レッツラゴー
2008年 6月の土曜日 西沢家の家にて
「じゃあバターをヘラで切るように混ぜて」
「うん」
そう言って小1の光輝はボールの中のバターと薄力粉と卵が混ざった物体をこねこねと混ぜる。その隣では愛美も同じ事をしている。混ぜている物体はクッキーの元で力を入れないと碌に混ぜれない。
現に力がない愛美はせっせと混ぜようとしているがそのスピードは遅い。対して光輝は普通にしんどそうだが混ぜれている。完全に混ぜ終わり光輝は困ってそうな愛美に聞く
「やろうか?」
悪戦苦闘している愛美を見かねて聞いたが恋心を持っている愛美は光輝にダサいところを見せたくなくて虚勢を張る
「私がやるの!」
そうぷんぷんと怒る愛美に光輝はタジタジになりながらも母……西沢蓮花に助けを求めたが蓮花は光輝が愛美を相手にした時タジタジになるのが可愛くて気づかないふりをした。それに光輝は困った顔になり愛美を見る。
愛美は混ぜるために力を入れているが元々非力な為少ししか混ぜれない。光輝はそれを見て少し躊躇った後、愛美の後ろに回ってヘラを持っている右手にゆっくり自分の手を添えた。それに愛美はビクンとして思いっきり叫ぶ
「こ、光輝、何すんのよ!」
愛美は全体的にイメージとしては髪と瞳の蒼の筈なのだが今だけは頬が赤くなっている。その上げた声は嫌がっているという訳ではなく好きな人の手がいきなり自分の手に添えられた事への羞恥が大概だ。その羞恥を光輝に悟らせない為に大声を上げたのだ。しかし光輝は愛美とは違い赤くなりもせず理由を言った
「こうしたら愛美がする事になるからいいでしょ?」
そう言って愛美の手に自分の手を添え一緒にクッキーの元を混ぜ始める。愛美の内心はそれ所ではなく光輝が後ろにいなかったら悶えて心臓が主に羞恥でおかしくなる所だ。そうはしなくとも今愛美の心拍数がやたらと上がっている事だろう。現に愛美の頬は先程よりも濃くなっている。
「……ばか」
精一杯の抵抗で愛美はそれだけ言ったが声が小さすぎて光輝には聞こえなかった。光輝もこの状況に体が熱くなって混ぜるという行為が無ければ愛美へ抱き着いてしまいそうになっている。そんな時光輝は間違えて少し愛美の頭部に突撃しかけて愛美のサラサラの髪の匂いを嗅いだ。そのどこか甘い匂いはクッキーを作るという体裁が無ければずっと嗅いでいたいと思ってしまう。
一方愛美も光輝のおかげで簡単に回る薄力粉と卵とバターが混ざった物体を見てから光輝の手と腕をチラ見する。
(愛美……良い匂いがする。どんなシャンプー使ってるんだろ?)
