【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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番外編完結 ――僕達は、これからも(side フウタ)

「――んでさ、ミユ。新しく出来たカフェ、来て良かっただろ?」

 

「私はチョコレートパフェが美味しかったな。時間があったら、また行きたいよね」

 

 休日と言うことで、僕とミユは街に出てデートに。二人きりでこうして時間を過ごすのが僕にとって、一番なんだ。

 

「うんうん。ならまた時間を作って、行ってみようか。今度は別のメニューとかも頼みたいしさ」

 

「だね! やっぱりフウタと過ごす時間が、一番私にとって……楽しくて素敵だよ」

 

「もちろん僕もさ。――さてと」

 

 僕は気を改めて、こんな提案をミユにしてみる。

 

「良かったら今からジンに会いに行かない? 丁度今、街のガンダムベースにいるみたいだし。

 まぁ僕も、そろそろガンプラを買いたいって思ってたから、それもあるけどさ」

 

「ふふっ、フウタらしいって言えばらしいよね。いいよ! ならガンダムベースに……行こう!」

 

 こうして僕達はガンダムベースに一緒に行くことに。ジンの奴、いるかな。

 

 

 

 ――――

 

「よう! フウタにミユ、来てくれたんだな」

 

 ガンダムベースに入った僕達を出迎えたのは、丁度ガンプラの棚を眺めていたところにジンがいた。

 

「やぁジン、もしかしてジンもガンプラを買おうとしてた訳?」

 

「意外に最近はガンダムベースとかは行けてなかったからな。それに家に置いている分は大体作ったし、新しいのとか欲しいしさ」

 

「その気持ちも分かるな。……ミユはどう?」

 

「私も何かガンプラ買って作るのも、良いかも。私たちもちょっとガンプラを見てみよう、フウタ」

 

 ミユもこう言っている。もちろん、僕が断る理由もない。

 

「オーケー! なら三人でガンプラを見てみようか。時間だって全然余裕あるしさ」

 

 

 

 やっぱりガンダムベースに来たんだから。僕達三人はガンプラを見てまわった。

 

「へぇ……AGE-FXも入荷しているんだ。これとか作ったこともないし、買おうかな」

 

「ガンダムAGEの主人公機だな。確かに恰好良いし強いもんな」

 

「だろ? ジン」

 

「うんうん。でも私は、AGE-Ⅱも良いと思うよ。細身の機体の方が好きだったりするんだ」

 

 僕とジンがガンダムAGE-FXを見ている一方で、ミユはAGE-Ⅱに興味深々だった。

 

「あー! ミユの言う通り、言われて見るとそっちの方が確かにいいよね。変形もするし恰好だっていいから。

 うん、ずっとそっちがいい!」

 

「おいおいフウタ、そうコロコロ興味を変えるなんて優柔不断じゃないか?」

 

「そんな事言うなよな。……ジンは意地悪だな、もう」

 

 僕にとって一番なのはミユなんだから、だから当たり前じゃないか。でも、やっぱりガンダムベースにはガンプラが豊富と言うか、何を買おうか迷うな。やっぱり決められない。

 

「AGE系も良いけど、OOのティエレンやジンクス、SEEDだとダガーLも買いたい所だし」

 

「あはは……私も難しいよ。でもこれにしようかな」

 

 ミユはそう言って、一つのガンプラの箱を僕に見せてくれた。それはガンダムⅩに登場するガンダムエアマスター……なかなか珍しいキットだった。

 

「これはまた珍しいガンプラだね。成程、旧キットってなると少し組み立てや塗装で手間取るかも。もし良ければ手伝おうか」

 

「ありがとフウタ! なら組み立てる時にはお願いね。ジンさんも決まった?」

 

「ああ。俺はこの、MGのデルタプラスにしようと思っている。たまには百分の一スケールのキットも作りたくなってさ。……まぁスペースの確保には手間取りそうだけど」

 

「うーん」

 

