あのキリトとの迎合から約1ヶ月たった。その日からキリトには会っていない。フレンド登録ってので一応連絡やキリトの居場所はわかるがこんな謎だらけと疫病神の俺と一緒にいてくれとは思わない。
そしてあの後にも色々わかった。別れる前にキリトが《ソードスキル》ってのを教えてくれたがどんなに教えられたとおりにやっても出来なかった。なんでそんなのがわかるのかって言うとキリト曰く出来た時、そのスキルに合わせたライトエフェクトが出るらしいが俺はやっても出なかったからだ。
ソードスキル·····所謂格ゲーやらで言う必殺技だ。使う為には所定のモーションとその使うソードスキルの武器種の熟練度を上げなければならない。上げればあげるほど強力なソードスキルを発動出来るようになる。
先ず使いたいソードスキルプレモーションを起こしシステムが認識、そこからはシステムが勝手に体を動かしそのソードスキルを発動してくれる。この勝手に体を動かしの部分が少し厄介だったりする。急な方向転換等には対応出来ないし軌道もある程度固定されるからだ。困るのは大概対人戦だがソードスキルには致命的な弱点がもう1つある。それが技後硬直だ。必殺技をバンバン出させない為にある奴である。ソードスキルを使った後使ったプレイヤーの動きが使ったソードスキルによる反動で止まる。集団戦ならば他の人にカバーして貰えればいいが1人·····ソロだと使い時を間違えては”死”に繋がる。
「まあ、使えなくても別にいいけど」
というのは嘘である。ぶっちゃけ言うと凄いかっこいいから出来たらやりたいなと思うのが本音。自分で再現出来なくもないけど迫力にかける。いや、迫力は正直要らないんだけど気分的に欲しい。そう思ってたらヒソヒソと声が聞こえる。因みに今いるのはトールバーナと言う町だ。
「なあ、あいつが?」
「ああ、カーソルも何もないやつだ。何なんだろうなあれは」
「どうせチートだろ? いいよなチート使えるなら早くクリアしてくれよ」
そんな声が聞こえる。今の俺の格好は変わっていない。蒼い羽織に赤い服に青の帯に黒ズボン。だが1つだけ違いがあるとすれば後ろの剣だ、《アニールブレード》を
変な事をほざいてる奴を無視してキリトが教えてくれた迷宮区って所に行く。何故かゲームって言ってた割に腹は減るからここで腹ごしらえしに来ただけだからである。何故なら俺がここに来てもう1ヶ月だ。それでも元の世界に帰る方法が分からない以上取り敢えずこの世界を制覇してみた方が良いと思ったからだ。
(……早く皆の所に帰りたいよ)
そう思って心の中で泣いていたら誰かの視線を感じた。というかぶっちゃけご飯食べてる時から感じてた。あれだ、皆が死んだ後によく感じた好奇心の視線、あれに似ている。だから町を出る前に路地裏に入った。そして声をかけた、ピックを投げ叫びながら。
「誰だ!」
そう言ってピックが顔の横に刺さりながら降参ポーズしていたのは小柄の女の人だった。
「ちょ、待っテ、待っテ! 怪しい者じゃないヨ!」
「そんなフードを深く被って俺をつけてたやつのどこが怪しくないと?」
至極当然である。光輝の知り合いはこの世界ではキリトしかいないしあれから会っていない。フレンドの所にはキリト名があるから死んではいない。
光輝の知り合いにこんな怪しさ満点の奴はいない。警戒するのは普通である。その女の子は少し焦りながら返す
「うっ、と、とにかくほんとに怪しいものじゃないんダ」
「だったら名前ぐらい名乗ったらどうだ?」
ストーカーをして怪しい者じゃないなら名乗れよという事である。
「アルゴだ。情報屋のアルゴだヨ」
この世界の人達の名前って皆キリトみたいな名前なんかな? というより名字という概念あるのか? そんな全く関係ない事を考えるが聞きなれない言葉があり聞き返す
「情報屋?」
「そう、情報を教えたり逆に買い取ったりするのがオレっちの仕事さ」
「ふーん」
そう言われて俺は剣を下ろした。まあ不意打ちされても普通に躱せるだろと思ったからだけど。そしてアルゴをガン見しながら聞く。
「で、その情報屋がなんのようだ?」
「いや、依頼を受けたんだヨ。キミがチーターなのか調べてくれ! っテ」
依頼……か。健作さんにまだ依頼料渡してないんだよな。生きて帰るとは言ったけど今俺は生きているのか正直微妙な感じだし。でもその約束を果たす為にも俺は生きて帰らなければならない。·····取り敢えず聞きなれない単語を聞く
