「ホントご無沙汰だな。そんでもって直球」
『仕方無いだろ?話の流れの中でヤれる所が少ないんだから。
あと今更ですが、ゼノモーフのあの頭のクリアバイザーみたいなのが眼である事を最近知りました』
「知らなかったのかよ」
「ズ~ガガガガッガガーガガー!」「ドォゴゴゴゴ~ゴゴ~!」
「ガガガガッガガーガガーッ!」「ベェキベキベキベキッ!」
「ズ~ガガガガッガガーガガー!」「ドォゴゴゴゴ~ゴゴ~!」
「ガガガガッガガーガガーッ!」「ベェキベキベキベキッ!」
「「ガガガガッガガーガガガ!ガ・ガ・ガ!ガ~オファ~イ~ガー!!」」
(···どうして、こうなったかなぁ)
黒いマイクを握り締めて、レッツファイナルフュージョンを熱唱するマックスとドク。
更に、ノリに乗ってタンバリンを叩く芦戸と葉隠。
そして、選曲の仕方を耳郎に教わる八百万と、脚を組んで自分の番を待つ背納。
こうなった経緯は、20分程前に遡る。
(背納サイド)
「ふぃ~♪良い具合に疲れた疲れた~···(響香、百ちゃん)」
(ん、どうした?)(何ですの?)
体育祭閉会後。
ボクはゴリゴリと肩甲骨を回しながら、2人にテレパシーを送る。
(正直かなりムラムラしてるから、もうホテル行きたいんだけど···この後大丈夫?)
((サイッテー)ですわ)
「あ、ごめん」
(ムードもクソも無いじゃん)
(直球過ぎますわ)
(しょうがないじゃん!誘った事なんて無いんだし!)
(0点)
(0点)
(論外だな)
(手厳しいってオイ、ナチュラルに混ざって来るなよマックス!)
辛口な2人の評価に、シレッとマックスが参加して来る。何処に居るかと思えば、雄英体育祭会場のドームの上に座っていた。ドクも一緒だ。
全く、何て所から生体電波ジャックして盗聴してやがるんだアイツは。
「え?少佐何処?」
「ほらあそこ」
「あんな所から!」
響香達に驚かれながら、ピョンピョンと身軽に降りて来るマックスとドク。どうやら片付けへの人員貸し出しは終わったらしい。
「クイーン。産み付けられたチェストバスターの回収、滞り無く完了いたしました。
所で、今夜はまだ牡蠣が残っていますので、カキフライで宜しいでしょうか?」
「え?あぁうん、大丈夫だよ。あ、タルタルソースはゴーヤピクルス多めでね」
「承知しました」
「あぁそれと、八百万君に耳郎君。悪いが、クイーンの
「は?」
「「えっ?」」
何でマックスがそんな事頼むんだ···おい待てまさか!
「あぁクイーン、お気付きになりましたか。今日の昼食は、私がクイーンの消化吸収能力を計算して、わざと
「やっぱりあれわざとかお前ッ!」
とってもいい笑顔で言ってくれるドク。チラッと疑った通りだったよ畜生!
「···背納。あんた、ウチら以外を誘った事ある?」
「···無い。無いよ。自分からは、今のが初めて」
「···うん。嘘じゃないみたい。なら、仕方無いか」
「経験が無いなら、まぁ仕方ありませんわね」
呆れ混じりだった2人の視線が、妙に慈愛の籠ったモノに変わる。
えっと、これもしかしなくても、遠回しに童貞臭いって言われてるよね?
「許される理由が
「ん?シたく無いの?」
「いえ、シたいです。すみませんでした」
どうにも響香には頭が上がらないな···
「···もう良いよ。ウチ今日は用事とか無いし」
「私も、習い事の類いの予定はありませし」
「···今度からは化物風情らしく、おねだりでもするかな」
アーカードの旦那みたいに、人間に服従する
(···何固まってんのさ。ホテルでえっちしたいんでしょ?何?行きたくないの?)
