「今回お前心理描写にガン振りしてたよな。あと導入長過ぎィ」
『しゃーないだろ。複雑なんだから』
(背納サイド)
「・・・ん?」
USJ事件明けの朝。皆が登校し始めている時分に、ボクは妙な気配をキャッチする。
ゼノモーフの生体信号なのは変わり無いが、識別反応が知らない個体だ。
反応は2つ。この教室に真っ直ぐ向かってきている。
クッソ、こんな日に限ってドクもマックス居ないんだから・・・
「おはよ~」
「おはようございます」
「・・・あれ?」
気配の元は、百ちゃんと響香だった。何で2人にゼノの反応が・・・
「っあ」
もしかして、
うん、実際それ以外要因が無さそうだし、多分間違い無い・・・けど・・・
「油断したぁ~ッ・・・」
20人以上生んでくれてる出久ですら、意識を集中すればお互いを気配で察知出来るとかその程度だったのに、まさかたった一回で此処まで改造するとは・・・
「ねぇ背納、ちょっと良い?」
「あっハイッ」
響香に突然話し掛けられ、思わず肩が跳ねる。
「何かウチ等、さっきから変な違和感があるんだよね。背納は何か分かんないかな~って思ったんだけど・・・明らかに心当たりあるねこれ」
「そうですわね。あからさま過ぎますわ」
・・・もう正直に言う以外無いなこれ。と言うか、よくよく考えれば隠す理由なんて無いし。
(・・・ねぇ、これ聞こえる?)
「「ッ!?」」
やっぱりテレパシーも通じてるっぽいねコレ。
(取り敢えず、席に着いて。他に聞かれる訳にもいかないし)
「「・・・」」
2人は黙って頷き、自分の席に着いた。
(これは恐らく・・・昨日2人が、その・・・
((っ・・・))
どうやら言葉の送信はまだ出来ないみたいだけど、受信は完璧みたいだね。
(ゼノモーフには、苗床の身体を改造する能力があるんだ。出久ともお互いに気配で察知は出来るんだけど・・・まさかたった一回でそれを飛び越えるとは思わなかったよ。
練習すれば、2人とも自由に交信出来るようになると思う)
「おはよー・・・あれ?」
と、此処で出久が教室に来た。若干困惑しつつ、ボクの方に駆け寄ってくる。
「ねぇせっちゃん、マッちゃんとドクちゃん、来てないの?」
「あー、ちょっと野暮用だってさ」
「うぅん、おかしいな。確かにドクちゃん達みたいな気配がするんだけど・・・」
「・・・多分それ、百ちゃんと響香だわ。あ、耳郎響香ね」
「・・・あっ」
出久の顔がボッと赤くなった。察し良すぎじゃん・・・
(ゴメン、出久には気配でバレたっぽい。あと細かい所はともかく、あの顔は多分ボク等の関係も察したと思う)
((っ~!?))
(ゴメン。でもマジで気配で分かるよ2人とも)
もしかして、此処までマックスの掌の上だったりするのかなぁ・・・我が腹心ながら末恐ろしい・・・
「オーイお前ら~、席着け~」
なんて考えてたら、教室に
「相澤先生、大丈夫なの?」
「婆さんの処置が大袈裟過ぎるだけだ」
相澤先生すごいな。確か顔面と腕グシャグシャにされてなかったっけ?
「まぁそれはさておきだ。お前ら、ノンビリしてる暇はない」
相澤先生の言葉に、教室内の空気がピリッと張り詰める。
「ま、まさか、また敵が・・・」
「雄英体育祭が迫っている!」
『学校っぽいのキターッ!!』
あー、体育祭か。
「煩いぞ・・・まぁ、まだ3週間の猶予がある。逆に言えばそれしかない訳だが・・・各自、鍛練を怠らないように。申告すれば放課後に訓練室を貸す事も出来る」
へぇ、それは良いこと聞いたね。
―――――
――――
―――
――
―
2時間の特別時間割が終わり、放課後。
ボクはクラスメイト達に声を掛けられ、体操着に着替えて訓練室に来た。何でも、
訓練に来たのは、ボクと同じく教官の出久。教わる側は、響香、百ちゃん、三奈ちゃん、麗日さん、梅雨ちゃん、葉隠さん、飯田君、切島君、尾白君だ。
A組の女子は全員来てるね。
「じゃあ、これから実戦的戦闘術の教授を始めます!」
『お願いします!』
うん、皆元気だね。
「さて、早速だけど、皆は
「ハイッ!腕力ッ!!」
「バカタレ」
自信満々に手を上げた切島君だが、答えが真逆だ。正解とは対極だよその答えじゃ。
撃沈する切島君を他所に、次の回答者を探す。
「体幹とか、身体のバネかしら?」
「それも無いことは無いけど、飽くまで前提。それ以上に基礎的な事があるんだよ梅雨ちゃん」
「動きのキレ!」
「当たらずとも遠からずだけど、それに直結するもっと根本的なものだよ三奈ちゃん」
うーん、皆やっぱり分かんないかな?