「なあ……、1つ聞いてもいいか?」
「ナ、なんダ?」
「チーターってなんだ?」
光輝がそう言うとずっこけた。そりゃそうだ。ソードアート・オンラインにいるのだから小さいけどゲーマーなのかなと思ったら初歩的な事を聞いてきたのだ。アルゴは自分よりも背が低い光輝を不思議と好奇心の眼で見る。そして取り敢えず聞く
「し、知らないのカ?」
「いや知らないから聞いているんだけど? まあ、何か悪いものっていうのはニュアンスでわかるんだけど」
チーターってあの動物の事かと思ったけど俺がそんなもんじゃないのは見たら分かるし流石に俺は動物の姿なんぞになれないぞ。
「そ、そうカ。チーターって言うのは簡単に言うとゲームの中でズルするやつの事ダ」
「あー、そうか。ここって一応ゲームの中なんだったけ? 自覚はないけど。で、成果はあったんですか?」
何か今聞き捨てならない言葉を聞いた気もするが光輝が小声だったから聞き取れなかった。そして少し疑念の目を向けアルゴはそれを受けながらにししっと笑いながら言った
「その情報は初回サービスで100コルだヨ」
「じゃあいいです。さようなら」
「あーっ! 待っテ、お願いだから待っテ!」
そう言って光輝の帯辺りを抑えられ止めた。別に振り払うなんざ余裕なんだがここは圏内と言ってプレイヤーには攻撃による衝撃があるから止めておく
「はぁ、何ですか?」
「いや、何で剣を2本担いでるのかなと思っテ」
「それ言ったらなんか情報にされそうだから黙秘します。さいなら」
アルゴの事を分かっておる。アルゴは情報屋·····それも5分話せば何時の間にか情報を抜き取られるとかいう異名の持ち主である。光輝はそんな事聞いたことは無いが何となく分かった。アルゴは帯を抑えながら叫ぶ
「待っテ! もう辞めるから話しをさせテ!」
「何なんですか一体?」
「キミは一体何者ダ?」
そう真面目な顔で言われた。光輝はアルゴをじーっと見た後答えになってない事を言い張る
「さあ、分かりません。ただこれだけは言えますよ。少なくとも俺の邪魔をしないなら何もしない。俺は普段は争いなんて好きではない」
それは本当だ。いざとなれば戦うが理由がないと戦わない。話し合いで解決できるならそれに越したことはない。笠木は色々短気過ぎた。
「でも·····売られた喧嘩は買うし必ず勝つ」
遠回りしにその依頼主が喧嘩しに来るなら受けてやると言っているようなもんである。
俺がそう言ったら何故か沈黙された。そして何故か笑いだした。何故だ。むー
「何で笑うんですか?」
「いや、面白くテ」
掴み所ない。別にもう関わる事はないだろうけど何か癪だ。絶対餓鬼だから舐められてる。·····まあそれはほっといて聞いとこ
「あ、そうだ」
「ン?」
「俺の情報を買おうとしたやつの情報を俺が買うのってありなのか?」
俺だけ知られていて不公平だ。俺にだって知る権利はあってもいいはず。アルゴさんは笑いを止めて言った
「ありだヨ。ただその場合相手の出した口止め料より多く出さないとダメだけどナ。因みに今回の場合だと1000コルだ」
「んー、じゃあ5000コル出すからその人に教えて貰っていいって聞いて?」
「わ、わかったヨ」
そう言ってアルゴはシステムウィンドウを開いてメールを打ち始めた。やっぱりここが未来って言われた方がしっくりするなぁと思う。というか5000コルって言った時ちょっと驚いてたけどなんでだ? そしてメールが終わったのかウィンドウを閉じた。
アルゴが驚いた理由は簡単だ。コルというのはアインクラッドの通貨の事だ。つまり何かを食べるにも装備を点検するにも宿に泊まるにもその他の事にもコルはかかる。層が登るにつれて手に入りやすくはなるがそれでも情報代で最初から5000コルは中々ない。光輝が出し惜しみをしないのは簡単だ。光輝は滅多に宿に泊まらない。何故なら先程の様なヒソヒソ言われるのが嫌なのだ。コルを使うのは武器の強化やご飯の時だけ。そのご飯も美味しい所が中々見つからないがその内料理すればいいやと光輝は思っている。
「良いそうだヨ。相手のプレイヤーネームはキバオウダ」
キバオウか、なんか噛み付いてきそうな名前だな。というよりやっぱりカタカナの名前多すぎだよな? 皆カナカナなのかな?
