魔法少女リリカルなのは バカの参戦    作:セイイチ

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第四十八話

 霧島さん達のおかげで雄二達が協力してくれない理由が判明した日の翌日。

 僕はあの五人の中で一番最初に仲間に引き込むべき人物を呼び出していた。

 

 「翔子を使ってイキナリ俺の事を呼び出すとはどういうつもりだ、明久?」

 

 「雄二に話したい事――と言うか、お願いしたい事があって、霧島さんにも協力してもらったんだよ。こうでもしないと雄二は僕の話を聞いてくれそうもなかったからね」

 

 僕が呼び出した人物とは雄二だ。

 理由は‥‥‥‥‥まぁ、単純にあの五人の中で唯一僕の話を初っ端から聞かなかった人物でもあり、仲間にすると最も僕の力になってくれるであろう人物だからだ。

 攻略難度の高い人物であると同時に、こういう事に関しては僕の知る限り最も頭の回転が速い人物、それが雄二だ。

 

 「お前の頼みって‥‥‥‥‥‥どうせ白金の腕輪を使うために協力しろって事だろう?」

 

 「分かってるなら話が早いね。雄二、僕に協力してよ」

 

 「いやだね。なんで俺がお前に協力せにゃならんのだ。お前の事だろう? お前が自分で解決しろよ」

 

  署名の話は僕よりも先に雄二達にババアが話していたらしく、雄二達は既に署名の話を知っている。

 それなのに今、雄二の口から『一人でどうにかしろ』なんて言葉が出てくる時点で、雄二が協力する気はゼロだと言う事は明らかだった。

 けど、だからと言って僕に諦めると言う選択肢は存在しないので、無理やり話を終わらそうとする雄二を、僕は止めた。

 

 「雄二も知っての通り、白金の腕輪を使用するのに雄二達の署名がいるんだ。だから僕一人でどうにかする事なんてできないんだよ」

 

 「だったら諦めろ。俺には関係のない話だし、お前が”向こう”に行くのも何となく気に入らねえ。よってこれ以上お前とは話す事はない」

 

 そう言ってこの場から去ろう、僕に背中を向けて足を動かす雄二。

 くっ! やはり一筋縄ではいかないかっ!

 ならば霧島さん達に教えてもらった、雄二達が協力してくれない理由を取り除いて再び交渉だ!

 

 「待つんだ雄二! 僕は”向こう”の世界に行っても、死なないって約束する! だから僕の心配はせずに女の子を助けるために協力して欲しいんだ!!」

 

 僕の言葉を聞いて足を止める雄二。

 どうやら僕の話を聞く気になったようだと、一安心した僕に雄二は

 

 「は? お前が死のうが何をしようが俺には関係ねぇだろう? なんの話をしてるんだお前?」

 

 僕の事なんて端っから心配していない等とのたまう。

 あれ? なにこれ? これだと僕は凄い自意識過剰野郎みたいに見えるのは気のせいだろうか‥‥‥‥‥

 

 「えっと雄二? 雄二達が僕を”向こう”に行かせたくない理由は、僕の事を心配してくれてたからじゃ‥‥‥‥‥‥」

 

 「は? 他の連中は知らないが、俺はそんな心配は一切してないぞ? むしろお前が傷つくのは大歓迎だ」

 

 なんて奴だ。一度ボロボロになって帰ってきた友人に対して発した言葉とはとても思えない。

 どうやらコイツはどんな事があっても、終始僕の不幸を喜ぶような奴だったようだ。

 こんな奴は署名をもらえたら、山にでも埋めてくるとしよう‥‥‥‥‥って、あれ? 僕が心配で協力を拒否したんじゃないなら、どうして雄二は僕に協力する事を拒むのだろうか?

