大幅追加。
笠木のゲーム宣告から3日経った。古びている一軒家の前にまで来て光輝は深呼吸してスライド式のドアを開けた。そうすれば目の前には何やら作業場のような場所になっていてその真ん中には光輝の祖父の武蔵と同じぐらいのお爺さんがいた。光輝は小さいながらもしっかりとした意志を持つ声でその背中に声をかけた
「健作さん、来ました」
「ああ、よく来たな」
健作と呼ばれたお爺さんは浮かない顔つきで振り返り光輝を見た。健作は武蔵と同い歳の老人であり親友だ。武蔵の真剣を作った人物でもある。光輝も物心ついた時から祖父についてきてよくお話をしてくれたから大好きなお爺さんである。光輝からすればもう1人の祖父と言っても過言ではない。そんな健作に光輝は1年前に祖父の遺品の真剣を持って来てある事頼んだのだ。
「出来てますか?」
「ああ、出来ておる」
そう言って1本の西洋風のロングソードを渡してきた。光輝は感嘆しながらそれを受け取った。取っ手は手に馴染みやすく刃は光沢がある。思わず少し目を閉じた程だ。少し重いが普段から重りをつけている光輝からすればそんなに気にならない。
少しだけ離れて少し振り回してみればとても良く光輝は満足だった。·····満足する内容が小3でする事では無いのだが。光輝は健作に振り向きながら言った。
「ありがとうございます。お代を渡します」
光輝は楓から2年前からお小遣いを貰っている。お年玉も貰っている。しかし全くと言って良い程使わない。それでも少し足りるか危うい。足りなかったら光定が経費という事で出してくれるとなっている。だけど光輝は自分のお金で足りるなら越したことはない。
「いらん」
だからそんなバッサリと要らんと言われ疑問符を出しまくった。1年時間があったとはいえ労力は光輝の想像もつかない程だ。だから光輝からすればお金は払うのは道理。
「……元々それは武蔵の物だ。そのお代は元々貰っておる」
そう俺はおじいちゃんの使ってた真剣を1年前この人、健作さんに預け西洋風の剣に作り直して貰うように頼んだ。あの真剣はどちらかというと日本刀に近かったからだ。確かに日本刀は一撃必殺の威力は使い始めは最強の切れ味があるだろう。しかし俺は一撃必殺よりも安定さを求める。それと竹刀の時俺は大体叩き切るスタンスが多いからって言うのもある。
別に俺は笠木と一騎打ちする事を予言していた訳では無い。おじいちゃんの真剣はあの戦いのせいなのか少しすり斬られていて剣を名乗るには少し心もとない状態だったから。
光輝は理由を聞いたが、それでも元があるってだけで作り直した時の材料費はかかったはずだからやっぱり払うと言う。
「でも、作り直す為の材料費とかが」
「いらん。儂は言った事は曲げん。どうしてもと言うなら」
そう言って健作は光輝に向いた。その目には涙が溜まっていた。光輝が産まれる前武蔵が男の子と分かった時から武術を教えたいと……麗華の時は女の子だし勉強が好きだったから無理強いは出来ずに伝える事は出来なかった。
だけど光輝が産まれ、もし武術や剣術をする事があれば武蔵は自分が死ぬ前に自分の真剣を光輝に継承しようと思ってると健作に話していた。健作は自分が作ったものが親友に使われなくなるのは少し悲しかったが親友がそうしたいならそうすれば良いと思っていた。
そうして光輝が産まれ祖父とメビウスやヒカリの影響を受け武術や剣術をするようになってから武蔵はよく光輝をここに連れてきていた。健作は所帯を持っていない。麗華も偶に連れてこられた事はあるが女の子だからかあまり興味無さそうにしていたが光輝は初めて来た時からキャッキャッ言って嬉しそうに見ていた。そこから健作も光輝への愛情が湧いた。
「絶対に、絶対に生きて帰って来るんじゃ! 帰って来た後ならお代は頂こう」
これは楔だ。親友は2年前に死んだ。その知らせを聞いた時健作は目の前が真っ暗になった。親友家族の葬式の時にいた光輝に声をかけようと光輝は抜け殻のように反応せずそれが健作の胸を苦しくした。しかし櫂家に引き取られ1ヶ月程経った時光輝はやってきた。
当時の事を謝りながら祖父の形見の真剣を健作に渡そうとした。真剣を作った健作が持っておくべきだと思ったからだ。
