【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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俺/私達兄妹の、絆 その1(Side ハクノ)

 

 

「ここは任せたぜ、マリア!」

 

〈了解。任せて頂戴な〉

 

 俺の大事な妹で、相棒のマリア。彼女のガンプラである鉄血のオルフェンズの機体、ガンダムバエルを改造したガンダムバエルクリムゾンが俺とは反対側の敵機を相手にする。

 俺達は今、ダイバー同士の大乱闘系のミッションを受けていた。ノンプレイヤーダイバー、NPDとは違ってやっぱ人間だから……割と手こずるぜ。

 近未来な感じの大都市を模したフィールドで、目につくだけで数十機のガンプラが激戦を繰り広げている。マリアのバエルクリムゾンは自慢の大型ライフルで次々撃破している。やっぱりさすが俺の妹だな。

 

 

 俺も俺で、自分のガンプラ――ООガンダムの太陽炉搭載型の量産機、アヘッドを改造したアヘッド・ブロッケンで戦う。右腕に装備した専用の……レギンレイズジュリアのジュリアンソードもとい蛇腹剣を振り対戦相手をぶっ倒す。

 今さっき襲い掛かって来たジェガンとウィンダムをなます切りにして返り討ちだぜ。……だけど。

 

 ――!!――

 

 ビルの上から飛び、大型の剣を俺に振り下ろす一機のガンプラ。その奇襲を俺のアヘッドブロッケンは受け止める

 

〈兄さん、大丈夫?〉 

 

「これぐらい問題ないぜ! ――相手は、ソードストライクガンダムか。面白い!」

 

 俺に襲い掛かって来たのは近接武装のソードストライカーを装備したストライク、ソードストライクガンダムだ。

 振り下ろす大型の対艦刀「シュベルトゲベール」、かなり重い。

 

「……っ!」

 

 けれどどうにか攻撃を弾き、相手と距離を取る。このソードストライクガンダム、白と赤……色合いはソードインパルスガンダムにそっくりなストライク。今の一撃、相手は俺と同じくらいの実力だろうか。

 続けざまにシュベルトゲベールを大薙ぎして迫るソードストライク。俺はステップを踏み、距離を一定間隔に保ちつつGNマシンガンで応戦する。

 

 ――こりゃ手こずるよな、おっと!――

 

 もちろん相手は一機だけじゃない。戦っている最中の俺に遠くから鋭いビーム射撃が襲う。瞬時に察して俺は避ける。さっきまで俺がいた場所には穴が空き、放ったのは遠距離の位置にいたジムスナイパーカスタムだった。

 

「ちいっ、余計な邪魔を――」

 

 けれどその隙をついて、ソードストライクは大剣で突撃を繰り出す。その攻撃は俺のアヘッドブロッケンの左肩を抉り傷つける。

 

 ――くっ、厳しいな――

 

 俺は蛇腹剣をぶんと振り反撃する。相手のガンプラはそれを回避、同時に肩に装備したビームブーメラン、「マイダスメッサ―」を放った。当然右に飛び退きかわすけれど、今度は腕に装備したアンカー「パンツァーアイゼン」でアヘッドを捕縛する。

 左腕を掴まれ動きが一部制限される。その中で止めを刺そうと一気に迫るソードストライク。

 

 ――俺が、やられるだと!――

 

 絶対絶命なまさにその時、ソードストライクの胸を別の、剣が貫いて撃破する。それはガンダムバエルの……バエルソード。

 

〈間一髪だったわね、兄さん〉

 

「マリア、助かったぜ」

 

 マリアのガンダムバエル・クリムゾンが、俺の危機を助けてくれた。

 

「ははは……危機一髪だな。ありがとうだぜ」

 

〈ふふっ、どういたしまして。

 ――さてと、でもまだまだ戦いは終わってないわよ。引き続き頑張ろう〉

 

 元気づけられるマリアの言葉。

 

「ああ!」

 

 俺は頷いてこたえて、そして再び……戦闘に戻る。

 

 

 

 ――――

 

