魔法少女リリカルなのは バカの参戦    作:セイイチ

48 / 60
第四十七話

 僕が久保君、木下さん、工藤さん、清水さんの四人に、この三か月で僕が経験したことを全て話し終えると、四人は言葉を失っていた。

 しばらく無言が場の空気を支配して後、一番最初に復活した清水さんが口を開く。

 

 「バカだと言うのは知ってましたが、妄言を吐く位バカだとは思いもしませんでした。冗談は止めて、今すぐ本当の事を話しなさい! さもないと美春は協力するのを止めますよ?」

 

 どうやら清水さんは今の話を完全に嘘だと思っているようだ。

 まぁ、イキナリ魔法の話をされて信じろと言う方が無茶なんだろうけど‥‥‥‥‥

 

 「いや、嘘じゃないし、本当の事なんだけど‥‥‥‥‥‥なんなら証拠を見せようか?」

 

 けど、今回のこの話は嘘じゃないし本当の事だから、信じてもらわないと困る。

 と言うか事実を話して、嘘を吐くなら協力しないとか言われるの理不尽だ。

 

 「証拠って‥‥‥‥‥‥アナタ本気で言ってるんですか?」

 

 「本気だよ? ‥‥‥‥ほら。こうやって空を飛ぶ事も出来るよ?」

 

 そう言って、周りに僕達以外誰もいないのを確認してから少しだけ空中に浮いてみせる僕。

 それを見て、更に言葉を失う四人。

 どうやら本当に信じられない物を見ているような気分になっているようだ。

 

 「なんなら炎と雷も出せるけど、確認しとく?」

 

 皆が固まって動かなくなってしまったので、どうしたらいいか分からなくなった僕は、とりあえずまだ魔法が使える事をアピールしとく事にする。

 

 「いや、それは止めておこう。今ので充分、吉井君が魔法を使える事は理解できたし、さっきの話が本当の事だいうのも理解できた。けど、あまりそう言うのは一般人には見せるべきではないと僕は思う。普通の人がそんなのを見たら怖がるだろうからね」

 

 「と言うか、普通に常識人なら、そんな人を見たら人外だと判断すると思うわ」

 

 「あ、あははは。確かにね‥‥‥‥」

 

 Aクラス所属の三人は僕の話を信じてくれたみたいだけど、僕は人外だと認定されてしまったらしい。

 どうやらアピールはするべきではなかったようだ。

 って、今はそうじゃなくて、皆に協力してもらうのが先だった。

 

 「えっと、そう言うわけだから皆に署名を貰って、女の子を助けに行きたいんだ。雄二達は何故か協力してくれないけど、雄二達以外にも五人の署名が必要だから、僕に協力して欲しい」

 

 僕が皆に頭を下げてお願いすると

 

 「う~ん。まぁ、約束は約束だから、協力はするけど‥‥‥‥‥‥」 

 

 「正直、あの五人は吉井君に協力はしてくれないと思うよ‥‥‥‥?」

 

 木下さんの言葉に続く工藤さん。

 どうやら二人は署名に協力はしてくれるみたいだけど、雄二達が僕に協力してくれる事はないと思っているみたいだ。

 と言うか、協力してくれない理由を分かっているかのような口ぶりだ。

 

 「どうして? 確かに皆、僕に協力してくれる気配は全くないけど、友達なんだから最後は僕の事を助けてくれる可能性だってあるでしょ?」

 

 いくら今は皆が拒否していても、何度もお願いすれば皆だって分かってくれるかもしれない。

 なのに協力してくれないと決めつけるのは早い気がする。

 

 「じゃあ聞くが、吉井君はいったいどうやって、その女の子を助けるつもりなんだい? 一度君は相手に完膚なきまでに負けているんだろう? そんな相手から女の子を助けだせる勝算はあるのかい?」 

 

 二人に続いて、今度は久保君までもが否定的な事を言いだす。

 どうやら久保君も約束だからと、協力はしてくれるみたいだけど、雄二達が僕に協力してくれるとは思っていないようだ。

 

 「そこは命を懸ければ何とか‥‥‥‥‥それに今は、勝つための対策だって練ってるし、”向こう”にいる皆と力を合わせれば不可能じゃないと‥‥‥‥‥」

 

 久保君の質問が的確過ぎて、僕は口を濁してしまう。

 確かに、久保君の言う通り、今のままだと勝算なんて全くない。

 昨日の晩から特訓をしているとは言え、今のままだと負けるのはほぼ確定だろう。

 けど、ヴィヴィオを目の前で攫われたのに、それを知らんふりするなんて僕にはできないわけで、命を懸けて特訓して強くなり、戦うしか僕には選択肢はない。

 

