魔法少女リリカルなのは バカの参戦    作:セイイチ

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今回は一万字を超えてしまい、大分長くなってしまいました‥‥‥‥‥すみませんm(__)m

長いですけど、お付き合いいただければ幸いです。


第三十九話

 ヴィヴィオを遊びに連れて行くという約束をしてから、二日後。

 つまり、約束の日当日。

 天気は晴天で、遊ぶには絶好の日となった。

 

 「へへ、はやくいこ♪」

 

 僕の隣には、僕と手をつないで楽しそうにしているヴィヴィオがいる。

 ホント、無邪気だよね‥‥‥‥僕はヴィヴィオを連れてくるのに凄い怒られまくったって言うのに‥‥‥

 

 「ちょっと待ってね? フェイトが車を出してくれるから、それに乗って行くからね」

 

 「フェイトママ?」

 

 「あ、そうだったね。そ、フェイトママとなのはママが車を取りに行ってくれてるんだ」

 

 これは昨日の話なんだけど、なのはが正式にヴィヴィオの保護責任者に、フェイトが二人の後見人になったと言う話をヴィヴィオにした所、良く分かっていないヴィヴィオに、スバルが間違った知識を与えた結果、ヴィヴィオは二人の事を”ママ”と呼ぶようになっていた。

 因みに僕は『あきひさ』と呼ばれている。

 と言うわけで、僕とヴィヴィオが二人を待っていると

 

 「ごめーん! お待たせー」

 

 「待たせてごめんね? ちょっとチャイルドシート付けてたら遅くなっちゃた」

 

 二人は車に乗って、僕達を迎えに来てくれる。

 フェイトの車は黒いスポーツカーで、普段は二人乗りにしてるけど、トランクスペースを使用すると二シート増設可能になっていて、今回はそこにチャイルドシートの設置までしていた。

 チャイルドシートまで用意されてる辺り、さすがだな。

 

 「ママー」

 

 と、ヴィヴィオはなのはの姿を見るなり、なのはに向かって走り出してしまった。

 僕やフェイトに大分懐いていてきたとは言え、一番好きなのは、なのはのようだ。

 

 「じゃあ、そろそろ行こうか? ヴィヴィオも早く『なのはママ』とお出かけしたみたいだし」

 

 「え~、ヴィヴィオと約束したのは明久君じゃな~い。いかにも私がヴィヴィオを連れだしたみたいないい方はズルイよ?」

 

 「まぁ、そうだけどさ‥‥‥‥ヴィヴィオは僕よりも、なのはと出かけられる方が嬉しいみたいだし」

 

 現にさっきまで、僕と手を繋いでいたのに、もうなのはにくっ付いてるし。

 

 「ふふ。確かにそうかも。明久と約束してたはずなのに、なのはと一緒の方が楽しそう」

 

 「ええ~? フェイトちゃんまでそんな事言うの?」

 

 「実際そう見えるしね?」

 

 「だよね」

 

 「う~。それだとまるで、ヴィヴィオと約束したのは私みたいだよ~」

 

 うん。まぁ、そこはごめんなさい。

 もし何かあっても、全力でヴィヴィオは守るから、それで許して下さい。

 とまぁ、出発前の初っ端からこんな感じで、僕達は道中も楽しみながら街へと出かけて行った。

 

 

    ☆

 

 

 街に到着して、車を止めて街をぶらつき始めると

 

 「あきひさ、あれたべたい」

 

 ヴィヴィオはさっそく、周りの人達がアイスを食べているのを見て、ヴィヴィオも食べたそうな顔、と言うより、実際に言葉に出してくる。

 

 「いいよ。何味がいい?」

 

 「んー、しろいやつ」

 

 白? ああ、バニラか。

 周りを良く見ると、アイスを食べてる人のほとんどがバニラを食べていたから、多分それを見てバニラが食べたくなったんだろう。

 

 「分かった。じゃあ、ちょっと待っててね? バニラ買ってくるから。なのはとフェイトは何がいい?」

 

 「え? 私達もいいの?」

 