「あっすみません今行きます」
いつの間にか悶々と妄想して、脚を止めてしまっていたらしい。気付けば2人はもう5歩分程前方に立っていた。
にしても響香、見事にテレパシー使いこなしてるなぁ···
「およ?触出に耳郎にヤオモモじゃん。何処行くの?」
「ホントだー!何ー?女子会ー?」
「おっとぉ···」
大股に3歩で2人に追い付いた時、後ろから声が掛かる。三奈ちゃんと葉隠さんだ。
「あーいや、ちょっと反省会でもしようかな~って。戦法についてとか、その他色々」
「あっ、じゃあアタシ達も行って良い?師範は用事があるって、轟と一緒に行っちゃったし」
(ヤッベェ、言わなきゃ良かったかな)
しくじった。当たり障り無く、真面目な百ちゃんが参加しても違和感が無いよう繕った反省会と言う名目だけど、これだと同門の三奈ちゃんや葉隠さんの参加を断る理由が無い。
(断らないの?)
(いや、流石にね。一応ボクの弟子だから。師匠として、弟子の面倒見る責任があるし)
(責任感
(《は》って何さ《は》って)
テレパシーでそんな遣り取りをしつつ、どうしたもんかな~と考える。
と言っても、最早選択肢は1つしか残っていない訳で···
「ヨシ!じゃあ行こうか。このメンバーで」
「では、会場案内はお任せを。ぴったりの場所があります故に」
(グッジョブだよマックス!)
(流石に私も其処まで性悪ではありませんよ。主人の体裁ぐらい守りますとも)
(少佐に救われましたわね)
どうやら、マックスが先導してくれるらしい。これならボクも、端から見れば行き先を任せたマックスに連れて行かれるだけだ。変な勘繰りを入れられる事も無いだろう。
やっぱ頭の回る部下は持っとくべきだな。
―――
――
―
「おぉー!ベッドでっか~い!」
「色々あるねぇ~!」
借りた部屋に着くなり、三奈ちゃんと葉隠さんはベッドに飛び込んだ。
まぁ気持ちは分かる。デッカいベッドはテンション上がるもんだ。
「じゃ、反省会と行きますか」
(NOサイド)
そして、今に至る。一応最初10分は名目通りに反省会をしていたが、芦戸が部屋にあったカラオケマシンに目を付けてから加速度的に只の女子会になってしまった。それもまぁ悪くは無いとして、背納達は楽しんでいる。取り敢えず、一周したら汗を流す予定だ。
「クイーン、どうぞ」
「はいよ」
そんなこんなで、背納の番が回って来た。選曲していたのは、《Los!Los!Los!》だ。
「···
それもドイツ語アレンジバージョンである。因みに歌っている中の人が同じなので親和性はとても高い。
「ど、ドイツ語ですわね···」
「すごーい!背納ちゃんドイツ語歌えるんだねぇ!」
「爆豪さんを下した時も歌ってましたわね。そう言えば、あの曲は何と言う曲なんでしょうか?」
「あぁ、あれは第二次大戦時のドイツの進軍歌だ。我ら英国に進軍す、通称イングランドの歌。
HELLSINGという漫画のOVA作品が、エンディングテーマとして採用した。歌詞は要約すると、《俺達はイギリスをぶっ潰す楽しいピクニックに行って来る。死ぬかもしれないが、恋人よ、どうか悲しまないで》と言う内容だ。しかもそれを、寄りにも寄ってナチスドイツの被害者であるポーランドの楽団に歌わせると言う鬼畜の所業を経由し、世に発信された。
その結果、イギリスが爆笑しドイツがブチギれ、更に仕事を選ばないポーランド楽団と言うあだ名が生まれた伝説のスタイリッシュ国際問題ソングだ。
因みにアニメ内でロンドンが爆撃で火の海になるのだが、これは現地視察に行った作者殿が黄色人種且つデブでメガネでロン毛だった事で、差別と言うか嫌がらせを受けた事による私怨だった、と言うのは有名な話だ。視察中、作者殿は『漫画の中で此処はどう壊してやろうか、コイツらはどう殺してやろうか』と、半ば攻撃する場所を吟味するテロリストのような心境で資料写真を撮影していたらしい。
余談だが、この曲で流れるスタッフロールは英語版だと平均的なそれより1.5倍程早い。故に、逃げるスタッフロールだとか言われていた」
「因みに我々の名前も、そのアニメのキャラクターから取ってあります。もう著作権は切れてますから、動画サイトで《HELLSING》と検索すれば見られますよ」