「ふーん、キバオウさんね」
「ああ、それと1つ頼まれたんだけどキミは今日のボス戦に行くのカ? と聞いてくれって。会議にはいなかっただロ?」
フロアボス·····1層毎にそれぞれのフロアの特徴があるフロアボスが迷宮区の最上階の部屋に待ち受けている。それらを100層まで突破すればゲームクリアである。そして会議とは今の所の最前線·····レベル上位層尚且つボス攻略に行くという人が行く会議である。隊列や7人1組のパーティー等を決めボスの行動パターン等の情報を出し合いボスを倒そう! みたいな奴である。
「ボス戦? 会議? なんの事だ?」
「やっ、やっぱリ知らないカ」
だが光輝は基本的に迷宮区で籠るしご飯とかにしか帰らないしで全く知らない。仮に知っていたとしても行かない。それは·····笠木の時の様に自分のせいで誰かを死なせたくないから。だから普通に答える
「俺は取り敢えずあの迷宮区? って所の1番上の扉に行こうと思ってただけだよ」
「いや、それがボスの部屋だっテ! ボスに行くなら皆と行った方ガ……」
アルゴは焦った。当たり前だ。普通のゲームならチャレンジとしては良いのかもしれない。だけど今はデスゲームなのだ。死んだら終わり。光輝にHPやカーソルは見えないがどう見ても小学生の光輝を戦わせるのは良心が痛む。だが光輝はアルゴを振り払いながら冷たく返す
「嫌だ。俺は1人で行く。俺の道は俺が決める」
「それでもしキミが死んだらどうするんだヨ!」
「俺は死なないよ。じゃあね」
「あっ!」
そう言って俺はアルゴを振り切るために走った。途中で路地をぐるぐるしながら撒いて。
(もう俺のせいで誰かを死なせる訳には行かないんだ! だから……学校の時みたいに悪にでもなろう·····!)
そう言って俺は迷宮区に突撃してさっさと最上階まで登りボス部屋に着いた。その迷宮区の入口あたりに人だかりがいたがなんだったんだろうな。休憩中みたいだったけど。というより黒髪の知り合いがいた気がするが気のせいかな?
光輝はそう言いながら武器の耐久値をチェックする。耐久値が無くなれば木っ端微塵になり剣が無くなる。光輝は無手でも良いが早く終わるに超したことはない。
「よし! じゃあ行こっ!」
俺はボス部屋を開けた。俺が部屋を開けたら部屋が明るくなった。そして奥にいたのは全体的に赤いやつだった。名前を見ると《イルファング・ザ・コボルドロード》ってなっている。そして同時に現れたのはなんかコボルドロードと比べたら小さいやつで《ルイン・コボルド・センチネル》ってのが3体だった。
まあ問題は無い。そう思いまず突撃して来たセンチネルの先頭のやつの首元に一閃、それで消えた。思った通り首の所にはあの頭のやつでは覆いきれなかったらしい。そのまま2体もすれ違いざまに一閃し電子のあの世へ葬った。そのままコボルドロードに突撃した。コボルドロードの武器はあの斧となんか背中にあるやつだけ。おまけに盾があるだけである。
コボルドロードが斧を振りかざしてきたから横にジャンプで避けてその勢いのまま切り裂いた。なんか斬ってるって感じがしないから違和感はあるけど続ける。
そんなやり取りが20分ぐらいが過ぎた。その間にまたセンチネルが何回も出てきた。だけどまあ、全部一閃で終わらせたから特に問題はなかった。そしてコボルドロードの体力ゲージが最後の段も赤色になったなと思ったらいきなり雄叫びをあげてきたから取り敢えず下がった。なんか後ろで声が聞こえるような気がするけど無視。そしてコボルドロードが取り出したのは刀だった。それを見た後ろにいる人達が驚いている。何故だ。
後ろの人達が驚いているのは簡単だ。何故なら·····ベータテストと違うのだ、情報が。ソードアート・オンラインは今光輝がいる正規版の前にベータテストと言うものがある。それはプレイヤー達にこうした方が良い等の参考を聞くためだ。まあそれは今は割愛。
「まあいい、それがどうした!」
そう言って俺はコボルトロードに向かう。なんか後ろで止めてる声が聞こえるが無視。コボルドロードも左越しに構えて突進してきた。なんか光ってる。そして振るってきたが、
「遅い!」
そう言って俺は飛んだ。居合は確かに早い。だけど放たれる場所は限定される。自分の真正面しか当たらないのだ。だから俺はコボルドロードの頭上に来たら目に剣を刺しこんだ。なんかすごい叫んでる。データでも痛みはあるのだろうか。取り敢えずその刺した左の剣は手放して着地した後に右の剣で続ける。
胴体に3回切り裂いたらまた刀を振るってきたけどただ単にブンブン振り回してるだけ何て恐れる必要は無い。そう思って次の瞬間には刀をしゃがんで避けた後またジャンプした。今度は結構高めに、そしてジャンプした時に回収した二本目の剣を上から振り下ろしてコボルドロードの後ろに着地しそして剣を収めながら。
「終わりだ」
コボルドロードが叫び、ポリゴンとなって中に舞爆散した
お疲れさまです (*´∀`)♪
今1度言いますが光輝の相手へのダメージ計算は
剣→剣のスペックとレベル、振るった際のスピードで変わる
無手→レベルと拳や足の振り抜いて当たったスピードで変わる
今の光輝がグリームアイズに殴り込みに行っても勝てません。