魔法少女リリカルなのは バカの参戦    作:セイイチ

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今回は最近のと比べると短めです。


第三十八話

 保護した少女を聖王医療院で検査してもらった翌日。

 僕は今、フェイトとはやての二人と一緒にいたんだけど

 

 「臨時査察? 機動六課に?」

 

 何やら二人は難しそうな話しをしていた。

 

 「う~ん。地上本部に、そういう動きがあるみたいなんよ」

 

 「地上本部の査察は、かなり厳しいって」

 

 「うう‥‥‥‥うちはただでさえツッコミどころ満載の部隊やしなー‥‥‥‥」

 

 ツッコミ所? 隊長達の異常な強さの事とかかな? 僕にはツッコミ所なんてないよね? そう信じたい‥‥‥‥

 

 「今、配置やシフトの変更命令なんて出たりしたら、正直致命的だよ?」

 

 「うーん。何とか乗り切らな‥‥‥」

 

 二人の雰囲気から察するに、かなり深刻な問題のようだ。

 僕にはイマイチ良く分からないんだけど‥‥‥

 

 「‥‥‥‥ねぇ、これ、査察対策にも関係してくるんだけど‥‥‥‥六課設立の本当の理由、そろそろ聞いてもいいかな?」

 

 六課設立の本当の理由? って事は本当はレリックの確保は表向きで、実は他に何か理由があるって事?

 

 「‥‥‥‥そやね。まぁ、ええタイミングかな。今日、これから聖王教会本部、カリムのところに報告に行くんよ。クロノ君も来る」

 

 クロノ・ハラオウン提督。確か、機動六課の後見人の一人で、フェイトの義理のお兄さんだっけ? で、この前会ったエイミィさんと結婚していて、現在二児のお父さん。次元航行部隊に所属してる人だ。

 僕は直接会った事はないけど、良く皆から聞く話ではこんな感じだったはずだ。

 

 「なのはちゃんと一緒に、付いてきてくれるかな? そこで、まとめて話すから」

 

 どうやら、クロノ提督なんて偉い人も来るみたいだし、何よりかなり大事な話しで難しそうな話になりそうだ。

 そんな所に僕が行っても、話が理解できるとは思わないし、行っても無駄だな。

 僕は、この思考を二秒と掛からずに終了させる。

 こういうのには、”こっち”の世界に来て慣れたからね。この程度の事は一瞬で理解できる。

 と言うか、ぶっちゃけ経験上、こう言う話は僕が聞いても理解できないというのもあるけど

 

 「じゃあ僕は六課で留守番しとくよ」

 

 「ええんか? アキ君も六課の一員なんやから、知りたかったら一緒に来て話聞いてくれていいんやで?」

 

 「まぁ、僕は皆の事を信じてるからね。僕は、はやて達に命令された事を実行する事しか考えないから、難しい事は別に聞かなくていいよ」

 

 信頼できる上司がいて、その上司の命令通りに動く僕には、難しい事は知る必要がないからね。

 

 「‥‥‥‥‥ありがとうな、アキ君。私の事信頼してくれて」

 

 「え? 別にお礼を言われるような事じゃないと思うだけど‥‥‥‥」

 

 僕が勝手に信頼してるだけなんだし、お礼なんて全く必要ないと思うんだけど‥‥‥

 

 「ふふ。それじゃあ、なのはに連絡入れるね? なのは戻ってるかな?」

 

 フェイトはそんな僕達の会話を聞いて笑みを見せてから、なのはに連絡をしようとモニターを開くと

 

 『ふぇぇぇぇぇええん!! やあぁぁだぁぁぁぁあああ!!』

 

 この前保護した女の子が盛大に泣きじゃくっていた。

 今泣いている女の子は、なのはからの事前報告で、聖王医療院から連れて帰ると連絡があり、名前は『ヴィヴィオ』と言うらしい。

 ヴィヴィオは検査の結果、人造生命体である事が判明。

 魔力量はそれなりに高いものの、普通の子どもと大差はないらしい。

 と、まぁヴィヴィオの事で分かってる事は、この程度なんだけど

 

 「なんでヴィヴィオは泣いてるの?」

 

 僕の素朴な疑問だ。

 何があれば、ここまで大泣きする事があるんだ?

