【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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回想その3 不意打ち……そして決意(Side ジン)★

 ――だが。

 

 

 

〈……えっ!?〉 

 

 突如、どこからか飛来する、数発ものミサイル。

 それは全て、レギンレイズへと直撃。フウタは何が起こったか訳が分からないまま、機体は爆発に飲まれて、吹き飛んだ。

 

 

 さっきまで彼の顔が映っていた、モニターはブラックアウト、何も映らなくなる。

 

 ――何だと! これは一体――

 

 何が起こったのか、分からなかったのはジンも同じだった。

 

 ――さっきの攻撃は、湖からか!?――

 

 ジンがそう考え、湖に視界を移した瞬間……。 

 

 

 激しく水飛沫を上げ、姿を現した異形の姿。

 やたら長い両腕と左右に伸びるショルダーアーマー、頭部と一体化した丸っこい胴体と、短い脚。

 水色の、人型とは離れた身体を持つ機体は――ジオンの水陸両用MS、ハイゴックだ。

 その胴体部上面には左右に二門づつの、魚雷の発射管がある。加えて丸い頭頂部には、白いドクロのペイントが施されていた。

 おそらく、先ほどの攻撃は、このドクロマークのハイゴックによるものだろう。

 

 

 ――くっ! フウタの仇だ!――

 

 ジンのF91はヴェスバーで撃ち落とそうとするも、それが展開するよりも早く、水上を滑走するように飛翔し、その伸縮自在のフレキシブル・アームを伸ばす。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 アーム先のクローは、そのままF91の胴体を鷲掴みにする。

 クローの強力な腕力は、F91の胴体のみならず辛うじて動かせた右腕と、そして背部のヴェスバーまでもまとめて握り潰し、お釈迦にした。

 

 ――ヴェスバーまでも使えないか! けどまだ頭のバルカンが――

 

 もはや悪あがきでしかないが、唯一使用可能な武装、ヘッドバルカンを放つ。……だが、それはハイゴックの装甲を前に、ビクともしない。

 

〈フハハハハ! 残念だが俺のハイゴックは、そんな貧弱武装じゃビクともしないぜ!〉

 

 すると相手から通信が入り、画面にはいかつい水夫服の大男が現れた。

 頭に赤いバンダナキャップを被り、顔に浮かべる豪快な笑いは、水夫と言うより海賊みたいだ。

 

「お前は……」

 

〈悪いな、戦っている最中に! だが、そうやって他に誰もいないと油断したアマチュアは、俺にとって格好の獲物ってわけだ!〉

 

「って事は、初心者狩りかよ」

 

 クローの威力は更に増し、メキメキと機体がきしむ音がする。

 

〈初心者と言うか、俺が倒せそうな相手なら、誰でもな。

 結局、GBNは弱肉強食……悪く思うなよ!〉

 

 F91を掴むハイゴックの腕部には、ビーム・キャノンが

内蔵されていた。

 

〈――じゃあ、サヨナラだ!〉

 

 それとともに腕部のビーム・キャノンが火を噴き――F91を貫いた。

 

 

 

 ――――

 

 突然の奇襲にあえなく敗れた、フウタとジン。

 

「あーあ、結局ジンさんも負けちゃったか」

 

 ハイゴックに倒され、ジンがログアウトした所に、フウタがそう声をかけた。

 

「……ああ。まさかいきなり奇襲を仕掛けられるとは、思わなかったしな」

 

「まぁ僕なんか、何も分からず撃破されて、正直訳が分からなかったけどね」

 

 これには苦笑いを浮かべる、フウタ。

 

「ただ、分かったことと言ったら……お互いに、道のりは長いってことくらいか。

 もし本気で実力を付けるなら、しばらくはGBNに熱中して、出来る限り経験値を稼がないと」

 

「それは、違いない。俺も仕事で忙しい時以外は、出来るだけログインするようにするとも。もし時間が取れれば、二人でバトルの練習も、しておきたい所だ」

 

