Warrior beyond despair   作:レオ2

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おはようございます。大学準備だったりバイトで遅くなりました。
ではGO!


試される絆

「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッ!!」

 

 普通の超サイヤ人になってくれよと内心思いながらも俺は超サイヤ人に変身した。そしてキャベから離れてブロリーと同じ伝説の超サイヤ人に変身したケールを迎え撃つ。

 

「ちっ!」

 

 だけど割と心の中じゃ葛藤している。こいつがあのブロリーと同じなら殺さないとダメだ。暴走して他の人を殺戮し回るのがオチだと思うからだ。

 

「ニシザワコウキ──っ!!」

 

 ケールはさっきのカリフラとキャベ以上のスピードでそのでかくなった拳を向けてくる。だけれども肥大化した筋肉によって得たパワーは確かに凄まじいのかもしれない。だけどそれは当たらないと意味が無い。

 

「ケール! 落ち着け!」

 

 俺は取り敢えず攻撃を躱してケールを落ち着かせようとする。だけど嫉妬の炎は憎悪へ変わって俺の言葉なんてシャットダウンだ。

 

(でも……ケールを殺すのは)

 

 ケールはブロリーと違って必要としてくれている人がいる。カリフラだ。ケールが何であんなにカリフラを尊敬しているのか俺は知らない。だけどあの尊敬の眼差しや2人の絆が嘘だとは思えなかった。カリフラがケールに微妙に冷たくしていたのは多分単純に俺の強さの秘密を知りたいのが山々だったのとケールを超サイヤ人にしたくて冷たくしていただけだ。

 

「待てって! 俺はお前からカリフラを奪った訳じゃねえって!」

 

 そう叫んだがケールは余計に憤怒の顔に染めてその巨大な腕を振ってくる。しかしブロリーと違って割とスピードも殺されてしまうのかまだ避けやすかった。この超サイヤ人はパワーに少し偏っている。でも……

 

「はっ!」

 

 ケールを一旦吹き飛ばそうと拳を突き出したがノーガードで受けられた。だけどケールはピクリともしない。

 

(耐久はブロリーと同じって考えるべきか!)

 

 ブロリーの耐久力は本当に凄かった。ケールと同じデカブツの方になった時なんてヴォーパル・ストライクで空けた穴をもう一度空けないと負けていた可能性が高かった。そうしないと勝てなかった。ブロリーとケールが同じならケールもそうして勝つしかないんだろうけど……

 

「うぉぉおお!!」

 

 ケールは光輝の頭を掴もうとしたがそれに光輝はいち早く気が付き気弾を作って無理やりケールにぶつけた。そうする事で爆発を起こしながら光輝はケールから離れる。

 

「お前を超サイヤ人にする為だったんだって! 本当に取った訳じゃねえ!」

 

 と言うかそんな事なったら浮気になっちまって愛美が泣く。と言うか俺はそんな事しねえよ! 諦めていた事が叶ったのに秒でそんな事するアホが何処にいる! 

 だけどケールは知るか! と言わんばかりに突撃してくる。

 

「ケール何やってんだ!」

 

 だけどカリフラが放ったその言葉にケールは今一瞬ビクンとした気が……

 

「……ねさん」

 

 いや、反応した。カリフラの言葉で確かに反応した。だけどまた血管を浮き上がらせ攻撃を仕掛けてくる。動きが単調なのが唯一の救いか。だけどダメージが通らないのも厄介だな。でもそういう事ならまだ方法がある。

 

「影分身の術!」

 

 光輝は分身を1人出して戦ってもらってる間にカリフラへ叫んだ

 

「カリフラ! 何でもいいっ! ケールに語りかけろ!」

 

 ブロリーと違って自我があるのならケールはまだ大丈夫だ。それもこれもカリフラにかかっている。俺は防御態勢になる。カリフラがケールを正気に戻すまで攻撃はしない。攻撃したら余計にケールを刺激しちまって説得どころじゃないからだ。

 だから俺は防御に徹する。

 

「ケール! あたしがそんな奴に惚れる訳ないだろ! あたしはそんな軽い女じゃねえ!」

 

 カリフラの言葉に揺さぶられているのかケールの攻撃の激しさが少し落ちる。

 

「お前はあたしの大事な仲間で……大事な妹分だ!」

 

 ケールはそれを聞いてその白目を一瞬大きく眼を見開き頭を抱え始めた。

 

「うああ……姐さん……私」

 

「いいぞケール! 流石あたしの妹分だぜ!」

 

 カリフラが嬉しそうな表情を見せた。ケールは自分に向けられているその表情に嬉しさと安心が込み上げて来た。光輝に対する怒りよりもカリフラに褒めてもらった嬉しさが勝ったのだ。

 そしてその超サイヤ人の気が徐々に収まってくる。光輝は思わず深呼吸した。どうやら今回は行くところまで行かなくて済みそうだ。

 

(一件落着かな?)

 

 光輝はそう思った。思いたかった。だが……そうはさせてくれなかった

 

「……!」

 

 ケールの纏っていた気が無くなりかけた時、光輝は完全に油断していた。

 

「ウオオオオオオオ──ーッ!!!」

 

 だから緑色の気の代わりに出て来た紫色の気に少し吹き飛ばされたのだ。

 

「なんっ!?」

 

 光輝は遥か彼方まで吹き飛ばされるのはなんとか耐えたがケールに起こった事に驚愕し「キっ!」とケールの後方上空にその厳し気な目線を向けた。そこには自分の武器である棒をケールに向けていたシーラスがいた。

 光輝はケールに再び向いた。ケールはその白目を赤く発光させ頭を抱え苦しんでいる。その苦しみ様はケールとブロリーが似ているのも相まってどんな強化方法なのか分かった。光輝は怒号でシーラスに叫ぶ。

 

「シーラス! 貴様ああっ!!」

 

 ケールは正気に戻りかけていた。それなのにこいつは平然と命引き換えのパワーアップをしやがった。全ての悪を消すのが目的ってなら俺にはもうこいつが悪だとしか思えねえよ! 

