捕食少女の闘争アカデミア   作:エターナルドーパント

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『今回のは、前回と同じタイミングの出久サイド、そしてUSJ編のラストになりまーす』
「さてさて、どんな戦いを展開するか見物だなぁ」
『それではどうぞ!』


第9話 少年の戦場

(出久サイド)

 

地面が消え、視界が一瞬暗転。次いで再び光が戻り、思わず眼を細める。

 

―ドボンッ―

 

「ガボバッ!?(水ッ!?)」

その一瞬で、僕は水の中に落っこちた。眼を開けてみると、到底底が見えない・・・10mや20mじゃ利かない深さと、その中を猛スピードで泳ぎ回る敵達が・・・

「獲物来たぜェ!!」

「ヒャッハー!!」

鮫型とピラニア型が、僕目掛けて突貫してくる。鋭い牙とヒレで、僕を切り刻むつもりだろう。

「ボゴゴゴゴゴゴッ」

焦らず、落ち着く。そして深く、深く息を吐き出す。右腕を大きく引き、ワンフォーオールを薄く纏った。

「ボハッ」

肩甲骨で波を起こし、そこにワンフォーオールの出力を乗せて拳に伝達。思いッ切り、拳を突き出す。

 

――――波拳剛撃(ウェイヴィング・スマッシュ)

 

内側に捻り込むコークスクリューブローは、前方の水を瞬時に圧縮してプラズマ化。圧力で水が沸騰し、水流の中で瞬時に無数の泡が発生と消滅を繰り返して衝撃波と共に敵を吹き飛ばした。

その激流に巻き込まれないよう、脚で水を強く踏みつけて水面へ跳躍。空中に飛び出す。

「緑谷ちゃん!此方よ!」

と、下から梅雨ちゃんの声。視界に映せば、難破船をモデルにした実演場の上で此方だと手を振る梅雨ちゃんと峰田君の姿があった。

 

―ボッ―

 

再び脚にワンフォーオールを溜め、今度は空気を踏み締めて蹴り抜く。僕の身体は急加速し、受け身を取りつつ船の上に着地した。

「ッシ・・・梅雨ちゃん、峰田君、無事だね?」

「えぇ、何とか・・・でもまずいわ。完全に囲まれちゃってる。逃げ場が無いわよ」

「どぉすんだよ緑谷ァ!!助けてくれよぉ!!」

ギャイギャイと騒ぎまくる峰田君を余所に、僕は周囲の状況を確認。

水面に顔を出している敵は、少なく見積もっても30人強。更にあの水中の様子だと、水面組と同程度、もしくはそれ以上の数が潜っているかもしれない。

「少なくとも、二個小隊、もしくは三個小隊程度の人数を始末しなきゃいけない訳か・・・」

「小隊?軍事用語かしら?」

「一個小隊が大体30~60人。この場合、多く見積もると90人以上が相手って事だ」

「ハァァ!?」

あーあ、また峰田君がパニック起こそうとしてる。

「勝てっこねぇよ・・・オイラ達、ついこの間まで中学生だったんだぜ!?イヤだぁ!!オイラ達は此処で死ぬんだぁ!!」

「死ぬのは良いが勝手に僕等まで殺すなよ。良いか?此処はもう戦場。放り込まれた以上、勝つか死ぬか(WINE or DIE)だ。

今すぐ腹を括るか、それとも首を括るか選べ玉無し野郎」

言葉の圧で峰田を黙らせ、再び周囲を見渡し思考を巡らせる。

どうやら敵は、さっきのウェイヴィング・スマッシュで警戒心を研ぎ澄ませているようだ。さっきのような、水中でのウェイヴィング・スマッシュはもう無理だろう。

だが、おかしな点がある。奴等は全員水中特化型だ。だったら普通、同じく水中特化型の梅雨ちゃんを此処に送らない。僕なら梅雨ちゃんを火災ゾーンに送るし、逆に此方には切島君や障子君を放り込む。

