魔法少女リリカルなのは バカの参戦    作:セイイチ

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第五十八話

 僕が自力で暴走を止めると、僕の目にはボロボロなユニゾン状態の扇が映っていた。

 そして、それを確認すると同時に

 

 ズキッ! ズキッ! ズキッ!

 

 僕の体の至る所から激痛が僕を襲った。

 

 「くっ!? ゲホッ! ゲホッ! っつぅ~~~~!?」

 

 あまりの痛みに、僕は思わず倒れそうになるが、なんとか堪えた。

 あ、危ない。

 せっかく体を取り返したのに、一瞬で意識を失うとこだった‥‥‥‥‥

 どうやら僕も扇と同様、ボロボロになっているようだ。

 

 「お前‥‥‥‥‥戻ったのか?」

 

 と、僕の様子を窺っていた扇は、僕の状態の変化に気づいたのか、そんな事を聞いてくる。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥なんとかね? けど、僕の知らない間に、体中が凄い痛いんだけど?」

 

 「それはお互い様だ。攻撃を避けようともせず、ひたすら突っ込んでくるんだ。こっちだって、それなりにダメージを負ってるってんだよ」

 

 え? 暴走してる時の僕って、攻撃を回避したりしなかったの?

 と言う事は、あの滅茶苦茶な風の攻撃を全部真面に食らってたって事?

 そりゃ、体中痛いわけだ‥‥‥‥‥‥‥

 

 『小僧、意識を取り戻したのか?』 

 

 と、今度はザボルグから声を掛けられた。

 

 『途中記憶がないのだが、話はドラグーンから聞いた。悪かったな‥‥‥‥‥‥』

 

 「え? 今なんて言った‥‥‥‥‥‥‥?」

 

 もしかして、あのザボルグが謝ったの? 

 僕は思わぬ言葉を聞いて、思わずザボルグに聞き返していた。

 

 『う、うるさい! 二度は言わん!』

 

 けど、やっぱりザボルグには断られてしまった。

 くっ! プライドが異様に高いザボルグが自分の事で、謝るなんてレアだったのに‥‥‥‥‥‥

 今度、同じような機会があれば、しっかり録音しなければ‥‥‥‥

 

 「って、そんな事より、今どうなってるの? 僕の状況もだけど、他の皆の事も分かる範囲で教えてくれる?」

 

 僕は自分が暴走していた間の事が何も分からないので、ザボルグに現状を聞いてみたんだけど、ザボルグから帰って来たのは、驚くべく内容だった。

 

 『今、残っている戦闘機人は後、二体だそうだ。一体は”ゆりかご”内部にいるらしい。で、あの”ゆりかご”は航空艦隊が軌道ポイントに到達する前に、破壊する方針のようだ。ただ、航空艦隊が”ゆりかご”を破壊できる位置まで到着するのに、時間がギリギリ足りないようだな』

 

 「つまり、まだスカリエッティの思惑は潰れてないんだね?」

 

 『そういう事になるな。まぁ、でもお前に”ゆりかご”は関係ない。目の前の奴に集中してろ』

 

 まぁ、確かに”ゆりかご”を止めるのに扇を倒すのは関係ないけど、結局扇は”ゆりかご”を止めようとすれば邪魔してくるだろう。

 なら、ザボルグの言う通り、僕は扇に集中すべきなんだろうけど‥‥‥‥‥

 

 「もう体が持ちそうにないんだけど?」

 

 僕はいつ気を失ってもおかしくないダメージを負っていた。

 ほとんど戦った記憶がないのに‥‥‥‥‥‥

 

 『それは向こうも同じだ。向こうだって随分と消耗している』

 

 「要はここからは気力勝負って事でいいのかな?」

 

 「ふん。図に乗るな。どうせお前は負けるんだから、早いとこ沈め」

 

 ‥‥‥‥‥‥‥あのー、ザボルグさん?

 相手は結構元気そうなんですが?

 確かに扇もボロボロだけど、僕の方が遥かにボロボロだと思えるんですけど‥‥‥‥‥‥?

 

 『まぁ、お前はガードなしで全ての攻撃を真面に食らってたからな。向こうもかなり食らったようだが、お前よりはガードもしていたし、回避だってしていた分、体力は残ってるだろう』

 

 それはもう十分過ぎるくらい不利なんですが?

