Warrior beyond despair   作:レオ2

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おはようございます。
前回言った通り光輝の話ではないです。
どちらかというと愛美の話です


~裏~戦友

 ALO内・新生アインクラッド 第27層の小島

 

 今そこでは二人の剣士が向かい合っていた。一人はウンディーネ特有の蒼髪をなびかせ青とピンクの色を基調とした装備の愛美ともう一人はレイン。そして外野には他の面々がいた。キリト、セブン、アスナ、ユウキ、クライン、エギル、リーファ、シノン、アリス、ユージオが揃っていた。

 そしてその面々の前で剣を構える二人の雰囲気は何時ものゲームの雰囲気ではなかった。だが、それはこの戦いの目的を考えれば当然だろう。

 それは光輝がタイムパトロールに向かって約1週間経った時、今まで光輝経由でしか聞いたことがない「時の界王神」が光輝の置いていったアミュスフィアを通してレインに連絡を取ってきたのだ。時の界王神は映像をレインの目の前に出して時の巣とALOの世界を繋いでいた。言うまでもなくブルマがアミュスフィアを改造し付け足した機能だ。

 

「あなたがレインちゃんね」

 

 どう見ても地球人ではない容姿、エルフの様にとがった耳、地球の恰好ではなく肌の色も地球人のものではない。レインは一瞬アバターなのかと思ったがそうではないのは直ぐに分かった。どの種族のアバターの容姿とも一致しないからだ。レインは戸惑いながらも聞いた

 

「あの……あなたは?」

 

「それを話す前に呼んでほしい人たちがいるわ。光輝君が”戦友”と呼ぶ人たちを出来るだけ集めてほしいの」

 

「どうして光輝君を……それにどうして皆を」

 

「気になるのは分かるけれど、出来るなら皆に聞いてもらいたいの」

 

「……分かりました」

 

 レインは急遽SAO達の仲間達、そしてキリト一派に途中参加した仲間を自分達のホームに集めた。時間帯が深夜だったので割と集まった。ほぼ全員が集合した。珍しくキバオウやディアベルもいた。

愛美も呼ぶか悩んだが……時の界王神の雰囲気がただ事ではないなかったので呼ばなかった。それに寝ているかもしれないと思ったのはある。

 時の界王神は集まったのを見て光輝の人望を感じ少し嬉しくなった。だけれども言う事の方が先なので時の界王神は言った

 

「今、全ての世界を巻き込む戦いが始まるかもしれない。そしてその第一線を張るのは……光輝君よ」

 

 いきなりスケールがでかくなり息を飲んだ人たちもいたがキリトやいつも一緒にいた人たちは今更なので少し目を見開いただけだった。しかしそんなあからさまに危険な戦いに光輝が行くと聞いてセブンが黙っていられなかった

 

「どういうこと!?」

 

 時の界王神は手をだし止めた後話し出した

 

「1つずつ話すわ。あなた達の世界でも次元の切れ目が出たと思う。あれは歴史の融合が行われなかった世界ではみんな起きている現象だから」

 

 つまり悟空達の歴史以外の世界ではあの現象が出ている。ナルトやボルト達もあの切れ目を見ている。セブンはあの謎の現象の答えをを今から話そうとしてくれているのだと考えブラコンを抑えソファーに座りなおした。

 時の界王神はそれを見届けまた全体を見渡した後口を開いた

 

「先ずこちら側で起こった事を話すわ。今、私や光輝君が追っている敵がある世界の歴史を超ドラゴンボールを使って融合させた。光輝君が過去に戦ってきた敵達もいる。そして……このままじゃこの世界も光輝君が生まれた世界も……全ての世界が崩壊する」

 

超ドラゴンボール…というのは知らないがドラゴンボールは聞いたことがある。勿論光輝からだ。なんでも願いを叶えてくれる願い玉、レインはそれで光輝に家族を生き返さないの?と聞いたことがある。

そしてその超ドラゴンボールが悪用されたらしい。

 

「歴史を融合……」

 

 光輝の事情を知っている面々しか集まっていないので何となく理解した。光輝がタイムパトロールしてきた歴史がまた滅茶苦茶になったのだろうと。そしてその無茶苦茶になったでかすぎるおまけとして

 

「普通、歴史がそんな事になる事なんてないのよ。だけど今回はなってしまった。あの切れ目は……パズルのピースが揃わなくてパズルに穴が開いてしまうのと同じ。無理やりこことは違う世界が融合されてしまったせいで空いてしまったのよ」

 

