【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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三人の挑戦 その1(Side ジン)

「やぁ、ジン!」

 

 俺がGBNのロビーに、早速出迎えるフウタ。それに彼の隣にはミユちゃんも一緒だ。

 

「こんにちは、ジンさん。会えて嬉しいです!」

 

「ははは、俺も二人に会えて嬉しいぜ」

 

 俺も俺で二人に対して挨拶を交わす。何しろ――今日こうして呼んだのは俺の方だから。

 

「ところでどうしてまた僕を呼んだのさ。タッグバトルで組みたいとか?」

 

「あはは……分かっているじゃないか。マリアは用事が取れなくて、丁度いい相手がフウタしかいないしさ」

 

「つまり、マリアの代わりってわけ。何だか複雑だな」

 

 若干むくれた感じなフウタ。まぁ、言われてしまえば不機嫌になる気持ちは分かるかもだ。

 

「あまりそう言うなよ。これからフウタを誘おうとするミッション――かなり面白そうなんだからさ!」

 

 

 

 実は俺、ちょっとした面白いイベントと言うか、ミッションを見つけたんだ。

 ただ参加条件は二人一組……だから誰かと一緒に、受けたかったと言うわけだ。

 

「面白い……ミッションだって?」

 

「ああ、そうだ! 今までにない結構楽しそうなミッションって言うか。

 暇だから、試しにやってみたいってな」

 

 俺からの提案。フウタは考えこむようにしながら。

 

「ジンがそこまで言うのなら、ちょっとやってみたい、かな」

 

「うんうん。そう言うの、良いと思うな」

 

 少しだけ乗り気っぽいフウタと、そんな風に言うミユちゃん。

 けれど、彼女も考え込むようにしてこんな話を。

 

「でも、私はどうしようかな。フウタがジンさんと一緒なら……せめて誰かと組めたらいいんだけど」

 

 フウタは彼女の言葉にどきっとした感じで。

 

「それなら僕がミユと組むよ! 正直ジンよりもミユと組みたいしさ、僕」

 

「おいおい! ここに来てそれはないだろ! 俺が困ってしまうぜ」

 

「でもな、ミユを残して参加するつもりは……正直あまり」

 

 いくら何でもそれでは俺が困る。慌ててフウタを止める。

 ……とは言っても、確かに三人、この状況でミユちゃんが余るのは痛いな。フウタの事だ、彼女を一人にして俺について来るとは思えないからだ。

 

 ――困ったな。一体どうすれば――

 

「あら。ずいぶん面白い話をしているのね、貴方達」

 

 そんな中だった、俺達三人の近くに一人のダイバーがやって来た。

 

「ちょっとロビーで過ごしていたら、話が聞こえて来ちゃって。だから、ね」

 

「それは分かったけれど……君は一体」

 

「ワタシ? そうね――クロ、とでも言っておこうかしら」 

 

 

 

 クロと名乗ったダイバー。

 それは名前通り黒色のガンダムSEEDの軍組織、ザフトのパイロットスーツを身に纏った女性ダイバーだ。

 身体つきや背丈から若い女性、女の子だとは思う。けれどヘルメットまで被りバイザーまで降ろして顔は見えないし、声も女の子っぽいけれど変声機を使っているかのように微妙に人工的だ。

 

「クロさん、初めまして! 私はミユ、本当に私と一緒に組んでくれるの、嬉しいです」

 

 ミユちゃんは彼女ににこやかに微笑む。対して顔は分からないけれど、クロはふふっと、笑い声を漏らしたようだった。

 

「ミユ――良い子ね。いえね、楽しそうだからワタシも興味があったのよ。

 新しい生き方と言えばいいかしら……そうしたのを見つけるのにも、丁度良さそうじゃない」

 

 妙に掴み所がないと言うか、言動も怪しい彼女。ミユちゃんはああだけれど俺はどうも胡散臭い。フウタも俺と同じ感情なようだ。

 

「えっと……クロ、だっけ。ミユはこう言っているけど僕は、悪いけど信用出来ないんだ」

 

「もう! 失礼だよフウタ!」

 

「……分かっているけどさ、でも僕としてはあんなに胡散臭い相手に大切なミユを預けられるわけないじゃないか」

 

 当然と言えば当然の反応。彼女想いのフウタが認めるとは、俺も思えなかった。

 けれどクロはフウタに興味を持ったかのように、あいつの顔をぐいっと覗き込む。

 

「うわわっと!」

 

「ふむ……貴方は、フウタ、と言うのね。随分素直な子じゃない」

 

「あ……えっと…………その」

 

 彼女の対応にどきっと慌てるフウタ。ヘルメット頭でいきなり迫れたらそりゃビビるよな、俺だってビビる。

 そんな彼にクロはこんな事を。

 

「いきなりで悪いけれどフウタ、そこのミユちゃんと随分仲が良さそうね。

 ねぇ、二人は一体どんな関係なの? 良かったら教えてくれないかしら?」

 

 いきなりの問い。フウタは戸惑いながらも、でも迷いなんてなくて当然のように答える。

 

