【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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俺/私達兄妹の、絆 その2(Side マリア)

 さっきまで兄さんと一緒に、GBNをプレイしていた私。……だったけれど。

 

 ――ジンってば、こんな時に呼ぶことはないのに。困ったわ、きっとハクノ兄さんは気を悪くしただろうな――

 

 私は今、GBNのジャパンエリアに来ていたの。さっき通話で彼氏のジンに呼び出されてここに来たわけ。何だか、急用みたいな事で放っておけなくて。だから急いでここに来たわけだけど、兄さんには悪い事をしたなって。

 ジャパンエリアの和風の町並み……そんな中にある団子屋の傍に座って、団子を食べていた。

 

「お団子、ありがとうジン」

 

「あはは。せっかくだから何か出来ないとってな、ここの団子は割と美味しいんだぜ」

 

 隣で朗らかないい笑顔を向けて彼、ジンはそう言ってくれる。彼の言う通りお団子は美味しくて、私もつい同じく笑顔になるわね。

 

「でも、私を呼んでどうしたのかしら? 急用だって言うから、用事を置いて来たのよ」

 

「そりゃ悪かった。んでさ、用って言うのは――」

 

 ジンは改まった顔で、こんな話をする。

 

「こんな事、本人に聞くのもあれかもしれないけどさ。マリアはもうすぐ誕生日、だろ。

 だから……どんなプレゼントが、いいかなって」

 

「――ふぅん」

 

「あは、は。俺でも色々考えて、フウタの奴にも話を聞いてみたんだけどさ、なかなか思いつかなくてよ。

 それで本人にと思った。……ちょっと、あれかと思うけどな」

 

 成程ね。そう言えば私、そろそろ誕生日だったわね。……ちょっと忘れかけてたわ。

 

 ――だから私を呼んだわけなのね。そう言う事、ふむふむ――

 

 ジンの考えは理解したけど、でも、急ぐ事かしら。……でも仕方ないかな。

 

「誕生日プレゼントね。うーん……困ったわね、私自身考えてなかったから」

 

 誕生日プレゼント、何がいいかしらね。自分の事ながら難しいわね。

 

「えっと、少し待っていてもらえないかしら。私の方でも考えておくから、ね」

 

「……了解だ。こんな事でいきなり呼び出して、俺も悪い。助かるぜ、マリア」

 

「いえいえ。――さて、と。要件も済んだことだから私は兄さんの所に戻ろうかしら。

 さっきまでハクノ兄さんと過ごしてたんだけど、ジンに呼ばれて別れちゃったから気を悪くしているかもだしね」

 

 ジンはこれを聞いてはっとした顔を。

 

「っと! それは、悪かった。ハクノには悪い事しちまったな」

 

「ジンが謝ることはないわ。こうしてここに来たのは私の選択ですもの。とにかく、ハクノに今から戻るって連絡して……」

 

 そう伝えて私は通話機能でハクノ兄さんに連絡を取ろうと……けど。

 

「あれ? おっかしいわね、繋がらないなんて。もしかしてログアウトしているのかしら」

 

 兄さんと繋がらないなんて、困ったわね。多分もうGBNをプレイしていないとなると。

 

 ――私も一旦、ログアウトして兄さんに連絡をとり直してみようかな。でも――

 

 私自身、なんとなく気まずくもあった。

 兄さんが妹である私の事をどれだけ思ってくれてくれているかも分かる。けれど、私がこうしてジンと付き合い出してから、色々複雑みたいなのも。

 

 ――兄さんの事も変わらず大事に思っているけれど、それでもこう言う状況は苦手なのよね――

 

「あの……ね、ジン」

 

「どうした?」

 

 私はある事を、彼に頼む。

 

「せっかくだから少し、私に付き合ってくれないかしら。……ガンプラバトル、気分転換にね」

 

 気分転換、それもあるけど。私もジンに相談事があるのよね。同じくちょっと、ね。

 

