無事に初任務を終えた日の夜、僕が食堂で皆に心配をかけたお詫びとして、ピザとミートソース、カルボナーラを作り、それを皆で食べていた。
「今回は時間があんまりなかったから、簡単にしか作れなかったけど、量はそれなりに作ったから、お代わりも自由にしてね」
「こんなに美味しく作ってあるのに簡単に作ったなんて、明久君って本当に凄いよね」
「全くや。私もそれなりに料理には自信あったけど、アキ君の料理はちょっと次元が違うわ」
なのはとはやても、美味しそうに食べてくれている。
今日の事件の事は二人とも許してくれたから、そんなに心配してなかったけど、あんなに怒らせた相手に料理を振る舞うのは、流石に凄い緊張するものだ。
二人が根に持つタイプじゃなくて本当に良かった。
まぁ、二度目はないって、凄い真顔で釘を刺されたんだけど‥‥‥
僕がしっかりしてれば何も問題ないはず!
‥‥‥できるかな?
僕は自分のことが異様に信じられなくて、余計な事を考えていると、フェイトが僕に関する話しを持ち出してくる。
「明久、今日、扇風月が言ってた事、皆に話すよ? 結構大事な話しだったし」
フェイトの言う、扇の言っていた事って言うのはドラゴンと会話ができるって話しの事だろう。
「あ、うん。そうだね。お願いフェイト」
僕の話しなんだから、僕が説明する方がいいんだろうけど、生憎と僕は上手く皆に話せる自信がない。
皆が正しく理解するにはフェイトから話しを聞く方が良いだろうと思い、僕はフェイトに扇が教えてくれた話を皆に説明してもらう。
説明を聞き終えた後の皆のリアクションは
「え? ドラゴンと会話なんてできるん?」
「というか、伝承じゃ元龍は皆死んでる事になってるよね? 現存するのは、明久君みたいな元龍の子孫だけなんじゃなかったの? 会話するってどうやって?」
といった感じの疑問的な物だった。
「これは私の仮説でしかないけど、明久が自分の精神の中に入れれば、そこにドラゴンがいるんだと思う」
「え? 精神の中に? どうやって?」
「そ、それは分からないけど‥‥‥」
要するに、やり方は分からないけど自分の精神の中に入らないといけないわけだ。
‥‥‥マジでどうやって?
こんな事なら扇にもっと詳しく聞いておけば良かった‥‥‥
僕等は精神の中へと入る方法を考えるが、誰からもアイディアがでず途方にくれていると、ドラグーンから声をかけられる。
『マスター、先ほどから申されている精神の中とは、マスターの精神世界の事ですか?』
「え? う〜ん、そうなのかな?」
「少なくも、それに近い物だと思うけど、ドラグーンは何か思い当たる事あった?」
僕はよく分からないけど、フェイトがそうだと言うなら、そうなんだろう。
で、そんな事を確認してドラグーンは何か思い当たる事があるんだろうか?
『思い当たる事と言いますか、マスターの精神世界なら、知っているので、それが正しいのか確認をと思った次第です』
「え!? ドラグーンはその世界を知ってるの!? じゃあ明久を一緒に連れて行く事ってできたりする!?」
『はい。マスターの集中力にもよりますが、可能か不可能でいうと可能です』
「何や色々考えたけど、全部取り越し苦労かいな」
「けど、はやて。まだドラグーンの言う精神世界にドラゴンがいるとは限らないんだよ?」
「それはそうやけど、でもこれが間違いやったら、もう当ては何にもないんよ? 正解であってもらわな、こっちが困るわ」
「じゃあ、明日は明久君の訓練は休みで一日ドラゴンとの会話ができるかに当ててもらう事にするよ」
「そうやね。そうしてもらうんが一番いいと思うわ」
えーっと? これはどういう事? なんか解決したみたいになってるけど、解決したって事でいいんだろうか?
僕が理解できたのは明日の僕の訓練が休みになったって事だけなんだけど‥‥‥
「明久君、簡単に言うとね明日は訓練の代わりに、ドラグーンと一緒に精神世界に行ってきてって事だよ」
「しっかりね、明久」
「ちゃんとドラゴンと話して力つけてくるんやでアキ君」
「え? あ、うん。分かった」
なのはは何も言ってないのに僕に説明してくれた。
なんでそんなに丁寧に教えてくれたんだろうか?
まぁ、分かってなかったから、どうせ聞かなきゃいけなかったんだけど、何も言ってないのに説明されたのが少し不可解だ。
フェイトとはやては、何も不思議な事はないという感じで会話を続けているが‥‥‥
「ねぇ、ドラグーン?」
『どうかしましたか? マスター?』
「何で僕が詳しく説明をしてもらえるように頼む前に、なのはは説明してくれたのかな?」
僕は嫌な予感がしつつも、僕より状況を理解してるであろうドラグーンに疑問をぶつけてみる。
『マスター、世の中には知らない方が良い事もありますが、それでもお知りになりたいですか?』
「‥‥‥うん。お願い」
『承知しました。失礼ながら、マスターでは先程の会話は理解できないと思われ、聞かれる前に先に教えてくれたものだと思われます』
「やっぱり?」
『はい』
なるほど、それならフェイトとはやても何も思わなかった事も説明できる。
「ねぇ、ドラグーン、どうやったら賢くなれるかな?」
『マスター、勉強するしかありません』
「それ以外でお願いします」
『残念ですが、それ以外の方法は現在確認されていません』
結局、異世界に来ても勉強は必要なのか‥‥‥
これからは時間を見つけて、少しは勉強しようかな?
