明久が精神世界から帰ってくる少し前、エリオとキャロは街に遊びに来ていたのだが、そこでレリックとレリックを持った一人の女の子を発見していた。
キャロはその事を緊急事態のため、全体通信にて六課メンバーに知らせ、スバルとティアナも含めて短い休暇は終わりを告げる。
エリオとキャロがフェイトの指示により、女の子の応急手当を終えて、しばらくすると
「エリオ、キャロ!」
「スバルさん、ティアさん」
スバルとティアナもエリオ達と合流しにきた。
「この子がキャロの言ってた子か。また随分ボロボロに‥‥‥‥」
「地下水路を通って、かなり長い距離、歩いてきたんだと思います」
「‥‥‥‥‥まだこんなに小さいのに」
少女は見た目的に推定4歳~5歳と、少女というよりは幼女の方が適切だと思われるくらいの幼さだった。
「レリックの入ったケースは?」
「キャロが封印してくれました。後、レリックはもう一つあったんじゃないかと‥‥‥‥今、ロングアーチに調べてもらってます」
エリオはそう言って、レリックの入ったケースに繋がっている鎖を見せた。
その鎖はたるんでおり、”何か”がそこに繋がれていた形跡もあった。
それを見たティアナは、人差し指と親指を顎に当て少しの間、何かを考えて
「とにかく今は隊長達とシャマル先生、それにリイン曹長がこっちに向かってくれてるはずだから、それまで現状を確保しつつ、警戒態勢ね」
「「はい!」」
それから、なのは達とも合流して、シャマルが少女の診察を行い、心配はないと診断が出される。
その後は、なのはとフェイト、シャマルにリインがヘリでレリックと少女を運び、ティアナ達フォワードには現場調査が言い渡される。
フォワードは現場調査に向かい、隊長達がヘリに乗り込んだ時
『ガジェット、来ました! 地下水路に数機ずつのグループで総数16‥‥‥‥20!』
『海上方面、12機単位が5グループ!』
突如ガジェットが現れたという連絡が入る。
そのため、たった今指示された事は一度白紙に戻り、空のガジェットは、リインがヴィータと合流したツーマンセル、なのはとフェイトのコンビに別れて撃墜する事になり、ヘリはヴァイスとシャマルに任せる事となる。
そしてフォワードメンバーには
『スバル、ティアナ、エリオ、キャロは地下水路に入り、レリックの回収を』
「「「了解!!」」」
『地下水路にはギンガにも向かってもらうから、地下でギンガと合流するように』
レリックの回収および、地下水路のガジェットの破壊を言い渡される。
ギンガと言うのは、スバルの姉の事だ。
今回、レリックの密輸ルートを調査してもらうために、はやてが地上部隊に応援を要請していて、その部隊の捜査官でもある人物だ。
もちろん、実力はスバルよりも年が二つ上なだけあって、階級もスバルより二つ上だ。
そんなわけで、六課の皆が忙しく働いている時、明久はと言うと‥‥‥‥
『マスター!! いい加減起きて下さい!!』
未だに精神世界にて、テスタロスにしごかれていた。
本人は真面目に特訓していると言うのに、周りからすれば、ただ昼寝しているようにしか見えないと言う、何とも不憫な状況だった。
『マスター!! ホント、早く起きて下さい!! 緊急事態なんですよ!!』
☆
僕がテスタロスの鬼の特訓を終えて、現実世界に帰ってくると、ドラグーンが騒いでいるのが分かった。
どうやら、ザボルグの言う通り、ドラグーンはずっと僕の事を呼んでいたようだ。
これは何か緊急事態でも起こったのかな?
そう思った僕は、色々とすっ飛ばして
「何があったのドラグーン?」
イキナリ核心をつき、ドラグーンから何があったのかを聞いてすぐに
「それ、ヘリ狙われたらまずくない?」
不安でいっぱいになる。
僕が敵なら、そんなに戦力を分散できたならヘリを狙って封印されてるレリックを狙うと思う。
これ、相当ヤバイんじゃ?
と思っていると
『ご忠告どうも。アキ君の心配してる事は、私も同感って言うのと、空は厄介な事にガジェットが実機と幻影の混成になってるから、私が限定解除して纏めて撃とすから、ヴィータとリインには地下の皆の援護。なのはちゃんとフェイトちゃんにはヘリの護衛をしてもらう事したから、心配せんでええよ』
はやてから通信が入る。
と言うか、いつ通信が入ったんだろうか?