なら何故そうなっていないか。

至極単純。相手がその最適解に至っていないから、当てずっぽうで適当に放り込んだのだろう。つまり、個性を把握していない訳だ。だったら、幾らでもやり様はある。

「よし、僕が奴等を始末する。梅雨ちゃんの脚力は、あの岸まで届くかな?」

「・・・峰田ちゃんを抱えてても、行けない事は無いと思うわ。でも緑谷ちゃん、危険じゃないの?」

「危険じゃない戦闘なんて無い。戦闘は危険で当たり前だ。この程度は妥協しなくちゃ」

「・・・強いのね、緑谷ちゃんは」

「強くなきゃ、せっちゃんとバディなんて組めないさ。

さて、どうやらあの雑魚共もお預けはまっぴららしい。早急に決める」

ソウルイーターに手を当てて深く息を吐きながら、ワンフォーオールを全身に纏う。

血管を巡って筋肉を伝い、骨を走る濃縮された身体能力。呼吸と共に出力のギアを上げ、遂に目標値に到達した。

「僕の合図で、岸まで跳躍してくれ。それだけで良い」

「・・・分かったわ。でも緑谷ちゃん、無理はしないでね?」

「無茶はするけど無理はしないから安心して」

梅雨ちゃんにそう答え、僕は一気に跳ぶ。目指すは、この巨大な人口湖の中心。

「オイオイ、何か飛んできやがったぜ?」

「気を付けろ、さっきの大渦の奴かもしれん」

チッ、勘の良い敵は嫌いだね。

 

「今だッ!!跳べッ!!」

 

合図を出すと同時に、膝を身体に引き寄せる。そして足先が水に触れる瞬間・・・

 

―ボゴガオッッッ!!―

 

両足を同時に水面に叩き付けた。そのストンプキックは衝撃波を発生させ、水を大きく押し退ける。

水面から跳ね返って来た衝撃に乗り、僕は直ぐ様上空に離脱。下は大津波からの大渦巻きに巻き込まれ、巨大な洗濯機の中で有象無象共があっぷあっぷしていた。

更に、梅雨ちゃんの方に向かう津波は陽月剣(シャイニング)を振るって放った衝撃波で切り裂く。

後は、受け身を取って体勢を建て直すだけだ。

「す、すげェ・・・」

「あの洗濯機が止まる頃には、あいつ等全員三半規管が職務放棄してるよ。

さぁ、行こう。中央広場で先生が戦っている筈だ」

言うと同時に膝を抜き、重心を落下させて駆け出した。周囲に細心の注意を払いながら、なるべく木の根を踏んで足音を消しつつ走る。

幸運にも、道中に敵は居なかった。だが、中央広場では・・・

 

―ゴキゴキッ メシャッ―

 

「ぐッ・・・うぅ・・・」

相澤先生が、脳味噌丸出しの真っ黒肌な大男に腕をへし折られていた。

「ッ!!」

 

―ガンガンッ―

 

撒菱指弾を大男に不意討ちで撃ち込む。放ったマキビシは背中に突き刺さったが、大男はまるで何も感じていないかのように無反応だ。

(ノーリアクション!?バカな・・・普通カプサイシンを傷口に練り込まれたら、激痛でのたうち回るはずなのに・・・まさか、痛覚が無い?)

「あぁ?もう帰ってきたのかよ」

聞こえた声の方を振り返ると、身体中に人の手をくっ付けた痩せ形の男が居た。最初、黒霧って奴の隣に居た奴だ。恐らくこの群れのリーダー・・・

 

―ドガンッ―

 

「・・・オイオイ、危ねぇなぁ?」

「チッ」

撒菱指弾をリーダーであろう男に放ったが、大男が一瞬で割り込み胸で受け止めてしまった。何て瞬発力だ・・・だが、幸運な事に心臓の真上に刺さったらしい。

「梅雨ちゃん、相澤先生を。僕は時間を稼ぐ」

「緑谷ちゃん!流石に無茶よッ!!」

梅雨ちゃんの忠告を聞きながら、大男の前に立つ。手に持っていた陽月剣をガンプレイの用に風を切って回し、正中線の前で泳がせるように構えた。

「プッ、ハッハハハハハ!お前が脳無を相手にする気か?アッハハハハ!まぁ良いさ!出来るだけやってみろよ!

