という訳で2話目でございます。
今回時系列がややこしいですが,ブラックが愛美のいる所に来る前のお話です。
魔人ブウを蹴散らした光輝は,ゲートの直ぐ近くで激突している悟空とジレンの元までやって来た。
戦士達は既に各地で防衛戦を繰り広げていた。
「……! 悟空さん!」
煙の中から悟空が勢いよく吹き飛ばされ,それに追随するように一星龍も飛び出た。
「喰らえ悟空!!」
「——!」
一星龍の強烈なエネルギー弾が悟空を襲う。悟空はその余りのスピードにガードしようと腕を交差したが,彼の目の前に割り込んだ光輝が超サイヤ人4に変身しながら弾き飛ばした。
彼の姿を見た一星龍は追っていたのを止めその姿を見据える。
「光輝,帰って来たんか」
「はい,お待たせしました」
悟空と光輝の隣に既に上裸へ変わり果てていたジレンが並び立ち,一星龍から眼をそらさずに光輝の戦闘力を測ると……自分の想像も超えていたのかつい笑みを浮かべていた。
「すげえぜ光輝,たった1年でそこまで力上げてくるなんてよ」
光輝の姿は以前と同じ超サイヤ人4,しかし悟空とベジータとの修業によって基本戦闘力が大幅に上昇し以前までの超サイヤ人4とは比べ物にならない程のパワーアップを遂げていた。
師匠からの最上級の賛美に口元が緩むのは仕方がなかった。
しかし
「ふっ……猿が何匹増えようと俺の敵ではないわ!」
彼らの前に現れた凶悪化を受けながらもその力を我が物としてふるまう最強の邪悪龍。事実,悟空とジレンというこの世界最強クラスの戦士達を相手とっても未だに傷すらもつけられていない。
そこに悟空やジレンと同等だという光輝が加わった所で,一星龍から見たら何も変わらない。
「お前が……邪悪龍,一星龍か」
だが光輝は一星龍の言葉には答えず,化け物の姿を目に収める。巨大な体躯に,この悟空とジレンをもってしても押し切れない程の力の持ち主。
カンバーと戦った後で体力も少なからず持って行かれてしまった後だけど,ここで他の戦場で戦っている戦士達が勝利を収めるまでは戦えるはずだと思いながら気を纏う。
この悟空さんとジレンでも傷1つつけられていない。パワーとスピードが超サイヤ人ブルーよりも上の超サイヤ人4でも傷つけられていないのなら尚更ここで超サイヤ人ブルーにする訳には行かない。
それに,さっきあいつが放った気功波の威力も……まだ手がヒリヒリするくらいには威力があった。間違いなく,今この世界でも5本の指の力を持つ化け物だ。
だけど……
「そうかな? やってみなくちゃ分かんねえ!」
叫び,気を解放した光輝は一星龍へ接近した。その巨体の腹部へ強烈無比な一撃が突き刺されようとした時,一星龍はその攻撃に簡単に反応し拳をぶつけ合い2人の間に衝撃波が広がる。
そして光輝はぶつけ合った瞬間に歯を食いしばる
「ふはは! どうした,大口をたたいてその程度か?」
「舐めんな!」
触発された光輝はぶつけていた右手を引くと距離を取りながら蹴りを放つ。しかし,ドゴンと鳴り響いた光輝の足蹴りを一星龍は首で受け止めながらニヤリと笑っていた。
(効いてねえ!!)
そう悟った瞬間には肉体に一星龍の巨大な拳が突き刺さっていて肺に溜まっていた空気が一気に押し出され苦悶の表情を浮かべた。
「がはっ?!」
吹き飛ばされた光輝は,その強烈な痛みを抑えながら上空から剣の嵐を一星龍に放つ。一星龍はそれを気合いのみで吹き飛ばし不敵な笑みを浮かべる。
(飛雷神の術!)
