「ここん所、鬼畜キャラしか発揮してなかったもんな」
『・・・これBLタグいるかなぁ?』
(背納サイド)
「―――――だから俺は、戦いにおいて左は絶対使わねぇ。
母さんの個性だけでトップになって、アイツの全てを真っ向から否定する」
「・・・へぇ」
ボク等を連れ出した轟君は、人気の無い通路で己の過去、そして父への憎悪を語ってくれた。
放熱と冷却のハイブリッドにする為、氷結系のお母さんに結婚を強いた・・・とか、ちょっと根拠が弱い所もあったけど・・・総合的に、《まぁ、そら嫌いにもなるわな》って感じ。
「よぉし出久、出番だ」
「え、僕!?」
肩をポンポンと叩くと、出久はすっとんきょうな声をあげた。
「今の轟君に足りないものは、それはッ!
友人・理解者・可愛気・弛緩・希望・夢・自己肯定感ッ!そして何よりもォッ!
「いてっ」
バシッと出久の胸板を叩く。轟君はポカンとして、出久はちょっと顔を顰めた。
何だ、轟君も結構可愛い顔も出来るじゃないか。
「轟君、強くなりたいかね?」
「・・・あ、あぁ。当然だ」
「だったらね、張り詰め過ぎてちゃいけないんだ。普段はゆるぅ~く、有事にキチッと。これって、強い人の条件の1つなんだよ。
と言う事で、出久。折寺の聖母と呼ばれたセラピースキルの出番だ」
「うぅ~ん、まぁ20分くらいなら大丈夫だと思うけど・・・」
苦笑いしながら、頬をカリカリ掻く出久。満更でも無さそうだ。
「いや、これは俺の問題だ。誰にも頼らず、自分の力で解決する」
「・・・」
あ、出久のコイツ放っとけねぇスイッチが入った。
「轟君、ちょっとこっちのベンチに座ろうか」
「おい、俺は・・・」
「良いから・・・」
「っ・・・」
有無を言わさぬ出久の気迫に、流石の轟君も大人しく従った。通路にあったベンチに出久が座り、轟君もそれに倣うように隣に座る。
「そんでもってこう」
「なっ、ちょまっ!?」
最後の一押しとして、ボクが轟君を出久の太股の上に押し倒す。
「じゃ、ごゆっくり~♪」
ポンポンと轟君の頭を撫でる出久を尻目に、ボクはクラス別ブロックに戻るのだった。
(出久サイド)
「「・・・」」
膝の上に乗っている轟君の頭を、僕は優しく撫でる。彼は最初こそ少し強張っていたけど、1分と経たずに落ち着き、身体を預けてくれた。
「緑谷・・・お前、何か個性使ったか?」
「ん?使ってないよ?」
「・・・そっか。何か、不自然なぐらい落ち着くからさ。あの超パワー以外にも何かあんのかなって、勘繰っちまって」
少しだけ目を合わせてそう言うと、また力を抜いて頭を預けてくる。
「どっちかっていうと、暗示や催眠の類いかな」
「?どういう・・・」
「例えば・・・気付いてるかな?僕、さっきから意識して呼吸音を出してるんだけど」
「・・・そう言えば、確かに・・・ん」
だる~んと力を抜きながら、答えてくれる轟君。指先で頭皮を撫でたのが気持ちよかったのか、少しだけ声が漏れていた。
・・・猫みたいで、すごく可愛いな。さっきまでツンケンしてたけど、そのギャップも相まって・・・
「この呼吸音の深さとリズムは、最もリラックスしている時、寝ている時のものに似せてある。
群れで生きる人間は、すぐ側にリラックスしている個体がいると、それにつられてリラックスするんだ。
他にも、僕は君の耳を股関節に当ててるでしょ?血管からの脈動が聞こえると、リラクゼーション効果が高まるんだよ」
「・・・母さん、みたいだ」
「そうだよ。これは、母親の近くで安心する子供の本能の名残。
ぐっすり眠れないんでしょ?側頭筋が張ってるし、この分だと肩凝りも酷そう・・・」
