弟もヨーソロー?   作:光星

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奏くんと仲良くなりたい!2

~花丸side~

 

今日の練習で奏くんと善子ちゃんがすごく仲良くなってた

羨ましい

マルもなにか行動を起こした方がいいずら…?

 

 

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そう思ったマルは早速奏くんに話しかけようと決めた

休憩中に話しかけよう。話題は練習のことについて

 

「あの、奏くん…」

 

「ん?あ、はなまるちゃん、どうしたんですか?」

 

「あの…オラ…じゃなくてマルのダンスどうずら?」

 

「あぁ、えっと…はなまるちゃんらしくていいと思います」

 

「あ、ありがとう…」

 

「あ、いえ」

 

「…」

 

ど、どうしよう…!会話が続かない…!こんな時は…

えっと、そうだ!マルの好きな本の話を…って、奏くんは本に興味ないかも…

 

「奏ちゃーん、ちょっとこっちおいでー」

 

「なぁにー、千歌お姉ちゃん」

 

マルが考えてるうちに奏くんは呼ばれて行ってしまった

 

 

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結局、練習が終わるまでそれ以上話せなかった。

なにか別の方法を考えよう

そういえば、千歌ちゃんがよく奏くんにみかんを食べさせてあげてる気がする

マルもなにか食べ物あげるといいのかな

えっと…食べ物…

あ、マルが練習の後に食べようと思ってたパンがあるずら…

これを奏くんにあげる…いや…でもマルもお腹空いてるし…

 

「花丸ちゃん?どうしたの、なんか難しい顔してるけど…」

 

「ル、ルビィちゃん、なんでも…なんでもないずら!」

 

帰る準備をしているとき、隣にいたルビィちゃんが心配して話しかけてくれた

 

「そ、それならいいんだけど」

 

大丈夫ずら。マルはもう覚悟を決めたずら

 

「奏くん!」

 

2年生達(主に千歌ちゃん)とじゃれあっている奏くんに声をかける

 

「なんですかー?」

 

不思議そうな顔をする奏くんにパンを差し出す

 

「これ、あげるずら!」

 

「へ?」

 

動きが止まっている奏くんの手にパンを握らせてマルは部室を出て走り出した

 

「あっ、待ってよ花丸ちゃーん!!」

 

「ちょっと待ちなさいよずら丸!!」

 

 

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「千歌ちゃんみたいに?」

 

「そうずら」

 

バスの中で、急に出ていったマルのことを追いかけて来てくれた善子ちゃんとルビィちゃんに話す

 

「それでパンを渡したのね」

 

「でも千歌と同じ感じにしたいならずら丸が食べさせてあげないと意味ないんじゃない?」

 

「あ…そういえばそうずら…」

 

ということは…

マルがただお腹すいただけってことずら!?

 

「ぅぅぅぅ……」

 

「は、花丸ちゃん!元気出して!!飴食べる?」

 

「ぅぅ…ありがとうルビィちゃん…」

 

また作戦失敗ずら…なにか他の方法を考えてみよう

 

 

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パク

「あ、おいしい」

 

「それ、花丸ちゃんがくれたやつ?」

 

「うん」

 

「食べすぎるとご飯食べられなくなるよー?」

 

「わかってるよぉ」

 

みんなと別れて、お姉ちゃんと2人でバスに乗っている

はなまるちゃんはなんで僕にパンをくれたんだろう

 

「花丸ちゃんのこと気になってるの?」

 

お姉ちゃんにはなんでもおみとおしだなぁ…

 

「うん、パン渡したらすぐ走って出ていっちゃったし、僕、なにかしちゃったかなって…」

 

「大丈夫!花丸ちゃんはきっと奏くんと仲良くなりたいんだよ!」

 

「そうなの?」

 

「そうだよ!だから奏くんからも話しかけてあげて?」

 

「な、なるべく頑張ってみる…!」

 

 

 

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~花丸side~

 

昨日帰ってきてからも奏くんとの接し方を考えていたけど、何も思いつかないまま寝ちゃった

やっぱりマルには無理ずら…?