 俺は再び暴走しかけているケールを止める為にシーラスの眼前にウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを持って踏み込み振り下ろした。シーラスは棒でそれを防ぎ鍔迫り合いに移行する。

 

「何が目的だ! 何でこんな酷い事が出来る!?」

 

 シーラスは答えず右手を棒から離し光輝を剣ごと受け流す。光輝は前のめりに倒れかける。そんな光輝にシーラスは棒で攻撃しようとするが光輝はイメージで剣をシーラスの上空から降らせた。シーラスはそれに気が付き後退して躱した。光輝はその落ちて来た剣も左手に持って二刀流になりつつ突撃した。

 

「はあっ!」

 

「……ぐっ!」

 

 シーラスは棒を突き出したが光輝は顔面すれすれで避けながら迫る。しかしシーラスも終わる訳ではなく突き出した状態から無理やり横に振った。

 

「ふっ……!」

 

 だけど光輝は予期していたのかしゃがみこんでそれを躱す。シーラスは棒を眼前に戻すのと光輝が斬りかかるのは同時。再び火花が散る。光輝は怒りの表情でシーラスは少し歯を食いしばっている。

 そして少しの拮抗状態の最中シーラスが言った。

 

「酷い事だと? 笑わせるな」

 

「なに?」

 

 次の瞬間シーラスの脚が振り上げられるのを感じた光輝は咄嗟に跳び退いた。シーラスはその声に怒りを滲ませながら言った。

 

「ならば貴様達タイムパトロールは酷い事をしてないというのか? その手を差し伸ばせば助けられる命を『歴史』だから見捨てる貴様達は正しいというのか!?」

 

「……!」

 

 シーラスの言葉に俺は嘗て自分がしようとしていた事を思い出した。

 トランクスさんから話を聞いた時は親近感を持った位だった。だけど俺はその人と触れ合った短い時間でその人を守りたいと思った。自分と同じだったから。

 大事な人達を失い夢を諦めそれでも勝てない理不尽な力の差。それでも……隻腕になっても戦い抜いた未来の悟飯さん。

 

「それを容認する時の界王神も、破壊神も、全王達神どもも! 貴様は奴らが正しいというのか!? 必死に絶望に抗っている人達を見捨てることが!?」

 

 ……確かに俺達タイムパトローラーはシーラスの言う通りその歴史で死んでしまう人達を見捨てるのが仕事とも言える。歴史改変を止めるって言えば聞こえはいいが逆に言えば歴史通りなら何もしないってことだから。

 俺も……正直いい気はしない。

 

「そして滅ぼすべき悪になにもしない無能な奴らがいる限り本当に平和になることなどない」

 

 こいつの言ってる事は仕事抜きで言えば俺も割と思っている事だ。でもそれが仕事だからと俺は言い訳して正当化していたのかもしれない。

 こいつはそれを見抜いてる。だろうな。俺はこいつと同じ思考をした事があるんだから。俺は全部滅ぼすなんて極端な方には行かなかったが。だけどな

 

「……貴様だけにはそんな事を言われる筋合いは無い!」

 

 そう言い切った光輝にシーラスは厳しげな表情を見せる。光輝は左手の剣を量子変換器に突っ込み左手に新たにブルーレッド・オブ・ウォーリアを握った。そしてウォーリア・ビヨンド・ディスペアーの切っ先をシーラスに向け叫ぶ

 

「確かに俺もタイムパトロールの在り方に悩んだ! 本当に自分は正しいのか、悟飯さんの1件で俺は考えた! お前に言わせれば物足りない悩みだったかもしれない! 正直答えはまだ見つかってもいない」

 

 光輝があの時に吹っ切れたのは自分が戦う意味についてだけだ。愛美やキリト達、他に沢山いる自分の守りたい人達の為に剣を取り拳を握る事に覚悟を決めた。

 だが、タイムパトロールの意味を考える事は吹っ切れた訳では無い。光輝もシーラスの言った事を何百回も考えた。『歴史』だから見捨てるのが本当に正しいのか。『歴史』だから何もしないのが正解なのか。光輝は自分でも言った通りまだ答えを見つけられない。

 それでも……祖父から受け継いだ真剣の魂が入った剣を向け光輝は叫ぶ

 

「でもな、それを貴様が言うのは違う! 貴様は何を目的として動いているのか知らねえがその目的の為に何人犠牲にしようとした? 笠木のクズ野郎を元の世界に帰した? そして何でケールにあんな事をしやがった!」

 

 そう叫び光輝は超サイヤ人2に変身する。光輝の怒りを表しているように気が膨れ上がり雷鳴が響く。

 

「貴様がやってる事はお前が嫌っていた”悪”と何も変わらない!」

 

 光輝はそう叫びつつもケールの気が膨れ上がりきったのを感じた。止められなかった。脳内でケールを元に戻す方法を全力で考えるが同じ事をされて来た敵達は皆倒してしまったから元に戻す方法が分からない。魔術の一種なら正直お手上げ状態だ。光輝は忍術は少し詳しいが魔術は全くだからだ。だから今はそれを考えるのを放棄する。

