Warrior beyond despair   作:レオ2

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決戦前夜

 俺が戻って来ると,皆は家の中に集まっている状態だった。

 滅茶苦茶今更思っているが,あの世界の生きているものを含めて全員がこの保護区に移動しているのなら広さはどの位なのだろうかとか思った。今回いきなりあの世界が戦場に変わってしまったが,それを見越して作っていた訳でもないのに……凄いと思う。

 

「あ……光輝,お帰り」

 

 机で咲良と戯れていた愛美が俺に気が付くと,咲良が愛美の膝から降りて俺の元へ駆け寄って来る。

 

「お兄ちゃんお帰り!」

「ただいま咲良」

 

 時計を見てみると,後数時間で戦いが始まる。咲良の頭を撫でて……愛美に向いた。彼女はどこか微笑ましく俺達を見ていたが,やっぱりその瞳の奥に不安が蠢いているのを感じ取れる。

 咲良と戯れたい気持ちはあるが,それでも……今の愛美は放っておけないと思った。

 

「愛美……少し,デートしよっか」

「……ッ,うん」

 

 それを聞いた愛美は,凄い嬉しそうな顔をしてくれた。ただ,意外な反抗が直ぐ近くから起きる。

 

「私もお兄ちゃんとデートしたい~!!」

 

 咲良が凄い不満そうな顔で抗議してくる。それにどこか苦笑する気持ちがありながらどうしようかと愛美と顔を見合わせたら,楓さんが咲良をなだめるように引き離しつつ,俺達を見送ってくれた。

 

「どこ行くの?」

 

 愛美はどこか期待の眼差しで見てくるが,正直この保護区の事はよく知らないし何なら一般人も普通にいるから目立ったデートは出来ない。コントン都も今は最後の戦いを前におお忙しいだろうしゆっくり出来ない。かと言って他の世界に愛美を連れて行くのは一応タブー。

 だから……消去法で

 

「俺の部屋」

「……」

 

 家を出た直後に言ったせいか,愛美が固まったまま俺をどこか羞恥したような眼で見てくる。……俺は何か変なことを言っただろうか。確かにデートしようと言って連れて行くのが自分の部屋というのはいささか問題があるような気がしない事も無いが,仕方がないような気もする。

 少し固まった愛美は,見る見るうちに顔を紅くしてしまって慌てたように言ってきた

 

「そ……その,一度私の家に戻っちゃダメかな……?」

「……? 別に良いけど,元居た世界と似ているのは建物だけって聞いてるから何か忘れものなら今は諦めた方がいいかもしれない」

 

 今元の世界に戻ったら戻ったら直ぐに開戦してしまうから出来ないから純粋な忘れ物なら俺が勝ってからにしてもらいたいんだが。全てが終わったらドラゴンボールで元に戻せるし,大丈夫だと思うんだが。

 

「う……だって……」

 

 ごにょごにょと何かを口の中で呟いている愛美を不思議そうに見つめる事数秒,愛美はまだ顔を真っ赤にしながら聞いて来た。

 

「光輝の部屋……シャワーとか……ある?」

「シャワーどころか普通にバスだけど……なんでシャワー?」

 

 デートと言っているのに何故シャワーが出てくるのか分からない。

 

「そ……そっか……う,うん。それじゃあ……行こっか?」

 

 俺の質問には答えてくれず,そう言われて俺はどこか釈然としないものを抱えながら愛美を連れて部屋に戻ることにした。

 

「手貸して」

「うん」

 

 握った手はビックリするくらい柔らかくて,なんか小動物を抱えているみたいに感じられるのは少し不思議だ。それはそうと俺は愛美がしっかりと俺の手を握っている事を確認すると飛雷神で部屋へ帰って来た。

 一瞬で変わった景色に愛美はビクッと手が震えたのを感じたけれど,やがて飛雷神だと認識したのかホッとしたように息をついた。

 

「ここが……光輝の部屋」

 

 光輝の部屋は至ってシンプルな作りとなっていて,リビングには愛美が見たことのないギターやベースと言った楽器などや,GGOでなんかゲットしてしまった景品を飾ってあったりしている。

