「おい作者、暗号は?」
『今あんな設定がカオスに煮詰まったヤツ書ける自信無い』
「俺ちゃんの出番はどうなる!」
『この前書きがあるだろう』
「俺ちゃんがデッドプールだって事忘れてる読者いるぞ絶対!」
(背納サイド)
「んーまいっ♪」
手に持ったファーストフードに齧り付き、思わず顔を綻ばせる。頬張っているのはチーズもんじゃライスバーガーと言う、頭の悪いカロリーの化物だ。
「ええ食いっぷりやなぁ背納ちゃん」
そう言いつつ鉄板ごと抱えたたこ焼きを食べるのは、瓢箪や鏡餅を彷彿とさせる程の肥満体の巨漢···BMIヒーロー、ファットガム。ボクの職場体験先のヒーローだ。
「クイーン、回収終わったぜ」
と、後ろから声を掛けてくる者が1人。浅黒い肌をしたゼノモーフ、グリードだ。ベースは切島鋭児郎。宿主と同じく甲殻を硬質化させる能力を持った、名付けるならハードモーフだろう。
「お、グリード。ご苦労様」
軽く労って、グリードが抱えていたチェストバスターの姿を確認する。
その姿は、ツルリとした体表に帯状のヒレが付き、背中からは細長い紐のような触手が4本生えていると言うもの。
「良いね、完全に期待通りだ。この子は
ドク達と一緒に、世話してあげてね」
この子の宿主は、ファットの知り合いのデンキウナギ君。一目見た瞬間、ビビッと来たんだよねぇ♪
「あいよ、クイーン。じゃあな」
そう言って、グリードはエレゲンを抱えて去って行った。行き先は、ボク達が泊まっているホテルの一室だ。
「いやぁ、にしてもこの人数は羨ましいなぁ。ゼノちゃんらこんだけおったら、数々の検挙がどんだけ楽になったか···」
「確かに、死角からの同時奇襲とか得意だしねぇ。施設奪還ミッションとかなら、そんじょそこらの特殊部隊より強いと思うよ」
―ピコンッ―
「おっ」
ドクからスマホにメッセージが届く。内容は、っと···へぇ、これは···
「肉親喰らい···」
書かれていたのは、ここ最近の目ぼしい敵の情報だ。その中の1つが、ボクの眼を引いた。
肉親喰らい···現在中学3年生で、血縁者の血肉を経口摂取する事で個性を自身にコピー、ストックする能力を持つ。現在、両親を喰い殺して逃走中である···か。
「コイツの能力···アプトム、いやそれだけじゃないね。《近親者の》、か···クククッ、面白い事になりそうだ♪」
問題は、ボクの産み付ける胚がその能力を受け継げるかだ。生物型や物理型は兎も角···いや、そもそもゼノモーフは他者の特質を取り込む事に特化した種族だ。案外、相性は良いのかも知れないな。それに、まず
「取り敢えず、3体は産み付けるか···」
なんて考えながら歩いていると、丁度持っていたライスバーガーを食べ終わった。凄く美味しくてカロリーも申し分無いけど、ちょっと口の中がクドいね。
「ファット~、ちょっとコンビニ行って来て良いですか?」
「おう、行ってら~」
コンビニに入り、ボクの脚は淀み無くドリンクコーナーへ。
「っと、ドクペあんじゃん!流石は都会、堪らないねぇ♪」
大好物である
「おらァ!金を出しやがれ!」
レジに向かおうと振り返った所、その先にはもう1つの大好物が舞い込んでいた。
どうやら腕からブレードを展開出来る男が脅し、店員が構えたポリカーボネートシールドを痩せた男が何らかの個性でひっぺがしたらしい。そして、その後ろには素人の気配全開な新人っぽい大柄な男。合計3人。
腹ごなしに丁度良い。
「おら、ずらかるぞ!」
―ドグッ―
「ゴエッ!?」
「あ、アニキ!?」
まず、ブレードマンに落下加速で肉薄して横腹に拳を1発。
「こンの野郎ッ!」
直ぐ様右手に持った盾で殴り掛かって来る強奪男。だけど、まぁ···
「成ってないよヘタクソ」
―ガゴンッ―
「がッ!?」
ヘタクソ過ぎる。
シールドの横縁を掴み、手首をグリップと盾板本体で巻き込むように捩じ伏せた。
「イデデデデデッ!?」
「ほいっ」―ゴキンッ―
「ギャァァァ!?!?」
そのまま関節を極め、肩を引っこ抜くように脱臼させておく事も忘れない。利き手潰しておけば、素人なんてほぼ戦闘不可能でしょ。
「ひっ、ヒィィィ!?」
「あ?逃げんのかよ腰抜け」
最後に残った
「沈ませ屋さんのファットさん参上!逃がさへんで!」
「おぶぐっ!?」
が、そうは問屋が卸さない。入り口ではファットが通せんぼしており、その腹に突っ込んで分厚い脂肪の中にモリモリと沈んでしまった。
「よし、捕縛完了っと···ちゅーか、アカンやろ背納ちゃん。勝手に
「あー、ごめんなさい。でもこうしなきゃ被害出たかもだし、体術しか使いませんでしたよ」
ま、厳密には《体術以外
「うーん···まぁ、今回はしゃぁないわ。俺も監督不届きとかあったし···せやけど、今後はせぇへんように!俺の許可を取る事!」
「···了解」
正直、中途半端過ぎて物足りない。さっきのは戦闘と言うより、ほぼほぼ暗殺だったし。全くもって、張り合いが無さ過ぎる···あぁ、イライラしてくるなぁ···ん?