「ふぁーあ! さすが俺達だ。見事なコンビネーションで良い結果が出せたぜ。

 ランキングもかなりの上位だったしな!」

 

 GBNの中世風な町中で、俺とマリアは並んで歩く。

 

「私たち兄妹は最強、だもんね! 大体の相手なら負けないわよ。……ま、クジョウ・キョウヤみたいなチャンピオンとかの相手とかじゃなければね」

 

「それは確かに。けど、これからどうするか?」

 

 町を歩きながら俺は傍に歩くマリアに尋ねる。すると彼女は笑顔でこたえる。

 

「うーん、二人でまたミッションを受けるのもいいわね。それともエリアだとかあちこち巡るのも面白そうだわ」

 

「だな! 俺はどっちでも良いぜ。マリアと一緒なら何だって全然な!」

 

「なるほどね、そっか。じゃあ私は――」

 

 俺がそう言おうとした矢先だった。マリアの所から着信音が聞こえた。

 

「あっ、もしかして。……ごめんね兄さん、ちょっとまってて」

 

 そう言うとマリアは画面を開いて、誰かと通信を繋ぐ。

 

「もしもし。……うん、そーなの……ふむふむ、いいね! んじゃそう言う事で」

 

「――」

 

 俺はマリアが通信しているのを、黙って聞いていた。そしてマリアが通信を終えると、俺に言った。

 

「あの……ね、兄さん。実は――」

 

「分かっている。アイツ、ジンからなんだろ、さっきの通話。少し聞こえたぜ」

 

「……うん」

 

 俺の妹、マリアには今は付き合っている恋人がいる。

 ジン、ガンプラバトルに勝てれば付き合いを許すだなんて俺がバカげた約束をしたせいで、結局奴が勝って妹との交際を許してしまった。

 

「だから、その。兄さんには悪いとは思うけど、今からジンの所に行っていいかな、なんて」

 

 やっぱそうか。分かっていたと言え、辛いな。だけど俺は――。

 

「ははっ、もちろんいいに決まっているだろ。大切な妹の頼みだ。ジンと、楽しんでくるといい」

「ありがとう兄さん! じゃあ私、行ってくるわね!」

 

 そう言うとマリアは俺の元から離れて、ジンのもとへと行ってしまう。

 

 ――……――

 

 手を振ってマリアを見送りながら、俺は複雑な心境を胸に抱える。

 

 ――ったく、何だろうな―― 

 

 一人道に立ち尽くしてため息を。本当に色々、複雑だぜ。

 今までずっと一緒にいた妹を他の奴にとられて。そりゃマリアが幸せなら一番だと思うけど、でも俺はモヤモヤしているんだぜ、ずっと。

 

 ――マリア……俺は、どうしたものか――

 

 ああ、全く。考えれば考えるほどドツボにはまりそうだ。こんな時はきちっと気分転換でもしたいぜ。

 

 ――そうだ! GBNにこだわらずにここは、あそこに行ってみるか!

 しばらくご無沙汰だったから丁度いいぜ――

 

 俺がふと思いついた気分転換。それは――。

 

 

 

 

 ――――

 

 ガチャ、ガチャ

 

 俺はGBNから現実世界に。地元の街にある、とある場所に来ていた。

 

 

 

「よう兄ちゃん! なかなかの腕じゃないか」

 

 立ったまま筐体のレバーとボタンを動かしている俺に、通りかかった男が声をかける。

 

「ああ。こう言うのは俺、得意なんだぜ」

 

「にしても……若いのに珍しい、この筐体はゲームセンターで一番古い、インベーダーゲームをここまでやるなんて。

 もう何十年の昔のゲームなのにな」

 

 今、俺が来ているこの場所は――街のゲームセンターだ。

 馴染みの店。昔はよく通っていたけれど、最近だとGBNの方に集中しがちなせいであまり来る事はすくなくなった。けれど、それでもたまにはこうしてゲームをするために来たりしている。

 

 ――最新で、流行りのVRMMOもいいかもだけどよ、こう言うアナログなのも結構いいものだぜ――

 