ソイツは対オールマイト用に造られた特性のサンドバッグ人間だ!お前に倒せる相手じゃねぇよ!」

「何だ、ワンオフものなのかソイツ。だったらどうとでもなる」

「・・・脳無、殺せ」

鼻で嗤った僕に青筋を立て、リーダーは大男・・・脳無に指示を飛ばす。そして脳無はそれを認識すると同時に、僕に向かって拳を振りかぶった。

「脳筋相手しか想定してないね」

膝を抜いて体を落下、脳無の懐に潜り込む。そして開かれた大股を潜り、同時に左の拳を股座に叩き込んだ。

 

―ぶよんっ―

 

「ッ!?」

おおよそ生殖器を叩いたとは思えない手応えが返ってくる。右足を地面に擦って姿勢を建て直すと、脳無は何とも無さげに此方を振り返った。

「成る程、造られた生物兵器なら、弱点にしかならない生殖器なんて切り取ってるか」

金的は使えない。しかも、今の柔いゴムを打ったような感触・・・打撃特化のオールマイトを殺すには、成る程、理にかなってる。

「シャラァァァッ!!」

「ッ!?」

突如、何の前触れも無く林の中から何かが飛び出し、脳無に蹴りを入れる。その唸り声には、聞き覚えがあった。

「せっちゃん!」

「シィィ・・・殺るよ、出久」

「んっ!」

脳無の肩を足場に僕の側に着地したせっちゃんは、尻尾を揺らしてレイザーディスクを構える。

僕も、バディ戦で扱う事を前提とした陰陽満月刃(ブレイカー)に持ち替えた。僕が左で、せっちゃんは右。どちらからとも無く腕を上げ、裏拳同士をぶつけ合わせた。バディ戦用のルーティーンだ。

 

―ゴウッ―

 

脳無のパンチ。右の大振りストレート。狙いは僕。

肩甲骨ウェイヴのステップで小さく躱し、手首の内側に陰陽満月刃(ブレイカー)のバックエッジを引っ掛ける。

同時にせっちゃんは両手でウェイヴを掛けつつ脳無の肘に上からレイザーディスクの刃を突き立て、そのまま自分の方に引き寄せた。タイミングを合わせつつ、僕もバックエッジからフロントエッジに引っ掛け直して手首に引き下ろすウェイヴを掛ける。

 

―ボギャッ―

 

肘関節を逆向きに曲げて完全に破壊。更に其処から脇、肋骨、股関節を順に薙いだ。せっちゃんは脇腹を切り裂き、折り返して太股、そのまま体幹を軸に回転して肩を抉る。

この間、コンマ8秒。

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

「何!?」

しかし、このバディ戦術の攻撃を諸に受けても脳無は止まらない。無事な左腕で、せっちゃんに大薙ぎの裏拳を繰り出す。

無論、そんな考え無しの攻撃は当たらない。だが2人で脳無に向き直った時、僕達は一瞬絶句した。

 

―グチュグチュグチュッ―

 

へし折った腕と、抉られた傷。それらが全て、グロテスクな音を発てながら再生したのだ。

「ハハハハハ!個性が1つだけだと思ったかぁ?ざーんねん!ショック吸収と超再生!最高のサンドバッグ人間だって言っただろォ?」

再生能力者(リジェネレーター)・・・!」

「成る程。人間が材料なだけの生物兵器、しかも中々死なないか。せっちゃん、動かなくなるまで殺し続けよう」

「元よりそのつもりだよ」

「だよねぇ」

再び意思の統一を済ませ、僕等は再び駆け出す。脳無はラッシュで応戦してくるが、やはり早くて重いだけだ。何の捻りも有りはしない。

僕は姿勢を落として躱し、逆にせっちゃんは飛び上がった。

視線は自ずとせっちゃんに集中し、其方に向けて拳を構える。僕は地面に左手を着き、全体重とワンフォーオールのパワーを乗せた右足で足払いを掛けた。

グラリと傾き、盛大にパンチを外す脳無。せっちゃんはその腕に着地し、そのまま頭を太股で挟み込んで後ろに倒し頭から叩き付けた。フランケンシュタイナーというプロレス技だ。

