「ん、うん」
知らない天井で目覚めた。こんな天井割と和風なうちの家にはないしここどこだ? ·····僕は取り敢えず状況を把握しようと思い体を起こそうとした。·····だけど
「痛っつ!」
何かいきなり激痛とまではいかないけど痛くなってまた倒れた。なんで痛い所があるんだ。
光輝は倒れてる所から見える範囲をキョロキョロと見た。だがまあ分からない。よく見たら自分がいるのはベットだとはなったがそれ以上は分からなかった。
そもそもここどこだ? 俺は何でここにいるんだ? そんな思考になり思い出した。
(ああ、そうかあの野郎と戦って、あの野郎子供相手に本気でやりやがって。って事はここは病院か)
そんな愚痴が出てきた。だけど初めての生死をかけた戦いでこんな傷だけだったのは幸運だったかもしれない。あの戦いで振り返るべき点は沢山ある。そう思いながら思い出していた。そして思い出した。僕の意識が消える前に見た光景を。
(な、な。え、愛美に膝枕さ、されて!! で、でももうあの時は力なんて出なかったからしょ、しょうがないよね)
どんどん赤面になってく事を自覚しながらもそう自分に言い訳する。恋愛耐性のない光輝は愛美の事を考えると割と赤面になっている。·····ついでに言うなら愛美の事を考えてる時はやたらと過剰反応してしまう事があり今日は特に·····
ガラッ!
そんな音と一緒にドアが開いた。そして2秒ほど看護師は何やら赤面になって口をパクパクしている光輝を見てびっくりした声を出した。
「こ、光輝君!」
「ひゃ、ひゃい!!」
思いっきり声が裏返り変な声になってしまった。看護師はそんな光輝の様子にクスクスっと笑い言ってきた
「ふふふ、どうしたのその顔?」
「にゃ、にゃんでもないです!」
自分の顔がどんどん赤くなってると自覚出来る。というか何だろうこの猫みたいな返事は·····俺はこんなキャラじゃないぞ。そんな俺の返事にまたクスクスしながら看護師さんは言った。
「取り敢えず先生呼んで来ますから待っててくださいね?」
「は、はい」
そう言われて今度こそちゃんと返事した。
光輝はドアが閉まる音を聞きながら隣にあった棚の上を見た。そこにあったのは少し色あせてる花と2本の竹刀。その内の1本は少し切れ目が入ってる。ナイフで止められた時に出来たもんだろう。それからもうひとつあったのは……
(ん? 手紙? 誰かな?)
そう思い手を伸ばし取ろうとベットから限界まではみ出て手を伸ばしたが
(届かない)
うー、うーと言いながら手を伸ばしてたがその時にドアが開いた
「君は何してるんですか?」
そう言って近づいて来たのはお医者さん·····櫂だった。光輝は少し頬を赤くしながら言った。
「え、えと。そこの手紙を取ろうして……」
「まだ無理しちゃダメだよ? じゃあ少し話と軽い検査するね。親御さんにはもう連絡したから直ぐに来ますよ」
「はい。ありがとうございます。あの、貴方は?」
皆来ると聞いて嬉しかった。だけどこの人の名前まだ知らないから聞いた。
「ああ、申し遅れました。櫂俊樹と申します。君の検査やらなんやらを務めさせてもらいます」
「は、はぁ」
そう言いながらつい観察する。見た目は凄く若い。実際若いんだろうが、20代くらいだとあたりをつける。それにがたいもいい気がする。あと顔も良いからモテそうだなぁと思った。あと眼鏡も似合ってる。そう思ってたら問うて来た。
「気分はどうかな?」
「良くも悪くもないって感じです」
·····強いて言うなら体重たいし何かやせ細ってる気がする。だけど気分は割と普通だからそう答えた。櫂さんは頷きながら次の質問をした。
「そうか。じゃあ何で病院にいるかは分かりますか?」
「えっと、確か。……んー、あいつ名前なんて言ったっけ?」
割と誰と戦ったのか忘れてた。名前よりもあいつの小物っぽい所の方がインパクトありすぎて余計に。そんな俺に櫂さんが助け舟出してくれた
「笠木理玖?」
「あっ、はい。そうです。その人と戦って、もう力が出なくなって……。そうしたらもう意識はなかったと思います」
「うん。記憶に問題はないと」
「そ、その愛美は、救急車来た時に僕と一緒にいた女の子は大丈夫なんですか?」
記憶を思い出して1番心配してた事を聞いた。乱暴される前に乱入したはずだし意識を失う前の愛美はそんな怪我あったように見えなかったが万が一という事がある。
「ん? ああ、彼女なら特に大きな怪我はないよ。あと小さな怪我もね」
「よ、良かった。本当に、良かった」