 

 『それと、お前は意識のあるうちにユニゾンは初めてだから言っておくが、気は抜くなよ? 気を抜くと直ぐに暴走するぞ?』

 

 「もう一回してるから、分かってるよ」

 

 『‥‥‥‥‥二度目は帰って来れないぞ? (最も、普通は一回でも帰ってこれないはずだったんだがな‥‥‥‥‥)』

 

 「分かってるよ。もう僕だって帰って来れるとは思わないよ」

 

 正直、ヴィヴィオを助けるって言う、強い気持ちがなかったら、絶対に帰って来れなかったと思う。

 今回は運が良かっただけだ。

 次はないだろう‥‥‥‥‥‥。

 

 『そうか‥‥‥‥‥‥なら最後の忠告だ。ユニゾンはドライブと違って、我らの力の一部をお前が扱うのではなく、使用者自身が人型のドラゴンとなるものだ』

 

 「え? じゃあ、僕は今、本物ドラゴンになってるって事?」

 

 『一時的にだがな。‥‥‥‥‥‥そして人型のドラゴンとなっているのは敵も同じだ。ドラゴン同士が地上で戦うなよ? ちょっとぶつかっただけで軽く半径10kmは更地に、下手すりゃ星が消えるぞ』

 

 「マジですか‥‥‥‥‥‥‥‥‥?」

 

 星が消えるって‥‥‥‥‥‥いくら何でもスケールが大きすぎる。

 

 『ドラゴンは本来、亜空間でも生きていられる生物だからな。星が無くなっても戦っていられるからな』

 

 ‥‥‥‥‥‥ドラゴンの事を聞けば聞く程、化け物だと思わされるな‥‥‥‥‥‥

 ん? 待てよ? と言う事は‥‥‥‥‥‥‥

 

 「極端な話、扇が大気圏にでて、星を破壊しても扇は生きてられるの?」

 

 『ユニゾンが解けるまでは生きてられるな。まぁ、その時はお前もユニゾンを使ってる間だけは生きてられるから、安心しろ』

 

 そういう問題じゃない。

 僕が生き残っても、皆が死んだらダメだし、星を破壊するって発想がそもそも間違ってる。

 

 『まぁ、要は今さら足止めなんてチャチな事言ってる場合じゃないって事だ。本気で倒せ』

 

 確かに。

 はやてには”ゆりかご”を止めるまでの間、足止めを頼まれたけど、そんな事は言ってられないようだね‥‥‥‥‥‥

 僕はこの場で、扇を足止めするじゃなく、倒しきると決めて、扇の事を睨みつけた。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 そんな僕と同様に、扇も僕を睨みつけてくる。

 僕と扇は、お互いに無駄話や無駄な思考は止めて、お互いの動きに集中して、相手の事だけを見ていた。

 ‥‥‥‥‥‥どれくらい、こうしていただろうか?

 僕と扇は、お互いに動かず睨み合っていたが

 

 『スターズ4、ナンバー9逮捕! 残る戦闘機人ナンバー4一機!』

 

 シャーリーからそんな連絡が入った瞬間、僕等は同時に動き出していた。

 僕らは互いに真っ直ぐ相手に突っ込んで行き、互いの武器を振るう。

 扇の大鎌が僕の首を狙って振るわれてきたのを、僕は扇に近づきながら、体を捻る事で回避し、そのまま扇に斬りかかる。

 だが

 

 スカッ!

 

 僕の攻撃は空を切り裂いた。

 扇が一瞬で僕の真上まで移動して、僕の攻撃を避けたのだ。

 そして、扇は回避した後、口に魔力を溜めこんでいた。

 

 「っ!」

 

 僕はそれに気づいて、すぐさま僕の方も口に魔力を溜めこむ。

 そして

 

 「風龍の怒号!!」

 

 「雷炎龍の咆哮!!」

 

 僕等は互いにこの近距離で、魔力を吐きだした。

 結果

 

 ドォォォォォォ―――――――――――――――ン!!

 

 今まで、人類が経験した事がない規模での大爆発を起こした。

 そして、その爆発の直ぐ近くにいた僕と扇もただ済む事はなく

 

 「うああああああああ!」

 

 「くっ―――――――――!」

 

 互いに爆発に巻き込まれ、大きく吹き飛ばされてしまった。

 だが

 

 ガキンッ!!

