Warrior beyond despair   作:レオ2

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おはようございます。
すいません、昨日思いっきり寝ぼけて6時は6時でも18時に投稿してしまいました。
という事で投稿


サイヤの誇りと譲れない約束

「こうーーき!」

 

 愛美が楽しそうに俺の背中に抱き着いてくる。小学校時代じゃ何でか俺への辺りはきつかった気がするが今の愛美は俺によく笑顔を見せてくれる。

 それを見るのが俺も楽しく、そして嬉しくて彼女の髪に触れる。愛美はこの髪や眼にコンプレックスを持っているみたいだけど俺は気にした事なかった。

 それどころかウルトラマンヒカリの色だ! って少し羨ましくもあった。まあそれは小学校時代の話だ。

 今では俺の方が世間的に見ればおかしい部類だとは思うんだがな。

 

 そう思ったのも束の間、光輝は背中の重みが無くなったのを感じて後ろを向いた。そこには先程まで背中に乗っていた愛美がいた。

 別にそれはおかしい事ではない。さっきまで背中に抱き着いていたのだから。しかし光輝は戸惑った。何故なら愛美が悲し気な顔で自分を見ていたからだ。

 それが何故なのか分からず光輝は問いかける

 

「……愛美どうしたの?」

 

「貴方は誰?」

 

 聞いた瞬間に帰って来た答えはそんな光輝からしたら意味が分からない問だった。

 

 何を言ってるの? さっきは自分の名前を呼んで抱き着いてきたではないか? その名前が答えに決まっている。

 

「何言ってるの? ()は光輝だよ。愛美まだ寝ぼけてるの?」

 

 だがそう言って再び愛美に向いたら愛美は先程よりも遠い場所にいた。それもどこか顔を蒼白にしながら。

 

「愛美?」

 

「来ないで、貴方は光輝じゃない!」

 

 その冷たい声に光輝は止まる。今何を言われたのか分からなかった。それでもない頭を使ってようやく理解した時、光輝がするはずない邪悪な笑みを浮かべて一歩踏み出した

 

「僕は光輝だよ」

 

「本当にそう思う?」

 

 その言葉に光輝は頭痛を起こし頭を抑える。それでも……愛美に離れられたくなくて呼ぶ。目の前にいる人が愛美だけではなくなっているのにも気が付かず

 

()は光輝だよ!」

 

 あれ? でも本当にそうだったかな? 

 俺は……何だったんだ? 誰なんだ? 

 

「「光輝! 」」

 

「「光輝君! 」」

 

 誰かが俺を呼んでいる? ……でも誰だろう? 

 

 光輝の視界が徐々に銀色の液体状の何かに塞がれていく。光輝はそれに抵抗できずに突っ立っている。そして

 

俺は誰だ? 

 

 

 

 ★

 

 

 

「ベビーッ!!」

 

 ピンク色の空が広がる新ツフル星エリアに悟空の雄叫びがベビーに迫る。ベビーはガードしようとしたが遅く腹部に強烈な拳が突き刺さる。

 

「ぐはッ!!」

 

 それで攻撃は終わらず今度は気合砲を放ち更に吹き飛ばす

 悟空とベビー、2人の戦いははっきり言って悟空が圧倒していた。そして悟空自身も光輝の戦闘の気を感じ取り光輝の攻撃があの双子を超えていることを確認していた。

 何故か光輝がかめはめ波やギャリック砲を使えることを疑問に思ったが敵ではないようなので安心してベビーと戦うことが出来た。

 だが決め手に欠ける

 

(こいつを倒せばベジータは……)

 

 ベビーを倒すと言う事はベビーに乗っ取られたベジータも一緒に殺す事になり悟空は攻めあぐねていた。どうにかしてベビーからベジータを切り離したい。

 ……それでも何も思いつかなかったら覚悟を決めて消し去るしかない。

 悟空はベビーを上から見下ろす。ベビーは苦渋の表情で悟空を見上げている。このままではベビーは負ける。それが分かっているからこそ打開策を考える。幸い悟空はベジータの事を気にして自分を殺せる技は使えない。

 そんな時

 

「──!?」

 

 悟空が何か悪寒を感じて背後に向くのと同時に放たれた気弾をガードした。

 