だがそんなのは織り込み済み。
そもそもこの戦いのレベルになるとサウザンドレインはほぼ陽動にしか使えない。本命は武器にあるマーキングの元へ飛ぶ飛雷神による瞬間移動攻撃。
一星龍の前をクルクル回っていた剣に飛雷神で現れ,その顔面へ右ストレートを放ち面を食らったように見ていた一星龍の顔に練り込ませた。
「これがお前の全力か?」
「——っ!」
それすらも一星龍は顔色一つ変える事せず受け止めていた。殺気を感じた光輝は一星龍が拳を向けて来たのと同時に今度は瞬間移動でその場を離れ悟空達の場所へ退避した。
攻撃を避けられた一星龍は鬱陶しそうに悟空とジレンに並んだ光輝を見ていた。
「ウロチョロと……鬱陶しい奴だ」
飛雷神や瞬間移動を極めるまで使って来た光輝には最上級の誉め言葉であるが,それを皮肉と答える余裕はなかった。
「……強い」
ただそれだけ,それしか感想が浮かばない位一星龍は強かった。数回のやり取りで,彼の強さ,スピード,タフさ,全てを取っても最強というのは嘘偽りないもので納得出来るものだった。
それに,悟空さん達が全開でやれない理由も……何となく分かった。
「ゲートが気になるか?」
この野郎……人が思っている事を言い当ててきやがって。
内心呟きながら上空を見上げる。そこには自分の世界へと通じるゲートが出来上がっている。
もしも俺達が本気を出せば間違いなく一星龍を抑え込むことは出来る。だが同時にそれはゲートへの意識がそれてしまうという事。まだ他の人達が戦ってくれているから誰もあのゲートを通るような事にはなっていない。
「ふふふ……貴様らの仲間もいつまでゲートを守り通す事が出来るかな?」
だけど,この防衛戦が始まってもう30分以上経っている。有象無象の相手だけならマシだったと思うが,シーラス達の凶悪化されたさっきの魔人ブウや他にも一筋縄ではいかない位の強敵たちが次々にピッコロさん達に襲い掛かっている。
正直,あの防衛ラインがいつ崩れても可笑しくない位には不味い。寧ろ今まで1人も通していない事が彼らの強さが凄まじいものだと逆説的に証明している。
それなのに……後手に回ってしまっている。
「それに貴様……何をしていたか知らんが疲れているではないか」
小馬鹿するように笑う一星龍へフラストレーションがたまるけれど,こいつの言う通りカンバーと戦った時の体力消費はまだ回復していない。それを見抜いてくるあたり流石としか言えないんだろうか。
このまま時間を稼いだところで……戦線が崩壊する。
その時,ふとゲートの前に現れたそいつを目にした。
「あいつは……!」
俺の言葉を聞いたのか,一星龍までゲートを見上げた。
俺達の視線の先には……ブラックがいた。奴は俺達を小馬鹿にしたように笑い──ゲートの中へと入って行ってしまった
「——ッ!! ブラック!!」
ゾワリと背筋が凍った俺は反射的に気を吹き上がらせてゲートへと向かおうとした……だが,その俺の背を襲って来た一星龍の容赦のないエネルギー弾を俺は躱しきれなかった。
「光輝!!」
「悟空さん?!」
背中から撃たれる所だった俺の背後に,悟空さんが現れまともにそのエネルギー弾から庇ってくれた。悟空さんは傷を付けながら一星龍を見据えたまま叫んだ。
「光輝,ここはオラ達がやる!! 早くブラックを追え!!」
「……ッ,お願いします!!」
「逃がすか!!」
一星龍が光輝達に向けて気弾を連射しまくって妨害を図るが,悟空達の前に現れたジレンがそれらの気弾を自分の気弾で相殺させる。
「行け!」
元々光輝をあちらの世界に送り届けるつもりだったのもあり,ジレンも迷わず光輝の背を押した。2人の強固なガードには流石の一星龍も強引に突破する事は出来ず,光輝は心の中でお礼を言いながらゲートへと飛翔した。
途中,ザマスがなんか通せんぼしてきたがそんな奴に構ってる暇はないと適当に殴り飛ばして……光輝はゲートへと入って行った。
「ジレン,オラ達も全開でやんぞ!!」
既にブラックが通ってしまった以上,ピッコロ達の防衛ラインも危ういものになってきている証左。悟空は一気に決着をつけるべく,限界を超えた力を解放した。
その隣でジレンもフルパワーへ変貌する。
「それが貴様らの本気という訳か。それで俺が止められるかな?」
「直ぐに分かっさ」
瞬間,空で大激突が起きた
★
迸った閃光,空で鳴り響く轟音に閉じていた瞳を愛美は開けた。周囲は……炎に包まれている訳でもなく,さっきまでと同じ光景だった。周囲にいる人々も……抱えていた頭をあげて戸惑いの声を発していた。
愛美は恐る恐る……ゴクウブラックがいた上空へ眼を移して……心臓がドキッと震えた。
そこにいたのは赤い体毛に黒髪という……一般的視点で見るのならとんでもない姿の人物だけれど,そんな愛美はそんな存在を知っている。超サイヤ人と同様,アニメにしかない筈の変身にしてサイヤ人の究極形態の1つ。
「超サイヤ人……4」
その圧倒的な存在感を,力を……身一つで放つ凄まじいまでのプレッシャーが愛美の身体に打ち付けるように感じ取った。こちらに向けられている訳でもないのに……その強さがひしひしと理解させられる。
だけど,愛美にはそれ以上に胸に広がった暖かさを感じていた。
