【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
私には、あんまり友達はいないんだ
昔から人と話すのは、苦手だし……内気だし。それに少し口が悪く出てしまったりで、だから学校ではほとんど一人なんだ。
……でも。
「おはよう、レーミちゃん! 今日も一緒にGBNをしに行こうよ」
でもそんな私にも一人、大切な友達がいるの。
「うん……マノモ!」
私と違って明るくて、人付き合いも良くてクラスの人気者な私の友達、マノモ。
「でも……私ばかり、いいの? だって他に友達だっているのに……その」
「いいのいいの! だってレーミちゃんは、私の一番の――親友なんだから!」
そう言う彼女の、私に向けてとびきりの笑顔を見せてくれる。
マノモがいてくれたから、自分に自信が持てているんだ。GBNだって……一緒だから。
――――
GBNに入った、私とマノモ。
「……今日、どうしようか」
「うーんと! バトル……もいいけど、今日はちょっとエリアをドライブしたい気分だな」
「ドライブって?」
気になる私にマノモはうんうんと頷くと、自慢気にこんな事を話すの。
「ふふん、実はね私、丁度いいガンプラを作って来たのよ。
二人でそれに乗って、空の散歩でもって――ね!」
そう言って彼女は、軽くウィンクをしてみせた。でも……一体どんな感じなんだろうな。
――――
「じゃん――これが私が作った、スカイグラスパーよ!」
格納庫にあったのは、一機の緑色に塗装した戦闘機のガンプラ……ガンダムSEEDのスカイグラスパーだったの。それに完成度だって凄く高いの。
「これ、マノモが作ったの?」
「まーね! キットは1/144のRGだから、かなり精密な作りなんだよ」
RGは、HGと同じ1/144のスケールガンプラだけど、作りは1/100スケールのMG以上に作りが細かいの。……けど、完成度はずっと高いけど、動かしたりすると細かいパーツが干渉して動かしにくいのと、接着していないと取れやすいのが難点かも。
後は、改造がしにくい所……とかもかな。
「こうした戦闘機とかなら、RGの方が丁度いいわよね! どう? 気に入ってくれたかな」
そんなマノモの言葉に、私は頷く。
「……うん、とっても」
彼女は満足そうににこっと笑う。
「良かった! それじゃ、早速二人で乗ろうか。ねっ、レーミちゃん!」
――――
私たちはマノモのスカイグラスパーに乗って、GBNの空を飛ぶんだ。
――こうして見ると、何だか……いいな――
下から見下ろせるのは、セントラル・ディメンションの高層建築物の街並み。あそこに私とマノモと同じように、GBNでプレイするダイバーがいるんだよね。
「どう? こうして二人一緒、空の旅の気分はいかがかしら?」
「素敵……だよ。何だか、楽しくて」
「その言葉、聞けて良かったわ。レーミちゃんと一緒に乗れればって思ってたから」
「そうなの?」
「もちろんよ! 今日は目一杯、ゆったりGBNの空の旅を満喫しましょう。もっとも……」
マノモはふと苦笑いも浮かべて、続ける。
「スカイグラスパーはあくまで航空機だから、宇宙空間とかは無理だけどね。
でも地上の景色だって、綺麗なんだから!」
私たちの乗るスカイグラスパーは、他のディメンションにつなぐゲートに近づいていた。
「用意はいい? それじゃ――ここから私たちの旅を、始めましょう!」
マノモと一緒なら、きっと楽しいと思うから。そう、どこでだって。
――――
スカイグラスパーに乗って、私たちは色々なディメンションと、そこにある場所を飛んで旅して、回ったの。
山や海、草原に湖だとか……それに町だって。
「一つ一つ、降りてゆっくりしたいんだけど……GBNは広いからね。
だから殆ど空の旅ばかり、せめてどこかで降りられれば良いかもだけど」
マノモは上機嫌で、そんな風に話す。きっと彼女も楽しいのかな。私と、同じように。
「でも……こうしているの、私も楽しいから」
私は前に座って操縦している彼女に、視線を向けると。
「改めて、ありがとう。私のために……ここまで」
私の言葉に、マノモは朗らかに笑ってこたえてくれる。
