魔法少女リリカルなのは バカの参戦    作:セイイチ

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第四十四話

 僕が”こっち”に帰ってきてから四日目の朝、僕はババアに会いに来ていた。

 僕は毎日鉄人の補習を受けて昨日、つまり、三日目にしてようやく全ての補習を終える事ができた。

 僕が三か月分の補習を、たった三日で終わらせる事が出来た理由。

 それは

 

 「ババア長、約束通り補習は全て終わりました。だから白金の腕輪を返して下さい」

 

 ババアとの約束で、補習を完全に終わらせたら白金の腕輪を返してくれると言う約束をしたからだ。

 補習を終えた僕は直ぐにババアに会いに来て、腕輪を返してもらいに来たんだけど

 

 「‥‥‥‥‥‥三か月分だよ? いくらなんでも早すぎやしないかい?」

 

 ババア長に本当に終わらせたのか? と疑いを掛けられる事になってしまった。

 まぁ、不本意ながらもババアの言いたい事は分かる。

 確かに三か月分の補習を、僕がたった三日で終わらせる事ができたなんて、なんの冗談だと思うだろう。

 けど

 

 「この三日間、僕は寝てませんから」

 

 僕は課題を終わらせる事にだけ全力をつくし、本気で終わらせたんだから、これは冗談とかではなく本当に不正なんて無しの結果だ。

 それ位、僕は本気だった。

 

 「仕方がないね‥‥‥‥‥‥約束は約束だ。白金の腕輪はお前さんに返そう。けどね、これを使うのに条件を出させてもらうよ?」

 

 「条件? 何ですかその条件って」

 

 もしここで実現不可能な事を言いだしたら、本気で腕輪を盗む事も考えていたんだけど

 

 「何、簡単な事さね。アンタのお仲間にサインを貰ってきな。そうさね‥‥‥‥‥十人分集めればクリアにしてやろうじゃないか」

 

 「本当ですか!?」

 

 十人‥‥‥‥それなら、その辺に歩いてる人を捕まえれば、簡単に

 

 「ただし、さっきも言ったけどね、アンタのお仲間だからね? つまり、坂本、土屋、木下弟、姫路、島田。この五人は絶対に必須だよ。まぁ、アタシも鬼じゃないから、それ以外の五人はFクラス以外なら誰でもいい事にはしてやるさね」

 

 ゲッ!? マジで!?

 今ババアの上げたメンバーは、僕がここ三か月の間なにをしていたのか(仕方なく魔法の事も話したが、元龍の件は省いた)? って話と、なんで僕が腕輪を欲しがっているのか?

 この二つを話したら、何故かは分からないけど『今回は絶対にお前には協力しない』と言われてしまったので、皆に協力を仰ぐ事はできない。

 それなのに、この五人から腕輪を返してもらうための、サインを貰ってこいとか、そんなの無理に決まってる。

 

 「ちょ! ババア長! 十人集めるなら、別に雄二達じゃなくてもいいでしょ!? ていうかアンタ今、雄二達が今回は僕に協力してくれないの知ってて、この条件だしたな!?」

 

 「良く分かってるじゃないか」

 

 まさか肯定するとは思わなかった‥‥‥‥

 それにしてもなんてババアだ!

 僕に希望の光を一瞬だけ見せて、次は一瞬にして奈落の底に落とすなんて‥‥‥‥‥‥

 

 「アタシがこの条件を出した理由を良く考えな。言っておくけど、条件を変えるつもりはないからね」

 

 

 

       ☆

 

 

 

 「くっそ~。あのババアめ~」

 

 何が『アタシも鬼じゃない』だ。

 雄二達の署名を義務付けたり、Fクラスの署名は拒否したり、既に充分すぎる位鬼じゃないか!

 あのババア、妖怪ババア長だと思ってたけど、これからは妖怪鬼ババア長に改名だ!