地面に突き刺さりめり込んだ脳無の頭。其処から身体がせっちゃんの上に落ちそうだったので、取り敢えず全力で尾底骨を蹴り上げてやる。そして陰陽満月刃(ブレイカー)を無防備な右脇に突き立て、毛細血管を抉った。

せっちゃんは尻尾で背骨を穿ち、更に抉り込んでいる。それに倣い、僕も肋骨や脇腹、上腕等を滅多刺しにする事にした。

しかしコイツ、生物の癖に血が出ない。失血ショックによる機能停止は狙えないか。

「おい何やってる脳無!さっさとソイツ等殺せッ!!」

「ア゙ッハッハッハッハッハッハッ!」

敵リーダーの命令に、歪な笑い声を上げて答える脳無。すると脊髄を断った筈なのに、脚を大きく回してきた。

「これでも効かない?ったく、化け物の相手は1人分で十分だよ」

「ちょっとヒドイよ出久、あんなガラクタと比べたらボクに失礼でしょ?一緒にしないで」

「それもそうか」

互いに軽口を叩き合いつつ、陰月刀(ダークネス)を取り出し左手に構える。

「ッシィ!!」

「シュッー!」

脳無が放つ、滝のようなラッシュ。それに対し、僕等は相討ち覚悟の捨て身で飛び込む。自分の得意とする《心眼・後の先》*1を展開し、角度と向きを見切って流す。

「足に杭打ち、マキビシにウェイヴ!」

「ヤー!」

脳無がガバッと腕を広げホールドを仕掛けてくるが、それは寧ろ願ったり叶ったり。2人で同時にしゃがんで避け、僕はダークネスを、せっちゃんはリストブレイドをそれぞれ左右の足の甲に突き立て、刃を切り離して縫い付けた。

「アガッ!?」

バランスが取れず、混乱する脳無。その股下をせっちゃんが潜ると同時に、僕は陰陽満月刃(ブレイカー)を構えた右腕を大きく引く。

 

GHOST(ゴースト)ッ!!」

ABYSS(アビス)ッ!!」

 

―ボゴッ ドゴゴンッ―

 

「「表裏双波拳(ツインウェイヴパンチ)!!」」

 

そして下からワンフォーオールを乗せたデコピンで腕を弾き上げ、胸に刺さったままのマキビシに玉鋼製のフィンガーリングでウェイヴパンチを叩き込んだ。

同時に、背中側からも力の波が拳に伝わってくる。せっちゃんのウェイヴパンチだ。

幾らショックが吸収出来ようが、内部中枢に直接衝撃を流し込めば身体はパニクる。その一瞬の硬直で、僕等の手は脳無の命を掴んだ。

僕が脳無の後頭部に、せっちゃんは後ろから顎に手を掛ける。そのままそれぞれ引きのウェイヴを掛け・・・

 

「「双波首捻壊(ツインウェイヴ・ネックツイスター)」」

 

 

―ゴキンッ―

 