 

 僕も扇も、それで止まったりはせず、すぐさまお互いがお互いに近づいて、互いの獲物を振るいあって、鍔迫り合いになった。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、またこの形になったな‥‥‥‥‥‥」

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、それだけ、力が拮抗してるんでしょ?」

 

 互いに息は上がっているのに、僕ら二人は力を抜いたりする事は、一切なかった。

 分かっていたのだ。

 少しでも力を温存するとか、似たような事を言ったら速攻で負ける事に。

 僕等の実力は、それくらい拮抗していた。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、ふざけん、な‥‥‥‥‥‥俺の方が、押してる、だろうが?」

 

 だが、扇はそれを認めようとはせず、バテバテになりながら、それを否定してきた。

 野郎っ! そっちがその気なら!

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、強がるのも、その辺にしときなよ‥‥‥‥‥さっきのは、お前に、遠慮した、だけで、本当は、僕の方が、押してる、でしょ?」

 

 僕も負けじと、バテバテになりながら、言い返した。

 

 「「‥‥‥‥‥‥っ!」」

 

 僕らはそのすぐ後、同時に互いの得物に力を入れて、互いに弾きあって、一気に下がり距離を取った。

 僕らは下がった瞬間、同時に助走をつけてから、一直線に相手の懐にめがけて突っ込んで行き

 

 バキッ!! バキッ!!

 

 ボキッ!!

 

 互いの武器同士をぶつけ合った瞬間、お互いのデバイスは折れてしまった。

 僕の二刀の剣も両方とも折れて、扇の大鎌も真っ二つに折れていた。 

 が、僕等は武器が無くなったからと言って、戦いを止めたりはしなかった。

 武器が折れたのを確認した瞬間、デバイスを直ぐに待機モードにして、互いの顔面に拳をぶつけあった。

 

 「っ!!」

 

 「くっ!!」

 

 僕等はその衝撃で、まとも互いに吹き飛ばされ、距離をあける事となる。

 

 「っつぅ~~~」

 

 僕は扇に殴られた箇所を抑えながら、思わず声をだしていた。

 今のはかなり効いた。

 僕は、ドラグーンを待機モードにした事により、ユニゾンの鱗の下に着ていたBJも解除されていた。

 つまり、この鱗の下には文月学園の制服を着ているだけの、何の防御力もない生身なのだ。

 

 (そりゃ、こんな状態で、あんな重いパンチを貰ったら、かなり効くに決まってるよね‥‥‥‥‥)

 

 これは大ピンチだ‥‥‥‥‥‥

 なんて僕は思ってたんだけど、僕に殴られた扇も顔を抑えて、額から汗を流して、僕に声を掛けてきた。

 

 「どうやら、互いにデバイスは壊れ、BJは解けたようだな」

 

 どうやら扇も僕と同じような状況になっているようだ。

 

 「魔力だって、ほとんど残ってねぇ。俺はユニゾンを維持するので精一杯だ‥‥‥‥‥‥‥見た所、お前もだろ?」

 

 残念ながら、扇の言う事は正解だ。

 僕にはもうユニゾンを維持するだけの魔力しか残っていない。

 少しでも魔力を砲撃に回せば、一瞬でユニゾンが解けるだろう。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥なら、ここで止めて、諦めて捕まってくれる?」

 

 「‥‥‥‥寝言は、寝て言え。すぅー‥‥‥‥‥‥‥はぁー」

 

 扇は大きく深呼吸を一度して、少し息を整えてから、続きの言葉を発した。

 

 「残ってるのは互いの身一つだけだ。ここからは泥臭い戦いをしようぜ‥‥‥‥‥‥‥」

 

 僕が最も聞きたくなかった言葉だ。

 泥臭い戦い。

 それはつまり、ケンカのような殴り合いをするって事だ。

 僕はできる事なら、そんな事はしたくない。

 BJが消えて、殴られた時の痛さは倍増するって言うだけでも嫌なのに、本気を出せば星を破壊できる状態のユニゾンを使っている、相手の攻撃だなんて最悪だ。

 けど

 

 「大人しく捕まる気がないなら、それも仕方ないね‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 逃げても扇は襲ってくるだろう。

 仮に襲ってこなくても、扇を捕まえらえず扇はまた犯罪を犯すだろう。

 そんな奴を、野放しにしていいはずがない!!