 そんな光輝の事を知っていても理解できない話に面々は理解が少し追いつかない。しかしセブンが簡潔に話した

 

「つまり……あの切れ目はその歴史があるべき形でないから出来てしまったってことよね」

 

「そういうこと」

 

 だがそんな事SAOからの姉にはどうでもよかった。セブンが何かを話そうとした時、セブンは自分の隣からとんでもない怒気を感じた。恐る恐る隣を見てみると普段のレインからは考えられない程時の界王神を睨みつけていた。セブンがこんなレインを見たのは自分が引き起こした「クラウドブレイン事件」の時に自分に怒鳴りつけた時が最初で最後だ。

 そのレインは低い声で……怒気がこもった声を抑えながら聞いた

 

「それで……今光輝君はどこに?」

 

 そんな事が起こっているのなら光輝がとる行動は一つなのはこの面々には分かっているが時の界王神の口から直接言わせたかったのだ。時の界王神はその視線を受け内心で「光輝君が姉が怒ると怖いって言ってたけれど本当ね」とか思っていた。だがこれは完全にこちらに落ち度があるのでこうやって集まってもらっているのだが。時の界王神は少し深呼吸した後口を開いた

 

「光輝君は今、その融合した世界で世界を元に戻そうとその世界にタイムパトロールに行ってくれているわ」

 

 そう改めて聞いた面々の顔は……特にSAOからの仲間は歯を食いしばる。その世界を元に戻す事がこの世界を守る事だからだ。つまり……光輝は自分達を守る為にその世界に向かったのだと。あのSAOの時の様に。

 唐突に壁が思いっきり叩かれた音が響きセブンは思わず見る。そこにはSAOのころから変わらない侍風の装備をしているクラインが壁を殴っていた。本来は家主の1人として何か言うべきなのかもしれないがそんな気にはなれなかった。

 

「またあいつは……俺達に何も言わずに行ったのかよ……!」

 

『それは違うぞクライン。俺はあんたの事も親友だと思ってる。というか俺と一緒に戦ってくれた人達は皆親友の前に戦友だと思ってるよ』

 

 あのオフ会で光輝が来た時、光輝はこう言ってくれた。だが……本当の戦友ならどんなやばい奴らが相手でも頼ってくれと思うのだ。それをあのオフ会の日から思っている。本当は歴史だって子供の光輝に任せるのはおかしいと思っているのだ。たまたま光輝の強さがずば抜けているから光輝がやっているのだ。変われと言われたら二つ返事で変わる。SAO最前線も強さの前に大人がやらなくちゃならなかったのだ。

 他の面々も大なり小なりクラインと似た表情だった。自分達に光輝と一緒に戦えるほどの力がない事をいままで以上に恨んでいる人が大半だった。あのキバオウさえ同じ表情をしている。

 レインはもう怒りよりも悲しさが勝り少しうつむいている。少し暗い雰囲気になった時、キリトが聞いた

 

「だけど……なんでそれを俺達にわざわざ話したんだ?」

 

 その問いに他の面々はまた顔を上げる。確かにそうなのだ。光輝の行先が分からないだけでタイムパトロールに行っているのは予想は出来る。その詳しい説明をしに来ただけなのかと思ったのだ。だがそれはないと考えた。自分達を守る為にタイムパトロールに行くのは悔しいが今に始まった事ではない。だがその度に時の界王神がこうやって説明をしてくれたのかというと違う。何なら今こうやって初めて会ったし。

 確かにそうなると時の界王神がわざわざ来たのには疑問が出る。時の界王神は頷いた後、周りを見た。

 レイン、セブン、キリト、アスナ、ユイ、ユウキ、クライン、エギル、キバオウ、ディアベル、ユージオ、アリス、リーファ、リズベット、シリカ、シノン。

 

「単刀直入に聞くわ。光輝君がピンチになった時、あなた達に彼と一緒に戦う覚悟はある?」

 

 ★

 

 時の界王神からの連絡が終わり、それぞれの答えを胸にしまったままレインと光輝、セブンのホームから出ようとした時に外から物音がした。一番索敵スキルがあるキリトが真っ先に家から出て家の影を見た時いたのは

 

「愛美……」

 

 出来るだけ隠れてるつもりだったのだろうがしゃがんで元攻略組の面々をやりすごそうとしたのは二万年早かった。ウンディーネ特有の蒼髪をなびかせながら愛美は立ち上がった。

 今更だが愛美の世界の時間とキリト達の世界の時間の流れはほぼ一緒だ。だから今は深夜なので愛美の世界も深夜だ。だからレインは呼ばなかったのだがその時間の流れというのはあくまでも愛美の世界の日本とキリト達の世界の日本での関係だ。つまりアメリカにいる愛美と面々の時間は結構違う。時差があるからだ。