「えっと、ストレッチ・・・でしょうか。お2人とも、普段から肩をグリグリと回していらっしゃいますし、歩き方も独特ですわ」
「百ちゃん正解!」
「その観察眼は戦場でも活かせるから、しっかり磨いていこうね、八百万さん」
流石は百ちゃんだね。良く観てる。
「百ちゃんが言った通り、必要なのは関節のストレッチ。アウターマッスルは使わず、骨とインナーマッスルに依存するのが零距離戦闘術だよ♪
と言っても伝わり難いだろうし、実際に触って貰おっか。男子は出久ね」
「OK」
ボク等は上着を脱ぎ、深呼吸して筋肉を弛める。
「じゃ、両手で肩甲骨を触ってみてね」
「誰からでも良いよ?」
「おー、ほんじゃまずは俺頼むわ!」
「じゃあ触出はあたしー!」
切島君と三奈ちゃんが前に出た。それぞれ相手に背中を向け、手を当てさせる。
「じゃあいくよ?まずこれが平常ね。そっから、ハイ開く」
「おぉっ!」「わっ!すごい!」
まずは、肩を前に引き出して開く動き。これだけでも、出来る人と出来ない人じゃ全然違う。
「ハイ閉じる」
「おぉ~」「へぇ~」
「右肩前、左肩後ろで、ハイ回転。ハイ逆」
今度は両肩とも横からみた時時計回りになるよう同時に回す。勿論逆回転も。
「うわぁ、何だコレ・・・」「ホントに骨あるの?」
「あるよ!骨無きゃウェイヴ使えないよ!」
まぁこの回し方の体験を皆にやって貰って、お次は実践。
「じゃあ、切島君と飯田君。僕とせっちゃんは背中合わせになるから、両側から挟み討ちしてみて」
「あ、あぁ分かった!」
「おうッ!」
出久とボクは背中をくっ付け合い、互いの肩甲骨を連動させる。相手と自分が同じ一個の細胞になる事を意識しながら、敵役の飯田君に眼を向けた。
「タァッ!」「オラッ!」
「「シ~ュッ!!」」
敵が動く瞬間、出久と肩甲骨をぶつけ合わせて立ち位置をスイッチ。そのまま出久めがけて突っ込んできていた切島君をひっ掴み、中心に向かって引き倒した。
その先には同じく出久に引き倒された飯田君がおり、頭同士がぶつかる寸前でブレーキを掛ける。
「これが、ウェイヴのコンビネーション戦術の1つ、
まぁこれは、極めればこんなことも出来るってだけだから、今はまだ気にしなくて良いよ」
敵役を引っぱり起こしてパンパンと手を払うと、皆から拍手が湧いた。
「で、零距離戦闘術ってのはこういう事なんだけど・・・飯田君と切島君には無理だね。出久、ジークンドーとかでカバーしてあげて」
「はぁ!?ちょ、待てよ触出!そりゃあんまりだぜ!」
「仕方無いでしょ。君の戦術に合ってないんだから。もっと君向けなのもあるから!素直にそっちを出久から教わりなさい」
少ししょんぼりしつつ、出久の方に向かう切島君。多分、ジークンドーのストレートリード*1とかが合うでしょ。
「えー、出久に預けた2人は、ウェイヴの見込みは無かったんだよね。此処にいる皆は、一応出来るっちゃ出来る。見込みが無くは無い。
取り敢えず、この中で肩凝り持ちの人居る?」
「あ、はい。私すごく凝ってますわ」
予想通りと言うべきか、やはり百ちゃんが手を上げた。
「じゃあ、お尻と地面で直接背骨を支えられるように座ってみて?」
「えっと、こうでしょうか?」
百ちゃんが作ったのは、所謂ぺたん座り。骨盤の形的には女性の方がしやすい座り方だね。
「OK。じゃあ肩の力抜いてね」
百ちゃんの後ろに立ち、その両肩に手を置く。まじまじと見て触れれば良く分かる。すごい凝り方だ。僧帽筋の上中下、全部カチカチに固まってる。
「じゃ、ウェイヴ応用の施術、いってみようか」
自分の肩甲骨の回転を、腕を伝わせて百ちゃんの肩へ。可動域を連動させ、一気に落とす。
―コンッ―
「あっ❤️」
やたら艶やかな声が聞こえたが、まぁ空耳だと信じよう。
2回目。
―コンッ―
「はぅんっ❤️」
3回目。
―コンッ―
「んはぁっ❤️」
ラスト、4、5。
―コンッ コンッ―
「ひぅんっ❤️」
「うん、百ちゃん?喘ぐの止めて貰っていいかな!?」
「はぃ?・・・あっ」
漸く此方を見てる皆が顔を赤くしてる事に気付いたらしい。
「えっちなマッサージとかじゃ無いんだよ?只の筋肉に対する施術だよ?」
「本当に、すみません・・・気持ち良くて、つい・・・」
(・・・そんなに良かったの?じゃあ今度、た・っ・ぷ・り、シてあげるから、今は抑えてね?)
