魔法少女リリカルなのは バカの参戦    作:セイイチ

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今回は感想の返信で予告したため、ドラゴンを出すとこまで行こうと思って書いてたら、どこで区切ればいいか分からなくなって、一万字近く書いてしまいした(汗)

長くて読みにくいかもしれませんが、今回はお許しをm(_ _)m

それでは本編をどうぞ!


第十六話

 僕は今、真っ暗な中を下へゆっくりと落下していた。その感覚は水の中へとゆっくり沈んでいくような感じだ。

 僕は落ち着き払っていて、この空間に居るのが凄く快適な気分だった。

 

 『マスター。意識はありますか? それと、ご気分の方はいかがですか?』

 

 「うん。ドラグーン。意識ははっきりしてるよ。気分の方は最高って感じ。ずっとここにいたいような気分だよ」

 

 できることなら、ずっとここで住みたい。そんな気分だ。

 

 『それは良かったです。どうやらマスターの精神世界に入る事に成功したようです』

 

 「僕の気分が良いのと精神世界とどう関係あるの?」

 

 『マスターの精神世界とは、マスターが作り上げた世界です。そのマスターがここは居心地が良いという事は、ここはマスターの精神世界で間違いないという事です』

 

 ん? ドラグーンは何回もこの世界に来たことあるって言ってなかったっけ?

 

 「そんなの僕の気分を確認しなくても、ドラグーンは来たことあるなら、この世界の事を知ってるんじゃないの?」

 

 『精神世界とは、今のその人の気持ちによって、景色が変わるんです。マスターが悲しい時は、雨が降ったりします。なので、今はマスターの居心地を聞くのが、一番手っ取り早いんです』

 

 なるほど。つまりこの世界は僕の気分によって色々変わると。ん? じゃあ今の、この暗い景色は一体どういう気分ってことなの?

 

 『では、マスター手始めに楽しい事、好きな事を思い浮かべて下さい。このままでは暗くて周りが良く見えませんので』

 

 「楽しい事? 具体的にはどんなものがいいの?」

 

 『今、この世界が暗いのは、マスターが心の奥底では不安や恐怖といった感情を抱いているからです。それを振り払えるものなら何でも構いません』

 

 ということは、この暗闇は僕が無意識のうち不安を感じているって事か。

 それを振り払うために楽しい事を考えろと、そういう事か。

 確かに楽しいと感じる事をやってる時は不安や恐怖なんてものを感じる事はない。

 そういう事ならと僕は目を瞑って、ありったけの想像力で楽しい事を思い浮かべてみる。

 ゲーム、漫画、海、花火、野球、料理、海外旅行、温泉旅行、それから――

 

 『マ、マスター、もう結構です。それ以上は思い浮かべないで下さい』

 

 「え? もういいの? 他にもまだ楽しい事なら思いつくんだ‥‥けど‥‥?」

 

 僕が再び目を開けると、さっきの暗闇とは違い、僕の目の前には色んな景色の世界が広がっていた。

 一角には大量のゲームや漫画なんかが置いてあり、またある一角には海が広がっておりハワイにでも来たのかと思うような景色、さらには野球場、世界遺産に認定されている文化遺産、世界中の料理等、僕がさっき思い描いたものが無限に広がっている。

 

 『ここはマスターの世界なので、マスターが想像するものは何でも、無限に出てきます。これ以上世界を広げると後々面倒な事になりますので、この辺でやめておく方が良いかと』

 

 「す、凄いね。精神世界って何でもできちゃうんだね」

 

 『はい。ここではマスターが神ですから』

 

 神って‥‥‥

 この世界は何でもありか!!

 ん? でもこの世界では、僕の想像したものが何でも無限に出てきたり、感情がそのまま反映されるなら

 

 「ねぇ、ドラグーン。僕が何も考えてない時はこの世界はどうなってるの?」

 

 何の考えも感情もない時はどうなってるんだろうか?

