僕とエリオは着替えが終わってから、集合場所に行ったけど、そこにはまだ誰も来ていなかった。
僕達が一番乗りだったようなので、僕とエリオは話をしながら皆の事を待っていたら、数分で全員が集まり、なのはから今回の任務の詳細が話される。
「さて、じゃあ今回の任務を簡単に説明するよ」
「「「はい!」」」
なのはは、僕達に説明するために大画面のモニターを僕等の前に出して、説明を始める。
「まず、捜索地域はココ。海鳴市の市内全域。反応があったのは、ココとココとココ」
そう言って、なのはの指した場所は全て、市街地だった。
「移動してますね‥‥‥」
ティアナは、なのはの指した場所を確認してそう呟く。
確か、ロストロギアって魔力に反応して暴走するんだよね?
そんな物が移動してる。しかも、市街地にあるなんて結構危ないんじゃ‥‥‥
「そう。誰かが持って移動してるか、独立して動いてるのかは分からないけど」
「対象ロストロギアの危険性は今の所確認されてない」
「仮にレリックだったとしても、この世界には魔力保有者が滅多にいないから、暴走の危険はかなり薄いね」
なんだ。危険は薄いのか。なら少しは安心
「とは言え、相手はやっぱりロストロギア。何が起こるか分からないし、場所も市街地。油断せずにしっかり捜索をして行こう」
できないようで、油断したらダメらしい。
はぁー、何でこんな所にロストロギアがあるのか知らないけど、ほんと迷惑なロストロギアだ。
「では、副隊長達には後で合流してもらうので」
「先行して、先に出発しちゃおう」
「「「はい!!」」」
何か皆の返事も凄く元気だし‥‥‥。まぁ、暴走する前に確保したら被害はないんだし、僕も頑張るとするか!
こうして、僕達は海鳴市の市街地へと行き、スターズとライトニングで別れて捜索をする事になった。
市街地へ来た僕達は、それぞれの隊長の指示を聞いていた。
僕はライトニング部隊に配置されてるから、フェイトの指示を仰ぐ事になる。
ライトニングのメンバーは僕、フェイト、エリオ、キャロ、で後から合流するっていうシグナムを含めた五人だ。
「ライトニングは探索を行いながら、市内の各所にサーチャーとセンサーを設置。作業としてはこんな感じかな?」
「「はい!」」
フェイトの指示を聞いた限りでは、そんなに難しい作業ではないみたいだ。
「隊長。すまんな、遅くなった」
フェイトの説明が終わってから、まもなくして、声が聞こえてくる。
僕が声のした方向を見ると、そこにはシグナムがいた。
「シグナム。ちょうど始めるところですよ」
『ロングアーチも準備万端や』
『アタシもこれから、探索と設置をしながらスターズと合流する』
「了解」
どうやら副隊長達も、本格的に任務が始まる前に合流できたようだ。
「ほんなら機動六課出張任務、ロストロギア探索。任務開始や!!」
「「「了解!!」」」
こうして、ロストロギア探索任務が始まった。
よーし、気合い入れるぞ!
☆
僕達ライトニング部隊では、シグナムがヴィータと同じように空から探索する。と言って空へと上がっていったので、他のメンバーは全員で行動していた。
「エリオ君、エリオ君!」
「何? どうしたの?」
僕の前を歩いている、エリオとキャロは二人で楽しそうに会話をしている。
こうして二人が仲良く並んで歩いていると、仲のいい兄妹みたいだ。
と思いながら、二人のことを眺めていると
「ありがとうね。明久」
フェイトから急にお礼を言われる。
「え? 何が?」
僕にはお礼を言われるような事をした覚えは一切ないんだけど?
「いつも二人のことを気にかけてくれてるでしょ? だから、ありがとう」
「そんな事? 別にそんな事気にしなくていいのに。それに僕は、僕が暇な時に二人に遊んでもらってるだけなんだしさ」
「明久‥‥‥ありがとう。ふふ、やっぱり明久は優しいね?」
そう言ってフェイトは満面の笑みを見せてくれる。
それに対して僕は
「そ、そうかな? 別にこんなの普通だと思うけど?」
内心ドキドキしながらも、平静を装って受け答えをした。
つもりだったんだけど
「どうしたの明久? 顔が少し赤いよ?」
ドキドキした気持ちは隠しきれず、顔に出てしまったようだ。
だが、あえて言わせてもらおう。
彼女いない歴=年齢の僕が、フェイトみたいな美人が目の前で笑顔を見せてくれて、何もなかったかのように振る舞うなんて出来る訳がない!