背納が歌っている内に、シレッと布教を済ませるマックスとドク。この2人、自分の主人に対してかなりドライな所がある。
「終わったよ~。じゃ、次は響香?」
「あ、うん。それと背納。これデュエット曲だから、相方して貰って良い?」
「ちょっと待ってね···あー、この曲なら大丈夫。じゃあどうする?そっちがミクサイド?」
「そのつもり」
「じゃ、此方がルカね」
小波の音と共に始まる儚げなイントロに合わせ、背納はタンタンと爪先で床を弾いてリズムを取る。そして何かを思い付き、立ち上がりかけた耳郎にテレパシーを飛ばした。
(···ま、良いよ。分かった)
(よっしゃ♪)
背納が手早くテーブルにスペースを開け、其処に半ば呆れながら耳郎が腰掛ける。更にその上に被さるように背納がテーブルに膝を付いた辺りで、歌詞が表示された。
―――――か細い火が、心の端に灯る···いつの間にか、燃え広がる熱情···
艶っぽく、微熱の籠ったハスキーな声。そして指で自分の唇をなぞり、テーブルについて身体を支えていた左手で、下から掬うように背納の右手を取る。同時に背納は尻尾をその背中に回し、しっかりと支えた。
「「絡み合う指、解いて···」」
―――――唇から、舌へと···
耳郎が取った指を絡めつつ柔らかく離し、爪の先端で耳郎の唇に触れる。そして背中に回した尻尾を、腰に巻き付けた。
「「赦されない事ならば···」」
―――――尚更···燃え上がるの。
「「抱き寄せて欲しい。確かめて欲しい。間違いなど無いんだと、思わせて···
キスをして、塗り替えて欲しい。魅惑の時に、酔いしれ···溺れて、いたいの···」」
背納は耳郎の唇を撫でた右手を、そのまま背中に回す。右膝を耳郎の腰より少し奥につき、入身になって耳郎の背中を反らして、その首元に迫った。
(せ、背納!流石に近いよ!くすぐったい···)
(ゴメンゴメン。でも、割とノリノリじゃん?)
(···まぁ、こう言うのは嫌いじゃないし)
(あ~、可愛いなぁ!)
(う、うっさい)
間奏に入り、一時の休憩。背納に愛でられ、思わず赤面し猫のようなジト目でフイッと視線を逸らす耳郎。すると、必然的にギャラリー達の反応が眼に入る。
ひゃーっと黄色い悲鳴をあげる葉隠、ヒューヒューとからかう芦戸。ドクとマックスは腕を組み、ニヤニヤと笑いながら何故かウンウンと頷いている。
一方、八百万はと言うと···
「っ···!!」
完全に、魅入っていた。唯々、思考も追い付かない程に、のめり込んでいた。しかも、無意識に合掌までしている。
人とは古来より、どうしようも無い事に直面すると、何故か手を合わせてしまうと言う。
―――――束縛して。もっと、必要として···愛しいなら、執着を見せ付けて···
間奏が終わり、始まる第二パート。歌い出しは妖艶で、尚且つ捕食者的な危険な色気のある背納から。自分の制服のネクタイに耳郎の指を絡め、首輪のように掴ませる。
「「迷い込んだ心なら···」」
―――――簡単に融けてゆく···
歌詞通り、耳郎の蕩けるような揺らぐ声。掴んでいたネクタイをグイッと引き寄せ、背納の首元に。そして自分のマイクは切り、背納が持っていたマイクに声を拾わせた。
そのままネクタイから指を外し、背納の頬に添える。
「「繰り返したのは、あの夢じゃなくて。紛れも無い、現実の···私達。
触れてから、戻れないと知る。それで良いの。誰よりも、大切なあなた···」」
(···何ですの?この、感覚···)
第二パートが終わり、再び間奏。
八百万は、自分の中に生まれた未知の感覚に戸惑っていた。
心拍が強まり、胸の奥が締め付けられるような。しかし不快かと思えばそうでも無く、寧ろ逆。この感覚の中に微睡み、沈んでしまいたいと思える程に甘美なのだ。
自然と、口角が上がる。思わず、溜め息が出る。
美しい。故に、触れ難い。出来るならば、あらゆる不純物を排除して、その様を唯々、側で見ていたいような、そんな感覚。
(ほう、目覚めたか。流石だ、八百万君)
(少佐···これは、この感覚は···何なのでしょうか···?)