(っ・・・❤️)
はぁ、どうも百ちゃんがえっちな子になっちゃったなぁ・・・原因ボクか。
「で、どう?軽くなった?」
「え?あっ、すごいですわ!とっても動きやすくなりました!」
ぐるぐると肩を回す百ちゃん。肘がかなり上げられるようになったね。
「それは一時的なものだけど、毎日しっかりストレッチすればボクと同じように動かせるようになるよ♪」
実際に出久がそうだったからなぁ。
「さて、ちょっと前置きが長くなったけど、そろそろ始めようか!
と言っても、まずは身体のチューニングから。零距離戦闘術を修めるには、最低限出来なきゃいけない動きがあるからね。それを教えるよ。見ててね?」
ボクは仰向けになり、尻尾を脚側にしっかり伸ばす。そして両手を胸の前で組んだ。
「この体勢で、
『あ、歩く?』
「まぁ見て貰った方が早い。いくよ、せーの!」
左右の肩甲骨を交互に回し、頭の方へと進む。これがウェイヴの第一関門、肩甲骨歩き。これが出来なきゃお話にもならない。
「わー!すごーい!」
「ケロォ・・・
フフーン、良い事言ってくれたね梅雨ちゃん!
「確かに匍匐前進みたいだけど・・・あれよりずっとフレキシブルだよ!この姿勢のままバックしたり~・・・」
『おぉ~・・・』
「右にも・・・左にも行けちゃう!」
肩甲骨歩きで、前後左右に自在に移動して見せる。これが十分出来て、やっと入門だ。
「ハイ!じゃあやってみようッ!」
ボクの合図で早速皆仰向けに寝転んでみるが・・・
「あっれぇ?おかしいなぁ~・・・」
「けろっ、結構難しいのね・・・」
当然というべきか、皆苦戦してるね。
「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ」
「ふっ、ほっ、ふっ、ほっ」
そんな中、百ちゃんと尾白君は結構移動出来ている。悪くない。
「一先ず、今日は全員が前後左右に移動出来るようになるまでね!」
『ハーイ!』
―パドンッ―
「うぉわぁっ!?」
そんなこんなで監督してたら、出久の方から切島君が吹っ飛んで来た。
「身体を上手く使えば、こんな威力を腕力使わずに発揮出来るよ」
「うぉぉぉ、重てぇぇぇ・・・」
「あーコレあれだね。ストレートリード喰らったね」
出久は実戦タイプだからなぁ。まずは体感させて、それに近付けるよう指導していくタイプ。
「切島君!大丈夫か!?」
「おう!ヘーキヘーキ!」
そう言って出久の元に駆け出す切島君。多分かなり加減したねあれ。
「お、麗日さん良いね。何か柔軟体操でもしてるの?」
「えーっと、ヨガを少々・・・」
感覚を掴んだらしく、麗日さんはもう歩けるようになった。ヨガをしてればそりゃそうか。
「さぁて・・・皆どんな戦闘者に育つかなぁ・・・楽しみだなぁ♪」
to be continued・・・
~キャラクター紹介~
触出背納
戦闘者系化物主人公。
今回はウェイヴ講座だが、実は1Aって結構
緑谷出久
どうも、現代忍者デクです。ニンニン。
切島にはジークンドーを、飯田には躰道を教えようとしている。ただ、切島のジークンドーは兎も角飯田は回転が出来なさそう。
背納やゼノモーフの気配が分かるのは長年殺し合いレベルの実戦訓練を積んできたからだと思っていたが、実際はそれもあるものの、ゼノモーフの生体改造能力でゼノモーフ寄りの体質になっているから。
その体質は、ゼノモーフを察知出来る気配探知能力、痛覚耐性、戦闘者モードへの完全なスイッチ等である。
爆豪への意趣返しでマジでデクって訳せるコードネーム名乗ろうか本気で迷ってる。
候補としてはディストラクターでデクか、普通に
因みにディストラクターの場合、《
八百万百
本作の恐らくお色気担当的なポジの子。原因は背納が60%、マックスが40%。
とある事情により、ゼノモーフの生体回線の発信能力及び受信能力を手に入れた。練習すればテレパシーで会話出来るようになる。
道具を即興で創り出せる分、小道具をバンバン使う零距離戦闘と相性が良い個性。丁度拓ちゃんねるでミリタリースコップとかクリアーシールドとかの動画が出てくれて嬉しい限り。
耳郎響香
背納の女。
八百万と同じく、諸事情によりゼノモーフのテレパシー能力を獲得。因みにこれは獲得者同士でも通信可能。音のイメージが多彩なのでテレパシーは早々に使いこなせると思う。