いや、そんなことないずら!きっと仲良くなれるずら!

とりあえず学校に行ってから考えるずら!

 

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何も思いつかない…あと1時間で練習始まっちゃうのに…

もうすぐ奏くんも来て、でもマルの所じゃなくて、千歌ちゃん達のところに行くんだろうな…

 

「はぁ…」

 

「はなまるちゃん」

 

「なんずら?オラ今考え事を…」

 

ん?この声は…

 

「そ、奏くん!?」

 

「えへへ、こんにちは」

 

 

「な、なんでここに!?」

 

今マルは少し早めに部室に来ている。ここなら1人になれると思ったから

 

「はなまるちゃんに会えると思って」

 

「マ、マルになにかようずら?」

 

「うん!はなまるちゃんと一緒に本が読みたいなって」

 

「!!!奏くん、本好きずら!?」

 

「うん、たまに読むよ」

 

この調子なら仲良くなれるかもしれない…

それに奏くんは敬語をやめて話してくれているから話しやすい

 

「じゃ、じゃあ一緒に図書室に行くずら!」

 

「おぉーー!」

 

 

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「ここが図書室ずら!」

 

「おぉーーー」

 

「さぁ、好きな本読むずら!」

 

「うぅーん…はなまるちゃんのおすすめは?」

 

「そうずらねぇ…このシリーズの作品はすごくおもしろいずら」

 

「じゃあそれにする!」

 

それからしばらく2人で本を読んでいると、奏くんが話かけてきた

 

「僕ね、ずっとはなまるちゃんともっと仲良くなりたいと思ってたんだ」

 

奏くんは本を読んだまま話している

 

「でも、僕もグイグイ行くのは得意じゃないし、だから少し不安だったんだ…でも、こうやって一緒に本が読めて、なんか仲良くなれた気がする!」

 

そう言ってこっちを向いて笑う

 

「マルもずら。これからも仲良くしてね、奏くん」

 

「こちらこそよろしくね、はなまるちゃん!ところで、もうこれ読み終わったんだけど、続きある?」

 

「あるずらよ、でももうすぐ練習が始まっちゃうずら」

 

「じゃあ借りられる?」

 

「うーん…奏くんは浦女の生徒じゃないから借りられないずら…でも、そのシリーズならマルの家にあるずら」

 

「ほんと!?」

 

「うん、じゃあ今度持って…」

 

「じゃあはなまるちゃん家に行く!」

 

「へ?」

 

「はなまるちゃんの家に行って一緒に読む!」

 

「べ、別にいいずらが…」

 

「じゃあ決まり!あ、もうすぐ練習始まっちゃうよ!早く行こ?」

 

 

 

 

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~後日~

 

「奏くん、いらっしゃい」

 

本当に奏くんはうちに来てくれた

場所は善子ちゃんにでも聞いたのかな

 

「お邪魔しまーす」

 

奏くんをうちに入れ、そのまま部屋へと案内する

 

「ここで待っててくれる?」

 

「うん」

 

奏くんを座らせ、マルは本とお茶を持ってくる

 

「お待たせ」

 

「あ、ありがとうはなまるちゃん」

 

マルから本を受け取り、早速読み始める奏くん

マルもお茶を置き、すぐに本を読み始めた

 

 

 

それからしばらく読んでいると、奏くんは本を置いて横になっていた

 

「奏くん疲れちゃった?」

 

「ちょっと…」

 

「マ…マルの膝で寝てもいいよ?」

 

「へ?」

 

今までのマルだったら絶対に言わないようなセリフだと思う

でも、奏くんは甘やかしたくなるというか、かわいがりたいというか、そんな気持ちになるから不思議だ

 

「じゃあ…」

 

そう言ってのそのそと動く奏くんはマルの太ももに頭を乗せた

 

そんな奏くんの頭を撫でてあげる

 

「えへへ…」

 

奏くんは少し恥ずかしそうに笑う

そういえば奏くんは顎の下が気持ちいいんだっけ?