よっぽど、ストレスだったんだろうなぁ。こんな状態で戦っても、すぐ身体にガタが来ちゃう。
「・・・ねぇ、轟君。1つ、質問して良いかな?」
「・・・あぁ」
「・・・さっき、言ったよね?エンデヴァーを否定する為に、氷だけでトップヒーローになるって」
「ッ・・・あぁ・・・」
全身が一瞬緊張した。やっぱり相当ストレスなんだ。
「でも、不思議なんだ。
エンデヴァーが嫌いなら・・・何で、ヒーローになりたいと思ったのか、って」
「・・・ッ!それ、は・・・」
・・・やっぱりそうか。どうにも歪と言うか、不自然だと思ったんだ。
「エンデヴァーは、君をヒーローにしたいと思っていた・・・だったらね?ヒーローを目指さず他の職に就くことが、一番の反抗なんじゃないか・・・そう思うんだよね。
でも君は、ヒーローを目指した・・・ねぇ、教えて?君はどうして、
「お・・・俺、は・・・」
言動や癖から心理状態を読み取り、心の歪みを分析、理解するメンタルセラピー技能。心の傷を優しく包み癒す薬にも、抉り返し苦痛を与える猛毒にもなる。
「・・・さっき、思わず、左・・・使っちまった、時・・・見えたんだよ・・・昔の、母さんが・・・」
「うん・・・」
「子供の頃に・・・親父みたいに、なりたくない、って・・・母さんを、虐めるっアイツみたいにっ・・・なりたくないって・・・っ」
僕のズボンを握り締め、嗚咽混じりに話す轟君。その掴む手に、僕の左手を。そして、目元には右手を当て、ゆっくりと指で触れる。
「でもっ、俺、かっこいい・・・ヒーローに、なりたくてっ!その時、母さんが・・・なりたい、自分に・・・なってっ、良い・・・って・・・!」
「うん、そっか・・・」
「うぅっ・・・!」
轟君は僕の膝から顔を上げ、胸板に顔を押し付けてきた。今度は、その頭と背中に手を回して・・・抱き締める。
「思い出せて、良かったね。君の原点・・・オリジンを・・・」
「くっ・・・うっ、うぅっ・・・」
あぁ、泣く時でさえこうやって声を圧し殺すのは、彼の不器用さの表れなんだろう。頼り方、甘え方が分からないんだ。
こう言う時は、ああだこうだ言わずに、寄り添ってあげるに尽きる。
―――
――
―
「・・・わりぃ」
「良いんだよ。人を癒してあげるのは好きだから。それと、こう言う時は《ありがとう》だよ♪」
「・・・あり、がと」
5分程泣き、照れているのか眼を逸らしながらお礼を言う轟君。
何だろう、可愛い。うん、とても可愛い。
「あ、それとね。君は炎の個性を、《親父の個性だ》って言ってたけど・・・それは他の誰でもない、
「!」
「君は、振り下ろされる拳骨が嫌で、自分の手すら嫌っていた。でも、君のはエンデヴァーとは関係無い、君自身の力だ。あんまり、嫌わないであげて。
今すぐじゃなくて良い・・・でも、少しずつ、自分の身体を、力を愛せるようになろう?」
「愛・・・分からない。今までずっと、恨んだり憎んだ事しか無かった・・・愛せるなんて、思えない・・・」
僕に寄り掛かって胸を掴みながら、弱々しく答える轟君。
当然だ。今さっきまで憎んでいたものを愛するなんて、出来るのは底抜けのお人好しか頭のイカれたバカだけだ。僕の立場なら、爆豪に愛を注げと言われるようなもの・・・自分で例えといてなんだが反吐が出そうだな。
「大丈夫。君が君自身を信じられないなら・・・僕が信じる」
カミナさん・・・台詞、お借りします。
「君は、君を信じる僕を信じろ。そして、僕が信じる君を信じろ」
「緑谷が信じる、俺・・・」
僕を見上げる轟君の眼に、幾らか光が灯った。