 ちなみにインベーダーゲームは戦闘機のような自機を画面上で動かして射撃で敵を撃破する、シューティングゲームの元祖だ。

 八ビットくらいの二次元画面で、ドット絵で単純に描かれたインベーダーを撃ち落としてポイントを稼ぎ、より難易度の互いステージに進んで行く。グラフィックもシステムも全然単純なんだが、だけどゲームとしての完成度はきっちりして、面白い。

 俺は結構インベーダーゲームを進めてステージの難易度も、かなり厳しいものになっていたけれど、十分楽しんでいた。……けれど。

 

「くっ」

 

 飛び交うインベーダーとその弾の嵐、内一発が自機に当たって撃破された。

 

 ――ははっ、ここまでか。でも良い線行っていたんじゃないか――

 

 久々のインベーダーゲーム、俺は満足した。でもまだまだここには沢山のゲームがある。

 やっぱ、十分に気分転換って事だ。

 

 

 

 俺はそうして他のゲームをプレイして回った。

 クレーンゲームに、コインを使うようなミニゲーム、後はFPS、レーシングゲームの類もか。そしてやっぱり一番は――。

 

「でりゃっ! これでどうだ!」

 

 今やっているのは俺が一番得意な、格闘ゲームだ。一対一で格闘技、気だとか飛ばしたり色々な技で戦うそんなゲームだぜ。

 

「私の、負けか。……自信はあったのだが」

 

「悪いな。けどそれだけ俺は、強いって事だ! これでもこの地元では敵なしだって自負しているんだぜ。……けどそっちも悪くなかったぜ、戦えて光栄だ」

 

 俺のプレイしている格闘ゲームはNPCとの戦いも出来るが、同じくゲームセンターにいる人間との対人戦も出来る。

 

 ――だからこそGBNでのガンプラバトルにも馴染んだんだろうな。こう言うのはワクワクするしさ――

 

 GBNとは違ってリアルで筐体を操作して、キャラを動かしてプレイする。やっぱこうでなくっちゃな。久々のこの感覚に感動すらも覚える程だぜ。

 

「さて、と。あともう一戦くらいしたいものだぜ! ……誰か相手してくれねぇか」

 

 俺はゲームセンターにいる他の人間に声をかける。けど、今さっき戦った相手が多分、この中では一番強い感じそうだったからな……それ以上の戦いが出来るかどうか気になりはしたが。

 

「――あの。良ければ私で、大丈夫かな」

 

 返って来た返事は、女の子の声だった。

 

「ほう、これはまた可愛い相手だそうじゃないか。いいぜ、でも一体どんな――」

 

 どんな相手の子か、俺は声がした方に視線を向けた。するとそこにいたのは、俺が見知った人物だった。

 

「こんな所で会うなんて、ハクノさん。……ふふっ、驚きだけど嬉しいです」

 

 

 

 ――――

 

 俺と同じくゲームセンターに来て、対戦を申し出て来たのはミユだった。

 

「ハクノさんもゲーム好きなんですね。私もゲームが大好きで、今日は少し街までゲームセンターにって思ったから。

 私の町にも小さいゲームセンターはあるんだけどね、ここの方が筐体が多いから」

 

 彼女はそう俺に微笑みながら答える。

 

「へぇ、ミユも俺と同じ感じかい? ちなみに君の彼氏、フウタはどうしたんだい。いつも一緒にいるイメージだからよ」

 

「あははー、確かにそんなイメージだよね。でも今日は一緒じゃないんだ」

 

 恥ずかし気にそう言うミユ、そしてこう続けた。

 

「フウタの方は学校の補習。ちょうど中間テストを控えているから。……それでね」

 

「なーるほど、そりゃご愁傷さまだ」

 

 フウタの奴、学生らしい苦労をしているんだな。

 

「んで、ミユが俺の相手をしてくれるって訳だな。でも俺はかなり強い。相手が女の子でも手加減しねぇぜ。それでも戦うのかい?」

 

 俺が聞くと、ミユはほんの少し得意そうに微笑むと。

 

「心配しなくても、私だって――強いから!

