Warrior beyond despair   作:レオ2

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鳥山明先生のご冥福をお祈りいたします。




受け継がれる誇りと力

 精神と時の部屋から出た瞬間にこの気の感知が難しくなっているはずの世界でも分かる位の馬鹿みたいな気がほぼほぼ一か所に集まっているのを感じ,俺はデンデに精神と時の部屋にいる間に起きたことを簡潔に教えてもらう事にした。

 デンデは俺の期待に応えるように理路整然とあの後どうなったのかを教えてくれた。

 

「ど,ドラゴンボールが敵になったんちゅうか」

「別の世界ではそんな敵がいたのか……」

 

 その中でも悟空さんとベジータさんの耳が引いたのは邪悪龍……一星龍だった。俺も昔タイムパトロールの方の悟空さんにその強さを聴いたことがあって,噂の存在がこの世界にもシーラスの敵勢力として,洗脳の影響を受けず自分の力を増大させている事には驚きを禁じ得なかった。

 だけど,その悟空さんとあのジレンがタッグを組んで戦っているのなら簡単に負けるはずが無い。他の邪悪な戦士もまだ力を隠しているトッポやディスポにピッコロさん,そしていつの間にか合流しているヒットと色んな宇宙の最強クラスの戦士達が相手しているからまだ大丈夫だ。なら俺が一番に心配すべきなのは……

 

「……ここにいても伝わる位馬鹿でかい気,こいつはブロリーだな。それに今の悟飯さんと悟天さんじゃ危ない」

 

 悟飯さんは一星龍にやられた後で満身創痍だし,悟天さんの地力はその悟飯さんにはまだ及ばない。今もしあの2人がフュージョンしたとしてもあのブロリーに勝てない。

 それでも2人は……いや,今この瞬間に戦ってくれている人達は俺の世界を守るために戦ってくれている。なら,その世界を守るべき俺がこんな所にいる訳には行かない

 立ち上がろうとした俺の肩を叩いてきたのは悟空さんだった。

 

「光輝,おめえは先ず自分の決着をつけて来い」

 

 その言葉の意味がカンバーとの決着の意味と捉えるのに少しの時間がかかり

 

「え……いやでもこの状況なら一人でも戦力はいた方が良いんじゃ……」

「ああ。だけんど,これからまたカンバーと戦える機会があるかはわかんねえ。だったら今しかねえだろ」

 

 ……悟空さんが言うように,今からここから戦場に向かうともうカンバーと戦える機会はないかもしれない。元々この滅茶苦茶な世界で歴史の改変も何も気にせず戦える。

 もしまたカンバーに会う事になったとしてもそれは俺と会ったカンバーじゃない。そしてそのカンバーを,ブラックを……これから現れる全ての敵に勝つために身に着けた俺の力で倒す機会はきっとこれが最後になる。

 この決断のせいで……俺の世界が滅茶苦茶になってしまう瀬戸際になってしまうかもしれない。それでも……俺は……

 

「……分かりました。悟空さん,ベジータさん……1年間ありがとうございました!」

 

 全部の次元が元に戻ればこの悟空さん達ともお別れになる。だから内心,これで最後になるかもしれないと思ってそんな事を言ってしまったが2人は気にするなと首を振りグッドポーズで送り出してくれた。

 もう一度一星龍とブロリー……他の様々な歴代の敵達の気を感じ取りながら俺は神様の神殿から下界を見下ろした。

 

「よし……行くか!」

 

 その中でも既にハーツとカンバーの気を見つけて,俺は飛び立った。

 

「光輝さん……凄く頼もしくなりましたね」

 

 そんな光輝が飛び立った場所を見ていたデンデがそう呟く。それに道着を直してもらった悟空とバトルジャケットを直してもらったベジータがそれぞれ応える。

 

「ああ。あいつは本当に強くなった。オラ達2人と最後には互角にやりあえるんだぜ?」

「互角ではない! ……が,奴が強いのは当然だ。俺達の”誇り”と”力”を受け継いだサイヤ人なのだからな」

 