 愛美は今日、学校がないのを良いことに宿題を終わらせALOにログインした。武器の強化素材を取りに行って終わって疲れて泊ってた宿でログアウトしていたのでその宿に来た。

 

「そう言えば日本は深夜だから皆さんはいないかも」

 

 ログインした後にその事に気が付き少し残念そうにフレンド画面を見て……疑問符をだした。何故ならフレンド画面にいる人達の半数以上がログイン状態になっていて尚且つそのほとんどがレインと光輝とセブンのホームに集まっているのだ。

 

「こんな時間にパーティー?」

 

 最初はこんなことを考えていたが時間的にあり得ないと思った。まだ学生であるセブンやユウキなどはまだわかるが社会人であるクラインやエギル、更にキバオウやディアベルですら集まっているのどう考えてもおかしい。

 だから恐る恐るホームに向かった。そして少しだけドアを開けてみたのは時の界王神が集まった面子に色々話していたところだった。

 その愛美の瞳は揺れている。何を聞いていたのかは明白だった。愛美は深呼吸した後言った

 

「私も……連れて行ってください!」

 

 時の界王神との会話を聞いていたのだ。そして聞いた上でその答えを言ったのだ。だがここにいる面子からすればそういう訳にはいかない。レインが首を振り言った

 

「ダメ」

 

「どうしてですか!?」

 

 それに答えたのはレインではなくクラインだった。どこかまだ実感がわかないのか自分でも困惑している顔だと分かっているがそれでも愛美には言わなきゃいけなかった

 

「本当は俺達も信じられねえ気持ちがあるぜ? だけどな……あの時の界王神って奴が言った通りの事が本当に出来るならそれをやるべきなのはSAOのからずっとあいつに助けられてきた俺達がするべき事なんだ」

 

 SAOのころからなんだかんだで光輝は攻略組を助けて来た。それは自分の家族のように誰かが死ぬことなんて見たくなかったからだ。ボス戦では基本的に一番危ないポジションにつくことが多かった。それは光輝のずば抜けた戦闘センスとHPがないというイレギュラーの存在だったから光輝が自ら立候補する事が多かった。しかし、それをされる度にクラインやエギルなどの良識ある大人は胸を痛めていた。一番危険なポジションを一番の年下にやらせなきゃいけないなんて……と言う事だ。

 そして第3クオーターボスには結果的にたった一人で挑ませてしまいラストボスも光輝一人に任せる羽目になってしまった。そして今、その大きすぎる借りを少しでも返せるのかもしれないのだ。

 レインは続けた

 

「でも愛美ちゃんは違う。あなたまで来るのはきっと光輝君は望んでない。それに……」

 

 本当は余り言いたくないし自分達も光輝に比べたら足りないのは分かるがそれでも言わなきゃいけなかった。

 

「あなたじゃ力不足よ」

 

 それをはっきりと告げたレインに愛美は眼を見開いた後その瞳を悲しみに染めた。はっきりと告げられなにか反論しようとしたがまだALOを始めたばっかりの愛美にはSAOの頃から戦いの場にいた面々や元から剣道をやっているリーファ、人を殺してしまった過去に向かい合い生きているシノン、命の有難みをSAOメンバーとは違う方向でよく分かっているが故に強いユウキ、そしてアンダーワールドで本物の騎士として生きて今もその強さを磨き続けているユージオ、アリス達のような強さがない。唯一セブンだけは愛美もなんとか張り合えるがセブンは違うやり方でのサポートが出来るから愛美とは別種の強さだ。

 少し気まずい時間が過ぎた。

 レインは愛美には来ないで欲しいと思っている。それはもしここにいる面々の誰かが死んだとき、光輝はきっと壊れてしまう。それこそ自分で自分のフラクトライトを傷つけ心を無くしてしまうかもしれない。そしてその確率はどうしても高くなってしまう。何故ならもしその時が来るのならその時の敵はSAOやALOボスなんて目じゃない程の強敵だからだ。

 もしそうなってしまった時、愛美には光輝の隣にいてほしいのだ。

 

「……ゃです」

 

 愛美からか細い声が発せられた。しかしその声を今度は大きく発せられた

 

「嫌です!」

 

 そう言いながら顔を上げた愛美の顔は赤くなり今一所懸命に言葉を繋ごうとしているのが分かる。そして半ば叫んだ

 

