魔法少女まどか☆マギカ〜魔法少女と落ちこぼれ魔法使い〜   作:光三

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第6話 『魔法少女』暁美 ほむらと『魔法使い』アクロス・パーリアート

 見滝原中学に転校する前日、ほむらはアクロス・パーリアートを探していた。すると、声が聞こえた。

 

「どうも、2日ぶりですね。『魔法少女』さん。俺です。アクロス・パーリアートです」

 

「探していたわ。私の名前は、暁美 ほむらです。これからよろしくお願いします」

 

「ところで暁美さんは、なぜ俺のことを探してたんですか?」

 

「それは、聞いてみたいことがあったからよ。アクロス君、あなた何者?初めて会ったときから違和感があったのよ。まるで、別世界からやってきたようなそんな感じ……私の感覚の問題でしかないわ、何もなければ何もないでいいの」

 

「感覚ですか……本当にそれだけですか?」

 

 ほむらは、内心でやっぱりばれたかと思った。それは、想定内で言葉につまることはなかった。

 

「いいえ、ちがうわ。アクロス君、あのとき名前だけしか言わなかったでしょう。そして、私は名前を聞いて外国からきた人なのかと思った」

 

「だから、あの質問で確認したかったんですね?」

 

「そして、あなたは私に『どうしたい?』って逆に質問を返してきた。あのときの私は色々壊れていたから考える余裕がなくて、あなたに邪険に接してしまった。本当にごめんなさい。後からよくよく考えてみると、あなた自分が普通じゃないって喧伝しているようなものよあれ。気づかず?それとも意図的に?」

 

「半分半分かな?」

 

「保険をかけておいたということ?」

 

「あのときの暁美さんが普通でないことは、例のあれを見たおかげでわかってました。なので、接触するにしてもどう接していいのかわからなかった。だから、あんな強引な自己紹介をしました。出来るだけあなたの印象に残りやすいように」

 

「あなた、本当に子供?少しいや、かなり賢いわね」

 

「賢くなんてないですよ?俺の全てはアリスの為にあるものだから」

 

「アリスさん?何、彼女?」

 

「はい、そうです。この世界に来ているアリスを手伝う為にやってきました。改めて自己紹介します。俺は、『概念世界』アムヌネジアからこの『並行世界』にやってきた『魔法使い』です」

 

「想定内でもあり、想像以上の答えをありがとう。まず、『並行世界』はなんとなくわかるわ。でも、『概念世界』って何?」

 

「一言で言うのならオリジナル世界」

 

「わかりやすいわね……でも、詳しい話が聞きたいわ」

 

「そもそも『異世界』というのは、『概念世界』と『並行世界』に分けられます。その前に、あのことを話しておいた方がいいかもしれませんね」

 

「あのこと?」

 

「『異世界』には、『人間』以外にも『感情』を持った『知性種族』が存在します。たとえば、『神族』、『魔女族』、『亜人族』ですね。勿論、探せばまだまだいると思います」

 

「『魔女』!?で、でも『感情』を持っている?なるほど、そういうことなのね………つまり、あなたたちとわたしたちは持っている知識が違う。そして、『概念世界』の法則は一部『並行世界』の法則と混じり合う」

 

 率直な感想として、アクロスは驚いていた。

 

「ああ、その通りです。アリスは、『人間』から『魔女族』に『種族進化』する為にこの世界に来たんだ」

 

「『進化』か………皮肉なものね。こちらの『魔女』は、『絶望』の塊にしか過ぎないのに………」

 

「そろそろ、聞かせてくれませんか?『魔法少女』について」

 

 あのことを話さなければならない。ほむらは、気が重くなったが自身の『魂核』に宿るもう1人のほむらの『魂』が見守ってくれていることを感じ、勇気を持つことが出来るようになった。

 

「ふぅ〜。『魔法少女』とは、『インキュベーター』が創り出した『システム』よ」

 

「『システム』……『神』?いや、この場合は機械か?ん?どういうこと?」

 

「機械か……ある意味そうなのかもしれないわね。だって、この身体は抜け殻にしか過ぎないから」

 

「え?ぬ、抜け殻!?」

 

「ええ、わたしたち『魔法少女』の魂は体内から抜き出され、『ソウルジェム』という『卵型の宝石』に『変換』されるの」

 

「は、はあ!?『概念』を抜き出して視認できるように『変換』したあ!(パクパク)」

 

「『魂』って『概念』だったの?でも、視認出来なくても確かに存在するもの?そういえば、『魂核』というのも『概念』のひとつなの?」

 

「何?な、何故ほむらさんがそんなこと知ってるんですか!?」

 

「実はね、あの後もう1人の自分に言われたんです」

 

「もう1人の自分………もしかして!!」

 