 「そりゃもちろん。で? 何がいい?」

 

 僕が二人は何味がいいのか尋ねたら、二人は自分達の分まであるとは思わなかったみたいで、驚いていた。

 まぁ、”こっち”に来るまでの僕なら、いつも金欠だったから、こんな事はしないんだけど、今は生活面では六課に保護してもらってるから問題もないし、ゲームや漫画も暇がないから買ってないから、ぶっちゃけ金を使う事が滅多にない。

 しかも、生活を保護してもらってるのに、給料まで貰ってるから、今はちょっとした金持ち気分だ。

 だから、この程度の出費は痛くもかゆくない。

 

 「えっと、じゃあ私はオレンジで」

 

 「私はチョコバニラで」

 

 「なのはがオレンジで、フェイトがチョコバニラね? 了解。じゃあちょっと行ってくる」

 

 僕が皆のアイスを買った後は、午前中は色んな店を回ってヴィヴィオに似合いそうな服や、ヴィヴィオが気に入った物を買ってあげたりして過ごした。

 と言っても、僕は服の事にはあまり関心がないから、おしゃれとかで楽しんでるのは女の子三人だけだったんけどね。 

 僕はまぁ、その、俗にいう荷物持ちって奴だ。

 僕は女の子の買い物は長いと言う、良く聞く話を思い出して、全くその通りだと痛感していた。

 まぁ、世の中の女の子が皆、この三人みたいな感じで買い物をしているなら、買い物が長い理由も分からなくもない。

 

 「ほら、明久君、早く早く!」

 

 「明久、早くしないと置いて行っちゃうよ?」

 

 「あきひさ、はやく」

 

 こんな感じで、疲れを全く見せないで、凄い楽しそうにしてるから、女の子の買い物は長いんだろう。

 こうして楽しそうにしている皆は、ヴィヴィオは勿論だけど、なのはもフェイトも普通の女の子みたいだ。

 まぁ、なのはもフェイトも、エースオブエース等の異名を持っていたりしても、プライベートでは19歳の普通の女の子って事なんだろう。

 

 この前は散々怒られたけど、僕よりも皆の方が楽しそうにしてる姿を見てると、なんだかんだ言っても、二人ともヴィヴィオとこうして遊びたかったのかな?

 

 そう思うと、より一層なのは達が年頃の女の子と何も変わらない、普通の女の子だと思い知らされる。

 けどまぁ、今の僕は、なのは達が普通の年頃の女の子だって事よりも

 

 「ちょ、ちょっと待ってよー。荷物が多くて上手く歩けないんだよー」

 

 女の子の荷物持ちは凄い大変だと言う事で頭がいっぱいなんだけどね!

 ホント、この荷物多いよ!

 中に入っているのは服とかだから、一枚一枚が軽い分重くはないんだけど、いかんせん量が多すぎる。

 最早僕の両腕には紙袋が大量に吊るされてるし、腕で持っている荷物はドンドン積み重ねれて、僕の頭なんてとっくに超えている。

 こんな状態でどう急げと?

 

 「もう、明久君は男の子なのにだらしないなー。ウチのお兄ちゃんなら、もう少し持てたのにな」

 

 「クロノももう少し、持ってた気がする」

 

 ‥‥‥‥マジ?

 なのはのお兄さんもクロノさんも、そんな事できるの?

 世の中の妹がいる兄とは、皆そんな事ができるんだろうか?

 お兄さん方凄すぎです‥‥‥‥

 

 「まぁ、でも確かに荷物が多いのも確かだし、コインロッカーに一度預けに行こうか?」

 

 「そうだね。このままじゃ真面にお店にも入れないしね」

 

 え? まだ何か買うの?

 これだけ買えば充分なんじゃ‥‥‥‥‥

 

 「んー、お買いものも楽しいけど、そろそろお昼ご飯にしようよ。もうお昼回っちゃってるし」

 

 「あ、ホントだ。気が付かなかった‥‥‥‥」

 

 「おなかすいたー」

 

 ふぅー。どうやら先に昼食を挟んでくれるようだ。

 休憩があってホント良かった。

 このまま休憩無しだったら、僕は倒れていた自信がある。

 

 「じゃあ、お買い物は一時中断して、荷物を預けてから昼食にレッツ・ゴー!」

 

 「「おおう!」」

 

 なのはの掛け声に、元気に返事をするフェイトとヴィヴィオ。

 二人は僕と違って、まだまだ元気なようだ。

 女の子恐るべし!