 心底思っているように,1人の旅立った戦士を称賛する。

 精神と時の部屋では,それも熾烈・激烈・爆裂のような3人ともそれぞれが全快全力で何度もぶつかり合い,その度に光輝は強さを追い付けさせていく。

 追いつかれた2人はもう一度突き放すがそれに光輝は血反吐を吐こうとも食らいつき最後には悟空が言うように互角にまで実力を上げて来た。その光輝の決着を見届けたい気持ちがあるのは事実だが,悟空達も暢気に構えていられない。

 

「じゃあ,オラ達も行くか……ベジータ!」

「ああ……!」

 

 そう言って悟空とベジータは,ブロリーと既に激突して急激に気が減っている悟飯と悟天の元に飛び立った

 

 

 ★

 

 

 俺が初めてカンバー達と戦ったところまで飛びながら軽く情報を頭で纏めている。奴らがエネルギーを溜めていたのは自分達のパワーアップとあの宇宙樹を育てる為っていうのは大方予想通りだったが,まさか他の連中のパワーアップの為もあったのも流石に予想外だった。

 そしてあいつらが俺の事を頑なに消そうとしていた理由が氷解したのは俺の中で大きな収穫だった。

 

「奴らのふざけた計画は絶対に止めるが,その前に俺も自分の決着をつけないとな」

 

 ジェネシス計画……どこの中二病だよ,ていうか絶対ネーム付けたの笠木だろって位クソダサい。

 だけどそれは置いといて,奴らは俺が元居た世界を苗所にする為……そしてそれを妨害する為に現れる事が出来る唯一の人間である俺を排除しようとしていた。

 だからタイムパトロールは邪魔だったが殺そうとしてきたわけじゃなく,俺だけを殺せれば計画はほぼほぼ達成してしまう。逆に言えば俺がいる限り奴らの計画を阻止できる可能性がまだある訳だ。

 

「宇宙樹の存在が薄くなってきている。デンデの言うように……もう俺の世界へ転送され始めたのか」

 

 今空を見上げると,もう既に宇宙樹の根はまるで移動するかのように薄身を帯び始めていてこのままでは完全に俺の世界へ行ってしまう。そうすれば俺の世界の地球なんてあっという間に死の星へ変えられてしまう。

 俺の地球だけじゃない,他の惑星も全て……そして,そこから俺が今まで守って来た世界の全てが破滅する。

 

「時間がない……カンバー,悪いがお前に時間はかけられないぞ!」

 

 そう言って俺は更にスピードをあげ,何故か時間よりも早くその場にいるカンバーと付き添いであろうハーツの元へと降り立った。奴らはおれが早いのを意外に思わなかったようで,カンバーに関しては忌々し気に俺を見てきていた。

 

「下郎が……ようやく来たか」

「ようやくって……ちゃんと約束よりも1日前だろ。お前らの方こそ約束よりも早いことに驚いたが」

「君も既に気が付いているのだろう? この世界の異変を,だから早めに待つことにしたんだよ」

「……そうか」

 

 おれはそう答えてハーツに分かるように心で軽い状況説明を行った。

 

「宇宙樹を……そう言う事か」

「理解が早くて助かるよ。俺も本当は悟空さん達の援護に行きたい所だけど……」

 

 そう言って既に臨戦態勢を取っているカンバーを見据える光輝,以前のようなヒリヒリとしたプレッシャーを感じないのはただ自暴自棄になったからか……それとも……

 光輝がカンバーの方に向き直り,キッと細めた眼がカンバーを射貫き彼は大きく眼を見開いた

 

「カンバー,先ずはお前との決着をつけさせてもらう!!」

「——ッ?!」

 

 ただそれだけ……それだけを言う事で光輝は変身した。眩い蒼炎が光輝の身に纏い,やがて晴れると超サイヤ人ブルーに変身したのだ。

 

「超サイヤ人ブルー……,しかしこれは……」

「ああ……まだ終わりじゃねえ!!」

 

 不敵な笑みを浮かべた光輝はまだ蒼炎を吹き上がらせ,最中に蒼の粒子がキラキラと眩く光り始めた。そしてそれに伴って光輝の肉体も一回り肥大化し,髪も更に濃い青色に変わった。

 

「はああああ!!」

 

 この1年の修業の成果……その一部を受け継いだ,光輝の新たな力。

 ベジータが変身して見せた超サイヤ人ブルーの進化した姿へ変身をしていた。

 

