Warrior beyond despair   作:レオ2

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おはようございます!
今日は2話連続です。

久しぶりのSAO勢,因みにですがほぼ皆プレイスキルは原作寄り上です。純粋に原作寄りも年月が経っているからというのと,光輝という1人で戦いに行こうとする困った仲間がいるから。
あ,でも多分星王には勝てません(おい)

では!


貰った楔に勝利を誓う

 久しぶりに来たキリト達の世界,やっぱりあの空間の裂け目はあるし広がっているようにも見える。だけどこの世界の人達にはあれをどうこうする術がないから放っておいているというのが正解なんだろう。既に時刻は夜で周囲は暗い。

 それはそれとして,俺はお姉ちゃんやキリト達の気を探す。だけど割とあっさりと全員見つける事が出来た。

 

「あれ……なんか一か所に集まってる?」

 

 知人の気がほぼ一か所に揃っているのを感じて何だか嫌な予感を感じながらも,生存報告する為には向かわなければならないので瞬間移動で向かう事にした。

 一瞬で後悔した。

 

「こ……光輝?!」

 

 皆に会うという目的は十分に達する事が出来た……どこかのホテルのパーティー会場で,周りの人達がスーツやドレス姿じゃなかったらきっと俺も会えて良かった~とか呑気に思えたと思う。

 俺の名前を呼ぶ声が聞こえた方向を見ると,主賓席っぽい所でキリトがタキシードを着たキリトがいて,その隣にはウエディングドレスを纏っているアスナさんが大きく眼を見開いていた。

 

「光輝君?!」

 

 何だか懐かしいと思える声に振り返ったら,赤いドレスを着ているお姉ちゃんと七姉ちゃんがいた。それとこの状況から俺は1つの予感を的確に言葉にする事が出来た。

 

「……もしかしなくても結婚式だよね」

「光輝~!!」

「ごは!」

 

 背後から凄まじい勢いでクラインが突撃を噛ましてきて柄にもなくまともに食らってしまった。……因みにこの後アスナさんのお母さんに怒られた。

 俺がいきなり式場に現れて騒然となってしまったけれど,元もと参列者にはSAOを共に戦ってきた人達の方が多かったので俺がいきなり現れるのも今更な事だと言われた。

 皆俺に話を聞きたがっている感じだったけれど,お姉ちゃんが取り合えず俺を助け出してくれてスーツも持ってきてくれているという事なので柄にもなく着た。

 

「七姉ちゃん……いつまで笑ってるの」

「ふふ……だって全然似合ってないもの……ふふっ」

 

 正直俺もスーツは似合ってるとは思えないから嫌だが,郷に入っては郷に従えと言われているから諦めているのにそんなに笑われたら俺もその内なんか恥ずかしい事させんぞ。

 因みに式自体はもう終わって今は二次会らしい。人数が多すぎるからホテルでそのままやってるとの事。

 

「まあ……キリト,アスナさん……結婚おめでとう」

 

 ご祝儀は今は持っていないから今度で勘弁してくれと言ったら子供だから貰えないと言われてしまった。……いやでも,俺もう19歳くらいだから実質大人と言えるのではないか? 

 ……そうやって色々避けようとした所,お姉ちゃんの笑顔で低い声がかけられた

 

「それで……光輝君,何か弁明はある?」

「その低い声止めてお姉ちゃん怖いから!?」

 

 そう言いつつも,いつの間にかSAOからの仲間達が俺の周りに集まって来た。ディアベルさん達青龍連合の幹部プレイヤーは勿論,風林火山のおじさん達,エギルとその奥さん,リズベットさんにシリカさん,SAO以降に仲良くなったリーファさんにシノンさん,ユウキ,ユージオにアリスさん……フルダイブMMOの世界では名を馳せている上位プレイヤー達……こうしてみると結構壮観なんだよな。

 それに……何か皆結婚式を楽しむ雰囲気じゃなくて,俺から真剣に話を聞こうとしているように感じる。

 

「……少し,長くなるよ」

 