「ぐっ!」

 

 しかしその威力は先程の双子よりも威力が高く悟空も唸り声をあげた。悟空が煙を払うとそこには2人の人間がいた。一人は先程まで光輝と激闘を繰り広げていた双子の女性カミン、そしてもう一人は

 

「おめえ……」

 

 髪を白髪に染め額から赤いラインが目元と口から顎の部分まで出ている。しかしその姿はもう一人の双子のオレンではなく

 

「何でおめえが……」

 

「悪いね、彼はもういないよ」

 

 光輝と同じ表情、同じ肉体、まさしく”西沢光輝”がそこにはいた。ただしその肉体を操っているのは光輝ではない。

 ベビーは自身の肉体をゲル状にして人の傷、口、鼻孔から侵入しその人に寄生する事が出来る。そして寄生された人は自分の意志を乗っ取られる。それによってベビーはこの世界に来る前には世界のほぼ10割を手中に収めていた。悟空自身もそれを知っている。だから……直ぐにその考えに至った

 

「……まさかおめえまで」

 

 光輝は……オレンに寄生されたのだ

 

「ちょっとこの体の腕試しに付き合ってよ!」

 

 光輝がするはずのない邪悪な笑みを浮かべ光輝の肉体を持った存在は光輝の気を引き出し悟空に迫った。先程のオレン、そしてカミオレン以上のスピードで迫った光輝に寄生したオレンは悟空と拳をぶつけた。先程までならオレンがあっという間に吹き飛ばされたのにもかかわらず今度は拮抗する。

 オレンは拳を引きつつ反対の拳で攻撃する。

 

「くっ!」

 

 悟空はそれを受け流し自分の拳をオレンに放とうとしたがオレンはそれを躱し上空に飛んだ。そして悟空に追撃させないように気弾を放つ。悟空はそれを弾きながらオレンに迫り乱撃戦が繰り広げられた。

 

「はあああああっ!!」

 

 オレンの拳と悟空の拳がぶつかり合い2人は弾けた。少しの間を取りオレンが興奮の声色で話す

 

「ハハッ! この体いいねッ! 最高だよ!」

 

 その後ろではカミンが満足そうに頷いている。

 

(どうする、こいつもベビーと同じならあいつを殺さなきゃならねえ)

 

 寄生の厄介な所は相手が知り合いだったら動揺させることが出来る点だろう。悟空自身の実力は光輝に寄生したオレンよりも遥かに高い。だから殺そうと思えば光輝ごと消すことが可能だ。

 勿論、この悟空は光輝には今日初めて会った。だがそれでも簡単に何もしていない青年を、自身と共に戦おうとしてくれた青年を見捨てる程悟空は非情にはなれない。

 

「ふふふ、どうやら形勢逆転のようだな? 悟空よ」

 

 悟空の後ろには光輝に寄生したオレンが取り合えず悟空を倒そうとしてるのを見て余裕を取り戻したベビーがいた。

 3人に挟まれる悟空は苦渋の決断をしなければならなかった。

 静寂が場を支配する中、先に動き出したのはツフル組だった。オレンとベビーが一気に悟空に迫った

 

「ちっ!」

 

 舌打ちし悟空は空へ飛んだ。オレンとベビーもそれを追う。悟空は気弾を放って牽制する。

 そしたら思った通り2人は一旦防御しようとした。その隙をつき悟空は瞬間移動でオレンの背後に現れ気弾の場所に蹴飛ばした。

 

「ぐっ!」

 

 そして次にベビーに迫り目にも止まらないラッシュを仕掛ける。

 ベビーはそれを防げず防戦一方に攻撃を喰らう。だが悟空は直ぐに中断せねばならなかった。何故なら背後から気弾が迫っていたからだ。ベビーを蹴飛ばした後、振り返りざまにその気弾を弾き迫って来た双子を迎え撃つ。

 

「そらそらどうした!」

 

「この肉体の人間を気にして本気出せないの?」

 

 2人とも笑いながら悟空に攻撃を仕掛ける。光輝が手こずったコンビネーションを完璧に捌いているのは流石と言えるが光輝と同じく決定打にかけていた。

 いや、元の双子のままなら遠慮なく叩き潰せるのだが今は寄生された光輝がいる。それによって悟空は先程のベビーと同じく攻めあぐねていた。

 