思わずそんな事言った。胸は安堵でいっぱいであった。そんな時に櫂さんが優しげな顔で見て来た。
「な、なんですか?」
「いや、泣くほど嬉しいんだなと思って」
「え」
それを聞いて目に指を当て、漸く自分が泣いてるのに気づいた。
「あっ、えっと、その」
「ははは、わかるよ。大切な人がどんな形であれ守れたら凄く嬉しいし、安心するよね」
「は、はい」
そんな事言うんだったらこの人はそんな経験した事あるんだろうかとつい失礼な事を考える。
「あとで警察の人も来て事情を聞かれると思うけど気分が悪くなったら直ぐに呼んでください。何か質問はありますか?」
「は、はい。あの、いつ家に帰れますか?」
早く家に帰りたくて聞いた。櫂は少し手を顎に当てながら言った
「ん〜、そうだね。あとは君が目を覚めるのを待つだけだったからね。この分だと2日後には退院出来ると思うよ」
「あ、ありがとうございます。あとその、僕どれくらい寝てたまんまだったんですか?」
体細くなってるし体重いし……こんな状態になるまでどれくらいかかるのか分からなかったら質問した
「約2週間ぐらいだね」
「えっ、そんなに!?」
「うん。そんなに」
そんなに寝ていたとは思わなかった。でも言われてみたら確かに身体は少し重い気がする。それが本当だと思わせるには十分だった。
「うー、入院費とか高そう」
そう頭を抱える。小一が考える事としてはどうかと思うが自分のせいで親に迷惑がかかるのは光輝の性格的に申し訳なさが出るのはしょうがない。だが櫂は首を振って返す
「ああ、それは君にはまだ難しいかもしれないけどね、保険ってのがあってね、幾らかは国が払ってくれるんだ」
光輝は滅多に怪我しないし病気ならないしで保険の出番なんてなかったから今初めて聞いた。
「へぇ! そうなんですか?」
「うん。あと君の残りの入院費はもう支払われてるよ」
「早いですね」
もう出してくれてたのか……何か申し訳ない
「うん。事情があるからって言ってたね。それから払ったのは君の家族ではないよ?」
「えっ、じゃあ誰が?」
そう首をコテンとしながら聞いた
「えーっと、古原さんって言ってたね」
「え、なんで?」
「君のご両親は遠慮してたんだけどね、せめてもの償いって言って払って行ったよ」
「そう、ですか」
光輝は少し罪悪感を感じた。だが小原家が感じた罪悪感は光輝の比では無い。命すらもしかしたら危なかったかもしれないからだ。光輝の返事を聞いた櫂は立ち上がった。
「それじゃあ僕は行きますね」
「あ、はい。ありがとうございました」
「いえいえ、お大事に」
そう言って病室から出て行った。光輝は櫂が出て行ったのを見てベットにまた倒れた。
「ふう」
これからの事を考えた。取り敢えず1番に考えたのは
「やっぱり怒られるかな」
そんな事だった。いや、自分でも寝起きに考える事としてはどうなのかとも思わない事もないが、でもしょうがないと思いたい。だってどこの親も怒ると怖いと思うから。だが、それが怖くても構ってくれるから嬉しいと思う事にした。
★★★★★★
コンコン
しばらくしドアがノックされた音がした。
「入ってもいいかな?」
とそんな見知らぬ声が聞こえた。次来るのは家族だと思ってただけに残念になる気持ちを抑えながら返事をする。
まさか笠木が襲いに来たのかと思ったが流石にもう捕まってるだろうと思った。笠木が逃げて行った方角の事は僕はあまり知らないけどあんな怪我で無理やり逃げるのは無理だ。
「どうぞ」
「失礼します」
その声と共に入って来たのは中年だががたいの良い男とこちらもがたいが良い少し若い男が2人と櫂さんだった。
この2人誰だろう? と想像する。病院の関係者? は却下。櫂さんが僕のを務めるって言ってたしこんな小一に複数の医者をつける意味なんてない。
じゃあ僕のどっかの親戚? それも却下。家族の誰とも似てないしそれにそもそもお父さんに聞いてたのはもう西沢家はあの家に住んでる者だけって言ってたから。じゃあ誰だろうと思い相手の言葉を待つ。相手の人は礼してから椅子に座った。
「こんにちは。警視庁捜査一課の光定賢治と申します」
「同じく捜査一課の山下剛です」
そう言いながら警察手帳を見せる。光定さんが警部で山下さんが巡査部長だった。
「あっ、えっと。西沢光輝です」
刑事さんだったのか、と納得する。確かによくよく考えたら愛美を殺そうとしたんだから警察が来るのは普通だなと思った。まあ後対峙したのは僕だし愛美からはもう事情聞いただろうし事実確認するのかな?