 

 

    ☆

 

 

 僕等は、ついさっき買い物したばかりの荷物をコインロッカーに預けた後、予定通り、昼食を取っていた。

 因みにメニューはヴィヴィオの希望により、ハンバーグだ。

 

 「どうヴィヴィオ? おいしい?」

 

 「うん。ヴィヴィオ、これすきー」

 

 ヴィヴィオは自分の好きな物を食べられて、超ご機嫌だ。

 まぁ、その前にも欲しい物(と言っても服だが)を色々買ってもらってたから、既にご機嫌だったけど、ハンバーグを食べてからは、より一層ご機嫌のようだ。

 

 「そう? 良かったね? ヴィヴィオ」

 

 「うん」

 

 それにしても、凄いおいしそうに食べるな‥‥‥‥ヴィヴィオはハンバーグが好きなんだろうか?

 それなら

 

 「ヴィヴィオ、今度僕がハンバーグ作ってあげようか?」

 

 この店のハンバーグが好きなら、このハンバーグの味でも多分、再現できると思うしね。

 と、僕はヴィヴィオを喜ばせようと、そう言ったんだけど

 

 「あきひさ、つくれる?」

 

 ヴィヴィオは不思議そうに、なのはとフェイトに確認をする。

 あれ? そんなに嬉しそうじゃないな‥‥‥

 もしかして、そこまでハンバーグは好きじゃなかったのかな?

 と、僕は不安になる。

 

 「うん。明久君なら、ハンバーグくらい簡単に作れるよ」

 

 「と言うか、ここのハンバーグより美味しいかもしれないよ?」

 

 「たべるー」

 

 なのはとフェイトがヴィヴィオの質問に答えると、ヴィヴィオは僕の方に振り返ってから、『食べる』と言ってくる。

 どうやら、さっきのは僕が本当に作れるのか、疑われていたようだ。

 

 「美味しく作れるように頑張るね?」

 

 「うん」

 

 人の慣れたとは凄い物で、僕が料理ができると言うと初対面の人は、毎回毎回驚くから、もう僕が本当に料理ができるのか疑われても、何も感じなくなっていた。

 ホント、慣れって凄いね!

 こんな感じで、僕等は終始楽しく昼食を満喫した。

 午後からは、また鬼のような買い物があるんだろうけど‥‥‥‥‥

 

 

     ☆

 

 

  第二部のお買いもの大会が終わり、もう日が沈みかけて時間的にそろそろ帰らないといけない時間になっていて、僕達は車に向かって歩いてた。

 因みに、第二部を始めるに当たり、第一部の物品は先に車に詰め込んである。

 よくよく考えると、荷物をコインロッカーに入れたままだと、帰る時に第一部と第二部の荷物を両方持たないといけない事になる。

 流石にそんな事ができる量じゃないから、先に第一部の荷物だけ車に乗せておいたのだ。

 まぁ、第二部はそんなに買い物をしたわけじゃないから、第二部の荷物は少ないんだけどね。

 

 「どうだったヴィヴィオ? 今日は楽しかった?」

 

 「うん!」

 

 「それは良かった。事件が解決したら、またこうやって遊びにこようね? 今度はエリオ達も一緒に」

 

 帰り道、三人はこんな事を話していた。

 ヴィヴィオも楽しく遊べたようだし、なのはやフェイトも楽しかったようなので、怒られたけど来て良かったと思う。

 僕も、なのはやフェイトの普段ならあまり見る事の出来ない、普通の女の子らしい可愛い姿を見れたしね。

 

 「あ、そうだ。せっかくだし、皆でプリクラでも撮らない? 初めてヴィヴィオと遊びに来た記念に」

 