「ミユは僕が小さい頃から一緒にいる幼馴染みさ。だから――今までずっと誰よりも大切な相手で、恋人としても付き合っているんだ。

 互いに、両想いでもあるしね!」

 

「幼馴染みで……ずっと大切に、想っているのね。初めて会って得体の知れないワタシに迷わず答えられるくらい、強く」

 

「当然じゃないか! 僕はミユにラブラブなんだから」 

 

「ラブラブ……ね。フウタ、貴方って人は」

 

 顔は相変わらず見えない。けれど、その声にはどこかある感情が含まれているかのように。

 そしてまた――かすかに笑い声をあげると、こんな事を言った。

 

「ふふふふっ、面白いわね。……悪くないわ」

 

 クロと言う少女。態度こそ妙だけれど、それでも俺達に敵対的だったり、少なくとも妙な真似をするつもりはないらしい。

 彼女は優しい口調で、伝える。

 

「そんなに彼女想いなら心配になる気持ちも分かるわ。

 でも、安心して欲しいの。ワタシはただGBNのミッションとやらを楽しんでみたいだけなのだから。貴方の大切な人は代わりにワタシが守ってあげる。――心配はいらない、約束するわ」 

 

「……むぅ、そこまで言われると」

 

 見た目と態度こそアレかもだが、クロは悪人ではないのは分かる。俺でも彼女の言葉が本気だと……それだって。

 

「ここはクロに任せても良いんじゃないか? 怪しい所はあるかもだけど、少なくとも悪い相手なんかじゃなさそうだしさ」

 

 ミユも俺の意見に同意みたいだった。

 

「うんうん! GBNは色んな人がいるんだもん。顔は分からないけど、クロさんは良い人だって分かるから。

 クロさんとならイベントだって楽しいと思うし、だから――」

 

 彼女はクロの傍に近づくと、一緒に手を繋いだ。

 

「今日は宜しくね、クロさん!」

 

 

 

 好意的な様子のミユに、フウタも表情を緩める。

 

「ま、ミユがそこまで言うなら、分かったよ。

 クロさん、僕の代わりに約束通り、ちゃんとミユの事を守ってよね」

 

「もちろんよ! ……ワタシの命に代えても」

 

「あはは。クロさんってば、大袈裟だよ」

 

 いきなり現れた黒いパイロットスーツとヘルメットをかぶったダイバーの少女、クロ。

 色々と気になるものの、多分大丈夫そうだ。

 

 ――とにかく結果オーライか、おかげで俺もミッションを楽しめる、良かったぜ――

 

 俺もまた、ワクワクな気持ちだぜ。

 

 

 

 ―――― 

 

 俺達はロビーでミッションを受ける。そして、転送されたミッションのエリアは、やたら広大な平原の真っ只中だ。

 

「エリアは……成程、こうなっているのか」

 

〈だだっ広い平原だな、ほんと。それに周りにはガンプラだらけだし〉

 

 平原には俺のガンプラF91やフウタのレギンレイズ・フライヤーが立ち、周囲には他の多数のガンプラだってある。

 ……ちなみに俺は別にGBN用にM1アストレイも作ったけれど、やっぱりこっちのF91の方が少し使いやすくもある。

 

「そう言う事だな。

 後、それとだ。フウタ、このミッションの説明は聞いていただろ?」

 

 俺の言葉に頷くフウタ。

 

〈もちろんだよ。要はカンタン、今から僕たちは――あの目の前のゴールに向かえばいいんだろ!〉

 

 広大な草原の中央、俺達の見ている前には……超巨大な建造物がそびえ立っていた。

 雷が鳴り響く暗雲の下で、おどろおどろしい巨大要塞、ア・バオア・クーやメサイア、リーブラにアンバット、エンジェル・ハイロゥだとか、ガンダムシリーズの要塞をごちゃまぜにしたような、凄まじい外観の化け物要塞だ。

 

〈にしても、あんな凄い場所に今からか。

 要塞の奥深くがゴールみたいだけど、これって大丈夫なわけ〉

 

「んなわけあるかよ。あの要塞の内部には複雑な迷路みたいになって、さらに凶悪な罠だって多くあるんだぜ。 

 更に、これだけのダイバーのタッグとの競争だ。途中奴らとのバトルだって避けられない。つまり――周りにいる奴らだって全員敵さ」

 

〈敵……か、これだけの数が全部〉

 

 辺りには他のダイバーのガンプラだって数多い。

 そして、間もなくミッションが開始しようとしている。――どうなるのか期待と不安で一杯だ。

 

 

 

 ――――

 

 ――ついにミッションは始まった。

 ミッション開始の合図とともに、周囲のダイバーも各々のガンプラを駆り一斉に要塞へと向かって行く。

 

「やっぱ、スタートダッシュはあいつらが有利か」

 

 俺が上を見ると、他のガンプラを追い抜くように戦闘機のような機体が飛んで行く。

 Zガンダムにメッサーラ、Wガンダムにセイバーガンダムだとか、多くが高加速が可能な可変機が多い。

 