「その変身は……ベジータがしていた変身だね」

「ああ。悟空さんが選んだ界王拳の強化,ベジータさんの純粋な進化……どっちも理にかなっていてどちらを俺の道にするのか……俺には決められなかった。だけど,決められなかったのならどちらも取ればいい!!」

 

 そうしてその煌めく蒼のオーラを内包するように,赤いオーラが更に纏い始めた。

 

「界王拳!!」

 

 光輝のアインクラッドの二つ名の由来……蒼と赤,二つの気を纏った姿。まさに”蒼赤の戦士”を素で体現していた。

 

「カンバー!」

 

 光輝は超サイヤ人ブルー特有の落ち着きと,気のコントロールを完璧にしながらカンバーに言った。カンバーはそんな光輝を猛獣のような赤い眼で睨む。

 

「本物のサイヤ人のお前に言わせば俺はサイヤ人の”贋作”だ! お前の言う誇りも,力も俺が本来持っていたものじゃない,だけど!」

 

 蒼と赤のオーラが更に燃え上がり,彼の意思に同調するように嵐が吹き上がる。

 

「俺の誇りも,力も……俺にサイヤ人としての生き様を教えてくれた人達から受け継いだ魂だ!」

「そのような魂など俺の足元にも及ばんわ!!」

 

 カンバーのプライドがカンバーの力を呼び起こすように超サイヤ人3に変身した。ただし,その身に纏う気は超サイヤ人特有の黄金のオーラじゃなく,邪悪な黒の気,触れてしまえば心を破壊する真っ黒な気。

 だけどある意味で純粋の力……前は”悪”のその気に嫌悪感を示していたかもしれないけれど……不思議と今はあれも”力”の1つなのだと思えるようになっていた。

 

「及ぶかどうか,試してみるがいい!! 俺の名は西沢光輝,アインクラッド攻略組の”蒼赤の戦士”,心してかかってこい!!」

 

「ほざけえええッ!!」

 

 猛き雄叫びをあげながらサイヤ人の贋作と,狂戦士サイヤ人が激突した! 

 

 

 ★

 

 

 また,違う場所では世界を揺るがすほどの巨大な気の戦士……光輝が倒したのとは別の個体のブロリーがタイムパトローラーである悟空の気を感じ取り狂ったようにばく進していた。

 そんなブロリーの前に現れたのはその孫悟空の息子たち

 

「カカロットォォ!!!」

 

 既に伝説の超サイヤ人……そして,超サイヤ人3へ変身しているブロリーの剛腕を,悟飯と悟天は2人係で抑えようとする。だが,2人のパワーではブロリーに弾き飛ばされないようにするのが精いっぱいであり,悟飯に関しては元から満身創痍なのも相まって既に絶体絶命なピンチを迎えていた。

 

「グうううっ!! なんてパワーだ……ッ!」

「ザコが……消え失せろッ!!」

 

 そんな兄弟を鬱陶しく薙ぎ払い,ブロリーは悟飯の顔面に強烈なパンチを食らわせる

 

「グあぁッ!!」

「兄ちゃん! クソ!!」

 

 地面へと落ちていった兄の仇を撃つために悟天は超高速の打撃を与えるが,ブロリーはその身体を一歩も動かさずに醜悪な笑みを浮かべていた。

 

「なっ?!」

「この程度か?」

 

 この悟天の戦闘力は老界王神の潜在能力を解放する儀式を受け,魔人ブウがデブの魔人ブウを吸収した時の魔人ブウよりは戦闘力をあげている。

 ナルト達の世界で光輝が戦ったブロリーならば悟天も勝つことが出来た。しかし,このブロリーは……

 

「死ねッ!!」

「うわあああ!!」

 

 ブロリーの一喝と共に食らわされた剛拳が悟天の脳天にぶち当たり悟飯の所へと叩き落されてしまった。既に2人とも血まみれで,瀕死の状態だ。

 

「あのブロリー……一体いつの……」

 

 悟飯がこちらを見下ろしているブロリーに呟く。あのブロリーの強さは尋常じゃない,初めて会ったころのブロリーなら超サイヤ人4に変身出来る悟飯がいれば,いくら満身創痍でも倒せたと思う。