 「いいね。じゃあちょっとゲーセン寄って行こうか?」

 

 へぇー、”こっち”にもゲーセンってあるんだ‥‥‥‥

 僕が”向こう”にいた頃、僕は一時期かなりゲーセンにはまって、僕、雄二、ムッツリーニ、秀吉で近くにあるゲーセンのゲームのランキングを埋め尽くした程だ。

 プリクラは撮った事ないけどね。

 どうせ撮るなら女の子と一緒がいいと思ってたしね。

 ‥‥‥‥けど、そんな事を言っていたのが、仇になる日が来るとは思いもしなかった‥‥‥‥

 

 ‥‥‥‥‥‥

 

 「はい! 明久君。可愛くラクガキしてね?」

 

 僕が人生初のプリクラを撮った後、プリクラにはラクガキ機能が付いていて、そのラクガキをするためのペンをなのはに渡された。

 え? どうして僕にこれを? 撮る前に僕プリクラ初めてって言ったよね!?

 

 「ちょ、ストップなのは! 僕ラクガキとかした事ないし、って言うかプリクラ初だし、ここはなのはとフェイトが――」

 

 「初めてだからこそ、明久君がやるんじゃない」

 

 「そうそう。プリクラは写真を撮った後のラクガキが楽しいんだから、明久もちゃんと経験しとかないとね?」

 

 「ヴィヴィオも私達と一緒にラクガキしようねー?」

 

 「うん!」

 

 え? そっちは三人で、こっちは僕一人?

 

 「ほら、明久ラクガキできる時間は決まってるんだから早く。あ、けど一枚は何のラクガキもしないで置いておいてね? 一枚くらいは普通の写真も欲しいからね」

 

 だったら、全部普通の写真でもいいんじゃないだろうか? とは、こんな楽しそうな顔を見てると、口が裂けても言えないな‥‥‥‥

 

 「分かったよ。けどあんまり期待しないでね? 初めてなんだから‥‥‥‥」

 

 プリクラ初だから、どんな風にラクガキしたら良いか分かんないし‥‥‥‥

 

 「大丈夫だよ。明久の好きなようにラクガキすればいいんだし。ね?」

 

 「まぁ、そう言う事なら一応頑張ってみるよ‥‥‥」

 

 「うん! じゃあ、私はなのは達の方を見てるから、分からない事があったら、いつでも聞いてね?」

 

 そう言って、フェイトはなのは達の方を見に行く。

 

 「‥‥‥‥‥さて、ホントどうやってラクガキしよう? とりあえず、この皆でピースしてる奴は何もしないで置いておくか‥‥‥‥」

 

 僕はフェイトに言われた通り、何もラクガキしない奴を選び外しておく。

 その後は

 

 「‥‥‥‥‥イニシャルでも入れてみるか」

 

 とりあえず、思いついた事を書く事にした。

 写真は何枚かあり、それぞれ写真によってポーズが違ったりする。

 ピースをしていたり、手でハートを作ったり、怒っているような顔をしていたり、と数々のポーズがある。

 スタンプも☆やら❤やら♦やら色々あり、種類は豊富だ。

 

 「こんなにスタンプの種類ってあるの? ‥‥‥‥なんかもう色々考えるのが面倒になってきた。もう適当に☆とか❤とか入れておこ」

 

 僕は妙にあれこれ考えるのが、面倒になり適当にスタンプを見て、写真に張り付けていく。

 フェイトも僕の好きなようにラクガキすれば良いって言ってたし‥‥‥‥

 そう思って僕がスタンプを一通り、見ていくと

 

 「ん? 何このスタンプ? えーっと、動物耳シリーズ? どんな奴なんだろう?」

 

 僕は、この時は本当に何も考えずスタンプを押してみたんだけど

 

 「え? プリクラってこんな物まであるの!?」

 

 出てきたのは犬やら猫等の獣耳だった。

 種類はそんなに多くないみたいだけど、これは‥‥‥‥

 