「俺を忘れるなよ、悟空!」

 

 そこで先程蹴飛ばされたベビーが凄まじい勢いで悟空に肉薄していた。流石の悟空も双子のコンビネーションとベビーの三者三様のラッシュに防御に移さなければならなかった。

 

「どうした悟空!」

 

 ベビーは今この瞬間に勝機を見出した。今悟空はそれぞれのベジータと光輝の事を気にして全力を出し切れない。

 そして今は3人で戦えている。もし悟空が覚悟を決めて殺すことにした時、勝てる保証はない。迷いがある今の内に倒そうという算段なのだ。

 

「ここだ!」

 

 オレンがアッパーを繰り出し悟空の交差していた腕が弾かれた。

 

「しまっ……!」

 

 悟空は直ぐにガードをしようとしたが隙を探っていた3人よりも反応が遅く悟空の肉体にそれぞれの拳が突き刺さっていた。

 

「ガハッ!!」

 

 流石の悟空も3人からの同時攻撃は利いたのかうめき声を出して吹き飛んで行った。建物を突き抜け張り付くように激突する。

 

「はぁ……利いたぜ」

 

 悟空が覚悟を決めるしかないのか、そう思った時前方から強力な気功波が迫っていたので悟空はそれを空を飛ぶことによって回避した。

 しかしその先には既にオレンとベビーが突貫しており悟空は再び2人の攻撃をガードした。そして反撃をしようとしたがその瞬間にはカミンも悟空の目の前におり結局防御に専念せざるを得ない。

 

(どうする、もうやるしかねえんか?)

 

 苦渋の表情で自問自答する。客観的に見れば今この3人を倒す方が得策だ。しかしそれでも悟空はライバルを殺すようなことはしたくない。その優しさが悟空の美点であり時には弱点にもなる。

 

「くッ!」

 

 悟空はとうとう3人の攻撃に弾かれ空を吹き飛ぶ。そして態勢を取り直した時には背後ではベビーが、前方では双子がそれぞれ技を準備していた

 

「かめはめ」

 

 光輝の姿をしたオレンは光輝から学習したかめはめ波を

 

「ギャリック」

 

 ベジータに寄生したベビーはベジータの記憶から覚えたギャリック砲を。先程双子に光輝がやっていた構図だ。それをしているのが寄生された本人達というのが悟空には悲しかった、が今はそれを思っている時ではない。今からでは避けるのは間に合わない。相殺しようにも悟空は影分身など出来ない。つまりは防御せざるを得なかったのだ

 

「波(砲)──ッ!!」

 

 2つの巨大なエネルギー波は悟空を消し去るべく突き進み……

 

「何をやっているカカロット!」

 

 その声が聞こえた瞬間、悟空はその声の主に背中を任せてベビーのギャリック砲を咄嗟にかめはめ波で相殺した。

 悟空の背中では同じように光輝に寄生したオレンのかめはめ波を相殺した音が悟空の耳に響いた

 

「サンキューな……」

 

 悟空はそう言いながら背後に現れた自分を助けてくれた人物に声をかける

 

「ベジータ」

 

 超サイヤ人2の状態で腕を組んでいるベジータは悟空の言葉を聞き「フン」と鼻をならす。

 

「なっ!? ベジータ……だと!?」

 

 ベビーがその新たに戦闘の場に現れたベジータを見てあり得ないものを見た顔を見せる。しかしベジータ自身はベビーを見てニヤリと笑って見せる。

 

「ようベビー。久しぶりだな。相変わらず自分の力ではなんも出来んのか? 悟飯の言う通り流石赤ん坊だな」

 

 その口から飛び出したのはベビーからみたら図星すぎる皮肉だった。

 

「黙れ! どのベジータかは知らんがもう一度寄生してやる!」

 

 ベビーは勢いよくベジータに迫ろうとしたがベジータ自身はもう興味がないと言わんばかりにオレンとカミンの方を向いた。

 ベビーは無視された形になり地団太踏んだ。

 

「カカロット、こいつは俺の連れだ。俺がやる」

 