 僕はその事に疑問を持って、雄二に尋ねてみると

 

 「断った方が、お前にとっては不幸だと思ったから。もちろんこの考え方に対して反省するつもりは一切ない」

 

 「このゲス野郎! お前なんかこうしてやる!!」

 

 「あ、玉野じゃね――」

 

 「緊急回避!!」

 

 雄二が言葉を言い終える前に掃除道具入れに身を隠す僕。

 当然だ。昨日の今日で玉野さんに追いかけられた記憶は消えたりしないんだから。

 それにしても、ちっ! 玉野さんのせいで雄二をヤリ損ねてしまった。もう少しで雄二に復習できたのに‥‥‥‥‥‥

 

 「やっぱり昨日、お前が玉野から逃げ回ってたって言うのは本当の事らしいな。最初聞いた時は、明久が逃げ切れたとか言う話だったから、嘘かと思ったんだが‥‥‥‥‥」

 

 僕だって、あれは夢だった、幻だった、嘘だったと思いたい。

 けど、あれは実際に起こった出来事だ。

 そこをなかった事にしてしまえば、僕はこれからも同じような状況に陥ってしまうだろう。それだけは絶対に避けたいから、僕はこうして苦労してるんだよ!

 

 「まぁ、なんにしても今のは嘘だから、出てこいバカ。ここに玉野はいねぇから安心しろ」

 

 笑いながら再び僕に声を掛けてきた雄二。

 その声は人を馬鹿にしたような言い方だったけど、何故かその雰囲気は僕に取って凄く懐かしい感じがした。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥冗談じゃないよ。まったく」

 

 「そう怒んなって。代わりと言っちゃなんだが、お前のその署名集めに協力してやるからよ」

 

 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥え‥‥‥‥‥‥‥‥‥?

 今なんて言った? 署名に集めに協力してくれる? なんで?

 

 「ちょ、ちょ、ちょっと待って雄二! なんで? なんでイキナリ協力してくれる気になったの? あ、いや勿論協力してくれるのは嬉しいんだけど、さっきはあんなに拒否してたのに、どうして急に協力的になったの?」

 

 正直、さっきまでと態度が違い過ぎて気持ち悪いレベルだ。

 これは絶対に何か裏があると思わずにはいられなかった。

 

 「別に? 大した理由はねぇよ。ただの気まぐれだ。‥‥‥‥‥‥まぁ、細かい事は気にすんな。女の子のこと助けたいんだろう? だったら余計な事きにすんな」

 

 「そりゃ、助けたいけど‥‥‥‥‥‥正直雄二が何の見返りも無し急に態度を変えると、何かあると思うのが普通でしょ?」

 

 雄二は基本的には自分に特がある事、自分が興味のある事以外には無気力な奴なんだから‥‥‥‥‥

 

 「勿論見返りとしてお前には今後、無条件で俺がやばい時に助けてもらうつもりだぞ? 俺に関係のないとこでお前の手助けをするんだ。それくらいはしてもらわねえとな」

 

 要するに、霧島さんに何かされた時に助けろって事?

 正直、あまり気は進まないけど、この約束さえすれば雄二の協力を取り付ける事が出来るなら安いもんだ。

 それにハッキリとした見返りを提示されている分、後から恐ろしい見返りを求められる事もないだろうし、これは中々良い話だしね。

 

 「いいよ。その条件のった」

 

 「交渉成立だな」

 

 そう言って雄二は署名のFクラスのメンバーの欄に自分の名前を書き、署名してくれた。

 よし! これで後は秀吉とムッツリーニと姫路さんと美波の四人だけだ!

 大きく前進した事により勢いをつけた僕が、このまま一気に進めようと気合を入れると、雄二に声を掛けられる。

 

 「で? この後はお前どうするつもりなんだ? 最近は清水を仲間に引き込んで色々やってたみたいだが、今日は清水はいないのか?」

 

 「あ、うん。今日は僕一人だよ。雄二達と一対一で話したいからって言ったら、割とあっさり引いてくれたよ? ただ、昨日最後に誰も説得できてなかったら殺すって言われたけど‥‥‥‥‥‥‥」

 

 あの眼は結構真剣だったと思う。

 と言うか、おそらく清水さんの気質はFクラスに良く似てると思うから、冗談でそんな事は言わないだろう。本気で僕を殺しに来ていたに違いない‥‥‥‥‥‥

 まぁ、雄二を仲間に引き込んだから、清水さんに殺される心配は一切なくなったから一安心なんだけどね?