「君が目覚めたって聞いてね、捜査本部から飛んできたよ」
そう言いながらHAHAHAと笑う。見た目を見た時はちょっと怖そうと思ったものの話しやすそうな人で安心した。この前お母さんが見てたテレビの刑事さんはちょっと怖かったから刑事さんは皆あんくらい怖いのかなと思った。とそこまで考えて今ちょっと聞き逃せないことを聞いた。
「えっ、ちょっと待ってください。捜査本部ってなんか事件あった時に出来る捜査の拠点みたいなものですよね? でも犯人とか捕まえたなら解散するんじゃないんですか?」
そう疑問に思った事を言った。そこら辺の知識はドラマで身につけた。笠木は確かに逃げたがそれでも自分と戦った時のダメージがあったはずだ。
自分はあそこら辺の地理に詳しくないがそれでも1人で逃げるあいつと違って警察は人海戦術が出来る。それで捕まえられるもんだと思っていた。が現実は違った。警部さん達が申し訳ない顔になってるから何かあると思ったのだ。そう思っていたら警部さん達が頭を下げて来た。
「な、なんですか?」
「すまない! 笠木は、……まだ逃亡したままだ」
それを聞いて一瞬頭が真っ白になった。あんな深手を負った笠木が⋯入り組んでそうな道だけど逃げれた? 何で?
「な……んで?」
「君を助けに来た警察官がそのまま笠木を追跡していたが途中で道が2手に別れていたんだ。だから2人の警察官も2手に別れた。だがそれが悪かった。あんな時間だったから周りは真っ暗で更に普通逃亡犯はずっと逃げ続けるものだが、笠木はその逆、待ち伏せをしていたんだ。まだ警察が来るには時間がかかる事を見越して。そして2手に別れてくるだろうというのも見越されてた。そして自分のルートに来た警察官を……殺害した」
「なっ!」
その瞬間僕の胸の中を罪悪感が貫いた。深手だけじゃなくてもうあの場から動けない程のダメージを是が非でも負わせるべきだった。僕が死ぬ気でやれば出来た筈だ。その場合は僕が死ぬだろうけど。頭が混乱し始めているが警部さんは続けた
「不意打ちだったらしい。そして刺した場所は右腕だ。そして、あの少女、古原愛美ちゃんの証言でわかった生体エネルギーをとるナイフのせいで力も出なくなりそして……。テレビのニュースを見た事あるならどんな死体になってるかは知ってるね?」
「……はい。って笠木があの無差別殺人の犯人なんですか!?」
と思わず言った。まじで知らなかった。やばい雰囲気があるのは分かったがまさか本当にそれだとは思わなかった。·····絶対に愛美も罪悪感感じてるよな。
「そこは知らなかったんだね。ああ、その通りだ。そして話を戻すがその死体は衣服も脱がされていた。交番の制服をね」
「って事は、その制服を着て途中で合流したであろう刑事さん達と合流して一緒に探す振りをして逃げたって所ですか?」
目深に帽子を被れば少しなら顔の痣も誤魔化せるだろうし何より暗かったから逃げやすくなる筈だ。
「……ああ、その通りだ。すまない。君が残してくれた好機を無駄にしてしまって。本当にすまない」
そう再び頭を下げられた。何とも言えない気分になった。確かに取り逃したのは言い訳の出来ない失敗だろう。だが、それでも人1人死んでしまったのだ。同じ仲間を殺され怒りを抱いてるはこの人も多分同じだと思うから。
「あ、頭を上げてください。それにそれを言うなら僕だってあいつを気絶ぐらいまで追い込んだらその人だって死ぬ事もなかったかもしれないんですから、そんなのはお互い様です」
「いや、こっちの責任だ。それに君みたいな少年が死ぬかもしれない戦いをする勇気を持って笠木を食い止めてくれたのに逃がしたのは完全に我々の失敗だ。本当にすまない!」
責任感が強い人だなって思った。普通こういうのは誰かに責任を押し付ける人が多いと思うのだが。実際お母さんが見てた刑事ドラマじゃ参事官って人が刑事部長って言う人に責任を押し付けられてた。その人よりこの人方がいい人だなと思う。まあドラマの人と比べてもしょうがないが。