〈やっぱりスタートダッシュは、加速の高い機体が強いよね。……って! ジン!〉

 

「いきなり何だよ!?」

 

〈後ろ後ろ! ったく、開始早々あんな真似を!〉

 

「あんな真似だって!? 一体――」

 

 フウタのレギンレイズは後方を振り返っていた。他の多くが要塞へと急ぐ中、真後ろにいた一機のガンプラが動かず構えていた。

 その機体は、ハイモック。ガンダム作品の機体ではないけれど、ずんぐりとした太い手足と身体、半球体で一つ目のついた量産機風のオリジナルガンプラだ。ハイモックの肩と背面にはミサイルポッドやライフルと言った武装が装備されているアームが伸び、加えて一部アームにはバインダーガンまで――その武装が全て俺達の方へと向けられていた。

 それがどう言う事か、考えるまでもなかった。

 

「――すぐに射線上から離れろ!」

 

〈見れば分かるってば、ジンこそ!〉

 

 俺達は同時に左右に飛び退いた……次の瞬間。

 

 

 

 周囲に一斉にビームと弾丸、ミサイルが一斉に降り注ぐ。

 多くのガンプラは瞬く間に攻撃を受けて次々に撃破される。上空を飛ぶイナクトが二機、撃墜されるのだって見えた。

 

〈大丈夫? どっちかがやられると失格なんだから……分かるだろ〉 

 

 フウタの言う通り。これは二人一組のタッグで挑むミッションだ。

 

「当然だろ! ……けれど今ので、辺りも騒がしくなったみたいだな。

 こんな中を切り抜けるのか、厄介だな」

 

 

 さっきの一斉放火、辺りは大被害を受けたものの、俺達はギリギリで回避が出来た。……だけど。

 今の攻撃が火ぶたに、周囲のダイバー同士の戦いが白熱した。

 飛び交う攻撃と、剣戟があちこちで、……そんな中で俺とフウタは切り抜けなければいけない。

 

「――って、油断出来ないな!」

 

 次の瞬間、俺のF91にスタークジェガンが、両肩に装備した大型ミサイルを撃ち放って来た。

 正確には俺と周囲にいるダイバーのガンプラを狙って、とっさに俺はビームシールドで攻撃を受けたものの、周りの数機が今のでやられた。

 

 ――こなくそっ――

 

 俺はあのスタークジェガンに反撃を繰り出そうとした。けれど、スタークジェガンは今度はいきなり現れたソードインパルスによって一刀両断される。

 

 ――はは、ああして助けてくれる奴もいるんだな。フウタは――

 

 見ると、フウタのレギンレイズは戦闘をかいくぐり、俺より先を走っていた。

 途中ザクⅢがビームサーベルを繰り出すも、それを受け止め、弾きかえす。

 

〈ジンも早くしてよね! こんな所で足止めをしている暇なんてないし、二人でゴールだってしないとだしさ!〉

 

 フウタの言う通りだ。ミッションはあの要塞の奥のゴールに二人で辿りつく事だ。片方でもやられたら失格、上手く協力をして……と言うことだろう。

 

「もちろん、俺だってすぐに追いつくとも!」

 

 俺もフウタに負けないように機体を駆り、先へと急ぐ。

 ミッション成功の条件はゴールにたどり着く事だけれど、クリア報酬は先にゴールした方がより良い報酬になる。――だから、他より早くゴールした方が良いと言うわけだ。

 

〈このまま一気に、要塞へと向かおうか! ……それにしても、GBNでは面白いイベントをやるよね〉

 

「――? いきなりそんな話をしてどうしたんだ」

 

〈いやさ、数か月も前だっけ……ビルドダイバーズのコアガンダムってガンプラが活躍した大イベントがあっただろ。

 あの時はGBNにログインしていなかったから後で知ったんだけど、コアガンダムに似た新ガンプラが敵として出て来て、アヴァロンや百鬼だとかGBNの有名フォースやダイバーが活躍した……あれさ〉

 

 フウタの話、俺はそれを聞いて思い出す。

 もうずいぶんと前の話だけれど、そんな事がGBN内ではあった。

 

「ああ、あれか。

 何だかそんな大イベントがあったって、俺も聞いたぜ。

 それに最近……と言っても二週間以上前だけど、また大きなイベントがあったよな。確か――」

 

 ……おっと! でも今はそんな話をしている暇なんてないか。

 

「……いや、それより今はこのミッションに集中しないとな! 気を取り直して行こうぜ、フウタ!」

 

〈だね! 僕もミユの事が心配だから、早く合流しないとだし〉

 

 とりあえずは平原ももうすぐ突破できそうだ。

 ここからが本番――俺たちはいよいよ要塞へと突入する

 




 今回は少しコラボ、ガリアムスさんの「ガンダム・ビルドライジング」https://syosetu.org/novel/253898/のハイモック・ガンオージャを少し登場させてみました。次回もコラボはしていく予定ですので……宜しくです。
 ちなみに、今回の内容は別の自作「Re:Connect 揺れ動く、彼女の想い」とも関係してもいます、良ければ!
 
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