 後飾られているのはキリト達との集合写真や姉であるレインとの写真,セブンとの写真とかもある。自分との写真が無い事に愛美は一瞬落ち込んでしまうが,自分との写真はきっと元の世界に置いて来てしまったのだろうと思い言葉を飲み込んだ。

 

「ご飯作るけど,何食べたい?」

 

 キッチンに入った光輝が愛美がまじまじと自分の部屋を見ている事に恥ずかしさを覚えながら問いかけると,愛美もキッチンに一緒に入って来る。

 

「ん~,光輝が一番得意なやつ」

 

 私も手伝うからさ,と言う愛美に俺は甘えて先ずは冷蔵庫を覗く。インフィニットワールドに行く前に冷蔵庫にあったものは時の界王神様が処分していてくれたのか,中には新しめの食材が入っていた。

 その中に牛肉や野菜があるのを見て献立を決めた。

 

「じゃあ,ボルシチとビーフストロガノフにしよう」

「……思いっきりロシアだね」

「お姉ちゃんのお母さんに教わって……まあ,お姉ちゃん自身もロシアとのハーフだからか好きなんだよな」

「ふーん……」

 

 なんか今,愛美の機嫌が少し悪くなったのは気のせいだろうか。うん,多分気のせいだ。

 

(……私の好きな料理も教えたら作ってくれるのかな)

 

 因みに,愛美が一瞬不機嫌になったのは正解である。一緒にいた時間の違いなのは分かってるけれども……自分が好きな料理が別に光輝の得意料理じゃないと知って少し残念に思ったのである。

 つまり嫉妬である。

 

「じゃあ,野菜切ってくれる?」

 

 そんな事を思っている間に光輝はエプロンを二つ取り出し,1つを愛美に差し出しながら包丁と使うキャベツなどの野菜を取り出していた。

 

「うん」

 

 光輝に言われた通りに野菜を切っていく。その間に光輝はお米を研いで炊飯器にぶち込んでおいた。因みに,光輝は炊飯器を二つ持っている。通常サイズの奴と,がちがちの業務用のやつ。後者は悟空達が食べに来た時用に必要だった。というかそれでも足りない。

 

 閑話休題

 

 愛美の手際は,最後に見た時よりもまた良くなっている気がして意外に煮込むまで直ぐ行けるかもしれないと思いながら俺も牛肉を切りはじめる。

 2人で始めた料理は,いつも一人で作っていた俺には眩しく感じて少し嬉しく思った。愛美は俺に悟空さん達の話を聞いて来たり,部屋に置いてあるギターとかの楽器から音楽の話を振ってきたり……ずっと離れていたからか凄い話題に困らないみたいだった。

 そして最終的に2人でキリトとアスナさんの結婚式の事をおかずに些細な話をしながらやっていると,割とあっと言う間に煮込むまで工程がやって来た。

 

「結婚……かぁ」

 

 それを待ってソファーにいる愛美が呟いているのを聞いて,俺もそんな事をイメージしてみる。俺の中にある夫婦像とか産んでくれた両親と櫂さん夫婦やベジータさんとブルマさん位しかないけれど……それでも愛美の思い描いている景色が今になって簡単にイメージできる。

 そんな彼女の隣に座って聞いてみる。

 

「愛美もそう言うの興味あるの?」

「そりゃあ女の子だもん。……逆に光輝にはないの?」

 

 言いながら愛美は,少しぎこちなく光輝の手に触れる。恋人らしいことをするのが最後に別れて以来なこともあってか,少し光輝の存在を確かめるように降れる。

 光輝はそんな愛美を見返しながら,自分の掌をひっくり返して愛美と手を繋ぐ。

 

「正直……俺には興味を持つ暇がなかったかな」

 

 もちろん愛美と一緒にいたい,一緒の家に住んでみたいとかは皆が生きていた頃からあった。だから愛美がお泊りに来た時とかは凄く嬉しかったりした。

 だけど……”戦士”として戦場に立ったあの笠木との戦いから,愛美と結婚してみたいと願ってもその内容までは今の今までそれほど考えてなかった。それを願っていたら……手から零れ落ちてしまいそうになる気がしていたから。

 

「そっか……じゃあ,結婚しよっか」

 

 だからそんな事を隣から言われた俺はビックリして愛美を見たら,彼女は照れたように頬を染めて俺を見上げていた。だけど,それは直ぐにクスッとした愛美に変わった。

 