 そんな真剣な顔に,誤魔化すという選択肢は俺からは無くなっていた。折角おめでたい場なのだから俺としては話さないつもりだった。だけど,いつの間にか皆俺の話を聞くために集まって来た。

 その圧はまさに俺を逃がさまいとする様子だった。だからもう,話す事にした。改めて……楔を付けてもらうために。

 

 そうして光輝は自分に分かっている事を話した。

 今まで追っていたシーラス達が作ったインフィニットワールドの事,シーラス達の野望の全貌,そしてそれを止めるための最後の戦い。ただ人なら到底信じられない事の連続の話だが,この場に光輝の話を信じない人間なんていない。

 もとよりSAOの頃から光輝のぶっ飛び具合は群を抜いていたし,光輝は嘘をつくのが下手なのは皆が知っている。

 

「これが……話せる全て。俺はもう直ぐ……最後の戦いに行く」

 

 その戦いが,光輝の世界は愚か,悟空達のいる世界も,ナルト達が生きる世界も,キリト達が生きる世界……そして遍く全ての世界の存亡をかけた最後の戦い。

 光輝は時の界王神陣営の最後の希望にして,切り札として戦場に立つ。

 

「光輝……おめえはよお!」

 

 全てを聞いたクラインが凄い苦しそうな顔をして俺に何かを言おうと言葉を探す。

 分かっている,こんな事情を話した所でただ皆を不安にさせるだけなんて。でもだからこそ伝えないといけない言葉がある。

 

「クライン泣くな恥ずかしい。この俺が負けると思うのか?」

「でもよ」

「光輝,実際勝算はどれくらいあるんだ?」

 

 クラインを押さえつけながらエギルさんが聞いて来る。

 

「……そうだな,俺が相手する2人は実質宇宙を相手にするようなものだけど」

 

 あの2人は必ずどこかのタイミングで宇宙樹から力を供給する。凶悪化に当てるくらいなら自分達の力を上げるくらいの事は普通にしてくるだろう。

 だから俺が考えるべきあいつらの力量はあいつら本来の力と宇宙樹の力を暴走せず扱える力が合わさった状態。字面だけを見るのならどちらの方が強そうかなんてみりゃあ分かる。

 それでも

 

「関係ないな。勝算があろうがなかろうが,全てを賭けて勝ちに行く。俺達はあの城でもそんな戦いをしていただろ?」

 

 あの城での戦いも,綿密な偵察や情報を元にした作戦をたて攻略を行っていた。その分勝算が高かったのも事実だろう。だけど,クオーターボスなんてその代表例でギミック変更とかで一気に分が悪くなった時でも勝ってきたはずだ。

 

「やることはいつも通りだよ」

 

 そう穏やかな表情で言った。

 レインやセブンも含めた面子は神妙な面持ちでそれを聞いていた。

 

「おいおい,何で皆してそんな顔すんだよ。お前らが笑ってなきゃ俺が戦ってる意味ねえじゃねえか」

「それなら僕達だって……!」

「ユウキ!」

 

 ユウキが何かを申告をしそうになる中,アスナさんが咄嗟にそれを言わせないように名前を叫びユウキは危ない危ないと言いたげに口をチャックした。

 俺はユウキが止めてくるのかなと思っていたから,特に気にも留めず周りを見渡した。この世界の本当の歴史を知っている俺からすれば……本当に凄い面子なんだと分かる。

 正しい歴史では死んでしまったディアベルやサチたち,ユウキにユージオ……この世界は俺が介入したからこそ出来た歴史で,俺がいたから救われた人達もいると嫌でも分かる位知る事が出来る世界。だからもしかしたら元の世界以上に,俺が助けて来たと実感しやすい世界かもしれない。

 

「今は……戦いの前に,皆の顔を見たくなったから来たんだ」

 

 俺からすれば1年半ぶりくらいだからな,そう言って光輝は笑う。その言葉からキリト達は以前聞いた精神と時の部屋に入ったのだと察したがそれはもはや些細な問題だ。

 