 ミユもジンも、もう自分で作るのを決めてしまっている。まだ僕だけが決まってないのはちょっとまずいかも。それで少し悩んでいると、横からミユが顔を出して。

 

「やっぱり悩むよね。フウタはそうした所で悩むの、昔からだから」

 

 彼女は恋人だけれど、同時に幼馴染みとして僕の事をよく知っている。……これには僕も苦笑いするしかない。

 

「……仕方ないさ。どうしても決まらないと言うかさ」

 

「うーん、それは困るよね。なら――GBNをしながら考えるのはどう?」

 

 そんな中でミユは僕にそんな提案をしてくれた。

 

「ほら、せっかくここに来たんだしさ。やっぱりGBNの方もプレイしていきたいじゃんって。……どうかな」

 

 確かにそうかもしれない。なかなか決まらない時は一度、何か別の事をした方がいいかもって。

 

「ミユの言う通りかもだね。GBNかー確かに気分転換には良さそうだし。なら今からちょっと遊んで行く? ジンは?」

 

 一応ジンにもそう聞いてみる。これに彼はと言うと。

 

「ま、いいんじゃないか。ちょうど俺もそれが良いかもと思っていたところだ」

 

「なら決まりだね! 僕達三人で今からGBNって事でさ」 

 

 そう言う事で僕達はGBNへと、今から向かう事にした。

 

 

 

 ――――

 

 GBNにログインした僕ら。いつものロビーで合流してどうするか話す。

 

「んでさ、今日はどうする? ガンプラバトルとかミッションをして行く? それともエリアを適当にまわるかい?」

 

「私はどっちでもいいけど、どうしようかな」

 

 ミユはまだどうするか決めていない一方、ジンはこんな提案をする。

 

「それなら、とりあえずエリアを適当に回りながら考えるって言うのはどうだい?

 どっか行くなり、バトルでもするなりそうしながら考えるのも悪くないだろ」

 

「ジンさんの案、良さそうだね。……だってフウタ。それでいいんじゃない?」

 

 二人ともそう言っている。でも確かにその案はいいかも、気楽で済むし。

 僕は頷いて、それに同意を示した。

 

 

 

 ―――

 

「……成程! これはいい。 新しく出来た場所かなここは?」

 

〈それはどうかな。……にしても火星とは、鉄血の舞台とかだよな〉

 

「うーん、後宇宙世紀の何かの作品でも、火星を舞台にしたのがあった気がするな。でもここはテラフォーミングされてるっぽいし、ジンの言う通り鉄血の方の火星だろうな」

 

〈でもでも、こういう所なんて現実世界じゃあり得ないでしょ。……GBNならではって言うか、良いよね〉

 

 僕達三人はガンプラに乗って適当にGBNのエリアを巡っていた。

 あちこち回って、今は火星を模したエリアへと来ていた。

 

 ――見渡す限りの赤い荒野か。確かに普通じゃこんな所に来るのすらあり得ないもんな――

 

 こうしてただエリアを見て回るだけでも、やっぱり楽しいものだよね。

 

〈ねぇフウタ?〉

 

「ん? ミユ、どうかした?」

 

〈良かったら、次はどこか街に行って降りない。買い物だったり、羽休めをしたいな……なんて〉

 

 たしかにミユの言う通り、一息つくのも悪くない。

 

「だね! どこか適当な場所でも行って、ゆっくりしようか」

 

 さてと、んじゃどこに行こうかな。……考えないと。

 

 

 

 ――――

 

 三人で少し話し合った末、僕達はスペースコロニーの中にある街中へと。何せ火星からだと距離的に丁度近かったからさ。

 

「うーん! ここのケーキは美味しいね」

 

 街の店でグッズとか少し買い物したり、そして今は一画にあるカフェで休憩をとっていたりしていた。

 

「ここの喫茶店、結構いいな。偶然立ち寄っただけだけれど正解だ」

 

「だよねジンさん! ふふっ、来て良かったよね」

 