「瞬間移動か,神の邪魔をするとは……その罪は重いぞ? 人間」
空にいるブラックが不愉快そうに言ったのを聞きながら,愛美はこれが誰なのか……直ぐに分かり大きく眼を見開いて彼を見た。
瞬間移動,ヤードラット星人の技で知っている人の気があれば基本的にどこでも行ける優れた技。だが,作中で使っている悟空は当然愛美に会った事がない。
愛美の気を知っているのは消去法で……
「何が罪だクソ野郎。悟空さんの身体を奪うだけに飽き足らず,あまつさえ”孫悟空”を名乗り人殺しをするだと? 貴様の方がよっぽど罪深いぞ」
「ふ……これだから人間は,人間がすれば罪となることも……神である俺がすればそれは正義となるのだ」
「小学生の発想か。自己中心的なナルシズムもここまで来ると滑稽過ぎて……虫唾が走る」
「その言葉,万死に値するぞ……サイヤ人!」
怒りに眉間にしわを寄せたブラックは,変身した。
超サイヤ人のように逆立った髪に薄紅色。
「超サイヤ人……ロゼ」
愛美が呟いた言葉をブラックは聞こえたのか,口元をニヤリと染め愛美に目を向けながら言った
「ほう? 何故か知らんが貴様はこの姿を知っているようだな……小娘」
視線を向けられた愛美は足が竦んで動けなくなってしまう。そんな愛美の前に,超サイヤ人4が降り立ったことで……愛美は正気を取り戻した。彼はブラックを見据えたまま言った。
「……折角の再会がこんなクソみたいな状況でごめんな,愛美」
そう……普段の彼よりもずっと低い声だったけれど,言葉の中に申し訳なさがこれでもかと詰まっていて,愛美は怒れる筈なんて無かった。ただ純粋に彼が戻って来てくれたことが嬉しかった。
「ううん……お帰り,光輝」
光輝は顔を逸らす事はせず頷いた。
本当は……今すぐにでも光輝に抱きつきたい。お帰りって,生きててよかったって……伝えたい事が沢山あるのに,ブラックのせいでそれが出来ない。
彼の姿を見ればわかる。今は戦士としてここに立っている事が。
「安心しろ小娘,そのサイヤ人を葬った後は貴様達人間を滅ぼす。勿論,あのシーラス達も含めてな!」
「シーラスは是非滅ぼして欲しい所だが,貴様じゃ俺には勝てないぞブラック」
「戯言を……以前俺に歯がたたなかった貴様が俺に勝てると思うのか?」
「はっ,疫病神には分からねえだけだろ。誇りも力も持ち合わせていないフェイカーに俺は倒せない……絶対に!!」
「貴様ッ……!」
一触触発の雰囲気……だが,愛美は不安だった。何故ならこの2人が激突すればきっとこの国はその衝撃に耐えられない事を……巻き込まれて死んでしまう人が沢山いることを。
だけどブラック相手に防御重視の戦い方なんて出来るか分からない。今からここにいる全員で避難したところで……それにどれだけの意味があるのか分からなかった。
「え……なに?」
しかし,そこで愛美に異変が起きた。何故か身体が光始め,まるでどこかに連れて行かれるような浮遊感が襲ってきたのだ。それはこの状況を呆気にとられた眼で見ていた他の人達も同様の現象が起きていた。
「それに,生憎愛美も……この星の生きとし生けるものを貴様には絶対に殺せない」
「貴様……これは何をした?!」
愛美もその答えは聞きたいところだったけれど,その前に光輝や愛美の脳裏に聞いたことのある声が響いて来た
『光輝君,あなたの言う通り……貴方の世界の全ての生きている人達をこちらが作った保護区へ移動するように願ったわ!!』
「あ……時の界王神様……?」
なにがなんだか愛美にはさっぱりと分からなかったけれど……,光輝が時の界王神に事前に頼んだ願いが叶ったのだ。つまり,光輝の世界の住人全てを時の界王神が統括する時の巣の保護区へと逃がす為の願い。
そして愛美達を宇宙樹やブラック達に殺されないための防護策としての願いだった。
「逃がすか!!」
ブラックが逃げられる事を察したのか地上へ向けた気弾を放ったが,それを光輝はブラックへ弾き返した。
「光輝!」
愛美は……今からまた自分だけが安全圏に行く事を悟り,また守ってもらう事の不甲斐なさに彼の名前を呼ぶ。自分が出しゃばった所で何もできない。
文字通り存在ごと消されてしまうのがオチで……この世界の人達を巻き込まない為に逃がすっていうのは分かっているつもりだ。それでも……我儘に光輝と平和に生きたいと願っている愛美には悔しい思いでいっぱいだった。
そんな愛美の心中を,光輝は察して背中を向けたまま……ただの一度も振り返ることなく力強い言葉で言った。
「愛美,安心しろ。俺は……俺達は絶対に負けない。戦士の誇りにかけて,必ず愛美の所に戻って来るよ」
既に現実への意識が半ば無くなり始めている愛美だったけれど……その言葉に大きく頷いて……愛美の姿はこの地球から消え去った。
お疲れさまでした!
という訳で,舞台を光輝の世界の地球に移して光輝VSブラックの再戦です。ついでの如く倒されるザマス,まあ奴が来たところで氷漬けする事には変わりないので良いでしょう(なにが?)
ドラゴンボールによって愛美を含めた全人類と動物たちは保護区なる所へと避難しました。戦いに巻き込まない為ですね。
では…次回が∞サバイバル編,ファイナルバトルです!