この世界でもバカ扱いされるのは、なんだが凄く嫌だ。
僕はこれから少しずつでも勉強するべきかどうか、真剣に頭を悩ませたのだった。
翌朝。
僕等はフォワードの新人組は集まって、これからの訓練の説明を受けていた。
「皆そろってるね? それじゃ今日から、個別メニューで訓練するからね。何か質問はある?」
なのはの説明によれば、スバルはヴィータとの訓練、ティアナはなのはと、エリオとキャロはフェイトに、そして僕は今回は一人、別メニューでドラゴンとの接触を図るとの事だ。
もちろん一人では無理だらうから、シグナムにみてもらうことになっている。
僕は特に質問はないから、黙って次のなのはの言葉を待つ。
「質問はないみたいだね。それじゃ各自訓練に入って、それぞれのグループの隊長さんの言う事を聞くように。それじゃ解散!」
なのはの掛け声で皆はそれぞれの隊長の指示に従って、訓練を始めて行く。
「さて、吉井。我々も行くとするか」
「そうだね。行こうか? けど、僕たちはどこでやるの?」
詳しいことを何も教えられていない僕は、訓練する場所すら知らない。
全てシグナムに任せ切っている。
「お前の訓練は、とにかく集中しないことには始まらないからな。訓練場所は室内訓練場で行う」
こうして僕等は室内訓練場に来たんだけど
「で、これから僕は何をすればいいの?」
「ドラグーンと心をシンクロさせろ。後はドラグーンが全てやってくれる。任せたぞドラグーン」
なるほど、難しい事は全部ドラグーンがやってくれると、それなら簡単だ。
『はい。ですが、シンクロは私にはできませんので、マスターに合わせてもらう必要があります』
ん? あれ? 僕の仕事は精神世界に入ってからじゃないの?
「それは分かっている。吉井、お前はとにかくドラグーンに合わせる事だけに集中しろ。簡単だろ?」
「え? うーん、分からないけど、とりあえずやってみるよ」
僕は座禅を組み、目を閉じてドラグーンとシンクロしようと意識を集中させる。
‥‥‥‥‥‥程なくして、僕の目の前にTVゲームと漫画が大量に現れる。
なるほど、ここが僕の精神世界か。
で、何をしたらいいんだろうか?
‥‥‥よし。
何をしたらいいか良く分からないから、とりあえずこのゲームをクリアしてみよう。
そう思って、僕が電源を入れようとゲーム機に手を触れようとした時
ゴンッ!
という鈍い音がして、僕は意識を吹き返す。
そして、意識を吹き返した僕を一番初めに襲ったのは、頭が割れんばかりに痛いという感覚だった。
「イッタァァァアア!!」
僕は痛みが引くまで、床をのたうち回った後、ようやく痛みが引いて顔を上げると、そこにはシグナムが手をぐーにして立っていた。
「目は覚めたか? 吉井? お前、始まって早々イビキをかき始めるとは、いい度胸だな?」
どうやら、さっきのは精神世界ではなく、夢の世界だったようだ。
その事を一瞬で理解した僕は
「すみませんでした!! つ、次こそは頑張りますので、どうかお許しを!!」
土下座で謝りに入る。
「‥‥‥お前はいい加減、土下座以外の謝り方を覚えたらどうだ?」
『マスター、何故こんな時だけ理解するのが早いんですか? 普段からその理解力を発揮すれば、バカ扱いされる事はないと思いますよ?』
シグナムはおろか、ドラグーンにまで呆れられる僕。
どうしていつも同じような事になるんだろうか?
「はぁー。まぁいい。次は寝るなよ? 寝たら訓練内容を変更して、私と模擬戦をやる事にするぞ?」
「全力で頑張ります!!」
シグナムと模擬戦? 無理死ぬ。せめてもう少し強くなってからじゃないと、僕の身体がもたない。
『では、マスター。集中して私とシンクロして下さい。ある程度シンクロできれば、後は私がやります』
「分かった。やってみるよ」
僕は再び目を閉じてドラグーンの意識に合わせに入る。
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
『‥‥‥シンクロ完了。これより精神世界に入ります』
「ドラグーン、吉井を頼むぞ」
『承知しました。では行って参ります』
「ああ」
シグナムとドラグーンの会話を最後に僕の意識は室内訓練場から離れて行った。
今回はどこで区切ればいいか分からず、迷っていたら結局、精神世界に入る手前で区切ってしまいました。
次回は精神世界に入った明久の話しの予定です。
なるべく早く投稿しようと思っていますので、その時はまた是非読んでやって下さい。
では、今回はこの辺りで
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