捕食少女の闘争アカデミア   作:エターナルドーパント

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『さて、ついにお待ちかねのトーナメント!』
「地味に色々と強化されちまってっけど、大丈夫かコレ・・・」


第16話 各々の開戦

(背納サイド)

 

()()()()()()()~ぅ

法蔵菩(ほうぞうぼ)薩囚位(さついんに)()~」

現在、ボクはちょっと煩悩退散の為に正信念仏偈を唱えている。何故なら・・・

 

A組女子全員、何かチアリーディングしてるから。

 

いや、あれよ。10分程消化吸収してトイレ行って帰って来たらコレよ。皆もう生足ヘソ出しセクシーチアガールズよ。

とまぁそんなこんなで、こう言うのを見ちゃうとどうしても・・・何処とは言わないが下半身が元気になっちゃう訳で・・・熱膨張しないように緊縛封印術式(クロムウェル)第2号を解放しつつお経を唱えてる訳だ。因みに白眼も剥いてるけど、ピット器官でシルエットぐらいは分かるんだよなぁ・・・

「背納、お経詠めるんだ・・・つか白眼恐いよ」

(ゴメンね響香。ちょっと皆のチアリーディング見てたらムラムラしちゃうから)

(っ・・・うん、分かった)

あぁ、早くトーナメント始まってぇ・・・

 

―――

――

 

『さーて、A組のサプライズもありましたが、レクリエーションは無事終了!

そして遂にお待ちかね!バトルトーナメントの開始ですッ!』

『先程搬送された発目さんはご心配無く。産み付けられたゼノモーフが活発化しただけです』

 

情欲地獄も何とか耐え抜き、何とかトーナメントまで意識を繋ぐ事が出来た。ドクめ、さてはこれも見越して牡蠣食わせたな?

 

『トーナメントの組み合わせも出ました。

第一試合、上鳴VS心操。

第二試合、轟VS瀬呂。

第三試合、芦戸VS青山。

第四試合、飯田VS緑谷。

第五試合、塩崎VS触出。

第六試合、鉄哲VS切島。

第七試合、常闇VS八百万。

第八試合、麗日VS爆豪。

因みに、怪我をしても救護ロボとリカバリーガールが控えております。普段抑え込んでいる闘争本能を存分に解放し、良心も思いやりも今はシャットダウン。死ぬ寸前まで楽しく殺し合って下さい』

 

これだよコレ、こう言うのを待ってたんだよ!

出久を見てみれば、戦闘者モードで口角を吊り上げていた。向こうも楽しみで仕方無いらしい。

まぁ、取り敢えず第五試合までボクは暇だ。精々、楽しませて貰うとしよう。

 

―――

――

 

「あーらら、アッサリとまぁ負けたねぇ」

第一試合だが、まぁ煽られた上鳴君がホイホイ相手の術中にはまって自分からリングを降りた。

自分の声に反応した相手をマリオネットにする催眠能力・・・成る程、ボクの催眠の上位互換って訳だ。但し、出久みたいな単独行動を好む戦闘者には相性悪いかな。というかそもそも、真正面から使う手段じゃない。

相手が上鳴君だったのが幸いだったね。

 

―――

――

 

「うっひゃぁ、すごい出力・・・」

第二試合。瀬呂君はテープで先手を打ったけど、そのテープを逆に導線にされて凍り付いた。これも決着は秒。観客席からドンマイコールが響く。

「でも、凍らせたのは必要最低限。メンタルは結構バランス取れてるっぽいね」

 

―――

――

 

「アッハハァ、綺麗に決まったなぁ」

第三試合。三奈ちゃんは飛んでくるレーザーを上手い事ウェイヴで避けて、キレーなアッパーカットで青山君の意識を刈り取った。

ブレイクダンスが得意だからか、ウェイヴの体捌きも覚えが早かったからなぁ。加えてあの個性・・・強い戦闘者になってくれそうだ♪

「さぁて、次はいよいよ出久かぁ・・・楽しみだなぁ♪」

 

(NOサイド)

 