(光輝……また少し筋肉ついて男っぽくなってる。これ以上男らしくなったら私がおかしくなっちゃうよ)
そんな絵面だけ見ていれば完全にカップルの光輝と愛美を蓮花や父の零斗は二コニコと見ている。まさか小1から彼女を連れてくるとは思わなかった。……まあ付き合ってるわけではないがその内そうなりそうだから良いだろう。
そして触れ合ってみればいい子で直ぐに気に入った。愛美がこの家にいる間は西沢家の一員として面倒を見ている。因みに今祖父母は出かけている。姉は買い物に行っている。
そして二人はクッキーの元を作り終え蓮花に見せた
「どう? お母さん」
光輝は作業が終われば愛美から離れてそう言った。愛美はそんな光輝の後ろで先程まで光輝に触れられていた腕を名残惜しそうに見ていた。蓮花はそんな愛美を横目で見つつ二人のクッキーの生地を見て言った
「うん。ばっちりね。後は麗華が買ってくるデコするやつがあれば……」
「ただいまー!」
蓮花が言ったら噂をすれば何とやらで麗華が帰ってきた。麗華はクッキーに乗せるデコレーション用の材料やクッキーの型を買いに行っていたのだ。麗華の声を聞いた光輝は「タタタタ!」とエプロン姿で向かった
「お姉ちゃんお帰りー!」
「ただいま、光輝。おまたせ、はい」
そう言って麗華は微笑み買ってきた袋を光輝に渡した。光輝はそれを受け取り麗華に笑って言った
「お姉ちゃんありがとう! 大好き!」
そう家族としての好意の表明をした光輝に麗華も嬉しくなりギューッと光輝を抱きしめる。
「お姉ちゃんも光輝の事好きだよー!」
「ぐへっ!」
いきなり抱き着かれたからか光輝から変な声が出てくる。しかしそんな光景を唖然として見ている者が1人。
「なっ!?」
もしかしなくとも愛美である。頬を先程とは別の赤色に染めあわわと言っている。そしてその視線は姉に抱き着かれ嬉しそうな表情を見せる光輝だ。
(私といる時そんな顔しないのに)
そう考えたら愛美の中で嫉妬が出てきて愛美もタタタタ! と光輝と麗華に近寄った
「光輝続きするよ!」
抱擁されている光輝の腕を掴み引っ張る。そんな愛美をからかうように麗華は光輝の抱擁を強める
「もうちょっと抱かせて―!」
10歳も年が離れているからか麗華からすれば光輝が可愛い過ぎるのだ。それももう目に入れても痛くない程に。
しかしそれは愛美も同じ事、あの日から一所懸命光輝を自分に振り向かせようとしているがやはり家族と言うアドバンテージがあるからか余り麗華から自分に見てくれないという。でも……
「こ、光輝は私の……」
愛美がそこまで言ったら本人は「はっ!」とした顔になった。周りを見ると先程まで光輝を抱きしめていた麗華や蓮花はニヤリとしている。そして愛美はもう一度自分が言おうとした事を思い出した。
(私、今何言おうとしたの?)
「私の」とは普通は何かしらの物が自分の物と言うときに使う言葉だ。そしてその次に自分は何を言おうとしたのか。それは愛美が光輝の事を……
「あ……あわわわわ」
小1でもそれは分かったのか愛美の顔がどんどん赤く染まっていく。流石に愛美の様子がおかしい事に気が付いたのか光輝は麗華の抱擁から抜け出し愛美の目の前に歩いてくる。
そして心配そうに声をかける
「愛美大丈夫?」
「ひゃ……ひゃい!?」
謎の声を出し愛美はようやく目の前に光輝が来ていることに気が付いた。目の前の光輝は学校では中々見せない本気で人を心配している時の顔だ。その顔を自分に対して見せてくれているという嬉しさとさっき自分が言った事の意味を分かってないという悲しさが入り乱れて
「はぁう」
そんな声を出しながら愛美の視界は暗転した
★
お姉ちゃんが帰ってきてから愛美の様子がおかしい。いつも通りの事をしていただけなんだけどな。多分見るのは初めてだったと思うけど家族なんだから普通の事じゃないの?