 じゃあ早速始めましょう。GBNだと勝てないかもだけど、このゲームはGBN以上に得意だもんね」

 

 

 

 ――――

 

 俺とミユはそれぞれの筐体の前に座って、画面に向き合う。

 

「準備はいい、ハクノさん」

 

「おう! 俺はいつだって大丈夫だぜ。そして俺も年上としてのプライドがある。先手は譲ってやるぜ」

 

 画面には二次元のフィールドで、ファインテックポーズをして向き合う二体のキャラ。

 一方は長髪を後ろに束ねたくノ一、クナイを使った格闘技に投擲を得意とする……ミユが使うキャラだ。対して俺は筋骨隆々でサングラス、タンクトップ姿の、さながら軍曹のようなキャラクターを操る。このキャラはマーシャルアーツの使い手、俺がこのゲームで一番得意とするキャラだ。

 

「じゃあお言葉に甘えて……行きますね!」

 

 ミユの操るくノ一は、クナイを連続で投擲する。俺が操作する軍曹は前に跳躍して距離をつめ、クナイを回避すると同時に跳び蹴りを繰り出す。

 あのクナイ投擲技はくノ一の技で一番強力でな、一撃を受けるとキャラはひるんで、その上このゲームでダメージを受けた時に発生する一時無敵状態にもならな。だから連撃をかませればそのままひるませたまま一方的にダメージを与える事が出来、相手をはめて完封してしまうって言う高性能の技だ。

 最も、こんなのは避けちまえばどうって事はないけどな。あの技は直線上しか飛ばせない、だから上に跳んでそのまま追撃をかますのが効率的だぜ。

 

「全キャラクターの動きと技は把握してんだぜっ!」

 

「生憎……私だって」

 

 その瞬間にミユのくノ一は寸前で一歩後方に下がって蹴りを避けた。と、同時にクナイを構えて斬撃を放った。

 

「くっ! まさか俺に一撃当てるなんてよ」

 

 開始早々に攻撃を避けられてその上反撃まで喰らった。ミユの奴、こんなに強いのかよ。

 さっきの攻撃で俺の使っているキャラの体力ゲージが減った。

 

「やるじゃないか、ミユ。最初のアレはわざとだな」

 

「はい。このゲームをやりつくしているハクノさんなら避けて攻撃まで返してくると思いましたから。

 でもハクノさんもさすがです。多分、私がこのゲームで相手して来た人のなかで一番かも」

 

「ははっ、そう言って貰えて光栄だぜ」

 

 でも俺だってやられっぱなしじゃないぜ。ミユが近接戦に持ち込んだが、近接なら軍曹が有利だ。

 すぐさま手慣れた操作でコマンドを打ち込み、近接技で最大威力の技である突進を放つ。

 

「うそっ!?」

 

 一撃で俺以上にゲージを削られ、くノ一は吹き飛ばされて倒れる。

 

「さっきは少し油断したが、ここからは本気だぜ。

 このゲームは本当にやり込んでいてな。コマンド入力だって早く入力出来るように特訓したんだぜ! だから……反応しきれなかったろ?」

 

 俺の早打ちによる技の発動、対応出来る奴なんてそういないぜ。そうしている間にもミユが使うくノ一は起き上がり、無敵時間も終わりそうだ。……このままさらにもう一撃! 今度はキックを繰り出そうとする。

 再度コマンド入力、そしてキック。軍曹はくノ一に向かって放った。

 

「残念ですけれど、今度は!」 

 

 すると彼女はタイミングを合わせて防御、更にカウンター技――火遁の術を放つ。

 放たれる炎、それにつつまれてダメージに加え、今後しばらくは延焼効果で体力が減少する。こんな真似までやるのかよ。今のは本気で攻めたってのに。

 

「実力は俺と互角って事か」

 

「みたいですね! ふふっ、私も久しぶりのこのゲーム、楽しめそうです」

 

 俺とミユ、格闘ゲームの続きを……再会する。

 

 

 