『マスターが寝ている間、通信は切らずにずっと情報が入るように、つながったままでしたので』
「‥‥‥‥‥そんな話、僕は聞いてないんだけど?」
それと僕は鬼の特訓を受けていたんであって、決してこの緊急事態に惰眠をしていたわけではない。
『そんな事よりマスターは、このままここに居て良いんですか?』
そんな事って言われた!
僕のプライバシーはそんな事で済まされる物なの!?
まぁ、このままここに居て良いわけがないから、ここは黙っておくけど‥‥‥‥‥‥
「はやて、僕は地下かヘリどっちに向かえばいい?」
『今から地下に向かうより、ヘリの護衛に向かう方が近いから、アキ君はヘリの方に向かってくれるか?』
「了解。‥‥‥‥さてと、じゃあ僕等もそろそろ行こうか?」
僕が返事をしてはやてとの通信を終えると、直ぐにヘリに向かって飛んでいく事にする。
『はい。急ぎましょうマスター。今は、なのはさん達もヘリの近くにいないようなので、今ヘリは無防備のようです』
「それは‥‥‥‥まずいね。ちょっと全力で行くとしようか。小さい女の子もヘリに乗ってるみたいだし」
小さい女の子を危険な目に合わせるわけにはいかないからね。
僕はドラゴンドライブを使って、最速で飛んで行こうと思ったんだけど
『‥‥‥‥マスター、まさかとは思いますがロリコンなんですか?』
「違うよ!? 純粋に女の子の心配しただけだよ!?」
ロリコン疑惑を吹っかけられる。
以前フェイトにもロリコン疑惑を掛けられたけど、なんだかデジャブだ‥‥‥‥
『なら良いですけど‥‥‥‥もしロリコンなら、なのはさんやフェイトさんが悲しみますよ?』
あれ? この疑いに関しては以前フェイトの手によって解決してなかったっけ? これはあれか? さっき僕の事を起こそうと何度も声を掛けてくれたのに、僕が起きなかったから、仕返しをされてるのか?
「‥‥‥‥ドラグーン真面目にいこう。後でさっきの事はちゃんと説明するから‥‥‥‥」
『分かりました。では冗談はこの辺りにして、早く行きましょう』
やっぱり仕返しをされていたようだ。
「誰のせいで遅れたと思ってるんだよ‥‥‥‥ったく。ドラゴンドライブ!」
僕は小声で文句を言いながらも、ドラゴンドライブを発動して、無理やり身体能力を上げ、空へと上がり全走力でヘリへと向かって飛んで行った。
僕がヘリに向かっていた頃、フォワード組はギンガさんと合流した後、レリックのケースを発見するも、人間サイズの二足歩行をする無骨な格好の虫『ガリュー』と呼ばれている召喚獣と、エリオやキャロと同じような年の女の子『ルールー』と呼ばれていた子と、リインサイズの火を扱い自らを『アギト』と名のった少女と戦闘を行っていた。
幸いにも、その場にはヴィータとリインが救援に来て、ファーストアタックでレリックを死守。その後、地上に逃げられるも、セカンドアタックにて『ルールー』と『アギト』の二人を確保した。
そんな連絡を受けた。
「さすがだね、ヴィータ達は」
『ですね。後はマスター達がヘリを無事に護衛できれば、この任務も終わりですね』
と、僕等がこんな話をしていると、僕がドラゴンドライブを使っているだけあって
「あ、ヘリが見えてきた!」
僕達の前方にヘリを発見する。
その更に向こうには、なのはとフェイトの姿もあった。
どうやらヘリが狙われる事はなく、僕の心配は杞憂だったかに思えた時
『市街地にエネルギー反応! 大きい!!』
『これは‥‥‥‥砲撃のチャージ確認! 物理破壊型、推定Sランク!』
一瞬のうちにピンチへと陥る。
僕と砲撃。どっちが先に着くか? タイミング的に余裕はないけど、この速度を維持できれば間に合わない事はない。
なんの問題もなければ間に合わせる自信はある。
けど
ゾクッ!