……とか思っていたら愛美が変な声を出しながら後ろに倒れてしまった
「え……愛美!?」
僕は咄嗟に袋を手放し愛美の腰あたりに手を添えて気絶してしまった愛美を支えてゆっくりと倒れさせた。
「ええええ愛美どうしたの!?」
流石にこんな事態は初めてなので光輝が慌てる。その慌て様は蓮花と麗華が内心悶えていた。光輝がヘルプの顔で見てきてようやく我慢できた。麗華が取り合えず言った
「お母さんたちの部屋に寝かしたら?」
光輝達の両親の部屋は和室となっている。今光輝達は玄関にいて一番近いのが蓮花達の部屋だからだ。
因みに西沢家は二世帯住宅なのも合わさり二階建て+道場付きと言う結構広かったりする。間取りは一回リフォームをしたので初期から変わっているが一階は夫婦の寝室と言う名の和室が二つ。リビングが一つ。そのリビングの中にはキッチンもある。二階には麗華と光輝の個室が一つずつある。この事を光輝が愛美に言った時
『自分の部屋いいなぁー!』
と羨ましがられた。これをきっかけに愛美も自分の両親に頼み込み個室をゲットした。
閑話休題
と言う訳で光輝は愛美を背負おうとする
「光輝大丈夫?」
麗華が心配なのか聞くが光輝は重たそうな顔になりつつも言った
「僕が運ぶの!」
そう無意識なのか知らないが頬を染めながら言った。それを見た麗華は少し寂しさと嬉しさをごっちゃに感じる顔で言った。
「光輝は愛美ちゃんの事好きなんだね!」
それを聞いた光輝は顔だけ思いっきり振り向きその顔を真っ赤に染めながら叫んだ
「ちち違うよ! 愛美とは友達だよ!」
傍から見ても両想いなのだが。光輝は意識してないかもしれないが今だって愛美を大事そうに運んでいる。というより小1なのに力持ち過ぎないかと麗華は思ってる。
「ふーん?」
光輝は姉の視線を見て見ぬふりして愛美を横にゆっくりと倒した。未だに愛美はやたらと赤くなり「はぅ」という言葉をずっと言っている。光輝はそんな愛美に「よいしょ」と言いながら布団を持ってきてかけてあげた。
麗華はもうちょっとで夏の時期にそれは暑くないか? と思ったが改めて感じてみると風も入ってきているから問題なかった。そんな光輝を見ながら麗華は愛美が初めて家に来た時の事を思い出していた。
『その……今度お友達連れてきてもいい?』
四月に入り麗華も高校のクラスにも慣れてきた頃、余り学校での話をしない光輝が食卓の場でいきなりそう言ってきた。それに麗華はびっくりしたと同時に嬉しかった。麗華が所謂ブラコンになったのは光輝が可愛いのもあるが光輝が余り他人と一緒に遊ぶことが出来ていなかったからだ。保育園の時なんかそれで孤立していた。何回か麗華が迎えに行った事があるが大概端っこで一人で遊んでいた。その理由が保育園の人曰く
『正直すぎるんですよ』
確かに光輝は割かし正直だ。だがそれ故にハブられやすかった。曲がった事が嫌いで自分にとって正しいと思う事を貫いている。
それは蓮花につられて見ていた相棒や珍しく光輝がハマったウルトラマンメビウスの影響により更に顕著になったと言えるだろう。だが麗華は知っている。本当は誰よりも優しい子なんだと。正直に言ってしまうのは相手への心配の裏返し。
だから光輝の事が麗華は大好きなのだ。そんな光輝からお友達と言う単語が出てきて内心結構舞い上がったのだ。
『もちろん! 連れてきて良いよ!』
そしていざ連れて来たお友達……麗華はてっきり男の子だと勝手に思っていた。しかし当日光輝に付いて来て現れたのは
『は……初めまして。古原愛美っていいます』
少しもじもじと頬を少し染めているのは色々ぶっ飛んでいてアニメにいると言われた方が通用するリュックを背負った美少女だった。まさか蒼髪に蒼眼なんて子も初めて見た。少し唖然としていた家族を見て光輝は疑問の表情で聞いた
『皆どうしたの?』
『ちょ……ちょっと光輝借りるね!』
と言って麗華はちょっと光輝を引っ張り聞いた
『お、女の子なんて聞いてないよ!?』
それに対する光輝の答えは
『性別なんて関係ないと思う。だって一緒にいて安心できる人なら皆友達でしょ』
我が末っ子ながらなぜ偶にこんな確信をついた言葉を言うのだろうかと麗華や蓮花、零斗は思ったがそれが光輝が思っていることならばそれを尊重する。
そして愛美をリビングに通したら愛美がリュックの中からお土産を出した
『あの……これお母さんからです』
まさかお土産まで持ってくるとは……今の子供にしては珍しい。緊張しているのは光輝の親だからだろう。
『わぁ! ありがとう! お昼もう少しで出来るから食べて行ってね』
『あ……ありがとうございます!』
そうしたら光輝がちょっと恥ずかしそうに愛美に言った
『じゃあ僕の部屋に行く?』
『待った!』