ワシャワシャ

 

「うひゃぁっ!?」

 

奏くんが急に大きな声を出すのでびっくりして手を離す

 

「ごっ、ごめんずら!ついやりたくなっちゃって…」

 

「べっ、別にいいけど…」

 

そう言って顎を上にあげる奏くんがかわいくて、少しいじわるしてみることにした

 

「ごめんね、もうやらないから」

 

「えっ?別にやらないでとは言ってない…から…その」

 

「え?ちゃんと言わないとわからないずら」

 

「ぅぅ…はなまるちゃんのいじわる…や、やってください」

 

顔を真っ赤にして言う奏くんはすっごくかわいかった

 

「よく言えました」

 

1回本を置いて、奏くんの頭に片手を、顎にもう片方を置いて、顎を優しくさする

 

「ぅぁ…くふふっ、はなまるちゃん、くすぐったいよぉ…」

 

「奏くんは甘えん坊さんずらね」

 

「ふぁぁ…そ、そんなこと…」

 

「いいんだよ、甘えて。今日はマルにいっぱい甘えるずら」

 

 

 

少しすると奏くんの目がトロンとしてきたので、そこでやめてマルは読書を再開した

 

そこからどのくらい時間が経ったのか分からないが、奏くんは寝息を立てていた

もうすぐ日も暮れそうだし、奏くんを起こさないように曜ちゃんに電話しなきゃ

 

 

 

「あ、もしもし、曜ちゃん?」

 

『花丸ちゃん?どうしたの?』

 

「奏くんのことなんだけど…」

 

 

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ーーー

 

体が揺れている感覚で目を覚ました

 

「あれ?はなまるちゃんは…?」

 

「あ、奏くん起きた?」

 

「え?お姉ちゃん?あれ?どういうこと?」

 

目を覚ますと、僕はお姉ちゃんにおんぶされていた

 

「奏くんが寝ちゃったから迎えに来てって花丸ちゃんから連絡があって」

 

「あ…あの後そのまま…」

 

「それにしても、花丸ちゃんにいっぱい甘えたんだって?」

 

「あぅ…そ、それは…」

 

「今度お礼言わなきゃね」

 

「わ、わかってるよぉ…」

 

「さぁっ、早く帰ろっ!」

 

「…ってそろそろ降ろしてよぉー!!」

 

 

 

 

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~花丸side~

 

「はなまるちゃん…その…昨日はありがとう…」

 

翌日、練習が始まる前に奏くんに話しかけられた

 

「昨日?あぁ、奏くんがマルの膝枕で寝ちゃったことずらね」

 

「ちょ!ちょっと声おっきいって!!」

 

わざと大きな声を出したことでみんなが反応する

 

「ちょっとどういうこと!?」

 

「奏ちゃん!私も膝枕してあげるよ!」

 

みんながいっせいに奏くんに詰め寄る

 

「ぅぁ…えっ、えーっと…はなまるちゃん!逃げるよ!」

 

困った奏くんはマルの手を握って部室の外に走り出した

 

「あっ!待てーーー!!!」

 

みんなが追いかけてくる

こうやってからかったり、かわいがったりできるのはマルにとって奏くんだけなんだ

だから、これからも仲良くしてね?奏くん

 

「はなまるちゃん!なんで笑ってるのぉ!!」

 

「ふふっ、なんでもないずら〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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この後からみんなが膝枕を僕にしようとしてくる

疲れたって言ったらすぐに勧めてくるし、最近は何もしてなくても無理やりしてくる

まぁ、悪い気はしないんだけど…気持ちいいし…

でも、恥ずかしいからほどほどにして欲しい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は花丸ちゃん回でした。奏くんがすごい本読むの早いと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは短編集を読んだとお考え下さい。奏くんはまだ子供なので、花丸ちゃんがそこを考えて勧めたというふうにしております。
さて、ラストはルビィちゃんですね。奏くんとどう絡んでいくか、現在考えております。なるべく早めに投稿できるように頑張ります。
それでは次回でお会いしましょう。




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