『さーて第三試合!此処までは秒決着ばかりでしたが、今回はどうでしょうかァ!?』

『飯田選手がどう動くかが鍵ですな。緑谷選手こと母上は後の先の達人クラス。尻込みしては、勝率はどんどん下がります』

『では、試合スタート!』

 

「全力で行グホァ!?」

「素直過ぎる。駆け引きも糞も無い」

 

『アーッと入ってしまったァァ!!思い切って飛び込んだは良し!しかし腹にカウンター海老蹴りが炸裂ゥ!』

『突進の勢いに母上の60台後半の体重が突き刺さる蹴り、恐らく呼吸出来ないでしょうな』

 

「フンッ!」

「ぐあっ!?」

「チィアッ!」

「こぁっ・・・」

 

『決着ゥゥゥゥッ!やはり秒殺だァァァッ!!』

『膝を横薙ぎに蹴り、下がった後頭部に肘落とし。タクティカル護身術の応用ですな』

『まぁ大体の人が予想していただろうが、母上の圧勝。決して飯田選手が弱かった訳では無い。単に母上が強過ぎるだけ、また戦術のベクトルが違うだけ。

さぁ、お次はB組の塩崎選手と我等がクイーン、触出背納のバトル!どうなるだろうなぁドク。楽しみだなぁ』

 

―――

――

(背納サイド)

 

『第四試合ッ!全身凶器の戦術兵器ッ!零距離戦闘者(ゼロレンジソルジャー)緑谷出久を育て上げた、戦闘狂(バトルジャンキー)化物(フリークス)ッ!触出背納ッ!』

 

遂に試合はボクの番。ステージに上がり、相手を見据える。

 

『VS!信心深きクリスチャン!茨の修道女(シスターオブソーン)!塩崎茨ァッ!!』

 

「成る程・・・緑谷出久さんのあのバトルスタイルを形作ったのは、貴女ですか」

と、ゴング前に塩崎さんが話し掛けてくる。

「まネ。実戦、つまり勝つか殺されるかの状況で生きていけるように教育を施した。正々堂々だとかフェアプレーだとか、そんなのじゃ生きていけないからね♪

殺されない為には、先に殺すしか無いから」

「・・・とても正気とは思えません」

「ほーう、ボクの狂気は君の常識とか神様とか、その他諸々のいろんなものが保証してくれる訳だ。嬉しいねぇ♪

所で、君の信じる神様の正気は何処の誰に保証されたものだい?」

「・・・分かりました。どうやら貴女とは・・・」

 

『スタートッ!』

 

「分かり合えなッ!?」

「シュシィッ!」

何かどうでも良い事をベラベラと垂れ流す塩崎さんに向けて、落下を生かした突進。何とか目で追って蔓で迎撃しようとして来るが、ウェイヴで避けて逆に左手で絡め取った。

 

―どごッ―

 

「がはっ!?」

「無駄話が長い」

そして左手を引き寄せ、右手で鳩尾を殴り抜く。

 

『オォォッ!!早速鳩尾を打ち抜いたァァァッ!流石は化物ッ!容赦の欠片も無いじゃないかッ!』

 

失礼な。肋骨や胃袋じゃ無かった分だけ手心は加えたよ。が、まぁ内蔵は大パニックだろうなぁ。

「取り敢えず、君の個性・・・我が軍に頂くよ」

 

―グボッ―

 

「んぶっ!?」

 

『出ェたァァァァ!クイーン十八番(オハコ)の産み付けだァァァッ!!』

『2人目ですか。しかもあの個性・・・ふむ。神父服とバヨネットを手配しておきましょうかね』

 

「はい、窒息気絶。ボクの勝ちかな?

・・・そう言えば、確か聖母マリアは処女でイエスを懐妊したんだよね?