 「つまり、吉井君は死にに行くかもしれないと言う事だろう? そんなのを坂本君達が許すと思うかい? 正直、僕も約束がなければ、吉井君が自ら死地に行くような事に協力なんてしたくないと思っているよ」

 

 「ボクも吉井君が死ぬかもしれない場所に行くなんて、正直嫌だよ?」

 

 「まぁ、これでアンタに死なれたら、アタシ達がアンタを死地に送り込んだみたいでいい気はしないわね」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 ‥‥‥‥‥え? そう言う事なの?

 僕は死んでもヴィヴィオを助けるつもりでいた。

 けど、僕が命を懸ける事で皆がそんな想いをするなんて思いもしなかった。

 

 「美春は豚野郎が死んだら、邪魔者が消えるので嬉しい限りですけどね」

 

 どうやら清水さんだけは僕の死を望んでいるみたいだ‥‥‥‥‥‥‥

 けど、他の皆は僕が命を懸けるのを良しとはしないみたいで、三人の目は本当に僕を心配しているような人の目だった。

 そして三人は雄二達が協力してくれないのは、僕が死地に行く事を容認できないからだと言っている。

 それが、正しいかどうかは分からない。

 本当は雄二辺りは僕に嫌がらせをする事だけ考えているかもしれない。

 けど、少なくともこの三人が僕の身を案じてくれているのは確かだ。

 

 「大丈夫。僕は命を懸けるとは言ったけど、死ぬ気は毛頭ないよ。まだやりたい事とか色々あるからね。それに命を懸けると言っても、何の考えも無しに突っ込む気はないから安心して? さっきのは、今はまだ勝算がないだけで、”向こう”に戻るまでには勝算は作っておくから」

 

 僕はできるだけ真剣に、真面目に三人を安心させるために言葉を捻りだす。

 

 「本当に勝てるのかい?」

 

 今の所勝ち目はないけど、ザボルグとテスタロスは言った。

 ドラゴンユニゾンさえできるようになれば、扇と互角に戦えると。

 僕は二人の言葉を信じてるしる、今言った事を嘘にするつもりも毛頭ない。

 だから僕は胸を張って久保君の質問に答える事ができる。

 

 「もちろん。絶対に勝つって約束するよ」

 

 真っ直ぐ久保君の目を見て答える僕。

 この言葉が嘘ではない事を信じてもらうために、真剣な目を向ける。

 すると久保君は僕の目を真っ直ぐ見つめ返してきて、しばらくして短く息を吐いてから久保君は口を開いた。

 

 「ふぅー。なら僕は君を信じるよ。‥‥‥‥‥さて、これで僕達の役目は終わりかな?」

 

 「そうね。これで良いのよね? 代表」

 

 久保君の言葉にに頷くように肯定して、僕とは別の人に話しかける木下さん。

 と言うか、代表? 代表ってどういう事? 木下さんが言う代表って霧島さんの事だよね? どこに霧島さんがいるの?

 

 「‥‥‥‥‥‥‥うん。ありがとう優子、愛子、久保」

 

 僕が混乱していると、木下さんに答えるようにAクラスの教室の中から霧島さんが出てくる。

 え!? そんな所にいたの!? と言うか「これで良いのよね?」「ありがとう」? いったいどういう事なの?

 

 「あははは。吉井君、やっぱりまだ理解できてないね? なんならボクが説明してあげようか?」

 

 僕が混乱している中、陽気に笑う工藤さん。

 僕は何がなんだか理解できないので、速攻で頷き工藤さんに説明をお願いする。

 

 「実はね? 吉井君が魔法を使えるって事と、腕輪を吉井君が使いたい理由をボク達は既に知ってたんだ♪」

 

 ‥‥‥‥‥‥‥は? 知ってた? なんで?

 工藤さんの話を聞く事によって、ますます分からない事が増えていく‥‥‥‥‥‥

 

 「‥‥‥‥‥‥‥私が愛子たちに吉井の事を話した」

 

 「ああ。なるほど。だから工藤さん達が魔法の事を知ってたのか。それなら納得だ、ってっちょっと待てぃ!!」

 

 おかしい。この話はババアと鉄人、雄二達にしか話していなかったはずだ。

 

 「どうして霧島さんが知ってるの!? これじゃ何で知ってたのか疑問に思う相手が、工藤さん達から霧島さんに変わっただけだよ!」

 

 「‥‥‥‥‥? 聞いてたから?」

 

 なんでそこで疑問形になるんだろうか?