「確かに私は弱いです! 光輝のあんな戦い見たら嫌でもそんな事分かります、でも……でも……それでも私は光輝の助けになりたいんです!」

 

 その叫びにアスナは愛美の気持ちが痛い程分かる。自分の愛している人が死ぬかもしれない戦場にいけないのは歯がゆいのだ。

 

「何回も光輝に助けてもらって、命も救ってくれた光輝に私は何も返せてない!」

 

 そう叫びながら思い出すのは光輝に惚れるきっかけになったいじめや道が分かれるまでに起こった色んな事、そして笠木から助けてくれたあの日の背中。

 

「私はずっと助けられてたのに私は光輝が一番辛い時一緒にいてあげられなかった」

 

 引っ越した後、光輝がどうなっていたの知らなかったことを後悔している。自分だけ助けられていたのに自分は何も助けていない。でも……今その助けを少しでも返せるときが来たのだ。そこにある思いはレインやクライン達にも負けていない。

 

「だから光輝に助けられたこの命は光輝の為に使いたい。光輝の為に死ぬことなんて怖くない! 私は……光輝の隣をずっと歩いて……光輝と結婚して、光輝と添い遂げるのが私の夢だから!」

 

 そう半ば愛の宣言になってしまっていることに愛美は気が付いていない。しかしその夢は光輝の夢と一緒だった。その夢を語る愛美の眼が光輝の眼と重なったようにレインには見えた。その叫びに面々は思わず黙ってしまう。

 愛美から感じる熱意は本当に平和の世界で過ごしてきた住人なのかと思うほど熱かった。しかしそれでもSAOからの仲間としても姉としてもレインは愛美には残ってほしかった。しかしそれを簡単には口にできなくなってしまった。今の愛美と同じ感情を前も今もレインも持っているからだ。”仲間”であり”戦友”なのに自分達はタイムパトロールになった光輝の助けにはなれなかった。愛美は好きだったのに笠木の件があるまで光輝の事を知らずにぬくぬくと平和に過ごしていた。光輝が戦場にいる事で守られてきたのは愛美もSAOからの仲間も変わらなかった。レインが拒絶の言葉を見つけられずに少し黙ってしまった時、レインの前にアスナが出て来た。

 

「分かるよ、愛美ちゃんの気持ち」

 

 そう言いながらキリトをちらりと見る。そして愛美ではなくどこか過去を思い出すようにその瞳を空に向け言った

 

「自分の大好きな人が危険な場所にいるのにその場所に行けない時の悔しさは分かるよ」

 

 かつて、キリトがアンダーワールドに行ったときアスナはアンダーワールドには行けなかった。キリトが現実世界より2年近く生きていた。自分の知り合いも家族もいない世界で2年生きていた。その間アスナは何も出来なかった。いや、そもそもあの時キリトがこん睡状態になってしまったのも自分を庇ったからだ。

 

「そして……今の愛美ちゃんには光輝君の助けになるかもしれない事がある。そうなったら……私が愛美ちゃんでも助けに行く選択を選ぶ」

 

「アスナちゃん……」

 

 レインはアスナが愛美を連れて行くことに反対していない事を悟った。アスナはにこりとしながら言った

 

「勿論、私達が時の界王神さんの言った方法で一時的に戦えるようになったとしても光輝君には及ばない。その点ははっきり言って愛美ちゃんと変わらないのよ。でも……私達はあの命を懸けた世界で得た経験は今の愛美ちゃんにはない」

 

「……何が言いたいんですか?」

 

「今度、私たちの誰かと本気のデュエルをしてもらう。その時の愛美ちゃんの強さ次第で私は愛美ちゃんを連れて行ってもいいと思う」

 

 そうはっきりと言ったアスナに全員難しい顔をした。確かにここにいる面子は光輝には及ばない。だが戦闘経験はその限りではない。いや実戦の数は光輝の方が圧倒的なのだがそういう問題だけではなく覚悟の意味では光輝には勝るとも劣らない。

 しかし愛美は違う。光輝がここにいれば間違いなく愛美には来るなと言うだろう。だが、愛美が案外頑固な性格なのはもう分かっているので試験という訳だ。

 愛美はその意図に気が付き頷いた

 

「分かりました。そのデュエル、お受けします」

 

 愛美は覚悟と強さの試練を受ける事になったのだった。

 

 

 




お疲れ様です。
なんかいきなりぶっ飛んでいると感じるかもしれません。
ちゃんとキリト達がドラゴンボール次元の敵とある程度渡り合える理由付けはその時になったらやるので待ってほしいです。
次回も愛美の話です。では
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