 と、僕が安心していると、何故か雄二が修正ペンを持って、僕から署名書を奪おうとしていた。

 

 「待て雄二。貴様いったい何をするつもりだ? 怒らないから正直に全部話すんだ」

 

 「俺がサインした署名を消して、さらに今日一日明久の妨害をし続けて明日、明久が清水に殺されるようにしてやろうと思った」

 

 やっぱりか!! このゲス野郎は本当に油断ならないな。

 少しでも自分が安全で、僕が酷い目に会いそうな時は直ぐに裏切ってくるんだから‥‥‥‥‥‥

 

 「この署名書は僕がしっかり持っておくから、雄二は触るの禁止! あと、修正ペンまたは修正テープを持って署名書に必要以上に近づくのも禁止だ」

 

 こうでもしなと僕は一切安心できない。

 これは今までみたいに雄二に取って必要な物じゃないから、かなり心配だ。

 

 「ちっ。わぁーったよ。次からはもっとバレねぇようにするから安心しろ」

 

 「安心できないよ! 雄二、貴様は絶対にこの署名書に近づくな!」

 

 なんて奴なんだ。諦めるどころか、次の作戦まで考えるとは‥‥‥‥‥‥‥しばらく会わない内にゲス度が上がっているような気がする‥‥‥‥‥

 

 「覚えてたらな。‥‥‥‥‥それで? これからどうするんだ? 清水がいないなら今日はこれで終わりにするつもりなのか?」

 

 「まさか。何回も言ってくるけど、僕は誘拐された女の子を助けたいんだってば。”向こう”に行くのにいつまでも時間は掛けてられないんだよ」

 

 ヴィヴィオを助けたいと言う話は、もう何回言ったかも分からないくらい言い続けている。

 だと言うのに雄二のこの反応。

 適当にもほどがあると思うのは僕だけだろうか?

 

 「じゃあ次はどうするんだ? どうせ残りのメンバーは誰も仲間にできてねぇんだろう? 誰か行くつもりなんだ?」

 

 「ん~。ここは無難に秀吉か、ムッツリーニかな?」

 

 「ならムッツリーニからだ。ムッツリーニの方が秀吉よりも交渉しやすいからな」

 

 と言う雄二の発言で、僕達は秀吉よりも先にムッツリーニから交渉する事に決まったんだけど‥‥‥‥‥

 

 「ねぇ雄二? ムッツリーニはいったいどこにいるの?」

 

 「俺が知るか。と言うか、お前がアイツに用があるんだからお前が調べとくべきだろうが?」

 

 「僕は最初の雄二の事だけで手が一杯だったんだよ! 雄二こそ秀吉よりもムッツリーニが先って言ったんだから、ムッツリーニの場所を調べておくものでしょ!」

 

 「俺にそんな時間がどこにあったって言うんだ!? お前に協力してからはお前とずっと一緒にいただろうが!」

 

 「そこは気合で何とかしてよ!」

 

 「無茶苦茶だな!? ムッツリーニがエロのために行動する時じゃないんだから、俺にそんな‥‥‥‥事‥‥‥‥‥あるじゃねぇか。ムッツリーニを見つけるための手っ取り早い手段が」

 

 僕と雄二がいつものようにケンカを始めて直ぐに、雄二は自分が言った事に何かが引っかかったのか、言葉の途中でムッツリーニを見つける方法を思いついたようだ。

 

 「明久、至急ある本を数冊入手してきてほしいんだが‥‥‥‥‥頼めるか?」

 

 「そりゃ、もちろん構わないけど、何を手に入れればいいの? 学校にない物だと手に入らないよ?」

 

 「それは大丈夫だ。Fクラスに行けば必ず大量に出てくる」

 

 Fクラスには大量にある物? 雄二はいったい何をするつもりなんだろうか‥‥‥‥‥‥‥?