 彼女との対戦格闘は白熱し、互いに技の応酬を繰り広げた。

 

「ううっ、やっぱろ手ごわいです」

 

「ミユもなかなかやるが、俺は負けねぇぜ」

 

 再びパンチの一撃を、ミユが使うキャラに食らわせる。互いに体力も残り僅か。次の一撃で勝負が決まる。

 

「これでっ、決めるぜ!」

 

「私だって!」

 

 俺とミユ、互いにほぼどうじに回し蹴りとクナイの突きを繰り出す。本当にほぼ同時、けれど、ほんの少し俺の方が早かった。蹴りはミユのくノ一に命中して――ノックアウトだ。

 

「私の……負け、だね」

 

 ミユは座席にもたれかかって、残念そうな顔を見せる。

 

「ずいぶん骨を折ったが、俺の勝ちだぜ。でもとても楽しい勝負だった。礼を言うぜ」

 

「負けたのは悔しいけど、私も楽しい勝負だったな。やっぱり来て良かった、ふふっ」

 

 けれどミユも満足したような顔を見せる。これには俺も安心だ、やっぱり勝負は互いに満足出来るのが一番だからさ。

 

 

 

 ――――

 

 勝負を終えた俺達は、ゲームセンターの休憩室で一息つく事に。

 

 ……ガコン。

 

 休憩室の自販機で、俺はコーラを二缶購入する。

 

「ほらよミユ、せっかくだから君の分もな。良い勝負のお礼でもあるしよ」

 

「ありがとうございます、ハクノさん」

 

 俺とミユは並んでベンチに座って、早速買って来たコーラを開けて口にする。

 

「くーっ、やっぱ美味いな」

 

 ミユもまた美味しそうな感じで頷いてこたえる。

 

「……けれどこうしてミユと二人か。特に何かあるわけじゃないんだが、今の状況をフウタが見たら怒るだろうな」

 

「うーん、説明したら分かってくれると思うけど、でもいい顔はしないよね」

 

 そう言って苦笑いをするミユ。本当に、この場にフウタがいないのは幸いだった。俺はこう思いながらまた一口コーラを飲む。

 

「……はぁ」

 

 俺はふと、ため息を漏らしてしまう。ちょっと頭によぎった事があったからな。

 

「どうかしましたか、ハクノさん?」

 

 それに気づいたのか、ミユは俺を気にかけるように尋ねた。俺はどうしたものかと考えたけれど、考えた末に……ちょっとだけ話すことにした。

 

「実はな、最近妹のマリアとの仲で少し、モヤモヤしているんだ。

 ジンの奴と付き合ってからどうも、距離が出来たって言うか、難しいんだよな」

 

 考えると余計に気が重くなり、頭ががくっと下がって項垂れてしまう。

 

「ほんと、どうすりゃいいんだろうな。ミユにこんな事を話しても仕方ないのは分かるけどよ……困ってんだ」

 

 柄になく深刻な俺。すると、ミユは優しい顔を見せると……こう言ってくれた。

 

「心配しなくても、きっと大丈夫です。マリアさんにとってハクノさんは大切なお兄さんなのは変らないはずですから」

 

 真っすぐな思いをのせたミユの言葉。思わず俺ははっとする。

 

「そう――なのか。だって」

 

「確かにマリアさんには新しくジンさんって言う大切な人が出来たけれど、それでもハクノさんの事も……想いは変らないはずだって。

 だってこれまでだってずっと、素敵なお兄さんとしてマリアさんの傍にいたんだから。だから、きっと」

 

「……」

 

 俺は彼女の励ましに、俺は心に留める。

 

 ――言われてみれば確かにそうだな。ジンがいたからって、それはきっと変わらねぇはずだ――

 

 そう考えると何だか自信が沸いてきた気がする。気分もおかげで、良くなったと言うかな。

 

「……ふっ」

 

 俺は少しだけ微笑んだ。そして俺の気持ちを救ってくれたミユに、感謝を伝えるんだぜ。

 

「ありがとな、ミユ。おかげで俺も――本当に、救われたとも」

 

 

 

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