そこで麗華が待ったをかけた。いや光輝に他意はないのは分かっている。光輝はお昼を待っている間に愛美と何かで遊ぶつもりだったのだろう。しかし弟を正しき道に導かなければならない姉の身としては問題である。と言う訳で
『お姉ちゃんの部屋に行こっか』
この時の姉の表情について光輝が愛美に尋ねたところ
『ちょっと怖かったかも』
とのほほーんと教えてくれた。麗華からしたら光輝のお友達を見定めるつもりだった……いやはっきり言うとこの時の愛美の光輝に向ける視線が完全に恋する乙女だったので光輝に相応しいかを見るつもりだった。最終的には二人が良いなら良いがそれはそれ、これはこれである。……一回あっただけでこんなぶっ飛んだ発想になるあたり麗華も大概ブラコンである。
その後は麗華の圧に押され二人は麗華の部屋で遊んでいた。麗華は意識を現代に向け愛美を心配そうに見ている光輝を見る。
「なんか変な事したかなぁ」
本人はやはり愛美がこうなった原因が分かっておらず愛美の体調不良だと勝手に思っている。単純に羞恥が限界突破したからだとは微塵も思っていない。
(我が弟ながら鈍感すぎるぞ)
いや小1でそんな関係になって良いのかとは思うが小さいころからだからこそ永遠になるかもしれない。ただし一線はせめて大学生までは超えさせないつもりだが……とか最早麗華の頭の中が恋愛脳である。
『やっ!』
『愛美強い……』
と当時は何故か二人してオセロをしていたのを麗華は二人の中間で見ていた。結果は光輝のぼろ負けである。愛美は最初光輝の姉の部屋だからか緊張した面持ちだったが光輝と遊んでいたら笑顔が増えて行った。その笑顔を見ていた光輝が少し恥ずかしそうに見ていたのを麗華は見逃さなかった。
『皆ご飯よー』
その蓮花の言葉により西沢家はお昼にしていた。蓮花はおいしそうにご飯を食べている愛美を見ながら先程三人が二階にいる時に起きていた出来事を思い出していた。
三人が麗華に連れられて二階に行った後、お土産のお饅頭の箱を開けてみればそこには紙があった。それは電話番号だった。早速蓮花は電話をかけ出たのは愛美の母親だった。
挨拶もそこそこに少し母親同士話が盛り上がった。
『えっ!? 光輝がそんなイケメンな事を!?』
何故愛美と光輝が仲良くなったのかという経緯を蓮花は愛美の母親……美月から初めて聞いた。本当に光輝は何も学校の事を話してくれない。
『家では光輝君の事ばっかり話すんですよ』
それ以降は昼ご飯の準備もあったのでまた今度と言う事になったがその電話のおかげで蓮花は愛美を気に入った。それだけ一途な子なら……となったのである。
それに……と蓮花は愛美を心配そうに覗き込んでいる光輝を見て心で続けた
(光輝も愛美ちゃんの事は好きみたいだし)
先程は愛美とは友達と言っていたが光輝が愛美を見る視線は友達に向ける類の視線ではなかった。
(孫の顔が見れるのは早いかもね)
母娘そろって恋愛脳だ。蓮花は残りのクッキーの工程を頭の中で計算した。残りは出来た生地を型取りしてオーブンで焼くだけだ。これだけなら光輝達だけでもできるだろう。
「じゃあ光輝、私達出かけてくるから」
「えっ!?」
それに光輝は驚いた顔になる。それもそうである。倒れている愛美がいるのにどこか行くというのだ。不安にならない方が可笑しい。蓮花の意図に気が付いたのか麗華も
「そうだね。私丁度本屋に行きたかったの」
「え、愛美はどうするの?」
「愛美ちゃんは光輝が見てあげて。別に病気って訳じゃないから心配しないで。そのうち起きると思うから」
光輝が唖然としていたが蓮花は零斗にも話を付けに行っていた。それを光輝はそれを見ていたがこうなった母親たちは止められない。……本当は愛美と二人きりになれるのが嬉しかったりする。
★
蓮花達が晩御飯の準備の為に家を出て30分程経過した。光輝は取り合えず作りかけのクッキーの生地を冷蔵庫に保存し愛美の隣で瞑想しながらイメージ修業をしていた。
イメージ修業と言っても頭の中で架空の敵を作り出し戦うだけだが。何故小1でこんなに修業好きになってしまったのかは本人にも分からない。本当にメビウスとヒカリだけの影響なのか……何故か祖父だけはそうなる事を予感していたような態度を取っていたのが光輝には不思議だった。
ちらりと横を見てみると先程まで真っ赤になって気絶していた愛美がもう平常の表情に戻っている。この分ならもう少しで起きるだろう。
「……可愛い」
愛美のあどけない寝顔を見て光輝は思わずそう呟いた。光輝はほとんど意識せずに愛美の頭を撫でた。少し撫でた後光輝は自分のやっていることに気が付いた、と同時にばっと手を引いた。その顔は先程の愛美の様に真っ赤だ。
(な……何で僕こんなことを!?)