 

 

 

 しばらくして、僕は雄二に頼まれたブツを持って雄二との合流地点へと戻ってきた。

 

 「雄二、取って来たよ。けど改めて思ったけど、Fクラスって何も変わってないんだね‥‥‥‥‥」

 

 「安心しろ。お前もバカなまま何も変わってねぇから」

 

 失敬な。僕は自分で言うのもなんだけど、少しは変わったと思う。

 毎日なのはの訓練に耐え、フェイトが『少しは勉強もしておかないと元の世界に帰った時、苦労しちゃうよ?』等と言ったのが始まりで、途中からフェイト達の手によって無理やり勉強させられたんだから、少しは賢くなっているはずだ。

 少なくとも小学生の問題ならもう間違えない。

 中学生の問題も‥‥‥‥‥きっと大丈夫。だと思う‥‥‥‥‥

 

 「明久、いつまでも突っ立てないで、その本をちゃっちゃっと置いて身を隠すぞ」

 

 「あ、うん。ごめん」

 

 僕は六課での生活を思い出して、少しボーっとしてしまったようだ。

 いかん、いかん。今はムッツリーニを捕える事に集中しないと‥‥‥‥‥‥

 僕は意識を雄二の作戦に移して、ムッツリーニを捕える事に集中する。

 けど、こんな作戦が本当に上手くいくのか心配でしょうがない。

 雄二の作戦とはつまり、鼠取りと同じような事をする、というものだ。 

 もっと詳しく言うと、ムッツリーニの好きな物を廊下に置いておいて、ムッツリーニがそれを取りに来たところを捕える。こういう作戦だ。

 因みに、ムッツリーニが好きな物とは、もちろん保健体育の参考書だ。

 僕が雄二に言われて取りに行ったのもこれだ。

 雄二曰く『Fクラスの奴等のカバンを漁れば必ず大量に出てくるから、それをパクって来い。元々、アイツ等が持ってたらダメな物なんだから、パクっても何ら問題ない』と言う事らしい。

 持ってくる方も持ってくる方だけど、なんの躊躇いもなくクラスメイトの宝をパクれなんて言う奴も言う奴だと思う‥‥‥‥‥‥

 そして何より酷いのは

 

 「ムッツリーニ、どうして君はこんな簡単な罠に引っかかるんだよ‥‥‥‥‥」

 

 今僕の目の前で簡単に罠に嵌ったムッツリーニだ‥‥‥‥‥‥

 信じられない事に、何のためらいもなく参考書を手に取り、一瞬でこの罠にかかるムッツリーニ。

 捕まえた事は嬉しい。嬉しいんだけど、あまりにもあんまりなので、僕はこの複雑な気持ちをどこに持っていけばいいかのかモヤモヤする羽目になった。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥何の話だ、明久」

 

 「いや、何の話って‥‥‥‥‥こんな簡単な罠にどうして掛かるの? って話だよ」

 

 「‥‥‥‥‥‥罠になど掛かっていない」

 

 「えぇ!? 君はこの状況で認めないつもりなの!?」

 

 「‥‥‥‥‥‥これはわざと」

 

 どうやら、どうあっても参考書に釣られた事を何が何でも認めないつもりのようだ。もう無駄だと思うけど‥‥‥‥‥

 まぁでも、これでようやくムッツリーニと話ができるんだし、これ以上追及するのは止めておこう。これ以上はムッツリーニを傷つけるだけだしね。

 

 「ムッツリーニ。明久がお前に話があるそうだ。聞いてやってくれるか?」

 

 「‥‥‥‥‥‥秀吉の生写真。一枚200円」

 

 「おお! この写真、なんてベストアングルなんだ! ってそうじゃないよ!」

 

 危ない。もう少しでムッツリーニのペースに巻き込まれて、またお得意様になる所だった。

 なんて危険な罠なんだ‥‥‥‥

 

 「僕はそう言うのはもう止める事にしたんだ。じゃないと食費が大変な事になるし」

 

 「なん‥‥‥だと‥‥?」 

 

 「‥‥‥‥‥‥‥明久が自分の食事を考えるなんてあり得ない」

 

 「こりゃ、これから天変地異でも起こるんじゃねえか?」

 

 「失敬な! どうして僕が食事を気にすると天変地異なんて発想が出てくるのさ!? 自分の食事を考えるなんて普通の事でしょ!?」

 

 本当は六課では普通に食事を取ってから、もう水や塩だけの生活に戻りたくないだけど

 

 「そ、そりゃそうなんだが‥‥‥‥‥」

 

 「‥‥‥‥‥‥明久が食事の事を考えるなんて、昔ならあり得ない事だった」

 

