【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
――だが。
〈……えっ!?〉
突如、どこからか飛来する、数発ものミサイル。
それは全て、レギンレイズへと直撃。フウタは何が起こったか訳が分からないまま、機体は爆発に飲まれて、吹き飛んだ。
さっきまで彼の顔が映っていた、モニターはブラックアウト、何も映らなくなる。
――何だと! これは一体――
何が起こったのか、分からなかったのはジンも同じだった。
――さっきの攻撃は、湖からか!?――
ジンがそう考え、湖に視界を移した瞬間……。
激しく水飛沫を上げ、姿を現した異形の姿。
やたら長い両腕と左右に伸びるショルダーアーマー、頭部と一体化した丸っこい胴体と、短い脚。
水色の、人型とは離れた身体を持つ機体は――ジオンの水陸両用MS、ハイゴックだ。
その胴体部上面には左右に二門づつの、魚雷の発射管がある。加えて丸い頭頂部には、白いドクロのペイントが施されていた。
おそらく、先ほどの攻撃は、このドクロマークのハイゴックによるものだろう。
――くっ! フウタの仇だ!――
ジンのF91はヴェスバーで撃ち落とそうとするも、それが展開するよりも早く、水上を滑走するように飛翔し、その伸縮自在のフレキシブル・アームを伸ばす。
アーム先のクローは、そのままF91の胴体を鷲掴みにする。
クローの強力な腕力は、F91の胴体のみならず辛うじて動かせた右腕と、そして背部のヴェスバーまでもまとめて握り潰し、お釈迦にした。
――ヴェスバーまでも使えないか! けどまだ頭のバルカンが――
もはや悪あがきでしかないが、唯一使用可能な武装、ヘッドバルカンを放つ。……だが、それはハイゴックの装甲を前に、ビクともしない。
〈フハハハハ! 残念だが俺のハイゴックは、そんな貧弱武装じゃビクともしないぜ!〉
すると相手から通信が入り、画面にはいかつい水夫服の大男が現れた。
頭に赤いバンダナキャップを被り、顔に浮かべる豪快な笑いは、水夫と言うより海賊みたいだ。
「お前は……」
〈悪いな、戦っている最中に! だが、そうやって他に誰もいないと油断したアマチュアは、俺にとって格好の獲物ってわけだ!〉
「って事は、初心者狩りかよ」
クローの威力は更に増し、メキメキと機体がきしむ音がする。
〈初心者と言うか、俺が倒せそうな相手なら、誰でもな。
結局、GBNは弱肉強食……悪く思うなよ!〉
F91を掴むハイゴックの腕部には、ビーム・キャノンが
内蔵されていた。
〈――じゃあ、サヨナラだ!〉
それとともに腕部のビーム・キャノンが火を噴き――F91を貫いた。
――――
突然の奇襲にあえなく敗れた、フウタとジン。
「あーあ、結局ジンさんも負けちゃったか」
ハイゴックに倒され、ジンがログアウトした所に、フウタがそう声をかけた。
「……ああ。まさかいきなり奇襲を仕掛けられるとは、思わなかったしな」
「まぁ僕なんか、何も分からず撃破されて、正直訳が分からなかったけどね」
これには苦笑いを浮かべる、フウタ。
「ただ、分かったことと言ったら……お互いに、道のりは長いってことくらいか。
もし本気で実力を付けるなら、しばらくはGBNに熱中して、出来る限り経験値を稼がないと」
「それは、違いない。俺も仕事で忙しい時以外は、出来るだけログインするようにするとも。もし時間が取れれば、二人でバトルの練習も、しておきたい所だ」
本来の目的は、タッグバトルでの勝利だ。その辺りもどうにかしたいと、ジンは考えていた。
「予定が合えばね。でも……世界ランキング五百位の相手と、か。頑張っても手が届くか……ちょっと不安だけどね」
そう、二人が倒すべき相手は、上級ダイバーに位置する存在だ。
単なるGBNのライトユーザーの二人が、どこまで行けるか……どちらも分からなかった。
だがそれでも――
「それでも、出来る限りはやってみせるさ。まずは……」
ジンはフウタに、こう言った。
「まずは俺たちを襲った、あのハイゴックを倒せるようになる事が、目標だ」
「僕たちを襲って来たの――ハイゴックだったんだ。もしかしてあの湖の中から?」
真っ先に奇襲され、相手が誰かも分からず撃破されたフウタは、そう尋ねる。
「ああ、突然湖から飛び出して来てな。多分、あの様子だと水中からずっと、様子を見ていた感じだ。
……それに奇襲とは言え、腕としては俺たちよりも上、中級ダイバーくらいだと思う」
「ふーん、まぁやられた借りもあるしね。最初の目標は、そのハイゴックを倒せるようになるって事か」
こうして二人の、とりあえずの目標が決まった。
「それじゃあ決まりだ。俺はせっかくの休日だからまたGBNに戻るが、フウタはどうする?」
「僕はこの後約束があるから、もう帰るよ。ミユと一緒に昼食を……って!」
そう話しながら、ふと壁の時計に目を移したフウタは、急に表情が変わった。
「まずい! 時間が12時半を過ぎてる! 昼食って事だから、この時間には家についているはずだったのに。
……今からだと、帰りの電車は何時があるんだ!?」
どうやらGBN内で、予想以上に時間を使ってしまったらしい。
わたわたと慌てながら、彼は端末で電車の時刻を確認する。
「うげっ、後十分後に出発かよ! ……悪い、ジンさん。そう言うわけだから、僕はもう行くよ。連絡はまたGBNで、それじゃ!」
フウタは慌ただしく、早口でそう言い残すと、ガンダムベースから出て行った。
――――
――その後、俺はGBNに戻って、今に至る……と――
F91のビームライフルが、また一機のMSを撃墜した。
残るは後僅か。ジンは一通りさっきの事を振り返り、今の戦いに再び集中する。
敵のレベルも大したことはない上に、数さえも少ないのならば、もはや楽勝だった。
次々と残りのMSの撃破する、ジンのガンダムF91。
そして最後に残った、一機のヴァルチャー用ジェニス。
手には大型のアックスを握り、ブースターで迫って来る敵機の姿が見える。
だが……。
――全然遅い!――
ビームサーベルを抜き、F91はジェニスの上半身と下半身を、真っ二つに切り離した。
爆発する機体とともに、コックピットには次の表記が現れる。
『MISSION COMPLETE』
ミッションをクリアし、一息つくジン。
――最初はあの数がきつかったが、今はあんまりそうでもなくなった感じだな。……ま、と言ってもこれは初級ミッションでもあるし、今度は中級で比較的簡単なミッションでも受けてみるか――
と、今後についてジンは、少し思いをはせる。
確かに目指す場所は遠いが、僅かでも着実に、伸びてはいる。
それに……。
――今はこうして、一緒に戦う相棒も出来た。約束通り二人に勝って、彼女の兄に交際を認めてもらう事も、きっと夢じゃない――
彼の胸には、希望の灯が今大きく、煌めいていた。
――――――
毎日投稿はここまでになります。次回以降は用意出来た順に挙げるために不定期になるかもですが、最低でも一週間に一話更新する予定ですので、よろしくお願いしますm(__)m