おめでとう!マリア様と同じになれたね♪まぁホントに同じかどうかは知らないけど」

 

『カメラ止めろ』

『クイーンの口からスゴくギリギリな下ネタジョークが飛びましたね』

 

―――

――

(NOサイド)

 

「ハッ!シィアッ!」

 

―コォンッ カァンッ―

 

「ぐぅっ!?」

 

『てっちゃん選手圧されているゥ!切島選手は攻撃を諸に受けず、上手く滑らせ受け流しているぞォッ!』

『敵の攻撃を受けず、逆に自分の攻撃はキッチリ喰らわせる。即席漬けではありますが、母上の教え込んだ戦術が活きていますな』

 

「どぅりゃ!」

 

―ガゴンッ!―

 

「ぐぁッ!?」

 

『おぉっと此処で捨て身の踏み込み!肋骨に左肘を突き立てたァァ!!』

『しかも、若干ですがストレートリードを応用していますね。全体重を硬化した鋭利な肘先に集中したエルボーです。中々柔軟に戦えるようになってきましたね』

『それに加えて、てっちゃんはノーガードで全ての攻撃を受けきっているからな。これなら、戦術を齧った切島選手が有利だが果たしてェ?』

 

「ケッ、やるなA組ィ!流石の俺もちっとキチィぜ!」

「ハハッ、重いだろ?俺の拳はよぉ!教えて貰った事ゼッテー無駄にしねぇよーに、身体に刷り込んであるからなァ!!」

「それ俺にも合いそうだッ!終わったらちっと教えてくれやァ!」

「おうッ!一緒に教わろうぜェ!!」

 

『えーっと、ミスミッドナイト。全国放送で涎を滝のように流すのは如何なものかと』

『良いじゃないかドク。こう言った武士道に近い青臭い戦いもまた、戦場とは違った試合の華だ。

母上達のようなタクティカルも良いが、たまにはこういうのも悪くないだろう』

『ふむ・・・まぁ、これはこれで趣はありますな。ミスミッドナイトに関しては趣所か人として捨てちゃいけない何かを捨て去ってるヤベー女にしか見えませんが』

 

「だぁりゃァァァァ!」

 

―カァァァァンッ!!―

 

「がッはァ・・・」

 

『おぉぉ決着ゥゥ!!切島選手の鋭いアッパーカットが、てっちゃん選手を打ち上げたァァァァ!!』

『素のバトルスタイルが似通った2人ゆえ中々良い勝負でしたが、やはり最低限の技術を持つ切島選手に軍配が上がりましたな』

 

―――

――

 

―パァンッ―

 

「ヒャウンッ!?」

「クッ、対策済みかッ!」

 

『常闇選手、開幕から圧されっぱなしだァ!相性が絶望的に悪いッ!』

閃光手榴弾(フラッシュバン)を多用し、常闇選手の黒影(ダークシャドウ)を完封していますね。良い戦術です』

 

「ハッ!」

「ぐあっ!」

「一本ッ・・・ですわ!」

 

『決着ッ!決め手は何と草刈り鎌ッ!!』

『グリップエンドの紐で逆手、順手を瞬時にスイッチ出来る鎌は、殺傷だけでなく敵のコントロールや武器のディザームにも優れています。直接的な攻撃力が無い人でも、戦闘能力が大幅に上がりますよ』

『極めれば固い巻藁もスパスパ斬れるからな。つまり人の首も同じく斬れる。

それはさておき八百万選手、第一回戦突破ッ!』

 

―――

――

(出久サイド)

 

「吸って・・・」

「スゥゥゥゥ・・・」

「・・・吐いて」

「ハァァァァ・・・」

第一回戦、最終試合直前。僕は麗日さんの控え室で、メンタルを調整している。

「はい、息を吐きながら、肩をスゥ~っと下ろして」

「フゥゥゥゥ・・・」

・・・呼吸は正常。脈拍は・・・少し上がり気味、か。まぁ、初めてのミッションを前にこれなら、良い方だな。

「・・・よしっ!ありがとね、緑谷くん!」

「対爆豪用の戦術、頭に入った?」

「うん!キッチリ入ったよ!」

「そっか・・・じゃあ、健闘を祈る。死にはしないし、怪我もキッチリ治して貰える。何があっても平常心で、心は熱く、脳は冷たく。良いね?」

「・・・よっし!じゃあ、緑谷くん・・・」

ドアノブに手を掛け、遠慮がちに此方を振り返る麗日さん。そして左手で精一杯サムズアップを作り、それを僕に向けて見せる。

「決勝で・・・合おうぜッ!」

「・・・うん。待ってるよ。自慢の妹弟子」

なので僕は、優しく微笑んで送り出した。

さぁ、妹弟子。あの男に一杯喰わせてやれ。

 

―――

――

(NOサイド)

 

『さぁ、遂に第一回戦最終試合!個人的にかなり見物な試合だ!