「そうよ、もう1人の自分の正体は他の世界で死んだ私の『魂』がわたしの『魂核』に『転移』してきたものよ」

 

「そういうことだよな。そう言えば、なんでほむらさんは今平気そうなんですか?」

 

「もう1人のわたしは、こんなクールな感じではなかったわ。いつもおどおどして、友達が1人もいないそんな感じ」

 

「引っ込み思案って感じだったんだな。ほむらさんも昔はそんな感じだったのか?」

 

「ええ、そうよ。そして一番最初の世界でわたしは、運命と出会った。そう、『魔法少女』になったまどかとマミさんが『魔女』の『結界』に囚われたわたしを助けてくれたの」

 

「まどかというのは、ほむらさんの親友と呼ぶべき人か?」

 

「ええ、そうよ。わたしにとってまどかは初めての親友だった。だから、わたしはあの現実を受け入れることがどうしても出来なかった!」

 

 いよいよ始まるのかとアクロスは感じた。彼女の長く苦しい『運命』への反逆が。

 

「『ワルプルギスの夜』今から約一月後この見滝原にやってくる超弩級の『魔女』よ。基本的に『魔女』は『結界』を創り出し『使い魔』を使役し、『結界』内部に閉じ込めて喰らう。だけど、この『魔女』は『結界』を持たない。『魔法少女』の素質が無い人には、台風などの自然災害として認識されるわ」

 

『魔女』それは、ほむら曰く『結界』に閉じ込めた人間を喰らう化け物である。『魔女』それは、ほむら曰く『絶望』の塊である。そこでふとアクロスは疑問に思った。一体『魔女』は、どこから出現するのか。『絶望』の塊というが、『知性種族』が絶望する際の感情がエネルギーと化して『魔女』を実体化しているのだろうか。様々な疑問が湧いてくるがそれを後回しにして、アクロスはほむらの話を聞くことにした。

 

「そう。『ワルプルギスの夜』それがまどかを殺してしまうの。必ず(・・)

 

「そうして、『インキュベーター』にあの願いごとを叶えてもらう代わりにほむらさんの『魂核』から『魂』を抜き出し、それを『ソウルジェム』に『変換』された。そして、ほむらさんは『魔法少女』となった。そういうことだな?」

 

「ええ、そういうことよ。そして、『時間操作』の魔法を使って『時間遡行』をしたわ」

 

「キュウべえの方こそ『神』だと俺は思った。だってさ、願いごとを叶えてしかもそれを実現させるなんて普通は『概念創造』しないと無理だからさ。だから、『神』……機械だと思ったんだ」

 

「おそらく『具現』の能力で『概念創造』したのね………そんなことより今は、わたしの話よね。ごめんなさい、相変わらずの話ベタで……」

 

『変換』と『具現』というのが『インキュベーター』の能力である。ということがわかったので充分話は上手い方だと思うのだが、しかしほむらは自己評価を低く見過ぎているように感じる。

 今までの話の中で最もアクロスが驚いたことは、『概念』を抜き出せるということだ。そもそも、『概念』というのは『物体』で存在しているわけではない。しかし、存在している。『概念』というのは『結果』が出て初めて存在を確認することができるのだ。

 

「2度目の世界でわたしは、マミさんに戦い方を教えてもらった。あの頃は、とても楽しかった。時間停止の魔法を使用した戦い方を考えるのはとても難しかったけど、毎日がとても充実していたわ。ただ、無作為に無計画になんの興味も湧かなかったあの頃とは違って………まどか達と『魔法少女』として活動していると、自分でもだれかの役に立つことが出来るんだって思った。でも、これは幻想だった」

 

「何があった?」

 

 アクロスは、嫌な予感がしていた。これ以上聞くな。引き返すなら今だぞ。などの言葉が警鐘の如く鳴り響く。しかし、アクロスは決めている。自分は、絶対に逃げることはしないと………例えこれが残酷な真実だとしても。

 

「『ワルプルギスの夜』が襲来してきて、わたし達3人の『魔法少女』は戦いを始めた。結果として、撃退することは出来た。但しマミさんの犠牲があった。それでも、まどかは守ることが出来たわたしは嬉しかった。でも、まどかは突然苦しみ出した」

 

「ん?—————————もしかして、『ソウルジェム』に何か異常が?」

 

「そうよ。そもそも『ソウルジェム』は、魔法を行使して『魔力』を使うと穢れるのよ」

 

「『ソウルジェム』は、『魔法少女』の『魂』を可視化したもの………『魂』が穢れる?魔に堕ちる?——————なあ、今俺やばいこと考えてるかもしれません」

 

「そう………おそらくそれで正解よ」

 

「『魔女』は、『魔法少女』の穢れた『魂』から産まれるんだな?」

 