 

 『真っ白な世界になります。どこまで広がっているのかすら分からない、ただただ白いだけの空間です』

 

 「真っ白な空間? もしかして、ドラゴンと話すならその空間の方が良かったりする?」

 

 こんなに色んな物がある場所だとドラゴンと話すのに邪魔なんじゃないかな?

 僕はそう思ってドラグーンに聞いてみたのだが

 

 『いえ、その空間の方が色々と便利なのは確かですが、それは恐らく無理なのでその必要はありません』

 「なんで? 白い空間の方が良いなら、その空間に変えた方がいいんじゃないの?」

 

 ドラゴンと話すなんて突拍子もない事をやろうとするんだから、少しでも可能性をあげた方が良いと思うんだけど、なんでドラグーンは必要ないとまで言い切るんだろうか?

 

 『マスター、あの空間は意図的に引き出せるような空間ではないんです。あの空間は無の世界です。人とは何も考えないようにしようと考えるほど、余計な事を考えてしまいます。なので無の空間とは簡単には引き出せないんです』

 

 うーん。良く分からないけど、無の世界とやらは何も考えてない時にだけ行ける世界なわけか。

 確かにそれは難し‥‥‥

 あれ?

 

 「ドラグーン? 僕、何も考えないの得意だと思うんだけど‥‥‥?」

 

 『確かにマスターの精神世界は良く、それはもう頻繁に無の世界になります。ですが、それはあくまで無意識にやっている事です。意図して無の世界を作るのは幾らマスターでも難しいかと‥‥‥』

 

 ふむ。僕的には簡単なような気がするんだけど、ドラグーンがそう言うなら、難しい事なんだろう。

 

 「そっか。じゃあ仕方がないね。それじゃあこの後、僕はどうしたらいいの?」

 

 僕はすぐに無の世界を作る事を諦めて、この後どうすればいいのかドラグーンに聞いてみる。

 

 『ここはあくまでマスターの精神世界です。ドラゴンと話すには、ドラゴンの意識を探す。つまりはドラゴンの精神世界に行かないといけません。そして、扇風月の言っていた、“己の力の源”という発言から、マスターの精神世界と繋がっているものと思われます。なので、ドラゴンの精神世界への入り口を探して下さい』

 

 要するに入り口探しをしろということか、それなら結構簡単そうだな。

 

 「分かった。それで、その入り口はどこら辺にあるの?」

 

 おおよその位置さえ分かれば、そんなに時間もかからず見つけ出せるだろう。しかも、ドラグーンは僕の精神世界には何回も来ていて知らないことは殆どないはずだ。

 これは簡単にクリアーできるな。

 なんて楽観的に考えていたんだけど

 

 『分かりません』

 

 ドラグーンから返ってきた返事はまさかの〝分かりません〟だった。

 

 「は? わ、分からない? え? 入り口の大体の場所が?」

 

 僕は自分の耳が聞き取った絶望的な答えが聞き間違いだったことを祈りながらドラグーンに再度確認をとってみる。

 

 『はい。私が知っているのは、あくまでマスターの精神世界であって、ドラゴンの精神世界ではありません。ゆえに入り口なんてものも知りません』

 

 「‥‥‥こんな広い世界で何の手がかりもヒントもなしに入り口を探すの?」

 

 『はい。先ほど世界を広げ過ぎると後々面倒な事になるというのは、入り口を探す範囲を少しでも狭めようしての事だったんですが、既に広がり過ぎてますね。間に合わず、すみません』

 

 くっ! まさか簡単にクリアーできると思っていたのに、こんな落とし穴があったとは思いもしなかった!