 「せっかくのプリクラなんだし、こういうのも付けるべきだよね。うん。僕の趣味とかそう言うのじゃなくて、純粋にその方が皆楽しめると思うし。うん。そうだ。そう言う事だから他意はない‥‥‥はずだ」

 

 僕は誰に対しての言い訳なのか、独り言をブツブツ呟いた後、獣耳のスタンプを使ってラクガキをする。

 この時初めて、僕はプリクラのラクガキに全力を注いだのだった。

 

 

 僕が時間の許す限り全力でラクガキをやりきり、プリクラがプリントされて機械から出てくると

 

 「かわいいー」

 

 「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」

 

 ヴィヴィオは獣耳がついた写真を可愛いと喜んでいたけど、なのはとフェイトは複雑そうな顔をしていた。

 因みに、獣耳をつけたのは今見ている写真だけなんだけど、この一枚だけは凄い頑張ってラクガキしてみた。

 ヴィヴィオには何となくのイメージで兎耳、なのはは猫耳で、フェイトにはキツネの耳を付けてみた。

 当然、僕の頭の上に耳なんて付けても仕方ないので、僕は適当にメガネを付けて終わらせている。

 本当はメガネも無しで良かったんだけど、一応何かしておかないと、文句を言われそうだったから、適当に付けただけだ。

 

 「‥‥‥‥‥」

 

 「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」

 

 「? なのはママ? フェイトママ? あきひさ?」

 

 なのはとフェイトが無言だったため、僕も無言で二人の様子を窺っていると、ヴィヴィオが不思議そうな顔をして、僕等を見つめてくる。

 おお! ヴィヴィオ! ナイスタイミングだ!

 その持前の可愛らしさで、この何とも言えない空気をどうにかしてくれ!

 

 「あ、ごめんヴィヴィオ。ちょっと困惑してただけなんだ」

 

 「ちょっと明久の趣味について色々と思う所があって」

 

 「ちょ!? これは趣味じゃないよ!? 純粋に面白そうという僕の独特の感性から選んだのであって、決して獣耳が趣味で皆の頭の上に付けたわけではないよ!?」

 

 僕が予め用意していた言い訳を話しだす。

 この言及は予想の範囲なので、言い訳くらいは考えてある。

 のだが

 

 「この一枚だけ、凄いデコってるけど?」

 

 「偶々です」

 

 フェイトの言及は僕の予想を超えていた。

 ここから先は何も考えていないので、言葉が単調になってしまう。

 

 「これ以外の写真には、イニシャルとか星しかないのは?」

 

 「それ以外思いつきませんでした」

 

 「この写真は凄い頑張ってるのに、どうして明久だけ耳が付いてないの?」

 

 「メガネだけで充分だと――」

 

 「本音は?」

 

 「僕なんかより、獣耳を付けてる皆をもっと可愛くしたかったから、僕は邪魔だった」

 

 「やっぱり趣味なんじゃない」

 

 は! しまった! 思わず本音が‥‥‥‥。おのれフェイト、これが執務官ならではの誘導尋問という奴か!

 

 「先に言っておくけど、誘導尋問はしてないからね?」

 

 「バカな!? 思考を読まれただと!?」

 

 「それが嫌なら、もう少し思ってる事が顔に出ないようにしようよ‥‥‥‥‥」

 

 はぅー。それを言われると、返す言葉もございません‥‥‥‥

 

 「ま、まぁ、僕の趣味がどうとかは置いといて、‥‥‥‥‥せっかく撮ったんだし、この写真どうにかして常に持ち歩けないかな?」

 

 僕等が任務とかで出かけたりしても、ヴィヴィオが寂しくないように写真でくらいは常に一緒にいてあげたい。

 けど、僕には写真を常に持ち歩ける方法なんて思いつかない。

 だから僕は二人に提案してみたんだけど

 

 「じゃあ、ロケットペンダントに写真を入れる? それなら首に掛けておけば、肌身離さず持ってられるよ?」 

 

 なのはによって直ぐに解決策が出てくる。

 そっか、ロケットペンダントか! それなら、確かに常に持ってられるね!

