【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
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四回戦の次の試合、ハクノとマリアの二人もまた勝利した。
「これで、いよいよ次は第五回戦……決勝って訳か」
戦いを観戦し、見終わったロッキーはそんな感想を漏らす。
「ああ。フウタ、ジン対、ハクノとマリア、四人での決勝戦と言うわけか」
カインもまた感慨深げに頷く。彼に対してロッキーもにっと笑う。
「そう言うことだな。あの二人、俺を倒して行ったんだぜ。だったら最後まで勝ち進んでくれなきゃ困るぜ!」
「私も同じくさ。たまたま運で私に二度も勝ったと言え、勝ちは勝ちさ。だからこそ……行ける所までは、な」
ロッキーもカインも、それに――。
「むぅ……私たちも。…………悔しいけど、負けて欲しくない」
「うんうん! レーミちゃんや私だってね!
こうなったら最後まで見届けてあげましょう」
レーミとマノモもまた、似た感じの事を話していた。……そしてマノモはミユに対しても。
「ねっ! ミユちゃんもそうだよねっ! ――あれっ?」
ミユのいる席に目を向けた。……けれど、そこに彼女の姿は、なかった。
「いつの間に、いなくなってる」
「ん……本当だね、マノモ」
レーミも今になってミユがいなくなったことに気づいたみたいだ。マノモは、首をかしげる。
「うっうーん、さっきまでいたはずなのに、おかしいなー。
ねぇ、ロッキーさんは知らない?」
彼女はそうロッキーに尋ねてみる。すると、彼は。
「ああ、ミユちゃんならさっき、決勝前と言うことで――フウタに会いに待合室へと言ったぜ」
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時間は少し前に遡る。
「すまないフウタ! 四回戦ではあんな事になってしまって!」
待合室ではジンがフウタに対して謝っていた。
「うわわわ……っと、どうしたんだジン! 突然さ」
いきなりそんな事を言われて、慌てるフウタ。ジンの表情には申し訳がないような、そんな感じの感情が浮かんでいる。
「そのな、四回戦の時は俺、あっさり負けてしまっただろ。結局フウタに二人とも倒して貰った、だから申し訳なくてな」
「僕は全然気にしてないよ! ジンがもう片方の相手をしていたから、その間に僕が一人倒せたわけだしさ。
二人同時だなんてさすがに無理だからね。だから、ちゃんとジンのお陰ってわけ!」
「ふふっ……そっか、ありがとうな」
ジンは照れ臭そうにしながらも、その言葉を受け止める。
またその一方で、彼はある事に気づく。
「でも――この待合室も、とうとう俺たち二人だけになってしまったな」
彼はそう言いながら周囲を見回す。
大会の広い待合室、そこにいるのは今、フウタとジンの二人だけ。
最初は何十人もいたこの空間に二人、一回戦、二回戦と、進むごとに人数が減り……今では。
「残るは僕達と、それにマリアさんとハクノさんだね。……今はいないけど、戻って来たらいよいよ」
いよいよ――五回戦目、決勝戦だ。
「ああ。思えば俺たち、よくここまで来れたものだな」
「……まぁね」
二人とも感慨深げになる。
「ここまで――特訓や戦いに、頑張ったしな。色々……あったなぁ」
そう呟きながら、思い出に浸るジン。
「元々はただのアマチュアだったのにさ、フウタと出会ってから変わったんだぜ。
戦いを重ねるたびに強くなる事が出来て、それに色々な相手とも出会えたしな」
彼の言う通り、ジンはマリアとハクノと戦う為にフウタと組んで、それから強くなる為に頑張った。
「ロッキーさんだとか、レーミちゃん、カインさんだとか、みんなとの戦いも大変だったけど……楽しかったな。ジンさんとの対立したりもあったり、そして何より――ミユとも改めて想いが通じたり。
ふふっ! それだけでも大満足……てっ!」
途端、ジンはフウタに軽く拳骨をくらわせた。
「フウタは良いかもしれないが、俺はこれからマリアの恋路がかかっている。勝手に満足されたら困るぜ」
「いたたっ……まぁでも、そうだよね。
でもどっちとも、元を辿れば好きな相手のためにこうしてなんだよね。
僕はミユに想いを示すために、ジンはマリアさんと付き合うためにさ」
「くくくっ、言われてみればそうだな。
本当に俺たちはある意味単純で、似た者同士――って訳か」
二人がつい、笑い合っていた時……向こうから誰かが来る足音が聞こえる。
「――フウタ!」
やって来たのは猫耳を生やした白い髪の少女。そう、フウタの恋人であるミユの姿だ。
「ミユ! 来てくれてとても、嬉しいよ!」
「うん! 待ちきれなくて!」
ミユはフウタに駆け寄ると、そのまま勢い良く大好きな相手に抱き着く。
「うわわわ……っと!」
彼女は自分よりも背が高い、その勢いでフウタは後ろに倒れそうになる。
「おっと」
つかさずジンは倒れそうなフウタ達を支える。
「ありがとジン。……もう、びっくりだよ。いきなり抱きついて来るなんてさ」
「あははっ、ついつい! 会えて私も嬉しかったもん」
ミユは後ろに手を組んで、フウタの顔を覗き込む。
「ジンさんもだけど、一回戦から四回戦、お疲れ様! フウタ!