 ジンとミユはそう話している。……確かに美味しい。この僕が食べているパンケーキだって……けどやっぱり、どこか少し複雑。

 

「……ずっと前も言ったかもしれないけど、こうして味まで再現するの、ゲームとしてはやり過ぎじゃない?」

 

 確かに美味しいけど、そこまでやるなんてやり過ぎだとつい思ってしまう。やっぱり、人の感覚にこうも関与するVRMMOと言うのは苦手と言うかさ、そういう意識は今でもぬぐえないんだよな。いくらジンと一緒にああして頑張った事があっても苦手なのは苦手だし。

 

「あはは、フウタはやっぱり相変わらずだね。難しく考えないで軽く楽しめばいいのに」

 

「でもさ、どうしても考えちゃうんだよね。いくらジンと一緒に、少しは本気でGBNをプレイした事はあっても、やっぱりさ」

 

「……だったな。フウタがいなかったら今頃、こうしてマリアと付き合えることもなかったし。だから感謝しているんだぜ」

 

 ジンは僕にそんな事を。

 改めて言われると……照れるな。僕は少し頭を掻いて照れ笑いを少し浮かべる。

 

「そりゃどうも。……そう言えばジン、今日はマリアはどうしているんだっけ」

 

 話を聞いているとついマリアの事が気になって僕は尋ねてみた。

 

「ああ。マリアなら、今日はハクノと出かけると言うことで一緒じゃないんだ。やっぱり兄との時間も大切にしなきゃだもんな」

 

「そう言う事。なるほどね」

 

 これを聞いて納得。それと、今少し思いついた事があった。

 

「それとさ……ジン」

 

「どうかしたか?」

 

「今思いついた思い付きだけどさ、良かったらこれから二人で一対一のガンプラバトル、してみない?」

 

 

 

 ――――

 

「――はぁっ!」

 

 レギンレイズの近接装備であるパイルを振るい、僕はジンのガンダムF91めがけて振るった。

 

〈やるじゃないかフウタ。ならこっちも〉

 

 ジンはとっさに攻撃を避けると、すぐにビームライフルを構えて連射する。けれどナノラミネート装甲持ちのレギンレイズには効かないさ。

 

「避けるまでもないよ!」

 

 ビームを無視して僕は突進する。機体のナノラミネート装甲に当たるビームは次々四散して弾かれる。

 

 ――でも結構光が強いな。ちょっと視界が眩しくてなかなか――

 

 その瞬間だった。F91の姿がいきなり目の前に迫って来て、長槍を手に突撃を放つ。

 

「おっ、とと」

 

 何とかギリギリで腕のガントレットでいなして防ぐ。

 

「その武器、懐かしいね。初めて戦った時以来か」

 

「こちとらビーム装備ばかりなんだから、そうでないと不利だろ? それに……」

 

 僕達がいる、森中にある開けた原っぱと湖があるこの場所。

 

〈綺麗で、とっても良い場所だよね。確かフウタとジンさんが初めて戦った場所だって、聞いたけど〉

 

 バトルに巻き込まれないように、少し離れた場所にはミユのレギンレイズが戦いを見ていた。

 彼女の言う通り、この森の中の湖畔地帯も……ずっと前にジンと始めて戦った、あの場所なんだ。

 

「ミユの言う通りさ。……ジン、懐かしいと思わないか」

 

 そんな中で僕達は一対一のガンプラバトルを繰り広げていた。

 

「確かあの時もこうして二人でバトルして、さ!」

 

 今度はライフルに持ち替えて、F91を狙い撃つ。……けれど上手く命中しない。ちゃんと狙ってはいるけれど、ジンの操縦技術が結構上なのもある。

 

「けど……あの時とは違って、腕は全然違うよね。どっちもアマチュアで実力はあまりなかったのに、かなりマシになったって言うかさ」

 

 と、次はジンが乗るF91がヴェスバーで反撃を放つ。瞬間の攻撃だけれど、それもどうにか避ける事が出来た。

 