「···この臭い···」
「うっ、うぅっ···クソぉ···どいつもコイツも、バカにしやがってェ···」
―カシュッ―
「ッ―――――!」
―ドパンッ―
拘束されつつあった男の股座を、裏拳で打ち上げる。その衝撃で、コイツの手から無針注射器が落ちた。
「クソ、やっぱりヤク中か。忌々しい···」
「ウオォォォォォッ!!」
苦虫を噛み潰すボクを余所にメリメリと筋肥大を続けるヤク中。打ったのは個性を引き上げるブーストドラッグだろうが、この甘だるい体臭···多分
「こ、こらアカン!」
「ファット!戦闘許可を申請ッ!」
「はぁ!?そんな事言うたかて···」
―ガゴォンッ!―
「早くしろォッ!!」
振り下ろされた拳を、前方へのステップで潜り抜けて避ける。その拳は、歩道の石畳を難無く砕き割った。
「えぇいしゃーない!
「承知!アンタは店内で延びてる仲間を拘束しといて!コイツはボクが狩るッ!」
大振りな右の横凪ぎを潜り、胃と腸をウェイヴパンチで打ち抜く。だがそのダメージも、ヤクをキメてハイになったコイツには痛くも痒くも無いらしい。
「おらァ!どうしたガキ!お前のパンチなんざ、痛くも痒くもあらへんわ!」
しまいにゃ自分で言う始末だ。全くもって喧しい。
そんな馬鹿の鼻っ柱に、固めた拳を叩き込む。軟骨を砕く感触がしたが、やはりコイツは動じない。
「くっ、やっぱヤク中は厄介やな」
「いや、そうでも無い」
確保を終えて戻って来たファットの呟きを、ボクは冷静に否定する。
「薬でハイになってる輩は、自分が無敵の巨人になったかのような錯覚を起こす。こうなると、コイツらはほぼほぼ攻撃を避けなくなるんだ」
またワンパターンに振り回される拳撃を、タイミング良く
「おぐぅっ!?」
人体を発狂寸前まで追い込む技、正中線四段突き。それを喰らえば、幾ら痛覚が消えていようと身体は勝手によろめくのだ。
「だから···コイツはもう、終わってるよ」
「あがっ···あがぼあっ···!?」
苦しみ、跪くヤク中。地面をガリガリと引っ掻き、ビクビクと痙攣している。
「自分の鼻血が、何処に流れ込んでいるかも分からないんだろう。ヤクに溺れた輩は、最後は自分の血に溺れるのさ。
カハハハハ、どうだ畜生め。幾ら痛みを忘れたとて、呼吸器に血が流れ込めばみっともなく踞る事しか出来ないだろう?全ての無様醜態を晒したその有り様こそ、1厘の得をも産まない貴様ら害悪には丁度良い」
悪意たっぷりに罵りながら、倒れ伏した畜生の頭を踏みつける。
あぁ、良い気味だ。薬に溺れる屑になんか、生きる価値は無い。百害あって一利無し、食い物を喰らって糞尿を垂れるだけ、潰れた蛙の死骸より厄介だ。
「アカン!デスト・クイーン!それ以上は死んでまう!」
「死んで良いだろうこんな汚染粗大ゴミ。そうだ、このゴミはダーゼルブに焼却処分させよう」
「ええ訳あらへん!こんなんなってしもても人は人や!捕まえなアカンのや!」
「人として扱って貰える権利証を、薬物に安く売り飛ばしたのがコイツだろうッ!」
「それでもやッ!コイツから情報引き出して、クスリを捌いとる奴らも見付けられるかも知れへん!貴重な情報源なんや!」
「···」
情報源、か。それを言われちゃあ、口答えし難いな。
「···分かった」
頭を踏んづけていた足を退け、髪の毛を掴み上げる。そして潰れて変形した鼻の穴に指を突っ込んだ。
―ベキッ―
「オゴッ!?」
砕いた軟骨を、指を曲げる事で無理矢理引っ張る。潰れていた鼻腔が開放され、溜まっていた血がビチャビチャと流れ出した。
これなら、少なくとも溺れ死ぬ事は無いだろう。
「ったく、ムカつく···まぁ、ザンクルス候補を産み付けられただけ良しとするか」
ボクが結成を目指す、ハイパーゼノモーフ五人集。今居るのが、
「ごぶぇ!?」
「キシャァァァッ!」
「おっ、もう産まれたか。随分とまぁ早くなったねぇ」