 

 「けど、ロケットペンダントなんて、どこで売ってるのかな? 私、買った事ないから売ってる場所、知らないんだけど‥‥‥‥」

 

 「私も買った事ないから分かんないや‥‥‥‥‥明久君は、どんな感じのお店に売ってるか知ってる?」

 

 フェイトとなのはは、ロケットペンダントを買った事がないみたいで、どこに売ってるのか知らないみたいだ。

 当然、僕も売ってる所なんて知らないんだけど

 

 「ロケットペンダントって、ロケットにチェーンとかが付いてる奴だよね? それなら、あのクレーンゲームの景品になってるよ?」

 

 僕はクレーンゲームの景品の中に、ロケットペンダントのような物を発見して、皆に伝える。

 けど、なのはとフェイトは

 

 「クレーンゲーム? あ、ホントだ‥‥‥‥けど、クレーンゲームって景品取るの凄い難しいんじゃ‥‥‥‥」

 

 「それに、はやてとずっと前に遊びに来た時、はやてが『ここのアーム緩すぎひんか!? 全然取られへんやんか!』って言って、結局このお店では取れなくて、違うお店でいっぱい取ってたよ?」

 

 なるほど。他の店では大量に取れたはやてが、ここでは全く取れなかったのか‥‥‥‥

 よし、なら

 

 「どんな感じか、比較的取るのが簡単なぬいぐるみで練習してみよう」

 

 「「ええ!? ぬいぐるみって取るの簡単なの!?」」

 

 「うん。クレーンゲームをやりたいなら、こういうタイプの奴がおススメだよ? ええっと‥‥‥‥どれでも取れそうだな。ヴィヴィオ、どれが欲しい?」

 

 僕は二人の質問に答えてから、ぬいぐるみしかないクレーンゲームのケースの中を確認して、どれでも取れそうなのを確認して、ヴィヴィオの欲しい物を取る事に決める。

 

 「どれでもい?」

 

 「うん。いいよ? 好きなのを選んでね」

 

 僕がヴィヴィオにそう答えると、ヴィヴィオはケースの中を覗き込んで

 

 「んと、これー」

 

 兎のぬいぐるみを指さす。

 どうやら、ヴィヴィオは兎が好きなようだ。

 

 「了解、ちょっと待ってね? 二回もあれば取れると思うから」

 

 そう言って僕は、クレーンゲームを始める。

 

 「‥‥‥‥あ、失敗した」

 

 「あうー」

 

 一回目は捨石だったから、僕は特に悔しくはなかったんだけど、隣で見ているヴィヴィオは凄い悔しそうだった。

 

 「ヴィヴィオ大丈夫だよ。今のは練習。次は本番だから次でとるよ」

 

 僕は一回目でアームがかなり緩いのを確認したので、普通に取る方法を止めて、二回目は紐にアームを引っかける作戦を取る。

 すると

 

 「よし! 取れた!」

 

 「あきひさ、すごーい!」

 

 「「嘘!? そんな簡単に!?」」

 

 今度はしっかり取れて、ヴィヴィオは大喜びだ。

 なのは達は驚いてるけど‥‥‥‥‥

 

 「はいヴィヴィオ。‥‥‥多分この店のアームの緩さはどれも一緒だろうから、このままロケットも取っちゃうね?」

 

 僕はヴィヴィオに兎のぬいぐるみを渡してから、ロケットの入ったケースに向かい、一回も失敗する事なく、四つのロケットを手に入れる。

 

 「はい。皆の分も取れたよ」

 

 「「す、凄すぎる‥‥‥‥」」

 

 「そう? 僕よりも上手い人なんて、そこら中にいるよ?」

 

 「いや、私達の周りには、明久君より上手い人なんていないから‥‥‥‥‥」

 

 なのはの呟きにフェイトも首を縦に動かし、同意の意を示す。

 そんなに難しい事じゃないんだけどな‥‥‥‥現に雄二達もこの程度の事なら簡単にできるし‥‥‥‥

 と、僕が首を傾げていると

 

 「ヴィヴィオもできる?」

 

 「え?」

 

 「ヴィヴィオも、うさぎさんとれる?」

 

 まさかのヴィヴィオもクレーンゲームができるか聞いてくる。

 え? ヴィヴィオもやりたいの?