だが健作は断った。法律的にももう光輝のものだし健作自身も受け取ることを良しとしなかった。早すぎるが武蔵が言った通り光輝に継承し持っていて欲しかったのだ。それがこんな状況で叶うのは皮肉だが背が腹には変えられない。
そして光輝は……大事な人の為なら自分を犠牲に出来る人間だ。それが健作には不安だった。だからこそこの楔がいるのだ。
光輝はその健作の視線を受け真っ直ぐ見つめ返し頷いた。
「……分かりました。絶対に払わせていただきます」
その返事に健作は満足そうに頷き最後に戦いの地へ向かう光輝に向かって言った。
「お主に生きていて欲しいと思ってる人達がいる。それを忘れるんじゃないぞ」
「……はいっ!」
そう気合いの籠った返事をした。その後光輝は剣を入れるための蒼色の鞘と風呂敷を光輝は健作の作業場兼家を出た。帰ってる最中好奇か蔑む目で見られているが光輝は無視しながら健作の言葉を思い出しながらあの笠木のゲーム宣言の後の事を思い出していた。
★★★★★
衝撃の世界への宣戦布告の後直ぐにあいつのあのうざったい顔が見えなくなった。世界は唖然としただろうな。だって何かの世界チャンピオン辺りに言うかなと思ったら名も知らない奴、それも8歳の奴だし。まあ俺の事はもうあのクズ野郎のせいでバレるのは時間の問題だろう。1番唖然しててもおかしくなかった俺は案外頭に血は昇ってるが冷静である。指定するって言われた瞬間にもう何となく予想してたのもある。
そう思っていたら櫂家の固定電話が鳴り響いた。その電話をとる楓さん。そして2言喋るとこっち向いて手招きした。そして電話に出て聞こえてきたのは光定さんの声だった。
『……光輝君、テレビは見たかい?』
神妙そうな声を出していた。そうだろうなと思いながら返事をした。
「はい、見ました」
『行くな』
単純明快、それだけ言われた。心配してくれたんだろうな。2年前も俺が精神的に死んでる時に毎日お見舞いをして来てくれた人だからな。俺も実際3人目のお父さんだと思ってる。因みに2番目は櫂さんだ。だが、それでもとぼけてみる。
「何でですか?」
『わざわざ笠木の言うことを聞く必要は無い。場所がわかってるなら一斉に叩けば何とかなるはずだ』
そう2年前にも似たような会話をしたなぁと思いながら俺は返す
「俺は何とかならないと思う。何故ならもうあいつは俺があの時戦ったあいつとは別人と言ってもいいくらい強くなってる。そうじゃなければ20万人を殺害なんてできない。例えそれが奪ったエネルギーありきでも。それに俺は2年前にも言いました。あいつには多対1はあいつの強化に繋がりこっちは弱体化する。だったらここは癪だがあいつの言い分に乗る」
元々俺はあいつが俺を指名しようがしまいが戦うと決めていた。結局戦う事になるのなら誰の影響もない1体1で戦った方が良い。ヒーローなるとかなんざどうでもいい。元々俺は英雄にはなれやしない。それでも光定さんは……
『駄目だ! まだ君は8歳の子供なんだ! 君を戦わせる訳には行かない!』
年齢的な問題もあるがそれだけが理由ではない。光輝の家族の事にも気が付かなかった自分の不甲斐なさもある。だから光輝だけは戦わせたくないのだ。それを分かってる上で光輝は言う
「じゃあ聞きます。今この世界であいつにサシの勝負で勝てる人は俺の他にいるんですか? まあもっとも俺でも勝てるかは正直怪しいですけどね」
『それは……』
ニュース番組ではあいつが目立ちたがり屋なのか自分の力を誇示するためなのかあいつが自分で撮ってた襲撃の映像を世界中のテレビ局に送ったそうだ。この撮影に使われてたのが後のドローンである。無駄に時代の先を行ってるな。それを違うことに使えば世間に評価されまくってたんだろうけどな。
そしてその映像は俺も見たが確かに以前よりは強くなってる。もっとも戦い方自体はどっかのヤンキーの喧嘩スタイルだがそれをパワーとスピードで補ってる。