「それでも不安だと言うのなら・・・両親が注ぐはずだった愛の、その欠片程度だけど・・・僕が愛を注ぐよ」
「ッ!」
あっ、頬に朱が差したね。年相応の可愛らしさが、しっかり出てきたみたい。
「確か・・・最終種目は、例年通りならバトルトーナメント。もしもその時、君と当たれば・・・君が左を使う、練習相手になってあげる。勿論、本気で勝ちに行くけどね?」
「・・・良いのか?俺、慣れてないし・・・ケガ、するかも知れねぇぞ?」
「はははっ、怪我ならせっちゃんとの組手で、100じゃ利かないだけ死を退けたノウハウがあるから大丈夫さ♪安心して、掛かっておいで!」
「・・・んっ、分かった」
一頻り感情を吐き出した轟君はスッキリした顔ですくっと立ち上がった。
「緑谷・・・ありがとな」
去り際に例を言いつつ、照れ隠しで駆けて行ってしまう轟君。
「・・・ヨシッ!次は負けられないぞ!」
最も、負ける気は更々無いけどね!
(背納サイド)
「クイーン!お弁当持ってきたよ!」
「おっ、シュレ・・・何その発泡ボックス・・・」
クラス別ブロックで百ちゃんや響香をマッサージで骨抜きにしていると、シュレディンガーがでっかい発泡ボックスを持って来た。しかもこれをお弁当って・・・
「ちょっとお姉ちゃん!速すぎるよぉ!」
「あ、マリス」
マリスはコンロを抱えて走って来た。厳つい見た目で言動可愛いって良いよね。
って、コンロ?
「じゃ、ご飯にしよ~!」
そう言って、シュレディンガーが箱の蓋をガパッと開ける。
「・・・これって、岩牡蠣?」
中に入っていたのは、大量の岩牡蠣。それも通常サイズの倍近くある特大サイズばかりだ。
「これ、ドクが仕入れた養殖岩牡蠣だよ!キッチリ検査も通ってるから、生食しても大丈夫!」
「生牡蠣ッ!そいつは素敵だッ!大好きだッ!」
つか、たまに家で出てた牡蠣の出所はドクか。
「はいナイフ」
シュレディンガーからナイフを受け取り、ちゃっちゃかと貝柱を切って貝を抉じ開ける。
「な、なんっつぅサイズッ!?」
切島くんの言う通り、貝殻の中の身もすごいサイズだ。牡蠣は殻だけでっかくて中身はちっちゃいとかよくあるけど、これはキッチリ大当り。掌に収まらない程の特大サイズだ。
「粗塩とレモン、あとスダチありますけど、使います?」
「おっ、気が利くねぇ!」
殻から身を外して、その上から粗塩を少々。その上からスダチ汁を掛けて・・・食らい付く。
「はんぐっ!・・・っ~❤️」
途端に広がる、クリーミーな旨味。そこに粗塩の旨味が混じり、更に味をサッパリと纏めているスダチの酸味。
口の中いっぱいまで頬張ると、味覚嗅覚全てにこの完全調和が押し寄せてくる。
「ん~っ❤️」
幾度か咀嚼すれば、コリコリムチムチとした貝柱の食感。そこから新たな出汁が染み出て、段々と味のバランスが変わってきた。
若干名残惜しくもそれを飲み込めば、後には仄かな磯の香りがフワリと抜ける。若干の癖があるかもしれないが、柑橘類と一緒に食べればほぼ気にならない程度だ。
「ん~まぁ~いッ!」
肩がビリビリと震え、無意識に脚がパタパタと跳ねる。
これを焼いたら・・・どうなってしまうのだろうか・・・
「コンロの準備出来ました」
「良し焼こうすぐ焼こう一刻も速く焼こうハリーハリーハリーッ!!」
「お、落ち着いて下さいクイーン・・・」
あーもう只では待ってられない。マリスが焼き始めると同時に、ボクは2つ目の牡蠣にナイフを突っ込む。
「す、スッゲェ豪華・・・」
「え?触出、もしかしてブルジョワ?」
さて、今度は塩とレモン!