 だがこのブロリーは既に魔人ブウの力を越え,否……もしかしたら一星龍にも匹敵するかもしれない。それでもまだ超サイヤ人4に変身していないだけマシなのかもしれない。

 

「ザコが,纏めて葬ってやる!!」

 

 だが,今はそんな事を考えている場合なんかじゃない。まだ悟空達は一星龍,そしてトッポやピッコロ達も自分達の敵とそれぞれ戦っている。

 今ここでブロリーに敗北すれば大混戦で滅茶苦茶になってしまう。そうなれば光輝の世界を救えるものが誰一人としていなくなってしまう。それだけは何としても避けなければならない。例え身体がズタボロになろうが,今ここで立ち上がらなければならないのだ。

 

「死ねッ!!」

 

 だが無情にも,ブロリーはエネルギー弾を悟飯と悟天の元に発射した。悟飯は後ろで気絶してしまっている悟天を一度見た後,捨て身の攻撃であれを相殺しようと考えた。

 つまりは……死ぬ気だ。

 

 

(父さん,ベジータさん,トランクス,悟天にお爺ちゃん,光輝君……後は頼む!)

 

 

 そう考え,ブロリーの攻撃を相殺する為に動こうとした瞬間……目の前に唐突に現れた2人がその巨大な気の塊を同時に放ったエネルギー弾によって軌道が悟飯と悟天から逸れ,悟飯が気が付いた瞬間その逸れたエネルギー弾による大爆発の衝撃が悟飯に襲って来た。

 

「なっ……何だ?!」

 

 衝撃波を腕でガードしながら,その腕の間から現れた2人を見ると……ハッと眼を見開いた。

 懐かしい亀仙流道着に,これまた懐かしい青のタイツにバトルジャケットを着ている2人の最強サイヤ人。もちろん,悟飯もこの世界に来た時には別の時代の悟空達を見かけたこともあるが,この2人はそのどれもと時代が違い,また戦闘力も桁が違っていた。

 

「とう……さん,それに,ベジータさん」

 

 悟飯が呼ぶと,二人は同時に振り返り悟空が微笑んでいた。

 

「よくやったな悟飯,ここまでよく持ちこたえてくれた」

「ふんっ……お前がそこまでやられるとは,相当な化け物のようだな」

 

 そう言ってベジータは上空でいきなり現れた悟空とベジータを見下ろし悪魔のような笑みを浮かべていた。しかし,悟飯は張り詰めていた緊張の糸がとれてしまったのか膝を付いた。

 

「悟飯,おめえは悟天を連れて遠くに離れてくれ」

「は,はい! 父さん,ベジータさん,お願いします!!」

 

 しかし満身創痍でもまだ体は動くので悟天を抱え,その場を離れた。それを見送った悟空は上空に佇んでいるブロリーへと眼を向ける。

 

「カカロット……カカロットォ──ッ!!」

 

 臨戦態勢のブロリーを見据え,その気が未だに膨れ上がっているのを感じ取った2人は冷や汗を流しながら会話した。

 

「カカロット,仙豆を持ってきているか」

「悪いけんどねえ」

「チっ……遊んでる場合じゃないな」

 

 そもそも仙豆を持っていたら悟飯に食べさせて戦線復帰させている。ベジータもその事に気が付き舌打ちした後ブロリーを見据える。今の彼をしても,無限に気を高め始めているブロリーを脅威だと考えているのだ。

 普段は1対1に拘る彼らだが,今はそんな事に拘っている場合じゃない。

 何故ならこの戦いには光輝が産まれた世界の存亡がかかっている。今ここで一つの戦場で敗北してしまったら待っているのは全ての破壊。

 

「行くぞベジータ!」

「ふんッ!」

 

 叫んだ2人が同時に変身したのは超サイヤ人ゴッド,光輝も変身したサイヤ人の神の変身だ。2人の髪が紅く染まり燃え上がる闘志がブロリーを見据える。

 

「カカロットォ!!」

 

 駆け出したのは同時,ブロリーが超サイヤ人3特有の稲妻を纏いながら2人に向けて飛び出すとそれを迎え撃ったのはブロリーの一番の狙いでもある悟空。

 

「はああああ!!」

 