 「そんな事ないよ! 僕だって前から食事には凄く気を付けてたよ!」

 

 「‥‥‥‥‥‥それは姫路の料理に対してだけ」

 

 「後、玲さんの料理に対してもだな。あの二人の殺人料理がなければ、お前は食事なんて気にしないかっただろうが」

 

 否定できない自分が恥ずかしい。

 確かに姫路さん達の料理がなければ、僕は自分の食事をきちんと取ろうとしなかったのだろう。

 

 「っと、大分話が逸れてるぞ明久。さっさとムッツリーニと話をつけろ」

 

 「あ、そう言えばそうだった」

 

 僕の食事や秀吉の写真の話をしてる間に、本来の目的を忘れてしまっていた。

 僕は雄二に言われたから、その事を思い出して、咳払いを一つしてから口を開いた。

 

 「ムッツリーニ、頼みが――」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥値切りはしない」

 

 「そこを何とか――って、ちっがぁぁう!! 写真はもういいんだってば!」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥冗談」

 

 僕が買う気だったら、冗談で終わらせるつもりはなかったくせに良く言うよ‥‥‥‥‥‥

 

 「‥‥‥‥‥‥‥本当の要件は?」

 

 自分で話の腰を折っておいて、早く要件を言えとばかりに急かしてくるムッツリーニ。

 三か月前より凄く曲者になっている気がする‥‥‥‥‥‥

 

 「はぁー。まったく。なんか調子がくるうな‥‥‥‥‥‥」

 

 「いいから早くしろ。これ位いつもの事だろうが」

 

 三か月もいなかった僕からしてみれば、皆バージョンアップしてるように思えるんだよ。

 もしかしたら僕の感覚が戻りきってないだけで、皆は何も変わってないって可能性もあるけど‥‥‥‥‥‥

 まぁ、今はそんなこと考えても仕方ないので、雄二の言う通り早いとこ話をつけるとしよう。

 僕は雄二の時と同じようにムッツリーニにも話をした。

 

 「‥‥‥‥‥‥それで雄二は協力しているのか?」

 

 「まぁ、条件として翔子から逃げる時に無条件で俺の協力をするってのが条件だけどな」

 

 「‥‥‥‥‥‥素直じゃない」

 

 「どう意味だ‥‥‥‥‥‥‥?」

 

 「‥‥‥‥‥‥言葉の通り。まず俺達に明久には勝算がない可能性が高いとはな――」

 

 「分かったからそれ以上言うな」

 

 「‥‥‥‥‥‥素直じゃない」

 

 「うっせぇ」

 

 ? 雄二とムッツリーニは何の話をしてるんだろうか?

 なんか一方的に雄二が押されてるように見えるけど、何が原因で雄二がムッツリーニに対して口で負けているのか理解できない。

 普段こんな光景を見ないから余計に分からない‥‥‥‥‥

 

 「盛り上がってる所悪いんだけど、ムッツリーニは結局僕に協力してくれるの? してくれないの?」

 

 とりあえず忘れられてそうなので声を出しておく。

 それに協力してくるのかどうかの理解は、僕としてはどうしても分かっていないといけない事だしね。

 他の事は理解できなくても、そこだけハッキリさせようと思っての発言だったんだけど

 

 「‥‥‥‥‥‥見返りは?」  

 

 ムッツリーニの答えはYESでもNOでもなく、見返りの要求だった。

 雄二に続いて、ムッツリーニまで見返りを要求してくるとは‥‥‥‥‥

 けどまぁ、ムッツリーニを満足させるなんて事は一番簡単だ。

 ムッツリーニの事を知っている人なら誰でもできると言っても過言ではないと思う。

 なぜなら

 

 「ムッツリーニの好きなそうな聖典(エロ本)を――」

 

 「‥‥‥‥‥‥交渉成立」

 

 このように聖典、または保健体育の参考書を譲る約束をする事で、交渉は難なく成立する。

 実に分かりやすい奴だと思う。

 まぁ、なんにせよこれで雄二とムッツリーニを仲間に引き込む事に成功したわけだ。

 

 ノルマ―達成まで残り三人。

 

 

 

 

 

 

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