 

 

 ――――

 

 ジャパンエリアの平原で、私のガンダムバエル・クリムゾンとジンのM1アストレイは向き合う。

 

「あら、またM1アストレイを使うのね。……どう? 少しは慣れた?」

 

〈ははは、実はあれからあまり使っていないんだよな、せっかく作ったのはいいけど、久々に使った感じと言うかさ〉

 

 ジンが乗るM1アストレイは両腰に備えた対艦刀を抜いて、両手で握って構える。

 

〈でも、マリアとのガンプラバトルだ! こう言うのもまた悪くないだろ〉

 

「それはまぁね、楽しそう! んじゃ――」

 

 こう言う時は――。私のバエルクリムゾンは地を蹴って、跳躍する。

 

「先手必勝! じゃあ早速行かせてもらうわね!」

 

 私はそう言うと自分の専用装備である大型ライフルを捨てた。そして腰にさしてあるバエルソードを一本右手に持って構えると、ジンのM1アストレイに斬りかかる。

 

「せっかくですもの、今回は飛び道具抜きで剣で戦ってみない?」

 

 私の斬撃、これに彼は横に飛び退いて避けた。……やるじゃない。

 

〈いいぜ! だって面白そうじゃないか、ならこっちも〉

 

 ジンはガンプラが両手に握る二本の対艦刀を振って応戦する。刃渡りの大きい刃による斬撃、少々厄介だけどまぁ避けられなくもない。ジンの攻撃を避ける私のバエルクリムゾン、そして次の横薙ぎを左腕のシールドで防御すると、今度は私が剣の突撃を繰り出して反撃をしてみせる。

 

〈!!〉

 

 これにはジンも反応しきれなかったみたいね。私の一撃は彼のM1アストレイの胸部に傷を付けた。本当は一発で仕留めようと思ったけれど、少し外してしまったわね。

 

〈さすがマリア、やるぜ!〉

 

 傷を受けてよろめくジンのガンプラ。いくら彼氏だとしてもガンプラバトルである以上、手加減は出来ないもの。私は続けてバエルソードを振り下ろすけれど、対してジンは二本の対艦刀をクロスさせて防ぐ。

 

〈……くっ〉

 

「確かにあの出来事でアマチュアのジンも大分強くなったけど、やっぱりまだまだだわね」

 

 それにまだまだ私のガンプラも、性能も出力も上だわ。その力でジンをこのまま押す。

 

「まさかもう終わりじゃないわよね?」

 

〈んな訳ないさ! どうにでもっ!〉

 

 瞬間、ジンのM1アストレイは姿勢を落としたと思うと、刀を構え直して薙ぐ。

 

 ――しまったわ!――

 

 私は跳んで回避しようとした。けれど通常よりも刃渡りの長い武器、それが私のガンダムバエルクリムゾンの両脚に直撃した。

 

「ううっ」

 

 着地した私のガンプラ。だけれどさっきの攻撃で微妙にがたつ。そんな中今度はM1アストレイが続けざまに対艦刀を振り回し強力な連撃猛攻を繰り出してゆく。

 

「うわっ! にゃっ! おっ、ととと!」

 

 そんな攻撃から私は逃げ回って、こっちが防戦一方に。

 

〈ハハハハッ! これは俺の勝ちって事かい〉

 

 ジンは得意そうに言って私を追い詰め、そしてまた刀を構えて私のガンプラに向けると――。

 

〈これで止めだっ! 動けなくすれば!〉

 

 彼のM1アストレイは私のバエルクリムゾンに、その刀を振り上げようとした。

 だけど……。

 

 ――やっぱり、まだ私の方が……強いわね!――

 

 瞬間に私だって――鋭い一閃を放った。

 

 

 

 ――――

 

「あーあ、俺の負けか。やっぱりマリアは強いよな」

 

 GBNのロビーで、バトルが終わった私達は合流して会話していた

わけ。

 

