Warrior beyond despair   作:レオ2

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おはようございます!
今日は2話投稿です。

では!


開戦

 ──全員生きて,勝つぞ! 

 

 昔は小さな子供だった光輝が,戦士達の先頭に立ちその号令をした時……涙腺がこれでもかと緩んだのを楓は感じていた。彼女達……光輝が光輝の世界で世話になった人達にだけ脳裏に見せられている今の時の巣,刻蔵庫の映像。

 沢山の見覚えのある戦士から,見覚えのない戦士まで沢山の戦士がこの時の為だけに集結しているのは圧巻だ。

 

「……これが,今の光輝君か」

 

 隣で夫である櫂が呟くのを,涙交じりに聴き取り頷いた。

 さっき光輝自身が言ったように,取り憑かれたように強さに執着し,死ぬことすら厭わなかった少年が……世界どころか次元をも守るために戦う。もう既に自分達が知っている光輝ではないけれど,彼もまた光輝であることには違いがない。

 少年の時は,強さに半比例して小さかった背中が今は大きくなっていた。

 初めて笠木と戦う時に見送った時は,不安で不安で仕方がなく……実際光輝からの生存報告が来るまでは生きた心地がしなかった。今回も状況は同じ,否状況だけを見るのなら自分達の世界一つと,自分達の世界を含めての全ての世界を賭けている状況。だけども今は不思議とあの時のような不安は無かった。

 悟空達がいるから……ではない。光輝の存在が,本当の意味で自分達の希望になっているからだと知っているから。

 

「頑張って,光輝君」

 

 楓のエールは,場所と空間を越えて光輝の元へと届いたのだった。

 

 

 ★

 

 

「光輝君」

 

 号令をかけたあと,戦士達がインフィニットワールドへ向かおうとした所時の界王神から声をかけられた光輝。彼は振り返りながら彼女を目に収めると首をかしげる。

 

「光輝君の腕時計型次元移動装置,もうボロボロでしょ? 新しいのをあげるわ」

 

 俺が赴任した時から与えられていた装置,ブルマさんお手製のもので任務の時には必須だったものは時の界王神様の言う通りもうボロボロでブラックとの戦いの後に使ったのが最後だけど……まあ見栄えは悪くなってしまっている。

 それでも機能が使えるだけ逆説的にブルマさんの技術と耐久力が凄まじいことを物語っているけれど。

 

「腕出してくれる?」

「あ,はい」

 

 だけども……なぜこのタイミングでそれをくれるというのかが分からなくて変な返事になってしまったけれど大人しく左腕を差し出す。時の界王神様は俺が着けていた方のデバイスを取り,新たに手をかざした。

 すると俺の前腕に光が伴い……それが現れた。

 

「……これ」

 

 真っ赤なブレスに,それを対を為す蒼のブレス。よく見てみると二つは分離が出来るようになっていて……その見た目は……

 

「ええ,あなたが好きだって言っていたヒーローのデザインを元にしたって言ってたわ」

 

 確かに……俺が武術を習おうと決めた原典,ウルトラマンメビウスのメビウスブレスとウルトラマンヒカリのナイトブレスが合わさった様な見た目だった。今は融合しているからどちらかというとメビウスブレイブの状態に近いんだろうけれど。

 

「それを作った人がそのヒーローを気に入ったって言っちゃってね」

「って……ブルマさんじゃないんですか?」

「……ガンマ君達を作った人よ」

 

 俺が時の巣に帰るまでに色々あったのか,少し疲れた様子を見せているけれど……まあ俺が全てを終わらせたら時の界王神様も少しは休めるだろう。

 ガンマたちを作った人,正直どれくらいの強さなのか戦ってないし戦った所も見ていないから何とも言えないけれどこれを作れるくらいの技術力を持つのは素直に凄いなと思う。

 

「それも変換機に登録しておいたからいつも通りしまえるようになってるわ」

 

 そう言われ俺は左腕の二本一対のブレスをしまうイメージをすると,いう通りしまわれた。直ぐにもう一度だすと,俺の左前腕に再び装着される。

 

「ありがとうございます。大切にします」

「ねえ,光輝君は……私に怒っていないの?」

「え,何でですか?」

 

 それをしまい終えた俺に,時の界王神様がすっごいネガティブフェイスをしながら問いかけられてついそう言い返してしまう。だって俺からすれば意味の分からない問なんだもの。

 