「……じゃあ、ちゃんと捕まえてください。そうしたらチャラで良いです」
「ああ、必ず捕まえるよ。約束する。その為に話してくれないかな? あそこで何があったのかを」
「分かりました」
そう言われて僕は話した。何故あそこに行ったのかとか、戦ってる最中に話した事を。ざっくり10分程で言い終えた。メモをとっていた光定さんは頷いて口を開いた
「ふむ、成程。問題はやはりその実験ってのがなんなのかって事だね」
「はい。……あのナイフで奪ったエネルギーってただ奪うだけですかね?」
何故奪うのか? 奪ってもそのエネルギーをどうするのか? 奪っても何かに使えないと牢獄に入る危険を犯す価値なんかないじゃないか? ならそんな危険を侵してまでエネルギーを奪う理由は·····。ただ放置するだけならまだ全然マシだけど僕の予想した事が現実に起き得るなら·····もう最悪だ。
「どういう事かね?」
「……簡単です。もしその奪ったエネルギーを何らかの形で1つにしてそれを得ることでそのエネルギーをもしあいつが得たらって事です」
「なっ!」
警部さん達が絶句している。でも実際あいつならやりかねないと思う。たった1度の迎合だが何となくあいつの性格はわかったから尚更に。それに腐っても天才という頭脳までが消える訳じゃない。いや、この場合は天災の間違いか。
「で、でもそんな事が可能なんですか?」
そう山下さんが少し声を裏返しながら言って来た。小一にそんな事聞かれてもなぁと思う僕は悪くないと信じたい。それはさておき僕は正直に答えた
「分かりません。正直に言うならあって欲しくないです。もしそうなったら今あいつが殺した人の数は約50人、単純計算であいつの相手を誰かがするなら戦う相手があいつが1人でも50人相手にするのと大差はないです。そして実際はそれよりも上の力がでると思います」
「そ、それは何で?」
話してる最中また嫌な予想が脳裏によぎったからもう嫌だけど答えとく
「あのナイフで奪うのは生体エネルギーです。つまりあのナイフは即死しない限りはエネルギーを吸えるって事。つまり人間じゃなくてもいいって事です。例えば犬とか」
「なっ!」
刑事2人は驚愕で顔を染めた。それはそうだろう。自分でもそんな馬鹿なって思うがいかんせん、あいつは腐っても天才である。だから簡単に否定出来ないのがもどかしい。オマケに犬とかなら野良犬とかを殺ればいいし。探したら居そうな気がする。俺犬好きなんだけどもし殺っていたら犬達の分まで怨み続けてやる
「もしあいつが奪ったエネルギーを自分に足すことが出来れば単純計算で握力、体力、スピード、脚力、スタミナ。その全てを50人以上足される事になります。まあ、この計算が合うかはそれが起きえない限りは分かりませんけど可能性はないと信じたいのですが……」
そう言って僕は櫂さんを見た。櫂さんも顎に手を当て考えてた。そして
「……確かに出来るかどうかは置いといて可能性としては有り得なくはないです。ただ直ぐには起きえないとは思います」
「それには同感です」
肯定する。実際それは自分も思ってた。そう思ってたら刑事さん達がよく分からないって顔で見てきた。
「簡単です。もし今そんな事出来るなら僕はとっくにあの世ですよ。僕があの時力を上回れられても戦えたのはスピードが全然戦う分にはまだいけたからです。そして櫂さんが考えてる理由は多分肉体の問題だと思います」
「その通りです。そのエネルギーを身体に集めるには自身の肉体も鍛えないといけません。もし身体を鍛えずそのままエネルギーを得てしまったら恐らく自分を抑えられず暴走してしまうと思いますから。まあ、よくアニメであるやつですね」
「逆に言えば僕と戦った時はまだそれが出来ないかそもそもそんなエネルギーを1つにする物がなかっただけか。そのどちらかです」