(それは···てぇてぇだ)
「てぇてぇ···」
(エモいとも言う)
無意識に、呟く。その表現の、何としっくり来る事か。
(てぇてぇやエモさは理屈では無い。故に、言える事は1つ···考えるな、感じろ)
(てぇてぇ···エモい···)
マックスとドクが八百万にいらん事を教えている間に、また間奏が終わる。勿論これを聞いていた背納は、耳郎にテレパシーで
―――――夜明けが来ると不安で···泣いてしまう、私に···
―――――『大丈夫』と囁いた。あなたも···泣いていたの···?
「「――――ほぅ···」」
「~ッッ!」
短く、然れど熱く、混じり合う吐息。マイクがハッキリと拾ったそれは、鼓膜を介して八百万の脳髄に雷を落とす。
「「抱き寄せて欲しい。確かめて欲しい。間違いなど無いんだと、思わせて···
キスをして、塗り替えて欲しい。魅惑の時に、酔いしれ···溺れたい···
引き寄せて、
触れていて。戻れなくて良い。それで、良いの。誰よりも―――――」」
―――――大切な、あなた···
最終的に1つのマイクを共有し、百合百合しいイチャイチャを垂れ流したmagnetは、背納の一節で終わった。
「ひゃー!すごい!」
「え、もしかして2人ってデキてんの!?」
「いやいや、流石に只の演出だよ。百合曲には百合演出が合う」
(···)
(いや、ごめんって)
チリチリとした、不満の感情。ジト目の耳郎から投げ付けられたそれに、背納は脳波で謝罪を返す。
「どうだった~?百ちゃ···って、あれ?百ちゃん?」
八百万に声を掛け、その段階で漸く異常に気付く背納。
「わっ、幸せそうな顔で固まってる···」
芦戸の言う通り、八百万は硬直していた。至福の顔で、合掌しながら。
「恐らく、てぇてぇが致死量に達したのでしょう」
「···息もしてないな。それっ」
―ボンッ―
「ハッ!?」
マックスが背中を軽く叩くと、八百万は忘れていた呼吸を思い出す。紅潮した頬に触れ、呆然としつつ深呼吸を繰り返す。
「ほれ、百ちゃん次」
「い、いえ!私はもうお腹いっぱいですので!あ、暑くなってしまいましたわね!汗を流しましょうか!」
(···大分、テンパってるなぁ···)
(おぉっと、箱入りお嬢様には刺激が強かったかな?)
原因が自分達なだけに苦笑いする耳郎と、確信犯めいた性悪な笑みを浮かべる背納。腹心達の事を言えた立場じゃ無い。
「あ!この部屋サウナが備え付けられてますのね!さぁ!汗を流して頭を冷やしましょう!」
「頭冷やすのにサウナって逆効果じゃない?」
「あー、見事に空回ってらっしゃる。何より先に、百ちゃんが頭をヒヤシンスじゃんね。
ハイ、百ちゃん」
―バァンッ!―
「ひゃっ!?」
ハァ、と溜め息を吐きつつ混乱状態に陥っている八百万に詰め寄り、背納は強烈な猫騙しを繰り出した。
「はい、落ち着いた?」
「あっ···す、すみません!私···」
「良いって事」
ドクがドリンクバーで汲んで来た水を飲ませると、赤かった頬も幾分か落ち着いてくる。
「ま、元々サウナは使うつもりだったしね。
所で、この中にサウナ無理な人いる?」
―――
――
―
(背納サイド)
「ふぃ~っ!これこれぇ~!」
タオルで身体を隠し、マットを敷いて細長いサウナ室のベンチに座る。
すると、ボクの両脇に響香と百ちゃんが座った。いやぁ両手に華だねぇ。
因みにドクとマックスは外にいる。あの子達はそんなにサウナが好きじゃない。逆にボクは割と大好きだ。プレデターの故郷が、温暖な惑星だからかねぇ?