 

 「だいたい『返す約束はしたけど、使用許可は出してない』って、なんてズルイんだ‥‥‥‥‥って、文句を言っててもしょうがないか」

 

 こうなったら、何としても雄二達にお願いするしかないか‥‥‥‥‥‥

 と言うわけで、とりあえず一番最初に協力してくれそうな

 

 「姫路さん、お願い! この署名にサインして下さい!」

 

 「ごめんなさい、明久君。嫌です」

 

 姫路さんから攻めてみたけど、やっぱり速攻で断られてしまった。

 

 「‥‥‥‥‥姫路さん、どうしてなの? なんで今回は皆、頑なに拒否し続けるの?」

 

 「だって、明久君は腕輪を手に入れたら、”向こう”の世界に行くつもりなんですよね‥‥‥‥‥?」

 

 「え? あ、まぁそれが目的で腕輪が欲しいわけだからね‥‥‥‥‥‥」

 

 だいたい、”向こう”に行かないなら、腕輪なんて別に必要じゃないからね‥‥‥‥

 

 「だから協力したくないんです!!」

 

 姫路さんは叫ぶと同時に走り出してしまった。

 僕はしばらくポカーンとしてから我に返る。

 

 「え!? ちょ! 姫路さん!? それどういう事!? ちゃんと説明して――ってもういないし‥‥‥」

 

 が、見える範囲には既に姫路さんの姿はなかった。

 姫路さんは本当に運動が苦手なんだろうか?

 

 「はぁー。仕方ない。次は秀吉に頼むか」

 

 僕は姫路さんに断られた後、すぐに秀吉の下へと向かい、姫路さんの時と同じようにお願いしたんだけど

 

 「嫌じゃ。この件に関しては、わしは協力する気はない」

 

 と、素っ気なく言われてしまう。

 その後も、ムッツリーニ、美波、雄二の順に順番に頼んでみたんだけど

 

 「‥‥‥‥‥拒否する」

 

 「嫌。違う世界に行きたいなら、勝手にすればいいじゃない。ウチには関係ない」

 

 「黙れ、うじ虫野郎」

 

 全員、全く協力してくれなかった。

 雄二に関しては、イキナリ罵倒で話しすら聞いてもらえなかった‥‥‥

 

 「どうしよう‥‥‥‥‥このままじゃ埒があかないよ。こうしてる間にもヴィヴィオは苦しんでるかもしれないって言うのに‥‥‥」

 

 ホントにどうしよう?

 僕はただヴィヴィオを助けたいだけだ。

 そのヴィヴィオを助けるために、まずは”向こう”の世界に行く必要があるって言うのに、誰も協力してくれないなんて、どうしたらいいんだ‥‥‥‥

 

 『マスターそれも問題ですけど、扇にはどうやって勝つつもりなんですか?』

 

 「わっ! ダメだよ、ドラグーン。”こっち”では喋るペンダントなんてないんだから、外で喋るのは禁止だよ」

 

 とは言った物の、戻ったら戻ったで、それも問題なんだよね‥‥‥‥‥

 扇はヴィヴィオを連れ去った張本人だ。

 僕がヴィヴィオを取り返しに行ったら、確実に邪魔してくるだろう。

 と言う事は、また、あの化け物と戦わないとヴィヴィオは助けられないと言う事になる。

 そして、今の僕の力では扇には勝てない。

 ドラゴンユニゾン。あれは次元が違いすぎる。六課の皆にはドラゴンドライブはチートだって良く言われたけど、ユニゾンはチートなんてレベルじゃなかった。

 あの力はドラゴンそのものだった‥‥‥‥‥

 どうやら、僕にはまだまだ解決しなといけない問題が一杯ありそうだ‥‥‥‥‥‥‥

 

 「ま、勝つ方法は夜にでも、ザボルグとテスタロスに相談してから考えるにしても、何人か分のサインは今日の内に貰っておこう。――って、殺気!?」

 

 僕は扇に勝つ方法は後回しにして、先に署名をいくつか手に入れようと、僕が動き出そうとした時、僕はふと後ろから殺気を感じて、反射的にボールペンを持っていた手を後ろに回すと

 

 シュッ!

 

 キン! キーン!