戦いに置いては、つい先日までは素人!然れど母上とクイーンの特訓にて才能を見出だされた未来の戦闘者候補!緑谷出久の妹弟子、麗日お茶子ォォォォッ!!

VS!絶対的な勝ち以外は無意味ッ!目指すは完全勝利のみッ!完璧主義の爆裂暴君ッ!爆豪勝己ィィィィッ!!』

 

「・・・最近コソコソ何してやがるかと思ったら、ンな事してやがったのか」

「フシュゥゥゥゥ・・・」

不機嫌そうに呟く爆豪には答えず、リラックスを保つ呼吸を繰り返す麗日。そしてゆらゆらと肩から先を揺らし、そのまま前傾姿勢で爆豪を見据える。

「チッ、構えまでデクの真似っこかァ?気に入らねェ・・・」

「・・・天才タイプのバクゴーくんと違って、緑谷くんは丁寧に教えてくれるからね。とっても身に付きやすかったよ」

「あ゙?俺がデクより劣ってるって抜かしやがるか?」

「ひゅー、緑谷くんの言う通り頭の回転は早いね」

「・・・ブッ殺すッ!!」

 

『スタートッ!』

 

「死ねェ!!」

迫る爆豪の右手。麗日は瞬時に出久のアドバイスを思い出す。

 

―――挑発されたら、アイツはまず確実にそれに乗り切ったフリをする。僕の名前が君から出た時点で、恐らく自分の癖・・・右の大振りの情報を得ている筈だとアタリを付けて、自分のフェイントに逆利用する筈だ。そしてアイツが狙うなら・・・―――

 

麗日は走馬灯のように走る記憶を意識外に追いやり、左手を外から振るって攻撃を叩き落とすモーションを取った。

 

―BOM!BBOM!―

 

その瞬間、爆豪の右掌が爆発。しかしそれだけでは無い。爆炎で目眩まししつつその反動で前方への慣性を上向きに転換し、台上前転の要領で身を翻して背後から更に爆破する。

「シュッ!」

 

―ボグッ―

 

「がッ!?」

然れど、それすら麗日の・・・否、出久の想定内だった。

「そのパターン、予測済みだよ」

 

『おぉぉッ!麗日選手、爆豪選手の初手フェイントを回避ッ!更に完璧な海老蹴りでカウンターを叩き込んだァァ!!』

『腹筋で何とか防がれたようですが、体重の乗った良い蹴りです』

 

「グゥゥ・・・クソが!デクの入れ知恵かッ!!」

「さぁね?バクゴーくんが読みやすいだけちゃう?」

「ッ~!」

 

―――初撃を凌いだら、兎に角挑発だ。君の作戦がバレないよう、出来るだけ頭に血を昇らせて―――

 

「死ねェッ!!」

「フッ!」

 

―BBBBOM!!―

 

押し寄せる爆破を肩甲骨で身体を引っ張って避け、重心を下げたまま突進する。そして個性を発動しようと、構えた手を突き出した。

「クソがッ!」

 

―BBBOM!―

 

「んぐッ!」

対して爆豪は爆風をぶつけ、麗日を吹き飛ばして迎撃する。

(ヨシ、計画通りッ!)

「でやぁっ!」

爆風を諸に喰らった麗日だったが、上手く受け身を取り着地。再度体勢を立て直し、またも突貫。

「チィッ!それしか無ェんかオメェはよォ!!」

 

―BOMM!!―

 

爆豪はも再び爆破で迎撃。威力は最初よりかなり強めで、麗日のジャージは焦げ、肌は熱で火傷を負う。

「んぎッ・・・はァッ!」

それでも尚、麗日は三度突貫。爆豪もまた、威力を更に引き上げて迎撃する。

「あぐっ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

(まだ、足りない・・・もう少し、もう少しッ!)