「じゅるるっ・・・ん~っ!」
今度は、殻を皿に直接啜って口に吸い込む。すると、さっきとは逆にまずレモンの酸味と香りが来た。その痺れるような酸味を、しかしすぐに牡蠣のまったりとしたクリーミーな旨味が和らげる・・・
「パーフェクトッ!」
パーフェクト。正に
「ドクゥ!この岩牡蠣めっちゃ美味しいな!何処で手に入れたァ!?」
『私が育てました。品種も改良済みです』
「何とッ!これをドクが!?美事ッ!!天晴れだよドク!!極上の絶品だッ!!」
『お褒めに与り感謝の極み』
良く出来た娘だ。最高の娘・・・いや、最高とは言いがたいな。毒盛ってくるし。
いや、それを抜きにしても、こんなに親孝行してくれる娘はそういないだろう。
『因みにクイーンが食中りを起こさなければこれが我が家の収入源に加わります』
「そう言うのは口に出さんでええねんッ!!何故にワザワザ言うんじゃ!しかも全国放送やぞ!」
思わずおかしな方言が出た。趣味で色んな作品をチャンポン読みするもんだからたまにこうなるんだ。
『ご安心下さい。只のジョークです』
「たまにボクの飯に致死量ギリギリのテトロドトキシン盛ってくるような奴が言ったジョークじゃなければアハハで流せたんだけどなぁ!?」
「クイーン、焼けましたよ」
「マジ?ちょーだい」
「「・・・どういう漫才?」」
切島君と上鳴君が欲しかったツッコミを入れてくれる。観客席でも、ちょいちょい笑ってくれてる人がいるみたいだ。
それはさておき、早速焼き牡蠣を頂こう。
「どうぞ」
「おっ、ありがとマリス」
マリスが既に割ってくれた牡蠣を渡してくれたので、まず匂いを嗅いでみる。
「・・・香ばしいな」
やっぱり焼くとね、出た汁が良い感じに焦げて香りが発つね!
「じゃあスダチをたっぷり掛けて・・・はぐっ!」
大口を開け、思い切りかぶり付く。
「んふぅっ!」
その瞬間、旨味や香ばしさが津波のように口内に押し寄せた。舌に電流が走ったような錯覚さえ感じる。
そして身の表面はほんのり固まりつつ、しかし中身はトロリと半固体状のまま。更に貝柱を噛み切れば、さっきとは違いスルスルと裂ける。
「・・・旨味が暴れまわってる」
「どれぐらい?」
「真マジンガー衝撃Z編ラストのロケットパンチ100連発くらい」
「「分か
あっれぇ?マジンガー伝わらない?悲しいなぁ・・・
「クイーン、それだけで満足?」
「・・・お覚悟を」
「え?」
何時の間にか出されたNext焼き牡蠣。しかしマリスの手には、金属製のポットがあった。
「そっ、それはァ・・・!?」
シュレディンガーが何処からともなくタッパーを取り出し、牡蠣の上に中身を乗せる。
内容物は、白髪葱に玉葱、輪切りニンニク等の香味野菜。そして更に、別にタッパーに入れてあったタレをスプーンで掛けた。香りからして、生姜醤油・・・あとミリンか。
ん?これってまさか・・・ッ!!
