【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
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ラギのガンプラはフリーダムガンダム。
ガンダムSEEDの主人公機であり白いヒロイックな本体に、翼型のバックパックを備えた機体だ。
〈さて……と、俺の相手はお前だな、ジン〉
宙で高速戦闘を繰り広げる、フリーダムとF91。
〈前のゲームのおかげで、俺は近接戦がかなり得意なんだぜ〉
ラギが乗るフリーダムガンダムは、片手に刃先を長く伸ばし、出力を増したビームサーベルが握られている。
――近接戦闘か。……フリーダムは高火力の機体であるけど、出力も高い。
高速機動による斬撃。それに――
その斬撃そのものも、かなりの練度がある。
ジンはビームサーベルを二本手にして戦うが、それでもラギの技を受け止めるので精いっぱいだった。
「やはりこの剣技……ただ者じゃないな」
苦い表情を浮かべるジン。これに対してラギは得意そうに笑うとともに、ビームサーベルを一閃。
「ちいっ!」
瞬間に避けるけれど、それでも今の一撃、避けきれずに胴体へと食らう。
――もう少し深ければ、俺ごと抉れてたぞ――
幸い致命傷は避けたけれど、それでもジンは肝の冷える思いをした。
〈言っただろ、俺は元々別のゲームをしてたって。
そこでもこうして片手剣を使って戦うのが得意だったのさ!〉
今度は一気に数撃、まるで目にも止まらない速さで剣戟をかました。
――火器を殆ど使わないだけましか。いや、その分剣技がすごい――
それでも画面に映るラギは涼しい顔をしている。多分これでさえ、本気ではないのだろう。
〈最も……これは俺の愛剣カラドボルグではないし、ロボットを操って戦うのもあまり慣れてはない。
けれどここまでで大分慣れたんだ。このビームサーベルだけで俺は、一回戦、二回戦の対戦相手を撃破したんだしな〉
その言葉にジンはさらに表情を苦くする。
――ビームサーベルだけでって、マジかよ! ……いや、カインの事だってある。近接戦に特化した戦闘スタイルを持つ奴がいたって不思議じゃないか――
……けど。同時にこうも考えるジン。
――けどこっちだってそれに合わせる必要なんてないぜ。俺は遠慮なく飛び道具を使わせてもらうぜっ!――
決めたは早いが、彼のF91はバーニアを逆噴射させて、離れる。
更に同時に両側のヴェスバーを展開。狙って放つ……が。
〈全然遅いなっ!〉
瞬間翼をはためかせるかのようにバックパックを稼働させたと思うと、放たれた二本のエネルギーをすり抜けるように避けて飛ぶ。そしてそのまま一気にF91へと最接近。
――近寄られたら不味い。ここは離れた距離を維持して――
接近して来られるのを、ジンのF91は更に距離を離そうと試み、同時に今度はビームライフルを構えて数発連射する。
命中しなくてもせめて牽制、足止めが出来ればと。そう思っての事だったけれど。
〈甘い!〉
「……くうっ」
それをフリーダムガンダムはものともしない。速度を維持したまま攻撃を軽々と避けて、なおも迫る。
……加えて射撃を繰り出した隙でスピードが遅れた。それを相手が見逃すわけがなかった。
〈悪いが、もらった!〉
まるで侍のような居合切りが、ビームサーベルにより放たれる。
双剣使いのカインとは異なり、剣が一本なら一本で、それに込められる剣の威力は集中され早く、鋭く……そして強くもなる。
ガンダムF91はビームシールドで受け止めるも、その威力は相当なもので、強い衝撃が襲う。
――とにかく、やばいな。本当に初心者なのかよ――
これは勝てるかどうか、かなり怪しくもある。
この剣士を相手にジンはどこまで戦えるか……それは、定かではなかった。
――――
「……」
〈へぇ……フウタと、言ったっけ、君〉
今フウタが乗るレギンレイズが向かい合うべき相手は、何故かどこにもいない。
けれど、レギンレイズは地上で身構えたまま、身動きが出来ないでいた。
離れた位置ではラギとジンが戦い、フウタの周囲には相手の姿もない。けれど、下手に動くわけにはいかなかった。
〈機体は、レギンレイズか。せっかくだからガンダムに乗ればいいのに〉
画面越しに涼しい顔をしている、銀髪ポニーテールの少年――クラルテ。
どうやら今、彼と戦っているらしいが……。
――そこか!――
瞬間スタジアムの石畳に土煙が、僅かに立った。同時にフウタのガンプラはライフルを構えて、その場所周囲に銃弾を撃ち込む。
けれど……銃弾は空を切る。
