

 

 あくまで彼の言葉は本心からの親切さがあった。……けれど、フウタは不機嫌になった。

 

 ――まるで自分が最強、みたいな言い方でさ。けれど確かに強い感じは、あるけど――

 

 言い方からしてクラルテの実力はかなりのものだって、分かる。

 それに多分ラギも。GBNは始めたばかりなのは分かるけど、恐らくそれでもかなりの実力者。

 

「……多分、滅茶苦茶強いぜ。マリア達と戦う前にここで負けるなんてなったら、洒落になんてなりはしない」

 

 小声でジンはそんな事をフウタに呟く。

 これにすぐ答えられず、沈黙するフウタ。……けれどしばらくしてから。

 

「そりゃそうだよね。

 でも当たった以上はどうしようもないし、勝つしかないよ」

 

「――まぁ、やっぱりそれしかないか」

 

 こうなった以上、覚悟するしかない。

 

 

 これより第三回戦、フウタとジン対クラルテとラギ……。そのガンプラバトルが開幕する。

 

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