 シーラスは光輝の言葉を一通り聞き皮肉げな笑みを浮かべながら口を開いた

 

「違うな。それは必要な犠牲だ」

 

「何だと?」

 

「如何なる罵声も謗りも今は受けよう。どの道貴様らは消えて無くなる運命なんだからな」

 

「……やっぱりてめえはぶん殴ないといけないみたいだな」

 

 次の瞬間、光輝の体から更なる金色の気が出てきてその気を格段に上昇させた。超サイヤ人3レベルの気を解放したのだ。

 

「ウオオオオアアアアッ!」

 

「ケール!」

 

 カリフラの声にも反応せずケールはシーラスと相対している光輝に突撃してくる。その雄叫びはどこか苦しそうな雄叫びだった。まるで「助けて」と言ってるように光輝には聞こえた。

 光輝は眼前にいるシーラスの後ろに高速移動で現れた。

 シーラスは棒を背面に構え光輝の剣を止める。

 

「それがどうした──っ!」

 

 しかし光輝は強引に脚を振った。シーラスはそれをまともにくらい吹き飛ばされる

 

「ぐっ!」

 

 シーラスは何とか止まり苦虫を噛み締める表情で光輝を見る。光輝はそんなシーラスを見てから頭を下げた。その理由は光輝の後ろからケールが巨大な腕を振るっていたからだ。

 光輝は攻撃を躱すのと同時に肘打ちを放つ。

 

「グゥっ!」

 

 獣のような捻り声を出す。幾ら伝説の超サイヤ人状態と言えども超サイヤ人3レベルの攻撃では苦しげな声もあげて思わず少し後退する

 それでもケールは意地で耐えまたその腕を振り上げた。光輝は厳しげな視線をシーラスに見せつつ対処しようとしたが止めた。何故なら

 

「ケール止めろ!」

 

「ケールさん待ってください!」

 

 2人のサイヤ人がその巨大な拳を全力で止めに来たのが分かったからだ。光輝に到達するその拳はカリフラとキャベが止めた。

 

「ぐううっ! 何てパワーだ。痺れるなんてもんじゃねえぜ」

 

 カリフラとキャベは2人とも両手を使って漸くケールを止めた。それでもジリジリと弾き飛ばされかけている。しかしケールは……

 

「ぬうっ! うぉぉおお!!」

 

 ケールがもう1つの拳を振り上げた。流石に2人で1本止めるのがやっとだったら2本目は防げない。光輝は助太刀しようとしたがカリフラは叫んだ

 

「ケールはあたしが元に戻す! あんたはあいつをぶん殴れ!」

 

 やっぱり口悪いよなぁ……だけどそこにある思いは本物だ。光輝は頷きシーラスの眼前に肉薄し剣を振るった。

 シーラスは自分の棒でそれを防ぐ。そして機があれば反撃する。棒術は剣のように振り下ろしたり振るったりして戦うが突き技もある。一点集中のその攻撃は場所によっては非常に躱しにくい。現に光輝も悟空との修行では割とくらう。だけれども光輝は光輝なりの修行の仕方で克服している。

 シーラスの渾身の突きが光輝の腹部真ん中へと進む。しかし光輝はその突きを二刀流防御技『クロス・ブロック』で剣をクロスして剣と剣の間に通し威力を減らすのと同時に勢いよく腕を剣ごと持ち上げ左にズラした。そして光輝は2つの剣を量子変換器に収納した。つまりシーラスの棒は支えられた剣が無くなったことで一気に体勢が崩れた

 

「なっ!?」

 

「うおらあっ!」

 

 体勢が崩れたシーラスが驚愕している間に光輝はその顔面に拳を向けた。シーラスは「キッ!」とした後流石の反応速度で背面に棒を構え小さな面積のそこに光輝の拳がぶち当たりガードした。

 しかし光輝の力がシーラスの想定を上回っていたのかガード越しでもシーラスを強引に吹き飛ばした。

 

「ぐああっ!」

 

 光輝は吹き飛ばしたシーラスを見届けつつ額に両手を重ねた。

 

「魔閃光ッ!」

 

 そして一気に突き出し黄色のエネルギー波を放った。ブロリーと戦ってた時放った技でもありその時はシーラスに弾き飛ばされた。強くなった証明として光輝は無意識にこの技をチョイスしたのかもしれない。

 シーラスは吹き飛びから回復しその魔閃光を見てあの時と同じように弾き飛ばそうと腕を振った

 

「ぐうううッ!」

 

 しかしブロリーの時とは違い魔閃光は簡単に吹き飛ばなかった。それどころかシーラスを吹き飛ばさんと侵食してくる始末。あの時とは違う結果にシーラスは思わず目を見開き叫ぶ

 

「なんだとっ! この力は!?」

 

「終わりだ──っ!!」

 

 光輝が叫んだ時、シーラスのいた所で大爆発が起きたのだった。

 

 ★★★★★

 

 一方、カリフラ達はケールを止める為戦っている。ケールが苦しそうな雄叫びを上げあれだけ尊敬していたカリフラに攻撃を仕掛けている。カリフラはその攻撃を受けてしまったら最悪一瞬でノックアウトなので躱しながら戦っている。だが……

 

「くそっ! 何て耐久力だ」

 

 カリフラがキャベと共に攻撃しているのにも関わらず全くのノーダメージだ。今微妙に苦しそうになっているのはシーラスの謎パワーアップによるものが大半だ。オマケにタチの悪い事にブロリーの時は瀕死状態からこの状態になったがケールの場合は全開状態からなのでその時間も長いだろう。そもそも死なせるつもりもない。