だが映像を見る限り戦えないことは無い。今の30kgの重りをつけてる俺のスピードぐらいしか無さそうだし。因みに重りは四六時中つけている。とるのはお風呂の時だけだ。だからそのスピードやらを見た事ある警部さんが俺の質問に簡単にYESと言えないのだ。勝てるかは怪しいと言ったのはもしあいつが全部のエネルギーをまだ集めてない場合の事だ。流石にそこまでは分からない。
「あいつは俺がご所望なんです。だから俺が行きます」
もう指定された時から覚悟は決めていた。どっちみち戦わなきゃあいつは元々滅ぼすつもりなんだからどちらにせよ戦うことになる。それが遅いか、早いかの違いでしかない。
『しかし……。え、ちょっとすまない』
そう言って誰かと喋っている。そしてまた話しかけてきた。
『……明日の日曜日空いてるかい?』
「まあ、やっぱり修行ですって言いたい所ですけどそれよりも優先するべき事ですか?」
『ああ』
「……分かりました。何処に行けばいいですか?」
『警視庁の前に来てくれ。迎えに行かせる。明日また話そう。それから櫂さん達も連れてきなさい』
そう言って電話は切れた。
「明日警視庁に来てくれって警部さんが」
それを聞いた楓さんが聞いてきた。
「あなたは行くつもりなの?」
楓は警視庁に行く事ではなく笠木の所にって意味で聞いた。勿論光輝もそれは分かってる。分かってるが誤魔化す
「そりゃぁ、約束しちゃったし」
「そうじゃない!」
とぼけてみたが通じなかった。楓さん普段は全然怒らないけど怒ったら凄い怖い。夜中の修行をバレた時の怒り様は半端なかった。それだけ心配させたと知り以後は自粛したが。そう思っていたら楓さんは目に涙を溜めながら言った。
「なんで、なんで光輝君ばかりそんな目にあわなきゃいけないのよ! 光輝君が何したのさ!」
だがその声の大きさが問題だった。怒鳴り声だったから光輝は指を口に当てながら言った。
「しっ! 咲良が起きますよ?」
咲良は何が起きたのか知らずにすやすや寝てる。可愛い。楓さんはしまったというふうに咲良を見た後ほっと息を着いた。そうして困った顔をしながら聞いてきた
「あなたはどうしても行くの?」
「……明日櫂一家も来てくれって言われたからその時でいいですか?」
「……わかったわ」
「ありがとうございます」
その会話の終了と同時に咲良が起きた。伸びてる。
「う〜ん。おはよう」
「ん、おはよう」
「おはよう、咲良」
そう言って寝てたソファから降りるとゴムボールを取りキャッキャッと俺の所に来て笑顔で言った。
「にいちゃんちゃっかーしよう!」
「サッカーな。まあ、少しだけだぞ」
もしかしたら最後になるかもしれないけどなって心の中で続ける。
★★★★★
警視庁、大会議室。そこに俺と櫂さんと楓さんとで来た。咲良はおばあちゃんに預けられた。2人は多分保護者……のはず。何故はずなのかと言うと2人は俺を止める役割かもしれないからだ。
ドアに櫂さんがノックする。そうすれば既にスタンバっていたのか直ぐに返事が来た
「どうぞ」
そしていたのは警部さん……だけじゃない。テレビで見た事あるような人達ばかりだ。それも今の日本のトップ達だ。そして後ろのバカでかいモニターに映っているのは多分各国の大統領なりトップに近い人達だろう。よくまあこんな短時間で集まってくれたなと思う。それだけ重要なんだろうな。まあ世界征服宣言されたらこうなるか。因みにアメリカの大統領もいた。逃げきれたようで何よりだ。
あとから気づいたがあのクズ野郎が世界征服宣言した場所はどうやらホワイトハウスだったらしい。大国に喧嘩売るなーと思った。つーか俺英語わかんないんだけど。そう思ってたら現日本の内閣総理大臣が話しかけてきた。
「よく来てくたね、どうぞ座ってくれ」
何かイメージと違って柔らかい声で少し安心したと思いながら光輝は何故か真ん中の椅子に、櫂と楓は光輝の斜め下の左右にそれぞれ立った。櫂達も緊張しまくっている。
「はい、ありがとうございます」
礼して座る。櫂さん達も座った所で話が始まった。
「単刀直入に聞こう。君はどうするつもりなんだ?」
そうトップ故の厳しい顔になりながら聞いた。8歳の少年に聞くのは酷な質問だ。総理自身も本当はこんな事を聞きたくない。自分にだって家族がいる。息子だって。自分の息子が8歳の時に同じ事を聞かれたら息子が答える前に全力拒否するだろう。8歳なら衛兵隊にすら行かない歳だ。