 

 「ヴィ、ヴィヴィオ止めといた方が良いと思うよ? これ、明久は簡単そうにやってたけど、実際やってみると凄い難しいんだよ?」

 

 「そうそう。ヴィヴィオは止めといた方が良いよ。欲しい物があるなら、こういうのが得意な明久君が取ってくれると思うし‥‥‥」

 

 「やーりーたーいー!」

 

 「「ええ!? そんなに!?」」

 

 あ、今分かった。なのはもフェイトもクレーンゲームは苦手なんだ。

 だから、あんまり好んでないんだ。いつヴィヴィオに自分達が取ってと頼まれるか分からないから‥‥‥‥

 僕は二人の気持ちに気づくと

 

 「よし、何事も経験だ。挑戦して見ようヴィヴィオ!」

 

 「「ええ!? ホントに!?」」

 

 「やったー」

 

 僕はあえて、ヴィヴィオに挑戦させる事にする。

 だって、この二人が困った顔って、滅多に見られないし、偶にはそういう顔も見てみたいじゃない?

 と言うわけで

 

 「じゃあ、始めようか。‥‥‥いいヴィヴィオ? 一回目のタイミングは僕が指示してあげるから、そのタイミングでボタンから手を放すんだよ?」

 

 「うん」

 

 ヴィヴィオのゲーム初挑戦が始まる。

 

 「‥‥‥‥もう少し、もう少しで、はい! ストップ!」

 

 一回目、僕の指示に従ってヴィヴィオはアームを動かすが

 

 「ああー!」

 

 少しタイミングがズレて、残念ながら失敗してしまう。

 

 「うー、むずかしー」

 

 「うーん、口で言うと少しズレちゃうな‥‥‥‥‥今度は一緒にやってみようか?」

 

 「うん!」

 

 と言うわけで、チャレンジ二回目は、ヴィヴィオの手の上に、僕の手を重ねて始める。

 僕が主導権を握っての挑戦は

 

 「とれたー」

 

 「「嘘!? ヴィヴィオまで、もう取れたの!?」」

 

 見事に成功して、僕が主導権を握っていたとは、ヴィヴィオは初めて自分でぬいぐるみを取れたわけだから凄い驚いていた。

 逆になのは達は、初めてやったゲームなのに、二回目でもう成功させた事に驚きながらもショックを受けていた。

 

 「ママー、とれたー」

 

 「す、凄いね。ヴィヴィオ。そ、それじゃあ明久君にお礼を言わないとね?」

 

 「うん! あきひさ、ありがとー」

 

 「どういたしまして。取れて良かったね? ヴィヴィオ」

 

 「うん!」

 

 ヴィヴィオは自分で取れた事が、よほど嬉しいのか、自分の取ったぬいぐるみ(また兎)を大事そうに抱えている。

 ヴィヴィオが喜んでくれて、良かったー。ヴィヴィオの嬉しそうな顔を見ると、僕も嬉しくなるね。

 

 「じゃあ、目的の物も手に入れた事だし、そろそろ帰ろうか?」

 

 ヴィヴィオも無事景品を散る事が出来たし、ロケットも手に入れた。これでやり残した事もないだろう。

 と言う事で、フェイトは帰ろうとしたんけど

 

 「フェイトママはとらないの?」

 

 ヴィヴィオの一言で、フェイトは固まってしまった。

 ヴィヴィオの言った、『取らないの?』とはフェイトも景品を取らないのか? と言う意味だろう。

 もちろんヴィヴィオがフェイトに聞いて、なのはに聞かないなんて事はないから

 

 「ヴィヴィオ、あきひさといっしょー。ママたちは?」

 

 なのはも含み、景品を取らないのか? と聞いている。

 因みに、僕が一番最初に取った兎は、ヴィヴィオが自分で取ったのと一緒だったからか、ヴィヴィオは僕に渡してきている。

 それはつまり、なのはとフェイトにも同じ兎を取れという事なんだろう。

 幸いにも、少々面倒ではあるが、三回か四回かで取れそうな位置に兎のぬいぐるみがあるにはあるんだけど‥‥‥‥

 