後者だとすれば僕は運が良かった。そしてそんなものが出来上がる前にあいつをとっ捕まえないと·····。
「……もしそうなったらそのエネルギーを使われる前に逮捕するか、もしエネルギーを使われたら人海戦術か兵器を持ち出して挑むしか」
そう山下さんが言ったけど。僕は反対だ何故なら
「人海戦術はやめた方がいいと思います」
「え、何で? その分だとそうするしかないと思うんだが」
「まあ、確かに普通に考えたらそうだと思います。ですがナイフの存在も忘れちゃダメです」
厄介な問題はそのエネルギー変換だけではない。ナイフの存在も忘れてはならない。光輝が戦ってみた所強度自体は多分普通のナイフよりも脆い。エネルギー吸収の為にそうせざる負えなかったのだろう。光輝の祖父が持っている真剣ならば少し練習したら折る事は出来そうと光輝は考えている。·····まだ光輝に真剣は扱えないが。重いから。
「それにそんな大乱戦になったらエネルギー吸収されながらバッタバッタ倒されるのがオチです」
·····それに最悪一瞬で何人も死んでしまうような攻撃もあるかもしれないし。
「兵器も味方に当たるかもしれないしそもそも笠木に当たらないかもしれない。50人⋯人数だけ聞いとけば少ない気もしますがされど50人です。1人で動くよりも何倍も速い筈です」
僕の言葉を聞いて場は暗い雰囲気になった。それもそうだろうなって言った張本人の僕が言うのはあれだが実際にあるかもしれないんだ。今のうちに言っとくのだって悪くないはずだ。それにもしそうなったら、恐らく誰もあいつに勝てない。
(本当になんてもん作ってんだ)
そう思わず心の中で愚痴る。
「……君には何か策はあるかい?」
そう警部さんが聞いてきた。その言葉を聞いて残りの2人も僕を見てくる。
うー、小一に頼られてもなと思うがあるにはある。だが反対する人が大半だろうし僕もしたくはないが言うだけ言ってみた。それにこの方法の打開案ならある。
「……あるにはあります」
「何かな?」
「……イレギュラーにはイレギュラーをぶつけるんです。つまり、あいつと同じ事をすればいい」
そう言った。3人とも驚愕の顔になっている。まあ、僕でも同じ立場ならそんな顔するだろうなと思うが注釈をつける。
「ああ、別にエネルギーを奪い尽くせって言ってるわけじゃないですよ。色んな人からほんの少しずつ貰えばいいって意味で」
それを聞いて安堵した顔をした皆。なんか僕がヤバいやつに見えるような顔されてたからちょっとショックだった。
「確かにそれが出来れば対抗は出来るかもしれない。ただ問題は……」
「そう、あいつにはあのナイフがありますがこっちにはそんなもんないし仮に出来たとしても今度はそれを1つに出来ないと意味がない。そして更にそのエネルギーを扱える人がいないと」
そう、だからこの方法は出来るかどうかすら分からない策であるのだ。因みにこの策を聞いた3人はドラゴンボールの元気玉を思い浮かべた。光輝は知らないから少しあれだけども。
「……そうだな」
「はい」
皆静かになってるなー。というかこんな小一の事を信じるのかな? まあいっか。
「それじゃあ、今日はこの辺にしましょうか」
沈黙を警部さんのその言葉で打ち砕いた。
「そうですね。光輝君も疲れたでしょうし」
「あ、はい。ははは」
ぶっちゃけ普通に疲れてる。退院したら修行しよ! 警部さん達は立って聞いてきた
「何か光輝君から聞いときたいことはないかい? そんなに事件に深い事じゃなかったら教えられるよ」
そう言われ少し腕を組んで考えて速攻出た
「え、うーん。あっ、そうだ。笠木って本当に武道やってたんですか? 戦った時あまりそんな動きをしてなかった気がするんですが」
というよりあんな動きなら誰でも出来る。何故テレビに出たのか分からん。
「ああ、彼はそんなにやってた訳では無いんだ。だからだろうね」
「あー、成程。ありがとうございます」
本当に何でテレビ出れたんだ?