 悟空はそれに一瞬驚いたようにベジータを見た。しかしベジータは既に光輝に寄生したオレンを見据えており何も質問を答える気はと背中で語っていた。

 だがその背中は……今の自分よりも強いと物語っていた。それに気が付いた悟空はふっと笑いベビーの方を向いた

 

「ああ、任せたぜベジータ」

 

 悟空はそう言って構えた。

 そしてベジータは自身のコートを放り投げた。それと同時に静かに気を溜めた。

 

「はあああああっ!!」

 

 そしてその気は徐々に荒れ辺りを吹き荒らす黄金の気へと変貌した。

 

「人がせっかく認めてやりかけたというのにそれを一瞬で裏切りやがって……」

 

 その黄金の気柱が天井知らずに高まりだす。ベジータの雄叫びが大猿のような叫びになる。

 悟空はそれを背中越しに感じながらはっとした後に嬉しそうな顔になる。

 

絶対に許さんぞ──ーッ!! 

 

 怒り全開の雄叫び放ちベジータは変身した。

 紅い体毛に茶色の髪、碧眼に。

 吹き荒れる気が天井知らずに飛びぬける。そして光が晴れた時、超サイヤ人4のベジータがそこにいた。

 

「何っ!? ベジータまで!?」

 

 ベビーが驚愕の声を出す。

 しかし悟空はベジータも超サイヤ人4になった事が嬉しく笑みを浮かべている。2人の超サイヤ人4は同時にそれぞれの相手へと駆け出した

 

「速い!?」

 

 オレンが瞬きした瞬間には既にベジータが目の前に現れていた。そして殺す勢いの拳がオレンに突き刺さる。躱す事も受け流すことも出来ずにオレンは血反吐を吐きながら吹き飛んだ。

 

「オレン!」

 

 カミンがオレンの心配した時にはカミンの目の前にもベジータが既に迫っていた。咄嗟にカミンは拳を振るうがベジータはあっさりと懐に入る事で躱し腹部に強烈な拳をのめり込ませた。

 

「ガハッ!」

 

 カミンの血がベジータにかかるがそれを気にせずグーにしていた手を広げた。

 そしてその開いた手から強力な気功波を放出した

 

「キャー!」

 

 カミンはその気功波を0距離で受けその余りの威力に受け身を取れることなくそのまま地面へと落ちた。ビクビクと震えて意識を失った

 

「姉さん!」

 

 その有様を見たオレンがベジータに突撃した。カミオレンの時以上のスピードで拳を振るったがベジータはそれを無言で受け止め逆にカウンターを食らわしオレンに大ダメージを与えた。

 苦渋の表情を浮かべ落ちかけたオレンの胸元をベジータは掴み自分の目の前に持ち上げた

 

「ぐっ……は」

 

 光輝と同じ顔でオレンは宙ぶらりんになる。ベジータがちらりと悟空の方を見るとやはり攻めあぐねたままだった。

 そして自身がベビーから逃れた時に事を思い出し目の前のオレンを見る。その態勢は光輝が初めて人を殺し落ち込んでいる時にベジータが彼にやっていた事だった

 

「なんてざまだ貴様」

 

 それはオレンに向けた言葉ではない。オレンに乗っ取られた光輝に対しての言葉だった。ベジータは怒りの顔全開で光輝に言った

 

「サイヤ人は戦闘民族だ! ただ己を高め、更なる強さを磨き続ける……それがサイヤ人!」

 

 ベジータはそう言いながら空いている手で光り輝く物体を出した。それは限られたサイヤ人しか出来ない……人工的にサイヤ人が大猿になるための1700万ゼノを星の酸素と気を混ぜ合わせることによって出来るパワーボールだった。但しその出力1700万ゼノ以上だ。

 それをベジータは空に放った。

 

弾けて混ざれ! 