「私は……私達は本当なら,あなたを地球人のまま,あなたの地球に送り返さなければならなかった」

 

 そう言われて俺は言われてみれば確かにそうだと思った。

 ここに来た時は,まだこんな世界があるなんて知らなくて……ドラゴンボールの限界もよく知らなくて,トランクスさんに問われ今こうしてタイムパトローラーになっている。

 だけど,あの時の俺は何か罪を犯したという訳ではない。キリト達の歴史を歪めたのはそうかもしれないけれど,あれは不慮の事故のようなものだし時間法なんて当然俺達の地球にはなかったのだから分かるはずもあるまい。

 ドラゴンボールも……本当はあの時の俺をサイヤ人に転生させずとも魂を俺の元の肉体に戻すだけでも良かったはずなんだ。

 

「あの時にはもうシーラス達の行動が活発になり始めていて……どうしても悟空君達以外の戦士が欲しかった。そんな時,君が次元の壁を破って時空路に入って……あなたをサイヤ人にしてこの戦いに関わらせてしまった」

 

 これほど大規模な戦いになるとは時の界王神も考えていなかったのか,申し訳なさそうに光輝へ項垂れる。地球人として天性の才能を持っていた光輝を,サイヤ人として育て上げる。

 一種の騙しのような事をしていたのだと今なら分かる。あの時点で地球人として櫂たちの元に戻ればきっと安心させる事が出来ていただろうし,こんな恐ろしい戦いに参加する事も無かっただろう。

 時の界王神は,西沢光輝という少年の人生を歪めた張本人といっても差し支えないのだ。

 全てを決するこの戦いの前に言う事ではないのかもしれないが,もしかしたら最後になるかもしれないというのも事実なので今いう事にしたのである。

 そして,それを受けた光輝は穏やかな笑みを浮かべながら言った。

 

「……例えそうだとしても,いや,仮に俺が地球人だろうと俺はこの戦いに参加していましたよ」

「光輝君……」

「置かれた現状も,心の痛みも,全ては俺自身が選んだ道。寧ろ……感謝していますよ。何も知らなかったらきっと俺は俺自身を許せなかった」

 

 そう言って,光輝は悟空達がこちらに振り向いて待っているのを見て彼らの元へと歩き出す。

 

「だから,感謝こそすれ怒る理由なんてどこにもない。貴方は俺達のボスなんだから,ここでふんぞり返っていたら良いんですよ」

「……ええ,頼んだわよ……光輝君,みんな」

「行ってきます」

 

 光輝からの言葉に,時の界王神が持っていた不安の気持ちはどこかへ消し飛び……戦士達が光に包まれ戦場に向かったのを見届けた。

 それを見送った時の界王神の背後に,今まで姿を見せなかった破壊神ビルスと付き人であるウイスがまるで初めからそこにいたかのように現れる。

 

「全ては自分自身が選んだ道,か。やはり奴は面白い存在だな」

「ビルス様?! いつからここに?」

「ずっといたよ」

 

 ニヤリと笑うビルス,まるで「誰にも気がつかれなかった」という事を自慢げにしているようである。

 

「以前光輝さんに見つけられたことを実は根に持っていたのではないですか?」

「おいウイス! 余計なことを言うな!」

 

 しかし,ウイスがビルスの自慢げな様子を裏打ちするようにその理由を話してみるとビルスは青筋を立てながらウイスへ抗議する。

 その講義をオホホと受け流しながらウイスは時の界王神へ目を向ける。

 

「ところで,クロノアさん」

「は……はい?」

「光輝さんに託したあのブレス……ただの次元移動装置ではありませんね?」

 

 微笑ながら問いかけてくることに逆に圧力を感じてしまうけれど……ウイスに嘘は通用しない。

 

「はい」

「ほう? 一体何を仕込んだというんだい?」

「……きっと,光輝君の力になってくれるものです」

 

 曖昧な返事であるが,ビルスもネタバレをされるのは嫌なのか「そうかい」と呟き,ウイスへそれぞれの戦場の映像を出すように言う。

 ウイスは言われた通り,その万能の杖を持って空中に一振りすると二つの映像が現れた。

 

「悟空達の相手も,どうやら一筋縄ではいかないようだな」

 

 悟空達が対峙しているのは,彼らの世界の選りすぐりの強敵たち。一星龍を始め,ジャネンバや別の次元のフリーザ,クウラや……どこから現れたのか分からない悟空達のクローンまで存在している。

