Warrior beyond despair   作:レオ2

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書き上げていたのになぜか出していなかった()


新戦局

 光輝と黎騎が激突している地球,その世界とはまた違う世界インフィニットワールドではまさに総力戦が行われていた。

 数多の時代から終結した超戦士達が,この世界の危機に立ち向かうその雄姿は保護区にいる人たちにも勇気を与えている。

 

「サイヤ人……殺す!!」

「やってみやがれ!!」

 

 ツフル人の怨念の集合体……ハッチヒャックがバーダックへと迫るが,バーダックは獣のような笑みを浮かべてその巨体を右フックで撃ち抜いた。その重い一撃はいくら怨念の集合体と言えどダメージを受けてしまっていた。

 バーダックはニヤリとしたままハッチヒャックを吹き飛ばし追撃を図る。

 

「小僧!!」

 

 その向こうでは悟飯・ゼノが凶悪化によって禍々しい気を纏っているボージャックと激突していた。

 ボージャックの戦闘力は,この世界で光輝と会ったボージャックとはまるで別人のように高まり,殺戮衝動を伴って悟飯へ迫るが強くなっているのはなにもボージャックだけではない。

 潜在能力を解放した姿になりつつ,悟飯も迎え撃つ。

 

「お前達の好きにはさせないぞ!!」

 

 腕をぶつけ合い力比べをしていたが,直ぐに弾かれたような乱撃戦を繰り広げる。ボージャックは巨体と筋肉質な肉体から放たれる凄まじいパワーで悟飯を嬲り殺そうとしているが,それを悟飯は紙一重で躱し,自分の一撃をしっかりと決めていく。

 凶悪化によって痛覚など無視しているような状態だが,それでもダメージを徐々に負っていく。そしてダメージを受け続ける自分と,悪魔に魂を売った訳でもないのに自分を追い詰めている宿敵にボージャックは狼狽えたように叫んだ。

 

「何故……俺は貴様に勝てないんだ?!」

 

 悪魔に魂を売ったのに,目の前の悟飯はそんなものをしなくとも純粋な強さで自分を凌駕してくる。それがプライドだけは高いボージャックには許せることではなかった。

 しかしそんな思いとは裏腹にボージャックは悟飯の回し蹴りで吹き飛ばされて行った。

 

「簡単だ,負けられないからだ!!」

 

 そう叫び悟飯はボージャックを追っていく。

 その更に向こうの荒野では,孫悟天・ゼノとトランクス・ゼノが地獄が生み出した鬼……ジャネンバと相対している。長いタイムパトローラー歴の中でもトップクラスに厄介な相手,だが悟天とトランクスは息の合ったコンビネーションで互角以上の戦いを繰り広げている。

 

「ウへへへ!!」

 

 抑えきれない笑みで悟天へ刹那の雨を降らすが,それを悟天の前に庇うように現れたトランクスが超サイヤ人3に変身しながら剣に気を纏わせそれを放つことでその全てを相殺する。

 そのトランクスの背後から悟天が潜在能力を解放した姿で一直線にエネルギー波をジャネンバに向けて放つ。

 だがそれをジャネンバは自身をブロック状に分解して姿を消した。

 

「トランクス君!」

 

 それを見た悟天がトランクスに声をかけると,すぐさまに2人は背中合わせになり周囲の気配を探る。

 そして,ある一点の空間を歪んだのを感じた2人は同時にその歪みへと気功波を放った。

 

「……ッ?!!」

 

 その歪みから再びブロック状になって現れたジャネンバは,避ける余裕も無くまともに気功波に飲み込まれた。

 これが光輝と戦ったジャネンバであるならば,冷静さでまだ避ける事が出来ただろうがこのジャネンバは凶悪化によってただでさえないに等しかった理性が更にふっとび冷静な判断が出来なくなっている為避ける事が出来なかったのである。

 

「ウギギ!!」

 

 気功波を耐えきったジャネンバだったが,忌々しそうに2人のゼノ戦士を睨みつける。その2人は構えながら会話した。

 

「今更だけどさ,光輝君って不思議だよね」

「どうしたんですか藪から棒に」

 