 

 ベジータがそう言った時、パワーボールが弾け新生ツフル星にある酸素と合わさり弾けた。なぜこんなことをしたのか分からないオレンは生きも切れ切れにそのパワーボールを見る

 

 ──ドクン

 

 それを見たオレンは自分のそんな心臓音を確かに聞こえた。

 しかしベジータはそんなものを無視し光輝に向けて叫ぶ

 

「貴様もサイヤ人なら……そんな奴に乗っ取られる事は絶対に許さん!」

 

 この瞬間、ベジータは光輝がサイヤ人である事を認めた。この場にトランクスがいればきっと微笑んでいただろう。しかしそれを聞いているのは光輝に寄生したオレンだ。それがベジータを苛立たせる。

 パワーボールを見て心臓の音が早くなって自分の意識が無くなっていくオレンにはその言葉は届いていない。

 それでもベジータは光輝に向けて叫ぶ

 

貴様はいつまで眠ってやがる! 貴様にとって大事な奴らとの約束はそんなちっぽけだったものなのかあッ! 

 

 ベジータの怒りの声が新生ツフル星に轟いた

 

 

 

 ★

 

 

 

 ここは……どこだろう

 

 暗闇の中、光輝は自分の体が水の中……正確には海の中にある事に気が付いた。それでも何故こんな所にいるのか思い出せない。

 眼の焦点が全くあってなくそれは光輝の意識がそこにいない事を表していた。自分は動かしていないはずなのにどこかでは自分の体が動いていることだけは分かる。

 

 俺は……誰なんだろう? 

 

 何回も自分に問いかけた。それでも……何故か思い出せない。沈んでいく自分の手を海面に向けるが既に届かない。

 海から差し込む光が光輝を照らすがそれも次期に無くなって深い海の様に周りは暗闇に染まっていく

 

 はぁ……はぁ……ぐっ! 

 

 それを見た光輝は過呼吸を起こし苦しみもがきだす。まるで見えない何かに首を絞められたような感覚が光輝に走る。

 自分しかいない空間でそれを助けてくれる者はいない。徐々に光輝は苦しみに抵抗する事を諦めた。海であるはずのない血を連想させる真っ赤な空間へと変貌する

 

 俺は……もう

 

『人がせっかく認めてやりかけてというのにそれを一瞬で裏切りやがって』

 

 光輝の脳裏にそんな声が響いた。それを認めた瞬間、自分の脳裏に自分じゃない自分の視界が出て来た。

 

 ベジータ……さん

 

 ベジータが超サイヤ人4という圧倒的な力を持って自分を殴りつけてくるのが見えた。あっという間に自分を追い詰め何時ぞの態勢に持っていかれる

 

『サイヤ人は戦闘民族だ! ただ己を高め、更なる強さを磨き続ける……それがサイヤ人!』

 

 それがベジータの誇りでありサイヤ人の本質。ベジータはパワーボールを作りそれを空に放った。それを脳裏で見ているだけの光輝の心臓がドクンドクンと高鳴るのを光輝は他人事の様に感じた。

 それでも……

 

『貴様はいつまで眠ってやがる! 貴様にとって大事な奴らとの約束はそんなちっぽけだったものなのかあッ!』

 

 やく……そく

 生きて帰るって約束

 

 笠木との戦いでの約束が一つ

 

 ──親友達の結婚式……

 

 スーツまで買ったのに現状じゃ行けない、それでも光輝は約束を破りたくなかった

 

 ──自分の生還を泣いて喜んでくれた皆

 

 SAOで一人第三クォーターボスに挑んだとき、ヒースクリフとの戦いが終わり皆とオフ会と会った時、そして自分の世界へ帰った時の皆。一人だと思ってた自分に愛情を注いでくれた姉

 

 ──愛してるよ……光輝

 

 そんな声が光輝の脳裏に聞こえた。自分以上に大事な人の声、彼女の為なら何度でも限界を超えられる。それはあの最初の笠木との戦いから変わらない自分の思いだ。

 光輝の眼に光が戻って来る

 

 俺は……俺の名前は

 

 光輝の脳裏にあるシーンが浮かんだ

 

『俺の名前は西沢光輝! アインクラッド最強の戦士、心してかかってこい!』

 

 沈んでいく自分の背中に誰かが手を付けた。光輝には見ることが出来ないが不思議と誰の手なのか分かった

 その人は紅い髪で自分の実姉にそっくりで光輝の姉

 

 また一人光輝の背中に手が触れられた

 彼の二つ名の元である黒いコート着込みその背中に二刀を背負っている光輝の初めての親友

 