「先に言っておくが別に死ぬ気も無いし,破壊させるつもりもない。奴らを倒して全ての戦いが終わったらまた遊びに来るよ」

 

 負けるかもしれない……ここまで来てそんな腑抜けたことを言うつもりもない。そんな事を思うのは俺に託してくれた全ての人達に対しての冒涜だ。

 

「……うん,分かった。信じてるから……光輝君」

 

 皆を代表するようにお姉ちゃんが一歩前に出て,そう言ってきた。お姉ちゃんを見返して頷く。

 

「当然,弟を信じてよ」

 

 二ッと笑いながら光輝は答える。

 その後は,二次会の短い時間で色んな人と少し話す。

 

「全くおめえはよ,何でも事後報告してきやがってよ」

「光輝らしいと言えばらしいがな」

 

 侍と商人が今に始まった事ではない光輝の悪い癖を指摘しつつも,もはや諦めているように感じている。

 だから楔を貰った。

 

「キリトもだけどさ,光輝も見ていて飽きないんだよね」

「あはは,光輝君は凄く波乱を起こしてますから」

 

 鍛冶師とドラゴンテイマーが光輝の生き様に苦笑いしつつも,どこか楽しそうに話してきた。

 楔を貰った。

 

「光輝さん,頑張ってください」

「わいら攻略組の精神的支柱は……ヒースクリフやない。お前さんやったんじゃないかとわいは今でも思う事があるんや。だから……頑張れよ」

 

 かつての攻略の双翼を担った大ギルドのナイトと,彼の腹心からのエールを受け取った。

 楔を貰った。

 

「私はリアルのあなたの強さをこの眼で見た事ないから……何て言ったらいいのか分からないけれど,あなたは強い人だと思う」

「光輝君なら大丈夫だよ! だって……ALO最強なんだから!」

「ぼくだってまだリベンジ出来てないんだから……負けたら許さないからね?!」

 

 狙撃手,舞姫,絶剣……この面子の中で付き合いが短い方の3人でも,光輝という存在の異質さは理解している。光輝の剣から溢れる誰かを救いたいという想いは見ている3人にも確かな影響を与えていた。

 楔を貰った。

 

「光輝も,キリトに劣らず色んな事を起こしてくるんだね」

「キリトも光輝も……何が物語を寄せてくるのか分かったものではありませんね」

 

 青薔薇と金木犀が幼馴染に似た……もしかしたら幼馴染以上に何かを引き寄せてくる光輝に対して呆れを見せながらもエールを送った。

 楔を貰った。

 

「光輝君,愛美ちゃんには会って来たの?」

 

 キリトとアスナさんと話していたら,アスナさんに聞かれた。

 

「はい。今は少しだけ,皆に会って来るって言ってから来たんで大丈夫ですよ」

 

 それを聞いたアスナさんは少し眼を見開いた後,目を伏せて言ってきた。

 

「光輝君……愛美ちゃんは今,凄く不安だと思うよ?」

「それは……」

 

 それは……そうだと思う。

 俺が愛美の立場で,大切な人が勝てるかどうかわからない戦場に立とうとして自分には待つことしかできない知っている中で,不安にならない方が無理がある。

 

「キリト君もだけど,大切な人が死ぬかもしれない所に行く時って……不安で仕方がないの。私はまだ仮想世界で”一緒に”戦えてたからまだマシだったかもしれないけれど……」

「……今の俺達に,光輝と一緒に戦う術が無いし待っているだけっていうのは……やっぱり苦しいと思う」

 

 一緒に戦うにしろ,待つにせよ……不安は襲い掛かって来る。俺が愛美にその不安強いるのも分かっているつもりだ。だから”大丈夫”って何度も言っているし,いう度に勝つための気合が入る。

 それでも……不安な気持ちが消え去る訳じゃない。

 

「きっと……愛美ちゃんが今笑っていても,それは嘘だと思う」

 

 どこまでも感情に真っすぐで,自分に出来る事があると知った時の勢いはアスナに通じるものがあるとアスナ自身も感じていた。だけどそれ故に愛美の気持ちも何となく分かってしまう。