 とはいえ、こーなったら手当たり次第に探すしかない。

 僕は他に手段がないので、渋々入り口を探すことにする。

 

 「じゃあ、とりあえず野球場の方から探そうか? ドラグーン」

 

 『分かりました。マスター』

 

 こうして、僕らは入り口探しを始めた。

 までは良かったんだけど‥‥‥

 

 「無理!! こんなの広過ぎて探しようがないよ!!」

 

 体感時間で約三時間ほど経過した後、僕は野球場と海の近辺を一通り探したところでギブアップする。

 

 『流石にこの広さで入り口を探すのは無理がありましたね』

 

 ドラグーンですら、この広さを前に諦めかけるほどだ。

 こんな広い世界から、どこにあるのか検討もつかない入り口を探すとか、僕には到底無理だ。

 せめて、場所を限定してくれないと探しようがない。

 

 「ねぇドラグーン。ダメ元で無の世界に挑戦した方が、見つかる確立高そうじゃない?」

 

 僕は、さっきドラグーンに難しいと言われた無の世界の方が、まだ簡単にできるような気がしてドラグーンに提案してみる。

 

 『‥‥‥確かにそうですね。そちらも、成功する可能性は極めて低いですが、まだそちらの方が見つかる確立は高いかもしれませんね』

 

 ドラグーンもこの現状では、見つけるのにどれほど時間がかかるか分からないと思ったのか、少しの逡巡の後、挑戦する方が確立が高いと判断して、僕の意見を聞き入れてくれる。

 

 「じゃあ、一回ダメ元でやって見よう」

 

 『分かりました。ではマスター、何も考えず心を乱さずに心を落ち着かせて下さい』

 

 僕はダメ元で無の世界を作るようにチャレンジする事にし、ドラグーンの言うとおりにやってみる。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 『ダメですマスター。何ら変化はありません』

 どうやら失敗したようだ。

 やっぱりドラグーンの言うとおり、意識的に何も考えないって言うのは、相当難しいようだ。

 現に僕は、何も考えるな。と頭の中で繰り返してしまい失敗してしまった。

 

 「やっぱり、これは難しいな。‥‥‥ねぇドラグーン、無の世界になってる時って僕は何してる? 今度はそれを意識してやってみるから」

 

 僕は、難しいと理解していながらも、まだ諦めずに無の世界を作るのにチャレンジすることにする。

 正直、無の世界を作るのも、かなり難しいと思うけど、この広過ぎる世界から入り口を探すなんてのは論外だ。

 よって、僕はまだ諦めずにドラグーンにヒントになりそうなことを聞いてみる。

 

 『マスター、意識するとその時点で無の世界にはなれません。ですが、マスターは無の世界を作っている時は、いつも決まって、相手の話が難しくて理解できてない時になっています』

 

 そうか、つまり思考を中断してる時に無の世界になるのか‥‥‥ん?

 

 「ねぇ? ドラグーン? 僕、思考中断する時は、いつも意図的に中断してるんだけど、今回も同じようにしたらできるかな?」

 

 これが可能なら、僕は今すぐにでも無の世界を作れると思う。それくらい普段から思考の中断は頻繁に意図的に行っている。

 

 『そうですね‥‥‥それは理論上では今その状態になれれば、できると思います』

 

 よし! どうやら可能なようだ。

 なら善は急げだ。

 

 「じゃあ、やってみるね? ドラグーン」

 

 僕は、今日何度目かの目を瞑り、思考の中断をする。

 そして、完全に思考を中断しきった後、僕が目を開けると、そこに広がる景色は真っ白で何もない空間になっていた。

 

 「良し! 成功だ!」

 

 『し、信じられません。まさか、本当に意図的に無の世界を作り出すなんて‥‥‥どうやら私は、マスターを甘く見ていたようです。』

 

 「ねぇ、ドラグーン? それって褒めてるの?」

 

 『えっと、はい。一応』

 

 どうやらドラグーンは褒めてくれているようだ。

 内容が普段から思考を中断してたから、意図的に思考を中断できると言うものだから、素直に喜んでいいのか分からないけど‥‥‥

 

 『っ! マスター! 右方向の約500メートル先に何か発見しました!』

 

 僕がどう反応すべき悩んでいるとき、どうやらドラグーンが何かを発見したようで、僕に知らせてくれる。

 

 「今この世界には何もないんだよね? なのに何か見つけたって事は、それって入り口なんじゃ‥‥‥」

 