――簡単に当たるわけがないか。やっぱ厄介だ――
しかしそう考える間もなく、正面の何もないように見える空間から斬撃が放たれる。
「!!」
いきなりの攻撃で、ギリギリのタイミングで避ける。
続けてビームが何発も撃ち放たれる。これもまた、どうにか寸前で避ける事が出来た。
――攻撃する相手が分からないのが、こんなに面倒だなんてね――
〈おやおや、これでも半分の実力も出してはいないのに、それなのに苦戦かい?〉
余裕そうに言うクラルテ。そして、再びの斬撃。今度は左側面からだ。
――くうっ!――
今度はそれをガントレットで防ごうとするフウタ。ではあったが、その斬撃は強く鋭く、勢いで吹き飛ばされかける。
けれどどうにか踏ん張り、彼のレギンレイズは立て直す。しかしガントレットを見ると、その一撃だけで深々と抉られている。
――たった一撃でこれだなんてね。……ははっ――
これにはただ苦笑いを浮かべるしかなかった。
〈ガンプラの作りがそのまま性能に直結するのは分かるだろう? もちろん武器だって。
僕のビームサイズ、結構丹精込めて作ったからね。本気を出せばそのガントレット諸共腕を切断することだって出来るよ〉
それをしないのは、余程手加減をしているからか。そう考えたフウタは悔しさで唇を噛む。
だから思わず……。
「姿を見せずに一方的に攻撃って訳! それは随分と卑怯じゃないかよっ」
苦し紛れにフウタはそう叫んだ。
すると通信でクラルテはククッと含み笑いをする。
「それはまた、随分な言い草だね。……まぁいいか。特別に君の要望に合わせてあげよう」
その言葉とともに、レギンレイズの正面にシルエットが現れ、姿を露わにする
〈せっかくだから、僕のこのガンダムグリムリーパーなんて……どう思う? せっかくだから感想でも聞きたい所さ〉
その姿は黒と金を基調とした色彩をした、大鎌を握る死神のようなガンプラだ。
――オリジナルガンプラ、多分元になっているのはガンダムデスサイズとガンダムアストレイゴールドフレーム天ミナだろうか。
でも他のパーツも使っているみたいだけど、凄い改造だね――
「さすがプロでやっているだけある。ガンプラだって、確かに凄い。少なくとも僕には……作れはしないさ」
でも――。フウタはそう言って、パイルを構える。
「実力やガンプラの出来で負けていたとしても。……その分気合いで勝ってやるさ!」
フウタのその答えに、クラルテは可笑しそうだ。
〈ふふっ、フウタは面白いね〉
そして彼のガンダムグリムリーパーは大鎌――ビームサイズを構える。
〈それじゃあ、ここから第二ラウンドと言う事だね。……始めようか〉
クラルテがそう言った、まさにその瞬間だった。
〈その瞬間を、待っていたぜっ!〉
突如ガンダムグリムリーパーの元へと高速で迫る機体。機体はビームライフルでビームを数発放つ。
〈不意打ちとはね。でも、大したことないね〉
ガンダムグリムリーパーは右腕からビームシールドを展開して攻撃を防ぐ。
〈君は……ジン〉
けれどいきなりの事でクラルテも少し意外だったようだ。彼のグリムリーパーはいきなり襲来した機体、ジンのガンダムF91に視線を向ける。
〈そうだ、クラルテと言ったっけな。確か〉
いきなり現れたジン。彼はやや苦笑いを浮かべながら、こんな事を続ける。
〈何せ、お前の相棒も手ごわくてな。だから……〉
〈むっ、これは……ちょっと面倒かもだ〉
そしてガンダムF91に続いて、ラギのフリーダムガンダムが後に続いて現れた。
〈近接戦が得意なら、こうした乱戦ならどうだ?
さぁラギ、俺とフウタの二人を相手に、近接技だけで太刀打ち出来るかな?〉
〈……〉
〈……〉
「……あのさジン」
ラギもクラルテも、この言葉にぽかんとする。
そしてフウタは、呆れ果てた様子で……続けた。
「そりゃあラギ一人なら、かもしれないけどさ。……僕も僕で、ヤバい相手と戦っているのさ」
〈うげっ! しまった……うっかりしてたぜ〉
これにはジンもしまったと言う表情をしていた。
〈くっ……ハハハハハッ! やっぱりアマチュアだね、少し考えが足りないよ。
でもタッグバトルだもんね。ここは僕とそして……〉
〈俺のコンビネーション、見せてやるぜ!〉
苦い表情のフウタ。
「ったく、おかげで余計に面倒な事になったよ」
〈……すまん〉
これにはジンも謝るしかなかった。けれどフウタはふっと、軽く微笑むと。
「けど……二人のチームワークで戦うのもタッグバトルの醍醐味だよね。
ここは、そうして見るのも悪くない!」
ジンは彼の言葉に頷いて、ビームサーベルを抜いて構える。
第三回戦もようやくクライマックス。……その結果は。