 

 

 何故か僕の死角である、後ろからカッターナイフを投げられると言う攻撃を受けて、それをボールペンで防ぐような事態になった。

 まぁ、”むこう”でなのはに散々鍛えられたから、この程度の攻撃を防ぐのは今の僕にとっては簡単な事なんだけど、この不意打ちは危ないと思う。

 僕が後ろから攻撃してきた奴に、一言文句を言ってやろうと、後ろを振り向くと

 

 「この豚野郎! どうして今まで行方不明だったのに、帰ってきたりしたんですか!? 豚野郎が帰ってきたら、落ち込むお姉さまを美春が優しく励まして、お姉さまの身も心も美春の物にする計画が台無しじゃないです!」

 

 Dクラス在籍で美波に恋してる少女、清水さんがまだカッターナイフを数本持ったまま、僕を睨みつけていた。

 と言うか、恨まれる理由が理不尽だ。

 しかも敵意を隠す気はないようで、手のカッターを隠すどころか、思いっきり再度投げ込む準備万端のようだ。

 

 「えっと、とりあえず一旦落ち着こう、清水さん。そんな事しても美波をもう一度励ましたりはできないよ?」

 

 「そんな事はありません! 豚野郎がいなくなれば、再びお姉さまが落ち込み、それを美春が精一杯慰める事で、お姉さまは美春を愛してくれるようになるはずです!」

 

 美波が、僕が処刑されて悲しむかどうかは置いておいて、もしそんな状況になれば、真っ先に恨まれるのは清水さんだと言う事を理解してるんだろうか?

 

 「美春の明るい未来のため、豚野郎にはここで死んでもらいます。覚悟してください!」

 

 そう言って、カッターを投げつけながら僕に向かって走ってくる清水さん。

 確かに、顔は怖いし、投げたカッターのコントロールもいいし、何より迫力が凄いけど、なのはに鍛えられた僕にとっては、この程度なら簡単に攻撃を避けて、清水さんの身柄を確保できるレベルだった。

 とは言え、あんな恐ろしい顔をした清水さんを取り押さえるなんて、考えられないので

 

 「できるか!」

 

 僕は逃げる事にする。

 まぁ、鍛えてない清水さんから逃げる位、今の僕なら楽勝でしょ。

 なんて軽く考えて逃走したんだけど

 

 「何故だ!? なんで逃げ切れない!?」

 

 僕は一向に清水さんを巻く事が出来ず、三十分近く逃げ回っていた。

 ありえない。この三か月、ずっと訓練で鍛えてきたのに、全く清水さんから逃げられないなんて、どうなってるの!?

 

 『異端者には死を』

 

 『裏切り者には死の鉄槌を』

 

 『被告人、吉井。女子と廊下でイチャついてる貴様は極刑だ。大人しくしろ』

 

 しかも廊下を逃げ回ってるうちに、追手が増えてるし!

 と言うか、清水さんの顔を見て、僕がイチャついてるとか言う発想が持てるなんて、彼らの目はどうなっているんだ?

 

 「こうなったら、仕方がない。この手だけは使いたくなかったんだけど、使うしかない」

 

 この手は本当に緊急事態にのみ使える切り札だ。

 まぁ、成功率が10%以下だから、滅多に使えないだけなんだけど‥‥‥‥‥‥‥

 

 「皆、聞いて! 皆は僕の事を追いかけてる場合じゃないと思うんだ!」

 

 「豚野郎を始末する事以外に、今の美春にとって大事な物はありません!」

 

 「違う! 君じゃない! その他のFFF団の事だよ!」

 

 そりゃ、今の君からしたら、それが一番の目的なんだから、そうだろうよ。僕としては迷惑なだけだけど‥‥‥‥‥

 

 『どういう意味だ、吉井?』

 

 『我々がお前を処刑する事以上に大切な事とはなんだ?』

 

 よし! 清水さん以外のFFF団は話しに食いついてきた!

 ここで一気に決めてやる!