 『とにかく行ってみましょう。マスター』

 

 「そうだね。考えるのは行ってからにしよう」

 

 僕等はドラグーンの見つけた何かの場所に向かって走って行く。

 そして、そこで僕等が見つけたものは

 

 「扉?」

 

 『扉ですね』

 

 「普通に考えたら、この先にドラゴンがいるって事だよね?」

 

 あんなに必死で探したのに見つからなかったのに、無の世界にしたら見つかるっていうのも、なんだか拍子抜けするけど、僕等の目の前には、どう見ても入り口にしか見えない扉があった。

 

 『そうですね。私もこれが入り口だと思います』

 

 「因みにだけど、これ死んじゃった場合どうなるの?」

 

 この扉が偽物って事もあるし、もし本物の入り口だったとしても、そこにいるのはドラゴンだ。

 死んだ場合はどうなるのか、確認しておかないと、安心して扉を開けることができない。

 まぁ、答えによっては余計に安心できないんだけど‥‥‥

 果たして安心できるのか、できないのか、僕が真剣にドラグーンに聞くと

 

 『例えドラゴンの精神世界に行ったところで、そこに行っているのは、あくまで意識のみです。死ぬ事はありません。この世界で死ぬという事は、そこで意識が途切れて現実の世界に戻る事を意味します。ですが、痛みは本物ですし、疲れは普段よりも何倍も感じます。ですので、なるべく死なないように気をつけてください』

 

 結果は安心できるのか、できないのか、曖昧になってしまった。

 とはいえ、せっかくここまで来たんだから、手ぶらで帰るわけにはいかない。

 僕は覚悟を決めて扉に手をかけて

 

 「じゃあ開けるよ?」

 

 『はい。マスター』

 

 ドラグーンに確認してから扉を勢い良く開けきった。

 そんな僕達が一番初めに見たのは、一体どれくらい大きいのかも分からない程デカくて黄色いドラゴンだった。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥」

 

 『‥‥‥‥‥‥‥』

 

 僕とドラグーンは一瞬言葉を失った。

 

 「‥‥‥ねぇ? これはちょっと大き過ぎない? 話とかする前に簡単に踏み潰されそうなんだけど? っていうか、そもそも、これと会話とか無理でしょ」

 

 この黄色いドラゴンの周りには色んなところに電気が走ってるし、空からは雷がずっと鳴り響いている。

 そして何より、このドラゴンは僕らの方を見向きもしない。

 こんな状況で僕にどうしろと?

 

 『マスター、気持ちは良く分かります。私もマスターと同じ気持ちです。ですが、このドラゴンは周りで雷を鳴り響きかせる程ですから、恐らく雷龍・ザボルグだと思われます。目的を果たすために、何とか声をかけて下さい』

 

 「んな、めちゃくちゃな!! こんな化け物みたいなのと、どうやって会話しろって言うんだよ!?」

 

 どう考えても無理でしょ!? だってこのドラゴンの周りは、常にバチバチ言ってるんだよ!? しかも、こっちをチラッとも見ないし、どうしろって言うんだ!

 

 『大丈夫です。マスター、この世界では死ぬ事はありませんから!』

 

 「そういう問題じゃないからね!? しかも死ななくても痛いものは痛いんでしょ!?」

 

 「はい。恐らくですが、現実よりもより敏感に痛みを感じるものと思われます』

 

 「どうやったらあのドラゴンと話せるのか、余計に分からなくったよ!!」

 

 本当にどうしろと? まさか、あの雷の中に入って行って話しかけろとか言わないよね?