 ブロリーが大きく振るった剛拳に合わせるように自分の拳をブロリーにぶつけ,それによって宙で衝撃波が広がる。ブロリーに合わせた一撃だが,お互いに力は互角。どれだけ押し合いをしようとも動かない事に悟空は舌打ちをし,その拳を逆に退くことでブロリーの重心が乱れ,前のめりに倒れる。

 それでもブロリーは強引に悟空に殴りかかろうとするが,悟空はそれを身体を捻りながら避け,その殴って来た腕を取った

 

「おりゃああ!!」

 

 それを背負い投げで地面へと投げた。

 

「クっ!!」

 

 投げ飛ばされたブロリーはキッと悟空を睨みつけ,地面を逆に蹴って再び悟空に迫る。そうして迫っていた悟空はニッと笑みを浮かべた後,瞬間移動で姿を消した。

 それに眼を見開いたブロリーが見たのは巨大な光弾を作っていたベジータの姿

 

「喰らえ!!」

 

 ベジータのビックバンアタックは急スピードで向かっていたブロリーを飲み込み,大爆発を起こした。

 それを離れた場所で見ていた悟飯は呟いた

 

「凄い……あのブロリーを相手に全く負けていない」

 

 サイヤ人の神……その名に相応しい戦闘力が着実にブロリーを追い込み始めていた。ビックバンアタックの大爆発から抜け出してきたブロリーをベジータは強力な気弾を放ち牽制する。

 ブロリーはそれを自らの頑丈な肉体で強行突破するが,ベジータはそれを把握していたかのように一発更に強力な気功波を放ちブロリーを押しとどめた。

 

「ぬうううう!!」

 

 憤怒を浮かべベジータを見ていると,ブロリーの真正面から悟空が現れた。

 

「カカロット!」

 

 ブロリーはその脳天に一撃振り下ろすも,悟空はそれを腕を頭の上に置くことで完璧にブロッキングし逆にそれを振り払う事でブロリーの胴体を晒す事に成功した。

 その隙を見逃すはずなく,その頑強な肉体へ練り込むような一撃が突き刺さった

 

「グうううっ?!」

 

 今のブロリーからしても重い一撃にとうとう動きが止まった。そこが好機と言うように悟空は更に連撃を加える。一撃一撃が超サイヤ人3とは比べ物にならない程のパワーを持っており,普通の攻撃ならダメージを及ばないブロリーを相手にも着実にダメージを与える事が出来ている。

 しかし,悟空は同時に違和感も持っていた。

 

(なんだこいつ……まだ何か)

 

 それは,このままではブロリーが弱すぎると言う事だ。

 確かに今のブロリーは超サイヤ人3になっていたり,元からのポテンシャルも合わさり満身創痍の悟飯や,悪の魔人ブウに勝てる程度の悟天なら敵わないだろう。

 だけど最初は今もう1人の自分が戦っている一星龍に匹敵するほどのパワーを感じていたのに,これではまるで……

 

「カカロット」

「——ッ?!」

 

 低い声で呟かれた瞬間,悟空は悪寒を感じ連撃を辞めて一歩下がろうとしたが,その前に悟空の身体をブロリーはがっちりと拘束した

 

「なっ?!」

「カカロット!!」

 

 ベジータが援護するようにブロリーへ蹴りを入れるが,先程まではダメージを受けていた筈なのに今度はその蹴りを全くのノーガードで受けていた。

 

「何だとッ?!」

「邪魔だ!!」

 

 そのままベジータに顔を向け,両手は悟空を拘束しているからエネルギー弾なんて撃てない……とそんなはずが無く攻撃を終え隙を晒してしまったベジータに口からエネルギー波を放った。

 

「ぐぁあああ!!」

「ベジータ! うわあっ?!」

 

 ブロリーによって吹き飛ばされたベジータを心配した悟空だが,次の瞬間に襲ってきたのはブロリーの強烈な頭突きだった。頭蓋を砕くような一撃に悟空ですら一瞬白目をむいた。

 しかしブロリーの攻撃はまだ終わりでなく,その後何度も頭突きを食らわした後悟空を宙に放り投げエネルギー波を食らわせた。

 

「フフフ……フハハハハハ!! カカロット……カカロットォ──ッ!!」

 

