【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
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あの戦いから……もうしばらく経った。
「えっと、ここをこう組み立てればいいのかな」
「そうそう。後もう少し頑張れば、右腕の完成さ」
フウタは自分の部屋で、ミユと一緒にあるガンプラを組み立てている。
傍らにある上箱には既に完成済みのパーツが入っていて、今はそれぞれ右腕と左腕をフウタとミユは向かい合わせに、床に座って一緒に作っていた。
「……よしっ! 僕の方は左腕の完成だね。ミユはどう?」
「私はちょっとまだかな。やっぱりプラモデルを作るのはフウタが上手いね。
だって私には、うーん……少し難しくて」
「そりゃあPGのガンプラだもん、難しいのは当然じゃない。
けど僕とミユはここまで完成させたんだ。――このPGウィングガンダムゼロカスタムをさ、凄いよ」
フウタの言葉に、ついミユは嬉しくなる
「フウタがいてくれたおかげだよ! それに二人で一緒にガンプラを作るの……幸せだもん」
「……勿論僕もだよ」
彼はそう言い、にこっと笑みを返す。
……そう、フウタとミユが組み立てていたガンプラは、PGウィングガンダムゼロカスタム――二人にとって思い入れのある特別なガンプラだ。
――僕は元々、このガンプラを貰うことを交換条件にジンと一緒に戦ったんだ。
色々あったけど結果的には最後のバトルに勝てて、約束通りジンから貰ったわけ――
「うん! ウィングガンダムゼロカスタム……私が小さい頃どうしても欲しかったガンプラ。
フウタは私のためにずっと頑張って来たんだよね。これはただのガンプラじゃなくて、フウタの想いの結晶だよね。
……ずっと、大切にするよ」
ミユは自分の胸に手を当てて、感激した様子を浮かべる。フウタも、彼女の様子に自分の事のように喜んでいた。
ようやく、ミユにゼロカスタムをプレゼントして……一緒に作る事も出来た。もうゼロカスタムの胴体と足、それに頭と翼も完成している。
フウタがさっき左腕を完成させた。武器を別にすればミユの作っている右腕を作り終われば、ウィングガンダムゼロカスタム本体が完成する。
「あのさ、ミユ」
「うん?」
「残る右腕は……僕も手伝っていいかな。
最後は一緒に完成させたいから」
フウタの言葉、それにミユはいいよ、とそう言ってこたえる。
「ありがと! それじゃ、少し移動するよ」
そう言ってフウタはミユのすぐ隣に移動する
肩と肩が触れ合いそうなくらい近くに。ミユは少し意識してしまう。
「……んっ、ちょっと近すぎるかも」
「いいじゃん。だって、僕とミユとの仲だしさ。これくらい全然!
それよりも後少し。一緒に組み立てて、完成させよう」
こうして残る右腕も、フウタとミユは共に組み立てて行く。
「――よしっ! これで!」
パチッと、最後のパーツを組み合わせる音とともに、ゼロカスタムの右腕がついに出来上がった。
「やったねフウタ!」
「だね! 後は出来上がった手足と身体を組み合わせて行けば……」
「ガンプラの完成だね! もう後ちょっと、何だかドキドキしちゃうよ」
「その気持ちは僕も分かるな。じゃあ、いよいよ!」
フウタ達二人は作り終えた手足を、一緒に組み合わせてゆく。
足や腕、頭を取り付けて、そして大きな翼を最後に付けると――。
「ツインバスターライフルはまだだけど、これで完成。僕達二人で作った――ウィングガンダムゼロカスタム」
僕達の前に立っているのは、白い巨大な翼を広げている白と青のガンダム、ウィングガンダムゼロカスタムの姿。
PGと言うだけに全身は大きく迫力もあって、それにHGよりも細かい作り。フウタとミユも、自分達の作ったこのガンプラに、しばらく見惚れてしまっていた。
「ようやく完成したね。私たちのガンプラ」