というわけで
「な、何でもないよ。ちょっと暑さにやられて疲れただけだから」
と、僕は極力フェイトの顔を見ないようにして、答えるしかなかった。
我ながら何とも情けない‥‥‥
なんて思っていた時、フェイトから視線を外すために、適当な方向へ目を向けた僕の視界に、小刻みに蛇行運転しているように見える、大型トラックが視界に映る。
‥‥‥あのトラックの運転手、居眠りでもしてるんじゃ‥‥‥‥
僕はそのトラックを見て、最悪の事態を想定してしまう。
僕等は今、ちゃんと歩道を歩いてるけど、もしトラックの運転手が居眠りなんてしていたら、何かの拍子に歩道へと向かってくるんじゃないか?
そんな光景を想像していた。
「はは、まさかね。そんなドラマや漫画みたいに、そんなタイミング良く事故が起こったりするわけないよね」
と、僕は自分の想定した光景を頭から振り払う。
「どうかしたの? 明久? 疲れたなら少し休もうか? 熱中症とかになったら大変だし‥‥‥」
そんな僕をフェイトは気遣ってくれる。
「ああ、ごめん。大丈夫。そうじゃないんだ。あのトラックが――」
と僕がフェイトに話そうとした時
「きゃああぁぁぁああ!!」
と言う叫び声がする。
その叫び声が聞こえると同時に、声のした方向に視線を向けると、僕の視界にはさっきのトラックが歩道に乗り上げようと、ガードレールにぶつかった光景だった。
おそらく数秒後には、先程の僕が想定した最悪の光景が現実になるだろう。
「ボーッとしてないで全員走れ!! 可能な限りトラックから離れるんだ!」
僕は考えるよりも先に言葉が口から出てきて、叫んでいた。
「ほら、フェイト、エリオ、キャロ! 僕達も逃げるよ!」
魔法を使えば、無傷であのトラックを止める事は簡単にできるだろう。
けど、地球には魔法文化なんてものはないから、皆が見ている前で魔法を使うわけにはいかない。
つまり、僕を含めてライトニング部隊の面々も今は一般人と何ら変わりはないのだ。
「分かってる。エリオ、キャロ急いで!」
「「は、はい!」」
僕等は他の一般人の人が走り出したのを確認してから、自分達も避難のために走り出す。
僕等が、ガードレールに勢いを殺されたトラックのスピードなら、おそらく届かないであろう距離まで走りきり、僕が安堵した瞬間
「「危ない!」」
突然、エリオとキャロがUターンして、トラックの方へと走り出してしまった。
「な!?」
「エリオ、キャロ!?」
フェイトもその事に気づいて二人を追いかけようとしたが
「おい、アンタ! 死にたいのか!?」
周りにいた人達に止められて追いかけられずにいた。
「離して下さい! 子ども達がまだ向こうに!」
エリオ達が走る、更に向こう側にはランドセルを背負った女の子が足を抑えて倒れていた。
おそらく逃げる時に転んで足をケガしたんだろう。
二人はそれに真っ先に気がついて、あの女の子を助けるつもりで飛び出したんだろう。
けど、タイミング的にはギリギリアウトだ。
それを見た時、僕は既に走り出していた。
どうやら無意識のうちに体が動いていたようだ。
けど普通に考えて、普通の人の身体能力で、トラックより速く動くなんて無理なわけで
やっべ。これ多分間に合わない! どうしよう!?
と、今更ながらにどうするか考えながら走っていると
(相変わらずバカをやってるようだな小僧)
ザボルグが話しかけてきた。
普段話しかけてくる事なんて全然ないのに、どうしてこんなクソ忙しい時に話しかけてくるんだよ! 少しは空気読んでよ!
と言って、僕はザボルグの事を後回しにして、ザボルグを放置しようすると
(なんだ。助けてやろうと思って、折角我が直々に出てきてやったのにいらんと言うか。小僧も偉くなったものだ――)
ザボルグ様是非ともお助け下さい!
(‥‥‥貴様も調子のいい奴だな‥‥)
いやいや、そんな事ないよ? 僕はいつだってザボルグやテスタロスの事を大切に思ってるからね?
(小僧、後で話がある。時間を用意しておけ)
‥‥‥マジか‥‥‥これって僕怒られる奴じゃない? って今はそんな事どうでもいいんだった!
速く助けてくれるなら助けてよザボルグ!
(‥‥‥三秒だけ、お前の足へと魔力を送り込み、カミナリの力で身体能力を強制的に上げてやるから、その三秒でどうにかガキども助けろ)
ありがたいけど、どうせなら完璧に助け終わるまで力貸して欲しいんだけど?
