「愛想つかされたか?」
『感想が欲しいゾイ』
「ならまず暴走癖直そうか」
(背納サイド)
「さぁて、行こうか砂藤君」
「おうよ!」
砂藤君を連れて、訓練用のビルに歩き出す。
出久のRE:BORN式戦闘を見て、かなり血が騒ぎ始めていた。相手は三奈ちゃんとヘソビーム君か・・・
「砲兵が欲しかったし、丁度良いかな」
さて、どうやら僕らは敵チーム。ならば精々、敵らしく振る舞ってみようかな♪
でも、出久の
―――
――
―
(出久サイド)
『スタート!』
オールマイトの合図と共に、せっちゃんと砂藤君はそれぞれ別々に動き出す。
核は最上階である4階、階段から一番遠い西側の部屋に置かれており、せっちゃんはその部屋から通気ダクトに侵入。砂藤君は階段を駆け下り、まっすぐ入り口に向かった。
「ねぇマッちゃん。さっきせっちゃんが砂藤君にやってたあれって、もしかしなくても・・・」
「あぁ、恐らくアレでしょうな」
僕とマッちゃんの会話に、皆はハテナを浮かべる。
「あの、緑谷さん。アレ、とは?」
「うーん、言っちゃって良いのかなぁ・・・」
八百万さんからの質問だが、果たしてどう答えるべきか・・・
「母上、そこはもうクイーンが戻ってから説明しようじゃないか」
「そうだね。後で説明するから待ってて」
そう言うと、八百万さんはあっさり引き下がってくれた。
「さてと、此処からせっちゃんはどうするのかな・・・」
(背納サイド)
「オラアァァァァァァッ!!」
「おぉ、やってるやってる」
ダクトの中からピット器官で下の様子を探ると、でっかい熱源がちょい小柄な熱源を追い回していた。
「催眠も完璧。じゃあ、此方も此方で済ませますか」
砂藤君の役目は、相手チームの分断。ボクはビーム君に用があったので、相方を引き剥がし追い回して貰っているのだ。
「お、見付けた」
どうやら彼は、まんまと分断されたらしい。でも、一応任務を遂行すべく部屋を手当たり次第探ってるみたいだ。
―バガンッ―
「ひっ!?」
ダクトを蹴破り、廊下に降り立つ。
「へぇ。君、結構情けない声で鳴くんだねぇ」
「くっ、ふぅんっ☆」
歩み寄るボクに対してビームを撃ってくるが、ボクは壁に跳び移って回避。そして一気に詰め寄り、口にインナーマウスを突っ込んだ。
―ゴクッ―
有無を言わさず、胚を産み付ける。
後は確保テープで手足を縛り上げれば再起不能だ。
「さて、三奈ちゃんもちゃっちゃと終わらせよう」
(NOサイド)
「ウガァァァァァ!!」
「うひゃぁぁぁぁぁ!?」
青山が戦闘不能になったその頃、芦戸は糖分を過剰摂取した砂藤に追い掛け回されていた。
「クラスメイトに酸ぶっ掛ける訳にもいかないし~!あーもう!背納ちゃん何処だ~!」
―パキンッ―
「呼んだ?」
「うわっ!?」
突如としてフィンガースナップの音と共に現れた背納に、芦戸は驚き声を上げる。
暴走していた砂藤も、何故か急激に大人しくなった。
「あ、アハハ、流石にヤバイかも・・・」
口元を引き攣らせながら、後退りする芦戸。
「あのビーム君は、ボクが直々に始末した。三奈ちゃんも、そうしてあげるよ」
顔の横で尾槍を上下にゆったりと揺らす背納に警戒し、芦戸はファイティングポーズを構えた。
「フフフッ♪」
すると背納は徐にコンピューターガントレットを開き、タッチパネルを操作する。
「な、何・・・?」
「三奈ちゃん・・・何故、君はそこにいるんだい?」
「えっ?」
場違いな質問に、芦戸は思わず呆けてしまった。
「何故、君は戦うの・・・?