 と言うか、聞いてたってどういう事? 僕は自分でも知らない内に霧島さんに話したんだろうか?

 僕は自分不思議に思って自分の記憶を丁寧に辿っていたのだが

 

 「うん。やっぱり言ってないね」

 

 霧島さんに魔法の事を話した記憶は全くなかった。と言うか、”こっち”に帰ってきてから霧島さんに会ったのは、これが初めてだったと思う。

 という事は霧島さんも雄二達から教えられたって事なんだろうか?

 

 「‥‥‥‥‥雄二が浮気してないか確認のために尾行してたら、吉井の話が聞こえた」

 

 どうやら盗み聞きだったようだ。

 尾行までするなんて、段々霧島さんの雄二に対する愛が怖くなってきたよ‥‥‥‥

 けどまぁ、そのおかげで雄二達が協力してくれない理由が分かったんだから、文句は言えないし感謝してるんだけど‥‥‥‥‥‥あれ? 今回の事って霧島さんが仕組んだ事だったんだよね‥‥‥‥‥?

 という事は、もしかして霧島さんは僕の事を手助けをしてくれたんだろうか?

 

 「‥‥‥‥‥吉井、これで雄二達がなんで協力しないか分かった?」

 

 どうやら予想通り、霧島さんは僕を助けてくれたようだ。

 もちろん雄二達が協力してくれない理由、つまりなんだかんだ言っても僕の事を心配してくれていたと言う事は分かった。けど‥‥‥‥‥‥

 

 「うん。ありがとう霧島さん。でもなんで僕を助けてくれたの?」

 

 正直、霧島さんが助けてくれるとは思ってなかったから驚きだ。

 霧島さんなら、僕と雄二が協力関係じゃなかったら、問答無用で雄二の味方をすると思ってた。

 だから、今回の霧島さんの行動に僕は疑問を持たずにはいられず、雄二の作戦か何かだと思い、警戒したんだけど、霧島さんは僕の質問に笑みを見せながら答えてくれた。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥吉井には色々と助けてもらったから、そのお礼」

 

 「お礼って‥‥‥‥‥僕は霧島さんにお礼を言われ様な事をやった覚えがないんだけど‥‥‥‥‥‥」

 

 「‥‥‥‥‥清涼祭の時に如月ハイランドのペアチケットを貰ったし、そこでも色々助けてくれて、普段も雄二の情報を色々教えてくれたりしてる」

 

 ‥‥‥‥‥‥最後のは雄二を陥れるためにやっていた事だけど、どうやら霧島さんに取っては感謝するような事だったらしい。

 どれも雄二が聞いたら『そんな事は感謝する事じゃなくて、怒る所だ!』って言いそうだけど、せっかく本人が感謝してると言ってくれてるんだし、ここは黙っておこう‥‥‥‥‥‥‥

 

 「‥‥‥‥‥‥でも、あの話を聞いて吉井が心配だったから、無事に女の子を助けられる可能性があるのかも知っておきたかった」

 

 どうやら霧島さんにもかなり心配をかけていたようで、今回の事は僕に協力するためだけじゃなくて、僕に勝算があるのかを確かめるためでもあったようだ。

 僕はその事を理解して、これ以上みんなに心配を掛けまいとハッキリと言葉を言い切る。

 

 「大丈夫。さっきも言ったけど、絶対にヴィヴィオは助けるし、僕も死なずに生き延びて見せるから」

 

 「‥‥‥‥‥‥うん。なら私も吉井に協力してあげる」

 

 そう言って、霧島さんは白金の腕輪の使用許可の署名にサインしてくれる。

 それによりFクラスメンバー以外の署名は清水さん、久保君、木下さん、工藤さん、霧島さんの五人で綺麗に五人の名前で埋まった。

 

 「ありがとう皆‥‥‥‥‥‥‥」

 

 署名してくれただけじゃなく、雄二達が署名するのを拒否する理由まで教えてくれて、僕の心配をしてくれたり、我がままを聞いてくれて‥‥‥‥‥。

 ここまで友達である皆にしてもらったんだ。

 これで失敗したら男じゃない! 絶対にヴィヴィオを生きて取り戻す!

 僕は自分自身の心に、僕の事を助けてくれた友達に強く誓ったのだった。

 

 

 ノルマ達成まで残り五人。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。