 歓喜するように叫んだブロリーの周囲に稲妻が迸り,莫大な気が身を包み始めた。悟空とベジータはそれを堕とされた地上から見上げる。

 

「奴め,出鱈目に気が上がってく!」

「ああ,オラ達がちんたらやってるとやべえぞ!」

 

 そう考えた2人は地上からそれぞれエネルギー波をブロリーに放つが,ブロリーの周りにバリアが現れ2人の攻撃を完全に無効化する。それだけならばまだしも,先程から高まっていた気が更に急上昇を始めそこらの有象無象では感じ取ることが出来ない程の馬鹿でかい気になっていく。

 

「お,おいカカロット!」

 

 そのブロリーの姿も,二人が見覚えのある姿へと変身していく。

 上半身は赤い体毛に覆われ,更に筋肉は肥大化して尻尾まで紅くなる。

 

「もう1人のオラが変身してた超サイヤ人か……」

 

 その暴力的までな金の気は,徐々に空からまとわりついて来た黒の気を一緒に纏い始めブロリーの戦闘力が天井知らずに高まっていく。

 超サイヤ人4,そしてシーラスの影響を受け更に邪悪なパワーアップを果たしたブロリーは,邪悪な笑みを浮かべたまま手を悟空へ向けると……

 

「——ッ?!」

「カカロット!」

 

 そこから放たれたエネルギー波を悟空は見切る事が出来ずにまともに巻き込まれて吹き飛んで行ってしまった。その悟空へ声をあげたベジータだが,次に前を向いて瞬間頭を鷲掴みされた

 

「グぅ?! この化け物め!!」

 

 ゴッドの気を吹き上がらせ,強烈な蹴りをブロリーに放ったが,その蹴りを受けたブロリーはケロッとしていた

 

「なんなんだ今のは?」

「ぐあああああっ!!」

 

 代わりにとばかりにベジータの頭を掴んでいた力を強めベジータは絶叫を上げる。ゴッドの気が露散し,余りの痛みにベジータの変身が解けてしまった。

 そんなベジータを助けるためにブロリーの側面に現れた悟空は,その頬へ強烈無比な一撃を加えるが

 

「なっ?!」

 

 二ィと口元を笑みに浮かべたままブロリーは全くのノーダメージ,そして次の瞬間鷲掴みにしていたベジータを悟空の元へと投げつけ2人は体勢を崩した。

 

「死ねえっ!!」

 

 そんなあからさまな隙を見逃すブロリーではなく,エネルギー波を2人めがけて放ち悟空とベジータの姿はそのエネルギー波に飲み込まれていった。

 

 

 ★

 

 

 カンバーと,光輝が激突している荒野でハーツは冷静に状況を分析していた。

 空でぶつかる闇と蒼赤……凄まじいパワーの激突に大地が揺れている。

 

「素晴らしいパワーだ。あの精神と時の部屋という所でこれほどのパワーアップを果たすとは」

 

 そう呟いたハーツに答えるように,空で消えては現れの激突を繰り返していたカンバーが大きく体勢を崩しながら現れた

 

「ぬぅぅ?!」

「はっ!!」

 

 光輝は最初の激突以降,界王拳を使うの攻撃する瞬間だけに留めた。瞬間的に上がるスピードとパワーにカンバーが対応できなくなってきていた。

 今も一瞬パワーを上げた光輝の打撃にカンバーの打撃が押し負け,体勢を大きく崩す事に成功した。その隙を見逃さず光輝はカンバーの腹部へ強烈なエルボーを食らわせカンバーはなすすべもなく地上へと落ちて行った。

 

「き,貴様……!! 何故これ程のパワーアップを……何故偽物である貴様に押される!!」

 

 上手く着地したカンバーだが,信じられないとばかりに目の前に降り立った超サイヤ人ブルーを進化した姿を見せている光輝へ叫ぶ。それを光輝は進化した姿から,ただの超サイヤ人ブルーに戻りながら答えた。

 

「本物であるお前に言わせれば確かに俺は偽物だろうよ。だが偽物が本物に勝らないと誰が決めた」

 

 光輝は言いながらバリアーの代わりに千鳥を身体に纏わせる。

 