首の骨を捩り折った。

脳無の首は反転し、ウルトラマンティガのガタノゾーアみたいな状態だ。

「おーい、お前らご自慢の対平和の象徴(アンチオールマイト)秘密兵器(リーサルウェポン)君がヘバっちまったぞ」

「・・・はぁ?」

向こうも想定外らしい。まぁ、これが想定内なら怖いってもんだが。

「何で・・・何で死んでんだよ脳無ッ!オールマイトにも勝てるんじゃ無かったのかよッ!?」

「確かに、脳筋なオールマイトになら良い勝負出来たかもね。でも残念。ボク達はオールマイトじゃない」

「7年間、擬似的と言えどお互いに本気で殺し合って来た僕等が相手じゃ、単純な物理攻撃しか出来ないその脳筋ではとてもじゃないが白星は上がらないよ」

僕等が答えると、敵のリーダーは癇癪のように首筋を掻き毟り始めた。

「ん・・・どうやら、ボクのファーストズーグも戻って来たみたいだ。外からも応援の反応がある」

コメカミに指を当て、ゼノモーフからの生体通信を受け取るせっちゃん。少し耳を傾ければ、後ろからチンピラ共の悲鳴が耐えず聞こえてくる。多分直属親衛隊の皆が見敵必殺(サーチ&デストロイ)してるんだろう。

「だァ~クソ、何だよアイツ等。チートじゃねぇかよ・・・帰るぞ、黒霧。ゲームオーバーだ」

「賢明です、死柄木弔」

「あなたは賢明じゃないけどね、黒霧さん?」

「シガラキ トムラ、憶えた。今夜日記に書こう」

せっちゃんはジョークを飛ばせる程余裕らしい。カールトン・ドレイクのネタかな?

なんて事をしてる内に、奴等は消えた。負け惜しみすら言わなかったか。

 

―――――

――――

―――

――

 

(背納サイド)

 

(マズい・・・)

敵は倒した。ギリギリ殺してもいない。まぁ一生シモ関係とはオサラバな身体にしてやったけど、所詮レイプ魔だから大丈夫。レイプマシスベシ・・・

あの脳無とか言うのも、あれでギリギリ生きてるらしい。

何がマズいかと言えば、闘争本能で無理矢理抑え付けてたジャコウネコの媚薬作用が復活し始めた事だ。

(クソ・・・伊達に淫魔の麝香(サキュバスマスク)なんて名前じゃないか・・・)

「クイーン、大丈夫ですかな?」

「じゃない・・・」

顔を覗き込んでくるマックスに短く返し、木にもたれ掛かって座り込む。

ドクは、カニとタコに植え付けた子供の回収に行ってくれた。残りの雑魚共も、急行したオールマイトが残らず始末したみたいだ。

「えっと、大丈夫?触出」

「立てますか?」

響香ちゃんとモモちゃんが、心配げに覗き込んでくる。

(あ・・・ヤバイ・・・頭、ボ~っとしてきた・・・)

媚薬のせいか、段々思考力まで奪われてきてる・・・駄目だ。レイプ魔にだけはなっちゃ駄目だ。ボクは化物だ。あんなケダモノじゃない・・・

 

「フム・・・八百万君、耳郎君、クイーンの介抱を頼みたいのだが、宜しいかな?」

「は、はい!私に出来る事ならなんでもいたしますわ!」

「ウチも、まぁ友達だしね」

 

両側から肩を借り、ふらつきながらも立ち上がる。モモちゃんが何かしてるけど・・・何も、分からない・・・

 

(マックスサイド)

 