 例え安心したように見えたとしても……本当は心の底から不安で仕方がなくて,目の前に光輝がいない事が苦しいとさえ思っているかもしれない。

 

「……愛美にも,本当は行かないでほしいって言われました」

 

 つい数時間前の事を思い出す。

 自分に身体を密着させて,震える鼓動も,身体も,流れる涙も……多分……あの姿を笠木と2度目に戦う前に見ていたら俺は笠木とは戦わなかったんじゃないかって位,決意を鈍らせてきた。

 

「そうだと思ったよ。私だってキリト君が同じ状況になったら……言葉に出さないだけできっと同じ事思う」

 

 アスナさんが言葉に出さないと言ったのは,キリトが命を賭けなければ救えないものがあると知っているから。だからアスナさんは見ているだけじゃなく,キリトと一緒に戦い大事な物は全部救ってきた。

 それがこの2人の力,俺と愛美には2人ような背中を預けられるほどの関係性はまだない。

 だから愛美は俺に言葉としてそれを伝えて来た。我儘だと知っていたのに……自分では俺と一緒に戦えないと知っているから。

 

「もう少しだけでも良いからさ,愛美ちゃんと話してあげて?」

「……分かりました」

 

 既婚者になったアスナさんからの言葉は不思議と重く,俺の次の指針が決まった。

 

 

 ★

 

 光輝が去ったパーティー会場はお開きとなり,各自がそれぞれ帰路についていた。その中でレインやセブンはシノン達と共に歩いていた。

 

「レイン,良かったの……光輝君への言葉があれで」

 

 レインが別れ際光輝に言った言葉は”またね”……別れ際にいう言葉としては正しいのかもしれないが,決戦へ行く前に戦士に贈る言葉としてはいささか言葉足らずだとシノンは思った。

 もちろん,”あの計画”があるから言葉に詰まった考えもあるが……

 

「うん,あれで大丈夫。私はきっと……ああ言わないと余計な事言っちゃう気がしたからさ」

 

 時の界王神と共に企んでいるある計画,その最終段階が唐突に来てしまったけれどその為に色々準備をしてきたのだ。そしてこの計画は光輝には内密にしている。

 今回の計画に賛同してくれた全ての人達の意見が光輝には内密にすると決めていた。そうしなければきっと光輝はその計画を阻止してくるはずだと全会一致で決まったからだ。

 

「ぼくは言いかけちゃったよ」

 

 ユウキがその計画の事を光輝に漏らしそうになったのでアスナが止めたのは記憶に新しい。

 

「しょうがないわよ。……今の光輝は1人で戦う事を受け入れているもの」

 

 ボス戦とは訳が違う戦いに,レイドではなく単騎で挑もうとしている光輝。あの城や妖精の大地にいる時とは違う仲間がいる前提ではなくたった1人で戦う事を受け入れている。

 光輝を助けたいと思うユウキからすれば激怒もので,だからつい言ってしまいそうになった。

 

「だけど……今は引き止めるより,きっと愛美ちゃんといる事の方が大切だと思うから」

 

 戦士になる前の光輝なら,きっと愛美の言葉に篭絡され戦士になることは出来なかった。

 だけどもアインクラッド,そして悟空達とのタイムパトローラーとしての経験が彼を戦士に成長させた。だからこそ戦う事を受け入れているし,それが自分の使命だと疑わない。

 今の光輝には愛美が何を言っても”戦いに行く”という結果は変わらない。だからこそ……愛美のぬくもりを,今感じておくべきなのだとレインは思っているのだ。

 

「……私達も,準備を始めないとね」

「うん,そうだね」

 

 今頃他の面子も,いつ時の界王神からの要請が来てもいいように準備をしているはずだ。光輝の話を聞くに,もう自分達の出番も迫っている。

 レインたちは早々に家に帰るのだった。

 




お疲れさまでした!

光輝のお家芸,決戦の前に色々な楔を付けてもらう。
しかし楔を上げた方は怒っているようで…

という訳で,次回また愛美編
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