 しかしやられてしまったらそれまでだ。

 カリフラは悔しそうな悲しそうな顔でケールを見る。

 

「だけどな、あんたはあたしが助けるぜ。お前はあたしの大事な妹分だからな」

 

「……! ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

 

 ケールは目を見開きカリフラに突撃する。カリフラは超サイヤ人の気を纏いながら迎え撃つ。少し離れた所ではキャベが肩を抑え叫んだ

 

「カリフラさん無茶です!」

 

 戦闘力差は明らか。小柄の体格を利用して何とか戦えているだけだ。少なくとも超サイヤ人2にならなければ普通の戦いにもっていけない。しかしカリフラもキャベもさっき超サイヤ人になったばかり。オマケに光輝から超サイヤ人2のなり方は教えて貰っていない。だがカリフラは……

 

「無茶でもなんでもあたしがやんなきゃならねえんだ」

 

 そこに嘘だと思わせる要素は無かった。

 カリフラは極力攻撃をしない。攻撃を避けながら語りかける

 

「ケール、あたしはお前が大事じゃなかった時なんてないんだぜ?」

 

「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!」

 

 聞いてるのか聞いてないのか全く分からないが聞いていると信じてカリフラは語りかける。カリフラも何となくケール覚醒の理由が分かった。光輝に嫉妬したんだろうと。それはカリフラが光輝に取られたからと勘違いしたから。

 だけどカリフラは言った通りケールが大事じゃない時なんて無かった。カリフラにとってもケールは大事な妹分だ。

 カリフラの兄はレンソウと呼ばれる第6宇宙のサイヤ人の精鋭部隊、「サダラ防衛隊」の隊長だった。隊長と言うだけあって人望もあり、カリフラも昔は尊敬していた。

 しかしカリフラは周りの格差に気がついた。カリフラは当時はまだ今よりも子供だった。そんなカリフラに向けられる視線は「優秀な兄の妹」、そこにカリフラ自身を見てくれるものはいなかった。ある意味差別みたいな事もされた。

 そしてそのフラストレーションが爆発した時、カリフラは周囲の人々がイラつく対象になっていた。そしてそれは徐々に優秀な兄への嫉妬へ変わりカリフラは兄へ勝負を挑んだ。

 しかし結果は惨敗だった。カリフラはそれを機にグレた。家を飛び出し不良グループの様なものを作り金品等の品を強奪するようになった。

 

「あたし達は一緒に色んなワルをしたよな」

 

 そう少し笑って言う。

 カリフラとケールが出会ったのはカリフラがグレて家を飛び出して割と直ぐだった。カリフラが惑星サダラを少し彷徨ってた時、路地裏で体育座りして顔を埋めていた。服もボロボロで覇気も何も感じなかった。カリフラは最初スルーしようと思った。

 しかし……出来なかった。何故なのか自分でも当時は分からなかった。カリフラはケールに近寄りヤンキー座りをして聞いた

 

『おい、お前どうしたんだ?』

 

 だけれどケールは答えない。永遠と顔を埋めているだけだ。カリフラは諦めずにコミュニケーションを取ろうとする

 

『こんな所で何やってんだ? ずっとここで顔を埋めて何か楽しい事でもあるのか』

 

 そう言えばケールはその顔を上げてカリフラを見た。どうやら自分に話しかけているとは思わなかったらしい。

 しかしケールはまた直ぐに顔を埋めて言った

 

『貴方には関係ない』

 

 非情な一言でもあるのと同時に辛そうな言葉でもあった。当時のカリフラはそれ以上何も聞かずにニッと笑いながらケールに言った

 

『おい、あたしと一緒に来ねえか?』

 

『え?」

 

 ケールは眼を見開きカリフラを見た。カリフラは当時のケールには眩しい笑顔でケールの答を待っていた。

 ケールは生まれ持った潜在能力のせいで迫害を受けていたサイヤ人だ。その潜在能力はブロリーと同じ変身が出来る時点で相当なものだと分かる。ケールが欲しくて得た力じゃないのに化け物等誹謗中傷され生きていた。自分を必要としてくれる人なんていなかった。

 しかしそんな時現れたのがカリフラだった。カリフラがケールの事情を知っているかは分からなかった。もしかしたら後から裏切られるのかもしれない。それでも当時のケールには自分を必要としてくれたカリフラが嬉しかった。

 

『……はい!』

 

 それからカリフラとケールは仲間を増やし続けて立派な不良グループを作った。そうしている内にケールはカリフラを尊敬し慕う様になった。

 カリフラは後退し言った

 

「何度でも何百回も言うけどな! お前はあたしの大事な妹分だ! そんなふざけた野郎に負けんじゃねえええ!!」

 

 そう叫びケールと激突するのだった。

 一方光輝は魔閃光の爆発に紛れているシーラスを見ていた。黙々と立ち合がる煙が晴れると少しだけボロボロになっているシーラスがいた。

 

(ぶつかる瞬間にバリヤーを張ったか。長生きしてるだけあって経験はあるみたいだな)

 

 シーラスはブロリーの時よりも強くなっている光輝を苦虫を噛みしめた表情になる。そして心底思ったという声で言った

 

「ここまで強くなっているとはな。まだあいつでは勝てないのは確かか」

 

 あいつってのはどう考えても仮面の男だよな。まだあいつもいるんだよなあ。でもこいつはここで倒したい。これ以上歴史をめちゃくちゃにされる訳にはいかない。

 そんな時、シーラスが「良い事教えてやろう」的な表情になった

 

「貴様が尊敬する孫悟飯の世界が最後に辿った末路をおしえてやろう」

 

「……なに?」

 

 未来の悟飯さんの世界の末路だと? あの世界はトランクスさんが人造人間17号と18号、それにセルを倒して平和になった筈だ。

 シーラスは単刀直入に言った

 

「ザマスという敵を滅ぼすため”宇宙事”全王が破壊した」

 

「……は?」

 

 光輝から何言ってんだこいつみたいな声が発せられた。文は短い筈なのにそこにある情報量は多すぎた。

 

 ザマス……誰だ? 