今さっき産み付けたザンクルス候補が、もう成長して産まれて来た。
やっぱり、女王たるボクのリビドーが増幅した影響かな?しかしどうしよう。後でドクに回収させるつもりだったのに···
「まぁ、仕方無い。この子は自分で面倒見よう」
確か、この近所に業務スーパーがあった筈。スポーツショップもあったし、蛋白質は肉のブロックを、鉄やカルシウムなんかはサプリメントをそれぞれ大量に買い込めば、この子の成長養分ぐらい賄えるだろう。
「···いやそれにしたって人手が要るな。もう良いや、ドク呼ぼ」
スマホを取り出し、LINEで現在地と欲しい人数を送信。流石に500m以上離れたらテレパシーも通らないしね。
《秒で行きます》
「既読も秒でついたな」
にしても、こう言う事が今後増えていくかもなぁ。今スマホ持ってるのはボクにドク、マックス、ウォルターにシュレディンガーだけど···取り敢えず、ゼクトールには持たせようかな。あと大尉にも持たせて良いかも。今度日本に呼び戻そうかな。
「お待たせしました」
「···58秒。ホントに秒で来たね」
無名のウォーリアーを2人引き連れ、ドクが到着した。手早くザンクルスを渡し、駆け付けた救急車で運ばれるヤク中を見遣る。
―――ハハハッ!散々ワガママ言いやがって、何が『注射はイヤ』だよ!結局身体は悦んでるじゃねぇか!―――
「ッ···!」
脳裏に過る、忌々しい過去。腸の底で煮詰まる憎悪を何とか噛み潰して呑み込み、疼いた首筋に爪の先端を走らせる。
強靭な筈の皮膚に、浅くではあるが容易く斬り込む切れ味を持った爪。その傷も、5秒と経たない内に癒着し完治した。
「···グギギン、ゴビゾダギバビ」
「···ガガ、ザギジョグブザ」
「···ゴボドバゼスバ、ザギジョグブバ バゴビパ リゲラゲン」
ドクに言われ、ふとコンビニの窓ガラスを見遣る。其処には、充血した真っ赤な眼と鋭い牙を剥き出した顔が写っていた。
···確かに、大丈夫って顔じゃあ無いな。
「···ありがとう、ドク。もう冷えたよ」
息を吐き出し、脈を鎮める。背中の放熱突起も展開し、籠った熱を外に逃がした。
「あぁ···やはり人間とは、儘ならない」
(NOサイド)
―ボッ ボッ―
部屋の中を縦横無尽に駆け回る、小柄な老人···オールマイトの恩師、グラントリノ。
出久はワンフォーオールの集中力操作により、その姿を常に追い掛け続ける。
(反射が速い···ダブルフェイントを掛けて、背後に意識が向いた瞬間を狙うか···って、思ってるんだろうな)
そんな出久の予想通り、グラントリノは正面から突貫。そのまま蹴ると見せ掛けて、脇に弾道変更。背後に回る。
だが、流石の出久もそれに乗る程お人好しではない。
―ドンッ―
「なっ!?」
床を蹴り、天井に
―ゴウッ―
振り抜かれる、凶器と化した指先。果たしてその先端は、老齢のヒーローを捉え···
「···参りました」
ては、いなかった。
其処にあったのは、仰向けに床に組み伏せられた出久と、その喉に手を掛けるグラントリノの姿。咄嗟に身体を捻ったグラントリノが、出久の手を掴んで引き倒したのだ。
「ったく、とんでもねぇボウズだ。胃袋辺りがヒヤッとしたわい。おい、大丈夫か?」
「えぇ、頭は浮かせて背中のクッションを使ったので。それにしても、彼処から受け流されるとは···流石です」
「フン、初見でフェイント見抜かれた事ぐらい、幾らでもあるわ」
拘束を解除され、けろりとした様子で立ち上がる出久。その仕草からは、特別ダメージを受けたような様子は観られない。
「まさか、ワンフォーオールをそんな風に使いやがるとはな···よし、昼からパトロール行くか!まずは、その為の腹拵えだな!」
そう言って、グラントリノは部屋を出た。頬に出来た浅い傷、其処から滲む血を拭いながら。
「うん、問題無い」