僕は砲撃の話を聞いてから、ずっと何か変な感じがしていた。
なんだ? この感覚? 前にも一度こんな感じがあったような‥‥‥‥‥‥
☆
アギト達が捕まる少し前の、市街地にあるビルの屋上。
そこには茶髪でメガネをかけた女と、茶色でロングヘアーの髪を後ろで縛っている女二人と
「ついてねぇ‥‥‥‥‥‥ホントついてねぇ。何でおれがこんな事を‥‥‥‥‥」
ブツブツと文句を言って、やる気の欠片も見られない男、扇風月がいた。
「もう風月さん、アナタは今回ご自分で『俺も行く』と仰られたんですから、文句なんて言わないで下さいよー」
「クアットロ、そうは言うがよー、俺は管理局の奴らと戦えると思って、この件に志願したんだぜ? それなのに、俺の仕事は人造マテリアルのガキを連れて帰るだの、レリックを回収だの、ヘリを撃とすだの、こんなつまらん事ばっかりなんだぞ? 文句でも言ってねぇとやってられねえよ」
そう言って扇はメガネをかけた女、クアットロに愚痴る。
扇は以前、ホテル・アグスタで竹原の実験に付き合ったせいで、明久と戦い損ねたのを悔やんでいた。だから今回は戦ってやろうと、気合を入れてここまで来たのだが、自分に与えられた仕事はそんな楽しい物ではなく、やる気が出ないでいた。
「と言うわけだから、ディエチちゃん? 風月さんはやる気が起こらないみたいだから、あのヘリ撃としちゃってくれる?」
「いいのかクアットロ? 撃ったらケースは残るだろうけど、マテリアルの方は破壊しちゃう事になる」
ディエチと呼ばれた女は、扇が仕事を放棄しているため、クアットロに狙撃を頼まれるが、マテリアルを破壊する可能性がある事を指摘する。
彼女達の目的はレリックは勿論の事、人造マテリアルと思われるヘリで護送されている子どもも目的だ。
その対象を破壊してもいいのか? と言う意味での質問だったが
「ふふふ。ドクターとウーノ姉さま曰く、あのマテリアルが当たりなら、本当に聖王の器なら砲撃くらいでは死なないから大丈夫。だそうよ?」
クアットロは何の問題もないと言ってくる。
と、その時
「ん? この感じは‥‥‥‥来たか、雷炎龍!! クアットロ、ディエチ、後は任せた! 俺は邪魔になりそうな管理局を叩きに行ってくる!!」
扇はそう言って、この場を離れてどこかへと飛んで行ってしまった。
「あ~らら。行っちゃったわね‥‥‥‥まぁ、風月さんがいてもいなくても、別に何も困らないんだけどね」
『クアットロ、ルーテシアお嬢様とアギトさんが捕まったわ。今はセインが様子を窺ってる』
そこにクアットロに通信が入る。
内容はヴィータ達が捕まえた少女達を逃がすためのフォローを要求するものだった。
☆
『マスター? どうかされましたか? 急がないと、砲撃に間に合いませんよ?』
僕が砲撃とは別の何かが迫っていると感じ、周りを警戒するとドラグーンに急ぐように言われる。
「そ、そうだよね。ごめん、ドラグーン。ちょっと気が散ってたみたい」
僕はドラグーンに指摘されて、変な感覚を気のせいだと無理やり思い込んで、頭から追い出し、再度ヘリに気持ちを向けて、ラストスパートをかけようとした時
『っ!? マスター!! 右横から何か来ます!! 注意して下さい!!』
ドラグーンが僕に警告を出してくる。
僕はその警告に、すぐさま反応してバリアを展開すると
ゴオオォォォオオ!!
と言う音と共に、巨大な風の塊が僕を襲ってきた。
僕はバリアを張って完璧に砲撃を防ぎきると、誰が仕掛けてきたのかは、ある程度予測できたけど、一応確認する。
「ほぉ。今のをあっさり防げるようになったか。少しは強くなったじゃねえか雷炎龍」
そう言って僕に話しかけてきたのは案の定、風龍の力を扱う扇風月だった。
「また君なの? 僕の行く先々で現れてるけど、何なの? ストーカー?」
扇は僕の事を見て、心底楽しそうに話しかけてきたけど、僕として凄い迷惑なので、できうる限りの嫌な顔をして、返事をしてやる。
「そう言うなよ。俺は力をつけたお前と戦える日を楽しみにしてたんだからよ」
「僕は戦いたくなんてないんだけど、わざわざ犯罪者が自ら僕の目の前に現れたんだ。逮捕させてもらうよ」
そう言って僕は、両手の剣を構えて扇を睨みつける。
いつまでも付きまとわれたら面倒だ。今日、今ここで扇を捕まえる!!