 宇宙事? あの世も地獄も? 

 全王が? 

 

 光輝は臨戦態勢のままシーラスを観察する。体が熱くなっているが何とか冷静になろうとする。シーラスは掴みどころの無い表情で言った

 

「信じるかどうかは好きにしろ。だがそれが現実だ。神は人を見放し機嫌1つで全てを消す。悪も許せんがそれ以上に神共も許せん」

 

 言ってる事が本当かどうかは俺は知らない。だけれどもシーラスは本気で言ってるように聞こえた。

 全王ってのはビルスさんが担当する第7宇宙を含めた全12個ある宇宙の頂点に立つ人って事は知っている。会った事はないし興味もなかったからな。

 本当なら俺は全王を憎むだろう。だがそれは今じゃない。俺の憎しみなんかよりも今はしないといけない事がある

 

「……で、それで貴様の行いが正当化されるとでも言うのか?」

 

「光が正義だと誰が決めた?」

 

 光輝とシーラスの視線が交錯する。光輝の中ではモヤモヤが広がっている。シーラスはそれを見抜き畳み掛ける。

 

「そうだ! 結果が良ければ全て許される! そうすれば幾多の犠牲にも価値があったと言えるだろう。神も介入出来ない。悪も争いもない完全な世界が出来ればな!」

 

 ……何となくシーラスのやりたい事が分かった。どんな手段か知らねえが昔ナルトさん達が戦ったうちはマダラって奴がした”無限月読”って奴と似たような事をしたいんだろう。

 無限月読は簡単に言ってしまえば全世界、全ての人達に解術しない限り解けない幻術をかける術だ。その幻術の中ではその人が望んだ世界が幻術として見れる。その反面、現実の体は白ゼツにされるんだが。

 こいつがしようとしている事は新しい世界を作る、こいつ曰く神様達もフリーザみたいな悪もいない世界を作るんだとよ。

 

 

 

ふざけるな

 

 

 光輝は心中でそう言ってシーラスを睨む。シーラスは覇気のない光輝が見れると思っていたが逆に戦意を復活させている光輝に目を細める。

 光輝はふっと笑い言った

 

「何年もうろちょろ逃げてダメージエネルギー溜めて何すんのかと思えばそんな事か……」

 

 そこで光輝は深呼吸して思いっきり叫んだ

 

「くだらねえっ!」

 

 そう叫び再び闘気を纏いその2つの手にSAO時代からの相棒達が握られた。シーラスは真っ向否定してきた光輝に眉をひそめた。光輝は続けた

 

「完全な世界? 争いがない? 神はどうでもいいとしてそんな世界になんの価値がある?」

 

 神はどうでもいいと言った光輝にシーラスは心底驚いた顔をした。てっきりこの光輝は神様とか信じていそうだと勝手に思っていた。時の界王神に仕えていることからもそう考えていた。

 光輝はシーラスの表情からそれを読み取ったのか笑いながら言った

 

「俺は神なんか元々信じちゃいねえよ。愛美が笠木に襲われたあの日からな」

 

 あの時の俺は神がいるんだったら何も起こさないでくれと必死に向かってる時に頼んでた。だがそうはならなかった。愛美は下手したら一生物のトラウマが植え付けられた。1週間、恋人として過ごした時はそんなの見せなかったけれど笠木のニュースを見ると少しビクッとしたのを覚えている。

 その後だって神がいるんだったら俺の家族は死にやしなかった。

 後で時の界王神様やらビルスさんに会った時も神とは聞いたけど余り気にしてないからな。俺は年上なら基本敬意を表すだけだ。

 

「俺の神の価値観なんざどうでもいい」

 

 光輝はそう言って話を区切り続けた

 

「悪がいない世界があるんならそりゃあ良い世界っちゃ良い世界だろう。それを幻想するのは勝手にしろ。だけどな、悪がいない世界なんてない」

 

「私が作る。悪が絶対に存在しない世界を作……」

 

「違ぇよ」

 

 シーラスの言葉を光輝は遮った。

 

「悪い奴がいるから人間は人間なんだ。俺は1から世界を作った奴らを知っている」

 

 アンダーワールド……、現実となんも遜色もない仮想世界はそこで人間を生活させていた。

 光輝もその過程は知っている。直接行ってそんな人口フラクトライト達とも触れ合って来た。その世界では禁忌目録で基本的に盗みや殺しは出来ないようになっていた。

 それでも……”悪”はいた。それを光輝は見てきたのと同時に思った事もある。それは……

 

「人間だからな、間違う事もある。その過程で道を踏み外すこともな」

 

 アンダーワールドでは禁忌目録を破ろうとしたら右眼に絶大な痛みが走り禁忌を破ろうと意識し続けると最悪眼球ごと破裂する。

 そんな事普通なりたくないから禁忌目録を破らないものが9割以上いた。だが”悪”がいなかった訳じゃない。

 光輝は公理協会という所にキリトとユージオが殴り込みに行く前、カーディナルと呼ばれる老婆に会った時に合流したから詳しくは知らないがキリトとユージオの傍付きが貴族に辱められかけた……いや本人達からすれば辱められた。屁理屈を捏ねて禁忌目録を認識せずあの手この手でキリトとユージオを排除しようとした。結果的にはそれは皮肉な事に達成出来てしまったが今は割愛。