霞む視界、震える脚、上がる息。それらに苛まれながら、麗日は()()()

左手の甲を土台に、右手首を乗せその人差し指を伸ばす。そしてそれを身体の前で揺らし、正中の防御とする構え。それは奇しくも、出久が陽月剣を握って作る構えと同じもの。

出久が教えずとも、麗日の身体は自然とその形に収まった。

「だぁァァァァァッ!!」

「しつけェ!!」

 

―BBBBOM!!―

 

「うがっ!」

これで幾度目かの、迎撃。

爆煙はステージ全体まで広がり、先程よりも広く、長く漂う。

「いい加減にしろッ!女子いたぶって遊んでんじゃねーッ!」

「とっとと場外にでも投げ飛ばせェ!!」

1人、2人を発端に、観客席からブーイングの嵐が飛ぶ。それに対して爆豪と麗日は勿論、出久や背納、そして2人に稽古を付けて貰った全員が顔を盛大に顰めた。

 

『等と申しております、少佐殿』

『成る程、追放処分だ』

『聞いたなゼノ小隊諸君。今ブーイングした能無しの猿共をスタジアム外に摘まみ出しなさい』

 

すると、マックスとドクが命令を下す。それを聞いたウォーリアー達は屋根から壁伝いに素早く降り立ち、ブーイングを飛ばしたヒーロー達に飛び掛かった。

そして両手を掴んで抵抗を封じ、速やかにスタジアムの外に連れ出して行く。

 

『えーっと、館内放送から全体放送に切り替えるのは何処かな~っと』

『はい、切り替えましたよ少佐殿』

『おぉありがとうドク。

ン゙ッン゙ン。追い出されたおバカ共。お前等が摘まみ出された理由は2つある。

1つは親切心。この程度で麗日選手への警戒を解くようなら、ヒーロー免許なんぞ返納して別の仕事を探せ。お前等程度では真に賢しい敵に良いように殺され踏みにじられるだけだからな。

そして2つは、貴様等が吐いた爆豪麗日両選手への()()に対しての罰だ。

あの時、爆豪選手は少しでも嗤っていたか?麗日選手は、ちょっぴりでも諦めの色を眼に滲ませていたか?

いいや、その答えはNoだ。もし麗日選手が痛みと恐怖で震え戦意を喪失し、それでも尚爆豪選手が執拗に攻撃を加えていた・・・それならば、先程のブーイングも至極真っ当だ。だが、実際はどうだ?どちらも全く当てはまらないではないか。

麗日選手はまだまだ()()()だ。何をする気か分からなかったからこそ爆豪選手も簡単には踏み込めず、無闇に奥の手を使い決着を急ぐ訳にもいかなかった。

この拮抗状態を、貴様等は麗日選手の敗けだと断じてブーイングしたのだ』

『少佐殿、あのような低能な猿共にはもう少し噛み砕いてやりましょう。

あー、おバカな脳足りん諸君?まぁ要するに、目の前の戦いの本質も見極められないド三流以下のド素人共はその乳クセェ口開くな。そんな暇あったら転職サイト見てシコって寝てろ、と言う意味ですよ』

『おぉ実に分かりやすいな!流石はドクだ』

『お誉めいただき感謝の極み。

さて、選手両名。水を差してしまいましたが、邪魔者は摘まみ出しました。さぁ、存分に続きを』

 

「ケッ、余計な事しやがって・・・」

「・・・そう言う割には、顔険しかったけど?あ、もしかしてトイレ我慢してた?」

「黙れ」

ふらつきながらも軽口を飛ばす麗日に、短く突き放す爆豪。掌を小さく爆ぜさせ、麗日を威嚇する。

「・・・さて、ほんなら次で最後にしよかな」

「おう、来いや。ぶっ殺してや・・・あ゙?」

唐突に、爆豪が怪訝そうな顔をした。それに合わせ、麗日も計画を最終フェーズに移行する。

「漸く違和感に気付いたね・・・解除ッ!」

両手の指先にある肉球同士をくっつけ、個性を解除。すると、爆豪は全てを察して上を向いた。

その視線の先にあるのは・・・無数の石礫(いしつぶて)

爆豪に何度も突貫していたのは、単なる自棄っぱち等では無い。自分ごと周囲のコンクリートを爆破させ、この弾幕の為の破片を調達していたのだ。

(ドクちゃん達がバクゴーくんの気を引いてくれたのはツイてた。その間に、少しずつ蓄えられたから・・・!)