何故、君はヒーローを志すの・・・?」
―何故・・・―
―何故・・・―
―何故・・・―
―何故・・・―
―何故・・・―
その言葉が、廊下に無限に木霊する。背納は尾槍を変わらず揺らし続け、問い掛け続けている。
「ぁ・・・ぅ・・・」
すると芦戸は無気力になり、膝をついて俯いてしまった。その眼は虚ろになり、何ら意思など見出だせない。
そして背納は確保テープを巻き付け、芦戸を捕獲した。
『敵チーム!WIN!』
「フフ、こういうシチュエーションなら、ボクの独壇場だよ♪」
―バンッ!!―
「ハッ!?」「んぁっ!?」
オールマイトの放送を確認して、背納は掌を強く叩き合わせ猫騙しをする。その音で、砂藤と芦戸も意識を取り戻した。
「さ、戻ろ♪砂藤君は、ビーム君を回収してね」
―――
――
―
(出久サイド)
「今回の分析だが・・・取り敢えず、緑谷少年。まずは解説を頼むよ」
「分かりました」
オールマイトに指名され、僕は皆の前に出る。
「まず、せっちゃんが砂藤君に施したもの。あれは単純な暗示による催眠術の一種です。声の波長、指の動き、皮膚への刺激等の信号を組み合わせ、他者に簡単な命令を入力出来ます」
「最も、それなりに時間がかかるし、大きな破裂音の類いで解けてしまうから、戦闘時にはあまり役に立たないがね」
僕の説明にマッちゃんが補足を入れてくれた。
「せっちゃんのクロムウェルも、封印している身体能力を段階的に解放する自己催眠ですからね。
次に、せっちゃんが芦戸さんに掛けた催眠。多分、《何故》、《何故》って何度も問い掛けたんじゃないかな?」
「そうそう!なぜ~、なぁ~ぜ~、って・・・そしたら、何かぼ~っとしてきちゃって・・・」
顔を顰めてう~んと唸る芦戸。抵抗も出来ずすんなりと手玉にとられたのが度し難く悔しい上、どんな原理かも分からないらしい。
「あれはファントム・コンフュージョン。何度も同じ言葉を投げ掛ける事によってゲシュタルト崩壊を引き起こし、ユラユラと柔らかく揺れる尻尾の動きから脱力の暗示を刷り込んで無気力化させる催眠術だよ。
さっき、準備段階でせっちゃんが廊下の各所に投げていた物。あれは多分、コンピューターガントレットから受け取った音声データを再生する小型スピーカーなんじゃないかな?」
せっちゃんは砂藤君に催眠を掛けた後、ビルの1階の廊下に何かを沢山くっ付けていた。せっちゃんのファントム・コンフュージョンは、ゲシュタルト崩壊が肝心。反響音のように絶妙に被せた声を当てれば、それはスルリと脳内に入り込む。
「アハハ、流石は出久だね。正解!
厳密には、あれは通信機能付きの発信器だよ」
せっちゃんは楽しそうに笑い、尻尾を鞭のように波打たせた。
「まぁ、これも1対1でしか使えないし、ちょっとした刺激で覚めちゃうんだけどね」
「逆に、あぁいう閉鎖空間で単一の敵と戦う時には重宝するよ~♪
あ、因みにビーム君みたいな身体の一部が武器になってるタイプなら、側にいれば撃たせることも出来るね」
そう言い、にっぱりと笑って見せる。
何時も思うけど、せっちゃんは怖い。何が怖いって、こういう日常でも戦ってる時でも全く同じ笑顔を浮かべる所が・・・まぁ、闘争モードのメーターが振り切れたらもっとヤバイ笑い方になるんだけど・・・
「そう言えば、さっき青山君に胚を産み付けてたよね」
「うん。砲兵が欲しかったからね」
確かに、せっちゃんの
「問題は、発射口が何処になるかだよねぇ。響香ちゃんのイヤホンジャックが、ゼノになると下腕から出てたし」
あー、そうなんだ・・・
「うっ!?」
突然、大人しかった青山君が呻き声を上げる。同時に、彼の腹からゴロゴロと音がし始めた。
「青山少年!?」
「へぇ、もう孵ったのか。結構早いね」
せっちゃんは口角を吊り上げ、のたうち回る青山君を押さえ付ける。
「さぁ、新しい親衛隊員の誕生だ!」
「うぅ・・・グボァ!?」
「キシャァァァァ!!」
胃から口まで上ってきた子供・・・チェストバスターならぬサファゲスクライマーを吐き出しながら、ビクビクと痙攣して白眼を剥く青山君。
それを見て雄英の苗床組は顔を青く・・・ってアレェ?女子組は何か赤面してる?八百万さんに至っては眼にハート写ってない?
さてはせっちゃん、女子組は自分好みだから印象操作の催眠掛けながら植え付けたな・・・となると、男子は好みじゃなかった訳か。
酷い依怙贔屓もあったもんだ。あぁ、でもまぁこの社会じゃ良くある事か・・・
「ちょっと出久?そんなドブの底のヘドロみたいに眼ぇ淀ませて、どうしたの?」
「ううん、ちょっとこのクソみたいな社会のゴミみたいな本質の風刺を垣間見た気がしただけだよ」
「この社会がクソったれなのは何時もの事じゃん。
はいマックス、この子のお世話お願いね?」
「仰せのままにBOSS」
サファゲスクライマーを抱え、マッちゃんが退出した。あの子がどうなるか楽しみだなぁ。
「青山君は休ませておくとして、次のチームと行きましょう。オールマイト?」
「え、あぁうん。じゃぁ、次いこうか」
多少ギクシャクしながらも、オールマイトが取り仕切る。
そしてそのまま、この戦闘訓練は続いて行った。
to be continued・・・
~キャラクター紹介~
触出背納
化物主人公。
RE:BORNのファントムが使っていた催眠洗脳をアレンジして習得したヤベーやつ。好きな相手には苦しまないよう印象操作を行うが、好みじゃなければ割とテキトーという結構自分勝手さ。
緑谷出久
闇深系魔改造原作主人公。精神状態は今の所、母性たっぷりのママモード、冷徹無慈悲な戦闘者モード、皮肉っぽく嘲笑する闇モードの3つ。ママモードと戦闘者モードは自己暗示で切り替えられる。
この社会のクソったれさに対し、最早人間はそう言うものなんだと諦め受け流している。
因みに何度か催眠を掛けられているので、少し耐性がある。