 

「だからって悪が増えろなんて思わない。悪がいないに越したことはないのは正直お前と同じ考えだからな」

 

 悪人がいなければいいと考えるのは光輝もシーラスと同じ意見だ。悪い人が減るのは普通に光輝も嬉しい事だと考える。

 

「でもな、間違えない人間なんて居ない。俺も……あんたも間違える事があるようにな!」

 

 シーラスは否定の声色で半ば叫ぶ

 

「私は間違えてなんていない! 悪を滅ぼすの何が悪い!?」

 

 シーラスは悪に拘りすぎている。それじゃあ見失うのも当然か。でも誰かの意見を聞くことも出来たら違う道があったんだろうな。

 

 光輝は溜息をつき言った

 

「……俺さ、ある意味笠木には一つだけ感謝してる事あるんだ」

 

「なに?」

 

 光輝の宿敵の笠木に光輝自身が感謝している事があるという事に疑問符の表情になる。シーラスの笠木に対する評価は”悪”の権化とも言える存在だった。正直出来るなら手を借りるのも嫌だった。笠木の技術が使えると思ったからしゃあなしで仲間にしただけ。そんな笠木に感謝している事とはなんだとなったのだ

 

「家族を殺した事は許せない。それは俺が死んだ後でも一生恨むつもりだ。だけど……」

 

 そこで言葉を区切り言った

 

「ある意味あいつのおかげで俺は愛美と恋人になれた」

 

 笠木の1件で愛美は光輝に告白しようとしていた。ボロボロの光輝を見て光輝がいなくなるのが怖くなったから。告白は光輝がずっと寝ていたから叶わなかったが手紙に「大好き」と書く決心をしたと言っていた。

 そして光輝の帰還のきっかけはたまたま笠木が愛美の来日と合わせて来襲したからだ。サイヤ人って事を知って貰えた。愛美の心理的ハードルはそこでも少し下がっていた。最も時間さえあれば笠木がいなくとも恋人にはなれたかもしれないが。だが次に言うことは正真正銘笠木がいなければなかった事だ。

 光輝は続けた

 

「アインクラッドでキリトやお姉ちゃん達に出会って確かな絆が出来た!」

 

 笠木との決戦が無ければ時空の歪みは出来なかった。SAOサーバーに光輝の魂が入る事も無かった。今の『サイヤ人・光輝』もいなかった。

 光輝はアインクラッドを1人で戦おうとした。1人でいる事が優しくしてくれる皆を守る事になると信じていたから。だけどそれは違った。それはただの我儘で信用してなかっただけなんだと。

 姉との出会いから光輝の世界は広がった。皆と一緒にいる日々が楽しくてしょうがなかった。ボス戦での皆との一体感は1人で生きようとしていた光輝に深く刺さった

 だがシーラスはそれを否定した

 

「そんなものは結果論でしかない! 何人もの人を殺したのは変わらん! それは貴様が1番よく分かっているはずだ!」

 

「……だろうな。同じセリフを被害者の人に言ったらブチギレられる。この台詞は俺だから言えただけだからな」

 

「そうだ!」

 

 つーかその笠木を仲間に一時期していたこいつが言うのかそのセリフ。こいつ自分がどんなに矛盾しているのか分かってるんだろうか? 

 ……そしてこいつは割とプツンとする言動もしてきた

 

「貴様の言う”絆”も簡単に壊れる。所詮は他人だ!」

 

 その瞬間、未来の悟飯さんの時以上の怒りがふつふつと出てきた。どうしてもこいつは俺を……というよりタイムパトロールを否定したいらしい。

 仮面の奴もこいつとはこの分だとただの利害の一致で動いてるだけだろうな。

 

 光輝はその碧色の瞳に怒りの炎を滲ませた。それでもシーラスは続けた

 

「あのサイヤ人も絆が壊れたから平気であの女を襲える」

 

 光輝はそれを聞き油断せずシーラスを見ながら気でカリフラ達を探る。ケールの気が段々と下がっている。残されたリミットは少ない。だがカリフラも気の底が見え始めている。キャベは恐らくダウンか戦闘不能になっている。

 シーラスがカリフラ達の方を向いてるのを知ると光輝はシーラスとカリフラ達を視界に入れる為臨戦態勢を取りながら少し移動する。カリフラをちらりと見ると既に超サイヤ人が解け肩を抑えている。そしてそのカリフラに迫る暴走したケール。そんな二人を見てシーラスは光輝に言った

 

「行かないのか? このままではあの女の内どちらかは死ぬ」

 

 それをお前が言うのかよと思いながら俺は2人の様子を見て返した

 

「ああ。行かねえよ俺は」

 

 その言葉にシーラスは目を細めた。そして心中では

 

(それが人間だ。所詮赤の他人がどうなろうと知ったことではないのだ)

 

 そんなシーラスの意図を読んだのか光輝はふっと笑いながら言った

 

「お前はさっき言ったな。絆何てものは簡単に壊れるって。確かにそんな脆い絆もあるかもしれない。だけどな……」

 

 一方、カリフラは迫り来るケールを見ながら自虚気味に言った

 

「はは、情けねえぜ……あたしはお前の姉貴分なのにな」

 

 カリフラは精一杯戦ったがケールの防御力と攻撃力にカリフラのスタミナが先に底を着いてしまった。現に今は超サイヤ人にもなれていない。

 このままではカリフラはケールに殺される。しかしそんなカリフラの脳裏で考えているのは死への恐怖ではなく自分への怒りだった

 