と自分でやったのに自分で戸惑っている。内心パニックになっていたら愛美が身じろぎ始めた
「ん」
その声に光輝はビクンとして愛美を見たら愛美はその蒼眼をゆっくりと開いた。最初は焦点が合ってなかったが隣で愛美を心配そうに覗き込んでいる光輝を見て思いっきり起き上がった
「ここ光輝!? あ……」
いきなり起き上がったからか愛美は一瞬ふらっとした。それを光輝は支えもう一度寝かした。
「大丈夫?」
「う……うん。ありがとう……って!」
そして今更ながら現状を把握した。光輝が目の前に来ていて自分はそれが恥ずかしすぎて気絶したのだと。それに気が付いたら愛美は少し強引に光輝の支えをほどいた
「え……愛美?」
「う~!」
言葉にならない位愛美は顔を布団に埋めて光輝にその顔を見せまいとした。光輝はなぜそんな事をするのかが分からずびっくりしている顔で見守る。そして少し時間が経った時、愛美はようやく顔を上げてくれた。
「あれからどの位経ったの?」
光輝は部屋に掛けられている時計を見て
「30分くらいかな。お母さんたち買い物に行っちゃった」
「そう……え!?」
先程の光輝を思い出される唖然とした表情になる。まさか小1の二人を置いて買い物に行くとは思わなかったのだろう。というより……と言う事は
(光輝と二人っきり?)
そう気が付いた愛美はまた真っ赤になる。今日だけで何回真っ赤になるのだろうか。愛美は内心で悶えていたら光輝が言った
「クッキーは後型取りして焼くだけだからもうちょっと休む?」
愛美は全力で頭を振った。このまま光輝と何もせずに一緒にいたら頭がどうにかなってしまいそうだったのだ。
それでも寝起きの愛美が心配なのか光輝は聞いた
「ほ……ほんとに大丈夫?」
「だ、大丈夫! もう元気いっぱいになったから!」
そう言って立ち上がる。確かにもうふらふらしていないみたいだし問題はないかと光輝は思った。光輝も立ち上がりその愛美の手を自分の手で繋いだ。
「またいきなり倒れたら駄目だから」
そう先程愛美が倒れた時の様子が不安だったのかその行動の理由を言った。その行動に愛美はドキドキしているが光輝はそれに気が付かずに言った
「じゃあ続きしよっか」
愛美は内心「どんかん」と思っているがそれでもいつも自分の心配をしてくれている光輝が嬉しかった。多分光輝の中では優先順位は家族が一番なのかもしれない。だからさっきは麗華とあんな事をしたのだ。
光輝が家族に向ける視線をいつか自分にも向けられたい。だから今は……
「うん!」
愛美は先程の羞恥が嘘のように笑顔になりそう返事し二人はキッチンに向かったのだった
お疲れ様です。
小1じゃねえだろこいつらと書いてた自分でも思った。
では次は本編にて