 本来の目的は、タッグバトルでの勝利だ。その辺りもどうにかしたいと、ジンは考えていた。 

 

「予定が合えばね。でも……世界ランキング五百位の相手と、か。頑張っても手が届くか……ちょっと不安だけどね」

 

 そう、二人が倒すべき相手は、上級ダイバーに位置する存在だ。

 単なるGBNのライトユーザーの二人が、どこまで行けるか……どちらも分からなかった。

 だがそれでも――

 

「それでも、出来る限りはやってみせるさ。まずは……」

 

 ジンはフウタに、こう言った。

 

「まずは俺たちを襲った、あのハイゴックを倒せるようになる事が、目標だ」

 

「僕たちを襲って来たの――ハイゴックだったんだ。もしかしてあの湖の中から?」

 

 真っ先に奇襲され、相手が誰かも分からず撃破されたフウタは、そう尋ねる。

 

「ああ、突然湖から飛び出して来てな。多分、あの様子だと水中からずっと、様子を見ていた感じだ。

 ……それに奇襲とは言え、腕としては俺たちよりも上、中級ダイバーくらいだと思う」

 

「ふーん、まぁやられた借りもあるしね。最初の目標は、そのハイゴックを倒せるようになるって事か」

 

 

 こうして二人の、とりあえずの目標が決まった。

 

「それじゃあ決まりだ。俺はせっかくの休日だからまたGBNに戻るが、フウタはどうする?」

 

「僕はこの後約束があるから、もう帰るよ。ミユと一緒に昼食を……って!」

 

 そう話しながら、ふと壁の時計に目を移したフウタは、急に表情が変わった。

 

「まずい! 時間が12時半を過ぎてる! 昼食って事だから、この時間には家についているはずだったのに。

 ……今からだと、帰りの電車は何時があるんだ!?」

 

 どうやらGBN内で、予想以上に時間を使ってしまったらしい。

 わたわたと慌てながら、彼は端末で電車の時刻を確認する。

 

「うげっ、後十分後に出発かよ! ……悪い、ジンさん。そう言うわけだから、僕はもう行くよ。連絡はまたGBNで、それじゃ!」

 

 フウタは慌ただしく、早口でそう言い残すと、ガンダムベースから出て行った。

 

 

 

 ――――

 

 ――その後、俺はGBNに戻って、今に至る……と――

 

 F91のビームライフルが、また一機のMSを撃墜した。

 残るは後僅か。ジンは一通りさっきの事を振り返り、今の戦いに再び集中する。

 敵のレベルも大したことはない上に、数さえも少ないのならば、もはや楽勝だった。

 次々と残りのMSの撃破する、ジンのガンダムF91。

 

 

 そして最後に残った、一機のヴァルチャー用ジェニス。

 手には大型のアックスを握り、ブースターで迫って来る敵機の姿が見える。

 だが……。

 

 ――全然遅い!――

 

 ビームサーベルを抜き、F91はジェニスの上半身と下半身を、真っ二つに切り離した。

 爆発する機体とともに、コックピットには次の表記が現れる。

 

『MISSION COMPLETE』

 

 

 ミッションをクリアし、一息つくジン。

 

 ――最初はあの数がきつかったが、今はあんまりそうでもなくなった感じだな。……ま、と言ってもこれは初級ミッションでもあるし、今度は中級で比較的簡単なミッションでも受けてみるか――

 

 と、今後についてジンは、少し思いをはせる。

 確かに目指す場所は遠いが、僅かでも着実に、伸びてはいる。

 それに……。

 

――今はこうして、一緒に戦う相棒も出来た。約束通り二人に勝って、彼女の兄に交際を認めてもらう事も、きっと夢じゃない――

 

 彼の胸には、希望の灯が今大きく、煌めいていた。

 




――――――


毎日投稿はここまでになります。次回以降は用意出来た順に挙げるために不定期になるかもですが、最低でも一週間に一話更新する予定ですので、よろしくお願いしますm(__)m
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