「ケール、お前はあたしが元に戻すって言ったのにな。あたしは何で膝をついてんだ」

 

 カリフラは痛みを堪えながらも立ち上がってその肩に置いてた手を腰だめに持っていく。カリフラは迫り来るケールを見ながら語りかけるように言った

 

「妹分1人救えないのかあたしは」

 

 その口調は今度は自分を責めるものになった。そんなカリフラの髪の毛が金髪に変色したり逆立ち始める

 

「何が姐さんだ」

 

 そう呟きながら思い出すのはケールと出会ってからの思い出だった。一緒に人の物を盗ったり強い奴に喧嘩を吹っ掛けたり仲間を増やしたり……カリフラとケールは色んな事を一緒にしてきた。

 

「お前はあたしの大事な妹分だ。そんなお前の姉貴分のあたしが……」

 

「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア!!」

 

 そこでカリフラはキッとケールを見て叫んだ

 

気張らねえでどうするってんだ──っ!! 

 

 その瞬間、カリフラの体から金色の闘気が溢れ出し超サイヤ人の時よりも髪が逆立ち髪も金髪に変色した。青白い雷鳴も迸る。それと同時に光輝はシーラスに言った

 

「何度も切られても残るものが本当の絆だ。途切れない絆は自分でも不思議な力をくれる」

 

 超サイヤ人2に自分への怒りでなれたカリフラを見ながら言った。そんな底力を見せたカリフラにシーラスは思わず目を見開く。

 

「てめえがどんだけ俺やタイムパトロールを否定したいのか知らねえが勝手に”絆”を否定する資格はお前にはない!」

 

 そう言って光輝の右手にある剣から超サイヤ人とは別の金色の気を体に纏った。光輝自身が見えなくなる光に包まれ出てきたのは薄い金色の眼に変化していた光輝だった。

 

「俺はカリフラやケールとずっと一緒にいた訳じゃない。けれど……互いを心配し助け合い認め会えたならそこにあるのが誰にも切られない絆なんだ!」

 

 瞬間、光輝はシーラスの眼前に先程とは違うスピードでの肉薄していた。シーラスも慌てて光輝に対応する。振り下ろされた刃を先程と同じ様に棒で防ぐ

 だが……

 

「貴様のどこにそんな力が……!?」

 

 さっきは普通に防げた筈なのに今度はあっさりと押しきられシーラスは歯を食いしばる。そんなシーラスの防御をブレイクしながら光輝は叫ぶ

 

「お前が否定した力だーっ!」

 

 ★★★★★

 

「何だ……この力は?」

 

 カリフラは自分の変化に思わず手を見る。先程から湧き上がるパワーに目を見開くがその瞳をカリフラの変化に止まったケールに向ける。

 カリフラは手を握り力を込める

 

「今なら……お前を止められそうだ」

 

「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

 

 瞬間、カリフラはケールと激突した。先程は圧倒的に力負けしていたのに今はケールのパワーも下がってきていることも合わさり何とか拮抗状態に持っていく。

 更にカリフラが元々持っていた俊敏さも合わさりケールの攻撃は上手く躱し一撃一撃を確実に当てていく。

 

「ケール! 目を覚ませ! このままじゃお前が死んじまうぞ!」

 

「うおおおおおおお!!」

 

 苦し気な雄叫びを上げケールはカリフラを捕まえようとその巨大な左手を振り上げた。カリフラは躱すことが出来た。だが……敢えて躱さず自分の右手を勢いよく掴ませた

 

「ぬうう!?」

 

 ケールは無我夢中でその手を潰そうと力を入れた。

 

「ぐううっ!!」

 

 カリフラは自分を握りつぶさんとするケールのパワーに思わず苦渋の声と顔になる。しかし……直ぐにその顔を嬉しそうな表情を見せる。その理由は

 

「ケール……お前はやっぱり凄い奴だぜ。あたしがここまでやってるってのに勝ちきれねえなんてよ」

 

「うああ」

 

「でもよ……あんたはあたしが戻す! それが姉貴分のあたしがするべき事だからなあっ!!」

 

 次の瞬間、カリフラから青白いスパークと共に金色の気が溢れ出す。その金色の気は濃い紫色の気を纏っているケールを覆い始める。カリフラの気を直接浴びたケールはその気の中にカリフラとの思い出が蘇ってくる。

 路地裏での出会いから窃盗、喧嘩、仲間づくり……

 

「……ねさん」

 

「ケール、お前!」

 

 今確かに理性が宿った「姐さん」と言った。赤く発光していた眼が徐々に白目に戻るのと同時にその眼から涙が出てくる。

 カリフラは自分の力をケールに浴びせることにより潜在的に持っていたケールのカリフラへの尊敬や友情を目覚めさせたのだ。最もカリフラ自身やってる自覚があるのかは定かではないが。

 

「そうだぜ、戻ってこいケール! あたしとお前ががっちり手を組んだら全宇宙最強だ!」

 

「う……うおおおおぉッ!!」

 

 その瞬間、禍々しい紫色の気ではなくケールが本来持つ緑色の気が溢れだしてきた。それと張り合うようにカリフラの気も溢れ出す。金色と緑色の気がケールの雄叫びと共に消失した時、ケールの肥大化した筋肉は最初の時のように無くなっていき少女らしいそれに変わった。

 緑色に変色していた髪も元の黒髪に戻っていく。それに伴いケールの力も抜けていき前のめりに倒れる。カリフラはそんなケールを大事に受け止めた

 