と、僕は意気込んでいたんだけど
『マスター! こんなのを相手してる場合じゃありません!! ヘリを守らないと!!』
ドラグーンの言葉によって、現状を思い出す。
しまった! ヘリは今、狙われてるんだった! 扇の相手なんかしてる場合じゃないんだった!
「おっと、行かせねえぞ? お前には俺と遊ぶって言う大事な仕事があるだろう?」
そう言って、扇は僕が動くよりも先に僕とヘリの間へと割り込んでくる。
くそ! これじゃあヘリの元まで行けない!
こうなったら、速攻で扇を沈めてやる!!
幸いにも、扇は僕を舐めて今回もデバイスを出したり、ドラゴンドライブを使ったりはしていない。
ドラゴンドライブを使ってる今の僕なら、扇に勝つ事だって不可能じゃない!
「さぁ、楽しい遊びの始まりだ!!」
扇は叫びながら手の平に風の塊を作って、僕に向かって一直線に飛んできた。
それに対して僕は全速力で扇に近づき
「テスタロス直伝!! 奥義! スターバースト・ストリーム!!」
初手から奥義、スターバースト・ストリーム十六連撃をお見舞いする。
最終奥義の中でも、最もスピードの速いスターバーストと、ドラゴンドライブ状態での本気のスピード。
この二つのコンビは僕の予想を遥かに超える威力だったらしく
「ガフッ! なん、だ‥‥‥‥そ‥‥れ‥‥?」
僕と扇の立ち位置は入れ替わっていて、扇は一瞬のうちに切り伏せられて、体の十六か所に傷を負っていた。
つまり、扇は一発たりとも僕の攻撃を防げなかったのだ。
「扇風月。公務執行妨害および市街地での危険魔法使用で逮捕する」
「っ!? クソが!! 俺を逮捕だと? こっちが加減してやってただけで調子のんじゃねえぞ! オルカーン!」
そう言って扇は、今まで見た事のない顔をして僕を睨みつけ、初めて自分のデバイスを出す。
扇のデバイスは死神が持っていそうな大きな鎌だ。
「俺はお前との戦いは楽しみにしてたし、お前が強くなる事も望んでた。だが、お前に見下される気は毛頭ない。‥‥‥‥‥俺を見下した罰だ。今日ここでお前は殺す。ドラゴンドライブ!」
扇が体の至る所に風を纏っているのが分かる。やはり僕にドラゴンドライブの事を教えただけあって、扇も使えたようだ。
と言うか、別に見下した覚えは全くない。むしろ僕の事を見下して、舐めきっていたのは扇の方だと思う。
「ドラゴンドライブ、DDが使えるのはお前だけじゃない。同じ条件なら俺の方が強いんだよ!」
と、その時だった。
ド――――ン!!
僕が扇に邪魔されている間に砲撃が放たれ、音がしてから音のした方向を見ると、さっきまでヘリがあった場所は煙でいっぱいになり、何も見えなくなっていた。
「嘘、でしょ‥‥‥? 僕は、間に合わなかった‥‥‥‥の‥‥‥?」
僕は扇を睨みつけながら、扇と自分を呪った。
コイツさえ、扇さえ出て来なければ、ヘリの防御に間に合ったのに‥‥‥‥
僕が、僕がもう少し速く飛べれば、もう少し強ければ、もう少し早く特訓を終わらせられるくらい要領が良ければ、間に合ったのに‥‥‥‥‥
「あ? なんだその眼は? テメェがトロイからヘリを守れなかったんだろうが? 俺は元々お前等と戦いに来てんだ。破壊は別に望んでねえよ。まぁ、止める気もなかったがな」
「扇‥‥‥! お前は僕の手で絶対に捕まえてやる‥‥‥‥‥!」
僕は扇に憎悪を込めて睨み、怒鳴り散らす。
自分自身の事も許せないけど、コイツの事はもっと許せない。
そもそもコイツが自分の欲求のために、ここに来なければ、こんな事にはならなかったんだから。
と、僕は完全に冷静さを失い、憎しみを込めて扇を切ろうと突撃しようとすると
『勝手に殺すな、このバカ』
ノイズ交じりにそんな男の声が聞こえてくる。
え? この声って‥‥‥‥
僕はこの聞き覚えのある声を聞いてヘリの方に視線を向けると、段々煙が晴れていき
『各員に報告。こちらスターズ01。ギリギリセーフでヘリの防御、成功!』