「私サウナ入るの初めて~!」
「実はアタシも~」
「ほう、未経験だったのか」
その割には何の不安も無く大丈夫と即答してたけど···おっと、まずいかも。
(催眠式緊縛封印術式第2号解放···)
タオルの下で、生体装甲を纏う。
(背納さん?どうしましたの?)
(···あぁ~···)
百ちゃんは分からないみたいだが、響香は分かったらしい。また冷たいジト目を向けてくる。
(いや、ゴメン。マジでゴメン。でもしょうがないじゃん。雄として当然の生理反応なんだってば)
(あっ、そういう···)
百ちゃんも気付いたらしい。
そう。ボクの
(···まさか、サウナにもそう言う目的で?)
(いや、無い無い。これは単純にボクの好みだよ。これに関してはマジで下心とか無いから)
「あっつ~···そう言えばさ!触出って、サウナ好きなの?」
お、三奈ちゃんが良いタイミングで話題振ってくれた。乗らない手は無いネ。
「まぁね。ボクって、プレデターとゼノモーフと人間のミックスな訳だし。元々プレデターは暖かい場所が好きで、ゼノモーフは宿主に体質合わせるからさ」
「へぇ~···」
「ま、単純にこの湿度と暑さが好きってのもあるんだけどネ」
このジワジワと全身に熱が染み込んでいく感じが、これまた堪らないんだよ。
「にしてもさー、ラブホでサウナって危なくないのかな?何か、この中でもし···その、おっ始めちゃったら···」
「死ぬね、確実に。少なくとも生理食塩水を大量に持ち込まないと死ぬ。
まぁ、ホテル側もそんな事になったら迷惑だから、扉にも注意書がある訳だしね。この中でセックスしないで下さい、死にますからって」
「あ、背納ちゃんってそう言うワード抵抗無いタイプなんだ···てか、書いてたの?」
「書いてたよ。良く見るとね」
どうやら葉隠さんは読まなかったみたいだ。探索ゲーとかでも、キーアイテムとかを見落とすタイプだろう。こういう標識とかは結構重要だ。ボクは詳しいんだ。
「っと、アタシそろそろ出るわ。初心者は引き際が大事だし~」
「あ、私も~」
と、お二方はどうやらもうサウナを出るらしい。まぁ、大体7分弱か。初めて入って此処まで平気なら、まぁ大したもんでしょ。
「2人は大丈夫?無理してない?」
「ウチはまだ平気」
「私も、家庭用サウナで慣れておりますので!」
「ハハハ、お嬢様だねぇ···」
百ちゃんのブルジョワ具合に顔を引き攣らせつつ、サウナから出て行く2人を見送る···あぁ~やっぱり2人とも骨格やら体幹やら素晴らしいな~···
(所で、背納さん)
(ん、どうしたん?)
(えっと、今日の、その···プレイ内容、と言いますか)
おっと?箱入り百ちゃんからこんな言葉が飛び出すとは···何があった?
(私、マックスさんに教えて頂いた漫画サイトなんかで勉強したんです!)