(三秒以上は雷が普通の一般人にも見えるようになるから無理だ。それにお前の姿が消えたりしたらマズイだろうが? 三秒が怪しまれないギリギリのラインだ)
‥‥‥分かった。じゃあ三秒でいいから力を貸して。
確かにザボルグの言うとおり、一般の人に魔法を見られるのはマズイ。
本来なら魔法なしで、三人を助けなきゃいけなかったのを三秒だけとは言え魔法が使えるんだから、贅沢は言えない。
もし時間が足らなくてギリギリだったとしても、それはその時考えよう。
(よし、いつでもいいぞ。お前の好きなタイミングで使え)
ザボルグの方は準備万端でいつでもいけるようだ。
僕とザボルグが会話してる内に、エリオとキャロは女の子の元へとたどり着いていた。
そしてトラックは、遂にガードレールをぶち破り、歩道へと乗り上げて子ども達三人に向かっていた。
「くっそ! もう一刻の猶予もないじゃないか!」
僕は直ぐさま魔力を足へと送り込み、身体能力を無理やり引き上げる。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥。
三秒の間に、僕はしっかりと三人の元へとたどり着くにはたどり着いたが、帰る分の時間が足らなくなってしまっていて、またもやピンチに陥ってしまう。
とりあえず僕は、エリオとキャロ、そして女の子の事を抱える。
「よ、吉井さん!?」
「吉井さん! 僕の事はいいですから、キャロとこの子の事をお願いします!」
「ちょっと二人は黙ってて!」
クソッどうする!? とりあえず三人を担いでトラックから離れるように走ってはいるけど、これ絶対に間に合わないぞ!?
最悪三人とも投げるか? ケガはするだろうけど、死ぬことはないだろう。
あぁ、けど、魔法なしの普通の身体能力で三人を安全な所まで投げられるわけないから、これはダメだ!
「明久! 後ろ!」
と僕が頭をひねっているとフェイトの声がして、何事かと後ろを振り向くと
「わぁわぁ、吉井さん! トラックがもう直ぐそこまで迫ってます!」
エリオの言う通り、直ぐ後ろにトラックが迫っていた。
けど、僕はそんなトラックよりも目に入った場所があった。
そこは、今の所トラックの進路ではなかったが、いつそこにトラックの進路が変わってもおかしくない場所だった。
あそこに飛び込むか?
その場所へ行って助かるかどうかは賭けだ。賭けに負ければ、全員死んでもおかしくない。
僕が賭けに出るかどうか悩んでいると
「危ない!!」
誰が叫んだのか分からないが、その声が僕の耳に聞こえてきた。
その危険を知らせる一言だけで、僕は自分の悩みなんか吹き飛ばして賭けに出ることする。
「失敗したらごめん!」
僕はそう叫んで、三人の命を背負ったまま、車道へと飛び込む。
僕が飛んで直ぐに、さっきまで僕達のいた場所をトラックが通過していく。
だが、まだ僕達は安全になったわけではない。
事故を起こしたのは大型トラックだ。
という事は、車体だけ避ければいいというものでもない。
トラックの後ろについてる荷台も避けなければならない。
そして僕が三人を背負って飛んだ場所は車道。つまりトラックの荷台は車道にあるから、荷台が僕達に接近してくるということだ。
そう。僕の言う賭けとは、荷台が僕達にぶつかる前に止まってくれるという、希望的観測に賭けたのだ。
トラック自体は、既に壁に激突して止まっていた。
後は遠心力によって荷台がどれほど動くかということだけだ。
僕達には、もはやトラックの荷台が止まるのを黙って祈るしかない。
「ダメー!」
「止まれー!」
「お願い!!」
無事にトラックの事故圏ないから抜け出して、僕たちの事を見ていた人達も必死にトラックが止まるように願いをこめて叫んでいる。
皆が叫び祈る中、遂に荷台が僕達の目の前へとスピードを落として迫ってくる。ぶつかるかどうかはかなり微妙だった。
僕は、もしもトラックの荷台が突っ込んできたとしても、三人が少しでもダメージを軽減できるように、三人に覆いかぶさり、その時を待つ。
そしてトラックの荷台は静かに止まった。
‥‥‥トラックは見事に僕達にぶつかる、二メートル手前で止まっていた。
今回の話は、任務中にもかかわらず事故に巻き込まれる明久達の話でした。
ちょっと無理やり過ぎるいかな〜とは思いつつも、明久が身を挺してエリオとキャロを助ける姿が書きたくてこんな展開になりました。
まぁ明久がお兄ちゃん! って感じを出せるなら、何でも良かったんですが、これが一番最初に思いつき、書きやすそうだったんでこれにしただけなんですが‥‥‥
作者的には、二人を守る優しくて強いお兄ちゃんを出せたんじゃないかと思っております。
(これ以上の出来は作者に求めるベキではない!)
というわけで、今回はこの辺りで
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