微妙にバージョンアップされたコスチュームの加減を試し、満足げに頷く出久。背中は正中線のアラミド繊維に加え、その下に通気性の良い圧縮特殊ポリマーによる高性能クッションが追加されている。説明書曰く、12m上から生卵を落としても割れない程の衝撃吸収性能を誇るとの事である。
「後は···気になった、
細々とした特殊武装を納めたトレイを持ち上げると、さながら重箱弁当のようにその下から追加装備が姿を表した。
それは、
「えーっと、どれどれ···?」
スクイッド・ギリー&セパレート雨衣
本体の特殊繊維に専用の特殊塗料を希釈塗布する事で、瞬時に着色する事が可能。
目安として、付属の霧吹きに刻まれた目盛りまで水を入れ、其処に黒を1滴でライトグレー、2滴でグレー、3滴でダークグレー。4滴でほぼ黒なグレー、5滴で真っ黒。色のバリエーションは、黒、緑、黄、茶、紺の5色。
乾燥すれば、色混ざりする事無く重ね塗りする事が可能。
普通の水では落ちない為、脱色するには市販の洗濯用洗剤を使う事。
緑谷出久様。誠に勝手ながら、コスチュームの
要望書と体育祭を拝見した所、出久様はタクティカルな仕様を第一に、華美さは切り捨てるスタイルとお見受けしました。なので、実戦に於いて役立てられる物を考えた結果、ギリースーツと雨衣に行き着いた次第で御座います。
ご意見ご不満があれば、下記の電話番号に通達頂ければ幸いです。
今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
「···パーフェクトだ」
小さく呟き、真っ白なギリースーツ···スクイッド・ギリーを取り出す出久。雨衣と同じくセパレート仕様になっているその上衣を取り出し、早速羽織って洗面所の鏡の前に立った。
「良いね。両肩と頭のシルエットが綺麗に隠れているし、フードも額を隠せる。此処にソウルイーターも着ければ、肌色の秘匿はほぼ完璧かな···ん、コレは···使えるね。粋な気配りだ、ブラックスミス」
ギリーの内ポケットの内容物に顔を綻ばせ、再び鏡の自分と向き合う。
「···待っててね、ジュン君、サブ君。ヒーロー殺しは···必ず、狩るから」
そう呟いた出久の眼は、何時もよりも更に鋭く、吊り上がっていた。
to be continued・・・
~キャラクター紹介~
触出背納
情緒不安定になった化物主人公。
ファットガムの元で職場体験中、かなりの収穫を得た。
コードネームは《デスト・クイーン》。デストラクションのデストであり、《破壊》と共に《憂さ晴らし》を意味する同音異義語があるので、背納にはピッタリである。
コンビニに備え付けられていたポリカーボネート製のシールドについては、稲川先生の発言から着想を獲た設定。
最近、産み付けたチェストバスターの成長速度がとんでもなく早くなっている。
因みに、今回チラリと挟んだ回想は背納のトラウマ。いつかこのトラウマの原因となったとある事件が、別地点で収束した場合のifを書く予定。
ヤク中とのバトルシーンは、《任侠転生―異世界のヤクザ姫―》と言う漫画から。
緑谷出久
新しいコスチュームにご満悦な現代忍者。
グラントリノ相手に良いとこまで行ったは行ったものの、やはり年の功は覆せなかった。
早くもファンが出来始めている模様。その中にヒーローアイテム職人がいた。原作でも勝手にコス弄られてるし、これぐらい良いよね。
そして、最後に溢した不穏な台詞。果たして其処に込められた意味とは···
轟君を轟ちゃんにするの、ぶっちゃけアリ?
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アリ。やっちまえ。
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流石に自重しろバカ。ダメに決まってんだろ
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まずは薔薇を咲かせてからだ。