「あんにゃろうまた勝手しやがったな」
「背納ん所って、部下が暴走しがちだよね」
「まぁ、迷走してないだけまだマシだけど」
「諦めてんなぁ···」
「毒物耐性を付ける為とか言う名目でグッスリ就寝中の主人に毒ガス嗅がせる時点でお察しさね」
ハハッと乾いた笑いが漏れる。まぁそのお陰でマジに毒耐性が付いたんだがね。
(···で?プレイ内容だっけ?ぶっちゃけ、普通のセックスで慣らしてからの方が良いと思うけど···)
(それは分かるのですが、どうしても気になるモノがありまして···)
(ほう?何だねそれは)
(それは―――――)
(NOサイド)
「あの2人、絶対デキてるよね~」
「ね~!間違い無いよね!」
シャワーを浴びて事前に八百万が
「しかも、背納ちゃんの方は若干こなれてる感じがしたし!」
「あー確かに。実際、触出って結構女誑しっぽいからなぁ~···」
過去、胚の産み付けの際に背納の魔性に曝された経験のある芦戸。彼女も一時的とは言え、背納に誑かされた1人である。
「それに比べて、ヤオモモはウブで可愛かったよね~」
「ホントホント!2人を見て、ポワ~ってなっちゃってた!」
「そんな3人が、ラブホテルの一室に···何も起きない筈は無く···みたいな?」
「わぁ~気になる~!」
「気になるかい?」
「わっ!?」
ベッドの横のクローゼットから、マックスが登場。そんなモノは予想出来る筈も無く、2人は驚き声をあげた。
「だったら···見ているかい?ヒソヒソと」
「このクローゼットからね」
マックスに続きクローゼットから出てきたドクが、自分達の入っていたクローゼットを指差す。
「これは、ちょっとした特別製でね。中にはスプリングクッション付きの腰掛け台と、体重を預けられるベルトが設けてある」
「わ、ホントだ」
マックスの言う通り、その中身はクローゼットと言うよりも、スパイ映画に出てくる隠し部屋のようだった。
ハンガーを掛ける棒が2本あり、それを外してクローゼットの底板を持ち上げれば、中には鉄パイプの受け口。更に外した底板は裏が布で覆われたスプリングクッションになっており、垂直に立てた棒にカチャコンと嵌め込めば、即席の椅子になった。
「どうする?」
「いや、でも流石に···」
ヒーロー志望としての良心が、悪魔の囁きに細やかながら抵抗する。
「いや、でもぶっちゃけさ···見たくね?」
「「見たい」」
「宜しい。ならば覗き見だ。若人よ、闇を暴き、深淵を覗いたまえ。
なぁに、君達が責められる事は無い。何があっても、怒られるのは唆した私だ」
自覚のある確信犯が、2人をクローゼットに押し込む。当の2人は好奇心と言う猛毒にやられてしまったようで、抵抗はしない。
雄英の制服は、消臭スプレーを吹き掛けてから2人の足元の籠に。用意周到にも程がある。
「ドク~、2人は~?」
「今し方、お帰りになります。我々が送って行く所です」
「パーフェクトだドク」
「お誉め戴き感謝の極み」
実際はしてもいない仕事を、主人にシレッと虚偽報告するドク。肝が太いなんてレベルじゃない。
「では、ごゆっくり」
そう言って扉を閉めるマックスの顔には、えげつない笑みが浮かんでい
た。
(背納サイド)
「ふぃ~♪やっぱサウナの後は、冷たいシャワーだねぇ♪」
身体中の汗や垢を、シャワーで流水を浴びながら擦り落とす。
身体からモクモクと立ち上っていた湯気は、もうすっかり退いていた。
「ひゃっ!冷たっ!」
「あら、耳郎さんは、冷たいのは苦手ですか?」
「生憎と、こちとら身体が冷えやすくてね」
「まぁ、それは大変ですわ!大丈夫ですか?クラクラしたりしません?」
「っ···」
どうやら百ちゃんは低体温症を心配したらしい。狭いシャワー室内で響香と向き合い、その額に手を置く。
と、まぁこんなとこで向き合ったら、当然百ちゃんの豊満なおっぱいが響香の胸に当たっちゃう訳で···一瞬チリッと悪感情が飛んでくる。しかし、どうやら百ちゃんには飛ばさなかったようだ。まぁ、ボクに八つ当たりしたみたいだね。最善の手段だよそれが。にしても、もう個人通信が出来るとは恐れ入ったな。