 

 「ははは。そうこなきゃ面白くねぇよな‥‥‥‥‥‥」

 

 扇が拳を構えてきた時、僕も同時に拳を構えて、またも互いに睨み合う。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 そして、またも僕等は何かの合図を待つように、静寂の中、互いの事を睨み合っていた。

 だが、今度は何が合図だったわけでもなく、自然と僕等の体は同時に動きだしていた。

 

 「うおおおおおお!!」

 

 「おらぁぁぁぁぁ!!」

 

 お互いに小細工なしで正面から殴り掛かって行った。

 僕は扇の攻撃が僕に入るよりも早く、扇の顔面に拳をぶつけた。

 だが、扇はその拳を受けて直ぐに、殴られて傾いた体を利用して僕に蹴りを放ってくる。

 僕はそれを避ける事ができず

 

 「くっう~!!」

 

 真面に食らったが、何とか耐えて反撃に出る。

 このまま普通に打ち合ってたら、体がもたない。

 ここは急所を狙って、確実に一発で落としに行く!

 僕がそう決めると、今度は扇が先に僕の顔にめがけて拳を放ってくるが、僕はそれをしゃがんで避けて、扇の顎に向けて思いっ切り蹴りをお見舞いする。

 

 「ガフッ!」

 

 その勢いでさらに上空まで打ち上げられた扇を追いかけて、僕は扇に向かって拳をラッシュさせた。

 結果、扇は何発も打撃を受けたが、扇も黙ってやられるばかりではなく、僕のボディー等に数発の拳を入れてきて、反撃してきていた。

 僕等はその後も、何度も攻守を入れ替えて殴り合い

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

 互いに息を切らしていた。

 もうどれだけ攻撃したのかも、どれだけ攻撃されたのかも分からなくなっていた。

 

 「し、しぶとすぎ、だぞ‥‥‥‥‥‥お前‥‥‥‥‥」

 

 「そ、そっち、こそ‥‥‥‥‥‥」

 

 僕等は知らない内に更に上昇していたようで、既に雲が遥か下に見え、上を見れば薄らと黒く見えるような位置まで来ていたようで、周りの酸素もかなり薄くなっているように感じた。

 ザボルグの話では、ドラゴンは亜空間でも生きて行けると言う事だったから、空気がなくても大丈夫なんだろうけど、それはそれだ。

 こうして暴れ続ければ、空気が欲しくなる。

 つまり、何が言いたいかと言うと

 

 「いい加減にしよう。もう限界だ。次で最後にしよう‥‥‥‥‥‥‥」

 

 決着をつけようと言う事だ。

 

 「はは。もったいねえな‥‥‥‥‥‥こんなに楽しいのによ‥‥‥‥‥‥‥」

 

 扇は笑いながら、そんな事を言ってくる。

 僕は一瞬、まだコイツは戦えるのか? と恐怖したんだけど

 

 「‥‥‥‥‥‥まぁ、俺ももう限界だ。次で決めてやる‥‥‥‥‥‥」

 

 扇も限界だったようで、僕等は次の一撃に全てを賭けてこの長かった戦いに終止符を打つ事に決まった。

 僕と扇は、本当に最後の睨み合いをする。

 ‥‥‥‥‥‥‥この一撃で、全てが終わる。

 今度は、僕等に静寂の時間なんて、訪れたりはしなかった。

 ただ、一言

 

 「行くぞ」

 

 扇が呟いて、僕等は同時に相手に向かって殴り掛かった。

 僕と扇、お互いの拳同士がぶつかった。

 互いの体が悲鳴を上げるが、それでも僕等はお互いに引いたりはしなかった。

 

 「うおおおおおおおおお!!」

 

 「はあああああああああ!! くっそ野郎ぉぉぉ!! 負けてたまるかぁぁぁぁぁ!!」

 

 どちらかの拳が壊れるまで続くと思われていた、拳のぶつかり合いは

 

 ドスッ!

 

 こんな音を最後に終わりを迎えた。

 

 「ごふっ! ‥‥‥‥‥‥??」

 

 僕も扇も、互いに拳は出したままだった。

 けど、僕の視界は段々カスれていき、僕の突きだしていた拳は段々と扇の拳から外れ、下に滑るように落ちて、力が入らなくなった。

 突然力が入らなくなった僕は、腹部から今までとは比べ物にならない激痛を感じて、視線を向けると、そこには何かが刺さっていた。

 

 「ごふっ! ‥‥‥‥‥‥なんで‥‥‥?」

 

 僕は口からも血を流して、この刺さっている物を引き抜きながら、言葉を発した。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、悪いな。卑怯だと思うなら、そう思え」

 

 僕の腹に刺さっていた物。

 それは扇がユニゾンを発動した事により腰の辺りから生えた尻尾だった。

 どうやら扇はその尻尾を、僕と拳をぶつけている時に僕の腹部に突き刺したようだ。

 

 「卑怯汚いは敗者の戯言だ。俺は強い奴と戦って、勝てればそれでいい。過程は気にしないんだよ」

 

 くっ。まさか、Fクラスで良く使っていた、勝負の鉄則を僕が聞かされる事になるとは、夢にも思わなかった‥‥‥‥‥‥‥

 僕は、その扇の言葉を最後に、意識を失った‥‥‥‥‥

 

 『『『明久(君)(さん)(アキ君)(アキ)(アキ兄)(吉井)!!!』』』

 

 

 ガシッ!