 

「いっけぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

礫の群れが頭上10m以下まで迫った、その時・・・

 

―KABBBBBBOM!!!!―

 

爆豪が掌を上げ、瓦礫弾全てを包む程の大爆発を起こした。それは、戦闘訓練で出久に向けて放った物と同等の指向性爆破。

「ッ・・・緑谷君の、言う通り!」

 

―――爆豪の性格から考えて、僕と同じように幾つか切り札の引き出しがある筈だ。一番可能性が高いのは、戦闘訓練で見た大爆発。それがあるなら、両手で最低2発は撃てる。あの規模の爆発なら、直撃どころか余波だけで冗談抜きの致命傷だ。だから、ダメージを最小限にする対処法を教えておくよ―――

 

しかし、それすら麗日と出久の想定内。吹き飛ばされないよう膝を着いて姿勢を下げ、両耳を塞いで鼓膜を保護。更に口を空け、爆圧を逃がす事で内臓と眼球も守る。

これもまた、麗日が出久に叩き込まれた技術である。

「うぐっ・・・だァ!」

そして爆発の振動を肌で感じなくなると、麗日は両手を着いてそのまま駆け出した。しかし、蓄積したダメージとキャパオーバー寸前の酔いで力が入っていない。

それでも尚走って来る麗日に、爆豪は右掌を向ける。

 

―BBOM!―

 

だがその掌が爆ぜる寸前で、麗日は左肩を後ろに抜いて正中をズラす事で攻撃を躱した。この動きに覚えのある爆豪は直ぐ様左手を脇下で構えるが、麗日は伸びたままの右腕の下に潜り込んでいる。

そして右拳を引き・・・

 

―ドゴッ―

 

「ぐっおっ!?」

自分の正中線ごとスライドさせるように、爆豪の右脇腹をウェイヴパンチで抉った。

しかし、同時に限界も訪れる。疲労、痛み、酔いが一気に身体に押し寄せ、力無く倒れ伏せてしまった。

 

『・・・麗日選手。まだ、やるかい?やるなら、手で合図を』

 

マックスの問いに、麗日は完全な沈黙で答える。身体は脱力しきって動かず、目の焦点も合っていない。

 

『麗日選手、健闘の末に戦闘続行不可!勝者、爆豪選手!』

 

「ッ~!!ン、だとォ!?テメェ、ふざけてんじゃねえッ!!こんな勝ち、俺ァ認めねぇぞッ!!」

 

『フフフ・・・これはもしかしたら麗日選手からの意趣返しかもしれませんねぇ。

勝てぬならば、せめて相手に噛み付きながら負けてやろうと言った所でしょうか。実際、爆豪選手からすればこれは只の自爆に等しい。

相手の勝利条件を潰し、士気を殺ぐ。成る程、何処までも有望な戦闘者です。

勝てそうに無い相手ならば、目的が変わるのは必然。勝利から嫌がらせにシフトする』

 

「クッソがァァァァァァッ!!」

 

トーナメント一回戦第八試合。勝者、爆豪勝己。

 

to be continued・・・




~キャラクター紹介~

緑谷出久
いつもの現代忍者。
飯田は絶望的なまでのカモだった。直線的な動きは予測しやすく、腹に躰道の海老蹴りからコンボを決めて秒殺。
因みに麗日が展開した対爆豪戦術は、特訓中に出久が考えさせた《1-Aメンバーの対処法》から持ってきたもので、大筋はしっかり麗日が考えたもの。出久はちょっと細かいアドバイスをしただけ。

触出背納
ちょっとムラムラな化物主人公。地味に仏教徒(ブッディスト)
さも自分が正気でいると思い込みながら他人の狂気を語る輩は好きじゃない。ので、一発良いのをブチ込んだ。

麗日お茶子
才能アリアリな原作ヒロイン。
そもそもバッドコンディション下で真価を発揮する零距離戦闘術は、酔うという麗日のデメリットに相性が良すぎた。
原作と違い、最後に一発叩き込めている。
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