凄いよ! みんな強い人たちばかりなのに勝ち進んで、きっと大変だったと思うけど、おめでとう!」
褒められたフウタ、これにはでれっとしてしまう。
「えへへーっ。やっぱミユに褒められるのが最高に嬉しいよ」
「フウタ……お前、凄い顔をしているぞ」
「……うるさいやい。
それにミユ。褒めてくれるのは嬉しいけれど、本番はこれからさ。
マリアさんとハクノさんとの戦いはこれから、ずっと二人を目標に強くなって――ようやくね」
フウタの言葉にジンも同意する。
「これで俺たちの頑張りも一区切りって所だぜ。最後まで気が抜けないし、やるからには勝利! だな」
「もちろんさ! だから、もし二人に勝つ事が出来たら……その時にはまた、褒めてくれると嬉しいな」
そんな二人に、ミユは優しい表情を向ける。
「やれるよ、ジンさんとフウタなら。
大会が終わったらまた、たっぷり褒めてあげる!
――そうだ! もし勝ったら四人でまた食べに行かない? 現実世界でどこか……あっ、豪華に焼き肉のお店でパーティーなんてどう?」
「それいいね、ミユ! 今からでも楽しみだよ!
あっ、そうそう。ジンも、勝てたら約束通りPGのゼロカスタムも……宜しくね。終わったらミユと一緒に作るんだ、僕」
フウタとジンはそんな約束もしていた。
もし勝負に勝てたら、ジンが持っているPGのウィングガンダムゼロカスタムを譲ってくれると、そんな約束を。
「もちろん俺も、分かっているとも。
――よしっ! とにかく後もう少しだ、ラストスパートだぜ。
それに――」
足音が聞こえた。
待合室に向かう二人分、戦い終えたマリアとハクノの足音。
「――どうやら二人も、勝負が終わって戻って来たみたいだぜ。となれば」
「もうすぐ決勝戦……そう言うことだね」
互いにそう話す、ジンとフウタ。
ミユもまた、ちょっと緊張している感じで。
「何だかね、私もドキドキだよ」
彼女のふとした言葉、ジンはゆっくり頷く。
「もちろん俺も、フウタもだぜ。
――さて、戻って来るなら少し、挨拶しないとだな」
彼はふっと、軽く微笑んで言った。
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第五回戦――決勝戦。
「……頑張ったね、ジン。それにフウタくんも」
スタジアムの中央で向かい合う二人と二人。
フウタとジンに対して……マリアとハクノ。とうとうこの勝負にまで辿り着いたと、二人は実感した。
マリアは優しくそう言い、一方でハクノも。
「お前たちがここまで来たのには、俺も褒めてやるぜ。
だが! それもここまでだぜ」
ハクノはピシッと、ジンを指さす。
「特にジン! お前に負けるわけにはいかねぇ! 大切な妹、取られてたまるかよ!」
彼の態度、ジンも負けじと、真っすぐと言葉を返す。
「俺だって、ハクノの妹を……マリアを大切に想っているんだぜ。
負けられないのは俺も同じって訳だぜ」
一方でマリアはフウタに対して。
「となると……私は君が相手かしらね、フウタくん」
「そうなるね、マリアさん。勿論全力で倒させて貰うから」
「ふふっ! それは楽しみ。
……ジン! 私のために、勝ってみせてね」
ジンに対しても、マリアは言葉をかける。
これに彼は自身満々に一言。
「――おうとも」
四人はそれぞれガンダムを形成し、乗り込む。
フウタとジンが乗るレギンレイズ・フライヤーとガンダムF91……そしてマリアとハクノのガンダムバエル・クリムゾンとアヘッド・ブロッケン。
互いに構え戦闘態勢に。――そして最後の決着が、ようやく。