取り敢えず···
「百ちゃん、流石にそんなすぐ冷えないってばさ。変温動物じゃあるまいし。
響香、ちょっと温度上げたよ」
「あ、そうですわよね。私ったら···」
「ん、あったかい。ありがと背納」
ボクと入れ替わって、温水を浴びる響香。
その背中は、溜め息が出る程に滑らかで、綺麗で···
「···きょ~うかぁ❤️」
「えっ、背納!?」
あぁ、だから、きっと、こうやって後ろから抱き締めてしまうのも、致し方無い事なんだろう。
でも、最後の一線だけは絶対に越えない。その為に、クロムウェル2号も解放したままだ。
ボクは
「あぁ~···あら?背納さん、これは何ですの?」
―ピトッ―
「きゃあっ!?」
脊髄に雷が落ちたような、とんでもない刺激。慌てて口を抑えるが、足腰は堪えきれず、へたり込んでしまう。
「ちょ、大丈夫!?」
「す、すみません背納さんっ!」
「あぁ、うん···良いよ良いよ。でも
2人に引き起こされ、また自分の足で立つ。そして、再びシャワーを浴びた。
「···熱い」
あぁ、熱い。顔が熱い。火が着いて、燃えているみたいだ。
きゃあなんて、ボクのキャラじゃ無いだろ。あぁ、恥ずかしいな。そして、何よりも···
(何で、
正面の鏡越しに自分を見ながら、ボクは左右両側の首筋をなぞる。
特徴的なドレッドと揉み上げに僅かに隠れながらも、そこには
to be continued・・・
~キャラクター紹介~
触出背納
童貞臭い上に大誤算に見舞われた化物主人公。
心の底の方はMなので、好きな人には支配されたい。同時に、それが化物への理想像でもある。
ドイツ語が好き。なのでノリノリでドイツ語アレンジの《LOS!LOS!LOS!》を歌ったが、その間に腹心が歌そっちのけでHELLSING布教してた。
《magnet》は巡音ルカサイドを歌った。
因みに作者がmagnetを知ったのはつい最近。某百合VTuberコンビの歌ってみた動画である。
耳郎響香
辛口彼女。背納に
背納の影響で、ロック系以外に百合系、恋愛系の曲も聞くようになった。と言っても甘いタイプじゃなく、悲恋系や背徳系、magnetのような禁断系などが好み。
《magnet》では初音ミクサイドを歌った。理由は、上記の動画でミクサイドに低めのハスキーな声がマッチしていたから。
個人的に、擬獣化すると猫だと思う。ので、ちょっと猫っぽい仕草を意識して書いてるつもり。
八百万百
今日の被害者。この子の為に《キャラ崩壊》タグを追加した。
magnetを歌う背納と響香による強烈な百合演出は、箱入り娘には刺激が強過ぎた。その胸に渦巻く気持ちの名前を録でも無い奴から教えられ、百合に目覚める事となる。因みにパニック中は、所謂ぐるぐるお目眼になっていた。
元から割とむっつりスケベな為、マックスに教えられたエロ漫画サイトなどで色々読んだ結果、気になるジャンルを見付けた模様。
モンティナ・マックス&グロンド・ドク・プルフェッツォル
確信犯の少佐&主人殺害未遂常習犯のマッドサイエンティスト。
HELLSINGのカバー裏ネタで、レッツファイナルフュージョンを歌わせた。この2人を出す時点で、これだけは絶対させると決めていた。
背納の眼を盗んで、八百万に「こういうので勉強すると良い。あ、会員に登録しましたとかメッセージ来ても放置で良いよ、架空請求の類いだから」と言ってエロ漫画サイトを勧めた少佐。何て事してやがる。
余談だが、スパイ仕様クローゼットの設計者は言わずもがなドクである。
芦戸三奈&葉隠透
背納の大誤算そのもの。
元来の色恋沙汰好きの性で、magnetのデュエットにはテンションが跳ね上がった。
好奇心に酔わされ、覗き魔となってしまう。彼女達の運命や如何に。
https://syosetu.org/novel/231303/
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まずは薔薇を咲かせてからだ。