 

 『マスターなら雷を避けながら近づく事もできるのでは?』

 

 ‥‥‥どうやらそのまさかのようだ。

 

 「えーっと。ドラグーンさん? 幾ら何でもそれは無理だと思うんですが‥‥‥もう少し穏便にできませんか? 具体的には僕に被害が出ない方法で」

 

 幾ら何でも、雷を避けろとか無理でしょ? しかも体からは電気発してるから触れただけで痺れるのは確定だ。

 何の策もなしに近づくのは自殺行為以外の何者でもないと思う。

 こうして、僕とドラグーンが雷を避けれるかどうかの議論を(バカバカしい内容だが本人達は大真面目)していると

 

 「やかましい、小僧。呼んでもいないのに勝手にここまで来て起きながら、我の空間でギャーギャー騒ぐな。殺すぞ?」

 

 誰かが僕とドラグーンの言い合いに口を挟んできた。

 

 「うるさい!! 僕は今、生と死の瀬戸際なんだ話しかけないでよ!!」

 

 僕が反射的に言葉を発すると

 

 ドガーン!!!

 

 僕の直ぐ後ろに大きなクレーターができ、周囲はバチバチと音を立てて電気が走っていた。

 

 「へ?」

 

 「口の聞き方に気をつけろよ、小僧? この空間では死ないが痛みは存分に味わえるのだぞ?」

 

 「えーっと。‥‥‥すみませんでした‥‥‥」

 

 僕はもう謝る以外の選択肢しか浮かばなかった。

 

 『マスター、幾ら今は肉体を持っていないとは言っても世界を作った元龍に対しての口の聞き方はしっかりした方がいいですよ?』

 

 「 ‥‥‥だれのせいだと思ってるんだ? ドラグーン君? ほとんど今のは君のせいだからね?」

 

 ドラグーンが雷の中を突っ切れなんて言わなかったら、このドラゴンを怒らせる事はなかったっていうのに‥‥‥

 

 「で? 小僧? お前は何をしにここまで来たのだ? ウェザードの子孫とやらに負けるような奴に、我は用などないのだが、せっかく久しぶりに我に会いに来た子孫だ。話くらいは聞いてやろう」

 

 「え? ウェザードって誰だっけ?」

 

 『マスター‥‥‥扇風月の先祖のドラゴンですよ』

 

 「ああ、そっか。ドラゴンの名前か。すっかり忘れてたよ」

 

 いやー、元龍に会うことなんてないと思ってたから、ドラゴンの名前はすっかり忘れてしまってた。

 覚えてなくても困らないと思ってたし、仕方ないよね!

 

 「‥‥‥まさかとは思うが小僧。お前、我の事も覚えてないなどと抜かすのではあるまいな?」

 

 ‥‥‥マズイ。

 知らないとか言ったら殺される。

 とは言え、僕はこのドラゴンの名前なんて覚えていない。

 さっきから周りで雷が落ちてるし、体から電気を発してるから雷の龍だって事は分かってるんだけど、名前が出てこない。

 さっきドラグーンがチラッと名前を出してたから、僕も聞いたはずなんだけど、何て言ってたか、まるで覚えていない。

 

 「まだ名前名乗ってないんだから、知らなくても仕方ないでしょ? というか、宿主に対してその威圧的な物の言い方は何なのよ、ザボルグ?」

 

 と僕が困っていると、空から声が聞こえてきた。

 そっかザボルグって言うのか。

 今度は忘れないようにしっかり覚えておかなきゃ! じゃないと次こんな事になったら殺される!

 と僕が必死で考えていると、ザボルグは空へと目を移し声に対して答える。

 

 「そんな事は貴様に関係ない。余計な口を挟むな、テスタロス」

 

 ザボルグと今話しているのは、テスタロスと呼ばれたドラゴンだ。

 ザボルグよりは一回り小さいが、それでも充分な大きさの赤いドラゴンが翼を広げて、空を飛んでいる。

 

 「あら、私にとっても大事な子孫なんだから、私にもこの子と話す権利はあると思うけど?」

 

 そう言って、テスタロスと呼ばれたドラゴンが地面に降りてきて、僕に話しかけてくる。

 

 「ふふ。初めまして、吉井明久君。私は炎龍・テスタロス。で、こっちが雷龍・ザボルグよ。よろしくね?」

 

 「よ、よろしく‥‥‥じゃなかった。よろしくお願いします」

 