「てっきり追い詰めていたのは俺かと思ったけど、たった一撃で勝負を決められるなんて、な」

 

「ジンもなかなかだったわよ。でも、やっぱりあまり慢心するのは良くないかしら」

 

 私の言葉に、少し気恥ずかしそうにするジン。だけどね、貴方のお陰で私は……。

 

「でもおかげで――スッキリしたわ。ジンには少し、相談する事があったのだけれど、これなら大丈夫かしら」

 

「……うん?」

 

 ジンは今度は気になる感じな態度を見せると、こう聞いて来た。

 

「相談事だって? 何か、マリアは悩んでいたのか?」

 

「あはは……ちょっとね。えっと――」

 

 少し躊躇いもしたけれど、せっかくだから話してみようかなと。私はジンに話してみることにする。

 

「実はね。最近兄さん、ハクノとの距離感で少し困っていてね。ジンと付き合うようになって、どうも複雑みたいで……ちょっと私もどうしたらいいか困っている感じで」

 

「それは、困ったな。うーん」

 

 ジンは考えるように腕を組んで、そしてこんな風に答えてくれた。

 

「俺のせいでもあるから偉そうには言えないけどさ、とにかく……その事をしっかり話すのが一番だって、俺は思うぜ。そう言う事はマリアは得意だろ?」

 

「それは――ね」

 

 これにもちろんと答えるように、彼に微笑みかける。

 

「やっぱ、そうした方がいいわよね! 私だって分かっているんだから」

 

「それでこそマリアだな。――っと」

 

「?」

 

 するとジンは何だか別の方向に視線を向けていた感じで。それから私に言ったの。

 

「噂をすれば、か。マリア、ほら……」

 

 ジンがそう言って指差す先、沢山の人の中に、見覚えのある人影がいた。

 

「ハクノ兄さん、来てたんだ」

 

「そう言う事だ。――さてと、まだあっちが俺に気づいていない内に、失礼しようか」

 

 向こうにいる兄さんはまだ私達に気づいていない。ジンは今の内に離れるつもりだった。……でも、多分そっちの方がいいよね。

 

「オーケー、ジン。今日はありがとうね。本当に、助かったんだから」

 

「マリアの助けになれて俺も良かったぜ。んじゃ、またな」

 

 そう言いながらジンは、私に手を振りながら去って行った。同時に――。

 

「おっと、そこにいたのかマリア!」

 

 ハクノ兄さんは私の事に気づいて、駆け寄って来た。

 

「兄さん」

 

「俺はマリアの事、探してたんだぜ。……ジンと一緒じゃなかったのか」

 

「丁度さっき別れた所だったの。ジンはもういないよ」

 

「そっか。……マリア、楽しかったか」

 

 いつもと違う大人しい兄さん。私は頷いてこうこたえた。

 

「うん。もちろんだわ、兄さん」

 

「それは――良かった」

 

 それから少しの沈黙。けれど、私は兄さんにこう、伝えた。

 

「兄さん、私は兄さんの事……大好きなのよ。ジンの事はもちろんだけど、私は――」

 

 けれど、なかなかうまく言葉に出来ないでいた。

 

「あ、はは。何て言えばいいかな、えっと、こんな時に限ってこうだなんておかしいわね。だけど……」

 

「俺だって、同じくだぜ」

 

「えっ?」

 

 隣にいたハクノ兄さん。彼はそっと手を繋いで笑いかけると。

 

「マリアの思いは俺も分かっているさ。もちろん俺だって、大切な妹だって。――それに、やっぱ幸せなのが何よりだしさ。マリアが幸せでいてくれたら、それで」

 

 そんな兄さんの、言葉。

 

 ――本当に、良かった。兄さんは私にとって大切で、一番自慢の――

 

 何だか嬉しくなって。だから私も――大事な兄さんに思いっきり笑顔でこたえたの。




 次回で番外編も含めて完全完結、宜しくお願いします!
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