「ちょっ、ちょっとまっ」
「参ります」
―ジュワァァァァァァァッ!―
「ア゜ァァァァァァァそんな事しちゃァァァァァァァ!!!!」
マリスが、持っていたポットの中身を、香味野菜がたっぷり乗せられた焼き牡蠣の上に回し掛ける。途端に飛沫が爆ぜ、香味野菜のそれをこれでもかと抱えた油・・・胡麻油の香りが襲い掛かってきた。
「ち、
いや、正しくは清蒸
だがもうどうでも良いッ!!
「汚れは私達がしっかり掃除いたします」
「安心して食べてね♪」
「頂きますッ!!」
流石にこれを摘まんだらちょっとの火傷じゃ済まないので、マリスが渡してくれた割り箸で香味野菜ごと身を摘まむ。
牡蠣は元のうっすら黄色がかったクリーム色の上に黄金色の油を纏い
二度三度息を吹き付けて温度を下げ、いざ実食。
「あぐっ―――ッッッ!!」
それは正に、味覚の大津波。
牡蠣の旨味たっぷりな熱々のエキスと共に流れ込むコッテリした甘い油。次に生姜醤油の塩味を感じ、多少火傷覚悟でハフハフしながら噛み切れば、今度はカリカリに揚がった香味野菜が食感のパレードを繰り広げ、風味が鼻に抜けていく。
頬張った身を何とか半分飲み込み・・・ラスト、殻に溜まったスープ。これを呷る。
すると、香味野菜から溶け出した風味と醤油、そして濃縮された牡蠣のエキスの全てを包含したスープが新たな旨味で口内を蹂躙し、数秒の後に胃へと流れ込む。
・・・何て事だ。さっきの生牡蠣、焼き牡蠣も完璧だった。間違い無く完璧だった。だがこれは次元が違う!完璧以上に、完成しているッ!!
更に生、焼きにも言える事だが、午前種目でたっぷり汗をかいた身体にはこの塩味が特別染みる。更に牡蠣の滋養強壮効果は香味野菜のビタミン類によって更に底上げされ、生姜の効果で血行が促進、身体が暖まってきた。
「ほぅ・・・」
午前の疲れは、全身から消し飛んだ。全身に活力が満ち溢れ、力が漲る。
「・・・シュレディンガー、マリス。ボクは暫く、身体を消化吸収に専念させる。残った牡蠣はお前達が調理して、欲しいと言う選手に配れ」
「仰せのままに、クイーン」
体力満タン、気合いも十分。これで午後も、
(NOサイド)
「ハァ・・・」
「ぐっ・・・ぅ」
暗い路地裏。真っ赤なマフラーと包帯状のマスクを着けた男が、1人のヒーローを追い込んでいた。
ヒーローは手足に裂傷を負っており、マフラーの男・・・通称《ヒーロー殺し》が携帯する刃こぼれだらけの日本刀から滴る血を見れば、それによって付けられたものだと分かる。
「クッソォ・・・こんな、所で・・・ッ」
「ハァ・・・信念無き贋物には、罰を」
―ヒュドドッ―
「がぁっ!?」
ヒーロー殺しが放ったナイフが、這いつくばり逃げようとするヒーロー・・・インゲニウムの手足を貫く。
「死ね」
そしてヒーロー殺しは、インゲニウムの背中に刀を突き付けた。そのまま体重を乗せ、背骨を貫く―――
「男2人がこんな路地裏で、なぁ~にシコシコやってんのさ」
―ギャギリッ―
「何ッ!?」
―――事は、叶わなかった。突き刺す寸前、何かに刀身を引っ張られたからだ。その刃先は、コンクリートを浅く斬り着けただけに終わる。
「誰だッ!コイツの仲間、また贋物かッ!」
「おいおい、いっぺんに質問すんなよ、英雄狂信者のオナニー野郎」
「ッ!!」
反射的に、声の元に向けてナイフを投擲。しかし、それは空中で銀に煌めく極細の糸に弾かれる。
「おぉっと、あっぶないなぁ。全く、せっかちな奴は嫌われるよ?
