「数ある内の1つだろ?」
『よく分かっていらっしゃる。それではどうぞ』
(背納サイド)
「何この状況・・・」
何時も通りに授業を終えて教室から出ようとしたが、其処には途轍もない人集り。他のクラスの人達かな?
「ケッ、敵情視察かよ。襲撃受けた奴等が珍しいからって動物園のパンダみてぇに見物か?フン、アホらしい。おら邪魔だ退けクソモブ共」
「何でわざわざ突っ掛かるかね。止めなよ爆豪お前。あと君ら退いて?」
こちとらこれから楽しい
「どんなもんかと見にきたら、随分と偉そうだな。ヒーロー科の生徒は皆こんななのか?こんなん見せられると、幻滅するなぁ・・・」
「コレだけを見て十把一絡げにしないでくれる?あと退いて・・・」
ったく、爆豪のせいで僕等までマイナスイメージ刷り込まれちゃったじゃん。そんでもって2回目も無視かよ。
「なぁお前等、知ってるか?普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちて入った生徒が結構多いんだ」
そんなの知るか。どうでも良いから退いとくれ。
「今回の体育祭、成績次第では普通科からヒーロー科への編入も有り得るんだってさ。その逆も然り・・・
敵情視察?俺はそんなんじゃなくて、油断してっと足下ごっそり掬いに行くぞって宣戦布告しに来たつもり」
「あぁそう。精々ボクの命に指を掛けられる立派な敵になってね?それなら大歓迎だから。
あといい加減退けよ」
「隣のB組のモンだけどよぅ!!」
あぁもうまた来た!コイツ等もしかして親の胎内に鼓膜棄ててきたのかな?
「敵と戦ったっつうから話聞きに来たのによぅ!!エラく
「・・・あ゙?」
・・・今のは聞き捨て成らん。
「ねぇ~キミぃ~?ボク達の何処が、調子付いてるのかなぁ?」
「は?何処がって・・・ッ!?」
怒りで心拍が上がる。血圧も上がって、頸動脈やコメカミがズクズクと脈動しているのが分かる程だ。
きっとボクの眼は紅く充血してるし、何処かしらに血管も浮かんでるだろう。
「ボク等はなぁ、殺され掛けたんだぞ?それも、ホンの端金の為にッ!
命や身体を商品にされ掛けたッ!分かるかッ!分からないだろうなァ!?命を狙われた事も無いような甘ったれ野郎じゃなきゃ、あんな事言える訳無いもんなァ!!」
殺気で威圧しながら、B組から来たと言うマッチョマンに詰め寄る。
「それだけじゃない!もしかしたら、この中の誰かが身体を良いように弄ばれる可能性だって大いにあった!何せボクが潰した奴等が諸にソレだったからなァ!!」
「ッ!そ、それは・・・」
どうやら、人間の悪意についての理解が浅過ぎるらしい。
ボクは悪意の観察は好きだが、こういう悪意も考えもない奴は嫌いだ。
「その可能性を考えすらせずに、気安く口を開くな。あれを経験して調子に乗れる訳無いだろ。寧ろ自分が命を狙われると言う事実を無理矢理教え込まれて、怖い思いをした奴だって居るんだ。この程度の殺気でビビってる奴がとやかく言って良い事じゃあ無い。
・・・行くよ皆。口直し
「あっ、ま、待って背納!」
ボクが歩き出すと人垣が分かれ、丁度良い道が開く。生徒達を引き連れ、ボクは訓練室に向かった。
―――
――
―
「フシィィィィ・・・」「ヒュゥゥゥゥゥ・・・」
ボク出久は構えを解き、深く息を吐き出す。周りの皆には基礎を教え終えたので、少しばかり組手をしていたのだ。
「ふぅん?実戦を経験して、技のキレが増してるね。碌でなしのヤンキー共を殲滅させた時とは比べ物にならない」
「そう言えば、最近はストリートファイトもしてないねぇ。またやりたいねぇ」
いやー、中学時代は夏休みとか冬休みとか、祝日とかにも治安の悪い所に遠征してたなぁ~。懐かしい。
「えっ?緑谷って、ストリートファイトしてたのか!?」
「うん、まぁね。髪を後ろでポニーテールに纏めて、ソウルイーターも着けてね。
もっと伸びたら、また括ってみようかな。僕結構伸びるの早いし」
後ろ髪をサワサワと弄りながら呟く出久。RE:BORNの敏郎も髪括ってたしね。
「・・・もしかして、《暗緑の地雷原》とか《血塗れ翡翠の悪魔》とかネットで言われてたあれ、緑谷の事だったり・・・?」
「ん?何だソレ?」
「切島知らない?休日の路地裏ストリートファイトで結構有名になってたヤツ。何でも、『動いた瞬間、地雷を踏んだみたいに吹っ飛ばされた』とか、『悪魔みたいなマスクを着けてて、強さも悪魔並み。5人以上相手に1人で圧勝した』、とか。半分都市伝説みたいなもんだけど・・・」
「あー、まぁそういう呼び方された事もあったね」
出久の肯定に、三奈ちゃんは口をあんぐりさせた。
「殺気を感じ取ったり、複数の攻撃を同時に捌く良い訓練になってたよ。何より楽しかったから、出来ればまたやりたいけど・・・ちょっと難しいね」
肩を竦めて笑う出久と、凍り付く空間。出久、こういうのに頓着しないからなぁ。
「クイーン。例の子供達の教育、完了致しました」
「おぉドク!遂にか!」
と、此処でドクが入って来てくれた。良いタイミングだね。気配も複数あるから、連れて来てくれてるっぽいし。
「ん、じゃあ入っておいで。新しい親衛隊員の御披露目と行こう」
「承知しました。ではまずは・・・」
「アタシだな!」
「うおっ、でっけぇ・・・」
切島君の言う通り、2m以上ある真っ赤な甲殻を持った随分とガタイの良いゼノモーフが入って来た。
「あぁーコラコラ、失礼だろう?クイーンの御前で・・・」
「良いってばさドク。全く、君はホントに固いなぁ。さて、その子は・・・あの蟹の子か」
ざっと全体的に見渡すと、全身甲殻に覆われてガチガチ。前腕からは蟹のハサミに付いている動かない下爪のような刃が飛び出しており、指は鋭く色が黒い。腹の甲殻は白く、蛇腹状になっていて柔軟そうだ。
「そのとーり!鉄板だって紙クズみたいに破れるし、防御力だって銃弾弾く程度はあるぜ?