 

 「いいかい? 皆? 僕が帰ってきてから、とある女子に聞いた事なんだけど、その内容を皆に聞いてほしい」

 

 『このタイミングで、良くもそんな事が言えたな吉井』

 

 『覚悟はできてるな?』

 

 『女子と話したなんて、なんと羨ましい』

 

 おかしい。要件を伝える前に皆の殺気が、さっきとは比べ物にならない位、大きくなっってしまった。

 これは早いとこ決着をつけないと、大変な事になる。

 

 「違うんだ皆! 僕が言いたいのはそう言う事じゃない! その女の子と話した内容なんだ!」

 

 『内容だと?』

 

 『妬ましい話を我らに聞かせるつもりか? 貴様?』

 

 『なんという暴挙だ。やはり処刑すべきだ』

 

 あれぇ!? 益々殺気が!? どうしてこうなるんだ!?

 僕はただ、偽情報を流して皆の矛先を別の人に向けたいだけなのに! っておわぁ!?

 カッターナイフが飛んできた!? 

 おのれ清水さん! 今、本気で僕の首を狙ったな!?

 

 「ええぇい! こうなったら脈絡も何もなく、話を続けてやる!」

 

 僕はこの危険な状況を一刻も早く終わらせるべく、逃げながら無理やり大声で言葉を発する。

 

 「とある女子が『須川君に告白されて困ってます! 気持ち悪いのでFクラスの皆さんで、どうにかしてくれませんか?』って言ってたんだよ!」

 

 もちろん、これは嘘だ。

 僕は”こっち”に帰ってきてから、この三日間ずっと補習を受けていていて、四日目の今日はババアの出した条件をクリアするべく、一日中動き回っていたんだから、そんな話を聞けるはずがない。

 けど、そこはFクラス。そこまでは頭が回らないようで

 

 『おのれ須川!』

 

 『貴様女子に手を出そうとするとは、なんという裏切り!』

 

 『被告須川を連行しろ!』

 

 しっかり騙されてくれた。

 ごめんね? 須川君。

 偽情報で君が処刑される事になるけど、そこは僕の命のために生贄になってね。

 

 『ま、待て吉井! それを言った女子は誰なんだ!? まみちゃんか!? るりちゃんか!? それとさきちゃんなのか!? だれなんだ!?』

 

 ‥‥‥‥‥どうやら、嘘から出たなんとかだったようだ。

 と言うか、三人に手を出すとは、なんてゲス野郎なんだ!! これは処刑が必要だ!!

 え? 僕? 僕は六課で過ごした結果、女子が多いとこで生活してただけで、告白とかはしてないからセーフだよ?

 まぁ、仮にアウトだとしても、今は僕の話なんて置いておこう。

 平和が一番だしね!

 

 「Fクラスの皆! ”女子”からのお願いなんだから、しっかり働くんだよ! そうすれば女子の好感度も上がるよ!」

 

 まぁ、事実はどうであれ、僕が実際に相談されたわけじゃないから、好感度なんて上がるわけないんだけどね?

 けど、こう言っとけば

 

 『『『任せとけ!!』』』

 

 基本バカなFクラスなら、こうなるわけだ。

 と言うわけで、FFF団を須川君に押し付けて、敵は清水さん一人だけになった。

 けど、

 

 「なんで清水さん一人から、僕は逃げられないんだ!?」

 

 ホントになんでだ!?

 相手は清水さんであって、鉄人じゃないのに!

 

 『おそらくですけど、マスターは戦う訓練はしましたが、逃げる訓練はしていません。逃走が下手になっていると思われます』

 

 え? そんな理由? 確かに逃走なんて、なのはの訓練が始まって最初の方にしかやっていない。

 けど、それだけで逃げられなくなったりするのかな‥‥‥‥‥?

 

 『あと、マスターは魔法が使えるようになったので、無意識の内に手を抜いているようです。先程から、逃げるスピードが追いかけてくる人のスピードと、全く同じになっています』

 

 なるほど‥‥‥‥‥確かにそれなら、逃げられないのも分からない話じゃないけど、前は清水さんからは簡単に逃げれたから、まだ納得――できないな‥‥‥‥‥これはそんな事だけじゃない気がする‥‥‥‥

 

 『それと、追いかけてくる人の追跡能力がかなり高いです。おそらく、幾度も追跡を行って上手くなられたんじゃないでしょうか?』

 

 上手くなった? あの清水さんが?