 目の前の相手は油断していたら一気に持って行かれるほどの戦士,それにも関わらず悟天がいきなりそんな事を言い出したことにトランクスは苦笑しながらも遮ろうとは思わなかった。

 今頃,光輝も己の戦いを繰り広げている事だろうが,悟天が言う事もトランクスにはよくわかる。

 

「初めて会った時は心配になる位心が弱かったのに……今は強い。もしかしたら父さんやベジータさん以上に」

 

 その言葉通りなら既に悟天よりも強くなっているという事になるのだが,悟天はそれに悔しさを感じていなかった。

 弟子に追い越されたが,それでも嬉しさの方が勝っていた。

 自分に敵わない敵と戦うために,強さを貪欲に求めていた過去の光輝。痛々しくても……それは一種の神聖さをも持っていたと悟天は思っている。

 

「光輝君が頑張っていると応援したくなるんだよね」

 

 悟天の言葉にトランクスは頷いた。

 一応,仕事としてトランクスは光輝に指示をしたりする立場でもあったため彼の戦いの殆どを見守って来た。修業的な付き合いは悟空やベジータの方が長いかもしれないが仕事の仲間ととしてはトランクスの方が付き合いが長い。

 だから悟天のいう事も何となく分かる。

 

「ああ,光輝さんはまだまだ強くなる。俺達もうかうかしていられない!!」

 

 お互いニヤッと笑い,2人は更に気を解放した。

 それに伴ってトランクスは超サイヤ人ゴッドへと変身し,2人はジャネンバとぶつかった。

 他の場所でも,それぞれの戦士が凄まじい激突を繰り返している。未来の悟飯はピッコロと共に完全体セルと,ジレン達プライドトルーパーズは大猿になったベビーや純粋の魔人ブウと,ヒットはヒルデガーンと,そして光輝に精神と時の部屋で修業を付けた悟空とベジータは因縁の相手である光輝が倒したのとは違うゴクウブラックとザマス。

 これまでの歴史の中でも最大の戦いと言っても過言ではない。

 ……この中の最大戦力とも言えるであろう存在である一星龍の前には2人の超サイヤ人4が並んでいた。

 

「やっぱ一筋縄じゃいかねえな」

「チっ,相変わらずの化け物め」

 

 超サイヤ人4……孫悟空・ゼノとベジータ・ゼノには戦いの傷が所々に見受けられるが,一星龍には傷1つ見受けられない。一星龍には黒の気が彼に力を与えていてその強さが何となく伝わって来る。

 純粋な強さだけならば,シーラスや黎騎など足元にも及ばない。何故一星龍がこっちの世界に残ったのが不思議でならない。一星龍がいれば,光輝が1人で彼に勝てる可能性は低かっただろうに,何故インフィニットワールドに残す選択をしたシーラスの采配が良く分からない。

 

「ふふふ,貴様らも少しは腕をあげたようだが俺には到底及ばない」

 

 だけども逆に言えばまだチャンスである。

 黎騎とシーラスだけならば,きっと光輝は勝ってくると2人も信じている。別に光輝があの2人に勝つまで一星龍を止めていればいいなんて消極的な作戦を立てている訳でもないが,それを差し引いても一星龍はやはり強かった。

 それでも……

 

「そいつはどうかな,オラ達もまだ全力じゃねえぞ?」

 

 大胆不敵に口元に笑みを浮かべ,一星龍を相手にそう啖呵を切って見せる。しかし一星龍もそんな事は知っている。彼らが神龍によって撤退する前に見せた悟空の真の力,悟空だけが使える姿ではあるまいと一星龍は睨んでいた。

 それに彼らにはまだ奥の手があることも……

 

「ふははっ!! ならばさっさと全力とやらを出すがいい。それとも,またあの融合技でもするつもりか?」

 

 そうはさせないぞと睨むように2人を見る。

 一星龍の言う融合技はフュージョンの事,過去この2人のフュージョンによって生まれた究極の戦士にコテンパンにされた事があるからか,一星龍はそれを一番に警戒していた。

 

「フュージョンはおめえがさせてくれねえんだろ?」

「当然だ」

「フンッ,カカロット。どうやら奴は俺達を恐れている様だぞ」

 