あー、でも身体が重い分足が遅いけど、其処は勘弁な?」
「うん、良い自己PRだね。
よし、蟹の新兵。女王の名において、汝に名を授ける。
名は《シルヴェスター・アシモフ》。その腕力や握力、装甲の防御力に物を言わせた、対多数戦での殲滅能力に期待している。
腕の良い道場にコネがあるから、空手と柔道を学べ。その体格が活きる筈だ」
「アイアイサー!後悔はさせねぇから、戦う時はバンバン使ってくれよな!クイーン!
お前らも宜しくな!あー、シルとかヴェスって呼んでくれ!」
ガチッとポーズを決めて、皆に挨拶する
ウンウン、割りと姐御肌と言うか、グイグイ引っ張ってくれるタイプだね。
「はぁ・・・もう少し慎みなさい。ンッンン、では、次」
「あぁ、ハイ」
次に入って来たのは、肩甲骨辺りと骨盤辺りから1対ずつ触手が生えた蛸型の子・・・なのだが・・・
「
皮膚が全体的に黄色と茶色の縦縞。そして何より、そこに鮮やかな青の輪紋が規則的に並んでいるのだ。
これは言わずと知れた猛毒蛸、豹紋蛸の特徴である。
「えっと、ドク姉さんが言うには、僕は所謂サイドシフトタイプとの事です」
「私が説明をば。
どうやらゼノモーフには、個性の受け継ぎに少なくとも3つはパターンがあるようです。
1、トバルカインのように《そのまま受け継ぐ》ストレートタイプ。
2、ルークのように、《性能面が著しく強化される》エヴォリューションタイプ。
そして3。恐らく生物型に現れるのでしょうが、《総合的な殺傷能力がより高い近縁種の形質が発現する》、と思われるサイドシフトタイプ。
現在確認しているのは、この3つで御座います」
成る程。確かに、元々ゼノモーフとは生物兵器。ならば、殺傷能力の高い能力を選ぶのも当然か。
それに、生物型の個性の子供が親のソレと近縁種ながら別の生物をベースとした能力を持つ事も多い。ゼノモーフの身で起ころうが、何ら不思議じゃないだろう。となると、サイズによって既に種別では大差無くなった筋力ではなく、明確に敵と優位に戦える毒に特化したと言う事か。
いやはや、やっぱり面白いなぁ。
「よし。女王の名において汝に名を授ける。
名は《
「ハイ、分かりました」
冷静沈着で静かな感じだね。シルと背を預け合えば、良いコンビになるんじゃないかな?