ミユのそんな呟きにはにかむフウタ。それに何やら照れ恥ずかしがっているみたいに。
「このガンプラ、ゼロカスタムは君の物だよ。
僕はずっとそう望んでいたんだから。あの時のミユの願い、叶えたくて。…………それに、さ」
「ふふっ、小さい時だったけれど私も覚えているよ。
もし私の願いを叶えられたら、その時は結婚して欲しいって、言ってくれたよね」
「やっぱ、その事まで覚えていたんだ」
つい頭を掻くフウタに心底得意そうに、またミユは真っすぐに言う。
「勿論だよ! ――だけど、その約束はもう少ししてからかな。
あと少し、私たちが大人になってから……きっと。だからね――」
彼女はにっと満面の笑みを浮かべて、こう返す。
「フウタとの約束を後回しにしちゃうんだもん。代わりにこのゼロカスタムも私とフウタ、二人一緒の物でいいよね。…………そうしたいんだ」
「――叶わないな、ミユには」
二人はそんな、互いに甘い一時を過ごしていた。
そんな中でフウタはおもむろに、ぐっと背伸びをする。
「うーん、ガンプラを作るためにずっと部屋で座りっぱなしだから、ちょっと疲れたよ。
だからさ、良かったら今から外に出ない? 気分転換に散歩したいんだ」
この提案にミユは頷く。
「散歩かー、いいね! ……そうだ、散歩に行くんだったらジョウさんの店にも寄って行かない? ちょっとだけGBNも遊んでみたいし」
「決まりだね。ならまずは模型店の方から行こうか、そっちの方がGBNとか遊ぶ時間だって取れるからさ」
ガンプラを作った後はGBN、それも悪くないと思うフウタ。
――大切なミユと一緒の日常……やっぱ、何もかもが宝物だな――
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それから準備を済ませて、外へと出かけたフウタ達。
行く先は二人にとって馴染みの店であるヒグレ模型店。早速辿り着いて店にと、店主であるジョウがにこやかに手を振って出迎る。
「よう! フウタにミユちゃん! 来てくれて嬉しいぜ」
「こんにちは、ジョウさん」
「散歩がてらに立ち寄ったよ。今日も相変わらずな感じだね」
「ハハハ! おかげさまでな。
それにだ、実は店にはある先客も来ているんだ」
「先客だって?」
「そうさ。フウタにとっても覚えがある筈だぜ。……ほら、噂をすれば」
そんな三人の会話が聞こえたのか、店の奥から二人の人影が現れた。
さっきジョウが言っていた先客、それは。
「まさかフウタ達も来るとは、驚いたな」
「ハロー! お二人さん、相変わらずのラブラブだわね!」
やって来たのはジンと、それに――マリア。
二人も仲睦まじいく腕を組んで一緒に。……最も、少し慣れない感じであり、言うなれば成りたての初々しい恋人といった雰囲気である。
「ジン! ここに来るだなんて思わなかったよ」
「ふふっ、言うなればデートって奴さ。……マリアが模型店巡りがしたいって事で、こうしてな」
「そっか……あれから本当に、付き合い出したんだね」
少し自分の事みたいに嬉しく思いながら、呟くフウタ。
そう、フウタとジン、二人の頑張りによってGBNにおいて上級ダイバーであるハクノとマリアに勝てた。
ジンとマリアが交際を反対する彼女の兄、ハクノを納得させる為に。……そうした約束だったから。
フウタとジンによる約束通りの勝利。あれからハクノも約束を守り、ジンは晴れて正式な交際に踏み切る事が出来たわけだ。
「今でも信じられないぜ。マリアとこうして普通に、気兼ねなく一緒に居られるだなんて」
ジンがそう言う一方で、マリアもふふっと微笑むと。
「渋々だったけれど、兄さんも約束を守ってくれたから。
私もジンとラブラブって訳。フウタくんにミユちゃん、貴方達二人にも負けないわよー」
「それは私だって譲れないです! 私とフウタの方がラブラブなんですからね」
「あらあら! ムキになっているミユちゃんも可愛いわね。えーい、ぷにぷにっ!」