〈うーん、今の一撃は自信があったんだけどな。そう言うフウタだって腕を上げてるぜ〉

 

 彼はそんな風に言う。確かに僕自身も、それなりにはかな。

 

「本当、そう言う所は進歩したのかな。――今度は僕の番さ!」

 

 瞬間に隙を見て、パイルに付属するアンカーを飛ばしてF91の足に絡み取らせる。

 

〈しまった……つい〉

 

「今度こそ貰ったよ!」

 

 動きを制限したF91に、続けてライフルを構えて銃撃する。

 

〈くっ!〉

 

 どうにか拘束から逃れたガンダムF91、けれど一撃は機体の右脚部に命中させる事が出来た。

 

「本当なら一撃で仕留めるつもりだけど、やるね。でもようやく一撃――あれっ?」

 

 瞬間、僕のレギンレイズの右肩に衝撃が伝わる。状態を確認するといつの間にかダメージを受けていたらしい。

 見るとF91の手元には構えられたライフルが。

 

〈俺の方も、な。これで互角……腕は互いに上がってもそこは相変わらずだな〉

 

「全くだよ。けどここからが、本番さ!」

 

〈……二人とも、頑張るのはいいけど、あんまり無理はしないでね〉

 

「分かってるってばミユ! 君のためにも、勝たなきゃね!」

 

 

 

 僕とジンのバトルはさらに白熱する。ライフルの撃ち合いに近接戦とか……機体も次第に傷が増えて満身創痍になりながら、そして……。

 

「はぁ、ずいぶん手こずらせたけど。いい加減決めようか」

 

 湖傍らの平原に立つ、戦いでボロボロになったレギンレイズはパイルを構えて狙いを見据える。

 相手はジンのガンダムF91。あっちも同じくらいボロボロで、多分次で勝負が決まる。

 

〈そうだな。んじゃ、そろそろ決着をつけるとするか!〉

 

 そう言って、彼のF91もビームサーベルを握って……こっちに迫る。

 

「勝つのは僕さ! 悪いけど、これで!」

 

 対して僕もパイルを迫るF91に振るう。そして――。

 

 

 

 ――――

 

「お疲れ様フウタ! ……ジンさんも」

 

「ありがと、ミユ。今回は邪魔が入らなくてちゃんと決着がついて良かったよ。前の時にはミサイルでどっちとも吹き飛ばされたしね」

 

 機体から降りた僕とミユと、それにジン。勝負が終わった僕達は森の木の傍で腰を下ろして一息ついていた。

 

「だな。今回は勝負がちゃんとついて良かったぜ。最も――」

 

 ジンは苦笑いしながら横を見る。

 そこには僕のレギンレイズとジンのガンダムF91がそれぞれ動力部を刺し貫かれて動かなくなっている。

 

「相打ちと言うことか。でも、良い勝負が出来たからよかったぜ」

 

「まぁね、ジン。それに――さ」

 

 僕は木にもたれて一息ついて、こんな感想を呟く。

 

「確かにVRMMOは苦手ではあるけど、でもやっぱり……それなりには楽しいよね」

 

 改めて思った。GBNだからこそ楽しめる事や経験出来た事、それに出会えた人もいた。僕にとっても決して悪くない事ばかりだった。

 僕の言葉を聞いてジンも、ふっと軽く微笑む。

 

「全くだ。俺もフウタと同じ気持ちって言うか、だよな」

 

 それにミユも僕のすぐ傍で笑いかけてくれた。

 

「うんうん。フウタってば、最初はGBNをプレイするのに乗り気じゃなかったけど。――やっぱり来て良かったよね、ここに」

 

 僕は……二人に、向けて同じく大きな笑顔でこたえる。

 ――だよね。ここでの事は僕にとって、僕達にとって、大事な思い出の一つだから。

 




 今回で番外編も含めて完全完結になります。改めて、ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!

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