 

 『あ、明久君、フェイト隊長。実は‥‥‥‥‥』

 

 なのははモニター越しに僕達がいるのに気付くと、困ったような顔をする。

 周りにはフォワードメンバー全員がいて、一生懸命あやそうとしている。

 

 『やぁあだあぁぁああ!! 行っちゃやだぁぁぁあああ!!』

 

 「とりあえず、行ってみる?」

 

 「だね」

 

 

     ☆

 

 

 僕等がなのは達の下へ行くと

 

 「エースオブエースにも勝てへん相手は居るもんやねー」

 

 はやてが第一声を上げる。

 その顔は少し楽しそうだった。

 まぁ、実際この光景は中々に面白いんだけどね。

 とは言え、なのははこの後フェイトとはやてと一緒に聖王教会に行く事になってるし、ずっとこのまま見ておくと言うわけにも行かない。

 

 「さてと、ヴィヴィオこんにちわ♪」

 

 「ふぇ?」

 

 僕が笑顔でヴィヴィオに近づいて、しゃがみ込み目線を合わせてから声を掛けると、ヴィヴィオはとりあえず一旦泣き止む。

 それを見た皆は、かなり驚いていた。

 

 「僕は明久って言うんだ。よろしくね?」

 

 「うん」

 

 よしよし。今の所は順調のようだ。

 昔から、子どもには何故か好かれてたから、あんまり心配はしてなかったけど、やっぱり無視されなかった事には安心はしてしまう。

 

 「ねぇヴィヴィオ? ヴィヴィオはお菓子とか好き?」

 

 「おかし?」

 

 「うん。こんな奴の事だよ」

 

 僕はそう言って、ポケットから棒付きイチゴ味の飴を取り出してヴィヴィオに渡してあげる。

 ヴィヴィオは最初、それを物珍しそうに見ていたが

 

 「これ、たべれる?」

 

 と聞いてきたので、僕が飴の袋を外してヴィヴィオに渡して上げると

 

 「おいしい♪」

 

 ヴィヴィオは笑顔になる。

 その笑顔は、さっきまで泣いていたとは、とても思えない位いい笑顔だった。

 さて、ヴィヴィオも泣き止んだ事だし、そろそろ本題に入るとするか‥‥‥‥

 

 「ねぇヴィヴィオ?」

 

 「ん? なに?」

 

 ご機嫌になったヴィヴィオはさっきまでと全然違った反応を見せてくる。

 もう完全に委縮しているといった感じは一切なかった。

 

 「あのね? なのははこれからちょっとお出かけしないといけないんだ」

 

 僕がそう言うと、ヴィヴィオは又もや泣きそうな顔になるが、今度は目に涙を溜める程度で済んでいた。

 あ、危ない。せっかく泣き止んでくれたのに、台無しにする所だった‥‥‥‥‥次はもっと慎重にいこう。

 

 「だけど、ヴィヴィオはなのはと一緒にいたいんだよね?」

 

 「うん」

 

 「そっかヴィヴィオはなのはが大好きなんだね」

 

 「うん」

 

 「ならさ、なのはを困らせるような事はしたいわけじゃないよね?」

 

 「うう‥‥‥」

 

 「スト――ップ!! まだ泣いちゃダメだ。もう少し僕の話を聞いてね?」

 

 僕は泣きそうになるヴィヴィオを慌てて止める。

 ふぅー。どうやら、ギリギリ泣かなかったようだ。

 これは、あれだな。なのはが懐かれ過ぎてて大変なんだな。

 あまり時間をかけると一瞬で泣いてしまいそうだし、ここは短期戦で行くとしよう。

 

 「ふぅー。ヴィヴィオの大好きななのはは、ヴィヴィオがわがままを言うと、凄く困っちゃうよ? だから、良い子で待ってようね?」

 

 「でも‥‥‥」

 

 「なのはがいない間は僕達と一緒に遊んでようよ? ずっと一緒にいてあげるからさ」

 

 「‥‥‥‥うん」

 

 僕のごり押しにより、遂に頷くヴィヴィオ。

 よし! 上手くいった!