「たわけ!! 邪悪を失ったサイヤ人の貴様など取るに足らん存在だ!!」

 

 それを自分が証明する,そう叫ぶように赤黒い気が爆発的に高まり始めカンバーの上半身の服や拘束具が消し飛び,上裸になった。その爆発的に高まった気をひしひしと感じながらも光輝は眼を細めただけだった。

 

「この俺こそが本物の戦闘民族サイヤ人だ!!」

 

 カンバーの言う邪悪さ,それこそがサイヤ人の本質とそれを表すように周囲を赤黒い気で染めていく。それを見た光輝は小さくため息をついた後再び向き直った。

 

「邪悪さこそがサイヤ人の本質だと? 違うな」

「ぬぅ!」

 

 カンバーの言葉を吐き捨てた光輝は,超サイヤ人ブルーの気を纏いながら心を穏やかに,そして気を荒々しく高めながら続けた。

 

「サイヤ人の本質とは戦い続ける事だ! ただ己の信じた信念を,誇りをかけて戦い続ける事だ!!」

「この気は……まさか?!」

 

 ハーツが信じられないとばかりに呟くが,そんなハーツに答えるように光輝の周りには先程までの進化した超サイヤ人ブルーや,界王拳ともまた別種の気が溢れ出していた。

 それは真っ黒でありながらも,その中には温かみが……西沢光輝という人間性を表すかのような光が迸っていた。

 

「貴様の言う”本物”など,それこそ取るに足らん!! 俺は,俺の信じる力で……貴様をぶっ倒す!!」

 

 そう叫んだ光輝から放たれた蒼の光は,カンバーが包んでいた世界を一瞬で露散させ……次にカンバーとハーツが眼を開けた時には先程までの超サイヤ人ブルーを進化させた姿とはまた違う,新しい超サイヤ人ブルーに変身していた光輝の姿があった。

 

「カンバーの気を……暴走させる事なく我が物にしたというのか?!」

 

 カンバーの悪の気,それを媒介にパワーアップを遂げた光輝の姿。普通のカンバーの悪の気を受けたものは心が破壊され暴走してしまう。

 光輝も一度暴走した……が,その強固の意志の力で一度は取り込んで見せた光輝が出来ない道理はなかった。それに,光輝に言わせれば……

 

「ベジータさんに出来て,弟子である俺に出来ない道理はない!!」

 

 この変身をしてみせた,精神と時の部屋でのベジータの姿を浮かべ……遠くで今の自分に近い気を発している本人の気を感じ取り思わず笑みがこぼれる。

 光輝がカンバーと共に戦っている中,ブロリーによって吹き飛ばされた2人の爆心地では一気に煙が晴れ立っていたのは,光輝のようにカンバーの悪の気を完全制御し膨大な力を纏っているベジータ,そして……

 

「カカロ…ット?」

 

 その存在を見たブロリーが,本当に本人なのかと一瞬本能的に思ってしまうほどの静けさを纏った銀の煌めき……地上からブロリーを見据える山吹色の道着の戦士。

 彼の瞳が銀色に染まった時,ぶわっと気が溢れ出し白銀の気が悟空の髪へ入って銀髪に変色した。

 カンバーとブロリー,2人の最凶のサイヤ人を前に新たな姿を見せた3人のサイヤ人は同時に目の前の相手へと肉薄した!! 

 

 




お疲れさまでした!

光輝VSカンバー,悟空・ベジータVSブロリーです。
タイトルの受け継いだ誇りと力とは,超サイヤ人ブルー進化(誇り),そしてそれに界王拳(力)を重ね合わせるというハチャメチャパワーアップでございます。
おまけにそれだけに飽き足らず暴走制御も披露でございます。なんだこのハイブリッド戦士()。

しかし,これで光輝はようやくと言っても可笑しな話ですがゼノ戦士達と肩を並べて戦えるまでに進化しました。
本作品の設定では倍率にもよりますが,超サイヤ人ブルー(進化・界王拳)≧超サイヤ人ブルー(暴走制御)。ただし,体力消費は進化・界王拳の方がずっと激しい設定です。でも,光輝やろうと思えばこれにリコレクションブレイブまで足せるんですよね…。

次回でカンバー,ブロリー戦は終幕です!


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