 ベジータは一星龍の行動が可笑しいのニヤリと笑って煽るように一星龍を見る。

 

「愚か者め,この俺が貴様ら砂利如きに恐れるだと? 大言壮語も甚だしいわ!!」

「ならば貴様は何故俺達のフュージョンを阻止しようとする? 俺達を恐れているからとしか考えられないが?」

「貴様ぁああ!!」

 

 ベジータのしつこい煽りに一星龍は目くじらを立て,凄まじいスピードで迫った。それは一瞬眼を話していたとはいえ悟空にすら見えない程のスピードでだ。

 だがベジータはそれを待っていたと言わんばかりに一瞬でその姿を更なる紅に染め……迫っていた一星龍へカウンターを合わせた。

 

「ぬぅ?!!」

 

 ただのカウンター程度なら強靭な肉体を持つ一星龍には到底通用するものではない。だが,彼の相手である2人も間違いなく全ての歴史の中でも頂を争う2人に相応しい実力者の1人。

 瞬間的に力を引き出したベジータの一撃は一星龍の動きを止める事に成功した。

 

「おりゃああああ!!」

 

 その隙を悟空は見逃さず,ベジータと同じ超サイヤ人4のフルパワー,そしてそのフルパワーすらも限界を突破した姿に変身し追撃を図る。

 ベジータも自らが作り出した隙を逃さないと2人はバラバラでありながら,凄まじい波状攻撃で一星龍へ迫る。

 一星龍はそれらの攻撃に対応しようとするが,そもそも今の2人の姿はかつて一星龍と戦った時よりも進化した姿。いくら凶悪化の力を我が物とした一星龍でもこの2人の連携攻撃を捌ききることも,その頑丈な肉体で止める事は出来ず……いつしか一星龍が徐々に押され始めて行った。

 

「ぐっ……!」

 

 苦虫をかみ殺したような表情で連携攻撃を捌く一星龍に最初程の余裕はない。

 だが,それは悟空達も同じだった。

 

(こいつが他のドラゴンボールを吸収したらもっとやべえことになる!)

(その前に決めてやる!!)

 

 かつて2人が戦った時,一星龍は凶悪化の影響を受けていない今の段階でも超サイヤ人4の悟空を圧倒する力を持っていた。その後,悟飯たちからサイヤパワーを限界以上に吸収した超フルパワーサイヤ人4でようやく一度肉体をバラバラにするほどの攻撃を出来たというのに,この状態の一星龍が本気ではない事を2人は知っている。

 もしも凶悪化の影響を飲み干したこの一星龍が,他のドラゴンボールを吸収してしまったら2人しても確実に勝てるとは言い切れない。

 ドゴン! とけたたましい衝突音を鳴らした3人は,一星龍が強引に気を解放して2人の距離を離した。

 

「なるほど大ぼらを吹くだけの事はあるようだな。お前達の実力は最後に戦った時の数倍……数十倍にまで跳ね上がっている」

 

 近づこうとしたベジータへ気合砲を放ち牽制しながら2人に対してそう言った。それは一星龍なりの掛け値なしの賞賛である。だが,別に悟空もベジータも褒められたところで大して嬉しくない。

 

「だが,それでも俺を倒す事は出来んわ!! いでよ邪悪龍たちよ!!」

 

 叫んだ瞬間,一星龍が纏っていた黒の気が周囲に散らばりどこからか飛んできたドラゴンボールがそれらを包み込んだ。

 そうして黒の気はドラゴンボールに呼応して,人型或いは龍型の影を作り出した。

 

「おめえら……!」

 

 新たに現れた6つの影は,やがて操られている証明のように紅く瞳が光が灯り悟空とベジータを睨みつけた。彼らの力もまた,宇宙樹の影響によって浸食され増大していた。

 そんな中でもかつては共闘したこともある影に悟空は話しかけた。

 

「四星龍!!」

「悟……空……!」

 

 黄金の身体を持つ龍の名は四星龍,邪悪龍の1人でありながら正々堂々とした戦いをする事を好む生粋の戦士であり悟空が邪悪龍との戦いで初めて楽しく戦った相手だ。

 だからそれ故に,正気を懸命に保とうとしている痛々しい姿に悟空はこんな事をした張本人である一星龍を睨みつけた。

 