「それは戦うか戦わないかって事ですか?」
「ああ」
光輝は改めて聞いた。その言葉に総理は頷いた。そんな総理に光輝はある種の好戦的な笑みを浮かべながら返した
「だったら愚問ですね。あいつがわざわざ指定してくれたんだ。あの野郎の自信満々な笑みをぶっ潰すチャンスなのにわざわざ退くことはない。それにあいつは俺が行こうが行かまいが世界を支配するつもりなんならどっち道戦うことになる。ついでに言うならそうなった時は周りに人がいる状態だと思うし人質なんて取られたら俺も戦いにくい。だったらあいつのご所望通りあの場の1VS1でやります」
そんな8歳とは思えない程の意志と力強さを感じさせる言葉で返した。その迫力に画面越しの各国のリーダー達も思わず少し息を飲んだ。
だが総理は少年が言っていい言葉では無いと思った。だが·····アメリカの軍事力が真っ向から潰されたのも事実。オマケに生命エネルギーまで。……連合軍を結成した所で結果は同じだろうと聞かされた。
「……君には勝算はあるのか?」
そんな光輝を見ながら聞いた。何故か自信満々にも見えたからだ。だが光輝は少し考えたが分からんとなり言った。
「正直に言うならわかんないってのが現状ですね。アメリカの襲撃の映像を見る限り別について行けないことはない。重りを外したら普通に超えてはいる。だけどあれがあいつの全力じゃなかった場合は分からないってのが本音」
最早最初の言葉だけでも色々おかしい。普通の人間なら絶対に無理だと言う所だろうに分からないとか。そして自分が見えなかったスピードを光輝は追えたという。それだけでも目の前の少年が人外に入っているのは一目瞭然だ。後ろのトップ達も翻訳されたのを聞いたのか少しどよめいている。
「そうか」
そう言って今度は櫂さん達に目を向けた。
「あなた方はどう思う?」
8歳なのだから保護者の意見を言うのは道理だ。楓は涙を流しながら言った。
「私は……反対です。まだ、まだ8歳なんですよ? 普通なら大人に守られて当たり前の年齢なんです! 確かに光輝君はもう人の域を超えてるんじゃないかってぐらい強いです。でも、でもだからってそんな命をかける所になんて行かせたくないです! 血は繋がっていなくても名前を変えていなくてももう光輝君は家族なんです!」
そうはっきり言われ光輝の胸に罪悪感が貫く。楓が言ってる事は至極当然だ。寧ろ光輝が言ってる事の方がおかしいのだ。アニメの主人公ならいざ知らず、リアルにこんな状況でそんな主人公の事を言える人間なんて何人いるのだろう?
だが、櫂だけは違った
「僕も本音を言うなら反対です。ですが僕は最終的には光輝君の意見を尊重します」
「あなた!」
そう言って楓は夫を睨みつける。だが櫂は2年間光輝を見続けたからこそ思った事を言う。
「僕らがここで止めても光輝君は行くつもりだと思う。彼がそう言う子なのは君も知っているはずだ。誰かの生死がかかった時彼はいつも飛び込んでた。自分の命を2の次にしてね。だからここで彼を止めても無駄だと思う。この2年間を見てたら余計にそう思ったよ」
それを聞いて思い当たる節があるのか顔を伏せた。ショッピングモールの時も重傷者が出ていたのもあるが光輝の近くに楓や咲良もいたのだ。暴れているその犯人から離れられるか楓達に襲いかかるのが先なのか分からなかった。だから逃げるんじゃなくて迎撃を選んだ。その事を思い出したのだろう。
「ただ、君が行くと言ってはいそうですかとは言わない。1つだけは約束して欲しい。
「俊樹……、わかってるの? 最悪光輝君は……」
光輝がすることは或る意味で特攻兵だ。生きていられるかすら分からない。その点でいえば楓達も同じだが光輝の抱く感情は櫂や楓達には想像もつかない。
「俺は死なない。だから……その約束は絶対に守ります。俺は恩を返すまでは死にません。絶対に」
そう斜め前に座っている光輝が言った。それは楓達への意思表明だ。絶対に生きるという意思表明、これから自分に何が降り掛かっても生きて帰るという楔で約束だ。
「……絶対に?」