 まぁ、その代わりこの後予定していた惰眠を貪る計画は台無しだけど‥‥‥‥

 

 「す、凄いね。アキ‥‥‥‥」

 

 「僕達がいくら説得しても、全然頷いてくれなかったのに‥‥‥」

 

 「アキ兄、凄いです」

 

 「子どもと同じような知能だと、子どもに好かれるのかしら?」

 

 「こらティアナ! なんて事言うんだ!? そんな言い方したら僕がバカみたいじゃないか!!」

 

 「いや、実際そうでしょうが‥‥‥‥」

 

 なんて事を言うんだ。これでも日々理解力が上がって、同じ話を三回聞けば理解できるくらいには成長してると言うのに‥‥‥‥これは一言言っておく必要があるな。

 と、僕がティアナに文句を言おうとした時

 

 「おこっちゃめ」

 

 ヴィヴィオが僕に抱きついてきて、こんな事を言ってくる。

 

 「えっと‥‥‥‥ヴィヴィオ?」

 

 「め」

 

 「いや、だから」

 

 「め」

 

 「はい‥‥‥‥‥ごめんなさい」

 

 僕はヴィヴィオに負けて、素直に謝る。

 僕は悪くないはずだ。

 なんでこうなったんだ?

 

 「‥‥‥‥‥‥声だけ聴いてると、どっちがお世話される側なのか分からない辺りが流石よね」

 

 ‥‥‥‥ティアナ。

 事実だからって言っていい事と悪い事があるって知ってる?

 

 「あ、あははは。ごめんね明久君。ちょっとの間、ヴィヴィオの事お願いできる?」

 

 僕が落ち込んでいると、なのはにヴィヴィオの事を頼まれる。

 ヴィヴィオの面倒を見る事に関しては、大丈夫だ。まったく問題ない。

 だけど‥‥‥‥

 

 「‥‥‥‥僕の事を慰めてくれる人も一緒なら‥‥‥」

 

 「なんでアンタの慰め要員が必要なのよ?」

 

 「君の一言が原因だよ!! 僕の心はガラ「嘘は止めなさい」スのハートって早いよ!! まだ言い切ってないよ!! 最後まで言わせてよ!」

 

 なんでだろう? 

 最近、ティアナが雄二に似てきた気がする。

 主に僕に対する扱いが

 

 「ま、まぁ、そんなわけだから、フォワード一同。少しの間お願いね? 特に明久君」

 

 「「「はい!!」」」

 

 「まぁ、既にヴィヴィオは離れてくれる気がないみたいだしね」

 

 僕のHPが削られている間も、ヴィヴィオは僕の服をしっかり掴んでいて離さないとか言うレベルじゃなく、首にしっかりと手を回しているほどだった。

 自分でやった事とは言え、まさかここまで懐かれるとは想定外だ‥‥‥‥

 

 「ヴィヴィオ、ちょっと出かけてくるだけだから、その間明久君達と遊んでてね?」

 

 「うん」

 

 かくして、なのは達は聖王教会にお出かけ。

 僕達フォワードはヴィヴィオの遊び相手をする事になった。

 もちろん、僕にはないけど、エリオ達には事務仕事もあるわけで、まだ仕事が残っていたんだけど、スターズの二人がエリオとキャロの分まで請け負って、結局ヴィヴィオの遊び相手はライトニング部隊だけでやる事となった。

 ヴィヴィオは終始良い子にしてたんだけど、今度の休みの日にヴィヴィオは外に遊びに行きたいらしく、何故か僕が遊びに連れて行く事になってしまった。

 ‥‥‥‥どこで間違って、こうなったんだろうか‥‥‥‥?

 この後、なのは達が帰ってきて、この事を話すと

 

 「いつスカリエッティ一味が襲ってくるかも分からないのに、どうして狙われてるヴィヴィオとそんな約束しちゃったの!?」

 

 盛大に怒られた。

 しかも三人に――いや、会う人会う人に怒られたので、怒らなかったのは当事者であるヴィヴィオと、僕が怒られる度に苦笑いを浮かべていたエリオとキャロだけだった。

 結局、ヴィヴィオにまた泣かれても困るとの事で、明後日、何もなければ僕となのはとヴィヴィオ、それに警戒のためにフェイトも一緒に同行の上、外に遊びに行く事になった。

 僕はその後、六課の皆、個々人に

 

 「大変なご迷惑をお掛けして、申し訳ありませんでした‥‥‥‥」

 

 と謝罪してから、今日一日をようやく終える事が出来たのだった。

 

 

 

 

 

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