 

 

 ――はずだった。 

 

 「なに!?」

 

 僕は意識を一度は失った意識を、再び繋ぎ、扇が逃げられないように尻尾をガッチリと掴んで、目を覚ました。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

 「なぜだ!? 今、確実に意識を失ったはずだ! なんで、そんな直ぐに復活――」

 

 「仲間に‥‥‥‥‥呼ばれた気が‥‥‥したから‥‥だ‥‥‥‥‥」

 

 僕は薄れる意識の中、皆の声が聞こえた気がした。

 そう思ったら、自然と意識を保つ事が出来た。

 

 「んなバカな事があるか!! 根性なんかで、気持ち一つでどうにかなる傷じゃねえんだぞ!?」

 

 「そんなの‥‥‥‥‥‥知るか」

 

 「くそっ! っ!? な!? 離せこの!!」

 

 扇は僕の目を見て、直ぐに僕から離れようとしてきたが、扇は逃げる事ができないでいた。

 理由は簡単。

 僕はヘロヘロになって、言葉も真面にしゃべれなかったが、尻尾を掴んでいる僕の両手だけは、しっかりと力を込めていたからだ。

 コイツを逃がさないために‥‥‥‥‥‥

 

 「今度こそ‥‥‥もう‥‥‥意識が‥‥‥持ちそうに‥‥‥‥‥ない‥‥‥。‥‥‥‥‥悪いけど‥‥‥‥加減はしない‥‥‥‥‥‥‥」

 

 僕はそう言って、体内の全魔力を根こそぎ集めて口の中に注ぎ込んで行った。

 

 「おい、待て。何をするつもりだ? もう魔力はないんだろ? そんな事したら、こんな大気圏に近い、空気の薄い場所でユニゾンが解けるぞ?」

 

 つまり、簡単に言えば、扇が言ってるのはユニゾンが解けたら僕は死ぬって事だろう。

 そんな事は分かってる。

 こんな酸素の薄い場所でユニゾンが解けたら、窒息死する恐れがあるし、よしんば窒息死しなくても、もう僕に飛べるような魔力はない。

 何千万メートル上空から一気に地面に落下するのだ。生きてる可能性はゼロだろ。

 けど

 

 「‥‥‥‥それが‥‥‥‥‥どうした‥‥?」

 

 「な!?」

 

 僕には扇と違って、仲間が大勢いる。

 扇を倒した後の事は、きっと皆が何とかしてくれる。

 僕は皆を信じる。

 だから、加減はしない。

 全力全開の、今残ってる力全てをこの一撃に込める!

 

 「‥‥‥‥‥雷炎‥‥‥‥龍の‥‥‥‥‥‥‥」

 

 「や、止めろぉぉ―――――――!!」

 

 「咆哮―――――――――――――――――!!」

 

 ドカァァァァ―――――――――――――――――ン!!

 

 僕の咆哮が鳴り響き、大爆発を起こし、辺り一面、煙だらけとなった。

 もしこれで、扇が意識を保ってたら、終わりだなと思いつつ、徐々に遠くなっていく意識を必死でつなぎ止めながら、掠れる目で煙を凝視していると

 

 ヒュッ!

 

 煙の中から、黒い影ひとつ見える。

 僕がその影を目で追い、その影が何なのか凝視すると、煙の中から現れて、今なお落下してるのは扇だった。

 どうやら、流石の扇もあの攻撃には耐えられなかったようで、何もできずに地上へと落下していった。

 それを確認した僕も、扇をちゃんと倒せた事に安心すると、完全にユニゾンが解けて、今度こそ完全に意識を失い、扇の後を追うように地上へと落下していったのだった。

 

 

 

 




次回いよいよ最終回!

長い間、こんな駄作に付き合ってくださり、ありがとうございました!

次回が本作の最後の駄作となりますので、良かったら見てやってください!
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