あぁ、もしかして、怖い相手には先制攻撃する癖して弱い者にはベラベラ喋るのは、心に余裕が無い証拠かな?」
煌めく糸を繰りながら、声の正体が姿を見せる。
それは、
鋭い牙に、眼球の無い顔。そして後方に長く伸びた頭蓋・・・言うまでもない、ゼノモーフだ。
「き、キミ・・・コイツは、危険だ・・・逃げろッ・・・」
「お生憎様、コイツの邪魔をするのがボクの任務でね」
ニヤリと口角を引き上げ、右腕を大きく後ろに引く。するとヒーロー殺しの刀は糸に引っ張られ、抵抗する間も無くゼノモーフの手に収まった。
「貴様、何者だッ!敵かッ!」
「どうだろうねぇ?少なくともお前の味方では無―――」
―キャインッ パシッ―
「へいへい、真面目にやるからナイフは投げんで下さいな。どうせ無駄だから」
投げ付けられた2本のナイフの内1本を弾き、もう1本はキャッチ。そして同時に腕を振るい、糸を飛ばして制空権を強奪する。
ヒーロー殺しは怨めしそうに睨みながら、その範囲外に逃げざるを得ず、苦虫を噛み潰して後退した。
「ハァ・・・もう一度聞く。お前は、何者だ!」
「フフッ・・・Yher!ゼノ小隊
三度の問いに、今度はキチンと姿勢を正し、わざとらしく丁寧な会釈をするゼノモーフ・・・ウォルター。
「・・・チッ、間合いはそちらの方が格段に広い上、使い熟している。ハァ・・・真正面からは、分が悪い。
今回は、その贋物の命を預けておく・・・次は粛清だ」
マスク越しにも分かる程顔を顰めながら、ヒーロー殺しは撤退した。
「さぁて、大丈夫かい?インゲニウム・・・取り敢えず、止血だな」
「キミは・・・一体・・・いてっ」
「さっき言ったろ?通りすがりの鍛冶好きな
取り敢えず、鋼線で程々に縛って止血した。飽くまで応急措置だから末端が少し痺れるだろうが・・・まぁ救急通報もしてあるし、救急車が来るまでの辛抱だ。じゃあな」
テキパキとやる事をこなし、ウォルターは足早に立ち去る。その背中を必死に
眼で追いながら、インゲニウムは意識を手放すのだった。
・・・to be continued
~キャラクター紹介~
緑谷出久
聖母を発揮したママ男子。
持ち前の観察眼で、轟をカウンセリング。トラウマの軽減、オリジンの想起を果たした。
尚、このスキルはステインにも使う予定。
因みに轟君が母親の幻を見たのは、コメカミに上鳴の電気刺激を受けたから。
触出背納
牡蠣食って超回復した化物主人公。
アサウラ先生のファングオブアンダードッグ3巻を読んでから、絶対牡蠣食わすって決めてた。
構想ではデザートに1Lの果糖水飲ませようかと思ってたけど、流石に止めた。
グロンド・ドク・プルフェッツォル
何時の間にか牡蠣の養殖にまで手を出してたヤベー博士。細かい所はご都合主義。
たまにこう言う冗談か本気か分からないブラックな毒ジョークを飛ばす。ドクだけにって?喧しいわ。
ウォルター・C・ドルネーズ
漸く出せた死神バトラー。CV:朴璐美
鋼線術をマスターしており、変幻自在。因みにシュレディンガーの次に生まれた子で、勿論無個性。
色々な鍛冶屋に弟子入りを繰り返して鍛冶技術を磨いており、出久がプライベートで持っているクレッセントブレイドシリーズは彼女が作った。
割と下品な下ネタをズバズバ言うし、戦いにおいては敵を煽りまくる。誰に似たのやら。
彼女の働きでインゲニウムの下半身不随は回避したが、4日は意識不明になるので飯田君は原作通り復讐鬼になる。