 Fクラスの人間なら、追いかけるのも逃げるのも日常茶飯事だから、上手くなるだろうけど、Dクラスの清水さんが追跡が上手くなるなんて事、あり得る――いや、この三か月、逃げ回る美波をひたすら追いかけていたと仮定したら、充分あり得るな。

 と言うか、それが原因で間違いないだろう。 

 なら、逃げても騒ぎが大きくなるだけで、逃げるのは難しいかな? どうせ逃げれないなら、僕に少しでも得がある道を選ぼう。

 と言う結論に僕が至ると、僕は足を止め、清水さんと対峙する。

 

 「ようやく観念したですか、豚野郎。止まったと言う事は、美春とお姉さまの未来のために死ぬ覚悟ができてるんですね?」

 

 ‥‥‥‥‥‥‥清水さん。君、本気で僕の首狙ってない? 死ぬ覚悟って言った時、目が本気だったよ?

 

 「正直、僕はまだ死ぬわけにはいかない。けど、このままじゃ逃げ切れないし、代わりにお願いがあるんだ」

 

 「お願い? お姉さまと美春の関係以外なら、話位は聞いてやらない事もないです」

 

 それはつまり、「美波から手を引いて清水さん!」とか言うお願いは聞かないって事?

 まぁ幸い、僕のお願いはそんな事じゃないから、関係ないんだけど‥‥‥

 

 「僕のお願いはただ一つ。この署名にサインして欲しいんだ」

 

 「美春が結婚する相手はお姉さまだけです! 誰が豚野郎なんかに」

 

 「婚姻届の話じゃな―――――い!! それは雄二と霧島さんの話だよ!!」

 

 なんて勘違いをするんだこの子は!?

 そのネタは雄二と霧島さんだけかと思ったら、まさか僕にまで被害が来るとは思いもしなかったよ!

 

 「冗談に決まっているでしょ豚野郎。サインと言われたから、霧島さんの事を思い出して、ボケただけです。空気くらい読みなさい。このドブ男」

 

 この空気でボケる君こそ、空気を読め!! と、突っ込んだら負けなんだろうか?

 

 「で? 冗談はこの位にして、詳しく話しなさい。要求を受け入れるかどうかは、話の内容次第です」

 

 ‥‥‥‥‥一人でどんどんテンションを変えないで欲しい。

 ついて行くのが大変だから‥‥‥‥‥

 とは言え、ようやく清水さんも本気で話を聞く気になってくれたみたいだし、今の内にさっさと話してしまおう。僕の願いも真剣なものだしね。

 

 「サインして欲しいのは、この署名なんだ」

 

 そう言って、僕はババアに渡された署名書を清水さんに渡す。

 その内容を清水さんが読み終わると

 

 「別に美春には、この署名の内容は関係ありませんから、サインするのは構いませんが、この”白金の腕輪”を手に入れて、豚野郎はどうするつもりなんです?」

 

 「え? それは‥‥‥‥‥‥」

 

 どうする? ここで清水さんにも魔法の話をするか?

 けど、魔法なんて無暗やたらとする物じゃないしな‥‥‥‥まぁ、雄二達には話しちゃったんだけど‥‥‥‥‥

 結局、僕は清水さんはあまり僕に関心がなさそうと言う理由から、誤魔化す事に決めて、簡単に僕が休学するために必要な物。

 と、だけ伝えると

 

 「喜んでサインしましょう」

 

 清水さんは一瞬でサインをしてしまった。

 

 「美春は今回に限り、豚野郎の事を応援します。あと九人、頑張って集めて下さい」

 

 「あ、うん。ありがとう。頑張るよ‥‥‥‥‥」

 

 清水さんは、それだけ言うと満足したのか、僕に手を出す事なく、この場を去って行った。

 さっきまでの時間はいったい何だったんだろうか?

 まぁけど、清水さんが割と本気で僕の事を邪魔に思ってるのだけは分かった時間だったな‥‥‥‥‥‥‥

 こうして、僕は丸一日に掛けて、ようやく一人目の署名をゲットできたのだった。

 

 

 ノルマ達成まで、残り九人。

 

 

 

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