「いやはや、まさかオフロードバイクを2台も創れる程の余力があったとは。八百万君は実に優秀な資材要員だ」

「お誉めいただき光栄ですわ」

校門前。私は八百万君が創ったオフロードバイクでクイーンを運んで来た。因みに服まで創って貰えたので、クイーンは既に着替えさせている。

彼女等は2人乗りで着いて来たが、残念ながら雄英の私有地は此処まで。此処からは歩いて運ばねば。

「さて、クイーンの現状を説明しておこう。

彼女は今、敵から受けた能力の影響で苦しんでいる」

「毒物の類い、と言う事ですか?ならば早く病院に搬送した方が良いのでは?」

やはり、八百万君では発想出来ないか。まぁ仕方無いな。

「いや、毒ではない。寧ろ、病院に預ける事が出来る毒ならば幾分かマシだった。

だがこれは違う。もっとデリケートな問題なのだよ」

「・・・じゃあ、どういう状態なの?」

「媚薬だ」

「「・・・え?」」

2人ともポカンとフリーズする。

「媚薬により強制的に発情させられているのだよ」

私が説明すると、時間差で理解したのか2人の顔が段々と赤らんでいく。両方ともまだ処女だろうから、仕方無いっちゃ仕方無いが。

「え、じゃあ介抱って・・・」

「・・・お察しの通り、と行っておこう」

私の答えに、耳郎君の顔がボンッと真っ赤になった。

「イヤイヤイヤ!な、何で!?何でウチ等が!?」

「そうですわ!そんな、ふしだらな・・・」

ふむ、まぁ一度拒絶されるのは想定内。

「済まない。だが、君達にしか頼めないのだよ。

クイーンは、見ず知らずの者に身体を、特にデリケートな部分を触られる事がトラウマでね。その上、全身凶器の我々が慰める訳にも行かない。

勿論、強要する気は更々無いよ。だが・・・クイーンを頼める相手が、他にいるかどうか・・・」

少し大袈裟に、右手で頭を抱える。少し様子を見てみると、ドギマギしつつも悩んでいるようだ。

「クイーンが純粋な女性なら、母上に頼めたのだが・・・生憎、クイーンの身体は特殊でね」

「・・・その、特殊、とは?」

「悪いが、やたらめったら教えられるものじゃないのだよ。君だって、身内が他人に自分の体重やらウェストサイズやらを暴露したら怒るだろう。それと同じだ。

さて、どうする?」

「んぅう・・・ハァ・・・ハァ・・・」

都合良く、クイーンが苦し気に呻いてくれた。それを見て、2人の雰囲気から読み取れる感情が段々と此方に傾いてくる。

「・・・そのままだと、触出は辛いんだよね?」

「あぁ。腹の中で、煮え湯が逆巻いているような感覚だろうな」

「・・・分かった。他の連中に出来ないなら、ウチはやるよ」

「・・・では、私も。1人に任せっきりにするのはどうかと思いますし、何よりお友達ですもの」

2人の声色には、明らかに保護欲が滲んでいた。

べらぼうに強かった味方が一転、目の前で弱りきっている・・・そのギャップが、母性本能を刺激したのだろう。

「では、クイーンの手を握って差し上げなさい。そして、そのまま私に着いて来るんだ」

私の言葉通り、2人はクイーンに手を貸して着いてくる。

八百万百、そして耳郎響香。この少女達には、クイーンの()()になって貰おうじゃないか。

 

to be continued・・・

*1
後の先・・・敵の攻撃を誘い、ギリギリで捌き躱してカウンターで仕留める戦法。出久はこれを得意としている。




~キャラクター紹介~

触出背納
化物主人公。
出久と共に脳無を撃破したが、その後痩せ我慢の限界が来て行動不能に。
出久との連携は、長年殺し合いレベルの実戦組み手をしてきた信頼故のスキル。
バディ戦シーンは、映画RE:BORNでファントムが回想したゴースト&アビスのコンビキルシーンを参考に書いた。

緑谷出久
現代忍者デク。
ワンフォーオールをほぼ完全に使いこなしているが、出力はそこまで引き出せない(と言っても10%までならノーダメージで連発出来る)。
マキビシにより体内へと直接攻撃を届けるという飛んでもない戦術を編み出し使用。しかもこれ偶然でも何でもなく、元からこういう運用方として設計している。
このマキビシは三角錐から銛が飛び出す仕組みになっており、パンチで叩き込むと傷口を裂き拡げつつ銛の返しで抜けないようになっており、更に特濃カプサイシンが擦り込まれると言う地獄のような武器である。

脳無
首を捻り折られて頭が上下反転したけど、私は元気です。
正直可哀想になるぐらい相性が悪かった。出久や背納の心眼・後の先によるカウンターを諸に喰らいまくった結果がこれ。

死柄木弔
見せ場全部完全に潰された坊や。
敗因は、子供2人がウェイヴマスター級零距離戦闘者(ゼロレンジソルジャー)だった事。そして何より、ソイツ等の人体破壊への躊躇が無さ過ぎた事。


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