 僕は先ほどのザボルグの攻撃によってできたクレーターが目に入り、慌ててテスタロスに敬語で話し始める。

 テスタロスは随分と穏やかなように見えるが、きっと力的にはザボルグと大差はないだろう。僕なんかが相手では一瞬で殺されてしまうのは目に見えている。

 

 「ふふ。いいのよ? そんなに畏まらなくて。私達は、今は運命共同体なんだから、普通に話してくれて構わないわ」

 

 ‥‥‥どうやら、テスタロスはザボルグと違って本当に優しいようだ。

 

 「そ、そう? じゃあ今からは普通に喋らせてもらうよ」

 

 「ええ。そうしてちょうだい。それで? あなたは一体何しにここに来たのかしら?」

 

 「強くなるためにここに来たんだ」

 

 僕がそう言った瞬間、テスタロスの雰囲気はさっきまでと変わった。

 

 「本気で言ってるの? あなた?」

 

 テスタロスはさっきまでの穏やかな雰囲気を完全に消して、殺気をも出しながら僕に本気かと問うてくる。

 

 「‥‥‥本気だよ。僕は強くならなくちゃいけないんだ。そのためにここまで来た」

 

 「‥‥‥ザボルグ。この子、本気みたいよ?」

 

 「そうであろうな。先ほどと雰囲気が変わった。小僧は本気だ。‥‥‥どうするかはお前が決めろテスタロス」

 

 「分かったわ。‥‥‥明久、何故あなたは強くなりたいのかしら? 理由を教えてくれる?」

 

 テスタロスとザボルグが何やら良く分からない事を話した後、テスタロスが僕が強くなりたい理由を聞いてくる。

 それに対して僕は

 

 「皆を守るため」

 

 テスタロスの質問に即答する。

 

 「‥‥‥明久、知ってるでしょ? 私達があなたに力を与えるということはドラゴンユニゾンの力を開花させる可能性があるって」

 

 「勿論だよ。その力を使いこなせなきゃ、扇には、他の元龍の子孫達には勝てないんだ。勝てなきゃ僕の大切な人達を守る事もできない。だから、僕は皆を守るために強くなりたいんだ」

 

 「‥‥‥あなた、ドラゴンユニゾンがどういう力なのか知ってるのよね? それがどういうリスクがあるのかも」

 

 どうやらテスタロスの雰囲気が急に変わったのは、僕がドラゴンユニゾンの力を開花させる可能性が高くて、それを考え直させるためのようだ。

 

 「ここで力を得るという事はドラゴンの真髄に近づくって事なの。つまり、ドラゴンにより近い力を手にするってことよ。ここで力なんて得ず、現実世界で訓練をすれば、ドラゴンに近づく事はないわ。それなら現実世界で、あなたの仲間達と一緒に訓練して強くなって行く方がリスクなく強くなれるのよ?」

 

 「勿論、現実世界でも、なのはの訓練は受けるよ。けど、その前に僕は自分の力を限界まで引き上げないといけない。いつか扇より強くなれるじゃダメなんだ。なるべく直ぐに、かなりの短期間で扇を越えなきゃいけないんだ。だから僕を強くして下さい」

 

 僕は二体の龍に頭を下げてお願いする。

 

 「絶対にドラゴンユニゾンの力に開花しようとも力に飲まれたりしない。理性をちゃんと保つから! だから、だからお願いします!」

 

 「‥‥‥ザボルグ、あなたは本当に何も言わなくていいの?」

 

 「我は貴様に任せたのだ、テスタロスよ。我が次に発する言葉は貴様の決定の後だ」

 

 どうやら、ザボルグはこの件に関しては完全にテスタロスに任せるようで、傍観を貫くようだ。

 テスタロスはザボルグの言葉を聞くと、今度は僕に言葉を投げかけてくる。

 

 「‥‥‥一つだけ聞いてもいい? 明久」

 

 「僕に答えられる事なら、一つと言わず何個でも」

 