 

 

「なーんて,じょうだ……」

「分かった」

 

 

 

 冗談だよ……そう続けようとした愛美の言葉を遮るように光輝はそれを受諾した。

 驚いたまま固まった愛美が光輝を見上げると,光輝は少し恥ずかしそうに頬を搔きながらも愛美の眼をしっかりと捉えていた。それを見た時,愛美の中に色んな感情が渦巻いた。

 どうして今なのかとか,そんな軽くていいのとか,もっとロマンチックな場所と時間とかなんとか見たいな屁理屈みたいな事すらも頭の中に駆け巡ってもう何が何だか分からなくてなってしまった。

 

「な……ん……え……え……?」

「だから……その,結婚……しよ?」

 

 言っている内に羞恥が倍にでもなってしまったのか,光輝にしては珍しく顔を真っ赤にして愛美の手を大切なものを握るかのように握りしめる。

 それによって愛美は初めて言われたことを認識して,ピュアに今の光輝と同じように顔を真っ赤にして。そして……徐々にその眼に涙が溜まり始めた

 

「なんで……なんでこんな大事な事軽く言うの?!」

 

 信じられないとばかりに叫ぶ愛美に何か地雷を踏んでしまったのかと思った思った光輝は慌てて弁明を図る

 

「いやだって……」

「わたしのせい?」

「それは……そうな気がする」

「……ばか」

 

 ぐちゃぐちゃになった感情の中で……頭が沸騰する感覚を持ちながらも不思議と頭は冷静で……そう悪態をつきながらも光輝の身体に自分の身体を預ける。

 その行動が怒っているが故なのか何なのか分からなくて光輝の視線は戸惑ったように空を移動する。その時,煮込む時間を教えるためにやっておいたタイマーが鳴り響き,愛美はそっと預けていた身体を離す。

 顔を見てみると耳まで真っ赤だけれども,どこか嬉しそうに顔をニンマリとしているようにも……見えた気がする。

 

 

 ★

 

 

 寝室で待ってて……そうなんか機嫌が良いのか悪いのか分からない愛美に言われて俺は大人しく寝室で二つの剣を磨いていた。俺のあの城からの相棒……<ブルーレッド・オブ・ウォーリア>と<ウォーリア・ビヨンド・ディスペアー>。今にして思えばこの二つの剣が何故出来たのか俺には分からない。

 前者は兎も角,後者に関してはお爺ちゃんの剣っていう現実の物が俺の装備品として魂事連れて行っていた。だけど……元々はシステムに無かったはずの剣をインゴットとして使うなんて茅場にしても想定外だったはずなのに……カーディナルシステムはきちんとそれすらも汲み取ってこの剣を作った。

 

「こんなに気になるんなら……あんときに聞いとけばよかったな」

 

 第75層フロアボス,ザ・スカルリーパーを倒した俺の目の前に現れたシステムがアバターとしての姿を纏って俺に接触してきたカーディナルに直接聞いておくんだったなと今更ながらに思った。

 あの時は正直,蒼赤の頭痛がヤバすぎて茅場が犯人だというヒントを貰ったこと以外覚えていない。だけど,あれも今にして思えば不思議なんだよな。

 

「……カーディナルにとって,創造主である茅場の”ゲーム”を邪魔するような事をなんでした」

 

 こんな疑問を持ったのはアンダーワールドでカーディナルという老師に会った時だ。俺がSAOの頃に会ったカーディナルと全く同じ姿に声だったから,俺はあの時の記憶を思い出す事が出来た。

 もちろんもう終わった話だから,真実を知る機会はもう無いかもしれない。SAOのサーバーなんてオーディナルスケール事件でキリト達が完全に停止させたから……俺がSAOで会ったカーディナルにもう理由を問いかける事は出来ないからな。

 

「そういや……あんときの第100層ボス,めっちゃ強かったってキリト達が言っていたな」

 

 当時はオーグマーを持っている全ての人が死んでしまう状況になってしまって……それを止める為キリト達はアインクラッド第100層ボス<アン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウス>……世界の化身と訳されるその敵はマップの遠隔攻撃やレーザーに体力超快復,その他もろもろもう反側なんじゃないかって思うくらいギミックがあったとキリト達からは聞いている。