 一人……また一人と光輝の背中に触れられていく。その誰もが光輝にとって大切な人達で……自分を引き取って家族にしてくれた人たちも、なんだかんだ付き合いがあった警部も、先生も……そしてあの世界で出会った攻略組の面々も、違うゲームで出会った仲間達も……そして光輝の背中の真ん中に触れた蒼髪の少女も背中に触れた

 

 光輝君

 

 一人が名前を呼ぶ

 

 光輝

 

 また一人呼ぶ。呼ばれる度に光輝の焦点が戻っていく

 背中に触れた一人一人が彼の名を呼ぶ。それが光輝には温かく嬉しくて胸のとっかえが無くなっていく。不快だった過呼吸もいつの間にか収まって意識が戻っていく

 そして最後に彼女の声が聞こえた

 

 待ってるよ……光輝

 

 その言葉と共に背中に触れた手が光輝を海面に向けて押し出し始める。その勢いは止まる事を知らず海面を出る直前、全員の声が聞こえた

 

行ってこい、光輝(君)!! 

 

 その声を背中に受けた光輝はもうその海に戻る事は無かった

 

 

 

 ★

 

 ベジータがパワーボールを出したことで悟空の方でひと悶着あるがベジータの方は決着の時が来ていた

 

「……れは

 

「む?」

 

 呟かれた言葉にベジータは訝し気な顔になったが直ぐに胸倉を離し距離を取った。それが正解で彼から……光輝の声が出てくる。いや、それは声と呼ぶには正しくなかった。それは

 

「俺は……西沢光輝だぁ──ーッ!! 

 

 雄叫びだった。

 光輝の声が轟いた瞬間、光輝の肉体から金色の光が溢れ出した。その光は光輝をあっさりと包み込み直ぐに光輝が見えなくなった。

 しかし外から見ていたら直ぐに光輝の肉体が巨大化しているのは一目瞭然だった。光と共にその肉体は巨大化していく。

 それを見たベジータはニヤリと笑う

 

「そうだ……それでこそがサイヤ人だ!」

 

 光の気柱から大猿の雄叫びと共に彼の声が響き渡る

 

「俺は……俺だ。誰にも渡さねえぞ!!」

 

 その雄叫びと共に光の中の影が縮んでいく、しかし気は減るどころか逆に爆発的に上昇を始める。その嵐に耐え切れなくなったのか一つのゲル状の影が光から逃げてくる。

 その影は一定距離を離れた時、人の形へと戻り光輝に寄生出来なくなったオレンがそこにはいた。しかしベジータはオレンに興味は無く腕を組み光輝を見る。

 

「な……なんだよこいつ!」

 

 いつの間にか復活していたカミンが息も切れ切れにオレンの隣に現れる。

 三人の視線の先ではとうとう光の縮小が収まった。

 彼は光の殻を破った。

 そこには紅赤の体毛が上半身にあり、超サイヤ人3程ではないが髪も真っ黒でボリュームが増えその瞳は金色になった光輝がいた

 

「フン、ようやくお目覚めか」

 

 ベジータがそう渋々告げた。それに光輝は申し訳なさそうに、そして今までよりも低い声で言った

 

「すいません、お手を煩わせて」

 

 超サイヤ人4へと覚醒した光輝がそこにはいた。

 光輝はベジータに謝った後、双子の方に向いた。その眼光は今までの光輝の比ではなく全てを射貫くような鋭い眼光になっていた。

 

「よくも俺を乗っ取ってくれたな……覚悟はいいな?」

 

 謝罪は受け入れないとばかりに光輝は今までとは別次元のスピードを持って2人の人口生命体に突貫した

 

 

 

 




お疲れ様でした。

光輝、ようやく覚醒。大猿で理性を保つ所は深層世界的な所で済ました。
海のシーンは光輝の深層心理をイメージ。元になったやつは多分分かる人は分かる。

因みに光輝が超サイヤ人4になってもまだGTの悟空の超サイヤ人4程強くないです。基本戦闘力が悟空の方が高いから。

何となく気になったからアンケートしてみる。

次回、光輝の怒りがツフル組に炸裂。この話から光輝の強化ラッシュが始まる
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