マリアはミユのふくれっ面のほっぺを、ぷにぷにと指でつついている。
「おいおい、大人げないぞマリア。
……でも改めてフウタには、礼を言わないとだな。お前と出会って一緒に戦えたからこそ、マリアと一緒にもなれた。
本当に――ありがとうな」
ジンの感謝、フウタはこれに対して。
「礼には及ばないよ。僕は僕で、ミユへの想いを伝えるためにゼロカスタムが欲しかったし頑張りたかったからだし。
ようは利害の一致、お互い様だよ。……でも」
ふと、フウタの顔には微笑みが、つい浮かんだ。
「本当に良かったよ。僕とジンの頑張りが、実を結んで。
大変だったけど……それでも色々な出会いだとか面白い事もあったりで、いい思い出だったしさ。
振り返れば一緒に頑張って来たよね、僕達は!」
「ああ! あそこまで頑張れたのも、俺にとっては初めてだったからな。
手にした結果はもちろん、フウタと一緒にいた時間そのものも、悪くなかったぜ」
「僕もだよ。ミユとの思い出の次くらいには……大切な時間と思い出さ!」
二人がそう話していると、マリアがある提案をする。
「ねぇねぇ! せっかく四人揃ったんだし、一緒にGBNで遊びましょう。
この店ではGBNも遊べちゃうみたいだし、それなら……ね!」
それを聞いてフウタとミユははっとする。
「あっと、私たちもGBNを遊びに来たんだよね」
「そうだったね、ミユ! ……じゃあさっそくGBNにログインしようかな。ジンさんもそれでいいよね」
フウタの問いかけにジンも同意する。
「三人ともそう言うなら。模型店巡りも良いけれど、GBNもまた楽しいからな」
四人が話すのを聞いて、店主のジョウは頬杖をつきながら。
「じゃあ決まりだな。端末は丁度四人分ある。――楽しんで来てくれよな」
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そしてフウタとミユ、ジンとマリアはGBNへとログイン。
「さて、と。今日は何をしたものかな」
マントを被り旅人姿のダイバールックのジン。彼の言葉にパイロットスーツ姿の、青髪で猫耳と尻尾を生やした姿のフウタは応える。
「僕としては面白そうなミッションに参加しようかなって思ったけど、うーん……ミユはどうしたい?」
「私は普通に、ただゆっくりエリアを散策してみたいかな。
フウタもジンさんももう前みたいに頑張る必要だってないもの」
ついついどうするか悩んでしまう三人に、マリアも考えるのを手伝う。
「ふむふむ、考えちゃうわね。でも、この四人……と言う事だから、前みたいにダブルデートなんてどう?
きっと良い感じに――」
「させはしないぜっ!」
すると、そこにもう一人……声と共に四人の前に現れた。
「げっ!」
「……兄さんまでっ」
そこに現れたのはマリアの兄である、ハクノだった。
「悪いが、俺も一緒に混ぜて貰ってもいいかい。
確かにジンとの交際は認めるとも。……けれど! マリアに変な事をしないか見守らせてもらうぜ」
「……大変だね、ジン」
シスコンが相変わらずなハクノ。これにはフウタもジンに同情してしまう。
「ははは、でも交際は許してくれているんだ。……これからゆっくりと、俺の事を認めさせるさ」
けれどジンは前向きだ。そして改めて――。
「なら今日はハクノも含めて五人でGBNを楽しもうぜ! マリアの言葉を借りるなら、やっぱり賑やかな方が――何をするにしても楽しいしな!」
フウタとジン、二人の日常は相変わらず続く。
大体普通なそんな日常。……だけれど。
ちょっとしたゲームの頑張りで、その日常に彩りが増えた。――これはそんな物語だ。
これにて「バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝」は完結です。お付き合い頂き……有難うございました!
今後は、不定期ではありますが番外編なども幾らか……用意する予定です。