 

「でも俺,あんときはリアルの方でボスモンスター共葬っていたから見ていないんだよな」

 

 キリト達からその反側的な強さを聞いていても,当時の俺は仮想世界での敵をキリト達に任せて,現実でのボスモンスターを倒すのに尽力していたからな。

 キリト達と一緒に行っても良かったが,あんときはユナの援護とかあったし……

 

「そもそも俺の場合現実の方が何百倍も強いから寧ろ俺のフィールドだったんだよな」

 

 俺が仮想世界で戦うよりも,あの時はキリト達に任せて現実で無限ポップしてくるボスモンスター共をわちゃわちゃ倒しまくっていたから100層ボスはお目にかかれなかった。

 正直,キリト達がそんなにいう敵なら俺も戦ってみたかったなと思ったけれどもう後の祭りだ。今は明日の決戦に備えるしかない。

 

「光輝……お待たせ」

「うん……お帰りえ……」

 

 そんな事を懐かしんでいると,愛美が俺の寝室に入って来たので二振りを量子変換機に入れて振り返ったら──柄にもなく固まってしまった。

 何故なら……

 

「え……愛美なんでバスタオル一枚……?」

 

 愛美の身体からはお風呂に入った事で出来たであろう湯気が立ち上っていて,少しのぼせでもしてしまったのか顔もどこか紅いし……極めつけは何故かバスタオル1枚の愛美の姿。

 彼女はその蒼い髪も赤くなるんじゃないかと思うくらい,恥ずかしがっているのに俺へ期待している眼で見てきて……

 

「こ……光輝も……早く脱いでよ」

「……はっ?! え……ななな……なんで?!」

 

 彼女の意味の分からない言葉に心底意味が分からないと伝えても愛美には届かないのか

 

「だ……だって,二人きりの家呼んで……プロポーズしたって事は……そう言う事なんでしょ?」

 

 羞恥しながらも何かを訴えてくる愛美だけども,俺には皆目見当もつかなくて戸惑いの方が大きい。いやプロポーズは……自分でもびっくりしたけれど別に後悔するようなものでもないし家に呼んだのだって単純に消去法でしかないってだけで,もしキリト達の世界に愛美を連れて行ってもいいなら俺は多分そうしただろうから俺の家に呼んだこと自体に特別な意味はそれほどない。

 

「もう……! 私だって恥ずかしいんだから早く脱いでよ!!」

 

 そんな変態みたいなことを言われても反応に困りまくってしまうのは俺がやっぱり悪いんだろうか。

 

「ちょ。ちょっと待って愛美! 家に呼んだのはゆっくりできるところが今は俺の家のしかないからだし,プロポーズは……本気だけど最初はするつもりはなかったというか……いやでもやっぱり最終的にはしたかったけれど愛美に流されての意味が強くて……」

 

 そこまで言った時……愛美がさっきとは違う意味でわなわなと震えて……バスタオルを握りしめ涙目になっているのを見て俺は言葉を止めてしまう。

 ……これ……多分,凄い怒っている奴だと思う

 

 

「ば……ば……」

 

 

 愛美は今,猛烈に羞恥を味わっていた。彼氏の家に呼ばれ,二人で料理をして,冗談だけどプロポーズまでされて……きっと,最後の戦いの前に”そう言う事”をすると思っていた愛美は……その全てが勘違いだと今気が付いた。

 だって2人きりの家で,結婚の話題が出て,プロポーズがあって……勘違いするなという方が無理だった。だけど光輝にそんな事をするつもりは無かったと知って……ピュアな光輝と思い描いてお風呂で身体を念入りに洗って,バスタオル一枚で光輝の目の前に現れた自分が変態にしか見えなかったというギャップに頭が可笑しくなってしまいそうになって……

 

「馬鹿あああああ!!」

 

 恥ずかしさの余り愛美は光輝へ突撃し,光輝は躱すかどうかを一瞬考えて……受け止める事にした。愛美の身体を受け止めると,彼女のバスタオルが衝撃で少し剥がれその健康的で魅惑の白い色をした肌が見えて,光輝は恥ずかしくなって眼を反らす。