「はい」
そう返され楓は目を瞑りため息をついた後しょうがないというふうに言った。
「……分かったわ。そんなに言うなら思いっきりやりなさい」
「うん」
光輝は力強く頷いた。
「話は終わりましたか?」
総理が見図らないながら聞いてきた。一切口を挟まず複雑な気持ちで今のやり取りを見ていた。
「はい」
「君の力はそこの光定警部にも聞いている。警察官の中の訓練に混ざり50VS1の中で君が勝利を収めたことも。まあ聞いた時は正直信じれなかったが映像まで見せられたら文句は言えまい。世界を……よろしく頼む」
あの時の映像取られていたのか。知らなかった。不覚。警察の人50人抜きしたぐらいで世界を守れる力があるとは思えないが俺がやる事は変わらない。だけど……それでも言うべき事がある
「……俺は自分の守りたい人達を優先する。世界どうこうってのはその延長線上の話です。極論言うなら俺は守りたいものを守れたらそれで良いって考え方です。それでもいいですか?」
そう言って翻訳されたのを聞いた後ろのトップ達は思いっきりざわついたが知らね。ザワザワしていたが総理が手をあげそれを収めた。そして暗い顔をしながら言った。
「わかった。もうアメリカの軍が敗北した時点で我々には笠木のゲームに乗るしかなかったんだ。それに自分の大切な者を守るという事も至極当然だ」
「そうですか」
これで落着かな? と思ったら思い出したふうに言った。
「君は何か武器を使うのかね? 光定警部の話によると君は1度笠木の犯行を止めた時は竹刀を使ったそうだが。もし何か使うと言うなら用意するよ」
俺がやった事もう聞いたのか。まぁそりゃそうか。総理からすれば犯行止めたってなんの事だってなるだろうし。
「いえ、結構です。おじいちゃんの形見の剣を預けてる人がいて昨日の内に連絡しといたので取りに行きますから大丈夫です」
「そうか、時間を取らせて悪かったね」
「いえ、大丈夫です」
「今日はもう帰っても大丈夫だよ」
「分かりました。失礼します」
そう言ってまたドアをくぐり外に出た。思いっきり息を吐いた。あの空間肩苦しい。そんな事を思っていたら櫂さん達も出てきた。そして3人とも無言で帰路につくのだった。
★★★★★
決戦当日、俺は開始時間の1時間前に家の玄関を開けた。晴れだ。気分的に良い。今からあの憎たらしい顔を見なきゃいけないと思うと気が少し重いがさっさっとぶっ倒す。あいつの力を全部使わせてエネルギーが無くなれば普通の人間でも捕らえて監獄にぶち込めるはずだ。·····こんな考えは甘いかな。そんな俺の姿は……あの赤と蒼の道着に背中に剣を背をっている姿になっている。
この数日は対クズ野郎で修行したが……やってみない事には分からないな。
「光輝君……」
そんな言葉を聞き光輝は振り返った。そこには櫂や楓がいた。咲良はまだ寝ている。昨日は何故か家族で同じベットに寝た。それでも不安は消えないのか光輝を心配そうに見る。そしてまた抱きついた。それに苦笑いしながら光輝は抱き返し……時間が時間だから離れた。もう家の前には光定の車がある。せめて送迎させてくれと言ってきたのだ。そして光輝はその小さな背中を楓達に向け言った。
「じゃっ、行ってきます!」
そう言って車に乗り込んだ。光定も櫂達に礼をした後入って車は渋谷に向かった。既に渋谷の避難は済んでいる。この10日間笠木に喧嘩を売りに行った奴は1人いた。だが·····呆気なく死んだ。その1人はそんなのある訳ないじゃん! と現実を見ずに行った奴である。
楓は光輝が乗り込み行った後泣き崩れた。そんな様子を後部窓から光輝は見た後前を向いてキッと目をフロントガラスでは無く笠木の幻影を映した。
この10日間、光輝は学校に行かず修行していた。そんな中光輝の担任の新井が来たが光輝の意志は変わらないと知ると……死ぬなと言った。これでまた楔が増えた。だから……だからこそ
(俺は……死なない)
そう心で改めて決意し決戦の地へ向かった。
お疲れ様です(*`・ω・*)ゞ
楔の数
櫂、楓、光定、健作、新井·····そして願っているのは愛美。
結構追加したなぁ。(*´∇`)ノシ ではでは~