「はははっ! 私とレーミちゃんの仲、友達じゃない。
これくらい全然大丈夫よ。私だって楽しいもん!」
そう言ってくれて、私は暖かい気持ちになる。そしてそんな私に……ふと彼女が何気なく続ける。
「友達――か」
「うん?」
「そう言えば、私たちが知り合ったのも、ここ……GBNだったよね。ねぇ、覚えてる?」
ふとしたマノモからの問いかけ。もちろん、私だって忘れるわけなんて、ない。
「もちろん、覚えているよ。私にとっても大切な思い出だから」
そして私は続けるの。
「……学校でも一人だった私が、たまたまGBNをプレイしにガンダムベースに行った時に、マノモと出会ったんだよね。同じ学校の制服で、同級生だってわかったけれど……これまで接点がなかったから」
「ふふっ、私も。だってそんなきっかけなんてなかったから。――でも」
「お互いにガンプラが好きで、それにGBNも好きだから。性格は真逆でも……その想いは同じだから」
「だからこそ、そのまま一緒にGBNをプレイして打ち解けて、友達になれたんだよね!」
楽しいようにマノモは笑っている。でも、ふと真面目な雰囲気でこんな事を話すの。
「友達……今まで、こうして打ち解けた相手、いなかったもん。
だって、ガンプラだとかゲームの趣味は女の子の趣味じゃないから。変に思われないように、ずっと隠していたんだから」
マノモの言う通り、今はGBNでガンプラやゲームだってかなり人気にはなっているみたいだけど、私たちの暮らしている町では、やっぱりそう言うのが好きなのはごく少数だもの。
それに女の子だと特に。だから、好きな事でも隠し続けていた。……だけど。
「けど、マノモとはちゃんと……好きな事を分かり合えるから。
マノモと出会えて私は、とても嬉しかった。……本当に、何より」
これが私の本音なんだ。マノモと会えたから、私はこうして一人じゃなくなったから。
マノモも私に微笑んでくれると、こう言って頷いてくれた。
「もちろん――私だって」
すると彼女は、ちらっと外の景色を眺めると。
「……この辺りでいいかな。
レーミちゃん、そろそろ地上に降りようか。下はとっても綺麗な所だから」
そう言うレーミちゃん。……でも、一体どんな場所なんだろうな。
――――
地上にふわりと着陸した、マノモのスカイグラスパー。
機体から降りた私たちの目の前に広がっていたのは……一面の桜景色だった。
「わぁ、桜が……こんなに、たくさん」
「ここはジャパン・エリアの一角ね。ジャパン――日本と言えば桜!
うーん、やっぱり私たち日本人の心って言うか、心が安らぐわね。こんなにたくさん、辺り一面に咲く桜なんて現実世界では見られないから」
「……うん。一緒に見よう、マノモ」
私たちは一緒に並んで、桜が咲く下を歩くの。 たくさんの桜の木。花びらで回りも彩られて、上も桜の花で桃色で綺麗なんだ。私も、マノモもこの景色に見とれていた。
「本当に、良い所だね」
「うんうん! GBNはしばらく遊んでいるけれど、ここには私も初めて来たんだ。こうして今でも、新しい発見があったり――たのしいよね」
「だね。私たち以外にも、ここには……」
そう、この桜景色を見に来たのは他のダイバー達も、だったんだ。
みんな桜を見ている。すると……。
「あら? 二人も桜を見にきたんですー?」
私たちの所に、小学生くらいの女の子が声をかけて来たの。
小学生くらいの、桜と同じピンク色のフリルとスカート、それに胸元のリボンをつけて、金髪でツインテールの女の子。それに同じ色のとんがり帽子と箒まで、まるで魔法使いみたいなダイバールックの。
「……うん、貴方は一体」
「私はトピア。GBNがねー大好きなんです。
お二人は何て名前ですの?」
そう名前を尋ねられて、私たちは答える。
「私はレーミ、そして彼女は私の友達の……」
「マノモだよ! 宜しくね、トピアちゃん!」
トピアと言う名前の女の子、彼女はにこっと満面の笑顔を見せてくれると。
「はい! これで、トピアのお友達がまた増えて……嬉しいです!」
GBNではこうして、友達だって出来るから。だから――。
「……私も。宜しく……トピア」
だからこの世界は、私にとっても――大切な場所だから。