「ええ。まどかの『ソウルジェム』は砕けて『魔女』を産み出した。近くにまどかの遺体を残して………わたしは困惑しながら必死に時間遡行をしたわ。その時、『インキュベーター』がわたしの視界入ったわ。その表情を見てわたしはぞっとした!だって、いつも表情に変化が無いのに浮かべていたのよ!とても歪な笑みを!」

 

 ほむらが、激情を込めながら語り出した。

 

「あの時のやつの顔は、『してやった!』、『騙し切ってやった』って物語ってた!!悔しい、悔しい!騙された、騙された!!やつに対する憎しみだけが募っていった。でも、思い出した。わたしの大切な親友、仲間のことを。だから、わたしは伝えた。みんなは『キュウべえ』に騙されてるって………でも、誰も信じてくれなかった。それは、そうよね。『インキュベーター』の目的を知らなかったんだから」

 

「『インキュベーター』って『感情』があるのか?」

 

「あいつらは、『感情』は無いって言っているけどとてもそうは思えない」

 

「『感情』というものが理解出来ないんだな?」

 

「あいつらは、嘘をつかない。でも、誤魔化すのよ!『ソウルジェム』のことも『魔女』のことも、なにも教えてくれなかった!」

 

「タチが悪いな………『魔法少女』側が圧倒的に不利すぎる条件だ。それを説明せずに『契約』を取ろうとしているのか」

 

「『感情』が無いだったらわたしも割り切れた。でも、『感情』を理解出来ないってどういうことよ!『インキュベーター』を屠る度にわたしはわたし自身を人じゃないと思うようになった。そして、ある時わたしは壊れたわ」

 

「ほむらさんは、どんなにクールを気取っても優しさを捨てることが出来なかったんだね。どちらかというとα寄りだったんだほむらさん」

 

「αって何?」

 

「αが命を重くみるβが命を軽くみるということだな。αは、基本的に不殺を信条としているんだ。βは、『知性種族』の命を奪うことを躊躇しない。因みに俺とアリスはαだ」

 

「じゃぁ、わたしは何なの?」

 

「それが、わからない(・・・・・)んだ。αでもβでもないって、ミネルヴァ先生は言ってた」

 

「第三の価値観?」

 

「そうなのかもしれないし、それが『知性種族』のもともとの姿なのかもしれない……そんなことよりも、『インキュベーター』の目的はなんなんだ?『魔法少女』を増やしたいからあんな誤魔化しかたするんだよな?」

 

「ええ。『インキュベーター』の目的は、宇宙を熱的死から救うことよ」

 

「宇宙が壊れるってことか、なんか聞いたことあるな……たしか、エンなんとかが高まってるとなんとかかんとかって。それと関係あるのか?」

 

「おそらく『エントロピー』じゃないかしら?」

 

「そう、それだ。確か意味は……焚き火で得られる熱エネルギーは、焚き火に使う薪の元となる木を育てる労力と釣り合わないという熱力学法則だったよな?」

 

「エネルギーは、常に形を変えるごとにロスが生じてしまう。エネルギーを消費する量は、エネルギーを生み出す量を上回ってしまい常に目減りしていく一方ということよ」

 

「それと同じようなことが宇宙で起きているというのが『インキュベーター』の話なんだな?」

 

「そうよ。『インキュベーター』は、『感情』を理解することが出来ないから普通に感情を持って話すわたしたちを見て、その『感情エネルギー』を利用することを考えた」

 

「そうか、『感情エネルギー』を『回収』してそれを宇宙に送り出すことによって『エントロピー』を凌駕し、宇宙救済につなげようとしているのか………ん?『魔法少女』………『少女』??——————そうか、そういう事だったのか!!だとすると『インキュベーター』は、相当効率重視タイプの『システム』だ」

 

「ええ。わたしたちのような第二次性徴期の女の子の希望が絶望に変わる時の相転移エネルギーは、最も効率が良いエネルギーの回収方法なのよ」

 

 アクロスは、この話を聞いて考えていた。何かどこかに『魔法少女』が『魔女』産み出す事なく、宇宙を救済する為の方法が無いものかと………さっきまでの話を聞きこのような事が考えられる時点で、アクロスはガッツリとα側の『知性種族』だと言える。

 

「なぁ、こんな事ほむら(・・・)に聞くのはあれなんだが、『インキュベーター』と共存する方法は無いのか?」

 

 アクロスは、禁句と思われる言葉をほむらに対して放った。すると、彼女の反応は意外なものだった。




何か、途中みたいな感じで終わってしまいましたが、これで一旦終了です。何処かで続きは、書きます。次回は、ほむらからまどかへの警告とまどか、まどか母、まどか父の家族会議の開始まで書く予定です。
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