「一星龍,おめえ!!」

「フフフ,2対7か……お前らにフュージョンをする間はあるかな?」

「フュージョンなど必要ない! 貴様らまとめて俺が葬ってやる!」

 

 集結した邪悪龍,どれもが何かしらの能力を携えていてその厄介さも随一である。しかしそれでもベジータや悟空の戦意が削がれることなどなかった。

 数的不利ではあるが,数など問題ではないとこの2人は普通に考えているからである。

 

「四星龍……」

 

 悟空は自分の真正面に立つ四星龍を見ると,彼は必死に自分に侵食してくる悪の気と戦いながら懇願した。

 

「悟空……頼む,俺達を……止めてくれ……っ!」

 

 それは四星龍なりの意地だった。自分を保つことが出来なくなりなりながらも,ライバルに歪んだ自分の引導を渡して欲しいという意地だ。

 既に他の邪悪龍たちは正気を失いただの操り人形にされながらも,彼だけは戦士の意地で正気を保っていたが……彼も限界なようだった。

 

「ああ……俺達がおめえらを止めて見せる!」

 

 その悔しい気持ちが悟空にも伝わって,拳を握りながらも四星龍にそう約束した。それを聞いた四星龍はどこか安心したように微笑んで……その眼が真紅に染まった。

 

「止めるだと? 貴様ら2人だけで勝てると思っているのか?」

 

 そんな2人の武道家としての会話を聴いていた一星龍が嘲笑するように鼻で笑った。一星龍にとって戦士の矜持とはくだらないものであり,それに拘る悟空や四星龍の会話は実に滑稽であるのだ。

 だからこその挑発的な言葉,だがそれに答えたのは悟空やベジータではなかった。

 

 

「二人だけじゃないぜ!!」

 

 

 全くの意識の外から聴こえて来た声に,悟空達は上を見たら二つの人影がいた。太陽をバックに並ぶ姿はどこかの特撮ヒーローのようで,2人にはマントがあるのが更にその印象に拍車をかける。

 

「おめえら!」

 

 悟空はその人物達がここにいる事は意外だったのか,純粋に驚愕を露にしながら目の前に降下してきた2人の人造人間に問いかけた。

 

「もう終わったのか?」

 

 その問いの意味は一星龍には分からなかったが,別に全てを潰すだけなのだからそんな会話はどうでも良いと割り切る。目の前の人造人間……この世界では見なかった2人で人造人間だからか気を感じはしない。

 だが,たかが人間が作った人形如きに自分が負けるはずがないという確かな自信を持っている。

 

「ああ,彼らは筋が良い。既に()の援護に向かった」

「そっか,きっとあいつらは助けになってくれるな」

「ここからは俺達も参加させてもらうぜ!」

 

 人造人間……ガンマ1号と2号は不敵な笑みを浮かべ,目の前の邪悪龍たちを見やった。

 

「小賢しい人形如きが,貴様ら砂利如きにこの俺を倒す事は出来んわ!」

 

 数的には4対7,不利なのは変わっていないがそれでも人数が増え……それもガンマ達の力はこの世界の上位に食い込めるほどの実力者。流石に悟空やベジータには及ばないかもしれないが,それでも足手纏いにはならない。

 最初は悟空とベジータが一星龍と戦う作戦だったが,他の邪悪龍たちが出張って来てしまった以上そんな事を言ってはいられない。他の戦力たちが敵を殲滅し,集結を待つ時間も今は惜しい。

 

 それに,ガンマ達は人造人間……それ故にダメージエネルギーという概念も無くある意味シーラス達に対するジョーカーである。

 だからこそ,一星龍の人形や砂利発言に眉間を寄せて却って気丈に名乗った。

 

「砂利じゃない,俺達はスーパーヒーロー……ガンマ2号だ!」

「同じく,ガンマ1号……行くぞ!!」

「ふっ,馬鹿馬鹿しい。ヒーローだと? いつから貴様らが正義になったというのだ? 愚か者が!!」

「行くぞベジータ!!」

「俺に指図するな!!」

 

 ガンマの名乗りと共に,戦局は新たな局面に映って行ったのだった。

 

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