「どういたしまして、他には?」
「じゃあ笠木の事で世界はどう動いてるんですか?」
「まあ、血眼になって探すだろうね。実際国際指名手配されたし」
「そうですか。ありがとうございます、もう結構です」
「わかった。事情聴取のご協力感謝します。明日も来るかもしれないからよろしく頼むよ」
そう礼を言って出て行った。残ったのは僕と櫂さんだけだった。僕は不安を口にした
「あ、あの。家族がまだ来ないんですけど……」
「ああ、さっきは連絡したって言ったけどね。本当は留守番電話だったんだ。でも直ぐに来ると思ってそう言ったんだ。ごめんね」
「あ、大丈夫です。その内来ると思うんで待ってます。あっ、もう1つ」
「ん? 何かな?」
「えっと、その棚の手紙取ってくれませんか? 届かなくて」
そう僕は竹刀と花瓶の近くにある手紙を指さした。櫂さんは少し暗い顔で返事をしてきた。
「あ、うん。良いよ。はいどうぞ」
「ありがとうございます」
「うん、じゃあ僕は行くね」
「はい、ありがとうございました」
「どういたしまして」
何であんな顔をしたのだろうと思ったが手紙の方が気になった。ドアの閉まる音を聞きながら手紙に目を向け名前を書いてないか見たら書いてあった。名前は
『古原愛美より』
「え、愛美? 何で?」
うーん、と唸りながら考えるがわからん。取り敢えず開けてみようと思い手紙を入れ物から出した。そして取り敢えず読み始める。
『光輝へ
もし今この手紙を読んでるって事は私はもう光輝の前からいなくなってると思います』
……一瞬何が書いているのかわからなかった。
「え、…………な、んで?」
理解してない頭に認識させるためにそこだけ何度も読んだ。そして理解した。理解……してしまった。
「あ、ああ」
そんな情けない声が光輝からしてる。……光輝は取り敢えず先を読む。
『いきなりこんな事書いてごめんね。ちゃんと話すね。実はね、私お父さんの都合でアメリカに引っ越す事になったの。ずっと言おうと思ってたんだけど言えなくてごめんね。出来るなら許して欲しいな』
読むにつれて愛美の声が再生される。光輝は目に涙を貯め始め言った
「当たり前……だろ」
そう、嗚咽をもらしながら言う。……続きを読む
『光輝と初めてあったのは入学式の時だったね。あの時の光輝はあまり目立つ人じゃなかったね。良くも悪くも目立つようになったのは私を助けてくれた後だったね。それにしてもビックリしたよね。村田君のお父さんが光輝のおじいちゃんの弟子だったなんて。あの後村田君の様子が凄く変わったけど何が起きたんだろうね? ちょっと気になる』
目立ちたくはなかったけどまあしょうがないよね。……だってあの時の愛美を見てらんなかったから。ただ、村田のあの後の変わりぶりは自分も結構気になってる。
『あのいじめの後に不安になってた私に光輝が言ってくれたよね? 私が危ない時は絶対助ける、って言ってくれて凄く嬉しかった。ほんとに守ってくれて嬉しかった。あの時の光輝の後ろ姿、すっごくかっこよかった。そして私の青い髪と目を見ても何も言わなくてくれて。1回私がこの髪と目の事聞いた時にこう言ってくれたね? 「何でそんなの気にしないと行けないの? 同じ人間でしょ? それで十分だよ」ってこの言葉も嬉しかったんだ。自分を見てくれた気がするから』
「愛美は愛美だよ……」
『あれ、おかしいな、書きたいこといっぱいあるのに言葉が震えてかけないよ。だから言いたい事はまた会った時に言うね! だから、だから、他の女の子とあまり仲良くしないでね。光輝、意外に人気あるんだから』
光輝は愛美の1件から割と女の子の間で話題になっている。それにどこからか武術と剣道もやっているという噂が流れ村田の時はわざと受けたのではないかとまで言われている。光輝が知らないだけだ。
「そんなアホな。僕が人気な訳ないだろ」
そう涙流してることを自覚しながら言う。自分はそんな人気はないだろと。
『ずっと言いたい事あったんだ。でも直接言うのは恥ずかしいからこれだけはこの手紙に書かせて。いつかちゃんと口にして言うから。今はこれで許してね』
何だろうと思いを手紙の表面を探すがない。俺は疑問符をつけながら何か裏にも書いてると思い見た。そして裏の手紙には
『またね! 大好き!』
その日、一日中ある部屋から泣いてる声が聞こえたという。
お疲れ様でしたm(*_ _)m
(*´∇`)ノシ ではでは~