 「あなたは、皆を守るために力が欲しいと言ったけど、他の元龍の子孫が現れたら、戦わずに逃げるっていう選択肢はないの?」

 

 「逃げるにしても、力は必要でしょ? それに他の元龍の子孫は知らないけど、扇は戦闘マニアなんだ。逃げらるような相手じゃないし、力がなければ話し合いもできずに死ぬしかないんだ」

 

 「‥‥‥分かった。けど、これだけは約束しなさい。ユニゾンの力を開花させても、無闇やたらと使わないこと」

 

 「必要にならない限りは使わないって約束する」

 

 ここでハッキリと約束できないのは、相手がユニゾンを使ってきたら、皆を守るために僕は絶対に力を使ってしまう自信があるからだ。

 まぁ、これでテスタロスが納得してくれなかったら、もう一度頼み直さないといけないようになり、かなり面倒なんだけど、僕はこの二体の龍には嘘をついたらいけないような気がして正直に答えてしまったのだが、テスタロスは

 

 「それでいいわ。約束は守りなさいね。明久」

 

 と言って僕が修行をするのを認めてくれた。

 

 「ありがとうテスタロス。けど、さっき聞き忘れたんだけど、ユニゾンがダメなら部分変化の翼も出したらダメなの? あれがないと僕は真面に飛べないんだけど‥‥‥」

 

 もし翼も禁止されたら、僕はまた空中戦ができなくなってしまう。なんとか翼だけは見逃してもらえないだろうかと考えていたんだけど

 

 「翼は問題ないわ。あれは私とザボルグが完全に制御してるから」

 

 「え? それってどういうー」

 

 僕はテスタロスの言うことが理解できず、どういう意味か聞こうとしたら、ザボルグが先に説明してくれる。

 

 「あの翼はドラゴンユニゾンの様に見えるが、実際は全くの別物ということだ。我とテスタロス、二体の魔力を合わせて作った、我らのオリジナル魔法の一種だと思えば良い」

 

 「正確に言えばオリジナル魔法に似てるけど、違うものなの。明久には難し過ぎる説明になるから、ザボルグのいう通りだと思って問題なしよ」

 

 んー、良く分からなかったけど難しい話なら聞かなくてもいいよね。

 

 「さて、小僧。早速だが修行するぞ。まぁあれは修行とは言わないと思うがな」

 

 ん? 修行とは言わない? どういう事なんだろうか?

 

 「小僧、とりあえずそこに座れ」

 

 「え? う、うん。分かった」

 

 僕はザボルグの言う通り、この場であぐらをかいて座る。

 

 何をするのか、僕にはさっぱりだ。

 

 「では、やるぞ。テスタロス」

 

 「分かってるわ。明久、ちょっと痛いけど我慢してね?」

 

 「へ? 痛い? え? え? 何するの? 今からなにが始まるの!? ねぇ!? 説明プリ―――――ズ!!」

 

 僕の全力の叫びは元龍の二体には届かなかったのか、はたまた届いていたけど無視されたのか分からないけど、二体は僕を置いて空高くまで飛んでいき、それぞれ雷、炎の塊を僕に放ってきた。

 僕にそれをどーこーできるはずもなく

 

 「ぎゃああぁぁぁぁあああ!!!」

 

 二種類の属性の塊をモロに受けることとなってしまった。

 

 

 




前書きでも書いた通り、今回は長くなってしまいました。

今回はドラグーンがかなり長い事喋ってましたね!
普段はあまり喋らないので、書くのが難しく、ちょっと明久をイジるというかバカにするというか、何やら自分の主に対する口の聞き方ではなかったような気がしますが、今回はちょっと特別ということで目を瞑っていただけると幸いです。

さて実は作者、精神世界での話をまとめて書いたので、この続きも実は既にできてます。
本当はこの話でまとめて全部書いても良かったんですが、長すぎるのは読みにくいとの作者の判断で区切りました。
なので次回は今日の午前五時に予約しておきますので、良ければ読んでやって下さい。
次回は三千字も行ってないので、割と短めです。

それではこの辺で
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