「なのは!!」
なのはが間一髪で砲撃から、ヘリを守っていた。
「明久君! 目の前の敵に集中! 砲撃してきた方は私とフェイトちゃんで捕える。その後、直ぐに明久君の援護に向かうから!」
『そう言うこった。明久、こっちは気にせず全力で目の前の奴に集中しろ。遅れてきた分、しっかり働け』
なのはの凛とした声と、ヴァイスさんの僕の背中を押してくれる言葉。
全く。この二人、かっこよすぎだよ。
「フー、了解。こっちは扇を捕まえる事に集中するよ」
僕は二人の言葉で冷静さを取り戻し、落ち着いた心で扇と相対する。
「なんだ? 憎悪が消えたな。そんなんで俺と真面にやりあえる気か? まぁ、憎悪を抱いても本気の俺と真面にやり合うのは無理だけどな」
扇が何やら言っているが、僕はそれを無視して目を閉じ、今日テスタロスに特訓中に言われた言葉を思い出す。
「チッ、無視とは気に入らねえな。もうお前死んでいいぞ? てか殺してやるから、今すぐ死ね!!」
扇は舌打ちをした後、僕に向かって飛び出してくる。
『いい明久? 奥義を使う時は憎悪に取りつかれたりしたらダメよ? この奥義は砲撃みたいに一発撃って終わりじゃない。連撃を積み重ねる奥義なのだから、剣を振るう時はその事だけを考えなさい。アナタはバカだけれど、本気で一つの事に集中した時の集中力は誰よりも凄いのだから』
つまり、奥義である連撃は集中すればするほど、失敗はしないし、威力も上がる。とこういう事だ。
僕は迫ってくる扇が振るってきた大鎌を弾き返して
「二刀流最終奥義! ジ・イクリプス!!」
最高に集中した状態で、二十七連撃をお見舞いする。
「うおおぉぉぉおおおっっ!!」
その剣舞は、まさに圧巻。
二十七連撃、全ての攻撃を真面に食らった扇は、完全に意識を失っていた。
「これで‥‥‥‥‥ラストだ!!」
僕が二十七連撃の最後を放ちきると、特に意識したわけではなかったんだけど、意図せずして、なのは達が追い詰めていた二人の方向に扇を吹っ飛ばす。
「きゃあっ! 今度はいったい何なの!? って風月さん!? なんでアナタが気を失ってるんですか!?」
意識を失った扇は吹っ飛ばされて、クアットロに衝突した結果、三人を一箇所に固める事となった。
そのチャンスを僕達が見逃すはずもなく、僕、なのは、フェイトの三人で扇達を囲み
「トライデント‥‥‥スマッシャー!!」
「エクセリオン‥‥‥バスター!!」
「雷炎龍の‥‥‥粉塵!!」
僕、なのは、フェイトは三人同時に砲撃を放つと
ドカ――――――――――ン!!!
扇達のいた場所で僕等の攻撃がぶつかり合った。
その瞬間
『ビンゴ!』
ロングアーチ、の皆が喜びの声を上げるが
「じゃない! 避けられた!」
『ええ!?』
「直前で救援が入った!」
「アルト、追って!!」
なのはとフェイトの言う通り、砲撃が直撃する直前に何者かにより、と言うより明らかに奴らの仲間だろう。ソイツによって扇達三人は抱えられて、逃げられてしまった。
その後、ロングアーチによる必死の追跡も空しく
『反応ロスト。異常反応も消滅』
結局、扇達には逃げられてしまった。
しかも最悪な事に、その後ヴィータからの連絡で、捕えていた『ルールー』と呼ばれていた少女と、『アギト』に逃げられてしまったという事を聞かされる。
最初はロストロギアも奪われたと言う話だったけど、これに関してはフォワードメンバーが一工夫して、見事に敵を騙して、死守できたとの事。
‥‥‥‥‥‥皆、凄い優秀だな‥‥‥
このままだと、その内僕だけ役立たずとか言われるようになりそうだな‥‥‥‥‥もっと訓練頑張ろ‥‥‥
因みに、保護した少女は検査のため、聖王教会の付属施設である聖王医療院へと送られ、現在は検査入院をしている。
そんなわけで、多少のケガ人は出したもの、休暇から始まった大規模な任務は、少女の保護、レリックの確保と最低限の事は無事にやり遂げ、終わりを迎えた。