 「わ、私達はその、ほら、そう。ヴィヴィオと明久がもう持ってるから、なくても大丈夫なんだよ?」

 

 「そ、そうそう。あんまり取りすぎると、お店の人が困っちゃうでしょ? だから、なのはママとフェイトママは無しでもいいんだよ」

 

 「ふぇえ? ママたち、ヴィヴィオといっしょめなの?」

 

 そう言うヴィヴィオの目には涙が溜まっていた。

 なのは達とお揃いにできないと言われて、こんなに悲しそうにするなんて‥‥‥‥‥よほど、ママ達と同じぬいぐるみが欲しかったんだろうな‥‥‥‥。

 ‥‥‥‥ダメだ! こんなヴィヴィオ見てられないよ!

 

 「大丈夫だよヴィヴィオ? お店の人も後二つ位多く取っても怒ってこないよ。だから、なのは達にもヴィヴィオと同じ奴、取ってもらおうね?」

 

 「うん!」

 

 「「ちょ!? 明久(君)!?」」

 

 ごめん二人とも。二人がクレーンゲームが苦手だって言うのは、何となく分かってたけど、ヴィヴィオの涙には僕は勝てないんだ!

 

 「‥‥‥‥大丈夫だって。店員に言えば、取りやすい位置に変えてくれるし、ヴィヴィオでも取れたんだから、二人でも取れるって‥‥‥‥多分」

 

 僕は二人が眼に涙を溜めながら、睨んでくる。

 二人の今みたいな顔には、怖さなんて微塵もなく、可愛らしさしか感じられなかったけど、そんな事を言ったら、後で凄い怒られそうだったので、とりあえずフォローを入れて、完全には二人の敵ではない事をアピールする。

 

 

 てなわけで、店員にお願いして兎のポジションを変えてもらってから、第一回、頑張って兎を取ろうの大会が開幕される。

 僕はヴィヴィオの時見たく、二人にきちんと口頭で指示を出してるんだけど

 

 「ああ~ん。また失敗したー!」

 

 「私も‥‥‥」

 

 二人は一回も成功していなかった。

 確かに、口頭で言えばタイミングはズレるから、ヴィヴィオの時みたく結構失敗しやすいんだけど、二人は正直、ヴィヴィオよりも下手だった。

 ‥‥‥‥そりゃ、こんだけ下手なら、クレーンゲームがやりたくない気持ちも分かるな‥‥‥‥‥‥ってくらい下手だった。

 

 「うう~、ねぇ明久君? 私もヴィヴィオの時みたいに助けて? これ、このままだと取れる気しないよ‥‥‥‥‥‥」

 

 「私も‥‥‥‥‥‥お願い。明久‥‥‥‥」

 

 二人は、これまでの数々の失敗を、ヴィヴィオの前でやってしまったためか、涙目になっていた。

 その上、二人はぬいぐるみが取れなくて落ち込み、しゃがみ込んでいたから、自然と涙目+上目使いになっていた。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 「ん? どうしたの明久君?」

 

 「もしかして、私達に教えるの嫌だった?」

 

 「あ、ごめん。な、何でもないよ‥‥‥‥‥‥えっと、ヴィヴィオの時と同じやり方だったね? 分かった」

 

 言えない。今の二人が可愛すぎて、言葉を失ってたなんて口が裂けてもいえない‥‥‥‥。

 僕はこの後、ヴィヴィオと同じ方法で、なのは達の手伝いをしたんだけど、何故か心臓がドキドキして、上手くいかず、なのはの分に四回、フェイトの分に三回も失敗してしまった。

 結局、皆でお揃いのぬいぐるみは手に入れたんだけど、僕は今は落ち着いてる心臓に手を当てて、さっきのドキドキはいったいなんだったのか?

 と、頭を悩ませながら、六課へ帰る事になったのだった。

 

 

 

 

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