「よくやった、流石あたしの妹分だぜ!」

 

 今日だけで何回言ったのか分からない言葉をもう一度言った。それを聞いたケールは気絶しているようだその口は微笑みに変わっていたのだった。

 

 ★

 

「どうやら俺の言った事が正しかったみたいだな」

 

 そう光輝は目の前のシーラスに言った。シーラスは少しボロボロになり光輝を恨めしそうに見た。確かにシーラスは仮面の男よりも強く技術もある。

 だが光輝は幾千もの戦いを潜り抜け師事している人たちも人たちなので技術のアドバンテージはシーラスにはないのも同然。光輝は相手が自分より弱くても命を懸けている。SAOでもALOでもGGOでも、ゲームだから遊びでやってるわけではない。やるかやられるかの世界で磨いてきた技術は現実の世界と何も変わらない。

 

「……今日はここまでか」

 

「逃がすと思うか?」

 

 光輝は瞬時に印を組んで5人の光輝がシーラスを取り囲んだ。絵面だけみるなら完全にいじめのそれだがそんなことを言ってる場合ではない。

 そして5人の光輝はそれぞれ気弾を連続で中心にいるシーラスに撃ちまくった。

 

「だだだっ!」

 

 四方八方からの気弾の嵐に普通は軽い怪我では済まないはずなんだが……光輝は撃ってても手ごたえがない事に疑問を感じ手を止め煙に包まれているはずのシーラスの気を感じることにした。そして感じた結果……

 

「この前思ったこと撤回するわ。お前らラグーラビット並みにじゃなくて以上に逃げ足はえーな」

 

 煙が見えなくなるにつれシーラスの姿がない事を確認しながらそう言った。

 

(あの状況でどう逃げた? 他の歴史に引っ込む事はあいつら自身が滅茶苦茶にしたせいで出来ないと考えていたが……それかアジトの場所には瞬間移動の類の技で行けるのか?)

 

 光輝はシーラスの逃げた方法を考えながらカリフラとケールを見た。二人は流石に疲れ切ったのか寝ていた。その二人を全部終わった後に起きたキャベが最初朝ごはんを食べていた崖の上まで連れていた。キャベは光輝にOKサインを送り光輝もグッドサインを送った

 

「まっ、考えるのはあとにしよう。何ならまた会ったときは八つ裂きにすればいい」

 

 傍から聞いていれば物騒な言葉を言って光輝は光に包まれた後、超サイヤ人2とリコレクションブレイブの変身を解いた。余談で今更だがリコレクションブレイブと超サイヤ人は併用が可能だ。

 併用した時の特徴は普通の超サイヤ人の碧眼ではなくリコレクションブレイブの薄い金色の瞳になることだ。ただ併用した時は本物の超サイヤ人3よりもましだが割と体力の消耗もある。だから長期決戦には向かない。どちらか一つだけならそんなことは少ないのだが。

 光輝はカリフラ達の元へ向かうのだった。カリフラ達が超サイヤ人になった時のことを思い出した時、光輝は自分が初めて超サイヤ人になった時の事も思い出して若干懐かしそうな声で言った

 

「そう言えばバーダックさんは今頃どこにいるんだろうなぁ」

 

 超サイヤ人になるための師匠を思い出しながら三人の所に向かうのだった

 

 

 ★

 

 

 光輝のいる場所より遥か離れた所、光輝のいる晴天の場所の反対の曇天に雷鳴。そこに何人かの人影があった。一人は髪を四方八方に伸ばし血を連想させる真っ赤なハチマキを巻いて顔に傷がある。恰好はフリーザ軍の緑色を基調とした戦闘服、その顔立ちは悟空に似ている……というより悟空がこの男に似ているのだろう。

 男は目の前にいる敵達を見た後、後ろで倒れている戦士達を見た。地球人が三人、どこぞの銀河パトロールが一人、ナメック星人が一人、そして男の血縁の者が一人。全員地に伏しているが死んではいない。殺される前に男が割り込んだからだ。その内の山吹色の道着を着たスキンヘッドの地球人が困惑の声で言った

 

「ご……悟空?」

 

 男は目の前の敵達に目線を向けながら否定した。

 

「そいつは俺のガキだ」

 

 それに男の血縁の者は目を見開く。男の言うことが本当ならば自分は男の孫ということになる。それを思わず聞こうとしたその前に敵の一人にして最大の気を持ってる存在が愉快そうに言った

 

「ホッホッホ! やはり孫悟空さんは貴方の息子でしたか!」

 

 そして敵はニヤリとして言った

 

「……バーダックさん」

 

 バーダックと呼ばれた男はその瞳の中に怒りの感情を見せ言い返した

 

「覚えてくれて光栄だな、フリーザさんよ」

 

 一回は子に託した願いを自分で叶えられる事に男は高揚感と嬉しさが溢れた顔をするのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。

光輝がケールをもとに戻す事も考えましたがキャベは兎も角カリフラの出番ないということで特別ゲストのシーラスさんでした。

尚、カリフラとケールの過去は概ねオリジナルです。実際兄の存在で捻くれたかは分かりません。

ゲストのシーラスさん色々話してくれる。でも計画は割とありきたりです。
本場のシーラスよりは神様嫌いなので違和感あるかもしれない。

後未来悟飯の世界のその後をネタバレ(笑)

光輝が言った通り光輝自身は余り神を信じてないし崇拝もしてません。目の前に起こったことが全てって考え。

そしてラスト、フリーザ編以来のバーダックです!恰好は初期のたった一人ののやつです。後ろで倒れてるメンツは復活のFの地球防衛隊です。

ではでは


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