 それもその全てがシーラスによって凶悪化を受け本来よりも強化された悪の戦士達。一際巨大な気を放つ一星龍だけが要注意人物という訳でもない。

 

「却ってこちらは悟空さん達に比べて静かですね」

 

 その言葉にもう1つの映像を見ると,渋谷のスクランブル交差点に二つの人影……光輝と仮面の男が対峙していた。何かを会話しているのか,光輝の口が忙しなく動いている。

 光輝の表情はどこか愁いを帯びたもので,拳を力強く握っている。そんな時……シーラスの声がまるで脳裏に直接声をかけられたかのように時の界王神やビルスたちにも聞こえて来た。

 

『時の界王神,並びに俺に歯向かう戦士達よ』

 

 そんな言葉から始まったシーラスの術……その影響は保護区に避難していた筈の人々の脳裏にも聞こえてきてその気味悪さから戸惑いの声が多くあげられる。

 昨日いきなり変な所に連れてこられたと思ったら,いきなり意味の分からん男の声が響くのだから戸惑うのは当然である。

 楓たちも,いきなり響いて来た声に顔をゆがめ咲良は楓に抱きつく。

 

『今日がこの腐った世界の終焉……貴様達には俺が直々にその終焉のさまをみせてやろう』

 

 その言葉と共に,シーラスの術が発動したのか時の巣にいる人たちの脳裏に映像が映し出された。それは二つの世界をまたいだ戦局の様子。

 当然保護区にいる人達からは戸惑いの声があがり……徐々に興奮の色が起き始めていた。彼らにしてみれば,架空の存在だと思っていた戦士達が自分の知らない場所で,見覚えのある敵達と相対しているのだから興奮するのも無理がない話ではあるのだが状況を鑑みると酷くデリカシーに欠ける。

 

『さあ……これが最後だ。俺と貴様ら……どちらが世界にとって必要か決めるとしよう!』

 

 その言葉と共に,インフィニットワールドにいる悟空達と敵対する戦士達の様子が一気に変わる。黒の凶悪化を受けた気が,更に燃え上がる敵側の戦闘力を一気に増大させる。

 仮面の男からは,漆黒の気が流動的に流れていて……それが神の気だと気が付くのに時間がかからなかった。

 

「ほう……あの仮面の小僧も神の気を……にしては禍々しいな」

 

 神の気はクリアな性質なもので,通常は測ることは出来ない。ビルスや時の界王神のような神様や光輝や悟空とベジータのように特定の修業を受けた者のみが感じ取る事が出来るものだ。

 だけども,仮面の男のそれは気が表面化しているというのに分類としては間違いなく神に近いものである。

 

「彼の場合は恐らく,宇宙樹に含まれる神力が彼の気と呼応してそうなっているのでしょうね」

 

 宇宙樹はそもそも伝説上の神樹,その力はやはり神の部類に値するものなので当然そこには神の力がある。それをその身に受け自らの気と融合したのが今の仮面の男の力。

 光輝と対極を為す黒の姿。

 その時……

 

『いい加減,その仮面を取ったらどうだ』

 

 光輝の声がシーラスを通して脳裏に響く。

 それは仮面の男の正体を明かせというもの,しかし仮面の男は嘲笑しながら答える

 

『なら,力づくで剝がしてみるのだな』

『そうかよ……行くぜ』

 

 そう呟いた光輝が超サイヤ人2に変身すると,悟空達の方も一斉に気を解放する。サイヤ人達は超サイヤ人に,他の戦士達もそれぞれの気を纏う。

 

『これで……全てが変わる。この俺の運命,この世界の運命……そして,貴様の運命も!!』

 

 腰をかがめまるでハンターのような構えを取る。そんな光輝の構えと対照的な構えで仮面の男は向かいあう。

 

『これで最後だ!!』

 

 雄叫びと共に,金の光が漆黒の闇と激突し……最後の戦いが開戦した。

 




お疲れさまでした!

いよいよ開戦です。

悟空達VS一星龍率いる凶悪化軍団,光輝VS仮面の男(宇宙樹ブースト)が対戦カードです。
現在宇宙樹のエネルギーは,シーラスがブラックの元気玉に協力したことによって宇宙創成に必要なエネルギーが溜まっていない状態です。
なので,悟空達や光輝達はどれだけダメージを追わずに敵を片付けることが出来るのかに勝敗が関わってきます。


シーラスから見てもあの時ブラックが負けるのは想定外だったりする。

では!
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