 バスタオル越し一枚で触れる愛美の身体はもちもちとしていて,ケアするのにも気を遣っていると分かったりして彼女の努力が垣間見えて光輝は嬉しく思った。

 

「ばかばかばか! 紛らわしいの!」

 

 だけども愛美は光輝にそんな事を感じられているかなんていざ知らず,ただひたすらに光輝をポカポカと殴り自分の羞恥と必死に戦っている。そんな愛美を収めるために,光輝はそっと彼女の身体を抱きしめると借りてきた猫のように大人しくなった。

 

「ごめん……何か,勘違いさせてしまったみたいだけれど……愛美が何に怒ってるのか分からなくて……」

 

 だから,抱きしめるしか出来ないと光輝は言う。それを聞いて愛美は,光輝がレインの言っていた”一線”の意味も理解していなかったことを思い返して……インフィニットワールドに行っている間にそれを知ったかと聞かれたら多分Noだと思った。

 本当に光輝は愛美がほぼ裸体になって,寝室に来ているのか分からなくて戸惑っているのだと感じたら今度は逆に何だか可愛く感じてしまった。

 

「……じゃあ,教えてあげる」

 

 そんな光輝をもっと見たくて,顔を上げるのと同時に光輝の唇を奪って……そのまま強引に光輝を押し倒した。……まあ,光輝の体幹が強すぎて中々倒れなかったのでつい

 

「早く倒れなさいよ!!」

 

 とか言われてしまう始末だったけれど……

 

 

 ★

 

 

 時の巣には朝昼夜という概念がなく,コントン都の中心部にある時計の鐘を生活のリズムの基準とする事が多い。もちろん,人工的に夜になっている場所とかもあるが,光輝が住んでいるこの家の場所がまさにそうである。

 光輝は,寝室の窓から外の様子を見ていると背後で布団にくるまっていた愛美が眼を覚ました。

 

「……光輝……ッ!」

 

 凄い眠そうな目を擦って起き上がった愛美は,自分の肌を覆う服が何一つない事に気が付いて瞬時に頬を染めて布団をくるみなおした。そうしてさっきまで自分がしていた事を思い出したのか恥ずかしさと嬉しさが混じった絶妙な表情に変わる。

 そんな愛美を光輝は微笑みながら見て,そっと呟いた

 

「愛美,ありがとう」

「な,なにいきなり」

「なんとなく……言いたくなっただけだ」

 

 そう言って光輝は愛美の隣に腰を下ろす。愛美はさっきまでの事があったからかビクッと反応してしまいつい身体を隠すようにしてしまうけれど,光輝は特にそれには反応せず言った。

 

「客観的に見たら俺なんて数年間会わず,会ったとしても直ぐにどっかに行って,自分で言うのも変な話だけどいつ死ぬかもわからない場所に行って……そんな俺を待っていてくれてありがとう」

「……ほんとよ,私じゃなかったら絶対浮気されてるわよ」

 

 愛美はやっと気が付いたかと言いたげに,光輝へ身体を預ける。自分の嘘偽りのない気持ちとして……光輝がここにいる事の証が欲しくて,さっきまでしてしまっていたが,光輝もちゃんと自覚があったのだと知って嬉しくなった。

 

「きっと1人じゃ望まなかった事ばかりだった。アインクラッドの最初期は……1人で戦って,1人で死のうって思っていた事もある」

 

 光輝の言葉を聞きながら,愛美は彼が1人じゃないと教えるために強く抱きしめる。

 

「それでも……お姉ちゃんやキリトが教えてくれた。1人じゃない,俺の心の中に皆が……愛美がいてくれたから俺は戦ってこれた」

「うん……」

「だから……」

 

 光輝はぽんぽんと愛美を叩き,二人は少し顔を離して距離を取る。

 

 

「俺と……結婚しよう」

「~~っ。……はい」

 

 

 そっと愛美の肩に手を置き,口づけする。愛美の眼から涙が溢れ,その感触を余さず身体で感じようと密着させる。そして長いキスを終えた2人はどちらかともなく微笑んだのだった。

 

 

 

 




お疲れさまでした!
という訳で,付き合うを飛ばして何故か婚約した()。
6月だからね,仕方ないね。イメージはSAOのキリトとアスナの結婚。

ここまで長かったな~と思いながらも,次回は決戦前です。

では!
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