「ではクイーン、次で最後ですが・・・恐らく、お気に召して頂けるかと」
「へぇ?それは楽しみだ」
最近産み付けたのは・・・あぁ、青山君か。そう言えばあの子は発育が普通より時間が掛かるとかドクが言ってたけど、漸く身体が完成した訳か。
「さぁ、入って来なさい」
―ガチッ ガチッ ガチッ ガチッ―
「・・・は?」
思わず変な声出ちゃった・・・でも仕方無いと思う。
何せシル以上に筋骨粒々でムッキムキな子が来たんだもん。
「え・・・っと、ドク?この子の宿主は?」
「青山優雅。あのレーザーの男で合っていますよ」
「マ?」
形質がまるで見受けられねぇ・・・突然変異か?いやドクが言った項目に
「えっと、取り敢えず自己PRをお願い」
「了解」
声は結構ハスキーな感じだな。
ボクが自己PRを要求すると、この子は両腕を前に突き出した。
―バコンッ バコンッ―
「・・・はい?」
何かと思い見ていると、何と前腕の甲殻が浮き上がり開いたではないか。
いや、前腕だけじゃあない。腹部、丁度ヘソの辺りと、頭の装甲も開く。
しかもその中には、レンズのような水晶体が見えた。
そのまま時計回りに回転し、ボクに見える所をピンポイントでバコバコとスムーズに開閉させていく。まるでアイアンマンのプレート可動チェックみたいだ。
更には背中の突起が大きく発達しており、その間に皮膜を張る事すら出来るらしい。自動車の窓みたく展開したり収納したり・・・
「私の特質は、まず筋力と装甲。シルには一歩劣るものの、それでも並大抵の攻撃では沈みはしない。
そして何より・・・この生体熱光線照射水晶体、此処から放つ熱線収束レーザーによる超遠距離攻撃。これは背中の皮膜から熱を吸収し放つのが主だが、それが出来ない場合は内蔵カロリーを熱に増幅転換する事で照射可能。
また、吸収した全砲撃用熱エネルギーを一極集中して放つ事も出来る」
「・・・オゥマイ仏陀・・・」
事務的と言うか機械的に自己紹介されるが、もうこの子の名前完全に決まった。最初はリップちゃん枠かと思ったけど予定変更。全然違うわ。
「汝に名を授けよう!
その名は《ゼクトール》!光学重戦車としての戦闘力、大いに期待している!」
もう最高じゃないか。ゼクトールはアプトムと並んでガイバーでも大好きなヤツだ。
「今度、ちょっと海岸に行こう。一極集中照射、
「御意」
あぁ、こんなに心が踊るのは初めてだ。
さっき、内蔵カロリーを消費すると言っていた。熱を吸収し放つとも。ならば、オリジナルの青山君が何故腹を壊すかも分かってくる。
恐らく消化器官から急激にエネルギーを奪って撃ち出しているのだろう。だから急激に消化吸収能力が弱まって腹を壊すんだ。
しかしゼノモーフの遺伝子は、それを解決した!成長に時間こそ掛かったものの、欠点をほぼ完璧に消し去る事が出来たんだ!
「あぁ、本当に、最高だ♪」
指揮のし甲斐があると言うものだなぁ♪
to be continued・・・
~キャラクター紹介~
触出背納
悪意は好きだが考え無しの言葉の刃は大嫌いな化物主人公。
もはや何処に地雷があるか分かったもんじゃない。ちなみにあと幾つか地雷がある。
この時代からすると大分レトロな作品が好き。
曰く、この時代では漫画やアニメの中でも大体個性があって当たり前になっているので、フィクションとしての面白味が無くなってしまったからとの事。
今回の命名、ネタは、テラフォーマーズと強殖装甲ガイバー。それぞれ推しは三条加奈子とゼクトール。
緑谷出久
どうも、現代忍者デクです。ニンニン。
背納の影響で、原作でのヒーローへの狂気的な憧れで覆い隠す事無く自らのエゴイズムや闘争本能と真正面から向き合っている。
戦闘訓練の一環として、割りと有名な治安悪い所でストリートファイトをしていた。因みにそこら辺で細々と続けていたヤクザとかからは、『縄張りの掃除をしてくれてるのは助かるけど俺達が周りに嘗められちまいそう』という感謝と危機感が混ざった複雑な感情を向けられていた。だが出久に声を掛けた所割りとすんなり仲良くなり、最近はちょくちょく出久が技を教えたりしていると言う、こっちもこっちで中々ヤバいコネクションを持っている。
一時期髪を括っていたが、受験に合わせて散髪。もうすぐまた括れるようになる。
シルヴェスター・アシモフ
タスマニアンキングクラブをベースとするクイーン直属親衛隊の新顔。手足の指まで甲殻が覆っている上に体重がバカ重い為、立体起動は不可能。
性格は豪快でフレンドリーなサバサバした姐御肌。特技は握撃。
キャラとしてのモチーフは東方の星熊勇儀。
遺伝パターンはストレートタイプ。
劉
豹紋蛸をベースとするクイーン直属親衛隊の新顔。
性格は物静かで、一人称は《僕》。
特技は毒素散布。脊椎動物用と節足動物用で使い分けられる他、宿主が真蛸だったので墨も吐ける。
インナーマウスの先端が蛸の嘴になっており、殺傷力が増している。
遺伝パターンはサイドシフトタイプ。
ゼクトール
青山の完全上位互換。
性格は淡々とした、あまり愛想の無い機械的とも言えるもの。
上半身全体が光学砲撃兵器の塊であり、発射口は両腕に2対、胸に1対、頭部に1つの合計7つ。更に腹部にはブラスターテンペスト用の収束熱線砲がある。また、背中の皮膜から熱を吸収しレーザーを放つ。なので発熱系能力と相性が良い。
弱点として、このレンズがとても脆い事があげられる。しかし、ガタイでお察しの通りパワーも強いので、懐に潜り込まれてもステゴロに切り替えるマルチラウンダータイプでもある。
遺伝パターンはエヴォリューションタイプ。